2017-05

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フィギュアスケート見聞録 グランプリシリーズファイナル編(前)+映画「オペラ座の怪人」感想

12月12~14日にかけて放映された、フィギュアスケート
グランプリシリーズファイナル、略称GPF。
遅ればせながら、その感想を中心に、このところ
フィギュアスケートを地上波TVで観戦してきた見聞録をお届けします。
まずは、フィギュア中継そのものに対しての積もり積もった意見を。


・実況前後のナビゲーション
あれを私は「中継テロ」と呼んで忌み嫌っている。
別名「地上波の洗礼」。実況が始まるまでの辛抱ともいう。
何とかならないか。そもそもなぜ松岡修造氏なのか?
あの実況までのつなぎタイムって何のためにあるのか?
修造+織田信成君の高テンションで、フィギュア中継はすっかり暑苦しい。
アナの子が引いてるときがたまにあるほどで・・・・・・。
しかし、この二人は元アスリートで、信成君は他ならぬフィギュアの元選手で。
当事者の心境を代理するなら彼らのテンションは正しいってことだろうか。
でも、視聴者としては、もう少し静かに観たい・・・・・・。

・実況・解説
いざ試合が始まると、音声は一気に静まる。
フィギュアの実況は他のスポーツと比べてクールだ。
解説も、技の名前を読み上げて、うまいとか惜しいとかそのくらい。
日本人選手にある程度情は入りながらも、海外選手にも優しいのでは。
まあ、最近、実況や解説に「頑張れ」などの私情が多い気もしてきたが。
ショー的側面もあることに配慮して、他のスポーツに比べればおとなしい。
観ていて、なぜこれまで八木沼純子さんばかり起用されてきたのか、わかった気がした。
選手経験があって、かつあれだけ聴きやすく喋れる人は、滅多にいない。
以前、鈴木明子さんの解説がちょっとモゴモゴして気になって、そこで気がついた。
八木沼さんが解説を担当したNHK杯の聴きやすさ。
確かに技の名前しか読み上げていないけど、それでいい。
足りない分は実況が話すし。この競技、実況や解説が邪魔しちゃいけないのだ。
音楽が鳴り響き、選手が手足全体を使って語る、競技兼ショータイムなのだから。

・羽生選手の扱い
オープニング映像をはじめ、中継全体が羽生結弦選手中心すぎる。
羽生の演技だけ最後にリプレイしたり、特別編集の映像を延々流したり。
男子を観ていて、町田選手や無良選手の親御さんが泣くぞと言いたくなった。
羽生本人の意図やスケートと関係ないところで、アピールどころか
イメージダウンになっている。これじゃ羽生が嫌われる。
羽生をヒーローに演出したいんだろうが、演出が下手だと思う。
やればやるほど胡散臭くなっていることに気付いてほしい。
他のスポーツに倣っているのだろうが、この競技は、まして今の男子は、
誰か一人だけの物語を語る競技ではない。せめて群像劇で語ってほしい。
そういう中での、NHK杯の、村上大介選手の優勝はいっそ痛快だった。
ショートも放送されない、ノーマークの選手。羽生でも無良でもなく。
TVがつくりたい物語を、リアルが完全に舌を出して裏切ってみせた瞬間だった。
まあ、その後のGPFで、羽生自身が正しくTVが望む物語を演じきってみせたのだが。

・中継のタイミング
実況が始まる前に、ニュース速報などで、先に結果がわかってしまう。
がっかり感が半端ない。
その後で始まる中継では、どれだけ編集されまくっているかと、観る前からげんなりする。
編集されすぎに関しては今回のGPFは実に酷かった。
ショートプログラム、2時間の中継に合わせて前フリが1時間とか、
何を期待して中継を観ればいいのか、途方に暮れた。
地上波はとことん舐められている。

・えらべるテロップ
テレビ朝日でリアルタイム視聴中にだけ利用できる「えらべるテロップ」。
演技内容をテロップで表示し、「注目!」なんて表示もついてくる。
Dボタンで、表示しないようにもさせられる。
これは基本的にありがたい。テロップのないNHK杯でそう実感した。
しかし、少し邪魔かも。もうちょっと小さく、右下に寄せてはくれないだろうか。
注目技についてはNHK杯のほうが選手ごとの特性に配慮してくれたように思う。
テレビ朝日では4回転ジャンプやコンビネーションジャンプに機械的についていたが、
NHK杯では、スピンやステップの得意な選手は、きっちりそこにつけられていたから。

・画面右上の煽り文句
テレビ朝日、いつもいつもせわしない。
GPFのフリー、ボロノフ選手の演技中「無良現在1位」「羽生&町田 決戦間近」って、
たった4分間の間で必死すぎる。
なんというかもう少し「今」を大事に観させておくれよ。

・エキシビジョン
テレビ朝日で、競技を「氷上サバイバル」と呼ぶのに対し、
競技後のエキシビジョンは「氷上ミュージカル」と称されていた。
それまでのグランプリシリーズでのエキシビジョン放映時は、ダラダラと各選手の演技を
流すだけで、よほどコミカルな演技をする選手以外、面白みがまるでわからなかった。
しかし、NHK杯で、日本人選手を中心にインタビューをやっている様子だったり、
選手全員で登場するオープニングやエンディング、地上波では放映されないことも多い
ペアやアイスダンスも含め全ての選手に平等に時間が与えられたりすることで、
このひとときの素晴らしさ、競技の温かさがわかってとても良かった。
GPFでもそれに倣ったのか、全体が見える放映になったが、
こちらは編集が多すぎて、半分くらい羽生のドキュメンタリーになっていた。
まあ、でも、エキシビジョンの雰囲気は伝わる内容になっていて良かった。

Bonus Track:フィギュアスケート的映画見聞録「オペラ座の怪人」

オペラ座の怪人 通常版 [DVD]オペラ座の怪人 通常版 [DVD]
(2005/08/26)
ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム 他

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世界的に大ヒットしたミュージカルを映画化したというだけあって、歌の比率が高く、
映像のスケールは圧倒的なものの、ストーリーがどうにも薄い。
Wikipediaを見なければ話がわからなかった。映画としては説明不足すぎた。
現実と非現実が交錯する部分は、映像にするなら余白をもっと埋めないと
わけがわからない。
Wikipediaで「いろんな解釈があります。原作の小説とは違います。謎の多い話です」という
事実を知るまで、わからない部分についてかなり一生懸命考察してしまい損した。
冒頭で出た劇場の元オーナーがファントムの正体なんじゃないかと勘ぐってしまったり。
映画だけ観ていたら、そんな解釈ができるのではないか、下手したら。
だって何かあると思うだろう、あんな意味深にチラチラ登場されたら。
普通の映画だったら破綻作だ。「ミュージカルの映画化」と知っていないと観られない。
でもって、ファントムの人はブラピ風のイケメンで、皆が叫んで逃げるほど醜くなく
そこも映像としては説得力が足りない。
あれこれ、脳内で補完しないとならない映画か・・・・・・。

フィギュアスケート的に観た感想としては、リフを聴いて「ああ、これか」と納得。
映画のファントムに近いのは無良君だろう、体格がよく、右眉の痣が異形といえば異形で
ファントムっぽい。よく似合っている。
映画を観た限り羽生はちょっと違う気がする。佳菜子はクリスティーヌっていうかファントム?
でも劇団四季で市村正親さんのファントムを観たら「全員違う」ってなるんだろうか。



次回はGPFを中心に、一連のグランプリシリーズの感想を書いていきます。


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【CDレビュー・感想】ゴンチチ:Merry Christmas with GONTITIなど詰め合わせ【ラジオ】

いつもその音楽への情熱に圧倒されている、オトシンさんのブログ
ロックじゃない奴はろくでなし」に影響を受け、
ゴンチチの音楽を聴いてみようと思いました。
音楽通の人が勧めてくれる音楽にハズレはないはず!と思うも、
初めて聴く音楽だったから、不安もありました。
にも関わらず、チャレンジして、もうすっかり夢中です。
それで今回は、ゴンチチの音楽感想詰め合わせになります。


棚に並ぶたくさんのゴンチチのCD。
途方に暮れながら、何枚かを選び出し、試聴機にかけてみた。
そこで最初の一音からピンときたのが、この1枚。
Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~

Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~
(2010/11/24)
ゴンチチ

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ステンドグラスみたいな、オシャレでかわいらしいジャケット。
CD棚に立てかけて飾ってある。
このジャケットは、ゴンチチのリードギター、ゴンザレス三上さんが
デザインに関わっているという。
ブックレットを開いてみると、ジャケットと同じ意匠で貫かれ、
見ているだけでハッピーで、満たされた気持ちになる。

私は今まで、クリスマス用に音楽を用意しようという考えがなかった。
クリスマス以外には使えないじゃないかと考えて、はなっから聴かず、
手にも取らなかった。
ところが、このアルバムは、試聴した瞬間、
「あ、当たり」と分かった。
家に連れて帰ると、見事、名作。
トラディショナルなどの既存のクリスマスソングが7曲。
ゴンチチのオリジナル曲は、過去作から4曲、
このアルバムのための作りおろしが4曲、収められている。
湿った、少しくぐもった感じの、一音一音大切に紡がれるギターがいい。
雪に包み込まれるような温もりを感じる。
クリスマスといわず、冬ならいつでも、とりわけ朝にピッタリ。

夏にフラやハワイ音楽のCDを集めたことがあったが、
それと同じように、冬はこのCDを聴きたい。


入門編として、ベストアルバムも手に取った。
Gontiti Recommends Gontiti

ゴンチチ・レコメンズ・ゴンチチゴンチチ・レコメンズ・ゴンチチ
(2003/07/30)
GONTITI

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現在、オールタイムベストがリリースされているようだが、
本作は2003年にリリースされた、ゴンチチ結成25周年、デビュー20周年を
記念した2枚組アルバムである。
打ち込みサウンドを取り入れたアーバンな楽曲が多い「Out side」と
ストリングス・アレンジやアコースティックな楽曲が多い「In side」。
私は、しっとりパウンドケーキのような「In side」が好きで、
先に紹介したクリスマス・アルバムの続きのつもりで聴いて楽しんでいるが、
あっさりレモンケーキのような「Out side」も、明るく爽やかに聴けていい。
「In side」の#21「放課後の音楽室」は、きっと誰もが
「ああ、これ聴いたことある!」となるはず。私はCMで聴いた覚えがある。
リラクゼーションCDの最大手・imageシリーズにも、何度も収録されている。
本作には、ライヴヴァージョンが収められている。穏やかな日だまりのような演奏だ。

ブックレットには、ゴンザレス三上さんと、サイドギターのチチ松村さんの
スペシャルインタビューがあり、結成秘話から2003年までの歩みが
1983年からの膨大なディスコグラフィーと共に語られている。
そして圧巻なのがAnniversary Commentで、総勢40人ものコメントが!
ミュージシャンから俳優、作家まで、幅広い分野の面々が揃っている。
竹中直人さん、原田知世さん、宮崎美子さん、五木寛之さんといった
一風変わった顔ぶれも。

彼らの音楽について、言葉であれこれ細かく説明する語彙力や知識は私にはない。
言葉であれこれ分析したり言及したりする音楽ではないようにも思える。
歌詞がなくても、技巧やうんちくに走らなくても、ラウドな音を鳴らさなくても、
「くつろぐこと」「心地良いこと」を追い求め、多くの人に伝わり、支持される。
「イージーリスニング」というジャンルを他の音楽より一段下に見ていたが、
「くつろげる音楽」「心地良い音楽」とはこんなにも価値があるのか。
普遍を突き詰めると粋に辿り着く、その逆も然り。

まるで、ツウが集まるコーヒー店。
でも一度来ると結構誰でも常連になれる、みたいな。


ゴンチチのCDは触れなくても、このようなかたちでいつも耳にしている、という
人もいるのではないだろうか。
私は今日初めて聴いた。
NHK-FMで土曜9時~11時に放送している、ゴンチチがMCを務める長寿番組、
世界の快適音楽セレクション」。
とことんジャンルレス。ゴンチチの曲に始まり、クラシック、ジャズ、
ワールドミュージック、ロック・・・
演歌や歌謡曲まで流れることもあるようだ。
居心地のよい曲、たまに不思議な曲が、2時間いっぱい詰め込まれている。
一応毎回テーマがあって、それに沿った音楽を
ゴンチチの二人と音楽評論家(週替わり)が持ち寄って紹介していく。
テーマがまたユニーク。ウェブサイトで過去3ヶ月の放送リストを見たら、
「7と5と0の音楽」とか、「ひざと看板とスプーンの音楽」とか、なんじゃそりゃ。
今日は年の暮れということで「年末恒例大蔵ざらえ」というテーマ(?)、
お気に入りだけどこれまでのテーマに入らなかった曲が紹介された。
トークは、しゃべりすぎずしゃべらなさすぎる、丁度良い具合。
途中で数回ミニコーナーが入ったが、これも音楽ネタで、長すぎず、軽妙。
まだ聴き始めだからコーナーの魅力まではわからなかった(笑)
「快適ジュークボックス」というキャッチコピーでもつけたくなるラジオ。
ただ、9時~11時は二度寝していたいので、録音して聴けたら良いのだが、
ラジオ自体を久しぶりに聴いたぐらいだし、まだちょっと難しい。
二度寝防止ってことにしようか。
夜や夕方に放送していた時期があったらしい、それすごく羨ましい。


ずっと軽視してきた「くつろぐこと」「居心地のよさ」。
そういうものをもっと大事にしたほうがいいよ、と
ゴンチチの二人にそろりと囁かれたような気がします。
理屈ではなく、感覚が素直に求めるもの。
頭でものを手に取ったり買ったりするのはやめて、
感覚が欲しがるものを五感に与えたい。
そんなことを考えながら、できるだけゆったりなごみながら、記事を書きました。
理屈人間の私にはなかなかできないんですが、今後も、いいヒントになるかと。


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【映画】アクロス・ザ・ユニバース【DVD】

ビートルズの曲、33曲で綴られるミュージカル映画!
そんな楽しそうな触れ込みをDVDレンタルショップで見つけて、
すぐさま手にとって、借りてきました。
観たら期待通り、いや期待以上におもしろい!
オススメ度とっても高いこの映画、紹介せずにはいられません。
早速記事に!



アクロス・ザ・ユニバース(1枚組) [DVD]アクロス・ザ・ユニバース(1枚組) [DVD]
(2011/01/26)
エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス 他

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小規模での公開から、口コミで人気が広まって、第80回アカデミー賞では衣装デザイン賞に、
第65回ゴールデングローブ賞では作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)に、
第50回グラミー賞では最優秀サウンドトラック賞にノミネートされた、すごい作品。
レンタルショップでもオススメコメントが付いていたし、面白いに違いないと確信して観た。
具体的な内容はWikipediaにはあがっていないので、結構細かくああだこうだと
話の筋を打ち明けてしまう。
この作品は、歌や演出こそ本領で、話の展開はあらかじめ頭にあったほうが
見事な歌や凝りに凝った演出を楽しめるのではないかと思ったので。

・物語のうまさ
Wikipediaでは「コメディ映画」「ミュージカル映画」と区分されている。
私が区切るなら、コメディというより、恋愛映画、青春映画とつけたい。
60年代の若者たちの恋と青春をとてもよく描いていると思うから。
起承転結もはっきりしていて、わかりやすい。
<起>
イギリス・リヴァプールに暮らす労働者のジュードと、
アメリカ・ニュージャージーに住む高校生のルーシー。
二人には、それぞれ恋人がいる。
ある日、ジュードは、父親に会うために、アメリカへ旅立つ。
父親に会うには会ったが、そこからどうなるでもなく、
路頭に迷ったところで、ルーシーの兄、マックスと友だちになる。
マックスは大学をやめて、ニューヨークに旅立とうとしていた。
ジュードはルーシーといい雰囲気になるが、互いに相手がいるし、
マックスと一緒にニューヨークへ向かう。
<承>
ジュードとマックスは、セディのアパートメントの住人になる。
セディ、ジョジョ、プルーデンスといった個性的なルームメイトと共に
ニューヨークでの生活が始まる。
ルーシーは恋人を失い、マックスと一緒に過ごすために、
ニューヨークにやってきて、同じアパートメントに。
そして、ジュードとルーシーは恋人になる。
同じ時期、セディはジョジョを自らのバンドのギタリストとして
招き入れ、アパートメントにも招き入れ、恋に落ちる。
一方、マックスの元に徴兵の報せが来る。
<転>
兄や元恋人のことがあり、ルーシーは反戦運動にのめり込む。
イラストレーターの仕事に打ち込むノンポリのジュードとすれ違いが生まれ、
二人は喧嘩、そしてついに別れてしまう。
ジュードは傷心でリヴァプールに戻る。
セディとジョジョも、離れてしまう。マックスは負傷し、入院。
<結>
打ちひしがれているジュードに「ヘイ、ジュード」と呼びかけるマックス。
それを受け取って一念発起したジュードは再びニューヨークに向かう。
マックス、セディ、ジョジョ、プルーデンスと再会を果たしたジュードは
愛を歌い、ついにルーシーのもとに辿り着く。

・名場面
話の筋はシンプル。それをどう伝えるかが、ミュージカルの見せ所。
いいシーンがたくさんあった。全曲がいいシーンといってもよい。
そのなかからいくつか述べてみる。
ぜひ実際に観て、体験してほしい。

・With A Little Help From My Friends
マックスが、ジュードを自分の仲間の一員に迎え入れる楽しいシーン。
ここでの「マイフレンズ」とは、友だちとクスリのことのようだ。
悪童ぶりを極めており、可笑しい。通りすがりの店の客も歌う。
・Let It Be
デトロイトで内乱が起こり、たくさんの命が犠牲になる。
そのなかには徴兵されたルーシーの恋人もいた。
嘆くように1番を歌う少年は、2番では亡くなっている。
2番からは聖歌隊の一員の女性が歌い上げる、悲痛なシーン。
・Why Don't You Do It In The Road
セディがステージ上で勇ましく歌い上げるロックナンバー。
しかも、ルーシーが母親に「ニューヨークには染まらないから大丈夫」と
説得したそばから、この歌い出しが彼女を迎えるという顛末。
・I Want You(She's So Heavy)
マックスが徴兵の検査に行くと、ベルトコンベアにのせられ、身ぐるみはがされ、
車でも造られるように検査が進んでいく。
まさか「I Want You」が兵隊たちの「おまえもこっちこいよ」として歌われるとは。
帰ってくると、同じ曲でセディとジョジョが愛し合っているというオチつき。
・Because
アパートメントの住人一同+αが不思議な世界に放り出され、夜空を見上げて
草むらに円を描くように横たわっていると、夜空が水中に変わって、
ジュードとルーシーが交わったり、ほかの住人達が泳いだりする、美しいシーン。
・Something
反戦運動に打ち込むあまり家を空けがちなルーシーが、上半身裸で眠っている。
その姿をスケッチしながら、ジュードが不安を吐露する、完全に不協和音フラグ。
部屋の壁はジュードによる、ルーシーや二人の姿のスケッチでいっぱい。
・Oh!Darling
ステージ上で、ソロ活動を始めるセディと、捨てられる格好のジョジョが大喧嘩。
セディの歌をジョジョが反論したり、ノイジーなギターで邪魔したりする。
セディは去り、ジョジョがセディに「去らないで」と懇願する様相でヴォーカルをとる。
・Strawberry Fields Forever
ジュードがピンでイチゴを壁にくくりつけると、血のような液体が流れ出す。
壁をびっしりイチゴで埋め尽くし、そのイチゴを壁に投げつけて荒れるジュード。
ルーシーがTVを観ると、その向こうには闘いに明け暮れるマックスの姿が。
戦火とイチゴが混じる。イチゴが爆弾になって飛び散る。
・Across The Universe/Helter Skelter
地下鉄の中、傷心のジュード。降りると激しいストライキに遭遇。
セディが髪を振り乱し、「ヘルター・スケルター」を歌っている。
ジュードは警察に連行されていくルーシーを見つけ、止めに入る。
カオスな状況、「アクロス~」と「ヘルター~」が混沌と流れる。
・Hey Jude
リヴァプール、昼間から飲んでいるジュードが鏡を見ると、
ニューヨークで同じように昼から飲んでいるマックスが映り、励まされる。
それに勇気づけられ、母に見送られ、ジュードはニューヨークへ。
入国審査に通り、マックスと再会を果たす。
・Don't Let Me Down
セディの事務所(かつてのアパートメント)の屋上で、
ビートルズのルーフトップ・コンサートを連想させるコンサート。
セディとジョジョが歌い、プルーデンスも演奏に参加。
そこにジュードとマックスが加わる。
・All You Need Is Love
セディたちが警察に追い出されかけて、独りになったジュードが、歌い始める。
アパートメントの仲間たちも加勢。ルーシーがジュードを見つける。
やがてジュードは、向かいのビルの屋上で、微笑むルーシーと目が合った。
「She Loves You Yeah~」と歌いかけるマックス。幸せな幕切れ。

・キャラ/キャストのナイス具合

・誰かに似ている
ポール・マッカートニーにちょっと似ている顔立ちのジュード。
破天荒な振る舞いとサングラス姿がジョン・レノンを彷彿させるマックス。
ジャニス・ジョプリン風のセディ、ジミ・ヘンドリックス風のジョジョ。
深読みするとプルーデンスはオノ・ヨーコかメイ・パンか?
あちらこちらでニヤリとする。
・どこかで聞いた名前
「ジュード」「ルーシー」「ジョジョ」「プルーデンス」「セディ」。
みんなビートルズの楽曲に出てくる。
劇中ではジュードとプルーデンス(エンディングではルーシー)が
名前の入った曲を与えられている。
くくく、となる。ファンならジョジョやセディもわかるだろう。
・それぞれの歌声の魅力
当然ながら、みんな歌がうまく、しかも吹き替えなしで歌っている。
透き通るような歌声のジュードとルーシー。
少しハスキーなマックス、しゃがれ声のセディ。
それぞれにいいけれど、特にセディのパンチのある歌声が気に入った。
ロック歌手という設定だから一段迫力があるのは当然だが。
もっと聞きたくなる。

2時間、ハッピーと満足でいっぱい!
とにかく楽しい映画。
楽しくて、一緒に心が揺れて、一緒に幸せになる。
繰り返して観ても苦にならない。
ビートルズ好きにはたまらないし、そうでなくても
誰もがきっと楽しめるであろう映画。



普段映画って一度観たらそれっきりで、繰り返して観ようと思わないのですが
本作は別次元でした。
記事を書くためもあったけれど、もう一度この感動を味わいたくてリピート、
そしてまた満足!
購入して持っていても損じゃないなと思う映画に久方ぶりに出会いました。
それから、うーん、やっぱりビートルズ最高!

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【漫画】久住昌之&谷口ジロー「孤独のグルメ」感想

もはや国民的作品といえそうな漫画、原作・久住昌之、作画・谷口ジロー「孤独のグルメ」。
そのコミックスを探すのが少々大変だったのです。
コミックスは基本、レンタル派だから。
それで出費を惜しみつつ、中古の本屋さんに行ったら、おお、難なく発見。
ちょっと高くついたけど、クオリティの高さに圧巻で、これはこれで
よしとしました。
そして一気読み、感想となるわけです。



孤独のグルメ 【新装版】孤独のグルメ 【新装版】
(2008/04/22)
久住 昌之

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「新装版」と銘打ってある理由は、1994年~96年に連載されて一度完結し、
コミックスも発売されながら、2008年に復活し、その復活作も1話収められているから。
連載当初・コミックス発売当初より、時間が経ってネットで高い評価を得てヒットした作品。
そして、この評判をもとに、ドラマ化が実現したのが2012年(Season1)となる。
私はSeason3あたりからリアルタイムで観て、Season1~Season2は再放送で観たと思う。
「原作も読んでみたい」との思いが募るなか、やっとコミックスの発見に至ったというわけだ。

・ドラマで馴染んでいたので驚いたこと
このように、完全にドラマから入った人間が原作を読むと、当然、発見と驚きまみれになる。
以下、いちいち驚いたことを伝えていきたいと思う。

・チョイスをしばしばしくじる
ドラマではリアルタイムで実在するお店を取り上げているため、お店に悪いイメージのつくような
エピソードは当然ながら放映できない。
しかし、漫画では(こちらも当時実在したお店を多くモデルにしているにもかかわらず)
多くの人が外食でやりがちなミスを五郎もしょっちゅう犯すのだ。
#6では新幹線のなかでジェットシュウマイ(テープを引っ張ってその場で温める弁当)を頼んで
車内がシュウマイ臭くなり、乗客に笑われたり、
#15ではコンビニで夜食のお総菜をたくさん買いすぎた挙げ句、おでんとうずらと卵焼きで
卵がダブってしまったり(ダブりエピソードは他にも沢山ある)。
考えて頼んで・買っているつもりでも、こういうのあるある。

・穏やかな五郎、まさかの喧嘩!
ドラマの五郎からは想像もできない場面で、とても驚いた。
だから松重豊さんが五郎になったんだ、と妙に納得したが(笑)。
#12、あるめしやで留学生の店員を大声でずっと怒鳴る店長に、五郎、正面から抗議。
あの大食いの五郎がほとんど食事に手が着かない有様。
「帰れ!」と怒鳴り、胸をどついてくる店長に対し、五郎は武術の技をかけて圧勝。
こんなこともあるんだ・・・・・・問題作。ドラマじゃまずできないエピソード。

・お店での食事が主役にならない
ドラマでは、食前に甘味処に寄ったりするが、主役は一つのお店での飲食の様子。
しかし漫画では、食が脇役になることもたまにある。
#14では、行こうと楽しみにしていたお店がなくなっていて、別のお店で食事をするが
おいしさもどこか上滑り、探していたお店に行けなかったやるせなさが上回る。
#13では食事はほんの一瞬、主役は夏の暑さと甥っ子応援のための甲子園観戦。
ドラマ同様、食事を中心に据えてはいるが、漫画は食事とともにある一定時間を
ドキュメンタリーのごとく切り取っているともいえるのだ。

ハードボイルドな一匹狼
ドラマの五郎は漫画のそれと比べて性格が柔和になっているという。
漫画はひたすらモノローグと独り言で構成されているが、そのモノローグが
ハードボイルド作品の語り口を思わせる。
例えば#2の冒頭。

輸入雑貨の貿易商を個人でやっている俺だが
自分の店はもっていない
結婚同様 店なんかヘタにもつと
守るものが増えそうで人生が重たくなる
男は基本的に体ひとつでいたい


不器用で結婚できないのか?という印象のドラマ五郎と違い、漫画の五郎は
自らのポリシーに則り、望んで一人でいるようだ。
その話のラスト、ニヒルに煙草の煙をくゆらせて振り返る表情はナルシストぽくもある。
また、#7では大阪に出張で行って、客に話しかけられても「はあ」、
大阪流ジョークを振られても「あ・・・そうですか」とつれない。無口な男である。
たびたび、昔の映画や文学作家を回想する場面もあってシブい(#3、#7)。

・食事をする前後、最中の心の流れに密着
漫画では仕事中の五郎の姿は一切出ない。
腹が減る→お店を探す→メニューを選ぶ→客や店員を観察する→
来た飯を観察→味わう→食べ終える、ただただこの過程をねっちり追っている。
満足したり、不満だったり、迷ったり、焦ったり、後悔したり、幸せだったり、
食事をするときの人の心の動きを仔細に描写している。
しかしまあ五郎は頭のなかでよくしゃべる、ひとりごとでもよくしゃべる。
ドラマでもそうだけど、漫画でも、時々笑ってしまう。

・料理のディテール、店内のディテール
・コミックスの半分くらいの回で、頼んだ料理について詳しく説明している。
例えば、#16の「月見おろしうどん」の説明はこうだ。

たっぷりの大根おろし
揚げ玉がうれしい
ツユは薄めの色 味も塩味でアッサリ
ネギは関東風に白ネギ
一味を自分でかける(寒いのでタップリめ)
生卵 熱ですぐ白くなる
麺は確かに手打ち風 カドが立っていて しっかりしている


これらの文言を、ひとつひとつの具材のうえに書いてある。
食べたくなる臨場感。絵もリアルで、実においしそうだ。

・店内の客の観察もいつも細かい。
#1では「みんな帽子を被っている」
「この店の中で食う客ってのは ほとんど飯より酒なんだな」という具合で、
小説を読んでいるような錯覚に陥る。

・描き込みの量が半端ない。
否応なしに立ち上る感嘆とリアリティ。
とくに#8の工業地帯、#17の秋葉原の商品の山などは圧巻。

・食べたくなったもの
「深夜食堂」に続き、ここでもやってみた。
なすのおしんこ/とん汁/豆かん/いくらどぶ漬け/岩のり/饅頭/
シウマイ/たこ焼き/焼き肉/江ノ島丼/ハンバーグランチ/
ウィンナーカレー/コンビーフ/コンビニおでん/冷奴/卵焼き/
月見おろしうどん/かつサンド/餃子/焼きそば/
白飯、ジャガイモのみそ汁、野沢菜/
コッペパン、ピーナツマーガリン、トマト味の野菜スープ、バナナ/
うん、きりがない(笑)
「深夜食堂」の絵は描きすぎない余白が「うまそう」をもたらすのに対し
「孤独のグルメ」は、徹底的な描き込み、五郎の観察の台詞によって
おいしそうに見える、思える。
この対照的な漫画、両方好きと感じられるのがなんとも幸せである。

・五郎のイデオロギー

・食の自由と権利

モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず 自由で なんというか
救われてなきゃあ ダメなんだ
独りで静かで 豊かで・・・・・・


#12の、店主と喧嘩するシーンの台詞である。
店主に「なにをわけのわからないことを言っていやがる」と反論されており
五郎、そこまで熱くならなくても、店主の反論ももっともだ、と苦笑も出るのだが、
このシーンで五郎が主張している内容は深い。

・食がいのちをつくる

生きているというのは 体にものを入れてく ということなんだな


特別編、五郎が怪我をして入院したときの食事、隣のお爺さんは
スプーンで看護師さんに食べ物を柔らかく砕いてもらい、
弱々しい音をたてながら、それでもひとり食べる。
その様子に耳を澄ませながら五郎が思ったことである。
食への愛に殉ずるあまり、たまに暴走しながら、哲学を持って五郎は食べ、
我々は五郎の哲学を通して「食べるとは、生きるとは」を考えさせられる。

・五郎が私たちに教えてくれるもの
食への愛はいうまでもなく、街めぐり、店めぐりの色合いも強い漫画で、
広い意味での愛、人生愛に溢れた漫画である。
食べっぷりがいい五郎だけど失敗も多い、そういう失敗も含めて
食という行為を慈しむ。
ささやかな日々を等身大で受け入れて楽しむ。
楽しいだけじゃないけれど、好きで大事なことを楽しむ。
人間としての力が漲っている作品だ。



かつて、胃を壊して何も食べられない状態に陥ったとき、
ドラマ版「孤独のグルメ」に救われた、という記事を書きました。
そして今、私は正体不明の慢性的な胃痛に悩まされています。
せっかく胃を治したのに、なぜか痛い。お腹が減らない。
食べても満腹感がない。そもそも自分の周りの何もかもに手ごたえがない。
病院で薬をもらったけど、効いているようなあまり関係がないような。
食事量と胃痛にあまり関連がない。
心の問題?錯覚?幻覚?どうなっているの?どうして?どうして?
そんな苦痛のなか、今度は漫画の五郎に救いを求めようとしています。
養生という要素もあり、「食べたいように」だけではいけないと思いますが
食べたいときにはワーッと食べてしまうことにしています。
だって、食べるって、こんなに楽しいんだもの!
その感覚が今にも薄れそうになっている今だからこそ
また「孤独のグルメ」を読み返したり、他のグルメ系小説を読んだりしようかと。
食の喜び、楽しさに一度目覚めたら、そうたやすくは無関心に戻れないのです。

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【CDレビュー・感想】LUNA SEA:LUNACY

また、このブログらしくもなく、90年代の邦楽バンドの作品です。
時々取り出して聴いてしまう、LUNA SEAのアルバム「LUNACY」。
2000年に彼らは「終幕」して、2007年のライヴ、2010年の「REBOOT」宣言まで
長い沈黙を続けるのですが、その「終幕」前最後の作品がこれ。
昨年リリースされた新作よりもやっぱり好きなこのアルバムを
今回は感想/レビューしちゃいます。


まずジャケットが好みどストライク。

LUNACYLUNACY
(2000/07/12)
LUNA SEA、DJ KRUSH 他

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こういうシンプルで先鋭的なデザインが個人的に大好きなのである。
私は基本的に、ヴィジュアル系の様式美などにはまるで興味のない人間なので、
それまでの彼らの音源にはあまり親しみを持てなかった。
けれど本作は、ヴィジュアル系という枠組みをほぼすっかり外れたロックアルバムだ。
洋楽志向でガッツリ攻めて、私のツボを今でも突きまくる。
前作「SHINE」からその傾向が増していたが、本作はそれを更に突き進めた。
「LUNA SEA」というバンドの作品としては「らしくない」作品のさいはてなのだが、
それゆえに今に至るまで「このアルバムがいい」という根強いファンを生んでいるように思う。

以下、各曲ごとにみていく。

1.Be Awake
疾走感溢れる、爽やかでダイナミックな曲、爽やかすぎてLUNA SEAらしくないし、
なんかベタ。ぶっちゃけ苦手で、よく飛ばしてしまう。
「宇宙的に感じようよ」とは何ぞや(苦笑)
SUGIZOはあまり歌詞を手がけない方がいいような・・・・・・
宇宙的なギターソロは素晴らしいし、ギタリストとしては大好きなんだけど。

2.Sweetest Coma Again feat. DJ KRUSH
カッコ良すぎて、この曲だけどれだけリピートしたかわからない。
なぜシングルカットされなかったのか? feat.DJ KRUSHだから?
映画「007」の日本版エンディングテーマで、話題にもなったのに、もったいない。
徹底的にクール。前作で強すぎた「河村隆一」色がほどよく封じられ、
各パートが火花を散らすようにやりあっているのがあまりにスリリング。
Youtubeで終幕時のライヴ(FINAL ACT)を観ると、SUGIZOが腰を振りまくって煽っていて
盛り上がるところなのか笑うところなのかいい意味で迷ってしまう。

3.gravity
ドラマ・映画「アナザヘヴン」主題歌。オリコンで1位も獲っているシングル曲。
最近になってようやく魅力に開眼した曲。
やるせなくしどけない、鬱蒼とした曲を書かせたらINORANは随一だった。
今のINORANはもうこんな曲、書かないし書けないんだろうな。
INORANのアルペジオを主役にしたことで、SUGIZOのギターやJのベースがむしろ際立つ、
アンサンブルの妙を堪能できる曲でもある。

4.KISS feat. DJ KRUSH
直球でエロく、華やかで、都会の香りもする。
どくどく溢れ出してくるようなベースラインが淫ら。
SUGIZOとRYUICHIの組み合わせは#1も含め、どうも「あま~く」なる。
随所にサンプリングされた喘ぎ声はあのビビアン・スー(SUGIZOの当時の彼女)って本当?
DJ KRUSHはいい仕事しかしない。ベストマッチ。もっと色々やってみてもよかった。

5.4:00AM
乾いた午前4時のTOKYOのマンションの一室をミニマルなタッチで描き出した曲。
短編小説のような「ふぜいのある」上品な佳曲。
INORANの流れるようなアコースティックギターが美しい。
でも他のメンバーは持て余してる?と思っていると、ラストで一気に混沌に突入、
面目躍如となり、これまた、よくできた小説のオチのようである。

6.VIRGIN MARY
LUNA SEAのアルバムにはいつも中盤でプログレっぽい長尺の曲が入るようだが
それがここ、まさにど真ん中に鎮座する。
本作は「らしくない」作品と言ったけれど、唯一「らしさ」を残したのがこの曲かも。
幽玄の境地、耽美の世界。
シューゲイザーなギターのアプローチのおかげで退屈しない。

7.white out
ズブズブな#6から一転して、甘く温かくあっさりとした曲。
INORANの曲なんだけど、とても河村隆一的なのはなぜか。
曲が淡いあまりヴォーカルに呑まれたか?
クセのあるギターソロがユニーク。

8.a Vision
ストレートで豪胆な、Jらしい曲。のちのJソロ曲まんまともいえる。
Jの曲ではRYUICHIはタイトに歌ってくれるので、
華美になりすぎず聴きやすい。
大きな点でひとつひとつ刻み込んでいくようなベースソロがキく。

9.FEEL
#4「KISS」の延長線上にあるような妖しく悩ましい曲。そういえばタイトルの
文字数も同じで、間奏でもサンプリングされているし、意図的に繋がっているかも。
悩ましい曲を書かせるとSUGIZOがうまい。
サビの転調が妖しさを一層アップ。
ヨコノリのグルーヴィーな曲に、イントロ~Aメロのタテノリでゴリゴリなリフ、
間奏のヴァイオリンや#4のサンプリングなど、いい具合に詰め込まれている。

10.TONIGHT
LUNA SEAがある意味、アイデンティティを全部投げちゃった曲。
これはこれでよいが、昔からのファンの絶望する姿が目に浮かんでしまう。
シングル曲だがセールスが振るわなかったのはこのせいか。
よくまとまっており、バンドものの王道の曲・アレンジなのだが、だからこそ
変化球が売りのこのバンドが演るという、違和感が半端ないわけだ。
こういう曲をシングルカットした時点で「終幕」の始まりだったのかも。

11.Crazy About You
ラストはスケール感のあるJの曲。
いい曲なんだけど、これがアルバムを締めているので後味がよくない。
J曲を最初に、SUGIZO曲をラストにもってくれば、
冒頭の違和感も、ラストの違和感もなかったと思うのだが。
この時期からのJ曲はどうもアメリカン・ロック色が強くて、
LUNA SEAらしさから乖離している感が強いので。


本作を発表してからほどなく、LUNA SEAは「終幕」を発表。
それも納得できるような、個を突き詰めた、全体のまとまりを欠いた1枚は、
しかし曲単体では最高水準にあり、
また、そのまとまらなさ、歪さが、本作独特の魅力となっている。
そして本作のリリースがほかならぬ2000年というのも重要だ。
これが1997年とか2002年なんかの作品だったなら、ただの駄作である。
「2000年」というカオスな時代の空気を、本作は巧みに切り取ったようにも感じられる。
REBOOT前、SUGIZOはLUNA SEAを振り返り「偉大なる失敗バンド」なんて
言っていたというけれど、それゆえに愛おしくなるのかもしれない。
歪で、過剰で、カオティックな、なんて素敵なバンド、素敵なアルバム。
メンバーが最高密度で力を出し、ぶつかり合ったからこそできた最高傑作。



さて、その後の、というか、現在のLUNA SEAですが、
多くの人がご存じのように、2013年、最新作「A WILL」をリリース。

A WILLA WILL
(2013/12/11)
LUNA SEA

商品詳細を見る

レビューを書こうとも思ったけれど、「何か違う」の連呼になりそうなのでやめました。
歳を重ねた重厚さもあるんですが、どうもあまり好きにはなれなかったし。
だいいち全員、顔をちょっとずつ(某メンバーは「だいぶ」)いじっている気がするし・・・・・・
それにやはり「LUNACY」が一番好きだと、嫌と言う程わかってしまったので。
あくまでも好みです。時間は逆戻りしないし、私もあの頃に戻ってと言う気はないです。
でも、この作品の不思議な魅力を、どうしても多くの人に知ってほしかった。
そんな熱情に突き動かされて、綴った記事でした。

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・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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