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The Smashing Pumpkins:その3 メロンコリーそして終りのない悲しみ「創造力の巧みさと多様さ、圧倒的な完成度に息を呑む2枚組大作」

「『サイアミーズ・ドリーム』は、今でもいいアルバムだと思ってる。
僕は、もう1枚、みんなの頭をブッ飛ばすような、とんでもなく凄いアルバムを、
どうしても作りたいんだ」
The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)の曲作りの要、
ビリー・コーガンは、前作のブレイク冷めやらぬなか、真剣な表情で語ったのだそう。
「次のアルバムは、CD2枚組にしようと思うんだ。それぞれが違う雰囲気を持つ2枚のCD。
たとえば1枚はすごく静かで美しい音楽。もう1枚はエネルギー炸裂のロック!みたいな。
どう思う?」
こんな話を94年2月にはもうしていたらしいのです。

Pisces IscariotPisces Iscariot
(1994/10/04)
Smashing Pumpkins

商品詳細を見る

デビュー作「ギッシュ」から前作「サイアミーズ・ドリーム」までのBサイド・アウトテイク集
パイシーズ・イスカリオット」がリリースされたのは94年。
(限定生産の豪華盤が最近リリースされている)こちらにも14曲が収められているというのに。

創作意欲のピークともいえますが、基本的にビリーは多作なアーティストだから
「いつものこと」ともいえます。
しかし勢いはメンバー全員に波及していました。6月頃にはビリーの頭の中でアイデアをかなり
具体的にまとめ、ロラパルーザ・ツアーの頃には新譜用のアイデアがビリーやジェームスの中で
溢れ、9月にロラパルーザ・ツアーが終わると、ビリーは次から次へと曲のアイデアが浮かび、
猛烈な勢いで曲作りをしました。
ロラパルーザ・ツアーの後で少しの休暇を取った後、メンバーはすぐに新作の制作に取りかかり
月曜から金曜までスタジオにこもりきり。12月末には30曲近い曲が出来ていました。
そして翌95年2月頃には、作った曲は54曲にまで膨れあがり、4月頃からレコーディング開始。
今回は、マイブラの「ラヴレス」のエンジニアの中で唯一、ケヴィン・シールズに認められたと
評判のアラン・モウルダーフラッドを共同プロデューサーに迎えた新体制で臨みました。
終盤には休日返上でスタジオにつめて、8月17日にレコーディング完了。
ビリーは、レコーディング終了日当日、シカゴに向かう飛行機に乗る2時間前まで
歌入れをしていたほど。
こうして、全員の凄まじい情熱がひとつになって完成したのが
バンドの最高傑作、95年にリリースされたアルバムの代表作、
また90年代の2枚組アルバムの最高峰ともいえる
Mellon Collie and the Infinite Sadnessメロンコリーそして終りのない悲しみ)」。

メロンコリーそして終りのない悲しみメロンコリーそして終りのない悲しみ
(1995/10/25)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る

米国のみで一千万枚近くのセールスを記録。グラミー賞では7部門にノミネートされ、
『タイム』誌による年間ベストアルバムに選ばれ、ビリーは見事な有言実行を果たしたのです。

mellon collie 1
いやー凄いインパクトの、全員囲み目メイク&ギラギラ・スケスケ衣装。
ビリーの「ZERO」Tシャツにも注目。本作に収録されている曲からとっているわけですね。
で、ジミーはこの手の格好はしないほうがいいと思うのだけれど・・・
ジェームスのカラーリング格好良いですね。金髪に黒髪にまた金髪。
ちょっと相川七瀬みたいに見えるのは、私だけ?

前作までは4ピースバンドらしさというか、音の隙間がかなりあって、そこに想像の余地や、
「ひと昔まえ」の感じが少し漂い、構築よりも雰囲気や勢いでもっていったような感じですが
本作は全ての楽曲の完成度がおそろしいほど高くて、がっちり構築されており、
緩やかな曲を除くと一切の隙がなく、精密な構造で建築された巨大なお城のよう。

14曲+14曲=計28曲を2枚に分けているのですが、どちらかが一方的に激しくて、もう片方が
一方的に大人しい、というふうに極端ではなく、バランスを考えながら分けている感じ。
Disc 1<Dawn to Dusk>がポップで激しい曲(ベスト収録もこちらからが3:1と多め)、
Disc 2<Twilight to Starlight>がダウナーから緩やかな曲、といった流れに。
歌詞でいくと、Disc 1は「愛はいらない」、Disc 2は「愛しているよ」というような?
とにかく曲調も歌詞も幅広くて、総括するのがとても困難なほどです。
7分、9分の長尺で展開もこれまで以上に複雑なプログレ志向な曲がいくつかあったり、
全編がストリングスで彩られていたり、80年代NWの風味が登場してきたり、
終始ノイズまみれだったり、子ども向けの歌のようだったりと、バラエティ豊かながら
散漫という印象を不思議と与えず、「すごくまとまったアルバム」という印象が残ります。
圧倒されながら。

歌詞を辿っても、歌の数だけ全然違う世界にワープしているよう。具体的な言葉を重ねて
情景描写を密に行い、そのなかから退廃的で孤独な心情描写が立ち上がってきます。
曲作りの面でも、歌詞を書く面でも、ビリーの「創造力」の巧みさと多様さに驚くばかり。
また、1Discごとに最後の1曲は「ジェームス枠」なのですが(ビートルズのジョージみたいな
待遇だなぁと思うことしきり、いや今後を考えるとそれより冷遇なのか)、2枚組を締めくくる
「Farewell and Goodnight」は、メンバー全員で順番に、途中から全員で歌っていて
なんだか微笑ましい。2曲とも「らしい」曲揃いで、息つく間もない本作の箸休め的な役割を
果たしています。箸休めを超えられないのが、ジェームスの切ないところでありますが。

「みんなの頭をブッ飛ばすような、とんでもなく凄いアルバム」が確かに出来ました。
「サイアミーズ・ドリーム」が「青春」言い換えれば「未完成」のアルバムなら
本作はバンドが大人へと成長し、感性とクオリティを両立した、見事な完成品の作品。
楽曲単位での、そしてアルバム単位での、しかも2枚組での圧倒的な完成度は、
これを上回るものをなかなか見つけることができません。



・・・と、アルバムやその制作過程は大変シリアスですが、画像は相変わらずフリーダム。
mellon collie 2
ベストアルバムのブックレットにも載っているヒトとヒトといぬとねこ。
ジェームスのWikipediaを見ると、このねこ姿のままでなにやら思索に耽る姿が
プロフィール画像になってます(笑)

もはやちょっとした事件。
mellon collie 3
この画像もブックレットに一部掲載されてましたね。(ビリーとジェームス)
笑えると笑えないのスレスレ。ジミー・・・・・・

mellon collie & simpsons
人気になったもんで「シンプソンズ」にも登場しちゃいました。
ビリーのTシャツ、「ZERO」が「0」になってる(笑)
そしてダーシーはどこかの尼さんですか?


「メロンコリー~」が数々の賞を受賞したということで、栄えある表彰式。
mellon collie-adore
思わず笑顔がこぼれるビリー、ダーシー、ジェームスの3人。
え、さんにん・・・?
天下を取ったかに思われたスマパンに、まさかの試練が。その末に出来た隠れ名盤を
次回、取りあげます。日本では人気なんですけどねぇ。



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