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The Smashing Pumpkins:その2 Siamese Dream「あの頃の繊細でわんぱくな気持ちが蘇る・・・熱くて、青臭くて、純真な傑作アルバム」

The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)の2ndアルバム
Siamese Dreamサイアミーズ・ドリーム)は、私にとって特別な思い入れのある一枚です。
はじめて聴いたスマパンの作品だったので、今でも「スマパン」といえば本作が浮かびます。
それから凄く夢中になって、何度繰り返し聴いたかわからない。
しゃにむになって音楽をたくさん聴いていた頃、演っていた頃の熱く青い想い出や、
当時のひたむきな気持ちを思い出さずにいられなくなるのです。
このアルバムは、そういった私の個人的エピソードを差し置いても、
聴く人の青春・・・熱くて、青臭くて、一生懸命に何かを追いかけていて・・・を
人によっては仄かに、人によってははっきりと、思い出させる力を持っている
ように感じます。

siamese dream 4

「ジェーンズ・アディクションのフォロワー」「ニルヴァーナのフォロワー」
「パール・ジャムのフォロワー」と、デビュー以来、オルタナ/グランジムーヴメントの
シーンの中でオリジナリティを認められず、散々フォロワー扱いされてきたスマパン。
ビリーは「次のアルバムで成功しなければ、その次はない」と考えるようになっていました。
こうしたプレッシャーやフラストレーションをエネルギー源にして作ったのが、本作。
代表曲「Today」をはじめ、たくさんの名曲が収められ、セールスも好調、
94年にはロラパルーザのトリを飾るなど、見事その頑張りが報われ、
スマパンは一躍、人気バンドへの道を駆け上っていきます。


前作同様、ブッチ・ヴィグとビリーとの共同プロデュースで完成させた2ndアルバム。
本作でスマパンが新たに手にした重要な鍵があります。それは「メロディ」。
以後、スマパンの軸になっていくアイテムです。
前作のサイケ風味もHR/HM風味も継承しているのに、それらをあまり感じさせないほど
「メロディアス」という印象が先に立ちます。
楽曲も、「激しいor静か」に加えて「穏やか」「優しい」「甘い」曲やアレンジが増えて
曲のバリエーションが幅広く、ポップでキャッチーになりました。それもヒットの要因でしょう。
恐らくスマパンの楽曲の中で一番知られている#3「Today」、これも人気の高いジェームス作曲
#9「Mayonaise」、ストリングス・アレンジを多用したシングル曲の#6「Disarm」など、
本作で所謂代表作と言われているナンバーは、メロウな曲が多めです。
アレンジも幻想的だったり、繊細だったり、柔らかかったりする音やリフが多く出てきます。

しかし私の個人的お気に入りは、昔も今も、パンキッシュで勢いのあるナンバー!
#1「Cherub rock」は私がスマパンと言われてすぐに連想する曲で、行進曲のようなドラムを
少しで止めて、クリーントーンのギター、ドラム、ベース、ディストーションギターと
一人ひとり順々に入って、「いざ4人揃い踏み!」みたいな結束感と猛々しさ漂うイントロは
いつ聴いても嬉しくなります。前作のような野心に、爽やかさが加わり、有り余るエネルギーを
空高く飛翔させようという高らかな盛り上がりに、自分の中にもかつてあった初期衝動が
鮮やかに蘇る思いがします。
#8「Geek U.S.A」は愉快痛快なロック・ナンバー。ゴリゴリしたギターが
気持ち良く、特にベースを引き連れて聴き手を左右に揺さぶるAメロ部分がたまりません。
なだれ込むようなサビ部分も爽快。ギターソロ、ドラムも大暴れ。やりたい放題やり尽くして
部屋中をメチャクチャにして、嵐を撒き散らしたまんま去っていく感じが大好きです。
展開がかなりめまぐるしく変わり、プログレ要素も混じっているのですが、そういうことを
感じる暇がないほど、「やりたいことぎゅうつめ」で、とにかく楽しい曲です。

本作の歌詞は、ビリーの少年期の孤独や痛みが歌われているといわれています。
希望に満ちあふれて聴こえる「Today」は、実は刹那に裏付けされた今日の幸福。

今日はいままでで最高の日
明日を待ってなんかいられない
そんなに長くはもたないかもしれない
ここを出るまでに
心が粉々になってしまう

ピンクのリボンが消えない傷になる
そんな後悔を洗い清めようと一生懸命だった
僕の天使の翼は傷つき縛られて
体の中がずきずき痛む

ビリーには、悲惨な生い立ちがあり、セラピーを受けていた時期もあったのだそう。
彼の心の中に佇む「怒り、泣いている純真な少年」と、それが失われゆく恐れとを歌った歌詞が
スマパンの楽曲に漂う「青臭さ」「叙情性」を際立たせています。
悲しくて美しくて楽しくて扇情的で・・・一見バラバラなようで、しっかりまとまって聴こえるのは
それ全てがまさしく「青春」そのものだからなのでしょう。
喜び、切なさ、孤独、ワクワクする気持ち。誰にでもあった、繊細でわんぱくなあの頃が
いっぱいに詰まった傑作アルバム
です。


レッチリアンソニーが自伝でスマパンのメンバーについて触れている部分がありました。
前回の記事でも少し述べた、レッチリ・ニルヴァーナ・スマパンでのツアーの話です。曰く、
ビリー=陽気で人懐っこい奴だよ。よく俺らと一緒にバスケとかして遊んだな。
ジェームス=シャイな奴だったな。
ジミーダーシー=ドラッグやアルコールなんかの深刻な問題を抱えていた。
 まずいことになるのは誰の目にも明らかだった。
だそうで。最後のは「オマエが言うなよ!」とも思えるのですが(91年当時はクリーンだったが
94年頃にドラッグ中毒が再発。治っては再発しての繰り返しがBy The Way辺りまで続いた)
「ビリー=陽気で人懐っこい奴」は、パブリック・イメージとは真逆で意外な感じ。
でも、こんな画像を見たら、「なるほどそうかも」と頷ける気がします。
siamese dream 1
ポカリ!漫才コンビのように楽しく遊ぶビリーとジェームスと、それを見ているふたり。
ジェームスが売れない芸人にしか見えない(笑)。「シャイ」が怪しくなるような。人見知りとか?

siamese dream 2
冬でも元気にヒャッホー!
この頃の皆さん、まぁ実に楽しそうで、USのバカガキって感じ丸出しで、無邪気でいいですね。

で、これも有名な話ですが、ジェームスとダーシーって
本作のレコーディング辺りまで、付き合っていたそうです。
それで何か色々あって別れて、しばらくはバンドの雰囲気がかなり気まずくなっていたとか。
「ダーシーはジェームスの初恋の人だった」というエピソードもあるそうで、甘酸っぱいなぁ。
siamese dream 3
二人の間にハートマーク(スマパンのロゴでもいい)でも描いてやりたくなるような画像。
この頃はまだ付き合っていたんでしょうね。じゃないとこの距離感はキツイぞ・・・
ビリーが「お熱いねぇ、おまえら」と言わんばかりに、しらっとした様子で見ているのも面白い。
そして・・・画像をひととおり通して見て、どうにもこの頃のジミーの目つきはヤバイ。

アンソニーの証言は早くも予知に変わり、本作の頃、ジミーはアルコール依存症に陥り
リハビリ施設に通っていたんだそうな・・・
何もかも絶好調に見えていた当時のスマパンですが、翳りの兆候は既にあったんですね。
そして前作のレコーディングの頃は、張り詰めたムードからビリーが鬱状態になったとか。
裏側は分からないものですね。まぁ、ミュージシャンにはよくあることとも言えるけれど。


ともかくも、勢いをがっちりと掴んだスマパン。
しかしこれだけではまだまだ満足できないのがビリー。
「もっともっと凄いアルバムを作ってやる!」と意気込んで、バンド最高傑作、そして
90年代の2枚組アルバムの最高傑作と名高い、次作の制作に取りかかります。
いよいよもってバンドは最高潮へ!楽しい画像もたくさん用意して、次回、紹介します。



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