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ざっくりテレビライフ:その3「大人の学び、生涯学習を30分でチャージ!100分de名著+仕事学のすすめ+テレビ寺子屋」
いや大人になってからこそ、自発的に学びたいことがある。
今回の「ざっくりテレビライフ」では、そんな知的好奇心を30分弱で満たす
教養番組をよりすぐりました。
①100分de名著
NHK・Eテレで水曜の夜に放映している番組。
1回25分×4回=100分で、毎月一冊の本のエッセンスを理解しようという趣旨の番組です。
前々年度の特番(プレ放送)を経て、前年度から本スタート。
対象の本のジャンルは色々で、紫式部「源氏物語」やカフカ「変身」といった文学作品、
ニーチェ「ツァラトゥストラ」やパスカル「パンセ」といった哲学書、
ドラッカー「マネジメント」といった経済書(時事ネタともいう)など幅広く。
司会役+アシスタント+指南役の専門家の先生+最終週はゲスト(別視点の専門家など。
「マネジメント」の回では「もしドラ」のアニメ放映中だったので、岩崎夏海さんが登場)
指南役の先生が紙芝居を使って説明したり、ストーリーや論の内容をアニメにしたり
今年度では役者さんが本の著者に扮して「劇中ナビ」を務めたりと、
難しい本、難しそうな本を、親しみやすく愛を込めて噛み砕き、
その魅力やメッセージをあの手この手で伝えてくれます。
今年度から司会役+アシスタントが変わって、今までが嘘のようにおもしろくなりました。
島津有理子アナが司会役、伊集院光さんがアシスタント。
明るくシンプルに進行してくれる島津さんに、これまでの人生経験や、読書などの経験を踏まえ
「俺にもこんなことがあった」と、視聴者を圧倒する経験値で感心させながらも、いつものキャラで
共感を誘うトークを展開する伊集院さん。流石、話芸のプロは話の幅やテンポなど、格が違います。
専門家の先生が二人につられて笑い出してしまうこともしばしば。楽しみながら学べる番組に
生まれ変わりました。
前年度はどうだったのかというと、堀尾正明元NHKアナと瀧口友里奈さん。
堀尾さんは「誰だって波乱爆笑」ではそこそこくだけているけれど、本番組ではベテランかつ
元NHKアナの威厳炸裂で物々しく、瀧口さんは東大卒・英検1級・TOEIC955点とは思えないほど
ゆる~い無知ぶり・ゆとりぶりを発揮していてそれはそれはイライラさせられ…(苦笑)
彼女を観るのが苦でこの番組を観るのやめようかと思うほどしんどかったので、今年度の
司会・アシスタントの入れ替えはありがたい以外ありませんでした。
画面が「重苦しい」から「暑苦しい」に変わったけど(笑)
そして何気に、若いけどまんまるぷっくりぼんやりの瀧口さんより、すらりチャキチャキの
島津アナの方が、実年齢を超えて若々しく感じられます。これは驚くべきこと(笑)
興味のある題材に限って観ていますが、今年度は今のところハズレ月はないですね(6月時点)。
あえて苦言を言うなら、本の著者に扮する役者さんがちょっとショボイ。国籍でごまかせないぶん
紫式部役の役者さんのドイヒーぶりはキツかった。まぁいいですけど。
源氏物語、変身、現在放映中のパンセ、全部「面白そう」って思わせていただきました。
昔読んだ「変身」はこんな深い解釈があったのだなぁと始めて気づかされ、また買うか借りてきて
読んでみたくなったかも。時間をつくって「源氏物語」もいつか…
最近、また本を沢山買ってきて、読み出したのは、この番組のせい?
②仕事学のすすめ
経営者やクリエイターが「語り手」として4回にわたって自らの仕事人生を語り尽くし、
その人物の人間臭さも描きながら、偉大な仕事にかける信念や方法論、奮闘する姿を披露し、
「トランスレイター」と呼ばれる聞き手が最後に要点を端的にまとめてくれる
ビジネスパーソン向けの、あしたの仕事に活かしたくなる番組。
これもNHK・Eテレでの放映で、木曜の夜の、100分de名著と同時間帯だったりします。
2009年まであった前身の番組が、2010年から各曜日がそれぞれ独立した番組になったので
こちらも比較的若い番組。
そして出演者(語り手)がなかなか凄くて!(ほとんどクリエイター目当てで観ちゃうんですが)
10年度は秋元康さん、堤幸彦さん、ワタミの渡邉美樹さん、
11年度は旭山動物園の小菅正夫さん、ニトリの似鳥昭雄さんなどと、蒼々たる顔ぶれ。
本年度は宮本亜門さん、姜尚中さん、コシノヒロコさんと、まだ6月なのに飛ばしすぎ!
現在放映中のコシノさんは好みの問題で観てないんですけど(笑)、4月5月の亜門さん姜さんは
当たり回過ぎ。なぜか偶然にも、二人ともちょっと悩み多きタイプで、亜門さんなんて
引きこもりを経験したりしていてパブリック・イメージから到底想像がつかなかったのですが、
今の姿があるのは昔の体験があったからこそで、共感しながら「自分も頑張ろう」と思えました。
これまで癌というか、時々観るのが深刻に苦痛だった要因が、聞き手役の勝間和代さん。
苦手なんですよねぇ、あの「私、頑張ってる!」感が…イヤ努力や成功を決して否定したい訳では
ないし、ライバル(笑)の香山リカさんみたいに「欲しがるな」って言われてもやっぱり容易には
頷けないものがあるから主張としてはドローなんですが、なんというかちょっともたれるというか。
10年度で堤さんが勝間さんとは真逆の仕事論を展開して、勝間さんの反論をさらっと論破した時は
凄くスカッとした(笑)でも、それを冷静に聴いたりトランスレートしたりする姿で見直したけれど。
それが前年度から半々になり、本年度からは野田稔さんが全編聞き手を務めるということで万歳。
あまり自分の主張を出さないで、ひたすら聞き手、理解者、翻訳者に廻ってくれるので、とても
見やすいし、話し手の魅力もよく伝わってくるんです。
仕事人生には、その仕事に惚れ込む瞬間、紆余曲折を経てその仕事へと辿り着く瞬間、
仕事や人生での挫折とそこからの再生、押しも押されもしない今の領域までに至るプロセスなど
方法論のみならず人の生き方そのものにも滋味がたくさん詰まっています。
ビジネス書では方法論が専らですが、この番組では話し手の生き方、そして方法論と
双方から学ぶことができて、立体的に仕事の仕方やものの考え方のヒントを得られます。
③テレビ寺子屋
今回唯一の民放(フジ系列のテレビ静岡制作)&唯一の歴史ある番組。
地方局制作の全国ネット番組では珍しい長寿番組だったり、
在静の放送局が制作する番組としては現在唯一の全国ネットレギュラー番組だったりと、
かなりレアな番組といえそうです。
1977年スタート。番組開始当初からずっと、一人の教育評論家(吉岡たすくさん)が
レギュラー講師を務めていましたが、1999年7月の講演を最後にレギュラーの座を退き、
その後、現在に至るまで、週ごとに講演者が替わるようになったそうです。
少なくない都道府県では、相当な早朝に、何日も遅れてオンエアされるのが
地方局制作の哀愁を感じます。(勿論私はいつも録画で観ます)
静岡県内のホールや公民館などでの公開録画で行われ、観覧者の客層も反応もモロ。
聴覚障害者の方のために、手話通訳付きで放映されています。
吉岡さんのレギュラー講師時代の名残があるのか、子供の教育に関する話題が多めですが
それに留まらず、講師のカテゴリの幅広さに応じた、バラエティ豊かな話題の講演を聴けます。
最近では震災の話も多めですね。
これまでに講師役として登場した方は言うまでもなく沢山、そして…豪華!
尾木ママこと尾木直樹さんが講演した回はかなり広い会場に人が一杯でした。
「イチローの恋人」なんてあだ名もある、イチローの専属打撃投手を務めた
奥村幸治さんが講演した回は、普段壮年女性の多い会場が、
野球のユニフォームを着たまんまの少年たち、おじさんなど、見事に男だらけ。
あのルー大柴さんも出演、波乱の半生と意外な現在の活動についてシリアスに熱弁を振るう姿が
普段のルー語トークと良いコントラストを描き、印象的でした。で、シリアスな中にそれとなく
ルー語を紛れ込ませてくるのだけど、聴衆は主にご年配の方々だから通じず、クスリとも笑わず
その反応を容赦なく映して放映しちゃうテレビ静岡も鬼だ(笑)
講師の数だけテーマがあって、そして同じテーマ(教育とか、子どもの育て方とか)でも
講師の数だけ回答が違うのが面白いです。
その人が属している立場(教育評論家、心理カウンセラー、スポーツインストラクターなど)でも
左右されるという事実もよくわかります。
沢山の人の意見を客観的に観られる番組かもしれません。
書籍から学んだり、仕事術から学んだり、トークショーから学んだり。
今回は書ききれなかったけれど、歴史なども、大人になってから学びたくなる分野ですね。
6・3・3(・4)が終わっても一生続く、学び、そして新しい世界との出会い。
一生を生きるとは、一生学ぶこと、一生出会いを繰り返すことなのでしょうか。
もっと歳をとってから、この問いの答えがはっきりとわかるのでしょうね。
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