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ジョン・フルシアンテ:後編「希望と絶望・・・対極の青」

ジョン・フルシアンテのソロアルバムレビュー、後編となります。
しかし・・・余りに対照的な2(+1)枚を残してしまったなぁ、というのが
PCの側に今回レビューするCDを並べて置いてみたときの感想です。
片や、何もないところからとにかく歩きだそう、といった趣の
3rd「To Record Only Water for Ten Days」に、
片や、何もかも手に入れたにもかかわらず、全てを捨てて出家しようとでも
するような、悲愴な決意漂う「The Empyrean」。

共通点はジャケが青いことでしょうか。しかし、同じ青でもこうも違うか!

↓ジョンソロの中で一番好きなジャケ、3rd。シンプルイズベストってか、なんかイイ。
でも、袋の上から「Red Hot Chili Peppers」のロゴシールはやめて欲しかった。要らん。

トゥ・レコード・オンリー・ウォーター・フォー・テン・デイズトゥ・レコード・オンリー・ウォーター・フォー・テン・デイズ
(2001/02/21)
ジョン・フルシアンテ

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↓ジョンソロの中で一番ではないけど、かなり怖いジャケ、The Empyrean。
凝り具合は凄い。一枚一枚切り貼りした雲とか凄い。本人らしき人物が4人、こっええ。
The Empyrean

さて肝心の音楽はというと・・・
3rdは、何が良いのか、なかなかわかりませんでしたね。
なにせ、それまでレッチリを聴いてて、ジョンソロは4th、Empyrean、6連作と
来たあたりで本作でしたから。「デモテープ?」という感想が長く続きました。
6連作の中でもジョシュとの共作の印象が悪かったりして、どうもこの手の
音楽への耐性、というより経験が無かったことが大きな要因だったと思います。
のちに音楽の旅をひろげ、David Bowie、New Order、Depeche Mode、CANなど
これまで全く見たことのない世界を追体験して、その上で再聴したら
「ほぅほぅ」と、ようやくなんとなくわかってきたような。
私のように昔の打ち込み系音楽の経験値が低い人は、ちょっと予習が必要かも。

歌、演奏、どれも何だか頼りなく、他作品と比べると安定感には欠けるのですが
薬で割り増しすることなく、ジーザスなロックスターとして武装することもなしの
開花前夜、苦しみながら光を見つけていく過程を体感するにはうってつけ。
弱さも剥きだしだけど、美しいメロディもまた剥きだし。
未完成だけど可能性がそこはかとなく見えてくる、妙にクセになるこの感じは
ジャケが完璧に体現していますね。


そして、現時点(2012/1/4)でジョンの最後のソロアルバム
The Empyrean」。
最初に言っときましょう、

必ず、ボリュームをいつもより上げて聴くこと!
いつでもボリュームを操作できるような状態で臨むこと!


これらをしないと、前者では「つまんねアルバム」、
後者では「耳が悪くなる、近所迷惑になる」が必至だからです。

本作を作り終えた時点で、ジョンはレッチリ脱退を決心することに。
いや、もう今までしてきたような大手レーベルでの活動、
音源のリリースは一切やめて、自分の趣味でのみ活動するとさえ。
ゼロか100かかよ!極端だなあ・・・
アルバムのプロモーションで雑誌にインタビュー記事が載ってましたが
やたらとやつれて、目がこわい。厭世的でとりとめのない発言が目立ち
明らかに精神的に不安定な様子が窺える内容でした。
しかも、アルバム(日本版)に付いている歌詞カード+インタビューでは
「今の自分は、1stアルバムを作った頃の自分と精神状態が似ている」とか
ドラッグ隠遁を「僧侶が修道院に入る」のと同等だとか言ってたり・・・
もう現在のジョンがどんなんなってるのか不安でなりません。
いい歳(40過ぎ)のオッサンを「心配」するのもおかしな話ですが。

本作は、世俗との訣別にあたっての餞、隠遁する前の
現役ラストランにするために、ここまで頑張ったのでしょうか?
但し、レッチリでの活動も含め、むしろ、頑張りすぎて
「燃え尽き症候群」になっている印象もあるのですが・・・
だから案外(予想通り?)、少し休んだら、また表舞台に
何食わぬ顔で登場する気も結構します(笑)
というか、ファンとしてはそちらを願ってやみません。
でもレッチリにはもう戻らないで欲しい、あくまでソロで。
辞めて戻ってまた辞めてまた戻ってとか、我が儘過ぎる人になっちゃう。


こうした背景がどうしても頭にあると、本作は
「俺はまた隠遁してヤクをやるぞ」
と声高に宣言しているように聞こえてなりません。
歌詞も、レッチリ(特にフリー)にあてつけているような、
または懺悔しているような風にも取れます。
本作に限らず他の作品にもそれを感じました。
そこまで深読みしなくとも、ジョンが「何かに迷っていて、ひどく
混乱している」「悩んだ末、何かと訣別する覚悟をした」
のを
読み取るのは容易く、レッチリ脱退のタイミングとも一致。
リリース当時はわからなくても、後から聴いたら(読んだら)
わかりやすすぎるよ!とツッコミたくなるものです。
勿論、自身の人生観、死生観を反映させたのは言わずもがなですが。

でも歌詞や背景を抜きに聴くと、衝撃を受けるのは「」です。
とてつもなく広がる音空間。感情の昂ぶりや揺れと同期した、
急に大きくなったり、うねったりするミキシング。
(だから「常にボリュームを操作できる状態」が必要なんです)
一音一音、音のない時でさえ漂う緊張感。
レッチリとは違う、深みと威厳で鞭打つようなフリーのベース。
シンセ中心に精緻に構築された音世界、オーケストラの彩り。
そして、テクも熱量も併せ持つ、ジョンの「匠」の域に入った歌。
ギターは本作では余りフィーチャーされませんが、元ザ・スミスの
ジョニー・マーが2曲で参加して、個性的なソロが聴けます。

荘厳だけどメロはキャッチー。だから一見とっつきにくくても
「玄人専用」なほど難解な腫れ物じゃないので大丈夫。
近年のレッチリほど万人向けではないものの、
雑誌や評論家が煽ってるほど画期的な前衛作品にまではしていない。
プロやセミプロじゃなくても、音楽が大好きで良いものを求めてるなら
ちゃんと手に取れる仕組み。

迫真の音と、音楽に懸ける無限の情熱。
それが圧倒的だから、The Empyreanは少々気難しくても
沢山のリスナーの耳を釘付けにし、心を打つのでしょう。
そして、私を含む多くの人が、ジョンの「次の一手」に期待し
本格的なソロ活動復帰を願ってやまないのではないでしょうか。



なんか、F1のアイルトン・セナの話でもしてるような気がする(笑)
私あんまりセナファンじゃないんですが。
ジョンをF1ドライバーに例えるなら、セナなのかなぁ・・・?
いやプロスト?はたまたマンセル?シューマッハではないよな。
・・・なんて考える、F1中毒の正月休みこの頃です。


この後、「神おまけ編」という続きがあったりします。
カテゴリは「映画音楽」、そう、ブラウンバニーのサントラです。
しかもEmpyreanで大分詰まったので、こちらの方が先に出来た(笑)
前回今回よりあっさり書いたので、気楽に読んでくださいね。
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