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Boom Boom Satellites:その2 UMBRA「ダンス・ミュージックのアンチテーゼを鳴らすダンス・ミュージック。怒り嘆くテクノ、シリアスなビート」

ヨーロッパを中心に、テクノ、その中のジャンルで括ると「ビッグ・ビート」にあたる
驚異的な新人として、シングル~1stアルバムで高評価をほしいままにしてきた
Boom Boom Satellitesブンブンサテライツ)。
しかし、2ndアルバム「UMBRA」は、1stの方向性から大きく逸れ、いやそれどころか
当時のテクノ、ダンス・ミュージックの潮流からも著しく逸脱した問題作。
これまで日本のレーベル以上にブンブンの音楽に理解を示してきた海外レーベルが
「これは重すぎる」と引いてしまったほど。
テクノ界のエリート天才児から転落、一気に問題児扱いへ。
どうした?ブンブン!?

UMBRAUMBRA
(2001/02/07)
BOOM BOOM SATELLITES、Michiyuki Kawashima 他

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実を言うと、ブンブンの二人、中野雅之さんと川島道行さん、とりわけ中野さんは
かなりのひねくれ者で頑固者、そして強い感受性ゆえに深く考え込んでしまう性質。
ヨーロッパでのシングルデビューの際には既に、レコード会社が売るために嵌め込んだ
当時のテクノの流行潮流「ブレイク・ビート」「ビッグ・ビート」に
カウンターを当てる」曲としてシングル曲を拵えたというのだから、
ひねくれ度合いと度胸は折り紙つき。
中野さんは当時を振り返り、「反抗期の子どもみたいだった」と述懐していました。
「悪態ついてる子どもほど、実は愛されたかったりする」「自虐的だった」
3rdまでのブンブンは音楽シーンにおいて、そんな振る舞いをしてきたのだとも。

1stアルバム制作時に日本とヨーロッパを行ったり来たりの生活だったこともあって、
ブンブンの二人は活動拠点をロンドンに移し、移住。
そこで「ガイジン」として過ごして、二人には沢山のものが見えてきて
とりわけ強く感じられたのが「違和感」「反発」でした。
イギリスで「ガイジン」として暮らすことは、日本で同様に暮らすのとは段違いに
辛いこと、厳しいことの連続で、第一段階としてそこで二人が多感になりました。
また、音楽が労働者階級の救いだった一昔前と違い、当時のイギリスは空前の好景気、
ダンス・ミュージックの世界でもお祭り騒ぎのような音楽で溢れかえっていました。
中身のないお祭り騒ぎムードにまず違和感を抱き、次に、好景気で人々が満たされたのか
観察してみると、そんなことはなくて、二人の中には危機感が芽生えていきました。
本作制作時はまだ9.11テロは起こっておらず、戦争もひと段落した平和な時期でしたが
「これで大丈夫なのかな?」という警戒感を抱き、中野さん曰く
政治的って言ったら大袈裟だけど、思想的なものが色濃く出てくるようになって
1stとはまるで様変わりした、混沌・怒り・嘆きを鳴らすダンス・ミュージックが
生まれました。

しかし、1stから聴いてきたリスナーや、レコード会社の期待を裏切ったり、迷惑をかけて
しまう結果になったために、中野さんは自責の念に囚われ、ベストアルバム制作のために
本作を聴き直すまで、長らく「辛くて聴けない」作品になっていました。
年月を経て聴き直してみると「その場で鳴ってる音に対してものすごく楽しみながら作ってた
との再評価に至り、ベストにも沢山の曲が収録されています。


アルバムを再生するなり、1曲目からずっしり重い、号砲のようなベースが響き渡り、
1stとは空気がガラリと変わったことが瞬時に感じ取れます。
ただ事じゃない切羽詰まったムードが全体に漂い、他人事ながら心配になってきてしまいます。
もはや1stにあったような客観性や遊びといった余裕、三人称の目線はなく、
ひりついて殺伐とした世界の当事者として、サウンドは激しく荒ぶります。
1stに比べて一つ一つの音の押しが強く、とりわけリズムセクションはしばしば
轟音のよう。ギターやヴォーカルもかなり歪められ、退廃的な世界観と併せて
グランジを彷彿とさせます。こんな荒技がテクノ~ダンス・ミュージックの手法で
繰り広げられているのです。
対照的に、相変わらず冷めた視点として、シンセサイザーによる浮遊感のある電子音が
多くの曲で漂っており、1stの頃から根本は変わっていないことも覗えます。

跳ね回る激しいリズムセクションは、踊り出したい衝動を誘うも、あまりにシリアスな
ムードから、「ノってもいいのかな?」「踊ったら場違いじゃないか?」と逡巡が生まれそう。
ラッパーのChuck D氏をフィーチャーした「Your Reality's a Fantasy But Your
Fantasy Is Killing Me
」(長っ)にそれが顕著で、大変躍動感のあるラップとリズムに
重たいテーマ、何かを引きずるような曲調がのしかかり、踊りたいけど踊れない。
「ノりたいけどノれない」曲調、「届きたいけど届かない」テーマの歌詞が積み重なり、
当時のブンブンが抱えていたフラストレーションが刻み込まれています。
呪術的な展開も目立ちます。同じフレーズを行ったり来たり。
曲の求心力を引き出すと同時に、自らの混乱や不安をなだめるような呪文にも聞こえます。

歪んで、潰れた音、踊りたいけど踊れないビート、辛辣なテーマ、漂う不安や混乱、
その奥底に流れている激しい怒り。
およそテクノ~ダンス・ミュージックのジャンルや手法の音楽とは思えない本作は、
寧ろグランジやヘヴィ・ロックを普段から聴いている人に勧めると、すんなりとハマりそう。
正直、聴いていて楽しくなったり心地良くなれたりはしませんが、
愚直なまでに自身(と世界)に向き合う姿勢や、人間の喜怒哀楽全ての感情をテクノ~
ダンス・ミュージックで表現してしまう手腕は、全ての作品に貫徹しているものながら
素晴らしいし、凄いです。

大概のダンス・ミュージックは喜怒哀楽の「喜」と「楽」に特化し、「怒」や「哀」は
殆ど取りあげず、自分の中にも周りにもないかのように狂喜乱舞しがちなものだから。
ブンブンがやりたいことは、ジャンルのセオリーに則ったヒット曲を量産するのではなく
ジャンルに囚われず、音楽を通して、自身の、世界の、人間の、真を追求すること。

頑固者な上に哲学者のようですが、それがブンブン。
だからこそ共感したり、応援したくなったりする魅力があると思うのです。


次回は「ダークなブンブン」前後編の後編といえるような作品。
音楽もさることながら、思わずジャケ買いをしたくなる、
あの大物が手がけたクールなジャケット写真にも注目!の一枚です。
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コメント

グランジOKです。

ワタシは、

グランジもノイズも
気に入ればOKですので、

この間のアルバムより、
気に入るかも…。


ジャケ買いもするワタシ…
このアルバムの絵は好きですよ。

オールラウンダーできましたねーーー

先日のミカさんの記事にあった「サカナクション」と
ちょっとだけ近い系統の音楽をしてるユニットですね。
彼らより重くて、激しくて、打ち込み>バンド の印象が強いです。
あとは風格というか、プライドが高そうな感じといいますか(笑)
まぁ今書いてる時期=初期のアルバムは、「テクノ」の括りがまだまだ強い頃です。

確かにこちらの方がミカさんの好みには近いと思います。
毎回、記事を書くために音源を何度も聴くんですが、そのたびに違う顔が見えてきて
現時点ではどれが「ミカさんにとって」イチ押しとはいえないんですが。
まだ、あと5枚+αも残ってますからね。長い道のりです。

ジャケ買いは次作か次々作か6枚目か・・・ジャケも全部テイストが違いますが
次作のジャケは結構すごい人が手がけてます。

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ヨーロッパを中心に、テクノ、その中のジャンルで括ると「ビッグ・ビート」にあたる驚異的な新人として、シングル~1stアルバムで高評価をほしいままにしてきたBoom Boom Satellites(ブン

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