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Boom Boom Satellites:その1 OUT LOUD 「ヨーロッパのテクノ界に舞い降りた、東洋よりの若き天才。冷めた眼差しと、抑圧的な美しさ」

久しぶりの音楽連載記事は、初めての「ビッグ・ビート」「テクノ(・ロック)」ユニット。
今年でデビュー15周年を迎えるBoom Boom Satellitesブンブンサテライツ)を
1stアルバムから追っていきます。

ブンブンサテライツ、通称「ブンブン」「ブンサテ」「BBS」は
ベース・プログラミング担当で作曲・編曲を一手に担う、マルチプレイヤーの中野雅之さんと
ヴォーカル・ギター・作詞担当で、ユニット名の名付け親でもある川島道行さんの2人組ユニット。
ここ数年ではロック・バンドにかなり近いアプローチで、ロック・フェスでもお馴染み。
しかし元々の音楽性は上述したとおり、「ビッグ・ビート」「テクノ」に分類され、
初期の作品ほど打ち込みの要素が目立ちます。
ところで「ビッグ・ビート」って何だろう?

ビッグ・ビート(Big Beat)は、音楽のジャンルの一種で、テクノの細分類の一つである。
バンドサウンド重視の音作り・サンプリングによるループを多用した
ブレイクビーツ
が特徴である。
1990年代中盤に、イギリスの音楽雑誌がケミカル・ブラザーズの作る、
テクノとロックを融合したような音楽を、この言葉で評したのが
ビッグ・ビートというジャンルが出来たきっかけであるとされる。

(Wikipediaより)


Wikipediaによると、このカテゴリには他に、邦楽ではTMNや小室哲哉さんプロデュースもの、
洋楽ではケミカル・ブラザーズプロディジーファットボーイ・スリムなどが
該当するのだとか。(ケミカル・ブラザーズは「デジロック」とも言われていた)

そうして、ブンブンの作る音楽は、ヨーロッパから火がついての日本デビューと、
いわば逆輸入。1997年、ベルギーのレコード会社からのシングルデビュー時、
ヨーロッパの音楽雑誌をして「ケミカル・ブラザーズ、プロディジー以来の衝撃」と
報じさせるほどの衝撃を与えます。
ブンブンは登場した瞬間から、先達を超えてしまったと評されたわけです。
海外アーティストの間でも話題となり、ガービッジをはじめとする多くのアーティストから
リミックス依頼を受けます。
日本ではミニアルバム(シングルともされる)「JOYRIDE」で登場し、
翌98年に1stアルバム「OUT LOUD」を日本とアメリカでリリース。
アルバムを作りながらも、2ヶ月に1回はヨーロッパに行くほどのハードスケジュールで、
制作期間中に5本の海外フェスにも出場と、アルバム・デビュー前の新人としては
異例の注目を浴びていました。
日本でアルバムのインタビューを受けたかと思うと、すぐにまたイギリスでツアー。
今のブンブンしか知らない層には信じてもらえなさそうな程、当時のブンブンは
ワールドワイドな名声と期待の渦中にいたのです。

OUT LOUDOUT LOUD
(1998/10/31)
BOOM BOOM SATELLITES、Masayuki Nakano 他

商品詳細を見る

「OUT LOUD」の音や曲は、以後のブンブンの作品とは決定的に一線を画しているように
感じられます。ベストアルバムでも、本作の曲だけ浮いているような印象を受けます。
ブンブン自体が辿っていたキャリアの通り、純真で挫折知らずの天才児が、何の屈託もなく
やりたい放題やって、それで認められて、自信満々で音と戯れているかのようです。
近年とは大分音の感触が違って、ロックの要素はそんなになくて、テクノの色が前面に出て
無機質ながらも洗練された音世界が広がります。ジャズの要素も効果的に含まれています。
そして最大の違いは、殆どの曲がインストであること。ヴォーカルが入っている曲は2曲のみ。
初期のアルバム、とりわけ本作は、川島さんの居る意義が薄いように感じられ、
「何で中野さん単独でやらないんだろう?」と思ってしまうほどでした。

本作のインタビューで中野さんは「やりたいことってまだまだいっぱいある」
「今だったらやろうと思えば全部できちゃう」
「自分達のテンション的にはそれくらいいい状態」

と、ブンブン、あるいは中野さん自身のモチベーションが正に今、ピークに達していることを
言葉にしているのですが、それも頷けるような、迷いのなさでアルバムが貫かれています。
これは本作以後では絶対にあり得ないもので、次作以後は常に迷いや葛藤と闘った末に
音楽を世に出しているといった趣旨の発言と、それが分かるような音楽が展開されるので
本作以降の作品でブンブンを知った人が本作を聴くと、かなり面食らうはずです。
「あれっ中野さん、いつもの苦悩はどこ行った?」って。


海外に先達が居るのに、なぜ異国の新人・ブンブンの音楽が
当時これほどまでに受け入れられたのか?
そこを考えると、本作と当時のブンブンの魅力がはっきりします。
ある分野において、何かがセンセーショナルだと騒がれるとき、その「何か」は
必ず、「その分野に今までなかったもの」を持っているはず。
先達になくて当時のブンブンにあったものは?

最初に紹介した「ビッグ・ビート」の先達、ケミカル・ブラザーズやプロディジー、
ファットボーイ・スリムを聴いたとき、「テクノだけどロックだ」「突飛だ」
「強烈だ」「強引だ」「ガンガン攻めてくる」「タテノリだ」といった印象を抱きました。
しかしブンブンは、タテともヨコともつかない、ひねり、うねりのようなノリがあります。
また、色々な音色を盛り込みながらも、どこかでその音楽を俯瞰して見ているかのような
冷静さがいつも漂っていて、音楽の主体に自身はいません。あくまで拵えているだけ。
冷めた目つきで全体を見渡して、あるべきところに正確に音を配置しているかのよう。
そしてどこか慎ましいのです。人の領域に無理に攻め入ったりしない、提示に留める。
だから涼しげな風のようにさりげなく、心地良く、気持ち良く、楽しむことができる。
狙い澄ませて組み立てられた躍動感は、したたかさすら感じられます。

安易な発想かもわかりませんが、「日本文化への憧憬」めいたものもあったように思います。
ブンブンは日本語で歌ったり古典芸能の楽器を用いたりしているわけでは決してないけれど
とりわけ本作は、簡素で無駄がなく、抑制的な美しさが漂っており、控えめで慎ましく、
少ない音数で、センスのある一音一音を引き立たせ、それによって更に
音のセレクトの巧みさが際立っています。

ブンブンのトレードマークともいえる「厳しさ、緊張感」もこの頃から漲っています。
こういった特性は、日本古来の(かつ外国人がイメージしやすい)文化、禅や俳句などに
幾分通ずるように思われます。
「東洋文化の中から創り出され、しかも西洋のフォーマットに則った音楽」として
ヨーロッパやアメリカのリスナーにとって、非常にユニークに感じられた可能性はあるでしょう。

異国から突如舞い降りた若き刺客。これまでのシーンになかった冷めた眼差し。異端の天才。
常に新しい刺激を待っているヨーロッパやアメリカのテクノ界のリスナーにとって、
こんなに「新種の刺激」だらけのユニット、音楽は、興味を引かれずにはいられなかった。
当時のブンブンに寄せられた熱い視線の理由を、私はこのように推測します。

勿論、私達日本のリスナーが聴いても、聴き入ったり驚いたりせずにはいられない音楽である
ことには変わりありません。
全曲、完成度が高くて、全ての音がそこに収まるべくして収まったかのような、
正解を知り尽くして組み立てたような楽曲、サウンド。

聴けば聴くほど「こりゃ、とんでもない才能だ」と、そら恐ろしくなってきます。


「天才・中野」の才能ひとつで持って行ったような、ここまでのブンブン。
中野さんの才能のピークは、悪く言うとこの地点だったのかもしれません。
次作からは、順風満帆を地でいくブンブンのキャリアに影が差し込み、
二人は試練と内省の季節へと突入していきます。
だけど実はその悶々が、今まで誰も見たことがない音楽を創り出したりします。
何もかもががらりと様変わりする、2ndアルバムに次回、迫ってみたいと思います。
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コメント

日本人テクノバンドと言えば…。

欧米に影響を与えた
日本人テクノバンド…と言えば、

YMO

と思ってしまうワタシ。

というコトで、
少々お勉強をしてきました。

一番頭に残っているのが、

二人共、お料理が上手…。

ウワーッ!

ファンの皆様に怒られそう!

輝かしい実績より、
そっちに目がいくなんて。

(お料理好きな方を募集中なもんで(笑)。)


ライヴでは、アルバムよりロックっぽいとか…。

きっと、ワタシにはそちらの方が
聴きやすいかもしれませんね。


いつものごとく、
知らない方達ですが、

同じ日本人…外国で通用する方達がいらっしゃるというのは、

良いニュースです。


YMOも興味が出てきたところなんですよ、少し前から

NHK・Eテレで坂本教授がやっていた音楽番組を観ていた時期があって、
その流れで夜中に総合で放送してたYMOのライヴ番組を観たんです。
そんな縁もあり、「おもしろそうかも」なんて思ってはいて、
でもどこから手を付けていいのかわからずそのままで(笑)
この頃は少しずつニューウェーブを聴くようになってきていたので、
余計、興味を持ちやすかったというか。

わざわざ勉強させてしまい何だかすみません。
誰からも相手にされない覚悟で(ジャンル的に)連載開始したもので。
しかも割と長い連載になる予定なので・・・
> 二人共、お料理が上手…。
いやそれも、彼らの音楽や振る舞いから考えると意外性があって
印象に十分残りますよ。
彼ら、何年か海外暮らしをしていた人達なので(音楽活動のため)、
料理が得意ならそのあたり困らなかっただろうなと羨ましいです。
私は料理とっても苦手だし、しない癖に、一人暮らししてますからね。
外国どころか田舎でも生活できる気がしない・・・(苦笑)

一度、ライヴに行ったことがあるので、今後ライヴレポも予定してます。
ロックのライヴと同じ要領で行けますが、「あぁやっぱり彼らの本領は
テクノなのだなぁ」と感じる瞬間もあり、多角的に楽しめるライヴでしたね。
方向性が定期的に変わるユニットなので、
今のライヴはまたちょっと違う雰囲気だと思われます。

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