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女の子ものがたり「幸せって何?不幸って何?辛辣な現実と、儚い青春の想い出と、一生消えない大切なもの」

甘い青春の郷愁ものがたりかと思っていたら、いきなり頬を平手打ちされるような
苦い現実をこれでもかと見せつけられ、本当に色々な事を考えてしまった
邦画「女の子ものがたり」。
西原理恵子さんの半自伝的漫画が原作です。
この映画で、西原さん&主題歌担当の持田香織さんの食わず嫌いが
かなり改善したかも?

女の子ものがたり [DVD]女の子ものがたり [DVD]
(2010/03/03)
深津絵里、大後寿々花 他

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えーっと、深津絵里さんが西原さん役ですと?!(厳密には「モデル」なだけだけど)
そこがなんとも(笑)
美しい深津さんが、ガサツ、毒舌、無精、酒飲み、仕事はスランプなダメ女を
いい塩梅で演じていて、なかなか面白いです。
しっかりしているけど気弱な担当編集者、通称「ぜんざい君」役、福士誠治君の
冴えない具合も見所。
いつの間にこんなもっさりに?朝ドラの頃はもっとシャキッとしてなかったっけ?
但し、この二人は想い出のストーリーテラーみたいな役割で、あんまり中心としては
出てきません。
深津さんは「女の子たちのものがたりの主人公」の現在の姿で、漫画のスランプをきっかけに
過去の「友だちとの想い出」を振り返り、次第に現在にも変化が現れてくる、という感じ。
話は西原さんの少女期ほぼそのままなので、あえてネタバレで話を進めます。

西原さんを投影した主人公、高原菜都美、通称「なっちゃん」は
7歳のとき、お母さんの再婚をきっかけに、見知らぬ田舎町に引っ越すことに。
引っ越したばかりの時、「外で遊んでて」とお母さんに言われたので外へ出たら、
広々とした、さびれた空き地で遊ぶ、同年代の女の子二人と出会います。
ひょんなことから、その日のうちに二人と打ち解けて、
それから長いこと、3人でいつも一緒に過ごす友だちになることに。

なっちゃんの義理のお父さんは優しいけれど、お金のトラブルが絶えず、
両親は毎晩のように喧嘩ばかり。
「私は幸せ、私は幸せ」・・・なっちゃんはひとり「おまじない」を唱え、
孤独や悲しみを紛らわせていました。
しかし、出会った二人の友だちは、なっちゃん以上に「ワケアリ」でした。
きいちゃん」こと、きみこは、母子家庭で貧困にあえぎ、いつも薄汚い格好で
「ビンボー」と皆から酷くいじめられていました。
みさちゃん」こと、みさは、子だくさんの一家で、お母さんは暴力的で
子育てに追われ余裕がなく、何かに付けみさちゃんを殴ります。
転校した小学校への登校時、いじめられるきいちゃんと、それをかばい続ける
みさちゃんを目にしたなっちゃんはショックを受けます。
他の女の子には「あの子達とは一緒にいないほうがいいよ」と言われてしまい、
困りつつも、二人と友だちでいることを決めたなっちゃん。
しかし、お母さんはなっちゃんに「友だちは慎重に選ばないといけない、
そうでないと私のような人生になってしまうから」
と言い聞かせます。
いい学校に進学して、いい会社に就職して、
自分のような、男に振り回される「失敗人生」を送らないためにと。
はじめは、「お母さんみたいになりたい。お母さんも辛かったらおまじない唱えたら」と
幼さゆえに意に介しないなっちゃんですが、
お母さんの言葉は、ものがたりが佳境に近づくにつれ、ジョブのように染みていきます。

それぞれの孤独と痛みを、舐め合うように、寄り添う3人の女の子。
7歳の3人は、まるで童話の主人公たちのように、きらめきにあふれています。

だけど現代の菜都美は、友だちの「と」もない無頼な生活を送っていました。
ぜんざい君は実は、昔の菜都美の漫画のファン。しかし、「編集部の意向」で
描きたくもない無難な恋愛漫画を惰性で描き、いつまでも無気力にだらだらと
現実逃避を続ける菜都美に業を煮やし、
「恋人も、友だちもいないでしょ?そんな人に、人間の機微とか描けるわけがない」
「描かないんじゃない、描けないんですよ!」と、怒りをぶつけます。すると菜都美は
(友だちは)いるよ。・・・いるんだ。あたしにも」と答えます。
しかし返答には間があき、その表情には翳りが。
菜都美の中で「友だち」は、一種のトラウマ、触れるのが怖い記憶になっている様子。
キラキラ輝いていたはずの友だちとの日々は、月日を経るごとに、次第に苦々しい過去へと
形を変えていきます。


女の子たちは、高校生になりました。
高校生の3人は、それぞれ大きな苦境にぶつかります。

まず、悪い男にはまったきいちゃんは、何日も家に帰らず、
その男達が他人の車からの給油などの悪行に手を出したために、警察に追い回され、
きいちゃんの縁でドライブに誘われた3人は、山中に置き去りにされてしまいます。
何とか町にたどり着き、開館していない銭湯に服のままザブーンと飛び込んだ
やんちゃな悪戯が警察に通報され、3人は補導されてしまいます。
きいちゃんはお母さんに「こんなところばかり私に似て」と言われます。
どうやらお母さんも、悪い男に引っかかり、離婚してしまったようです。
だけど、そんな酷い仕打ちを受けてもなお、きいちゃんはその男から
離れることができません。生まれる前に居なくなった、お父さんはきっと
こんな風だったんだろうと感じ、面影を追いかけてしまうのです。
ちなみに、みさちゃんはやはりお母さんに殴られ、なっちゃんはお母さんに
「だから友だちは慎重に選ぶように言ったじゃない」と淡々と言い放たれます。

次に、ギャンブル好きで新しい事業を次々に始めては失敗を繰り返してきた、
なっちゃんの義理のお父さんが、ギャンブルで莫大な借金を作り、自殺します。
板尾創路さん演じる、この「お父さん」は、何かにつけなっちゃんに
お前は何か違うぞ。人と違う人生を送れるかもしれん」と言い続けていたのが印象的。
しかも結果的にはそれが現実のものとなるのだから、愛情の力は凄いです。
けれど、皮肉にもこれがなっちゃんへの最期の言葉。
西原さんの史実では、美大受験前日の出来事だったそうです。
更に、この映画にははっきりと出てきませんが、西原さんの経歴を見ると、
最初のお父さんは酷いアル中で、お母さんは西原さんを身籠もったまま実家に戻って
西原さんを産み、お父さんは西原さんが3歳の時に亡くなって、
西原さんは実のお父さんの顔も知らないのだとか。
つまり、お母さんは、同じような悲劇を二度も繰り返してしまったことになります。

そしてみさちゃんには、最も過酷な運命が。
みさちゃんのお兄さんが轢き逃げ事故を起こし、お父さんと一緒に、死んだ相手を
山中に埋める、という、一家ぐるみでの犯罪を犯してしまったのです。
みさちゃんは高校生にして、たったひとりで幼いきょうだいを背負って
生きていかなくてはならなくなってしまいました。
スーパーで売り子のアルバイトをしたりと、もう、純真な女の子の生活を
楽しむ暇はなくなり、生活に追われていきます。
子育てに追われていた、あのお母さんのように。
後には水商売とおぼしき仕事に身を投じ、あっちへフラフラこっちへフラフラ。
へらへら笑って、都合が悪くなると逃げる、いわば「コトナ」になってしまいます。

痛々しいリアル。
しかし、同じように痛みを抱えて寄り添い合ってきた3人の仲に、
次第に隙間風が吹きはじめます。


昔から絵を描くのが大好きななっちゃんは、3人の「基地」ともいえるいつもの空き地に
ぼさっと建っている建物に、長い時間をかけて、大きな、迷える女の子たちの絵を描きます。
「変な絵」とみさちゃんは揶揄し、「上手やなあ」と、きいちゃんは褒めてくれました。
更に、なっちゃんには天賦の才能がありました。
小さい頃から既に、空には水色だけでなく多くの色が含まれていることを理解しており、
迷える女の子たちの絵にも、なっちゃんならではの独自の価値観、意図が込められていました。
義理のお父さんが予見した通り、なっちゃんは明らかに、平凡な女の子ではありませんでした。

高校生は、女の子というさなぎが、女という蝶になって羽ばたく季節。
悪い男とわかっていても件の彼氏と離れられないきいちゃんは言うまでもなく、
なっちゃんにも初めての彼氏ができて、みさちゃんはほとんど「ヤリ逃げ」ともいえるような
初体験を済ませ、またお母さんにぶたれていました。

3人+なっちゃん・きいちゃんの彼氏で、海へ遊びに行ったある日、
なっちゃんはファーストキスを経験します。
しかし同時に、いつか見た光景を、もう一度目にしてしまいます。
きいちゃんを容赦なく殴る彼氏。きいちゃんをかばい続けるみさちゃん。
なっちゃんの胸中に、不穏なものが去来します。


なっちゃんがお母さんに、将来何をしたいか尋ねられ、昔とは違って
「したいことをする」ように後押しされ、進むべき道を模索している頃、
きいちゃんは、あの悪い男と遂に結婚。
更に、久しぶりに3人で再会した時には、みさちゃんも何度目かの結婚をしており、
きいちゃんと幸せ自慢を繰り広げる一方で、きいちゃんが席を外した隙に
なっちゃんに僅かながらお金の無心をします。
きいちゃんも、みさちゃんも、男に殴られながらの結婚生活。
「うちら殴られてばっかりやなー」と、道化のように笑うみさちゃん。
幸せとは名ばかりの、不幸そのものの人生に首までどっぷり浸かってしまった2人。
なっちゃんは怖くなって、その場を逃げ出してしまいます。
「きいちゃんは幸せ、みさちゃんは幸せ」
震えながら、子どもの頃呟いていた、あのおまじないを繰り返して・・・。

ここで、なっちゃんと他の2人との関係に、遂に決定的な亀裂が入ります。
逃げ出したなっちゃんを追ってきた2人、辿り着いたのはいつもの空き地。
「何でうちらは、幸せになられへんのや」
「みさちゃんもきいちゃんも大好き。だから幸せになってほしい」

悲痛な願いを口にするなっちゃんに、きいちゃんはこう話します。
「不幸なんかなぁ?うちは不幸やなんて思てへんよ」
「幸せって何?不幸って何?夢があったら幸せで、なかったら不幸?
ええやんそんな、どーでも!」

そして突如、きいちゃんの感情が爆発します。
「"私はあんたらと違う"と思うてるんやろ!」
怒り狂い、なっちゃんを突き飛ばすきいちゃん。
「ああ思うてるよ、思ってる思ってる思ってる!!!
私はあんたらみたいな人生、送りたくない!」

体裁を取り繕うことがもはやできず、激しく応酬するなっちゃん。
みさちゃんが止めに入りますが、その喧嘩のあまりの激しさに止めきれず、
旦那に殴られて頭蓋骨に怪我を負った頭を打つように、倒れてしまいます。
そして、双方泥まみれになるまで喧嘩した挙げ句、最後の捨て台詞に、
きいちゃんは静かに、こう吐き捨てます。
「この町から出て行け。そんで、もう、帰ってくるな」

泣きながら、ボロボロに汚れた服で、ひとり立ち去って歩いていくなっちゃん。
なっちゃんは、絵の道を選び、きいちゃんに言われた言葉どおり、
町を出ていき、そして二度と2人に会うことはありませんでした。


現代の菜都美は、ぜんざい君を連れて、思い切って故郷の町に足を運びました。
漫画のスランプを抜け出すきっかけを作るため、友だちとの記憶と向き合うため。
すると、きいちゃんは、既に病気で他界していました。
みさちゃんはあちこちで借金をこさえた挙げ句、町を逃げ、消息不明とのこと。

きいちゃんのお母さんが、菜都美にきいちゃんの生前の言葉を伝えてくれました。
「なっちゃんは才能がある。うちらとは違うんや」
「なっちゃんは東京で忙しくしてるんやもん、邪魔しちゃあかん」
「なっちゃんの道はどんどん、伸びてゆくんやから」
そう言って、菜都美をずっと応援し、あえて会うことも、自らの病気を知らせることもせず、
病院のベッドではいつも菜都美の漫画を読んでいたきいちゃん。
きいちゃんは、あの日、あえて菜都美を自分たちから遠ざけ、
自分たちには行けない、遙かな夢を追う広い世界へと、背中を押してくれた
のでした。
まるでサバンナで暮らす動物のメスが、子どもを冷たくあしらって巣立たせるかのように。
なっちゃんが2人のもとを去った時、きいちゃんはなっちゃんの絵を見つめながら
静かな微笑みを浮かべていました。あまりにも、不器用な愛情でした。

短い旅の終わりに、菜都美たちがあの空き地に行くと、女の子が1人。
彼女の名前は「なつこ」で、あだ名は「なっちゃん」。
きいちゃんの娘さんです。
きいちゃんは、この絵は私の友だちが描いたんだよ、と言って、
「なっちゃん」を連れてよくこの空き地に来ていました。
心を通わせる、ふたりの「なっちゃん」。
小さななっちゃんは、菜都美があの大きな絵を描いた「なっちゃん」だと知って
大喜びし、「上手やなあ」と菜都美を褒めます。
その口調は、あの頃のきいちゃんと瓜二つ。

帰りの列車。車窓から流れ込む風に吹かれながら、
「私、友だちの漫画、描いてもいいかな?」と言う菜都美。
ぜんざい君は、いち読者として、そして大切な理解者として、心から喜んでくれました。
車窓を眺める菜都美の向こうに、「なっちゃーーん!」と叫び、走りながら手を振る少女が2人。
それは、高校生の姿の、きいちゃんとみさちゃんでした。
もう二度と会えない2人。だけど、想い出を辿れば、またいつでも逢える。
やさしい涙がそっと頬を伝いながら、菜都美はモノローグでこう語り、物語が終わります。
「もう、こんな友だちは、一生できないと思う」


とてもキラキラしていて、かなり辛くて、哀しくて、ちょっぴり優しいものがたりです。
綺麗ごとが一切ないのが、リアリティに繋がっています。
過酷な現実の中にある、一筋の光。やさぐれた心の中に埋もれている、一握りの温もり。
「幸せって何?不幸って何?」きいちゃんの問いかけも胸に刺さります。
TVでこの映画を観てから、既に2週間余りが経っていますが、
その答えは、未だに出せないままです。



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未だにわかりません。

幸せになりたい!

とずーっと思い続けて来て、追い続けて、

でも、未だに

幸せって何なのかわかりません。

ある観点から見れば幸せなような気もするし、
違う観点から見ると幸せではないような気がする。


燃える朝やけさんのお書きになった文章を読んで、しばらく考え込んでしまいました。

なっちゃんは幸せなのか?きいちゃんは不幸なのか?

何が幸せで何が不幸か?本当は自分はとても恵まれているのではないか?
不幸な人生のスパイラルに墜ちないためには、親の愛情と才能と自信が大事なのか?
「どんなふうにでも、生きてゆける」それだけが確かなことなのか?
・・・作品から色々な問いかけを一気に投げかけられたように感じて、この記事は
最後の締めくくりをかなり迷いましたね。(下書き段階で書いたのは上記のようなもの)

よく知られている通り、なっちゃん=西原さんの人生は売れっ子漫画家とはいえ波瀾万丈で、
母親と同じ道を辿ってもいて、一概に「勝ち組」「幸せ」と片付けられないし、
美人薄命を地でいってしまったきいちゃん(彼女を演じた女優さんがとても綺麗なのです)は
自分のエゴより、友だちの幸せを一身に願い続ける、尊い心を持っていたし。
だから、なっちゃん(西原さん)こそ可哀想とか、きいちゃんこそ無二の生涯、ともいえて
見る人の考え方や、見る向きによって、どちらにもとれてしまうのですよね。
借金地獄に陥って流浪生活を送っているとおぼしき、みさちゃんは擁護しづらいですが・・・

「幸せになれる方法!」と言って、社会での成功や理想的な結婚を招く方法を説く本があれば、
「幸せになれる方法。」と銘打ち、ささやかな幸福に気づくことを勧める本が並んでいたり。
私もですが、みんな、わからないのだと思います。
だけど人にはエゴがあって、やっぱり幸せになりたいし、不幸にはなりたくない。
でも肝心の「幸せ」とか「不幸」なんかの中身が釈然としないし、人によって解釈がばらばら。

こればっかりは、正解は存在しないんじゃないでしょうか。
自分で自分の「幸せ」を決めるしか。
なんて、それこそが難しかったりするのですがね・・・。

そうですね。

自分で決めるしかないのでしょうね。

では、ワタシは今幸せではないです。

燃える朝やけさんは、大人ですね。

ワタシはとても中身は子どもなのです。

教わることが沢山ありそうですね。

いやいや(苦笑)

人様に教えられる事なんて何もないですよ~。
私はただ、ご立派な事を口先だけ言うのが得意なだけですから・・・
たいして大人でもなんでもないっす。
どうか自信を持ってください、お姉様!

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・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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