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エヴァンゲリオン:その1「後からDVDでアニメ(本家)を観たら、漫画版をアニメ化したように感じてしまった」

高校生の頃、文化祭で、古本屋さんをやってたクラスで
「新世紀エヴァンゲリオン」の1巻と、「南国少年パプワくん」の確か5巻を
なぜかそれらだけ単巻で、買ったことがあります。
そんなふうに極めて中途半端に読んだものだから、無性にそれらの漫画が
気になって、でも当時は音楽のほうが夢中だったり、受験を控えていたりで
前後の巻を特に買うまでもなく、何年もその興味は放置されていました。

数年後、先に覚醒したのは「パプワくん」の方で、初巻から最終巻まで一気に揃えて
続編の「PAPUWA」や、柴田亜美先生の他の作品まで徹底的に集めるほど
ハマったものです。きっかけは全く覚えてません・・・
先日のTVドラマ「相棒」で高松という天才科学者が殺されて、「高松ラボ」と連呼され
そのたびにどうしてもパプワくんを連想してしまった(笑)
・・・と、これはまた別の機会に。


新世紀エヴァンゲリオン(以下エヴァ)の波が来たのは、それからしばらく経ってから。
特に深く考えず、アニメ~旧劇の話の大筋もあんまり知らないのに
たまたまTVでやってた「エヴァンゲリヲン 破」なんか観てしまったからです。
もちろん「序」も観てません。だから話はわかるようなわかんないような。
だけど興味の火が点いた。
そうして、1巻しか読んでない漫画版エヴァへの渇望が猛烈に沸いてきて、
現時点(H23年12月あたり)で出ていた限りのコミックス(12巻まで)を
すごい勢いで読破して、それでも余韻が抜けなくて何度も読み返したものです。
というか、12巻まで一気に読んで、完結してないことに気づいて相当絶望しました(笑)

「結末が知りたい!」「アニメが本家なら、そっちを観なくちゃ!」
普通は順序が逆なはずですが、きっかけがそんな風ですから、後からアニメを
TV放映分7巻~旧劇~TV8巻~新劇序(+破)といった順番にコンプリートしていきました。
「破」のTV放映の熱狂冷めやらぬ時期でしたから、レンタルするのはちょっと苦労しましたっけ。
1巻があって2巻がなくて・・・とか、破があるのに序がない、とか(苦笑)。


漫画版エヴァは、アニメのTV放映分~旧劇までをカヴァーするそうで、新劇は反映しないとのこと。
アニメエヴァのキャラクターデザインをした貞本氏が、アニメとは少し違う視点から描いています。
漫画版にずっぽりハマった上で「本来の原作」であるアニメを旧劇まで観て、感じたことは

「エヴァ、アニメ化されたんだな。
庵野監督、ずいぶん暗い改変するんだなぁ」


なんていう変な違和感です。
どう考えたってそんなはずないんですけどw


漫画版のエヴァに入れ込みすぎたんですね。そして、そっちのテイストの方が好みだった。
アニメは今観るとどうしても画や演出などに古さを感じてしまいました。
しかも、漫画版との違い探しをしてしまう(笑)


アニメのエヴァを観ていると、シンジがあまりにも不安定で、甘えた子どものような言動が多く
トラウマへの固執もひどく、正直「見ていられないよ」という気分になってきてしまいました。
アスカの病み方も怖く、とりわけ旧劇での彼女は存在自体がグロテスクに感じられてしまう。
旧劇のラスト前あたりの演出や、TV放映分8巻の流れは、あまりにも病みすぎて薄気味悪い・・・
正視できないシーンが沢山ありました。巨大化したレイ、あれではホラーです。
基本のストーリーとキャラクターが魅力的なぶん、なんだかがっかりしてしまったというか。

アニメのエヴァが漫画版に比べて良いと感じた点は、ストーリーなら
ゲンドウがシンジへの愛着を不器用でもちゃんと台詞として示す所、トウジが死なない所など。
シーンなら例えば、ミサトとリツコ(と加持)のバーでトークも腐れ縁が見えていいですね。

コンテンツの違いからくる面白さとしては、まず声優さんの配役の妙が来るかと。
セーラームーンがアラサーおねいさんですよ?
普段ならばアスカあたりをやってきた人が、あの綾波ですよ?
セーラームーンといえば、クールなセーラーウラヌスが超ウジウジのシンジだし。
そして声の演技。シンジ役の緒方さん、凄いですよね。とりわけ絶叫、慟哭、が半端じゃない。
その声だけで何度心をつかまれて、涙をこらえきれなくなったかと。
加持のシンジへの「男の先輩」としての助言も、山寺さんだからこその説得力ですよね。
普段「おーはー!」とかやってるのにw
あと、名前を呼んでもらえませんが(笑)、青葉役の声優さんは今じゃ主演級もしているとか。


コンテンツの違いで見た漫画版の魅力は「画が綺麗」そして「エピソードを丁寧に掘り下げる」。
アニメや映画だと時間の関係上、どうしても駆け足になってしまいますから、これは嬉しい。
さて、漫画版の「少し違う視点」によって、ストーリーやキャラの変化、浮かび上がるものは?


ストーリーはアニメという原作に基本忠実で、多少のエピソードの改変、順序の前後があります。
最も顕著なのは、シンジが「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・」を言わないことでしょう!
これはかなり大胆な改変だと、アニメを観てから漫画版を思い出して驚いたものです。

しかしそれ以上に大きいのは、シンジとゲンドウのキャラ付け(または演出)だと思います。

まずシンジ。
漫画版でのシンジは、トラウマを抱えて無気力になってはいますが、
アニメで目立つ「自分がない、流されやすい」印象が薄れ、
自我を抑圧してはいても、中にはちゃんと自分がある、少しだけ逞しい子になっています。
そこが大きいところでしょう。
「自分がない」のと「自分を抑えてる」のとでは、病み具合がかなり違います。
あくまでも私個人の感想ですが、「自分を抑えてる」方が、共感しやすく、入り込みやすかった。
漫画でもアニメでも映画などでも、脇役も大事ですが、
全体の世界観を決定づけるのは主人公です。
エヴァのキャラの中でシンジが一番好きな訳ではないですが、主人公に共感できるのは大前提。

そしてゲンドウ。
漫画版でのゲンドウは、シンジを愛すどころか、底知れぬ憎しみや嫉妬の念を抱いている。
漫画版を読んでからアニメを観たら、「なんだゲンドウ、ちゃんと優しいじゃん」とすら思った(笑)
アニメのゲンドウは「普段は酷いけどたまに優しくしてくれる」ので、変わる可能性を願えますが、
このゲンドウにはまったく救いがない。「どうしようもない酷い親」なのは誰の目にも明らか。

漫画版では、大きなテーマとして「シンジとゲンドウとの親子関係」があるんだそうです。
それでは、どちらがシンジにとって、表面上ではなく、本当の意味で救いがあるのでしょうか?


流れるままにアニメを観ていると、ゲンドウの無骨な優しさが輝き、「学園エヴァ」も微笑ましい。
しかし、シンジはいつまでも、ゲンドウが変わること、自分を受け入れてくれることを
期待し続けてしまう
のではないでしょうか。大人になっても、ずっとずっと・・・
周りも、「大人になればわかるはずだ」「闇雲に憎み続けるのはよくない、歩み寄るべき」と
いう目線や助言をかけてくるでしょう。そのように説教するミサトの姿が目に浮かぶようです。
アニメのシンジは自我の希薄な子ですから、自分で選択したり決定したりする力がなく、
そんな自分自身を変えようという意識も芽生えづらいでしょう。
周りが言うならそのようにしなくちゃ、と思いこみ、
「僕は父さんから愛をもらえるはず、父さんは僕に愛をあげるべきなんだ」
という強迫観念と、現実との間で苦しむことになる。
「こんなはずじゃないんだ」「僕を愛してよ、僕をかまってよ」という行き場のない痛みを
抱えたまま、シンジ自身がゲンドウのように歪んでしまう可能性も高いのではないでしょうか。

一方、誰から見ても「歪んでいる」漫画版のゲンドウのような親ならどうでしょうか。
「親がおかしいと子もおかしくなる」と諦めるのは簡単ですし、事実そうなる子も多いでしょう。
しかし、シンジは「父親から」愛情をほしがることを、放棄することができるし、
周りもさすがに止めないはず。
レイやアスカなど女の子との恋からもらってもいいし、トウジやケンスケなど親友との友情から
信頼関係を学ぶのもいいでしょう。
トウジとシンジとの絆は、トウジの死が前提にあるせいか、漫画版のほうがより密接に描かれ、
ふたりの別れ(しかもシンジの手によるもの)には、激しい痛みを感じずにはいられません。
また、ミサトママと加持パパから、疑似家族のような愛情をもらうこともできます。
加持は途中で亡くなってしまいますが、「疑似パパはもういないけど、愛をちゃんともらった」と
心の支えにすることならできます。
ゲンドウのこともユイのこともネルフのこともよく知っている、冬月に助言をもらうという手も。
漫画版のシンジには自我が(抑圧しつつですが)あるので、自分で選ぶ力、自分を変える意識を
身につけられるでしょう。
そして、周りからたくさん助けてもらったり、逆に助けたりして、父とは違う道を行けばいい。

どちらにしろ最後には世界のほぼ全てがLCLの海に呑み込まれて、未来などない、と思うと
私達読者が何を想像するのも解釈するのも、全ては無駄と化してしまうのですが・・・


家族の問題は難しいものです。親を選ぶことはできないですからね。
アニメではシンジやアスカの病み、ゲンドウの狂気、ミサトたち大人世代の歪みが
「90年代の暗い世相の反映」「庵野監督の当時の精神状態」と論じられることが多いようですが
彼らの病み、歪みの本質は「家族関係」にあるんだよ、とメッセージするがために
貞本氏はエヴァを「違う視点から」漫画にしたのかもしれませんね。
もしかすると、メッセージの対象には庵野監督も含まれているのかも。




「だれかれきゃわうぃ~ね!」「だれかれ萌え~!」で読まれることも多いこの漫画・アニメを
ここまで重苦しく書くことになろうとは・・・
そりゃ勿論、好きなキャラだっていますよ?誰かは秘密ですけど(笑)
脇役を含め一人一人キャラ立ちしているからこそ、ストーリーに惹きつけられるし、
あのキャラのあんなところが好き!というのもたーくさんあります。
まぁその辺りは、もう十分ほかの方々が優れた表現をされているかと。
ここで書いたような解釈だって、とっくに使い古されていそうですけどね・・・
次にエヴァで記事を書くときは、各キャラの自分的ツボどころをピックアップ!もアリかも。
でも新劇もなんだか気になるし、迷いどころです。

それにしても、この漫画は一体いつ完結するんですか・・・・・・
貞本さん、楽しみにしていますので、お願いですから忘れないできっちり完結してください!



どうも記事を書き出すと長くなります。
最後まで読んでくださったかた、本当にありがとうございます。
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