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Ramones:その8 トゥー・タフ・トゥー・ダイ「俺はタ-タ-タ-タ-タ-タ-タフガイ~逆境の中にあっても、殺しても死なない屈強な奴らを見よ!」

Ramonesラモーンズ)レビューも大詰め、今回と最終回を残すのみとなりました。
8枚目のアルバムは「最強」「原点回帰」の誉れ高い名作、
その名も「Too Tough To Dieトゥー・タフ・トゥー・ダイ)」!

トゥー・タフ・トゥ・ダイトゥー・タフ・トゥ・ダイ
(2005/06/22)
ラモーンズ

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ん~見るからに強そう!映画のヒーローみたい!明らかにその辺を狙って撮ってますね。
因みに今回、1~8枚目まで、2005/6/22発売のボーナス・トラック付きのリマスター盤を
使って書かせていただいたのですが、それがこの8枚目までで止まっています。
そのような意味でも、今作で物語としては一区切り、次回の最終回を「エピローグ」という
かたちにして、レビューを展開していきます。


トミーがプロデューサーに~シンプルな、原点に返った作風に立ち返る
オリジナル・メンバーで、3枚目までドラマーを務め、4枚目ではプロデューサーを務めた
旧知の仲間、トミー・ラモーンが、久方ぶりにプロデューサーに就任!
デビュー前のラモーンズがデモテープを作っていた頃、ディー・ディー曰く
「奴は、俺たちがやっていた事をテープに録音する際に上手く翻訳することが出来たんだ」と。
ラモーンズというバンド、各メンバーの良い所、良い音を知り尽くしているトミー。
前作を最後に、売れ線プロデューサーのもとでビルボードを目指すという道から降りたとき、
彼らの頭に真っ先に浮かんだのは「原点回帰」だった。
一部の曲には80sらしい装飾が施されているが、実に2/3ほどの曲が生身のバンドサウンド、
トミーが在籍していた頃の、プロデュースを手がけていた頃のラモーンズ・サウンド。
レコーディングを始める少し前にジョニーが事故に遭い、数ヶ月の離脱を余儀なくされて
予期せぬ休暇が生まれ、メンバー各々が己を見直す時間を得たことも大きかった。

クイーンズのバカガキが大人になって~バカガキの魂のまま、大人として生きていく
今作は、何もかもが初期に戻ったわけではない。今やメンバーは30代、適当に集まって
働かないでシンナーやって、自分達の趣味とフラストレーション発散の為にやっていれば
よかった頃とはわけが違う。世界中を回ったし、挫折も経験したし、スタッフも一緒にいるし
色んな人間と出会って別れたし・・・みんな、年相応の大人になったのだ。
その成熟が音の隙間から、歌詞の節々から、感じ取ることができる。
初期と類似したプロダクションだからこそ、一層変化が引き立つ。
各々の演奏はすっかり逞しく、頼もしくなって、もう危うさはない。歌詞には政治であったり
世界情勢、貧困の問題であったり、客観的に見た自分(達)であったり、広い視野から描かれ
昔のトレードマークだった、ぶっ壊れたどんちゃん騒ぎからは少し距離をおいている。
そうは言っても、聞いた感じでは「バカガキ健在」を感じる。なんだかんだいって、まだまだ
オッサンになるのは早すぎるし、現役のうちはこのくらいやんちゃでいてくれないとね。

場末のフリーク・ショウの呼び物さ
クモの巣の張る地下室で・・・
しぶとく生き続けてるんだ
頭には後光が差してる
殺しても死なないぜ

表題曲の#3「Too tough to die」の詞を一部抜粋。
これが、彼らが手にした、強靱な決意と覚悟と打たれ強さだ。
相変わらず世の中も音楽シーンもクソだが、そんな世界の中でしぶとく生きていくという宣言。

とりわけ変化が目覚ましいディー・ディー、奮闘するジョニー、ジョーイ、リッチー
アルコール中毒治療の為に脱退したマーキーの代わりに、リッチー・ラモーンが加入。
力強いドラムを提供するだけでなく、#11「Humankind」で曲まで提供している出来る奴だ。
また、作曲者クレジットを見ると、前回培われたジョニーとディー・ディーの友情によるタッグ、
ディー・ディーとジョーイという曲作りコンビによるタッグ、今後のラモーンズの
プロデュースを手がけて曲作りにも関与するダニエル・レイとジョーイの共作、
「ジョニーが詞を書いてディー・ディーが曲を書きトミーも加わる」と思しき異色のタッグ、
そしてディー・ディーとジョーイの単独での作曲など、ヴァリエーションがとても豊富。
皆で力を合わせ、全員が意欲的になって、曲作りを行っていることがよくわかる。
そうそう、ボーナス・トラックの#14に、ストーンズの「Street fighting man」のカヴァーが
収録されていて、これも荒々しくて余りにも今作らしい。

なかでも突出しているのがディー・ディーで、アルバム収録曲全13曲中、9曲に関与している。
髪型を強面風にイメチェンし、グラサンをかけ、フルで単独ヴォーカルをとる曲が2曲、
ボーナス・トラックでは他の数曲でもヴォーカルを務めている。
さきに指摘した、歌詞の変容が著しいのも彼である。一体何があったのだろうか?
ジョーイの体調が優れないぶんをカヴァーしようという姿勢、
ジョニーと再び意気投合し連携関係が軌道に乗ってきたこと(ディー・ディーが歌う2曲とも
ジョニーの作曲で、電流のように強烈な歌声が超絶ハードで笑いさえ零れるアレンジにのって
痛烈そのもの。#5「Wart hog」に#12「Endless vacation」、特に#12の途中の
「Hey!Hey!Hey!Hey!」という全員での合いの手や忙しい転調が最高)などがあるのだろうか。

ジョーイの歌詞も今度ばかりはハードボイルド。本編ラスト、#13「No go」では
50sロカビリー調の転げ回るようなビートにのって、冴えなくてやりきれない日常を歌う。

ぶん殴られて、ボロボロになっちまって
あとはわかるだろ
頭は働いてたけど
足が悲鳴を上げそうだったんだ
さあ行こうぜ、行こうぜ

土曜の深夜に(恐らくは呑みにいく)電話が来たけど、ぶん殴られてボロボロになって行けなくて
でも「さあ行こうぜ」「飛ぼうぜ、飛ぼうぜ そうさ、お前と俺で」と皮肉を言って笑う。
こんなの、まるでラモーンズみたいだ。ジョーイの人生みたいだ。
全員の人生は不思議とリンクしている。
歌声に至っては猛々しいことこの上なし。迫力満点で、とても体調不良の時期だとは思えない。

外野に愛想を尽かされても、自分達らしく、言葉と音を鳴らしていけばいい
今作で遂にヒット路線を放棄したラモーンズ。
しかし、シーンに媚びることなく、彼ららしさを取り戻したラモーンズ。
「商売にならない」「流行らない」バンドに、多くの人間が愛想を尽かし始めた。
それでもジョーイは言う「『トゥー・タフ・トゥー・ダイ』は、俺たちを復活させ、
最高の状態に引き戻したんだ」

ディー・ディーは「回りの状況がどうであれ、俺たちはまっすぐに正直にプレイしようと
したんだよ」
と断言する。
ラモーンズにとってあまりに過酷だった1980年代初頭。バンド内外で問題が噴出した。
しかし彼らはそれらに屈しなかった。却って苦しみや怒り、逆境が団結を強めた。
「殺しても死なない」奴らは、こうして苦境をサヴァイヴし、したたかに図太く、
20年もの年月にわたり、音楽シーンに留まり、やっぱりなんだかんだありながらも
いつしかレジェンドと呼ばれ、キッズと同業者を初めとする、揺るがぬ支持を集めた・・・


1枚目から追ってきたからこそ余計に、このアルバムの境地はグッときます。
大人になったぶん、ちょっと地味に聞こえるかもしれないけれど、渋くてカッコイイ!
今作で「いいものが出来た」という手応えがかなりあったからこそ、ジョニーは
結果的に最期の想い出となるトリビュート・ライヴに「Too Tough To Die」と
銘打ったのかもしれないな、とも(単に皮肉と響きの良さからとったのかもしれないが)。

そして年月が経ち、ラモーンズが長い長い旅を終える時がやってきます。
解散ライヴは賑やかに。屈強な男たちが荷物を下ろす瞬間を、次回もしくは次々回
描くので、追体験して皆で見送ってあげましょう。


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