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James Iha:Let It Come Down「力まず、心地良く、人懐っこく。日本人顔した地味な奴の、何度でも聴きたくなる珠玉の名盤」

唐突に、「スマッシング・パンプキンズのメンバーをあげろ」といわれたら、
あなたはきっと、こういう順番で挙げるのではないでしょうか。
1:ビリー・コーガン(Vo&Gt)ほぼ全ての楽曲を作り、ギターソロも上手なスキンヘッド
2:ジミー・チェンバレン(dr)90年代を代表する凄腕ドラマー!ヤク絡みで一度脱退してたっけ
3:ダーシー(ba)紅一点ベーシスト。女性はアイコン、男性はハァハァ。後任のメリッサもいい女
4:誰だっけ?あぁ、確か、日本人顔した地味なギタリストがいたような・・・

えーと・・・今回は、その「日本人顔した地味なギタリスト」
James Ihaジェームス・イハ)が作った
現時点で一枚きりの、素敵なソロ作を紹介したいと思います。
イハはおじいちゃんが沖縄人。「いは・よしのぶ」という日本人名も持っていたりします。
スマパン解散後は、自らのルーツである日本での活動がぼちぼちあって、
Charaや湯川潮音などとのコラボ、映画「リンダ リンダ リンダ」のサントラ、
さらにはBEAMS系列でアパレルブランドの展開と、なかなか多彩です。
本業の音楽活動では、「The Perfect Circle」というバンドに加入して
ツアーにも出ていたようですが、今も続いているのかな?


本題に入る前に、一瞬だけ、スマパンのアルバムのジャケを幾つか
思い出してみてください。
夢見がちで可愛い2人の女の子(ちみっ子)、SFタッチの童話に出てきそうな若い子、
ゴシックな佇まいで下からこちらを見上げる美しい女性・・・どれも神秘的で、少し意味深。


そんなアルバムが立て続けにリリースされたちょっと後に出たソロが、これですよ。

レット・イット・カム・ダウンレット・イット・カム・ダウン
(2012/02/15)
ジェームス・イハ

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何でしょう、この神秘性のかけらもなさは(笑)
カーディガンズとかのジャケに使われそうな、ポップでちょいチープなデザインに彩られ、
普通の青年が普通の服着てただ写ってる。(でもよく見ると、3Dカラーの先駆けしてる!)
やっとのことで見つけ出した時の、脱力感といったらなかったですねぇ・・・


しかしこれがクセになるなる。捨て曲ってないんじゃないかなぁ。
個人的オススメトラックは#1、#4、#6、#11、ボーナストラックの#12ですが
でも全部いい!
イハ自身「スマパンで連日、轟音を鳴らし続けるのに疲れて作った」と語るとおり
アコギ中心で作られ、全編でイハの丁寧で繊細なアコギを堪能できます。
楽曲は一貫して、ゆったりしたテンポ、繊細で美しいメロディ、スウィートなムード
スマパンでも時々、轟音の中に繊細さ、甘み、柔らかさが表出する場面がありますが
その「繊細で甘くて柔らかな部分」がたっぷり詰まっているのが本作です。

今書いた「繊細さ、甘み、柔らかさ」が、解散前最後のアルバムでは感じられず
轟音は復活したものの、どこかかたくなで、口当たりが悪くなってしまったという印象を
私は持ちました。実質ビリーの独裁体制のアルバムだと聞いて、確かにビリーは凄いけど
イハの要素って、結構重要な風味だったのになぁ、って、残念に思ったものでした。

バンドのメンバーのソロ作は、ついついバンドの作品を引き合いに出したくなりますが
ジョン・フルシアンテの時と同様に、この人の作品も、なるべく、
「バンドのことは忘れて」楽しみたいものです。
なぜなら、それだけの価値が、本作にはあるから。
また、バンドとは全く違ったベクトルの魅力が、溢れているから。


Let It Come Down」は、スマパンぽい部分と、全くらしくない部分があります。
スマパンぽさを感じたのは、先程まで書いた「繊細さ、甘み、柔らかさ」。
そして、「らしくない」つまりは「イハらしさがよく出た」部分もかなりあって、
その「イハらしさ」こそが、本作が飽きずに何度でも聴きたくなる理由だと思います。

ひとつは、「力みのなさ」。
リラックスして楽しんで歌って弾いているんだろう、と想像できる演奏です。
正直に言って、イハの歌はお世辞にも「上手!」といえるものではありません。
でもそれがかえって味になっている。
自分の声をよく理解して(朴訥としているけど、地声も裏声も綺麗に響く、いわゆる「ええ声」)、
無理せず歌える音域・メロディーを選んで、力まず歌っているからハマるのでしょう。
アレンジもシンプルに、必要最小限な音だけ選んで、その「音」のひとつひとつが
テクニック自慢や緊張感を一切盛り込まず、ふんわりさりげなく奏でられているのが
大事なポイント。

もうひとつは「爽やかさ」。
ほぼ全ての曲がメジャーコードの明るいタッチの曲で、
全体がさらりとした繊細なアコギで紡がれ、そこにつまびくようなエレキが絡み、
透明感のあるコーラスが歌に寄り添い、所々にクラップなどのアクセントも加えて。
空は晴れていて、そよ風がたなびいていて、青々とした草花が風に揺られ・・・
そんな牧歌的な情景が浮かぶほど、心地良くなってきます。

「繊細で、メジャーコードメインで、少し拙い歌がハマって、心地良くて」というと
ジョージ・ハリスン(この人も立ち位置が何かとイハとかぶる)の名作ソロ
「All Things Must Pass(オール・シングス・マスト・パス)」が浮かび、
どちらもお気に入りで、聴いていてちょっぴり似た印象を受けましたが、良い意味で違います。
「All Things~」は神々しく、空高くそびえ立つ建築物のようで、「偉大」という感じ。
空の上から、不器用な神様が、キラキラと宝石のように輝くパンを降らせ、
飢えた民のお腹を満たし、民は神の恵みを享受できることに感謝の祈りを捧げる、みたいな。
(聖書のエピソードです。ジョージはヒンドゥー教徒なので、適切な例えじゃないかも・・・)
対して「Let It~」は、そこから神々しさや仰々しさを一切取り除き、
優しさや美しさはそのままに、新たに親しみやすさ、なじみやすさを加えた感じがします。
青い空を見上げながらぼんやりベンチに座っていると、気がつけば自分の隣にイハがいて、
アコギ片手に歌ってくれて、楽しくなって自分まで一緒に歌い出しちゃうような。
この「親しみやすさ、なじみやすさ」も、イハらしさの重要な項目ですね。


本作をモノに例えるなら、履き古したお気に入りのジーンズ
あちこちボロボロで、擦り切れていて、高級ブランドの品ではないんだけど
よく見ると、素材や縫製やデザインや製造工程にかなりこだわっていて、
自分のからだにほどよくフィットするので、ついついヘビロテしちゃうような。


リリース当初は「ソロ2ndも作るつもりだよ」って言ってたはずなんですが
あれから10年以上の月日が経ち・・・。
まだかなぁ・・・
もうやる気ない?そんなこと言わないで!
楽しみにしているリスナーは、まだまだいるんですよ~。




F1記事に疲れ、別件で調べ物が山ほどあって、FCブログをしばらく開けずにいたんですが
久々に来て、アクセス解析を見たら、大分前に書いたジョン・フルシアンテの記事が
検索で結構見にきてくださっていることがわかり、一生懸命書いたかいがあった!と歓喜しました。
F1記事でweb拍手を頂いた時も嬉しかったなぁ。反響があると、やりがいを感じますよね。
よしっ、これからも(まったりと)コツコツ、良い記事目指して書いていくぞー!
読んでくださった方、ありがとうございます。気が向いたらまた遊びに来ていただけると嬉しいです。


※追記(2012/2/14)
なっなんと、イハの2ndが出るって!
やったァァァ!辛抱強く待っていた甲斐があった!
本当は、諦めかけていたんですが・・・
ともあれブラボー!!!



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