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Ramones:その3 ロケット・トゥ・ロシア「1-2-3-4、4-5-6-7!よりポップに、よりソリッドに、完成度の高いポップなロック~そして悲劇が・・・」

前作の方向性を一層強めて、ノリノリでポップな楽曲、チェインソーのようなギター、
ナンセンスな歌詞、時に夢見がちで時に空耳がちといった特徴はそのままに、
よりキャッチーに、そしてよりアイロニカルな作風になったのが
Ramonesラモーンズ)の3rdアルバム「Rocket To Russiaロケット・トゥ・ロシア)」。

ロケット・トゥ・ロシア+5ロケット・トゥ・ロシア+5
(2005/06/22)
ラモーンズ

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1stの時のジャケと似ていて、少し寂れたような印象でもないですが
うわばきみたいな靴を履いてるメンバーはもういないし(笑)、多少余裕が出ているかと。

ブックレットの英詩部分を開くと、アメコミ調のちょっと可笑しいイラストがついていて
彼らのテイストにぴったり。
#4「Rocket Love(ロケット・ラヴ)」という曲では、ロケット・ハートのついたネックレス、
中の写真がどす黒い男4人(しかもロケットなのに誰か1人でなく4人なのがツボ)という。
#8「Teenage Lobotomy(ティーンエイジ・ロボトミー)」の横の絵では医者が若者の頭を
カパッと開けて、中の脳みそをひとつかみ取り出したりしてますが、深く考えないように。
こんな風に、細かい所でも本作の「バブルガム・ポップ」の音楽性を強調している1枚、
早速感想~レビューにいきましょう。


・バブルガム・ポップ指向を強めて~パンク・ロックじゃなかったの?
聞き慣れない「バブルガム・ポップ」という単語。Wiki先生を参照してみる。

バブルガム・ポップ:単にバブルガムとも。
文化起源は1960年代で、最も流行したのは1967-1972年頃。
明るいサウンドのプレティーン・ティーンエイジャー向けに作られる
ポップ・ミュージック。
ポップでキャッチーなメロディー、シンプルな和音、
シンプルなハーモニーで、アップビートな曲が多い。

本作は以前よりコーラスも本格的に入っていて(uh~ってやつ)、明るい和音で徹底されて、
正に「バブルガム・ポップ」のアルバムといえる。しかし彼らは(パンク・)ロック・バンド
ではなかったのか?ポップ・ミュージックに転じるなんて日和ったのではないか?
いや、バンド・サウンドは相変わらずキリリと攻撃的なままだ。真夏の太陽がぎらつくように
ギターがジリジリと地平を焦がし、下からベースが突き上げてきて、ドラム・ビートは
休むことなく響き続け、ジョーイの歌声はヘンテコに訛っている。
そもそもはじめからラモーンズの音楽はポップなメロディーが身上だったから、
「聴きやすくなった」「楽しくなった」ぐらいしか違和感はない。
それが更に洗練されて、戦略的になって、バンドのアンサンブルがまとまっただけのこと。
因みに、この方向性を最も積極的に指向したのはジョーイ。ラジオ・ヒットや
ヒット・シングルを、喉から手が出るほど求めていた。

・笑いのテイストの変化~おバカからシニカルな風刺へ
前作でも多少はみられたが、本作では、周りをよく観察して、そのいいことや悪いことを
楽しく皮肉な方向へ解釈し直し、シニカルな笑いを誘う、といったスタイルの可笑しさ。
例えば、#2「Rockaway Beach(ロッカウェイ・ビーチ)」を聴いていると、まるでそこは
キラキラ輝く楽園みたいな素敵な海辺なんだろうなと感じられるが、現実は全く違う。
ビキニを着てハイヒールを履き、べろんべろんに酔った女どもがいっぱいいて、更には
髪を引っ張り合ったり、砂浜をハイヒールで駆け抜けたり、相手の頭をかち割るために
空き瓶を探してみたりと、およそ活気がある場所とはいえそうもない、解説文によれば
「便所のようなところ」だという。そんな場所をあそこまでロマンティックに描くことで
「人生のくだらないこと、みじめなことをすべて引き受けて、さあ、陽気にいこう!」と
解説文は愉快にまとめている。
また、#1「Cretin Hop(クレティン・ホップ)」は、ラモーンズの本拠地のクラブ、
CBGBの、クレイジーなはみ出し者たちで溢れかえっている様子を描いている。
「クレティン」とは「アホ」といった意味。アホどもが跳ね回っているせいか、
掛け声は「1-2-3-4」に続いて「4-5-6-7」、4がなぜか被っている。

・ビーチを舞台に、痛快なカヴァー曲が映える
本作はカヴァー曲が2曲。そのどちらも大いにハマっていて、オリジナル曲のようだ。
1曲目は#9の「Do You Wanna Dance(ドゥ・ユー・ウォナ・ダンス)」というロックの古典、
やいのやいのと皆で集まってバカ騒ぎするさまが目に映るようなノリノリのアレンジで。
恋のダンスというよりは、皆で集まってわいわい盛り上がるほうがこのアレンジのイメージ。
もう1曲は、#13「Surfin' Bird(サーフィン・バード)」という1964年のヒット曲。
「Bird bird bird Bird is the word」をひたすら繰り返して、転げ回るように突っ走る。
間奏では「アババババ、ニャ~~~パパ」と奇声まで披露、これは相当難しいはずだ。
ジョーイの滑稽な歌唱が壮絶なほど決まっている、聴き入ってしまうヴォーカル。

・空耳編
本作も忘れず空耳。ネタは尽きない。
まず、#1「Cretin Hop」のサビで「1-2-3-4 Cretins wanna hop some more」と
畳みかける場面、「1-2-3-4 ~はさむ!」って聞こえて「何をはさむのか?」。
折角の格好良い曲なのにサビで空耳なんだからもう困っちゃう。
否定形の歌詞ばかり書いてきた集大成#5「I Don't Care(アイ・ドント・ケアー)」
では、わかりきっているが、「Care」は「カー」としか聞こえてこない。
空耳ではないが#13「Surfin' Bird」、とりわけ間奏は阿鼻叫喚の複雑怪奇な節回し。
アドリブ?原曲に忠実?空耳とは違う意味で、一度聴いたらもう頭から離れない。

・シングル・ヒットのチャンスが遂に到来!ラモーンズ、ブレイクか?
ひときわポップで、キュート、とびきり陽気でハッピーで、目を見張るほど爽やかな
ロック・チューンが登場。それが名曲にしてラモーンズ最初のヒット・シングルになる
#6「Sheena Is A Punk Rocker(シーナはパンク・ロッカー)」である。
この曲は、ビルボード・チャート最高81位まで上昇した。
ラジオ・オンエアが期待できる順位。ラジオでヒットすれば、アルバムも数百万単位で売れて
ラモーンズにブレイクのチャンスが訪れる!
「シーナ」が果たしたことは2つある。1つは、パンク・ロックでも商業的に認められる可能性を
証明したこと。そしてもう1つは、「パンク」という言葉が一般層にも肯定的に受け取られ、
またアーティスト側でも肯定的に押し出すようになった。

・何でいつもこんなふうになるんだ~よりによって、そのタイミングで、それが来るのか
#14「Why Is It Always This Way(ホワイ・イズ・イット・オールウェイズ・ディス・ウェイ)」
の冒頭の歌詞から見出しタイトルを引用したのだが、本当、どうしてこうなってしまうのか?
図らずも、ラモーンズの近い未来、そして遠い未来をも予見してしまった曲となった。
本作は1977年11月にリリースされ、折しもそのタイミングは、在籍していたレコード会社が
ワーナー・ブラザーズとディストリビューション契約を結び、メジャーの政治力を得られた
ときだった。ラモーンズは、大いに期待され、強力な後押しを受けようとしていた。
そんなある日・・・
いつものようにライヴに勤しむラモーンズ、ジョーイはやかんを加湿器代わりにして
鼻や喉の通りを良くしていたのだが、そのやかんが仇となり、ジョーイはライヴ前に大火傷を
負ってしまい、入院。ツアーはキャンセルすることになる。
そして更なる追い打ちは、UKでライヴに来ていた観客の若者が作ったバンドだった。
ジョーイが療養している正にその間に、セックス・ピストルズが衝撃のデビュー、ブレイク。
「パンクといったらセックス・ピストルズ」という常識を作ってしまった。
パンクといったら、安全ピン、カミソリ、ツンツンヘアー、がなり立て、へどを吐く・・・と
いったものになってしまった。
こうして、本作のラジオ・オンエアの機会はことごとく忘れ去られてしまった。
そしてこうして、ラモーンズは「万人には受け入れられないカルト・バンド」になった・・・


「ブレイクのきっかけを不運にも逃してしまったターニング・ポイント」
となった作品ですが、出来は実に堂々たるもの。
「ラモーンズの初期3作は傑作」とよく言われるなか、そのトリを飾るだけあって、
1曲1曲の完成度がとても高くて、隙がなくて、傑作指数の高い一枚です。
とてもポップなので、ロックやパンクが苦手な人が最初に聴くにもいいかも?

なにせ、「ブレイクのきっかけを逃した」のはこのアルバムのせいではないのだから・・・
ここには、ラモーンズの最高レベルの仕事が詰まっています。
そして、結果としてラモーンズ自身にとっても、「一区切り」となる作品となりましたが
そこからまた新しい音が生まれます。個人的にこの新しい音はお気に入りなのです!
佇まいを大きく変化させるも、それがとても格好良い、次のステージはまた次回の連載にて。


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