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NICO:その1 an underground experience+heroine & All Tomorrow's Parties「けだるさは耽美に、退廃は快楽に変わる」

The Velvet Undergroundヴェルヴェット・アンダーグラウンド、以下V.U)の
記念すべき1stアルバムに、なぜか3曲でヴォーカリストとして参加している
アンディ・ウォーホルが連れてきた謎めいたブロンド美女、それがNICOニコ)。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(45周年記念 ニュー・デラックス・エディション)ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(45周年記念 ニュー・デラックス・エディション)
(2012/11/28)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ

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V.Uのこの1stで「Femme Fatale」「All Tomorrow's Parties」「I'll Be Your Mirror
の3曲をけだるく歌う彼女は、同アルバムをもってバンドを去るも、
ルー・リードジョン・ケイルといったV.Uの面々も含めた豪華作曲陣を迎えて
ソロ1stアルバム「Chelsea Girl(チェルシー・ガール)」をリリース、
その後も3枚のアルバムをリリースするも暫くはドラッグに溺れ、安定した音楽活動が
ままならないほどに。それから時は過ぎ、1981年に久しぶりのアルバムをリリースした後は
精力的にライヴ活動を行い、その模様を記録したのが今回紹介する2枚のDVDです。
そして1988年7月18日に不慮の事故により、享年50歳(45歳説あり)という若さで死亡。
アラン・ドロンとの間に認知されない子をもうけ、シングル・マザーとして子育てをしたり、
ジム・モリソンブライアン・ジョーンズルー・リードなどとも浮き名を流すなど、
波乱の生涯を送った「アイコン」「悲劇のヒロイン」「ドラッグ・クイーン」ニコの
80年代のライヴを収めた2枚のDVDを発見したので、ご紹介します。

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(2006/12/22)
nico

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All Tomorrow's Parties: Nico Live [DVD] [Import]All Tomorrow's Parties: Nico Live [DVD] [Import]
(2006/03/27)
Nico

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それぞれに収録されている時期は微妙に異なり、場所も異なり、計5本(実質4.1本くらい)の
ライヴを観ることができるわけですが、内容も結構変わるので、ライヴごとに違う顔、音を
覗くことができます。
そして、同じインタビュー映像が収録されていたり、カメラワークがそっくりだったりして
この2本のDVDは姉妹のような存在であることも窺い知れます。

2本のDVDを観て、ニコのライヴの特徴を羅列すると次のとおり。
●長身でけだるげにマイクスタンドを握りしめ、ステージ上でしばしば煙草をふかしたり、
煙草片手に歌い、アクションは殆どしない(ある意味、煙草プレイがアクションなのか)
退廃的な佇まいが基本。
●多くの曲でハーモニウムを演奏する。座って小さな鍵盤楽器に向かっている姿がそれだ。
一気にアーティスト然として見える。ハーモニウムはニコの楽曲のトレードマーク。
●比較的多くの曲ではハープシコード(インタビュー中、ニコがそう言っていた。ピアノを弾いて
いるように見える場面がそれだ)を弾き語りする。シンガーソングライター然として見える。
●音程は微妙だが、声量が凄く、比較的安定している。しばしば「排水溝に水が流れる時の音
とその歌声を揶揄されることがあったそうだが、広く長く朗々と伸びるアルトヴォイスは個性的で
ほかではみられない風合いがある。
●ハーモニウムを弾きながら歌う曲に多い呪術的で原始的な「ニコ節」と、ニューウェーヴパンク
といった当時の最先端のシーンを柔軟に吸収した楽曲との間を自在に泳いでみせる。
●V.U時代の曲「All Tomorrow's parties」「Femme Fatale」などはライヴの定番曲で
やっつけ気味のアレンジの原曲よりよほど名曲然として聴こえて驚かされるが、
ニコの代表作ともいえる1st「Chelsea Girl」からの曲はあまり演奏されない。
(ニコ曰く「他の人が作った曲だから」「私の曲じゃないから」。次回詳しく迫るが、
ニコにとって「Chelsea Girl」はかなり不本意な作品だった)
●「アイコン」とのことで、派手で奇抜な格好をしているのかと思っていたらそうではない。
地味だけどさりげなくお洒落な、何気ない服装がとても粋。
しかしV.U時代や「Chelsea Girl」時代の面影は薄れ、はっきり言って容姿はオバサンである。
地デジで観るアップは申し訳ないが放送事故レベルだった。視聴は食事どきを避けること。


DVDごと、ライヴごとの特徴を簡素にまとめると次のとおり。

<an underground experience + heroine>
an underground experience:82年製作。アンダーグラウンドのクラブで歌うニコ。
観客は頭ツンツンのパンクス青年が目立つ。屋内かと見紛ったが、ぼるい室内である。
力強いドラム、軽妙なシンセ。パンク直結、明るく力強いムードが他と比べてかなり異色。
茶髪(黒髪?)、囲み目メイク、目見開きがかなりゴス。椎名林檎などを連想させる。
アップが多くて視覚的にかなりキツい。
heroine:85年製作。マンチェスターのライブラリー・シアターで行われた
アコースティック・ライブ。ニコの独唱や、ハーモニウム、パーカッションの
僅かな伴奏だけで歌う楽曲が多い。緊張感があり、厳粛なムードが漂う。
ニコの楽曲のサイケデリック性、おどろおどろしさがむきだしになっている。
冒頭に「ICON」の文字、エンドクレジットあり。かなり遠景が多く逆に観づらい。

<All Tomorrow's Parties>
INCOGNITO:始まってすぐに呆気にとられること請け合い。
ジョイ・ディヴィジョンなどを彷彿とさせる80'sニューウェーヴの冷たいエレクトロサウンドに
無機的な光の演出。平板、無気力、退廃的、ほぼ直立不動というニコの歌や佇まいは
このシーンと予想の斜め上に相性が良いらしい。異空間に旅立てるひととき。
HACIENDA BIRTHDAY PARTY:ぼわっとした髪型で1曲だけ弾き語りをする、バースデイ
パーティの様子が収録(挿入といっても良いだろう)されている。
LIBRARY THEATRE:どことなく「heroine」ライヴに似ている。同一?
今度は80'sファンク系ポップス調のアレンジで幕を開けてアダルト・オリエンテッドな味わい。
そこから冷たいシンセサウンドと寒々しいギターに彩られて再びゴス風NWで退廃の美、
エスニックでドロドロとカオティックで醒めた、CANにも通じるようなニコワールドへ。
ラスト、メンバーが誰もいないステージで独唱するなど、無音、静けさをまとう姿も目立つ。


バンド内の立場(ウォーホルに無理矢理押し込まれたメンバー)もあってか、V.Uの1stでは
消化試合的な位置づけだったニコ曲は、さまざまにアレンジされてライヴのハイライトとなり
これらの曲のメロディの美しさにうっとりさせられ、淀んだムードを静謐に清めてくれます。
たいして綺麗でもないエラはりでむっちり太って汗ばんだおばさんを「ICON」として
見続けるのは厳しい瞬間もありましたが、にもかかわらず無二の存在感と迫力を感じました。
さまざまなシーンを自在に泳ぐ姿を見て、「雰囲気を身に纏う」ことができるがゆえに
唯一無二の「ICON」であり続けることができたのだろうと考えていました。
インタビューでは同じ話を何度もしないと通じなかったり、挙動不審の節もあって
嫌味?ドラッグ?と不安になったり不快になったりしたものですが、何故か憎めない。
けだるさが耽美になり、退廃が快楽になる。
彼女の魅力、魔力の真骨頂を堪能できる2DVDでした。

次回は、これらのDVDにほぼ全く収録されていなかった、ニコの一般的な代表作である1st
「Chelsea Girl」についてとりあげます。



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テーマ:CD・DVD - ジャンル:音楽

コメント

お世話になりました!

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは70年代では早過ぎた、と言われるほど前衛的なバンドでしたよね~。独自の退廃的でアヤシイ雰囲気が癖になったものです。
その中のNICOという女性を私も謎に感じ、気になっていたのですが
これまで大して調べることもなかったため朝やけさんの記事、勉強になった?というか興味深かったです!

そうですか。若いころの写真などで見るとスラリとしたモデルっぽい女性の印象なので
この映像で朝やけさんが何度も何度も(笑)言っている
「キツイ容姿のおばさん」になっちゃうのはイメージわきませんね・・・
見たらビックリするかも!(汗)

NICOの一般的な代表作もあるのですね~
次の「Chelsea Girl」に注目した記事も読ませていただきますねー!

朝やけさん
今年はいろいろお話しできてたのしかったです。
朝やけさんの視点で書いた記事読むのをたのしみにしています。

また来年もよろしくおねがいします。

記事を書くにあたり、かなりの下調べが要りました

rikoさん、あけましておめでとうございます。

本当に聴くほどに、何がどうして60年代末~70年代にあんなのが出来ちゃったのか、
メンバーに未来人でもいたのかと・・・>V.U
そのすみっこにちょこっといたイメージだったニコでしたが、どうも面白い
ソロ活動をしていたらしいと聞いて、アルバム「Chelsea Girl」を聴いてハマり、
DVD2本を観てみた次第です。
下調べに時間がかかり、1週間くらい記事UPが止まってしまいましたが(苦笑)

ニコが亡くなったのは88年で享年50歳(45歳説も)、となるとDVDの時代は
40代前後。うーん、あんなにスラッとしたモデル体型も、加齢には敵わないのかと
衝撃を受けていました。
怠惰な生活を送っちゃっていたのかもしれませんが。ドラッグにもかなり
ハマっちゃっていたようですし。


いつも来ていただきありがとうございます。コメントによせられる
rikoさんの視点は、とても考えさせられるものがあります。
そして違う名前ですが(笑)またそちらへも伺わせていただきます。
今年もよろしくお願いします♪

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