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Ramones:End of the Century「ラモーンズの重くて暗い側面・・・愛はそこにあった、けれどいつも時代や伝えたい人とすれ違った」

End of the Century」は、パンク・ロック・バンド、Ramonesラモーンズ)のギタリスト
ジョニー・ラモーン曰く「ぼくたちの重くて暗い側面を表現している」という映画。
報いが少なく苦労が絶えないバンド人生を20年も続けてきた彼らの悲哀、皮肉、
どうしようもない運命の悪戯、どこにでもあるけれど難しい人と人との行き違い。
キャラクターの立った、そして故にぶつかる、3人の今は亡き主要メンバーたち。
また、そんな彼らを愛してきた人々、深く影響された人々の物語。
まるで人生そのもののような、甘くて苦いドキュメンタリーです。

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(2005/06/08)
ラモーンズ

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<オリジナルメンバー4人が出会い、ラモーンズが誕生する>
ジョニーディー・ディートミーの三人はニューヨークの同じ区で育ち、
高校時代、いつもつるんでは悪さをしていた。
ジョーイも同じ区の中にいたのだが、「嫌い以前に知り合いになりたくないから」
という理由でこの仲間には誘われず、周囲の人間には専ら「変わり者」とみなされてきた。

その後、ジョーイは精神科で「強迫神経症」という診断を受け、医者から
この子は一生社会の役には立てないでしょう」というショッキングな宣告をされる。
母や弟が心配を募らせる中、ジョーイは彼にしかできない役割を見つける。
弟のミッキーがロックバンドのライヴに行くと、別人のように、「変身していくように」
鮮やかに自分を表現するジョーイの姿があった。
彼はのちにラモーンズのローディーとして、兄に、バンドに欠かせない存在となる。

ジョニー達もロックやロックバンドに興味を持ち始める。
トミーがプロデューサーで、ジョニーがベース、新しく加入したジョーイがドラム、
そしてディー・ディーがギターヴォーカルだったが歌うか弾くかどちらかしかできない。
そこでトミーは、ジョーイをヴォーカリストに据えることを思いついた。見事に嵌った。
ジョニーの嘆願でトミーもドラマーとしてメンバーに加わることに。

そしてオリジナルメンバーによるラモーンズが誕生する。
ディー・ディーがイントロで「1,2,3,4!」と叫ぶ、このカウントは彼らが創始者。
ジョニーが銃を持つかのような体勢でモズライトを構える、それは彼が鳴らす音そのもの。
ジョーイは一見ヴォーカリストらしくないが、長身も手伝いステージでの存在感は絶大。
トニーはゆったり構えてフロント三人を見守りながら独特のスタイルでドラムを叩く。
出会うべくして出会った四人は、作中では、ビートルズの四人にも擬えられる。
下積みを経て1976年、「ラモーンズの激情」でアルバムデビューを果たす。


<UKパンクに与える影響はこんなにも大きいのに、フォロワーはあんなに売れるのに>
揃いの衣装で軍隊のように統率され、初期衝動に溢れた瑞々しい音を鳴らすバンド。
MCなし、機関銃のように簡潔で攻撃的な楽曲が矢継ぎ早に繰り出される激しいライヴ。
ダウンピッキングのみのストロークがつくりだす「轟音の壁」。
ゆっくり演奏したらビーチ・ボーイズになりそうにポップな曲、独自の世界観の歌詞。
ジョー・ストラマー曰く「あんなに力強いライヴは初めて」「轟音の嵐」「無駄がない」。
UKを訪れたラモーンズの楽屋に潜入してみたいと恐がりながら言うジョン・ライドン
サウンドチェックの際にラモーンズの曲を使用するシド・ヴィシャス
アメリカでさっぱり芽が出なかった彼らはイギリスへ、そこで大いに受け入れられた。
ラモーンズが生んだパンク・ロックの潮流はセックス・ピストルズクラッシュなどに
脈々と受け継がれ、「まるでコピーのような」クラッシュの楽曲がヒットを軒並みさらい、
USでのパンクのイメージはセックス・ピストルズによって凶悪で野蛮なものとなり、
本家本元であるはずのラモーンズは、本国でどんどん居心地が悪くなってしまう・・・
現在では「ラモーンズでまず聴くべきCD」として挙げられるデビュー作~3rdの頃、
ちやほやされているものと思っていたら、本国では随分と事情が違っていた様子。
メンバーは少なからず、こうした無念や理不尽に打ちのめされる。


問題作「エンド・オブ・ザ・センチュリー」というターニングポイント
トミーは心身共に疲弊しきってしまい、メンバーを辞めプロデューサーに専念することに。
いつも皆を仕切りながらも本当はトミーを心の拠り所にしてきたジョニーは
ショックを受けるが、マーキーを見出し、新たなドラマーとして迎え入れる。
マーキーが加入してドラムが攻撃的になった。普段はジョークを言って場を和ませる男。
新体制で挑むアルバムで、ラモーンズは賭けに出た。
メンバー皆、とりわけジョーイの憧れ、フィル・スペクターをプロデューサーとして迎え、
エンド・オブ・ザ・センチュリー」をリリース、バンド史上最大のヒットアルバムとなる。

しかし・・・バンドの史上では最高であっても、マーケットの市場では思うほど振るわない。
そのうえ音楽性が今までのロックからポップス路線へとすっかりズレてしまい、
ロック路線を貫きたかったジョニーは憤りが募る。
一方、フィルは他のメンバーを無視してジョーイ一人を贔屓してアルバムを制作した。
これもまた、ジョニーなどが不満を抱いた理由である。
ジョニーはこの作品の「失敗」で悟った「俺たちは売れないんだ」・・・


<ジョーイ、ジョニー、ディー・ディー・・・もつれ、壊れていく人間関係>
80年代は更に苦戦を強いられるラモーンズ。
心身を常に病んでいて昔の恨みを忘れないジョーイ、支配的で時に暴力的にもなるジョニー、
「6歳児の子ども」のごとく破天荒で自由を求めてやまないディー・ディー。
70年代末頃から前兆がみられたが、苦境を機に彼らの関係性が本格的にほころび始める。

「エンド・オブ~」の商業的成功でジョーイは自信をつけて、今までは言えなかった
自分の意見をどんどん発言するようになる。それがメンバーとの軋轢を次々に生み、
気がつけばジョーイは孤立してしまう。そして、ジョニーとの長い対立の序章となる。

そこに決定的な出来事が起こる。
ジョーイの恋い焦がれていた女性・リンダが、ジョニーと恋に落ちた。
二人は後に結婚し、リンダはジョニーの最期まで看取るほどで、これは普通の恋愛であって
決してジョニーがジョーイへのあてつけに恋人を奪ったものではない。
しかしジョーイの認識は違った。「The KKK Took My Baby Away」という曲で歌われる
「俺の彼女を連れ去った」KKKとはジョニーのこと。
曰くつきのこの曲はライヴで何度も演奏された。当のジョニーは「ファンが求める曲なら
何でもやる」と割り切って演奏していた。
そう言いながらジョニーのほうでも小さな罪悪感が芽生えてしまったのか、
ジョーイとジョニーは音楽関係の話以外ほぼ一切、口をきかなくなる
皮肉にも、最期まで。

「軍隊」のように決まり切ったスタイルが次第に窮屈になったディー・ディーは
バンドの脱退を申し出、ラッパーへと転身。代わりにC.J.が加入する。
後に書くようにメンバーの出入りが慌ただしくなっている数年だったが、
ジョニーにとってこのディー・ディーの脱退は「傷ついた」と述懐させるほどのもの。
本作での後入りメンバーやバンド関係者によるインタビューは「ディー・ディーは破天荒、
ジョニーは気難しい、ジョーイは優しくていい人
」という感想ばかりが並ぶ。
C.J.は加入当初について「かなり慎重に空気を読むよう心がけた。ジョニーは尊敬するけれど
父親みたいで、友達にはなれなかった。ジョーイはいい友達だったよ」と述べている。
(2005年の「Too Tough To Die」のスピーチで言ってた言葉はホラかよ!・・・それは次回で)
本作が制作されたのは2002年頃、公開は翌年で、制作当時(除くラスト)死者はジョーイのみ。
だから「死人に口なし」という道理でこのようになっている部分もあると思われる。
しかしどこかで彼らの本音はすっかりインタビューの文言通りなのかもしれない。
そうなるとディー・ディー脱退以後のジョニーは孤立無援状態。
ディー・ディーはジョーイとジョニーの冷戦関係を知らなかったわけではないから、
彼の脱退は、ジョニーにとって裏切りと感じられたのだろう。
インタビューにてジョー・ストラマーが「バンドには誰か統率する存在が必要、
メンバーに最低限のきまりを守らせるのは大事
」と、ジョニーを擁護する発言をしている。

<安定しないドラマーの椅子>
荒んだ空気に息がつまりそうになりながら冗談も空回り、マーキーの酒量は増えていき
ついにはアルコール問題によるクビを言い渡されてしまう。
その後に5年間だけ加入したのがリッチー。しかし、バンドの一員とはみなされず
オリジナルTシャツのギャラさえも払われずお払い箱にされてしまう。
「そのぐらい払えよ・・・おいおい、ケチだよ・・・」観ながら思わず口をついて出そうになった。
インタビュー中、当然リッチーは憤っている。後にジョニーを励ます為に開かれる
トミー、マーキー、C.J.勢揃いのライヴにすら、その姿はない。
ここにジョーイとジョニー以上の深刻なわだかまりが誕生してしまった。

クリーンになってマーキーが戻ってくると、相も変わらずジョーイとジョニーが
対立しているのを見て吃驚。「またかよ・・・」という心境か。
マーキーは誰を心の拠り所にこのハードなバンドを続けたのか知りたいところ。


<90年代の限界、そして解散、引退、ジョーイの死>
ニルヴァーナ、後にジョニーの親友になるエディ・ヴェダー率いるパール・ジャム
90年代に一世を風靡したオルタナ/グランジバンドは皆ラモーンズを褒めているのに
90年代のチャンスも掴むことができない。
デビューからもう20年近く。もう疲れた、もう十分な名声を手にした。
第一線を退く時がやってきた。そうメンバーは判断した。そして、解散、引退。

この解散・引退にはもうひとつ理由があるかもしれない。
本作には描かれていないが「ジョーイは1990年代中頃に、リンパ腺専門病院に
通院する姿を目撃されていた」という情報があることから、ジョーイは長年にわたり
リンパ腺腫瘍と戦ってきた
と考えられている。(ジョーイの死因はリンパ腺癌)
そんな彼を労っての判断なのかもしれない。
ソロ活動も色々としているし、ジョーイ自ら「もう限界」と名乗り出るのは考えづらい。
そうするとジョニーが遠回しに気を遣ったのだろうか。

ジョーイの病状が重篤になっても、その命が尽きようとするときにも、
心配な気持ちに苛まれながら、ジョニーは最期まで彼の元へ行くことをしなかった。
「仲が悪かった奴と死ぬ目前になって和解するというのはどうなのか」
「姿を見られたくないのではないか」
ジョニーの中で思いやりと不器用さとが交錯していた。
そして、二人は和解を果たさぬまま、永遠に別れた。


<ロックの殿堂入り、もう一つの別れ>
2002年、ラモーンズはロックの殿堂入りを果たし、会場の壇上で存命のメンバーが集合する。
デビューから20年、30年近くもの月日を経て、彼らはやっと日の目を見たのだ。
しかしその僅か2ヶ月後、ディー・ディーがヘロインのオーバードーズで死亡
ここで本作はぷつりと呆気なく終幕を迎える。何とも淋しい限りだ。
「ラモーンズとは愛されず、運が悪い、淋しいバンドである」そう言いたいのか?


<本当は愛されていたラモーンズ、今改めて愛されるラモーンズ>
故ジョー・ストラマー。ソニック・ユースのサーストン・ムーア。ロブ・ゾンビ。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニーとジョン(喋っているのはジョンのみ)。
他にも沢山のアーティストが、ラモーンズにどれだけ衝撃を受けたか、影響を受けたか、
音楽をはじめるきっかけになったか、楽曲やメンバーのことが好きか、熱く語っている。
ジョーイの弟でローディーとしてラモーンズに尽くしたミッキー、ジョーイの母、
ラモーンズに掛け値なしの愛を注いでサポートしたスタッフやマネージャーの存在も。
当時は大騒ぎされなかったかもしれないが、本当はこんなに沢山の人がついてくれていた。
また、ストラマーのルーツだから、レッチリのメンバーが好きだから、など様々なきっかけで
時を超え現代の若者がラモーンズを聴いて心酔し、ロゴ入りTシャツを着たりもしている。
この辺りはジョニーに捧ぐライヴ「Too Tough To Die」に詳しいので、レンタルDVD等で
実際に観てほしいと思う。何だ、彼らこんなに愛されてた(る)んだって一目で分かるから。
こちらの作品については次回の記事でとりあげます。




タイミングが色々と悪かった。パイオニアならではの苦労。
愛聴するファンはところどころにいたけれど、それがセールスに繋がらなかった。
不器用に愚直に20年間も転がり続けた。ぶつかり合いながらも、やめなかった。
「脳天気でお馬鹿で少しお洒落なパンク」として扱ってきた今までを詫びたくなります。
いや、その名義はそのままでいいから、そこに「真っ直ぐな」という文言を加えましょう。
ラモーンズとは馬鹿みたいに生真面目で真っ直ぐなバンド、音楽なのだ。
それが、あまりにもよくよく分かる、痛いほど哀しいほど理解できる作品でした。




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コメント

燃える朝やけさん!

私もこのドキュメンタリー観ました。
ラモーンズはああいった曲調なので、最初は聴きなれたラモーンズサウンドにワクワクして観ていたけど、終わる頃には、自分が思い描いていたイメージとは全然違うバンドだったんだ・・・とわかって、ちょっとしんみりしてしまったんですよねーi-241
そしてさらに好きになった!笑

私はジョンがジョニーと仲良しというのがすごく意外で、どちらかというと(繊細どうし)ジョーイと仲良しっぽいのに・・・と思いましたが、やっぱり人って自分にないものを持ってる人に魅かれるのかな?

ジョン、リンダさんともいまだにほんとーーーに仲が良さそうですよね。
そしてリンダさん!サングラスをとると、すごくきれいな人!クールだし!
これでは、ジョニーとジョーイが取り合うハズですね。

実は記事書き直前にニアミスしてました

なみっぺさん、こんばんは。
映画2本を観てまとめメモを作り、「なんか画像でもないかなぁ」とか言って
ググっていると、偶然なみっぺさんの「End of~」と「Too Tough~」の記事を
見つけてしまいました・・・
ひとの感想を読むとすぐ引っ張られるクセがあるので、内容を読む前に
急ぎ足で引き返し、週末使って2記事書いて、今これからそちらには
ちゃんとうかがいます(苦笑)すみません。。

「End of~」を追いかけていると、所々でジョニーに「強がっている人特有の
繊細さ、弱さ」が見えました。レッチリでいえばアンソニーにも似たような
ものを個人的には感じます。
そんなところで(+同じギタリスト繋がり)ジョンだったのかな、と。
(同じ要領で、アンソニーとジョーイは何となく仲良くなれそうな気がする)
あとは、ジョーイと和解できなかったぶん、ジョーイに似た要素を
友達に求めたのかもしれませんね。

リンダのノーグラサン姿って出てましたっけ?見逃しただけ?
あ、若い頃で、メイクキメキメの姿があったような。
ジョーイの弟さん(ミッキー)が「ジョーイがリンダに惚れたのは、リンダは派手で
連れて歩くと自分がロックスターに見えるから」とか言っちゃってますね(苦笑)。
ジョーイは恋に恋していた感じだったんですかねぇ。
でもまぁ、「Too Tough~」の特典映像のリンダインタビューを聞くかぎり、
リンダの相手はやっぱりジョニーで正解かも。

興味深い映画ですね♪

知らなかったです@@

パンクの元祖として知っているラモーンズは
私個人としては「シンプル且つラフで能天気」なイメージ、
まさに”We're a Happy Family”なノリでした。
このレビューを読んでいて彼らの暗い側面を知り驚きました。

ラモーンズは真っ直ぐな姿勢のバンドだと思います。
(AC/DCと肩を並べるほどスタイルを変えないというか)
それってすごい才能だと思いますし、そこが好きなところのひとつです。
この映画を観たらますますラモーンズが理解できるのかも?と思いました。

このドキュメンタリーぜひ観たいと思います♪
ご紹介ありがとうございました☆

AC/DCも頑固者なんですなあ

rikoさん、こんばんは♪

>「シンプル且つラフで能天気」なイメージ、”We're a Happy Family”なノリ
ですよねぇ。。
ただ以前にザ・フーのドキュメンタリー映画を観たとき、本作と同等かそれ以上に
根こそぎ暴いちゃっていたので、本作は、ある程度は驚いたものの、ぶったまげは
しなかったかもしれません。
あれ以上の衝撃はなかなかないかも・・・>ザ・フー

ラモーンズは真っ直ぐすぎて、年月を重ねるほどにどんどん報われなくなっていって、
観ているのが段々しんどくなってくるほどでした。
それが手のひらを返したかのように解散後、ジョーイの死後、
一気に再評価されて、ずっと本作を観ていると複雑な気持ちにもなりました。
彼らの真っ直ぐさがそれほどまでのものだと知りました。

そしてrikoさんのコメントでAC/DCもスタイルを変えないバンドだと知りました(笑)
相変わらずチェックが遅いHR/HM方面。しかし、そうですか、ラモーンズに並ぶ
頑固者がいるのですか。ちょっと気になりますね。
寧ろ教えて頂きましてありがとうございます。

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Author:燃える朝やけ
・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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