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さよなら絶望先生「ギャグマンガのオチを真面目に考証するバカが登場!だって大風呂敷の畳みっぷりが半端ないんだもん!」

濃すぎるキャラ達、コマの節々まで張りめぐらされた小ネタ、
ほくそ笑んだり苦笑したりする鋭い時事~社会通念へのツッコミ、
昭和初期風味のレトロな世界観、白黒中心の独特の画面、
PCを駆使して描かれるシャープで無駄のない絵。
「絶望少女たちを厄介な順番でランク付けしよう」というバカ系の構想もあった
さよなら絶望先生」ですが、コミックス29集後半~ラストの30集を読んだら
そういうのもうどっかへ吹っ飛んじゃうくらい衝撃のラストが待っていました。
29集後半(290話)から徐々に顔を出す、ラストに繋がるキーワード。
そして最後の4回で、広げた大風呂敷を怒濤の勢いで畳んでしまった!
しかもこれが初めから考えられていたもので、伏線となる仕掛けもされていた
(毎回絶望少女たちの誰か一人が登場しない。理由はあの子を演じているから・・・)
って言うんだからさぁ大変。
もう、ギャグ漫画だからオチなんて適当にやっつけたなんて思えなくなってしまいました。
はじめは「凄い」と吃驚したものの考えているうちにどんどん「?」が増えてきて・・・
さぁ、考証せねば!
このラスト、一体、どうなってるの??

さよなら絶望先生(30)<完> (講談社コミックス)さよなら絶望先生(30)<完> (講談社コミックス)
(2012/08/17)
久米田 康治

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モロにネタバレなので「続きを読む」に続きを書きます。
ネットにはネタバレの感想もとっくにあがっているけど、私のようなレンタルコミック派で
まだ読んでないという方もいると思われるため。

まずは一旦、時系列に沿って、流れを整理してみましょう。


風浦可符香こと赤木杏高校入学前:交通事故で死亡。
その時に偶然すれ違った絶望先生)とのアクシデントが原因とも考えられ、
妹のは、望がこの件で杏に対して自責の念を持ち続けていると懸念している。
杏は臓器提供意思カードを持っていたため、望の兄・絶命先生)の執刀により
脳死後、臓器提供が行われる。
臓器移植コーディネーターの智恵先生は、彼女の人となりを断片的に伝えるために
杏がよく読んでいたフランツ・カフカの「変身」にちなみ「風浦可符香」のPNを与える。

絶望少女たちイタコ前:各々がそれぞれの理由で自殺未遂するも一命を取り留める。
彼女達を救ったのは、杏が提供した臓器だった。
杏が通称「ポジティブ遺伝子」の持ち主だったためか、少女たちは一転、生きようとする。
このとき、昭和の生きられなかった・高校生活を送れなかった魂に遭遇、イタコになる。

絶望少女たち高校入学~学園生活:昭和の生きられなかった魂の依り代となって、
望が担任を務める2のへ組で、彼女達の代わりに高校生活を送る。
元々は出身も年齢もバラバラな、見ず知らずの少女たちだが、高校生活を送るうちに
次第にみんなは本当のクラスメイトに、望は本当の担任になっていく。
絶望少女達の臓器の中に存在するカフカの人格が代わる代わる出現し、
毎回、交代でカフカを演じる(このために毎回絶望少女達の誰かが登場しない)。
また、望に何かあった時のためのバックアップ要員として、望の父によって
男子生徒たちが用意される。彼らも次第に本当のクラスメイトとなっていく。

絶望少女たち卒業:3.1のへ組に進級した少女達は、望の兄・によって戒名をつけられ、
望によって死後卒業が行われて、籍替えされ、鬼籍に入る。
これにより、昭和の魂が本当に成仏できたかは、定かではない。

卒業後:望は転勤し、離島(コミックス30X話に則ると「臓物島」)の小学校の教師となる。
そこで4人の生徒達を受け持つ。彼らもまた、卒業できなかった魂の依り代で、
縁の息子で長いこと望のもとで過ごしたは、ひろし君の依り代となる。
久藤君が里帰りに訪れる。彼は自殺も輸血も許されない家に生まれたにも関わらず
輸血を受けたため、「死んだ子」とされ、一時期、この島で保護されていた。
イタコの役割を終えた絶望少女たちが、大挙して望を訪ね、死後結婚を迫ってくる。
逃走した望はやがて海のそばの崖の上に建つ教会にたどり着く。
そこには、紫の花束を持って、花嫁衣装を着たカフカの姿があった。

その後(コミックス掲載・ひとつの可能性としての30X話):望は杏への純愛を貫くために
杏の臓器を引き継いだすべての女性=絶望少女たちを妻とし、臓物島で暮らす。


どこまでが昭和の生きられなかった魂でどこからが絶望少女たちの素なのか
混乱したため、「イタコ」「(かんなぎ)」についてWiki先生に聞いてみた。

・イタコは、日本の東北地方などで口寄せ(神仙や死者・行方不明者の霊などを自身に乗り移らせてその言葉を語ること)を行う巫女で巫の一種。 シャーマニズムに基づく信仰習俗上の職である。
・巫(ふ、かんなぎ)は、(略)神意を世俗の人々に伝えることを役割とする人々を指す。(略)自らの身に「神おろし」をして神の言葉(神託)を伝える役目の人物を指すことが通例である。

Wiki先生による詳細はこちら→ イタコ 

絶望少女たちはあくまで「~のようなもの」と説明していて、そのものとは
言っていないので、ここに書いてあること全てがそのまま当てはまるとは限らないが
引用部分を参考にするならば、絶望少女たちの言動、性格は昭和の魂、
肉体や容姿や本名といったものは少女たちの素になる。
さて実際の漫画ではどうだったか?
死後卒業時、漫画で登場した名前は戒名として籍替えされ、クラス名簿には
戒名とともに少女たちの写真も載っているが容姿は変わっていない。
臓物島に来た少女たちの性格は今まで通り。一方、あびるちゃんが交に
「こんなリアリティのあるオバケどこにいる」と言ってほっぺつねつねしている。

絶望少女たちが代理したのは、「2のへ~3.1のへ組の高校生」という役割、名前、
見ず知らずのクラスメイトや親兄弟
といったところだろうか。
役割等は代理するけどあのキャラは彼女達の元来のものなのだろう。
キャラまで昭和の魂なら、もっともっと昭和的発想、発言が出てくるはずだし。
もしくは、臓物島にいるから普通の人間のように見えるだけで、実際はもう全員
「リアリティのあるオバケ」になっているとも考えられる。
「イタコや巫のようなもの」「依り代」という説明からいくと、多分前者では。
しかし死後結婚を迫ってくるからなあ・・・・・・依り代の性質は既に失っているけれど
「えーい死後卒業までつきあったんだからその勢いで死後結婚までしてよ!」っていう
ノリなんだろうか。

カフカ=杏がラストで忘れられていくのはどうして?
絶望少女たちが昭和の魂のイタコを終えようという最終巻、カフカが一切登場せず
(除く偽札や回想場面)、死後卒業後の少女たちはカフカを忘れてしまう。
けれどトロイメライの唄を歌えたりと、カフカ=杏の魂や記憶は少女たちの中に
静かな転生を果たす。
杏の臓器が少女たちの体内に宿り続けているのは変わらないのに、なぜ?

Wikiの絶望先生の項目を見ていると少女たちが「昭和の魂=杏」を宿した印象を受ける。
確かに一種そんな側面もあったのかもしれない。高校入学前に死亡して、
学園生活を送れなかったのは杏も同じで、死後卒業によって成仏したために
絶望少女たちのもとに人格が表出しなくなったとも考えられる。
けれどこの作品は基本リアルタイムだから杏の年齢が合わない。望と杏の接触時、
杏が幼児だったとして、どう頑張っても平成の魂だ。
(それに、あのシルエットの身長差はやはり幼児ではない、高校入学直前だろう)
カフカの共有人格と依り代の昭和の魂は、また別の話なのではないか。
自分の臓器を託した少女達が頑張って生きて、イタコの役割を果たそうとしている。
そんな姿を杏は母のように慈愛に溢れた眼差しで見守り、時々は人格表出して援護し、
無事つとめを終えた少女たちを見届けたところで、ようやく安堵したのではないか。
随分と電波な援護だったけど(笑)


久藤君はバックアップ要員か、絶望少年か・・・彼も望に愛されるのか?
他の男子達と一緒には出てこず、一人だけ「この島で保護されていた」という設定が
ついている久藤君。輸血を受けたのは事故かもしれないのに、わざわざ
自殺も輸血も許されない」家と説明しているあたり、彼も自殺未遂した少年では。
昭和の卒業できなかった少年の魂の依り代なのかまでは定かでないが、
このタイミングで輸血を受けたと言うのは、杏から血をもらいましたと言っているのと
同じように映る。少なくともカフカのことは見えていそうだ。
久藤君がカフカを演じていた回があるかもしれないと考えると気味悪いが(笑)。
さて、そうすると、例の臓物島、望の妻のなかに久藤君が混じっている可能性がある。
ネット上では(多分コミックス派の人達)ウェディングドレス姿のカフカの正体が
久藤君だという説まであった。
(首からさげたロザリオ、カフカの紫の花は男色の暗示、など)
もしそうなら「ハーレム漫画への皮肉」としてはあまりにどぎつく、痛快なオチだ。
望は女の子だけでなく男の子まで囲っちゃう、なんというハーレム。
藤吉さんが喜びそうな展開だな・・・(苦笑)


杏からの臓器移植を受けていない男子達や倫には、カフカは見えているのか?
カフカという共同幻想共有人格が成立したのは、絶望少女たちの体内に
杏の臓器が宿っているから。では、それと無縁の男子達や倫にはどう映っていたのだろう。
毎日女子は誰かがトチ狂って違う人格になるな、と奇妙な眼差しを向けていたのだろうか?
どういう仕組みかは不明だが、クラスを共有することで、カフカという共同幻想が
成り立っていた
のかもしれない。
また、倫など望の身内は、事情を知っているから、日替わりで登場する「カフカ」を
素知らぬ顔で黙殺することができるだろう。(臓器移植の件は命に聞けばわかる)


望は昭和の卒業できなかった魂専用の教師?死後卒業は糸色家の事業の一環?
いつもなら、こんなオカルトな展開がどんどん進んでいると、途端に怯えた後で、
ビシッとツッコミを入れるのが望のキャラだったはず。
しかし縁から戒名を書かれた死後卒業証書を受け取って覚悟を決めた表情になったり、
少女たちを淡々と戒名で呼んで式を進めていったり、臓物島へ転勤になって
「ひろし君はまだ死んでないから3.1人」と生徒に言われても普通に応答したり。
これは間違いなく、全て分かっててやっている。
「なぜ高校教師が小学校へ赴任?!」と違和感を覚えた場面だったが、
望は昭和の卒業できなかった魂を成仏させるための絶望先生という仕事に
従事していると理解すると、そんなにおかしな話ではない。
望のバックアップ要員の男子が「父上の差しがね」で用意されるあたり、
糸色家の事業の一環である可能性も高そう。
縁は(最近始めたとはいえ)死後結婚、命は臓器移植手術執刀(そもそも医師)、
で一応、景は絵を、倫は花を手向ける。
縁が「ウチは葬儀屋じゃないぞ」と言っていたが、「全員が○○先生」の裏には
全員が弔いに関わる職業をしている」という設定がついているのだろう。
・・・書いていて、ちょっとお祓いに行きたくなってきた。



「ギャグマンガなんだから適当に決めちゃっただけ」普通の漫画なら、というか
第29集中盤までを読んだ段階なら、そして久米田先生の「紙ブログ」による「自白」
(最初からオチは考えてあった、ハーレム漫画を皮肉るための漫画だった、
何とかして全員とくっつける方法を考えた結果このようなオチになった)
を読んでいなければ、何もこんなアホな考証なんてしないのです。
だって、あんまりにも、伏線を回収しまくり、というか序盤から張られまくりだもの。
馬鹿にしてやってください。
チキショー、これじゃ久米田先生の思うつぼじゃないか!
ギャグマンガの適当に考えたオチをクソ真面目に考証する読者」って風刺が登場しても
苦情言えません!



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