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Syrup16g 中編:HELL-SEE,Mouth to Mouse,delayedead「普段後ろ向きな人が見出した希望こそ、こんなにも強く深く胸に響き渡る」

2003年以降の作品では、認知度が格段にアップ、音楽も心なしかキャッチーで
前向きな要素が加わってきたSyrup16g。セールスの向上なんかもあったのでしょうか。
なんにせよ、今回紹介する、いわば「中期」の3枚は、それぞれに吹っ切れて
病みすぎずピンピンすぎず、かなり入りやすい、丁度良い塩梅の作品揃いだと思います。


まずはHELL-SEE(ヘルシー)から。

HELL−SEE【reissue】HELL−SEE【reissue】
(2010/10/27)
syrup16g

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見間違い?!1,500円という価格破壊が話題騒然になった一枚。なぜ?
そして歌詞カード最終ページには「へる氏ー」という名のゆるキャラ。
いろいろ謎だらけです。
因みに、#2「不眠症」では「うるせぇてめぇ メェー」という歌詞があって
ジャケットは羊(の群れ)と赤に染まった不気味な画面。
ちょっと、うすら怖い?

知人から「サンプル品」を「もらった」ため、元の値段と相まって「そんなに安いのは
楽曲のクオリティが安っぽいからなんじゃないの」という猜疑心が抜けず、
偏見によって、他の作品と比べるとあまり聴いてこなかったアルバム。
でも改めて聴いてみるとまったくそんなことはないです。
これまでと比べてかなりアグレッシブ。内よりも外へ攻めていく音作り、
本作から顕著になる「人を小馬鹿にしたような言葉遊びのゆるい歌」が登場して
楽曲の幅がまたグッと広がっています。

そして今回紹介する3枚は全て希望を歌ってアルバムが締めくくられ、本作のトリ
#15「パレード」では遠回しながら「明日も生きたい」というファンへのメッセージ。
また、前作では欠員補填の色合いが強かったキタダマキさん(Ba)がバンドに馴染み、
キタダさんがアイデアを積極的に出して作った曲なども登場するようになったそう。
バンドのカラーが少しだけ明るくなったのは、キタダさん効果があるのでしょうか?
(あとは単純に、バンドが軌道に乗ったことで五十嵐さんの気持ちが安定したなど)
サウンドも、キタダさんのベースは滑らかで、よく聞こえてきて、メロディアスで
スリーピースバンドとして三位一体に近づくことに成功した印象です。


次に、曲単体でのお気に入りが多い「Mouth To Mouse(マウス トゥ マウス)」。

Mouth to Mouse【reissue】Mouth to Mouse【reissue】
(2010/10/27)
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シングルカットもされた(現在は絶版)#2「リアル」は、bloodthirsty butchers
吉村秀樹さんがフィードバックギターで参加している、という曰くもありますが
(何気に五十嵐さん達、交友関係広いんですよね・・・それもびっくりするほど)
何が好きって、この歌詞。
最初から前向きで自信満々な人に希望なんて歌われたってウザいだけなんですが
Syrupみたいに本来後ろ向きな人が見出した希望なら大いに共感し、応援できる。
こんな自分が相当ヒネてて暗いことは百も承知ですが、この曲があるから
そういう厄介な自分だってもしかして愛せるかもしれないって思えそうになります。

リアル 作詞・作曲 五十嵐隆

命によって 俺は壊れた
いつかは終わる そんな恐怖に
でも命によって 俺は救われた
いつかは終わる それ自体が希望

お前にこの一生捧げよう
必要なくなって 見捨てられるまで
許しがたいまで 腐り切った
魂は水で洗い流して

圧倒的な存在感
生身の感情の表現
すべての言葉しっぽ巻いて
逃げ出すほどのリアル

遠いよ みんな遠いよ
本当のリアルはここにある

必死なのはかっこ悪くない
むしろその逆
笑っていた
感じられること
すべてを喜びに変えろ

妄想リアル もっとSO REAL


他にも、「セ・ラ・ヴィ これが人生 やっとおもしろくなってきたんだ」と歌う
#1「実弾(Nothing's gonna syrup us now)」、
サナギが蝶になって飛んでいく様子に飛翔のイメージを託した#9「変態」、
「愛しかないとか思っちゃうヤバい」とまで歌ってしまう締めくくりの#14
Your eyes closed」など、「どうした?」と訝るほど穏やかで
いつもの屁理屈をやめて希望的観測を前に出した、聴きやすい楽曲が多めです。

#5「My Song」のシングルはわざわざ買ってしまいましたっけ。
(現在は絶版→#4「パープルムカデ」のシングルとあわせてリイシュー)

パープルムカデ/My Song【reissue】パープルムカデ/My Song【reissue】
(2010/10/27)
syrup16g

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美メロにのせて、女性の目線で綴られた端正なラブソングに耳がくぎづけ。
私小説だけでなく、フィクションにも優れた作家へと大きく成長した
五十嵐さんの卓越したソングライティングを堪能することができます。
キャッチーでポップな曲が多めなので、Syrup初心者はここから入るのも良いかも。



そして原点回帰「delayedead(ディレイデッド)」。

delayedeaddelayedead
(2004/09/22)
Syrup 16g

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本作は「COPY」リリース時に在籍していたインディーズのレコード会社からのリリース。
この作品もあっという間に出来上がったアルバム。昔の作品(インディーズ時代の
アルバム「Free Throw」の曲やそれ以前の曲)を新録で多く収録しているのが
大きな要因。コンセプトが「delayed」と似ているのでそれをもじったタイトルに。
一番時間がかかったのが、ジャケットに使われている飛行機のプラモデル製作だそうで
驚くやら呆れるやら(苦笑)
プラモ担当の中畑大樹さん(Dr)、自室に篭って細かい部分の塗装まで施したとのこと・・・。

昔の曲から最新の曲、ハイな曲からロウな曲、
曲が書かれた時期も詞や曲の中身もそれぞれにバラツキがありますが
昔の曲たちが、最新の曲たちに一歩も劣らないクオリティを誇っているのにびっくり。
勢いがあってエッジが効いている演奏も実に頼もしく、激しいライヴが目に浮かびます。

五十嵐さんは多作で曲を書くスピードも大変速いと有名なのだそうですが
こうまで昔から今まで書き続け、しかもそのクオリティは高い、なんて恐るべき才能。
最新の曲の歌詞や全体の演奏(昔の曲でも再録)からは余裕や貫禄が感じられますが
自信に満ち満ちてはいない頃の楽曲のメッセージや絶妙なコード進行もたまらない。

なかでも胸を打たれるのは「Free Throw」から収録された#14「明日を落としても」。

明日を落としても 作詞・作曲 五十嵐隆

つらい事ばかりで
心も枯れて
あきらめるのにも慣れて

したいことも無くて
する気も無いなら
無理して生きてる事も無い

明日を落としても誰も
拾ってくれないよ
それでいいよ

機械みたいな声で
サヨナラされて
それでも何か傷ついて

誰も愛せなくて
愛されないなら
無理して生きてる事も無い


そう言って
うまくすり抜けて
そう言って
うまくごまかして
そう言って
楽になれる事
そう言って
いつの間にか気付いていた


繊細な人にしか掬い取れない些細だけど的確な心の動き。
弱さの中に隠れたしなやかさと、つらさの中で生きる術。
この人に幼少期~思春期、何があったのかは知らないし知る気もないのですが、
恐らくは人並み以上にあったであろう、つらい体験や心の傷。
そんな中から出てきた言葉は、疲れている人、弱っている人、壊れたことがある人、
そして普通の人の心を巧みにとらえます。


遅死10.10 [DVD]遅死10.10 [DVD]
(2005/01/26)
Syrup 16g

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「delayedead」は第一期シロップ完結を謳い文句にリリースされたアルバム。
そして同年10月10日に日比谷野外大音楽堂で開催されたライブ「遅死10.10」は
「第一期Syrup16g完結」というコンセプトに基づいて行われ、
このライヴ以降音源リリースは途絶え、旺盛なライヴ・サーキットをメインに
活動していくことになりました。


次にスタジオ・アルバムが世に出るのは、「第二期」を経た後と思われる
四年後のこと。そしてそのとき、バンドは・・・
次回の記事「後編」は、当時の簡単なライヴレポと、最後のアルバムについて
とりあげていきます。



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コメント

こんばんは!

おぉ!朝焼けさんも、かなりsyrup16g

好きですね(^-^)

僕もかなりはまったクチですが、

実は最近なんです(汗

名前は知ってたんですが、

ちゃんと聞く様になったのは解散を知ってからでした

驚くのは曲の多様性、びっくりする位のクオリティ。

似たような曲が多々あるには、あるんですが、

僕の胸をつかんで離さない曲が

本当に多くて、何かのきっかけでふと聞きたくなります

好きなアルバムはmouth to mouse,HELL-SEEです

未発表曲、ききたいですね。。。。(かなりありますしね)

意外と彼ら、時代を超えられる音楽かもしれない

たっつんFさん、こんばんは!(あ、Fが戻った)
おぉ~密かな予想通り、たっつんFさんもSyrup16g好きでしたか♪

この記事に書いたところまではリアルタイムに音楽仲間からの「レンタル」で
コンプリートしているんですが、ラストアルバムだけ今回の記事を書くにあたり
初めて耳にしました。

なんかほんと音楽仲間がみんなしてシロップシロップって言ってたんですよね。
そういう皆の影響と、当時は鬱っぽさや多感さに共鳴して聞き込んでいましたが、
ある程度落ち着いたいま聴いてみると、楽曲の美しさ、ギターの心地良さなどにも
気付くようになってきました。
歌詞に入り込みすぎないように気をつけないといけませんが(日常生活に支障が
出るほど落ち込みかねないから)、メロ、サウンドはもっと聴いていたくなります。
なんつって当時(今でも?)一番心を掴まれたのは、ほかでもない歌詞なんですがね。
アルバム単位で好きを挙げるとdelayedやdelayedeadなどの再録シリーズにクーデターで、
やや初期好きの傾向があるかも。曲単位だとmouth to~にお気に入りが多いですね。

未発表曲だけのアルバム、リリースしないですかね~?
なんかいろいろ「諸事情」がもつれてて難しそうですが・・・

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