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エリオット・スミス:An Introduction to...Elliott Smith「エリオットの音楽と人生を耳で感じ取り、もっと知りたくなるセレクション」

映画『グッド・ウィル・ハンティング』に提供し、アカデミー歌曲賞にノミネートされた
「Miss Misery」で一躍時の人となり、マルチプレイヤーでギターにもピアノにも長け、
近年では『サムサッカー』、『パラノイド・パーク』といった映画にも劇中歌として登場。
一方でドラッグ、抗うつ薬、アルコールへの依存に一生の多くを翻弄され、34歳の若さで
自殺とも他殺ともいわれる謎めいた死を遂げ、ローファイながらメロディアスで繊細な
その歌は、心あるリスナーに今でも聴き継がれている・・・
ここまで知って、私がElliott Smithエリオット・スミス)というアーティストに
興味をもたないことができるわけもなく、しかし何から聴いたら良いかもわからずに
立ちすくんでいた時、このベスト・アルバムの存在を知り、まずは本作を手に取ることに。

アン・イントロダクション・トゥ・エリオット・スミスアン・イントロダクション・トゥ・エリオット・スミス
(2010/11/17)
エリオット・スミス

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An Introduction to...Elliott Smithアン・イントロダクション・トゥ・エリオット・スミス
という長い名のついたアルバムは、エリオットが生前3枚のアルバムをリリースした、
インディーズのレコード会社、Kill Rock Starsによるリリース。
このレコード会社からは他にも、インディーズ期の未発表曲を集めたアルバム「New Moon」
が、エリオットの死後に編集され、リリースされていて、何かと縁の深い様子。
エリオットはメジャー・レーベルからもオリジナル・アルバムを2枚をリリースしているのですが
あえてインディーズのレーベルからベストがリリースされるのは
メジャー期の喧嘩別れがよほど響いているのでしょうか。
(死後の編集盤は、当時契約していたDreamworksとの契約を解除してから、元々エリオットが
2枚組にするつもりで制作していた音源をもとに編集、リリースされたのですが、
一度メジャーデビューした人ということで↓のカウントは「メジャー期」と分類しています。
ややこしいですが・・・)
編集盤を含めて全7枚のアルバムから、収録された全14曲は、レコード会社の関係でしょうが
どうしても大きな偏りが。インディーズ期の楽曲10曲に対し、メジャー期の楽曲4曲、うち
生前にメジャーレーベルから発表された楽曲はたった2曲だけ(1枚につき1曲)。
インディーズ期の楽曲にしても、他のアルバムからは1~2曲なのに対し、3rdアルバム
「Either/Or」からは何と5曲も。「New Moon」の収録曲もこのアルバム周辺の時期で構成され、
全部のアルバムを聴いている人からしたら、許しがたい偏りなのでは?
しかし裏返して捉えると、「グッド・ウィル・ハンティング」サントラの依頼が来たのも
この頃だったりと、「Either/Or」の時期がそれだけ「編者にとっては」充実した時期、
あるいはキャッチーな時期だったから、イントロダクションには最適だと考えられて
多く収録されていると考えることができます。

アルバム全体の流れも一応ありますがそれは後述して、これだけ「色々なアルバムから
少しずつ」という作品なので、エリオットの作品を簡単に辿りながら、その時々の楽曲の
特徴、収録曲の感想などをまとめていきます。


<インディーズ1st:Roman Candle

Roman CandleRoman Candle
(2010/04/06)
Elliott Smith

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収録曲:#8「ラスト・コール」
エリオットは当時「ヒートマイザー」というバンドに所属していたが、当時の恋人の勧めで
4トラック・レコーダーでソロ作品に着手し、レコード会社に送るや、フル・アルバム契約へ。
バンドとソロ活動を並行して行っていた。1994年、カート・コバーンが亡くなった年に登場と
ロック界の新たなスターとして期待される存在に。収録曲「ラスト・コール」は
アコギ弾き語りだが、オルタナロックに負けない痛切で激しいエネルギーがほとばしる。

<インディーズ2nd:Elliott Smith

Elliott SmithElliott Smith
(1995/07/10)
Elliott Smith

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収録曲:#4「ザ・ビッゲスト・ライ」、#7「ニードル・イン・ザ・ヘイ」
1995年に発表されたこのアルバムも全体的にギター弾き語りによる。
もの悲しいが優しさも感じられる「ザ・ビッゲスト・ライ」に、ドラッグ中毒を皮肉った
歌詞とどこか不気味なムードの「ニードル・イン・ザ・ヘイ」。
エリオットのソロでの成功によって、バンドとの間には少しずつ溝が広がっていき、
翌年のアルバムを最後にバンドは解散。エリオットはソロ活動に専念する。

<インディーズ3rd:Eigher/Or

Either / OrEither / Or
(1997/02/25)
Elliott Smith

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収録曲:#1「バラッド・オブ・ビッグ・ナッシング」、#3「ピクチャーズ・オブ・ミー」、
#5「アラミダ」、#6「ビトゥイーン・ザ・バーズ」、#9「エンジェルズ」
エリオットのインディーズ期の代表作とされている。これまでと違い、ベースやドラムや
キーボードなど、ギター以外の楽器も用いられて、楽曲もポップになってきた。
ベスト収録曲も幅広い曲調で名曲揃い。小躍りしたくなるような#1「バラッド・オブ・
ビッグ・ナッシング」や、ひねりのきいた軽快さが楽しい#3「ピクチャーズ・オブ・ミー」
など、着実に歌の世界が広がっている。#9「エンジェルズ」のアルペジオに引き込まれる。
一方で、この頃から、既に抱えていた重度の飲酒癖に加え、抗うつ薬の服用が始まる。

<メジャー1st:XO

XOXO
(1998/08/25)
Elliott Smith

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収録曲:#2「ワルツ #2」
インディーズからメジャー(DreamWorks Records)へ移籍してステップアップ。
「Miss Misery」の話題性も手伝って、キャリア上最も売れたアルバムに。
しかしそれがプレッシャーになったのか、エリオットは重度の鬱病を患い、周囲の人間に
自殺願望を口にするようになり、酩酊状態で崖から飛び降りるという自殺未遂もあった。
収録曲の「ワルツ #2」は、聴いていると軽やかなワルツだが、歌詞では母親への愛憎が
描かれているそうだ。(以下、こちらのサイトの特集記事より引用)

前半で「You No Good(お前はダメな子だ)」と三度繰り返されるフレーズに呼応して、後半では母親を憎むことができない“僕”は「It's OK, It's Alright, Nothing's Wrong(いいんだよ、わかってる。問題ないって)」とつぶやく。

幼少時に両親が離婚、その後は義父による虐待に苦しんだ、という話が有名なエリオットだが
実の母親とも深刻な問題を抱えていたようだ。このエピソードを知ったことで、一気に
「生々しい、ねじくれた痛み」という感触をこの曲に対して抱くようになった。

<メジャー2nd:Figure 8

Figure 8Figure 8
(2000/04/18)
Elliott Smith

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収録曲:#14「ハピネス(シングル・バージョン)」
前作と同じチームが再び集結。バンドサウンドが前面に出たサウンドに進化した。
「ホワイト・アルバム」を聴いたことがきっかけでミュージシャンを志したというエリオット、
この作品はビートルズやドビュッシーの作風を意識して作ったのだという。
前作の頃と比べて、健康状態も比較的良かったそうだ。
収録曲の「ハピネス」は、頼りなく始まって、温かく力強いラストがじわりと沁みる。
ラストにかけての盛り上がりやオーケストラ的なアレンジは「Hey Jude」を彷彿させるし、
アウトロにギターのテープ逆回転を唐突に入れたりと、ビートルズのエッセンスが感じ取れる。

<未完の遺作を死後、編集してリリース:From a Basement on the Hill

From a Basement on the HillFrom a Basement on the Hill
(2010/04/06)
Elliott Smith

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収録曲:#10「トワイライト」、#11「プリティ(アグリー・ビフォア)」
「Figure 8」のツアー終盤からヘロインを常用するようになってしまい、オーバードーズを
何度となく起こしかけていたという酷い状態に何年もあったエリオットだが、
2002年末から治療を受けドラッグ中毒を克服、更に長年苦しんだアルコールや抗うつ薬も絶ち
34歳の誕生日の頃には、クリーンな身体に戻ることに成功。エリオットの生前最後の6ヶ月間は
とてもよい状態にあり、楽曲の穏やかさ、落ち着きからもそれが伺える。
収録曲「トワイライト」「プリティ(アグリー・ビフォア)」、どちらも聴いていてほっとする。
彼に「その先」があったなら、今でも歌い続けていたなら、どんな歌が聴けたのだろうか?
この2曲のみ、他の収録曲とは別の人が歌詞の訳を務めているが、それについては後で言及を。

<インディーズ時代の未収録曲を集め、編集してリリース:New Moon

New MoonNew Moon
(2007/05/03)
Elliott Smith

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収録曲:#12「エンジェル・イン・ザ・スノウ」、#13「ミス・ミザリー(初期バージョン)」
ベストアルバムの後半は「From a Basement~」とこのアルバムの収録曲を中心に、
穏やかな流れを創り出しているのだが、不思議なことにこの二つのアルバム、
楽曲の作られた時期が結構離れているにもかかわらず、違和感が少ないのはどうしてだろうか。
ベストアルバム編者が本作をこういった偏ったセレクトにした狙いがここにあるように思われる。
この2つの時期には、キャッチーで、穏やかで、ほんのり希望が灯る楽曲が生まれているのだ。
「エンジェル・イン・ザ・スノウ」「ミス・ミザリー」どちらも言わずもがな名曲であり、
ベストアルバムはこの2曲と最後の「ハピネス」で頂点を迎える。

各アルバムを聴いていない段階なので断定はできないが、アーティストとしてのキャリア・ハイが
96年頃に、人として最も幸福な時期が03年頃(生前最後の6ヶ月間)にあると
編者は判断したのではないか。
ベストアルバムのイントロダクションを読む限り、編者は少なからずエリオットに個人的な愛情を
持っており、深い思い入れを込めてこのセレクションを編纂したものと思われる。
その偏りによって、既にエリオットの音楽に親しんでいるファンから反発を受けるとしても、
新たにエリオットに触れようとしているまっさらな人間には、彼の「ふたつのしあわせ」を
まず知って欲しい、もっと音楽を知りたいと思ったら既発のアルバムを手にしてみて欲しい。
そんな願いが込められているように感じてならない。



<日本盤について:訳者の違いが与える、小さくない「印象の違い」>
今回私が手にしたベストアルバムは日本盤で、イントロダクションや歌詞に日本語訳が
ついているのだが、なぜか#10と#11だけ、ジョン・フルシアンテの近年の作品などで
インタビューや訳詞を手がけているバルーシャ・ハシム氏が担当している。
他の曲は坂本麻里子さんという方が手がけているのだが、それらの訳詞と比べると
ハシムさんの訳詞は「別物のエリオット」が存在しているかのように浮いている。
端的に言うと「冷たい質感」。「キミ」というカタカナの二人称のインパクトが
大きいのかも。他には「これは~なのさ」など、微妙な言葉のチョイスにこの人独自の
切り捨てるような調子のクセが出ている。フルシアンテもエリオットも同じようなことを
歌っているかのような印象だ(笑)。二人は似ている部分があるから余計ややこしい。
洋楽に造詣の深い方に、与えられた訳詞に納得できず、自ら辞書片手に翻訳を試みる
こだわり屋さんがなぜ多いのか、ちょっと分かったような気がする。
言葉選びひとつで、語尾や一人称・二人称だけで、与える印象が全然違ってくる。
元の詞が表現したいニュアンスを生かすも殺すも訳詞にかかっている。

アーティストの言葉を正確に深く理解するには、自分で訳するのが一番というわけだ。
英語に疎い自分はそこまでしないと思うが・・・



色々とサイト等を見てみた感じだと、ファンによる「ファースト・エリオット・アルバム」
のオススメはメジャー期の2作「XO」「Figure 8」が多いようです。
本作を聴き進めて、どんどんソングライティングが熟成されていくのを感じていると
それに加えて「From a Basement~」もぜひ聴いてみたいと思ったのですが、
結局の所、インディーズも含め、全作チェックすることになるような気がします。
選定の役に立ったのか立たなかったのか(苦笑)
しかし、この記事を書くためには理解を深めなくてはということであちこちのサイトを
まわったり、ベストアルバムを聞き込んだり、訳詞を読みこんでみたりしているうちに
気がつけばエリオットについて結構理解が深まり、結果、愛着も深まって
編者の思うつぼです。ちょっと悔しい(笑)
エリオットが遺してくれた7つのアルバムについて、単体で聴く機会に恵まれた際は、
改めてそれらにも向き合い、感想~レビューを書いてみたいと思います。


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イマドキのタバコのオマケ!?ミニ小説を読んで:狗飼恭子「すべてのものに降りそそぐ」&田口ランディ「ラーレの香り」

もう数週間前の話になってしまうのですが。
以前の記事で、「チョコレートを特集した番組について書いていたら、本当にチョコレートを
作ってしまった」というまさかのオチが登場しましたが、実はあれは実話でして、
バレンタインを前にして、丁度良い量のチョコレートをせっせと作り、完成してしまいました。
こんなことは初めてなので味に自信などありません。でも一人でおやつ代わりにするのも
少なくとも外側はそれなりに出来たから、惜しいような気がする・・・
そこで、6個できたチョコレートの内、付属のボックスに入る4個を当時のそういう相手に、
残る2個の内1個くらいはやはり自分で。さて、もう1個をどうしよう?
「そうだ!」普段何かと世話になっている女の子の友達に、初めて作ったので味は保証できないと
前置きして、ささやかにプレゼントしました。

そして3月14日頃・・・
初心者のチョコレートをもらってくれた彼女が、何やらこそこそと「これ、朝やけさんに!」と。
彼女らしいオンナノコモードの包みを開けると、掌に乗るような超ミニサイズの2冊の本が!
「ありがとう・・・何これ?どこで売ってたの??」興味津々でそう聞いても、彼女は口ごもったり
「えーと実は、、友達に貰ったんですっ!すみません!」何か煮え切らない様子。
ちょっと引っかかりつつも、こちらがあげたプレゼントこそ本当に些末なものだったので
まぁいっかと、貰った2冊の本を開けて読み始めたのでした。
小さな本なので、普通の小説の一章分を読むくらいの時間で読み終えてしまいました。

「どこの企画なんだろ?」巻末を見ても出版社の記載が2冊ともありません。「どういうことだ?」
ヴィレッジ・ヴァンガード辺りで、企画ものとして2冊3冊まとめて売っているとか?
Wikipediaの二人の作家の経歴を見ても作品の記載はなく、ひとつくらいはあってもよさそうな
Amazonのレビューもなく。それで、キーワードを変えてもっと調べてみたら・・・
何と、「ピアニッシモ」という銘柄のタバコのオマケのようなのです。
(商品について書いてあるのは個人のblogやTwitter等や、オークションの商品としての掲載しか
無いので、それらを載せたり引用したりすることは控えさせていただきます)
2冊の裏表紙にはこう書いてあって、これがこのオマケのコンセプトになっている模様。

2012年、夏。
読めばきっと、恋がしたくなる。
くつろぎのひとときを彩る
短編恋愛小説。

「・・・何かイージーだなぁ」貰ったものに失礼ながら、そういう感想を止められませんでした。
ピアニッシモというのは女性向けのタバコ。というわけで「女子といえば恋だろ」って発想の
企画なんでしょうね。「一体小説を何だと思っているんだろう?」大変偉そうですが、何かの
「オマケ」にされている事実に溜息が出そうになりました。それに、書く方も書く方だ、なんて。
決して悪い小説ではないのですが・・・


まず狗飼恭子さんの作品「すべてのものに降りそそぐ」。
Amazonでの取り扱いがあるはずもなく、画像は作品名で検索して見つけたもの。
すべてのものに降りそそぐ
原寸大よりほんのちょっと小さいくらい。

<あらすじ>夏子は5年同棲していた恋人から「どうも君とは死ぬ間際に一緒にいられる
気がしないんだ」と言われてしまい、彼と暮らしていた家を出て一人暮らしをすることに。
女友達からは「孤独な偏屈ばばあになって孤独死することになるよ」と大反対されながらも
引っ越しを決行。新居への荷物の搬入を手伝ってもらうために、三代前の彼氏の弟で
かなり風変わりな男の子、水戸くんに何となく連絡をとる。数年ぶりに再会した水戸くんの
偏屈だが本質を突いた、どこかあたたかい言葉の数々に、次第に失恋の痛みがほぐれ・・・

<感想など>
狗飼恭子さんの小説は読んだことがないが、彼女が脚本を手がけた映画なら観たことがある。

ストロベリーショートケイクス [DVD]ストロベリーショートケイクス [DVD]
(2007/04/25)
池脇千鶴、中越典子 他

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好きだった漫画家、魚喃キリコさんの漫画「strawberry shortcakes」の映画化なのだが
4人いる主人公のうち、一人を棺桶で寝起きさせるわ、摂食障害の主人公の場面をリアルなゲーで
何度も撮影するわ、いらんリアルとエキセントリックをつけられて不快極まりない作品に変身、
この恨みと違和感が未だに残っている。最近では江國香織さんの「スイートリトルライズ」が
映画化された際も脚本を手がけているという。一体どうなっているのやら・・・
そういうわけで、その場で捨てようとさえ思ったが、なにせ貰ったものだからと読んでみた。

ヘンテコリンな人物の巣窟。とりわけ元彼と水戸くんのヘンテコリン振りが際立っている。
女友達の言うこともなんだか変。本当に友達?夏子の不幸を願っているようにしか聞こえないし
主張が時代錯誤。まぁ、だから夏子は彼女達に引っ越しを手伝ってもらわないのだろう。
夏子は「三代前の彼氏の弟」なんてさらりとモノローグで言ってのける辺り、少し腰が軽い
水戸くんが言うところの「頭でっかち」、本人が言うところの「考えが足りない」30代女性。
夏子のややジメッとしたモノローグが彼女のどこまでも堂々巡りする思索と抑えている淋しさを
ねちっこく、鮮やかにあぶり出す。そして、水戸くんについても夏子の視点から細かく観察され
言動や佇まいなどを仔細に追いかけることで、彼のエキセントリックさがはっきり浮き上がる。
水戸くんというあまりにも強烈なキャラクターの存在、夏子の揺れる心情の巧みな描写が
突出している。人物、背景・・・観察眼が光り、情景が目の前に繰り広げられるよう。

たまに、こだわりすぎの心情比喩フレーズなどが出てくるが、見なかったことにしよう(苦笑)。
夏に恋をしたくなってもらいたくなるための小説なので、ラストでの水戸くんと夏子の決断が
あまりに性急すぎるのは仕方ないのだろうか。再会したその日にプロポーズもどきときている。
しかも夏子は何となくそれに応えてしまう。いいのだろうか、まあいいんじゃないの?
・・・読まずに捨てそうになって、ごめんなさい。小説家としてはそんなに嫌いじゃないと思った。


次に田口ランディさんの「ラーレの香り」。
ラーレの香り
<あらすじ>
チエは、会社の先輩の松岡さんに3年間片想いをしていたが、彼の結婚の噂を聞いてしまう。
ダメモトで告白すると「妹のように思っていた」「少し時間を置きましょう」と言われ、
傷ついたチエは、ストレスから味覚や嗅覚を失い、会社にいるのもつらくなって退職。
家に届いていた松岡さんからの手紙も、読まぬまま郵便受けに放置し、塞ぎ込む。
憂鬱な気持ちで散歩をしていると、見慣れない花屋「ラーレ」を見つける。店員の青年に
勧められて一輪買ったチューリップが、チエの生活に再び彩りを与えていき・・・

<感想など>
「ラーレ」とは中近東の言葉で「チューリップ」の意味。
田口さんの小説は、確か高校生の時に実家の町の図書館で、彼女のデビュー作「コンセント」を
借りて読んだのが唯一の経験だったように思う。
内容にも文体にも当時はどうも親しみを感じられず、最後のほうまで読むも、結局読了しないまま
ギブアップしてしまった記憶がある。「この人が恋愛小説?」寧ろそういう意外性を感じつつ
当時読了できなかった経験からの不安もチラリと頭をかすめた。でも構わず読んでみた。

良くも悪くもよしもとばななの後追いという印象。主人公の心の病みとそこからの癒しの過程、
意図的に稚拙さを狙った言葉選び。初めて読んだ時と作風が随分変わっていたので驚いた。
「すべてのものに~」が、ややはすっぱな30代女子向けだとしたら、この作品はもう少し
うぶな女性向け。チエの幼さから考えると、20代女子向けか?こういううぶな女性がタバコを
吸うものなのかなあという、偏見めいた疑問が浮かぶのだが。例えばチエがタバコをふかす姿は
とても想像できない。一人で一方的な「恋愛ごっこ」を繰り広げて疲れてしまうくらいなのだ。
しかし、チエが具体的にどんな雰囲気の女性なのか、イメージできそうでうまくできない。
「かわいいキャラも苦手」な「つまらない女」で、特に好きなものもなく、頭がよさそうとは
お世辞にもいえず、モノローグでは「~かしら」「~わね!」と言ったり「~だよ」と言ったり。
無機質で没個性ななかに、中途半端に女性らしさらしきものを覗かせるので違和感を覚える。
店員の青年の設定が面白い。誰もが、趣旨(=恋をしたくなってもらう)からして、
この青年とチエが新たな恋に落ちてハッピーエンド、という展開を予想するのではないか。
しかし彼はそうはいかない。

青年は、花に恋をしているという。報われないが、ずっとしているという。
チエの側でも青年に恋愛感情をもつことはない。なかなか肩透かしを喰らう展開だ。
出だしの時点で語られ、その後も比喩で何度も顔を出すが、放置していた松岡さんからの手紙を
やっと開くと、実はそれなりに両思いだということが判明する。しかしこの手紙、彼自身も
言っている通り、遠回りだわ古風だわ、色々とついていけない。手紙を放置してからそれなりに
時間が経っているはずなのだが、これってハッピーエンドなのだろうか・・・???



「恋をしたく」なったかはともかく、「くつろぎのひととき」より「突っ込みのひととき」に
なったような気がするのはともかく、
「鞄に常備している漱石の文庫本を病院などの待ち時間に偶にのぞくぐらい」だった
停滞していた読書ライフに、ちょっとした風穴をあけてくれたのは確かでしょう。
この二人の現在の小説を(ショートショートですが)ちゃんと読んだのは初めてだし。
読書への恋慕という意味なら、確かに「恋がしたく」なるきっかけをもらった本になりました。
ベッドの上には小説やら新書やらはたまたマナーブックやら、色々な本が読み切れないまま
雑多に積み上がっていますが、また、本の虫だった昔のように、時間を忘れてずーっと
これらの本の読破にのめり込んでしまうのも、ちょっといいよなと思いました。
子どもの頃から、本を読むのが大好きで、フリーペーパーでもいいから常に手元に
読むものがないと落ち着かない活字中毒。
今は書くのも定期的に楽しんでいるけれど、よりよく書くにはもっともっと読まなければ。
たまには書くのをしばらく放り出して、読みまくる期間が欲しいなんてちらっと考えながら、
結局また新しい記事の構想を思いついて下書きを始めてしまう、そんな今日この頃です。



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2013年1月期に観たドラマを振り返る!(含む再放送&以前書き損ねた2月終了のアニメ)かってな採点&おまけつき

いや~、今期(2013年1~3月)は、ドラマ視聴でやたら忙しかったですね。
普段は録画して後から観ることが多いのに、どーしてもリアルタイムで観たいドラマ、
被りがあってリアルタイムで観ざるを得なかったドラマ・・・もうクタクタでした(笑)
だから終わってくれていっそ楽になったかも・・・
そんな今期の振り返りをします!5点満点で、★は1点、☆は0.5点です。
以前書いたような書かなかったようなデジタルリマスター版ナディアも、ここで感想を。

<ジャッジ>
まずは★評価から。あくまでも個人的な感想ですのでご了承願います。
※がついているのは、最終回がまだ(大河の場合は「まだまだ」)のもの。

相棒 Season11       ★★☆
八重の桜※          ★★★★☆
信長のシェフ         ★★★★
まほろ駅前番外地※    ★★★☆
メイドインジャパン      ★★★
アテルイ伝※         ★★
ストロベリーナイト(再)   ★★★★★
ふしぎの海のナディア   ★★★★☆



<それぞれについて>
相棒・・・初回~3回目くらいと、正月SP、最後から2番目~最終話は比較的面白かった。
ほかは惹きつけられるものがなくて、家の中のちまちました手仕事をしながら目を通して
いた状態。初めの頃は新相棒・カイトのキャラ付けがはっきりして、右京さんとどういう
「相棒」関係を築いていくかが楽しみだったのだが、次第にカイトがぼやけ、右京さんが
「天才だけど変人」という初期設定も完全に忘れ去られ、物語も後に残らないものばかり。
特に、年末前の前後編を興水さん=キャラの生みの親が書いたときは前編で本当にワクワク
させられたのに、後半で失速。あの絶望感といったらなかった。
後半になるとイタミンの劇場版のPRという色合いも強くなった。イタミンの相棒となる
岩月が2回も登場するのは流石にやりすぎ。でも、このキャラ、もしかするとカイト以上に
相棒世界に馴染んでいるかもしれない・・・それが問題。カイトをもっとしっかり描かないと。
カイトパパ=甲斐次長が今Seasonからのラスボスとして確定した最終回。なのに重みがない。
相棒シリーズ最終回は甲斐次長とのバトルなんだろうか。それだったら観る気がしない。
これまでの「相棒」で好きだった要素がどんどんなくなって、新しく加わることがない。
昔のシリーズに思い入れがありすぎるのだろう。これ以上観続けても、がっかりが深まるだけ、
手に入らないものを求めて嘆くだけ。半年観続けるって負担だし、次回からはもう観ない。
「相棒シリーズファイナル!」となったら、また観るかもしれない、そのくらいで。
でも、イタミンの映画は悪くなさそう、何となく。映画館に行くほどじゃないけれど。

八重の桜・・・歴史の動乱期でどうしても政治まわりが慌ただしくなり、時々話の流れに
振り落とされそうになる。今回は予習復習もしていないので、ちゃんとわからないまま
流していることも。でもそれでもある程度観られているので、このままにしよう。
会津の自然が綺麗で、会津藩の人々は頑固だがまっすぐで素直。やりとりに心が洗われる。
すっきりした気持ちで明日へ向かうことができそうな後味が良い。前作のドロドロとは
真逆だが、これはこれで面白い。キャラクターも一人一人個性的で、見飽きない。
歴史が動き、不穏な空気が流れる、そしてあと少ししたら会津戦争、本格的なバトルシーンが
待っていることを期待している。第一話のような迫力を頼みます!
心配なのはその後、八重in京都with襄。綾瀬&オダギリが一緒に並んだ絵が浮かばない。
今というかこれからの長谷川さんとお似合いなので余計不安。今まであったものがなくなって
(主に会津藩の時代にある程よい緊張感)ぬる~いラブコメになりそうで・・・
そうなったら脱落しよう。

信長のシェフ・・・冷やかしで観るつもりが、すっかりハマってしまった、今期のヒットドラマ。
しかしこれは深夜のB級枠でやるから面白いのであって、ゴールデンタイムに放映していたら
厳しいツッコミ連発、チープさとアラが目立ち過ぎると思う。続編なり映画化なりが決まって
いるという噂を聞くが、続編をやるならその辺りを勘違いしないで欲しいところ。
ミッチー信長の振り切った悪ノリ具合に大笑い。天下統一まであと一歩だった人物、実際にも
あれくらい冷静な人だったかもしれない。ゴリ秀吉も良かった。猿之助がまぁ濃い、妖しい。
と、周りが結構濃い面子ばかりなので(志田未来ちゃんのしつこめの演技含む)、主役の
玉森君があっさりしていて丁度良かった。ゴローちゃんの明智はもっと癖が強くても良かった。
原作の漫画が今回のドラマの最終回くらいまでしか進んでいないので、続きは数年後か
オリジナルストーリー?変なオリジナルでがっかりさせられるのはごめんだが、今の勢いを
キープしたいだろうなぁ・・・。
それにしても最終話がWBC台湾戦で延びた結果、最後の最後に「中止」→「来週に延期」って
あれはないでしょ。引っ張りすぎ!WBCを観たくて夜更かししてるんじゃないんだよ!!
もっと早くに延期を告知すべき。「試合の後から放送」でなかったのはせめてもの救いだった。

まほろ駅前番外地・・・来週の最終回を残した段階。
ラスト直前回で多田が「バツイチ」の設定を話し出した。このドラマの「まほろ」は
原作や映画と違って、多田や行天のそういった設定が今まで全く出てこなかったので
最初から最後まで「正体不明の妙なふたりが営む便利屋の物語」でいくのかと思っていたが
ここにきて様相がちょっと変わってきた。最近はサスペンステイストのエピソードも増えて
最終回予告では「最後の依頼!」と多田が睨みをきかせていた。どうなる便利屋?
原作(実は読んでない)もそうらしいが、映画の「まほろ」はどことなく同性愛を
匂わせる雰囲気があって苦手だった。ドラマはそうでもなく、どちらかというと
退廃的でサブカル。自分はドラマの味付けの方が好きだが、「観る人を選んでる」という
批判もあったらしい。賛否両論か。そういや行天がいつものふにゃふにゃした調子でだが
「俺ホモなんだよね、多田の恋人なの」と嘘?本当?ぶいているシーンもあったな。
いま恋に落ちているらしい多田の様子を行天が面白くなさそうに見ていたりするし。
ん~まだまだ読めない。最終回次第で☆の数も左右されそう。
どちらにせよ雰囲気ドラマ。深夜だし、それがいいんだけど。
元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんによるテーマソング「まともがわからない」ハマりすぎ。

メイドインジャパン・・・多分、「90分×全3回」という枠組みで、
転覆した大企業の再建と海外企業への技術(正確には技術職の人材)の流出の問題、
日本家電メーカーの危機的状況、不採算部門として切り捨てた部門に足元を掬われる皮肉、
更には主人公の家庭内不和まで、一挙に片付けようとしたのが運の尽き。
しかも放映時は国内の家電メーカーが少し盛り返していると報じられていたので
余計に間の悪い感が出てしまって、「今頃何やってるの?」というアウェイなムードに。
壮大な硬派社会派ドラマを期待した私が間違いだった。なんか中途半端なホームドラマと
中途半端な社会派ごっこドラマが繰り広げられるばかりだった。豪華俳優の無駄遣い。

アテルイ伝・・・今週と来週の前後編を90分ずつ、来週で完結。
舞台は東北ということで「八重の桜」と並んでこちらも復興支援ドラマなのだろうか。
でもこれも結局負け戦の話。八重にしても本作にしても、復興支援になってるか・・・?
BS時代劇のドラマをNHK総合にもってきた。BS時代劇の枠ってもしかしてお年寄り向きか?
八重以上に方言(時代のことば)がきつくてちょっと何言ってるのか全然分からないです。
開始15分余りで眠くなるドラマなんて久しぶりだぞ。多分世代的にターゲットじゃない。
あれ、北海道のアイヌ民族たちも「蝦夷」って呼ばれてなかったか?北海道完全アウェイで
史実とはいえ一抹の寂しさが。役者達の演技は良いので、後編も観る。

ストロベリーナイト(再)・・・おもしろかった!!
連ドラの前にあったらしい単発ドラマ「ストロベリーナイト」(同名の事件の後が、ドラマの
スタート地点になっている)も再放送してほしかったところだが仕方ないか。
かなりグロい事件ばかりでドラマ化不可能といわれていたらしいが、そこをスタイリッシュな
映像処理で寧ろ見せ場にしてしまっているから凄い。シュールだったり、クールだったりと。
一人ひとりがいきいきとキャラ立ちして、割とすぐに姫川班のメンバーを全員覚えられた。
「相棒」でバディものに慣れすぎていたので、チーム皆で団結して事件を解決していったり
居酒屋で「呑みニュケーション」なミーティングを行ったりするのが新鮮で楽しかった。
姫川とお母さんとのこじれた関係、姫川を密かに想う菊田との恋のゆくえ、
本格派刑事ものの事件のなかにヒューマンな要素が巧みに混じって漂う切ない余韻。
いやー、これはうまくできている。バランス感覚が素晴らしい!
・・・それだけに、映画で「いろいろあって(ネットでストーリーを知って、観に行っては
いないのでこういう言い方で)」姫川班は解散、ドラマ最終回ではくっつきそうに見えた
姫川と菊田も・・・原作で既に展開は決まっている以上・・・。映画は観るの相当複雑だろうな。

ふしぎの海のナディア・・・これまた観に行ってないが、エヴァQに
ナディアで登場した宇宙船の残骸によく似た機体とナディアの劇中音楽が登場したらしい。
しかも、ナディアの世界に続くのがエヴァの世界らしい。エヴァの初期構想ではかなり
ナディアと接近した設定や展開が予定されていたようだ。興味をもたない訳がない。
昨年2月から毎週25分ちびちびと放送し、しばしば特番に潰される中、辛抱に辛抱を重ねて
1年間コンプリートした。改めて自分の根性に拍手したい。
一言で言えば「大人がしっかり大人の役割を務めているエヴァ」「ヒロインの相手役の
少年がしっかりヒーローの役目を果たしているエヴァ」「健全なエヴァ」などか。
おめでとうエンドやグロ鬱エンドが強く印象に残るなか、エヴァのスタッフがここまで
きちっとした「大団円」エンドを作れることにも大変驚いた(全く同じスタッフでも
ないだろうし、本作のような大団円エンドを作りたくなくてエヴァはああなったらしいが)
エレクトラ=リツコさん、ガーゴイル=冬月(声優さんまで同じ)、アダムやリリンを
彷彿させる存在など、エヴァを観た人ならそわそわする発見に富んでいるだろう。
諸事情で超間延び&作画も物語も崩壊した「島編」「アフリカ編」がまともだったら満点。
それでもやっぱりナディアには一瞬たりとも共感できなかった。ジャンが主役でいいジャン。
最後に、ハンソンってロリコンなの?あのラストは衝撃的すぎる。時代性だと信じさせて・・・

・観たらよかったかも・・・とちょっと後悔したドラマ:塚原ト伝、とんび
これだけ観てたらいっぱいいっぱいなのでマークしないでいたら、ヒットしてたり(とんび)
ほんとは前からどんなもんなのか気になっていたり(塚原ト伝)、ウズウズしたまま終了。
あ、塚原ト伝は最終回だけ観た。やっぱり観ながらぼんやりしてしまったが・・・


<来期の予定>
ドラマを観るのは正直もう疲れた!!現行の「八重」以外、新しいものには手を出したくない!
でも、朝ドラにクドカンが来る・・・!!!「あまちゃん」何だか面白そう。
以前昼ドラ(吾輩は主婦である)を書いたときも視聴率がケチョンケチョンだったらしく、
朝ドラの清盛状態にならないことを祈ってやまないのだが・・・だってなんか途中から
アイドルを目指すとか、あらすじに書いてあるんだけど・・・
朝ドラの主要ターゲットはクドカンのハチャメチャにはついていけないぞ??
肝心の朝にはドラマ観る時間がないと思うので、録画か、週末のまとめたものを観るのか。
心配しながら、観るかも、観られないかも。


<ドラマじゃなくて歴史だけど・・・ささやかなこぼれネタ>
・今週、一気に「歴史にドキリ」の没回?を放映していた!
聖徳太子や北条政子らが登場してた。これでもう来期はないっぽい。がっかり・・・
・密かなツボ、「青山ワンセグ開発 ナイツの言い間違いで覚える日本史」。
やばいこれ面白い。とてもくだらないんだけど笑ってしまう。しかも結構詳しい。
教科書には載ってないこぼれ話まで登場してこれは大まじめ。なんかスゲェ5分間。
深夜ですけどね。(録画で観ている。来期はあるのか?あってくれ!!)



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GP CAR STORY Williams FW14B「あの頃のF1オタクは必読のシリーズ!伝説のクルマの悲喜こもごも、すみずみまで見逃さないで」

「92年のチャンピオンカーにしてお化けマシン、ウィリアムズFW14Bに特化した
本が出てるらしい」という情報を最近ネットで得て以来、もう、そわそわ。
どうも昨年の本らしいとも聞いたような聞かなかったような気がするのですが
どっちにせよ読んでないんだし関係ない。
買うか?!その前にまずは立ち読みして、面白かったら買おう。
そんなわけで早速近場の書店でその書籍を発見、かじりつくように読むも・・・

GP CAR STORY Williams FW14B (SAN-EI MOOK)GP CAR STORY Williams FW14B (SAN-EI MOOK)
(2013/03/07)
イデア

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「あの頃滅茶苦茶印象的だった・速かったマシン」のムックシリーズで、3冊しか出ておらず
他のラインナップはこんな感じ。

GP Car Story vol.01 マクラーレンMP4/4・ホンダ (SAN-EI MOOK)GP Car Story vol.01 マクラーレンMP4/4・ホンダ (SAN-EI MOOK)
(2012/06/07)
不明

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GP Car Story vol.02 フェラーリ641/2 (SAN-EI MOOK)GP Car Story vol.02 フェラーリ641/2 (SAN-EI MOOK)
(2012/11/07)
不明

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セナ、プロスト、マンセルと、いわゆる「BIG4」(アレ、ピケさんがおらんぞ・・・)が
揃い踏みで、特にMP4/4とFW14Bはどちらが最強マシンだったか未だにYahoo!知恵袋等で
ああだこうだ議論されているほどですよね。
MP4/4はドライバーの力に依るところが大きかったのではとか(セナプロ。贅沢過ぎ!)
FW14Bを作った頃のウィリアムズが、のちのシューマッハーのフェラーリなど、
現代に繋がる「マシン、ドライバー、エンジン・・・総合力で勝負するスタイル」のおおもとに
なっているだとか。この本にもその辺色々書いてありますから、専門的な話はここでなくて
詳しい本やサイトをあたっていただければ。

FW14Bってこんなクルマ。
FW14B-1.jpg
ゴーカイな走りと、猪突猛進タイプでちょっぴり天然?なキャラが日本でも人気だった
ナイジェル・マンセルが、腕力と知力と思い切りを発揮してチャンプまで獲ったクルマ!
FW14B-2.jpg
後に書きますが、乗りこなすのはマンセルには及ばなかったものの、のちのチャンプ・
デイモン・ヒルと共に開発に尽力した「最強のセカンドドライバー」リカルド・パトレーゼ

この本で初めて知ったのですが、FW14Bは、92年シーズンの序盤だけ暫定で登場してもらい
中盤からは新車のFW15の出番だったはずが、いざ走らせてみるとFW14Bが凄すぎると判明、
シーズン通して使い続けることになったと。数戦だけの暫定車が、天下取っちゃったわけです。
なんか映画や小説に出てくるエピソードみたいに劇的すぎるわ、よくできてるわ。
で結局FW15はその間も開発が進み、FW15Cとして満を持して93年に登場することになります。
そんでまた圧勝すると・・・
そして、このマシンは、現代のF1でも活躍しているという恐ろしき天才デザイナー・
エイドリアン・ニューウェイの作品というイメージがあったのですが、
読んでみると実はパトリック・ヘッドの功績がかなり大きいのだと。
やや保守的なヘッドが、時に過激なまで先鋭的なデザインに走るニューウェイを
うまくセーブして、例えば空力はニューウェイに任せて他の部分は・・・といった具合に
ヘッド中心にまとめあげてつくったクルマだった、というのが真相のようです。
この本を読んで一番意外だった点かも。

でも、前年のクルマでFW14Bのプロトタイプの、FW14の時点で、マシンのコンセプトは
既に完成されていて、実際に91年は大いにマクラーレンを脅かしていました。
FW14.jpg
91年シルバーストーン。ガス欠でストップしてしまったセナをタクシーしながら
ヨユーのウイニングランのマンちゃん。セナとマンセルの名場面の一つですね。
FW14-2.jpg
FW14はなぜかカラーリングが3種も変わっていたそうで、序盤の頃はこんな感じでした。
序盤は信頼性がイマイチながら、パトレーゼがブラジルで2位。セナが優勝してめちゃめちゃに
泣いていたあのレースです。

92年はウィリアムズFW14Bがあまりに強すぎて、こういう光景が日常になってしまい、
F1離れを起こしたファンもいたようで・・・
Mansell_Patrese.jpg
右側の髭のおじさんがマンセル。マリオをリアル人間化するとマンセルになるって本当?
そして、左側で喜びつつも、微妙に複雑な表情を浮かべているのがパトレーゼ。
この本における二人の描かれ方があまりによく出ている画像。

モナコでセナが勝たなかったら、表彰台では↑の光景がずーっと繰り返されるばかり
だったはず。あのレース「絶対に抜けないモナコモンテカルロ」がドラマティックなのは
そういう背景もあったのです。
モナコといえば、最後にマンセルがヘロヘロになり、立つこともままならなくなって
路上に座り込んでしまう姿もありました。
オンボードから見える挙動が驚異的にスムーズなのもあり、さぞかしスイスイとドライブ
しているものかと我々には映りますが、実はあれこそがFW14Bを乗りこなす本当の大変さが
表れた場面だと、後半のマンセルインタビューで語られています。
ハイテクマシンに見えて、実際には腕力勝負、体力勝負のマシンだったようです。
また、セナの映画で91~92年が描かれるとき、セナはドライバーでなくマシンやチームに敗れた
かのように描かれ、VSプロストほどライバル(=マンセル)との闘いが前面に出ていないと
不満を述べていたのもマンセルらしく、これは確かに「言われてみれば」と納得。


実際のシーズンでもそうでしたが、この本のなかで更に強調されて描かれているのが
マンセル>>>>>コース上の塵>>>>>>>>>>パトレーゼ
という位置づけ。本書におけるマンセルageパトレーゼsageは凄まじく、91年からF1観て
パトレーゼを応援してきた私は、本屋でマジで泣きそうになりました。やりきれなくて・・・
同じマシンに乗っているのに、ダブルスコアの差がついて、何とかランキング2位は
取ったけれどそれはセナやシューマッハーに物凄く肉薄されながらの結果で、
ライバルは「マンセルは無理だけどパトレーゼなら追えそう」と言わんばかりに
真っ先に標的にされて、デビュー2年目のシューマッハーに追い回されて・・・
(で翌年はシューマッハーにボコられるわ、チームに虐められるわ、と・・・)
ここまでクソミソに書かれるんだったら、この本はいっそ「マンセルとFW14B」に
特化したほうが、「ポンコツのチームメイト」のことを思い出さなくてすむわ!
パトレーゼの熱烈なファンだという人には勧められない本です。FW14とか、FW13Bの本
出ないかなぁ、出るわけないけど。パトレーゼはそちらのマシンの方がいいですね。

そのうえで余計わからないこと。
よく知られているように、パトレーゼは明らかに(ベネトン行っても)、新兵器・
アクティブ・サスペンションに馴染めず、FW14Bに初めから手こずっていたし、
マンセルはFW14B以前にもアクティブサス経験があった(成功していたかはともかく)。
ドライバーとしての腕だって、どんなに盲目なファンでも「パトレーゼ>マンセル」と
言う奴はいないはず。つまり誰が見たって、マンセルがパトレーゼをかつてのピケばりに
警戒する必要はないんじゃないか?と思われるのですが、
「ふたりなかよし」に見せてきた裏で、マンセルはパトレーゼ側にデータを教えなかったり
嘘を教えたりしていて、パトレーゼがマンセル側の裏切りに気付いたのはシーズン終盤、
マンセル側の「嘘・秘密主義」はフランクなどチーム上層部にまで及ぶほどだったという
マンちゃんのパブリックイメージとかけ離れた政治的な姿がこの本で暴かれています。
「私の好きなマンちゃんじゃないやい!」悲しくなったけど、チャンピオンになるって
こういうことかもしれません。そして、コース上でしょっちゅう譲ったり譲られたりといった
屈辱を強いられて「バカヤローふざけんな!」と言えないパトレーゼもまた、残念ながら
「いいとこ止まり」の器だったということなのかもしれません。
・・・なのに、です。
なぜ、マンセルはそうまでしてパトレーゼを厳戒マークし続けたのか??

blog開設期にマンセルの記事を書いた時は、なにせ観ていない時期なのもあって
80年代半ばのネルソン・ピケとの激しいチームメイト間バトルを知りませんでした。
セナプロは双方の尊敬が根底にあるライバル関係で、最後には美談になるほどですが
ピケマンは、ピケが意地悪さんなのとマンちゃんが冗談通じないタイプのために
ただただ洒落にならない最悪の間柄。二人でやり合っている隙を、プロストにつかれ
漁夫の利をとられてしまうほど。
そんな二人、当初は2度のワールド・チャンピオンを獲っているピケが圧倒的優位。
しかし次第にマンセルが覚醒し、ピケを凌駕する場面が増えていき、泥沼の争いへ。
以降、FW14Bを手にするまで、実力者ではあるけれどチャンプにはいつもなれない、
不運ながらその才覚は多くの人に認められるまでに育っていったのです。
誰も初めは、マンセルがピケと対等に戦えるなんて期待もしていなかったのに。

推測になりますがやはりこの時の体験が、マンセルのトラウマになっていて、
当時の自分と同じ位置にパトレーゼが立つことを、過剰に想像してしまったのでは。
91年のパトレーゼはキレキレで(だからファンになった)、シーズン通算すると
予選で9-7でマンセルをぶっちぎったり、アメリカやメキシコでは「おい、危ないよ、
ぶつかるだろ!!」とヒヤヒヤするほどの至近距離でドッグファイトを繰り広げる
場面がみられたりして、観ているほうにはなかなか面白いことになっていましたが
これがマンセルにとっては「脅威」だったのでしょう。
但しマンセルは後半盛り返し、セナとチャンプ争いまで持ち込んでいるし、マシンの
信頼性も後半の方が良いしで、何だかんだでマンセルの方が「持ってる」のは明らかで
仮に「情報操作」無しで戦っていても普通にマンセルが勝っていると思うんですけどね。
一説には、マンセルは思いこみが激しく、被害妄想が強い人物だという話もちらほら。
それまでの人生が苦労人過ぎたから、悪い方へと物事を想定しがちなのかもしれません。
ただ、一介のパトレーゼファンとしては、「情報操作」なしのガチ勝負だったら
一体どこまで健闘できたのか?史実ほどボロクソにやられたのか?を観てみたいという
興味はあります。もっとがっかりするかもしれないけど。

情報量に少々圧倒されながらも、懐かしくなってその日はYoutubeでF1三昧でした。
甘いにがいあの日の想い出が蘇る、徹底的にマニアックなムック本。
詳細なデータもたっぷりなので、F1オタクの自負がある人にはきっと保存版!

MP4/4や641/2のほうも読んでみたくなりました。



おまけ、シューマッハーファンのあなたへサービス。
92michael.jpg
92年は初めてシューマッハーが優勝した、記念すべき年!初表彰台は母国ドイツと
めきめき頭角を現してきた年でしたね。
まだまだ幼さが残り、実は結構「イタズラ大好きの悪ガキ」の表情を頻繁に覗かせていた、
今から見ると新鮮すぎる、この頃のシューマッハーは嫌いじゃないです。
そんな彼も引退してしまい、リアルで見たドライバーがいまやひとりもいない現状は
やっぱりちょっと淋しいなぁ。

あ、よかったらFC2のF1動画↓も観てって下さい。このところ全然F1関連記事を書かないから
新作がないので、書庫と化してますけど。たまにまれにチェックしてますんで。
http://video.fc2.com/member?mid=11526797
「投稿動画数」の数字をクリックすると、これまで投稿している動画のリストが出ます。



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ざっくり映画ライフ:その14 夢を諦めないオヤジたちの挽歌(レスラー、アンヴィル!夢を諦めきれない男たち、ロッキー・ザ・ファイナル)

音楽レビューラッシュをしている間に映画ネタが溜まりに溜まってしまったので、
もうしばらく映画ライフのラッシュ、いきます。
今回は夢の終わりや現実の厳しさに直面する、諦められないオヤジたちのブルースを。


レスラー

レスラー スペシャル・エディション [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]
(2010/01/15)
ミッキー・ローク、マリサ・トメイ 他

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俳優としてのキャリアを積んだ後、90年代にはボクサーに転身、ボクサー引退後に
俳優業を復活させた異色の俳優、ミッキー・ロークが、レスラー役に体当たりで挑んだ。

ロングヘアの金髪がトレードマークのランディはレスラー。特に80年代はスター選手だった。
それから20年以上、レスラーを続けているが、今や収入は細々としたもので、スーパーで
アルバイトをしながら週末に試合をする程度。家賃を払えず車で寝泊まりする日もある。
ストリッパーのキャシディに想いを寄せ、クラブに通う日々。彼女ももう若くはない。
ある日、ランディは心臓発作を起こして倒れ、心臓バイパス手術を受ける。医師からは
「レスリングはもう無理」と宣告される。実際、僅かな運動にも耐えられなくなる。
レスラーを引退することにしたランディは、これまでないがしろにしてきた一人娘・
ステファニーとの関係を修復して新しい人生を始めようとしたり、
「ストリッパーと客」の関係を超えてキャシディと本格的な恋愛をしようと試みたり。
収入が減る分、スーパーで働く時間を増やし、客の前での仕事も引き受けてみる。
しかし、セックス&ドラッグのルーズな悪癖を改められなかったり、
キャシディの方では、子持ちであることを気にして、想いに素直になれなかったり。
スーパーの仕事もやめてしまう。不器用にしか生きられないランディ(とキャシディ)。
ステファニーから絶縁を告げられ、失うものはもう何もないと覚悟を決めたランディは
大きな賭けに出る。それは、往年のライバルとの20周年記念試合への出場だった・・・

ミッキー・ローク自身のキャリアの浮き沈みをそのまま反映させたかのような物語は
大ヒットと高い評価をほしいままにした。しかし、彼のキャリアについては
私は世代からいってまるで知る由もなく、ここに共感どうこうというのは難しい。
私が息をのんだのは、レスラーたちの裏側が容赦なく描かれているところ。
敵味方というより、レスラー全体が一種の運命共同体のように見える。八百長という
印象もあるが、互いが互いを思いやって根回しする「優しさ」は嫌いじゃない。
但しボクサーだったロークは当初「プロレスは振り付けでしかない」と考えていて
レスラーを尊敬できず、考えが変わるのは撮影が進んでいくうちだったそうだが。
ステファニーと約束をしていた肝心な日を前に、その場の勢いで薬とセックスに走り
そのまま眠りについて起きられなかったり、スーパーでの人前の仕事で正体がばれて
動揺し手を怪我して、大暴れして「こんな仕事やめてやる!」と息巻いたりする姿に
「ああぁ・・・」と思わず頭を抱えたくなる。
でも現実の芸能人やスポーツ選手もこんな風に、一般人が当たり前に出来る事や
知っている事が、出来なかったり知らなかったりするエピソード、よく聞くかも。

最後、試合に出て行くランディ。やっと気持ちが通じかけたキャシディに向かって
「俺の居場所はここしかないんだ」と言い放ち、飛び出していく。
心臓が悲鳴をあげるなか、必殺技「ラム・ジャム」を喰らわす所で話は途切れる。
何とも言えない余韻が残り、エンドロールのブルース・スプリングスティーンの
哀愁と年輪を感じさせる主題歌がいつまでも胸に鳴り響く。



アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [DVD]アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [DVD]
(2010/04/14)
アンヴィル

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とにかく滅茶苦茶話題になっていて、「そんなに面白いなら、試しに見るか」と
何ともなしにレンタルしてみた作品。しかしこれが思った以上に面白いのだ!

80年代初頭に人気を誇ったカナダのへヴィメタル・バンド「アンヴィル」。
84年にはボン・ジョビ、ホワイトスネイク、スコーピオンズなどと並んで
日本の「スーパー・ロック・フェスティバル」に招待され、大観衆の前で演奏した。
しかし、人気は長く続かず、いつしか彼らは忘れ去られていった。
それから20年あまりが経ち、アンヴィルは一応ずっと活動を続けているのだが、
ヴォーカル兼リードギターでリーダーのスティーヴ・"リップス"・クドロー
ドラムでリップスの幼なじみのロブ・ライナーしかオリジナルメンバーはおらず
給食配給センターでの勤務や建設作業などで生計を立て、細々と活動するに留まる。
ヨーロッパツアーの話が舞い込み、再起を夢見るメンバーは各国を転々とするが
顔を忘れられていたり、ギャラをもらいそびれたり、電車に乗り遅れたり、もうハチャメチャ。
そこで、かつてのデビューアルバムのプロデューサーにニューアルバムの録音を頼む。
リップスは家族から借金までしてイギリスへ渡った。しかし、リップスの我が儘に
普段温厚なロブがキレてブースを出ていってしまうなど、喧嘩ばかりのレコーディング。
何とか音源が完成し、ラジオ局やレコード会社に売り込むも、どこも見向きもせず。
そんなとき、日本のプロモーターから連絡が入り、2万人収容の幕張メッセで開催される
「LOUD PARK 06」コンサートへの出演を依頼される。
といっても、3日間に及ぶフェスティバルの最初の演奏者で、しかも午前中の演奏。
またも失敗と挫折が増えるだけかと思いきや、遂に奇跡が起きる!!!

この映画はドキュメンタリー。アンヴィルのファンで付き人も経験している監督が
スティーブン・スピルバーグの『ターミナル』の脚本を書いたお金で、アンヴィルの
映画を作ろうと思い立ち、リップスとロブを中心に2年間もバンドに密着してできた。
まずここにひとつめの奇跡があった。
細々とした活動しかしていなかったアンヴィルにヨーロッパツアーの話が出たことも
結果はともかく、ふたつめの奇跡といってよいだろう。
デビューアルバムのプロデューサーが、インディーズ状態のアンヴィルのプロデュースを
引き受けてくれたのがみっつめの奇跡(頼んだのはアンヴィルの勇気)。
そしてよっつめの奇跡が「LOUD PARK 06」に呼んだ日本のプロモーターで、
最後の奇跡はなんといっても観客。まさか、あの日程のあの時間帯に、今や無名のバンドに
熱狂的なファンで会場がいっぱいになっているなんて!

「レスラー」のロックバンド版ともいえるような、シビアな現実の積み重ねが苦々しく
積み重なる映画でもあるが、こちらは最後に劇的なハッピーエンドで幕を閉じる。
結局のところ、皆がアンヴィルを忘れていなかった、ということなんだろう。
皆が心のどこかでアンヴィルを覚えていて、彼らの再起を密かに願っていたんだろう。
現実にアンヴィルの音楽はまた売れるようになり、音楽で生計が立つようにもなった。
彼らの努力や粘り強さがあってこそだが、ファンはそうそう忘れやしないのである。



ロッキー・ザ・ファイナル

ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]
(2007/10/05)
シルベスター・スタローン

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最近出たパッケージだと写真が違う。

ロッキー・ザ・ファイナル(特別編) [DVD]ロッキー・ザ・ファイナル(特別編) [DVD]
(2012/10/12)
シルベスター・スタローン、バート・ヤング 他

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blogを始めたばかりの頃、ロッキーシリーズの一連の感想としてはとりあげているが、
単品では書いていないのと、他の5作とは若干、趣を異にしているため、
改めてこの機会に紹介してみる。

燻っていたのが一転、アポロとの試合でシンデレラボーイになったあの物語は
もうはるか昔。ロッキーも、周りの人間達も、皆それぞれに年老いた。
最愛の妻・エイドリアンは、3年前に癌で亡くなってしまった。
ロッキーは持ち前の軽妙なトークで現役時代の思い出話を振る舞いながら、
地元で小規模なレストランを経営し、一見平穏に楽しく暮らすも、
3年前のエイドリアンの死から立ち直れず、空虚さを抱え続けていた。
更に、息子のロバートは「偉大な父・ロッキー」の存在にプレッシャーを感じ、
ロッキーと疎遠になり、エイドリアンの葬儀にも顔を出さない。
普通のサラリーマンを選んだが、いつも父と比較され、からかわれてしまう。
エイドリアンもいない、ロバートも疎遠。孤独を抱えながら生きるロッキー。
そこに、ひょんなことから、現代の「強すぎてつまらない」ボクサー、
メイソン・ディクソンとの対戦が持ち上がり、ロッキーは再び闘いに挑むことに。
老いてなお闘争心を失わず、言葉通り諦めない父を見て、ロバートは心を動かされ、
居心地が悪いだけの今の仕事をやめ、ロッキーのサポート役にまわる。
いざ試合。おおかたの予想はディクソンの圧勝だが、ロッキーが粘り、
闘いは(いつものごとく)最終ラウンドまでもつれる。
ふたりとも満身創痍で、一歩も譲らない、諦めない。そして試合終了のゴングが鳴った。
2-1でディクソンの判定勝ち。二人は互いの健闘を讃え合う。
そして、ロッキーは「エイドリアーン!」の代わりに、墓前にそっと報告へ訪れる・・・

前ふたつに比べて、ロッキーは圧倒的な成功者なうえに絶望的に失った状態にないので
このように並べると、悲壮感や説得力に欠けるかもしれない(笑)
しかし、6作全部コンプリートした者としては、エイドリアンの死を引きずったままで
さめざめと泣き出してしまうロッキーの姿を見ているだけでこたえるものがある。
そしてジョブのようにきいてくるのが息子との不和。「自分が偉大だから」が
息子にはプレッシャーになってしまう。「あきらめないでしぶとく頑張れ」という信念は
何をしても「ロッキーの子」として以外見られない、評価されないロバートにとっては
無意味を通り越して、この上なく耳障りなものとなっている。
なんともやりきれないが、このような「親子でも、わかりあえない」関係はよくある、
「レスラー」なんかもっと顕著な例。あれは父親がダメパパなのだが・・・
因みに、「強すぎてつまらないボクサー」ディクソンって、00年代フェラーリにおける
F1ドライバー、ミハエル・シューマッハーがモデル?06年公開だし、ちょっとあり得る気も。

はっきり言って試合よりも、ロバートとの「冷戦」の方が解決困難なように感じられた。
けれどロバートは、現役時代のロッキーを全力で応援する「大ファン」な子どもだった。
だからこそ、ロバートの心にロッキーへの敬愛は残り、そして親子の絆が蘇ったのだろう。
ロッキーは、試合だけでなく、親子の絆の修復もあきらめないで辛抱強く臨んだ。
華麗な復活劇はもちろん、このような人間ドラマも、本作の大事なみどころだと思う。



結果がどちらに出るかはわからないし、いっそどうでもいい、
どうしても諦めたくない、諦められない、男たち。
現実はよく知っているけれど、これでもかこれでもかと、更に前に蹴り出す。
その先にもっと目を覆いたくなるような真実が待っていたとしても。
もう若くない、気合いでは乗り越えられない。でも、信念が彼らを突き動かす。
そして、その奮闘を誰かが見ていて、そっと手を差し伸べることだってある・・・
「諦め(られ)ない力」ってあるんじゃないかと感じる、3人の男たちの映画でした。



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ざっくり映画ライフ:その13 いつも音楽と共に!伊坂幸太郎作品の映画化(フィッシュストーリー、ゴールデンスランバー、死神の精度)

先週末、アカデミー賞発表もあったし、久しぶりに「ざっくり映画ライフ」の登場です。
一時期の派手なブームは一段落した印象ですが、先日TVの録画で「フィッシュストーリー」
を観て、伊坂幸太郎さんの小説の映画化ものをかなりの割合でコンプリートできました。
まだ「重力ピエロ」があるんだけど、それでも何だか気分すっきり。
いつの間に「ちょっと懐かしい人」モードになっていることに少しの驚きを感じながら、
軸となっている音楽と共に、振り返ってみましょう、伊坂作品の映画化。
斉藤和義さん(以下、公式のあだ名「せっちゃん」)のファンとしても何かとうれしかったり・・・。


フィッシュストーリー

フィッシュストーリー [DVD]フィッシュストーリー [DVD]
(2009/09/25)
伊藤淳史、高良健吾 他

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<軸となっている音楽:逆鱗FISH STORY」>
1975年にセックス・ピストルズよりも早く登場した日本のパンクバンド「逆鱗」の
全く売れない、しがない顛末から、全てを賭けた最後のレコーディング曲へ。
1982年にナンパに出かけるも友人達から半ばいじめられている気弱な大学生が
事件に遭遇、車内でテープで聴いていた「逆鱗」の曲が彼に奇跡を・・・!?
1999年、先程の大学生の友人は今でも一緒におり、ノストラダムスの予言を信じて
全てを投げ出し教祖様についてきた。しかし世界は滅びない。そこで起こったのは。
2009年、一度眠るとテコでも起きられない、ある才能を秘めたついてない女子高生が
巻き込まれた「シージャック事件」。そこにあらわる、信じがたい「正義の味方」!
そして2012年(これが「現在」の位置づけ)、彗星が地球に大接近、いよいよもって
地球は滅びてしまうのか?レコード屋で「逆鱗」を聴く男達は、奇跡の目撃者となる・・・

ボーズで眉毛も落とした高良健吾君がパンクバンドのヴォーカリストとして絵になる。
歌もそこそこうまく(デモ音源を作ったであろう、せっちゃんの歌い方まんまでもあるがw)
シャウトもいい感じ。かわって普段の姿は、持ち味の繊細さが今度はいい味出している。
安定の伊藤淳史君がベーシスト。時代を考えるとそこはシドの立ち位置なんだがいいのか?
リーダーでしっかりしているが「FISH STORY」の意味を知らない(=ホラ話。大学受験まで
結構英語が得意だった自分だって知らないよ!寧ろ知ってる他のメンバーがすげぇって)面も。
ガツンとくる演奏が爽快。せっちゃんぽくもあるが、4人の連帯感もよく出ている。
冴えない4人を何とか売り込もうと奮闘する不器用なマネージャー・岡崎(大森南朋さん)に
何かじんときた。2012年のレコード屋は岡崎の息子さんかと思ったが、違うのか?
(Wikiを見ると単に大森さんの二役としか書いてない)
圧巻は森山未來君の見事な身体能力あってこその「正義の味方」、これは見ごたえがある!
多部未華子ちゃんのウエエエン振りもビクビク振りもなんともいえず可愛い。
最後にああいう形で才能が花開くとは、納得なようなちょっと強引なような。でも彼女も
結局究極の「正義の味方」になったわけだな。
そして本筋とどう絡むのかよくわからなかった1982年&1999年のパートが意外な形で繋がる。
最初の2012年のシーンからしてもう繋がっているし、2009年にも直接リンクしている。
関連が全く読めなかった安定の濱田学くんがまさかこう繋がるとは思いもしない!
「相棒」の芹沢役でお馴染みの山中崇さんがすごい粗暴な男で出ていて、後から出演者を
見ないとわからなかった。地味にこれもものすごい驚き。

映画で観ていると時系列が次々変わってちょっと慌ただしいかもわからないが、2時間が
こんなにあっという間に過ぎた映画は初めて。最後の雪崩の如き風呂敷畳みの嵐は
アクション映画のハイライトのバトルシーンさながらのスピード感とスリル!!

これまで観てきた伊坂映画では本作が今のところ一番好き。
深い音楽愛~バンド愛を感じられるのもたまらない。


フィッシュストーリーフィッシュストーリー
(2009/02/25)
逆鱗×斉藤和義、いっとくブラザース 他

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「逆鱗」の面子が本当にCDデビューしてしまったサントラ。
せっちゃんが楽曲プロデュースを務めている(劇伴音楽は手がけていない)。


ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー [Blu-ray]ゴールデンスランバー [Blu-ray]
(2010/08/06)
堺雅人、竹内結子 他

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<軸となっている音楽:The BeatlesGolden Slumbers」>
いつも笑っているように見える堺雅人さんだが今回ばかりはせいぜい泣き笑いで、あとは
かなりテンパっている。そりゃ無理もない、だって身に覚えのない陰謀に巻き込まれて
命を狙われちゃうのだから。
堺さん演じる宅配便ドライバー・青柳は、首相暗殺の濡れ衣を何者かに着せられて
指名手配犯になってしまい、かつての仲間達を頼って逃亡劇を繰り広げる。
大学時代の恋人、学生時代の友人やサークルの後輩、(原作では元)職場の同僚、
昔助けてあげた元アイドル、ひょんなことから出会った病院の患者など、
さまざまな人々と(再び)出会いながら、青柳はひたすら逃げつづける・・・

勝手知ったるはずの仲間達がもはやバラバラで、自らは孤立無援の状況を例えて
「ゴールデンスランバー」みたいだ、自分はビートルズのポールみたいだと青柳は思う。
更に自分は何とか皆をつなぎ止めようとしているのだという意識からも。
青柳は昔の仲間達に辛うじて救われながら逃走を続ける。
それは絆がまだあったとも言えるし、最終的な安住の地がどこにもない点からは
もうたいした有力な絆なんて存在しないのかもしれない。
「人間が生活する上で一番重要なのは、人との繋がりや、信頼なのではないかという
作者の考えが込められている」とWikiにはあったが、つまり青柳はそれに救われたり、
その脆さに打ちのめされたりしてきたわけか。
ありとあらゆる方法を使って、警察の網の目をくぐり、最後には全く別人になって
恐らくは安泰ながら一生孤独な人生が想像できるラストに辿り着く。

大丈夫?大丈夫?とヒヤヒヤしていたら気がつけば逃げおおせている、そんな繰り返しが
スリリング。次々と都合よく助けてくれる人が出てくるのもいっそ爽快だったりする。
だけどどこか孤独なのはどうしてなのか。

せっちゃんの昔の楽曲で映画テーマソングの「幸福な朝食 退屈な夕食」が、さめた口調で
そんなせわしなく皮肉な世界を俯瞰している。


ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~
(2010/01/27)
斉藤和義、サントラ 他

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この映画ではせっちゃんが音楽監督を務めている。劇伴音楽もせっちゃんの手による。
流石多彩な人だけあって、ストリングス・アレンジなんかも共作ながら手がけているのは
今更ながら驚いてしまう。


Sweet Rain 死神の精度(原作では「死神の精度」)

Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]
(2008/08/27)
金城武、小西真奈美 他

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<軸となっている音楽:特定したものはないが、音楽全般>
この作品だけ他と大分毛色が違う印象。本質は変わらないが、どこかロマンティックで
スケールもデカくなっている気がする。金城武さん主演のせい?他のキャストも殆ど
いつもの顔ぶれは出ていない。

金城武さん演じる死神の千葉は人間の音楽=「ミュージック」を溺愛し、彼が地上に
降り立つ日はいつも雨が降っているという、ちょっと風変わりな死神。
役割は死神の調査部員で、調査のために地上に降り立って7日間対象者を観察し、「可」か
「見送り」かを判定する。「可」と判定すると対象者は8日目に死亡する。「見送り」と
判定すると対象者は今回は死なずに天寿を全うする。大抵のケースでは、判定は「可」。
今回の対象者は小西真奈美さん演じる藤木一恵。苦情処理の部署でクレーマーに悩まされ、
他の社員に何かと面倒ごとを押しつけられても断れず、身内は殆ど死んでしまった、
あまりにもついてない女性。いや、ある意味で「持っている」女性ともいえる。
千葉は無意識のうちに彼女に惹かれてしまい、初めて「見送り」の判定をする。
その後も、実は一恵の息子である青年が対象者を兄貴分のように慕っていたりして、
千葉は何度となく、対象者やその身近な人物である一恵の関係者の調査をしてきた。
年月が経った。今度千葉が対象とする老女(富司純子さん)は実は歳を取った一恵で
千葉を一目見るなり「人間ではない」ことを言い当てた。
そして千葉にあるお願いをする・・・

千葉以外の死神たちも「ミュージック」が好きで、いつもレコード店には誰かしら
ほかの仲間がいるのがユーモラス。世間話なんかの舞台もレコード店。
コメディ映画や向こうの映画(レッドクリフなど)以外で金城さんを見ると、演技か日本語の
どちらかがどうにも「微妙」だとか「棒」といった印象を受けるのだが、今回の千葉は
人間と言語含め感覚がズレた浮世離れした特殊な存在だから、そんなに違和感なく見られた。
それにしても一恵の人生はあまりに波瀾万丈。身内をことごとく亡くす、クレーマーは実は
一恵の声に惚れていて歌手にスカウトされデビュー(リリースしたCDを千葉は聴いている)、
結婚、出産、しかし旦那との死別をきっかけに自らの運命から子を守るため息子をあえて
孤児にする、死神の調査によって周囲の人間を多く亡くす、晩年は高台でひとり美容院をする。
最初に千葉が一恵を助けた時期も一恵は「もう死んでしまいたい」と思っていたのだが、
千葉は結局最後まで一恵を運命から救えなかったということになる。なんとも切ない。
天然キャラの千葉だから自覚が怪しいが、彼は明らかに一恵に淡い恋心を抱き続けながら
見守ってきて、なのに当の一恵から「最後のお願い」(=「殺して」に相当するもの)をされる。
一恵の「お願い」が叶ったとおぼしき日、空はよく晴れて、虹が出る。千葉が初めて見る青空、
晴れ空だ。太陽によって高台が照らされて緑も美しい、けれど何か悲しいのはどうしてだろう。

普段の伊坂小説→映画の舞台が地中や市井だとしたら、本作はちょっと地上の「いい家」。
全体的に雰囲気が少しだけリッチで甘い。
金城さん、富司さんの存在感がとてもいい。小西さんの健気さも可愛らしい。
シニカルな笑い所も登場するが基本的にはストレートなラブ~ヒューマンストーリーで
わかりやすいので、他の伊坂作品に比べると、メジャーな映画が好きな人向け。

「フラガール」や朝ドラ「てっぱん」の鬼母~べっちゃんを観てきた自分としては、
本作の富司さんは幻想だと思っている(笑)


別の企画で使いたい&本数オーバーで「アヒルと鴨のコインロッカー」を入れられませんでした。
それが結構物足りないかも、でもうってつけの場所がどうしてもあって・・・
けだるい空気感、クドカン映画ともまた違う登場人物の強いキャラ立ち、やるせなさ、
そして多くの作品で貫かれている「音楽」への愛(「アヒルと~」ではボブ・ディランの
「風に吹かれて」が物語の重要な鍵となる)。ん~、なんともいえませんね。
伊坂さんの本は未だに読んでいないけれど、そろそろ安価になっていそうな頃(失礼)、
これを機会に手にとってみようかな?なんて。

せっちゃん、いや最後くらいはちゃんと呼んで斉藤和義さんと伊坂さんとのタッグも
印象的でした。

君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~(初回限定盤)(DVD付)君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~(初回限定盤)(DVD付)
(2007/06/20)
斉藤和義

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コンセプト・アルバム「紅盤」にも入っている楽曲で、伊坂さんが作詞に挑戦。
斉藤和義ワールドとの相性はもちろんばっちりで、かつ伊坂作品らしさもある詞。ナイスです。



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テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

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震災と音楽について、せめて語れることを ~被災地の出身でもなければ、ボランティアも何もしてないけれど~

昨日、何かしらしていてカレンダーを見る機会があったのですが、そのたびに
「あぁ、今日は・・・」という一抹の思いが一瞬ですが通りすぎていきました。
一瞬の感慨を言葉に変換する間もないほど忙しい日でしたが、何も感じないという訳にも
いかない、複雑な感情の機微がありました。
昨日、2013年3月11日


東日本大震災のニュースで日本中・・・いや世界中・・・が騒然となった2年前の昨日、
私はあまり経験しない大きな揺れに不安になったし、スーパーに行くたびに
食品がどんどん空になっていく様子に悄然とし、TVの殆どの局でいつになっても
一日中震災関連の報道をしている日々について「本当に大丈夫だろうか」と
いう思いを強くしました。あの津波の映像は未だに現実の出来事と信じられていない
気がします。映画のなかの光景のような。
しかし当時、私はblogを書こうとすら思いつく余裕もないほど、個人的に未曾有の
悪夢のような状況にあり、ふるさとでも近隣でもない地域のことを考えられるような
心のゆとりはありませんでした。毎日が戦場のような追い込まれた暮らしをしており、
不謹慎ながら、被災者の方々が「サバイバーの仲間」のように感じられるような状態。
ある意味では被災者の方々の心情に寄りそっていたのかもしれませんが・・・

それから、1年、そして2年。いまは2013年。不思議な気がします。
あの日からもう2年も経っているなんて。せいぜい1年くらいな気がしていたのに。

いまは当時よりは「未曾有の悪夢のような状況」はおさまり、いくばくかの不自由さは
ありながら、それなりに慣れて、テコパコ日々blogを書くくらいのゆとりがあります。
ある程度落ち着いたからblog開設まで思いつけたというのもあるので、1年前くらいから
日々のアップダウンはありながら「まあまあ」な暮らしにおさまったといったところですか。
そういうなかで、「ニュースはNHK派」になったことをきっかけにNHKやEテレを
観る機会が多くなり、それにつれて比較的震災関連の特集番組に触れる機会もそこそこ
多めだったかもしれません。
とはいえ、ここで震災関連について政策等の是非を語れるほど、多くを知っているとも
私には言えません。地域を活気づけようと元気に頑張っている人のことも、悲しみや不便に
苦しんでいる人の訴えも、両方同じだけTVを通じて観てきて、そういった情勢に対して
あらゆる分野の専門家達が人の数だけの意見やアイデアを述べるのを聞いてきて、
「ものごとにはプラスの側面もマイナスの側面もある」としか、それらへの感想をまとめる
言葉は見つかりません。
被災地がふるさとだというわけでもなし、被災地へボランティアに行ったわけでもなし、
募金やチャリティー・イベント等に参加したわけでもなし(友人のバンドがやっていた
チャリティーのライヴには行ったけれど、友人のライヴに行くのはいつものことだし)。
そういう自分に何が言えるやら、言う資格があるのやら、という引け目もあって、
思考停止している部分もあるかもしれません。

しかし。音楽メイン(じゃない時も結構あるとはいえ)で1年以上blogを書いてきて、
そのたびに音源を何十回と聞き返して、ときにはアーティストのインタビューなどの
情報をネットで集めたり、歌詞を読み込んだりして、音楽のことアーティストのこと、
更には聴き手・ファン(である自分達)の受け入れ方なんかについても考えてきた
時々本当に苦しい日々の繰り返しのなかから震災関連の近頃を観ていて、私なりに
思うことがありました。
「私なんぞが畏れ多い」とおののきながら、勇気を出して少し書いてみようと思います。

・・・というか、元ネタはまたしても自分のよそさまへのコメントです。。
コメントを書いた先・かげとらさんの思索のほうがよほど理にかなっているし的確です。
ん~それでも、何も言葉にしないで思考停止のままでいるよりも、
何か考えを発していかないと、事なかれ主義に流されて、想いがパァになってしまいます。
ブロガーという名の「表現者」の端くれの端くれとしては、想いがあるなら形にしなきゃ。
無難だからと何も言わないでいると、それは無言で「なかったこと」ムードに乗っかって
いるのと同じだから。


↓実際のコメント(一部省略)

TVを観てるとたくさんのアーティスト達が
被災地に慰安コンサートに訪れていますよね。
あれも、実際の所どのように響いているのだろう?と少しばかり懸念が。
来るのは好きなアーティストとは限らないし、
実際には大きな態度で「演ってやったんだからありがたく思え」
っていう人が多いのかもしれない。
名前を売りたいだけの人かもしれない。
頑張り疲れているところに「みんな、がんばれー!」という
無邪気でアップテンポの曲を流されて、
参っている人もいたりして・・・?
音楽は好き嫌いがわかれるので「救援物資」としては
ちょっとデリケートかもわかりませんね。

心の傷は時間がかかってからの方が
却って表出しやすいという話も聞いたことがあるので、
心の問題でいえば、本当の難しさはこれからなのかも。
元気な人と苦しい人の差がついてくるだろうし。


「音楽で被災地に元気を!」というバンド、アイドル等々がたくさん報じられていて
この2年ずっと「モヤッ」としてきた部分でした。
あかちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまでいるところに、ひとつのアーティストが
やって来て、果たして受け入れられるのだろうかと。
とりわけ今の時代、そんな音楽や歌なんてもう殆どないでしょ?
歌ほど好き嫌いがわかれるものってないのでは?
「ありがとう、よかったよ。」「あなたの歌に元気が出たわ。また来てね」
という反応を逆に仮設住宅の人達は強いられていないだろうか?
と。
言うまでもなく、本気で感動したのならそれに越したことはないし、素晴らしい。
でも、そうでもないのに喜んで見せなくちゃならないなら、それは負担では?
演奏した側も「弱者に施しをしたのだから感謝されて当然」と思っていないか?
「ダメなものはダメだ」という、リスナーとしてごく自然な反応(表し方には
程度があるだろうが)は、心の中に押し込まれた後、どこへ行くんだろう?

あと「がんばれ」って何かなって。
頑張っている人、それも頑張り疲れている人に、更に「がんばれー」って何かなと。
でも逆に「もう大丈夫だよ」「そのままでいいんだよ」ばかりでも気が滅入る。
我が儘かもしれないけど、聴く音楽を選べる普段の人達はこの辺を適切にバランスとって
聴くことができるからいい、でも一方的に「やってくる」音楽を聴かされる人はどうか?

与えることは素晴らしいことだし、与えられることはありがたいこと。
でも、その配分を、与えられる一方の人達は選べないし、
「与えていただいてありがとうございます」という卑屈な心理を強いられる。
音楽の種類を問わず(もっというとエンタメの種類を問わず)、楽しくなったり
ラクになったり救いになったりするのは、基本的にやっぱり「好きなもの」。


娯楽は食事におけるお菓子のような扱いで、恐らく一番後回しにされるでしょう、
いま"施されて"いる人々が再び「好きなもの」にありつく自由と余裕を得るのは。
けれど願ってやみません。遠くない将来、思うままにいかない過去と現実の苦しみを
まぎらわし、癒し、受け入れさせてくれるような「大好きな音楽」「大好きなもの」を
自ら選び、好きなタイミングで好きな量だけ摂取できるようになる日を。

好きな音楽と一緒に泣いて楽になる、一緒に踊ってなんだかワクワクしてくる、
未知のものを聴いてなんだか未来が見えてくる、そんな日を・・・そんな日を。


いつも以上に稚拙な論と文章を読んでいただいてありがとうございます。

テーマ:東日本大震災 - ジャンル:ニュース

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シガー・ロス:その4.4 inni「親しみやすくて気高くて、圧倒的な音像が広がる・・・ベスト・アルバムとしても必携盤の完全ライヴ・アルバム!」

出世作となった1999年の「Ágætis byrjun(アゲイテスト・ビリュン)」から
当時の最新作、2008年作「Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)」
までの音像を一望できる、Sigur Rósシガー・ロス)のライヴ・アルバム+DVD
inniインニイ)を聴きました。
アルバムは2枚組で、驚くことに、1時間45分・全15曲あったライヴを
まるごとそのまま曲順も同じでパッケージしてあるので、臨場感が半端ない!
時期は丁度、4年間の活動休止期間に入る前の、最後の「残響」ツアーです。

インニイ(DVD付)インニイ(DVD付)
(2011/11/02)
シガー・ロス

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「残響」を作った時点で、もう彼らの未来は「ここから先」であって、
「アゲイテスト・ビリュン」や「()」のような、かつてシガー・ロスの音とされた
ローファイな幻影世界の住人となることはないのだろうか、それらの時代は
過ぎ去った黒歴史になるのだろうか・・・と、あの世界が(も)好きな者としては
寂しさと共に諦めがあったのですが、ものの見事にその懸念は打ち砕かれて、
希望~安定への境地へと入りかける「Takk...」「残響」からの選曲が中心ながら
要所要所でかつてのローファイでアンビエントな闇に引きずり込まれる。
どの時期も幅広く好きな私にはセットリストそのものが宝物のようです。
演奏は言うまでもなく素晴らしいし、ベスト・アルバムとして聴いても全く遜色ない作品
だと感じます。「()」や「Takk...」はCCCDだったので、私はこれを保存盤にすることに。

DISC1の#2「glósóli」のあのあふれ出るような多幸感、一転して#3「ný batterí」の
多感で絶望的な響き、そのどちらもが同じだけ胸一杯にカタルシスをもたらし、
聴いていて感動のあまり涙を禁じ得ず…
もともとオリジナル音源で親しんでいる楽曲達なのに、新しく出会ったばかりのような
フレッシュさと衝撃をこのアルバムで得ることができます。
それで且つ、イントロが流れてくると一発で曲がわかる、更に収録アルバムまでも。
この「親しみやすさと気高さの両立」はなかなかすごいですよ。
inni.jpg
本来ならセットだった、「ライヴ?PVでは?」と見紛うほどの芸術的なライヴ映像を収めた
というDVDを今回観られなくて残念!
彼ら、今年は武道館にも来るといいますね。ああ、東名阪に住んでたら・・・・・・

そうして、何度も耳を傾けていると、今まで見えてこなかったバンドやオリジナル音源の
いろいろな側面が浮き彫りになってきます。

一般認識としては、ボウイング奏法で奏でるディストーション・ギターと
ファルセット・ヴォイスの両方がバンドのシグネイチャー・サウンドになっている
名実共にバンドの顔のヴォーカリスト、ヨンシー・バーギッソンが中心で
あとは+α、っていう印象のあるバンド。
でもこのライヴを聴いていると、「アゲイテスト・ビリュン」から加入したキーボーディスト、
キャータン・スヴィーンソンの存在が、実は対となるほど大きいのでは?と感じます。
普段のアルバムだとヨンシーの声やギターにどうしても耳がいくのですが、本作では
KeyやSynが(音量含め)思いの外目立って聴こえたためです。
なにもこのライヴだけ特別なアレンジをしているわけではない(アレンジを楽しむ後半の
DISC2収録曲はまた別ですが)ということは、これまでもKeyやSynが大きな役割を果たしてる。
ということは、キャータンって「音作りにおける影のリーダー」ぐらいのイニシアチブを
これまで、とってきたのかも。
「残響」ではピアノやオルガン(のような音のシンセ)がアレンジで目立つし、
それ以前では、ヨンシーのディストーション・ギターが空気中に突き刺さるように響くのを
取り囲む霧のような「もや」で、あの幻想的なサウンドスケープに貢献しているし。
こうやって聴いていると彼らの音楽ってクラシカルにも感じられるけれど、そういえば
キャータンはそういった本格的な音楽教育を受けてきた人だったものなぁ、と。

Polarlicht_2.jpg
こちらは、以前Wikipediaのトップページを開いたらいきなり掲載されていた
(最近「きょうの一枚」というコーナーができたようです)オーロラの写真。
シガー・ロスの面々が生まれ育った、アイスランドでは日常的にみられる光景で、
私が彼らの音楽からいつも感じ取ってきたのは、そして魅了されてきたのは
こんなふうな、自然と幻想が交錯してできる、美しくて圧倒的な眺めなんです。

表の主役がヨンシー、裏の主役がキャータンなら、
彼らをアシストしながら巧みに自己主張している二人も忘れてはなりません。
DISC2の#5、つまりライヴの締めを圧巻の演奏で飾る「()」からの「popplagið」は
いわゆる「音の雪崩」が大爆発、「バンド」ならではの骨太さがたまりませんが、
このような起伏の激しい楽曲では、オーリー・レイソンの力強いドラムが
「俺はここだ!」と言わんばかりに炸裂、曲がガッと盛り上がっていきます。
「ポストロック」「シューゲイザー」のバンドということで頭脳派なイメージの
シガー・ロスにあって、「脳筋」(失礼)的なストレートなアプローチ。
彼のドラム・ヒーローにはありゃ間違いなくボンゾがいそうです。
そして、主張の強い3人をまとめる控えめなベーシストのゲオルグ・ホルム
DISC1の#3、寒風のSE、ヨンシーのディストーション・ギターの嵐が過ぎたあとから
曲の本編が始まりますが、はじめ「ギター?」と聴き紛うような音色で、丁寧に繊細な
調べを奏でており、物語の始まりにふさわしい「静寂」がとても引き立ちます。
DISC2の#3「Hafsol」でひたすら、今度は力強い音色をかき鳴らし続ける「はじまり」も
縁の下の力持ちによるとても美しい仕事のひとつ。他の音に埋もれても問題じゃありません。
90~00年代のバンドにしてはベースが目立たない気もしますが、それは普段私が、Baの大きな
音楽ばっかり聴いているせいでしょう(笑)
inni2.jpg
ヨンシーはもはや書くに及ばず、CDと遜色ない名演を、歌うほうでも弾くほうでも
惜しみなく披露しています。しかしそれまでの曲と「残響」でのヨンシーの声って
全然違いますね。声が嗄れながらあえて叫んだりもしているし。
中低音が中心の曲も多いので、印象まで変わる。本当、「残響」とそれ以前って
別物だと感じていたので、今回のライヴで(DISC2の#2など)「残響」の楽曲のなかに
それ以前の曲にあった、風土と攻撃性を感じさせるあのシグネイチャー・サウンドを
盛り込んでくれたのは個人的に感無量でした。


・・・と、こんな風にメンバー一人一人の個性まで色濃く感じられるところまで
聴きこんで、調べたりもして理解を深めていたところへ、残念なお知らせが。
http://www.emimusic.jp/intl/sigurros/news/
キャータン脱退&新作ティーザーVIDEO!!! (2013.01.25)

バンド側から正式にメンバーのキャータン(key)が脱退し、現在3人で活動していることが発表されました。
そのことについてはバンド側のコメントは
「キャータンはバンドから脱退した。キャータン曰く、人生の半分をシガー・ロスと過ごした。そろそろ違うことをする時だ」と語っています。
また、この脱退は喧嘩別れではなく、平和的だった」とのこと。
別のコメントでは彼は‘しばらくの間’バンドからいなくなる、とまた彼が戻ってくる可能性もあることを示唆しています。
キャータンが去ったことでサウンドの変化はあるが、それは彼がいなくなったことというだけではなく、シガー・ロスは常に進化し、面白いものを作っていこうとしているから」と語っています。
キャータン自身もソロ・プロジェクトを開始しているそうです。

中盤で書いたようにキャータンのバンド内のポジションがポジションだけに、
キャータンが加入してから音楽性が向上して売れたという功績もあるだけに、
心配なのはやはり今後の方向性ですが、今はメンバーそれぞれ(ヨンシー以外の二人も)
ソロ活動も経験していたりと、逞しくなっているはず。
次作までまたブランクが空きそうですが・・・でも、また、魅力的なものを
作ってくれるでしょう。それまで我々ファンは、のんびりと待っていますよ。




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ごあいさつ・雑談用コメントスペース

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どうも、燃える朝やけです。
初めてこのblogに遊びに来たので、ちょっとひとこと声をかけたい、
blogの記事には関係ないけどこの話を朝やけにきいてもらいたい、などなど・・・
そんなときにこちらのスペースを使ってやってください♪
という趣旨で設置した基本フリーダムなコメントスペースです。
いつも、ひとつの対象を題材にした感想~レビューが多いから、対象に詳しくない人には
声をかけにくいことが多いかもしれませんよね。
そういう時は是非こちらに。お気軽にひとこと~ダラダラ長文でもOK!
初めて来た方は「あしあと」がわりに、常連さんは雑談に、ぜひどうぞ。
但し荒らしコメントに相当するものは掲載やお返事ができかねることがあります。

↑にあるクルマは、FC2拍手をしていただいている方にはお馴染み、
昨年の冬頃(blog開設時)にYesの「Heart of the Sunrise」がCM曲になっていた
赤い球体も鮮やかな日産の赤いクルマでございます。
CMはもうとっくに放映していないけど、「わかる人にはわかるだろう」という
暗号みたいな意味合いで引き続きプロフィール画面と共に活躍してもらいますよ。

おまけ
92 モナコ予選 ジャン・アレジ
遅くてよく壊れることで有名(?)な、ジャン・アレジが駆る92年のフェラーリF92Aが
モナコ市街地で予選アタックをする様子のオンボード。これで4位獲得とかおかしい(笑)
テーマカラーが私の好きな色・赤のblogに合うかも?と、この画像もプロフィール画像候補に
一瞬なったけど、アレジファンみたいでアレかなぁと没にしてしまいました。
そんなわたくし朝やけはクルマの免許を持ってまへん。こんな画像ばっかり載っけてたら
信じてもらえないかもしれないけど・・・

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ジェフ・バックリィ:その3 素描「モノクロのスケッチ集に皆で色をつけて完成したアルバムは、思い切った新機軸の意欲作になるはずだった」

グランジ/オルタナ全盛のなか、メジャーアーティストにしては地味な音楽性にも
関わらず、1994年に発売され大ヒットを記録した1stアルバム「Grace」は93年冒頭に完成、
その後の4年間で、Jeff Buckleyジェフ・バックリィ)は、前回紹介したような
ワールド・ツアーに出ながら、たくさんの曲を書き、頻繁にレコーディングしていました。
バンド・メンバーなどとスタジオ・セッションをしたり、自宅でデモ音源を録音したり、
ライヴ・パフォーマンスを録音したり、ラジオ番組に出演したり・・・
とっくに2ndや3rdアルバムがリリースされていてもおかしくはない期間と勢いでしたが、
前回紹介したツアーへのあまりにも深い思い入れを考えると、ツアーの期間は基本的に
ツアーに集中していた可能性が高そうです。そんなワールド・ツアーが95~96年にかけて。
そして、97年のあの運命の日へ。

ジェフとバンドメンバー、それに前作プロデューサーのアンディ・ウォーレス
6月からメンフィスで2ndアルバムのレコーディングにかかる予定でいました。
バンドメンバーでギタリストのマイケル・タイへの電話・・・生前最後の電話・・・で
ジェフは「新しい曲をたくさん書いたよ!」と有頂天になっていたとのこと。
バンドメンバーが飛行機でジェフのもとに来る日、ジェフは友人とランチに出かけた後
夕陽を見ようと車を走らせてミシシッピ川へやって来て、いきなりブーツをはいたまま
ひと泳ぎしようと、一見した感じでは穏やかな川に足を踏み入れ、友人が気付いたら
ジェフは行方不明になっていました。
そして5日後、溺死体として発見されたのです。享年30歳、早すぎる死でした。

葬儀の後、ジェフの財産管理人として、彼の母親・メアリーが任じられます。
メアリーが管理する「財産」にはジェフの遺した音源も含まれます。普通のママには
とても荷が重そうなうえ、一般的にみても極めて異例な人選でもあるのですが、
そういえばジェフの父親=元旦那のティム・バックリィはミュージシャンでした。
更に自身もピアニスト兼チェリストだったというのだから・・・!
その辺りで、音楽を、あるいはミュージシャンの心情をよく理解した選択、レーベルの
金儲けの為に音源を乱発するような真似をしない賢明な管理が可能なのでしょう。

遺された人々が「未完の2ndアルバム」を世に出すために与えられた材料はこちら。
① トム・ヴァーレンのプロデュースの元、バンドメンバーと共に
正式なスタジオ・デモ制作を3度(非公式のものを含めると4度)行った際の楽曲
② ①のセッションに納得できず自らプロジェクトの手綱を握ると決めたジェフが、
小さな借家の4トラックレコーダー相手に新たに生みだしたデモ状態の楽曲
③ 「MY SWEETHEART THE DRUNK」というタイトル案

このうち、アンディ・ウォーレスが中心になって、①のセッション音源をミックス。
そして、メアリーはジェフの長年の友人のエンジニア、マイケル・クロウズの手を借り
何時間にも及ぶ②の荒削りで未完成な録音物を試聴、そして保存するという
手間がかかる上に①のクオリティにとても及び得ない大変な作業を進めました。
明けて98年、CD2枚組というコンセプトに加えて、レパートリーの全体図も確定。
<DISC 1>①の内容のウォーレス・ミックス
<DISC 2>①のオリジナル・ミックスやクロウズの入ったセッション、②の音源、
葬儀の幕切れの際に使用された、ジェフの歌うカヴァー曲「SATISFIED MIND」

かくして「全てモノクロにしてあるから、バンドは色彩を提供してくれるだけでいい」と
ジェフが言っていたスケッチ集は、多くの人達が輪郭をなぞり、色を塗り、仕上げを施して
Sketches for My Sweetheart the Drunk素描)」
として世に出ることとなりました。

素描素描
(1998/05/13)
ジェフ・バックリィ

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ジェフって芥川龍之介みたいなイメージが個人的には湧きます。
天才と騒がれ、そこそこ色男なのだけど、どこか薄幸、
精神病説がある(芥川=統合失調症、ジェフ=双極性障害)、夭折。
今回の連載の3作品におけるジェフの姿を見ていたら「ムラっ気のあるイケメン」とも。
見栄えのする写真と「あれ?」な写真との落差が激しすぎます。
髪を伸ばすと別人のように印象が変わるし、やっぱり不思議な人。

肝心の音ですが(前置きが長すぎましたが)、音楽性が1stとはかなりの別物になっていて
かなり驚かされます。が、4年間の足取りをこうやって辿ると、4年前と同じような方向性を
もう一度やりたいとは思わないだろうな、実験やイメージチェンジをしたいだろうな、と
納得はいきます。
1stは大人しい音遣いながらかなりエモーショナルで、表現自体はグランジ/オルタナと
通じる面が多々あったのですが、本作には荒ぶる魂や昂ぶる歌はあまり出てきません。
かといって「Hallelujah」のようなしっとりしたバラードが多いわけでもなくて。
はっきりとした喜怒哀楽ではなく、それらの合間のグレーな感情や感覚を取り出して
淡く滲んだトーンの楽曲や歌唱が殆ど。
これはジェフが4年間で大人になったのも
あるのだろう、と思ったけれど、デモ音源のジェフは結構不安定なので一概には言えず。
そして最も印象的で驚くのは、音とりわけギターがとってもUKロック寄りであること。
ライヴアルバム「即興」にてスミスの曲を「Halleluyah」に混ぜた辺りからその兆候が
みられますが、なかでもとりわけ80年代NWっぽいギターの楽曲が多め。
今回のテーマは「UKロックぽいでしょ、NWぽいでしょ」だったのかもしれません。
ギターにキレがあってそこにも魅せられます。アルバム曲の作者にバンドメンバーの
ギタリスト、マイケル・タイとの共作がぼちぼち目立ち(前作にもありましたが)、
彼の影響なり貢献なりもある程度大きいのではないかと推測しています。
DISC 1の音源は何曲か「RadioheadのThe Bendsか?」と聴き紛うようなものもあって、
ジェフとトムは頭の中が繋がっているのだろうか?と、不思議なシンクロを感じます。
この後ジェフが音響にハマっていったら「OK COMPUTER」や「KID A」が出来たりして??
そうかと思えば#2なんかはAORやソウルの香り。以前からジェフの歌唱をソウルフルだと
感じる瞬間は数多くありましたが、ロックからここまで逸脱するのも驚き。
でもこのような方向性を更に推し進めてみても面白かったかもしれませんね。

音楽性は大体DISC 2でも同じですが、ジェフのデモ曲はやや内向的なきらいがあり。
カート・コバーンが猟銃自殺の寸前に口ずさんでいそうな楽曲もあるし。
一方で、カラッとした曲調で「きみのからだは素敵」と繰り返すような曲も。
メアリーがどんな心境で息子のこのような曲を聴いたのかちょっと気になります(笑)。
ライナーノーツを書いた人に同意で#10「JEWEL BOX」はとても美しいメロディで、デモの
状態にも関わらず宝石のように輝いています。このままでアルバムに入っていてもよさそう。
この曲だけ別物のように綺麗ですが、他の曲は全体的にエフェクターをギターにも歌にも
あちこちかけまくりで、エフェクトを強くかけたサウンドでの実験がデモの目的だったのかも。

そして歌詞は全体的に心なしか幻想的、抽象的なものが増えている印象です。
ラブソングの体裁をとった、諦念や退廃的な情景の描写が多いのは、
ジェフが大人になったのかそれとも不安定になったのか?
死には双極性障害からくる自殺説がありますが、それも「もしや・・・?」と疑ってしまうような
自分の死をほのめかしたり想像したりするような曲もぼちぼち。
そんな不安をなだめるような大トリ、DISC 2の最後の曲「SATISFIED MIND」。
カヴァー曲ですが、死や人生に対する豊かで希望のある見地の詞に救われます。
あの日、葬儀に参列していた人達もこの曲に少なからず救われたのでは。


前作ほどのインパクトがなく、ジェフのあの高音が登場する必然性が微妙な曲調で、
DISC 1の最初や最後のほうで披露されてやはり素晴らしいけれどもう珍しくはなく、
そこを考えると、普通に販売されていたらもしかしてセールスこけていたかも・・・
そうなると3rdで巻き返し、となるでしょうが、そういう流れ自体、既に結構苦しい。
下手すると「Grace」や「Hallelujah」だけの一発屋という認識の二流アーティストに
成り下がって、二軍落ちしてしまうかもわからないというのが正直な見解です。
悪い作品、つまらない作品ではないのですがね。「売れるかどうか」という観点で。
でも、そういった反響が予想できたとしても、ジェフはこの新機軸を譲らなかっただろうし
例え売れなくなっても、食べていくのすらギリギリでも、あの高音が劣化してしまっても
ギター片手に各地を転々として歌い続けているのは確かなことなんじゃないか

という気がしてなりません。
だって、ジェフはそういう人だから・・・

94年11月にジェフにインタビューした、「即興」のライナーノーツを担当したライターさん曰く

美しくて、繊細で、気さくで、愉快で、
女好きで、セクシーで、予想がつかなくて、
極度の音楽オタクで、完璧主義者で、自分に誇りを持っていて、
生きることに情熱的で、エンターテイナーで。
5分も話したら誰でも恋してしまっただろう。男女に関わらず。


というキャラクターだったというジェフ。
運命は彼が生まれて死ぬまでろくな仕打ちをしなかったけれど、
周りの人達にとても恵まれ、好かれていたことがわかるエピソードに溢れていて。
ままならぬ人生でも勇猛果敢に挑み、集中して臨み、ときに酒と女をよく嗜み・・・
どんな運命でも、どんなふうにでも生きていける。
そんな希有な運命と生き方を真空パックした彼の音楽や、その存在からは
考えるところ、学ぶところが、これからリピートして聴き続けるほどに
たくさん沁みてくるような予感がします。





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ジェフ・バックリィ:その2 即興~Mystery White Boy Tour~「ジェフの真髄、最も純度の高いパフォーマンスが煌めく一瞬一瞬」

Jeff Buckleyジェフ・バックリィ)のライヴCDは、他にも数枚出ているっちゃいますが
正規の扱いはやはりこちらかと。
95年~96年にかけて行われた大規模なツアーの中から、ジェフの死後、遺族やバンドメンバーが
「総合的に突出している」コンサートを選び、その中から「超絶した瞬間を捉えている
個別のパフォーマンス
」を見つけ出した超豪華セレクション。

即興~Mystery White Boy Tour~即興~Mystery White Boy Tour~
(2000/05/24)
ジェフ・バックリィ

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「Mystery White Boy Tour」になぜ「即興」という日本語題がつくのか、という
謎も残りつつ(これは次回とりあげるであろう「素描」にも通じる。ま、意訳だろうが)
期待を裏切らない壮絶な音と声、豪雨のようなバンドサウンドや魂の咆哮に
息を呑み、圧倒され、1stアルバム「Grace(グレイス)」で聴いたことがある曲を
もっと好きになって、初めて聴く曲ではジェフの新しい顔に出会って・・・
個人的に気に入ったのは、#2「I Woke Up In A Strange Place」と#7「Eternal Life」。
前者は本作だけで聴ける曲のひとつで、冷たい風のように容赦なく吹きつけるひりついた空気。
後者はオリジナルでも異色のロック・チューンが更に激しくアレンジされてテンポもアップ、
ハードロック~エモバンドのように勢いと激情が炸裂して、いっそ爽快なほどです。

ジェフは、ひとつの曲を二度同じようにプレイすることはなく、セットリストもなく、
始まった時とは違う曲で終わったり、始終歌詞が変わったりするのだそうで、
実際、英詞をなぞりながら聴いてみると、合う場所と合わない場所があったりします。
曰く「僕には音楽をコントロールすることなど出来ない」。
格好良い言葉ではあるのですが、バンドメンバーやスタッフは苦労が絶えないだろう・・・
「Grace」リリース後、段々有名になっていきますが、それにも関わらず
極力小さな会場を選んでプレイ。テンションと心地良さが絶妙なバランスで溶け合った空間を
作り続け、観客との接触を常としたのです。

「唯一のゴールは過程にある。かすかな光の煌めきを伴った過程こそが重要なんだ。
その煌めきがギグであり、ライヴ・ショウ・・・・・・それは狭間を生きること。
僕にあるのはただそれだけ」


ジェフが、「グレース」EPKによせた言葉です。
ジェフにとっての全て、それはステージでの一瞬一瞬。だからこのアルバムには
ジェフが至上としてきた最も純度の高いパフォーマンスの結晶が詰まっているのです。

「二世歌手」ということで苦労もなくデビューしたイメージもありそうなジェフですが
デビューは20代後半ですから、結構、売れない期間が長く続きました。
幼少期から母親の影響で音楽に親しみ、高校生の頃はジャズ・バンドに所属。
高校卒業後、ハリウッドに移住し、音楽学校『ミュージシャンズ・インスティテュート(MI)』に
入学、1年の過程を終了。その後はホテルで働きながら様々なバンドでプレイしました。
しかし芽は出ず、歌う機会もせいぜいコーラス程度と、認知されない苦境に身を置きます。
チャンスを求め、1990年にニューヨークに移住してもダメで、その年にロサンゼルスに帰って
くるのですが、そこでジェフにはひとつの考えが浮かびました。彼はレコード会社に自分を
直接売り込むため、父親の元マネージャーに連絡を取り、デモテープを作成したのです。
但しこれも脚光を浴びることはなく・・・。

燻っているジェフが、ある日突然シンデレラ・ボーイのように脚光を浴びる出来事が起こります。
80年代中旬に28歳でドラッグのオーヴァードーズで死去した父親・ティム・バックリィ
トリビュート・コンサートが91年に開かれ、そこに「ティムの息子」として招待されます。
ジェフの姿は若い頃のティムに瓜二つ、そして歌唱力は驚くべきもの・・・と話題騒然に。
そこから、クラブなどでライヴ活動を展開し、ライヴ盤を発売するなど礎をしっかり築いて、
94年「Grace」で本格デビューを見事叶えます。

母がジェフを身籠もっている頃に父と母は離婚、ジェフは父の顔を知らず母に育てられました。
ジェフが8歳の頃(ティム死去1年前)、突如父はジェフの前に現れました。
しかし、ジェフが父に会えることはそれきりありませんでした。
死因のせいか、ジェフは父の葬式にも出席していません。
そうして、早世したアーティストが死後に過剰な評価を受けて伝説化することを忌み嫌い、
折に触れあざ笑っていたといいます。それはまさに父(と後の自ら)のこと・・・。
でも、彼は父と同じシンガーソングライターの道を歩んだのです。
自分から選んだわけじゃない。こういう世界に属する人間なのだと気付いたんだ。
1カ所に留まることなく、音楽をプレイして、プレイして、歌って、歌って・・・・・・


運命や霊感によって適職に辿り着いたジェフ。そんな彼の、父親に対する本当の気持ちが
見えてくるような曲が#5「What Will You Say」。1stにも「素描」にも収録されていません。
これが、あまりにも気になる歌詞なので、一部を抜粋してみます。

うんと長い時が経ったね
あの頃のぼくはほんの子供だった
ぼくの顔を見た時
あなたはいったい何と言うんだろう

飛び去っていったように思える時間
日々は過ぎてただ消え去って行くだけ
ぼくの顔を見た時
あなたはいったい何と言うんだろう

おかしな話だけど
今の自分が大の男になったようには思えないんだ
ぼくの顔を見た時
あなたはいったい何と言うんだろう

愛しい母さん、この世は冷え切ってしまっている
愛のことを考えている者なんてもはや誰一人としていない
ぼくの顔を見た時
あなたはいったい何と言うんだろう

父さん、ぼくが何を言いたいのかわかる
ぼくのことがわかっているの
そもそもぼくのことを気にしてくれているの
ぼくの顔を見た時
あなたはいったい何と言うんだろう


ジェフの歌詞や、歌声のなかに、しばしば立ち現れる「孤独」「不全感」。
その正体がほんの少しだけ、一部だけ、垣間見えるような、痛烈な半自伝的歌詞です。
一説には、ジェフは双極性障害(躁鬱病)を患っており、川での死は事故でなく自殺だった
というものもあります。
「Grace」にしても「即興」にしても、所々に傷や不安感、そして諦念が表出しています。

それでも、どんなに孤独を抱えていても、胸の中をどれだけ不全感が苛んでも、
ステージにいない時はいつだって不安で壊れそうでも・・・
確かなものがステージにはありました。
毎夜毎夜の「かすかな光の煌めきを伴った過程」の積み重ね。全身全霊で「狭間を生きる」こと。
ジェフにあるのはただそれだけで、しかしそんな大それたものがあったのです。
そして「過程」がゴールなら、ゴールは毎日訪れたのです。そして、スタートも。
ジェフの人生は自分の力でコントロールできない「運命」に翻弄されたものでしたが、
彼はステージ上で、3オクターブ半の美声を自在にコントロールすることができたのです。
それに、弱さや脆さを繕わずありのままさらすことで、却ってその心の真の強さや誠実さを
観客に、あるいは天の神々に、もしかしたら天で聴いている父親に、証明してきました。


ジェフがいつでも伝えたかった「過程」「狭間」「今」。それは例えば、代表曲「Hallelujah」と
英のバンド・スミスの楽曲「アイ・ノウ・イッツ・オーバー」を繋ぎ合わせてメドレーにし、
「ああ、母さん、ぼくの頭に汚物がふりかかる」という衝撃的なフレーズや世界観と
「Hallelujah」に共通する諦念を浮かび上がらせ、えぐり出すといった試みにも表れています。

日本盤では、Disc2として、来日中に東京のスタジオでラジオ番組用にレコーディングされた
3曲のアコースティック・パフォーマンスが収録されていて、しかも5,6曲録った中から
ジェフ自身が選んだ、本人のお墨付きの秘蔵トラックなのだそうです。
ジェフの完璧主義とサービス精神がうかがえるエピソード、繊細な演奏揃いです。


オリジナル・アルバムをより生々しく伝えるとっておきの演奏、そしてここでしか聴けない
魅力的なアルバム未収録曲集。
「Grace」に匹敵する必携盤。ジェフ・バックリィの真髄がここにはあります。


次回は最終回、ジェフの「未完の2ndアルバム、そして謎に包まれたスケッチ集」。
「もし2ndが発売されていたとしてジェフに未来はどれだけあったか?」についても
ちょっぴり検証しちゃいます。


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ジェフ・バックリィ:その1 グレース「ZepもRadioheadも虜に!奇跡の声が鏡のように混沌を映し、静けさのしずくがそこから零れる・・・」

前回の記事(NHK BSの番組「洋楽倶楽部」のアンケートに投票してみた話)にて
「コンサートに行ってみたいアーティスト」「行ってみて良かったアーティスト」という
自由記述の設問がありました。
普段であれば、それこそずっと夢にまで見たレッチリのコンサートに行ってみたい!
時期は初来日頃かカリフォルニケーション頃、というかやさぐれジョン期でなければ
いつでもよろし!!と回答するところですが、今回は違いました。
最近、あまりにも、あるアーティストに打ち込みすぎているのです。

以下は「コンサートに行ってみたいアーティスト」の設問への私の回答。

1.洋楽アーティストの中で、あなたが一番コンサートに行ってみたいと思うのは?
(もう見ることの出来ないアーティストでも構いません) 【※300文字程度】

Jeff Buckleyのコンサートに行ってみたいです!
既に90年代には30歳の若さで急逝しているシンガーソングライターですが
最近、初めて聴いて、以来その天才的な歌声の虜になっています。
音源だけでも泣きそうなのに、目の前であの「奇跡の声」と謳われた歌が
繰り広げられたら、涙でなにも見えなくなってしまうかもしれません。
この人がなぜこんなにも、ミュージシャン含む、幅広い世代の多くの人々に
支持されるのかが、アルバム「GRACE」を聴いてよくわかりました。



・・・そう。Jeff Buckleyジェフ・バックリィ)の最初で最後のオリジナルアルバム
Graceグレイス)」を耳にして以来、その楽曲や歌声や演奏に、すっかり虜に
なってしまったのです。

グレースグレース
(1994/09/08)
ジェフ・バックリィ

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彼の存在そのものはかなり以前から何となく知ってはいました。なぜなら、あまりに多くの
ミュージシャンなどが、憧れやお気に入りとして彼の名を挙げていたから。
ひねくれた精神で、先に彼の父親のTim Buckleyティム・バックリィ)を聴き、記事も
父さんのほうを先に書きましたが、現代において影響力や知名度が高いのは息子のようで。
夭折したのも父さんと同じですが(但し原因がオーヴァードーズと事故では大違いですよね)
彼、先輩ミュージシャンからの支持や交友関係もすごいのです。
パティ・スミス(アルバムで共演)、ボノ(U2)、マリアンヌ・フェイスフル
コクトー・ツインズホールデヴィッド・ボウイジミー・ペイジ・・・
ブルージーで崩しがちな(特にライヴ。ライヴについては後の記事で)歌詞にメロディライン、
甲高い声を自由自在に操るさまは、初期のロバート・プラントを連想させ、ペイジが好感を
もつのも頷けます。
そうして同期や後輩からも。聴いていて「レディヘっぽい」「コープレぽい」と感じる人は
少なくないと思うのですが、それもそのはず、彼らも強く影響を受けているから。
トム・ヨークなんか歌い方までモロ憧れちゃっていますね。初期のレディヘに雰囲気がかなり
似ているから、レディヘファンには馴染みやすいと思います。


ジェフの魅力の最たる点はやはり「声」。3.5オクターブもの声域を持つのだとか。
アルバムの帯では「奇跡の声。この歌声は夢か幻か-」と謳われていました。
ボノが追悼として出したコメントがとても的確なので、紹介しましょう。

ジェフ・バックリィはノイズの海の中の
濁りのないひとしずくだった。


一般的に代表曲とされているナンバーで、レナード・コーエンのカヴァー曲の
Hallelujahハレルヤ)」がバラードであるように、
ジェフのパブリック・イメージは「静寂の住人」「清く美しい声」のようですが
私は寧ろそれよりも彼の混沌に強く魅せられました。バラードも当然良いけれども。
緩やかで清らかな曲から、暗くうねる不安定な感情を荒ぶる叫びに託す曲まで、
ロックというよりシャンソンや賛美歌を思わせる余りにもスムースで甘美な歌声から
ロック以外の何者でもない、己や周囲へのドロドロした憤りをぶつける
ハードなパフォーマンスまで。
音の凪のなかで祈るようにそっと紡ぐファルセットは神々しくて触れることが躊躇われ、
感情がうねるまま、昂ぶるままに地声の高音を叩きつけ、叫び、がなる姿に圧倒され。
CDの向こうに、とうに十年以上前に故人になった人の、圧倒的な存在感が見えるよう。

何度も何度も泣きそうになりました・・・・・・
因みに、父のティム・バックリィは何と5オクターブもの声域の持ち主だったそうで。
あまりにも声域が広いから、高音を出していてもそれと気付かないほど自然だったのは
それゆえか。ジェフのような「張る」場面が少なかったので余計気付かなかったかも。


次に楽曲について。
父のティムについては、レビューで「悲しげな奥に力強さが宿っている」と書いたのですが
ジェフの楽曲は、90年代しかもアメリカという舞台も手伝って、世界は荒廃していて悲しくて
人々はすれ違っていく、そして自分は「きみ」を失っていくのだ、という悲観的なものが多め。
自分の弱さだとか、男としての淋しい気持ちだとか、意地悪な社会のワンシーンだとか、
そういうものをまっすぐに見据えて、主人公は少しだけ怯えていたり、病んでいたりして、
悲鳴のような告発のような、ひねくれたかたちで愛を乞うような歌詞が大半を占めます。

だからこそジェフの澄んだ声が歪んだ世界に響き渡り、痛切な叫びは聴く人の胸を
ダイレクトに貫くのでしょう。
そして、祈りを込めた曲の柔らかさ、深みは、優しく浸透して聴き手自身の祈りとなり、
「Hallelujah」でジェフと共に運命を天に委ねようという静謐な境地に至る・・・。

曲調は結構一曲の中でも変化に富んでおり、AメロBメロとサビでリズムが全然違う曲、
思い切り転調する曲などは当たり前。これがまた、曲のスリリングさを引き立てています。
メジャーコードの曲とマイナーコードの曲も混在。(循環しているようにも感じられる。
一種の躁鬱のようだと)ジェフの静謐な顔、混沌の顔、この人間ならではのふたつの顔が
ある種奔放に、ある種脈絡なく、アルバムの中で交錯している
のです。


最後に演奏について。
アルバムの冊子を開いたり、裏ジャケを見ると、ジェフ以外の人間がジェフと同じくらいの
サイズで普通に写っていて「何じゃこりゃ」と面食らったのを覚えています。
これが象徴するように、ジェフの音楽を支えるバンドメンバーは、スタジオミュージシャンや
ツアーメンバーのみに留まらず、寧ろ「ジェフ・バックリィ・グループ」のメンバー達と
いっていいような、独自の連帯感で繋がっていたようです。
具体的には、ライヴで、ジェフの仕草一つでメンバー達はジェフの意図を読み取ることが
できていたのだと。頷いたり一瞥したり、ギターのネックを特別に動かしたりするだけで。
アルバムの中に紛れ込んでいるジェフと同世代くらいの青年達、マイケル・タイ(Gt)、
ミック・グロンダール(Ba)、マット・ジョンソン(Dr)は、ある意味、ジェフの一部なのです。
とりわけマットのドラムが激しく連打を繰り広げるのと同調して、混沌が叫びとして飛翔する
#1「Mojo Pin」のような楽曲においてその威力は最高強度で炸裂します。
ジェフがソロ・アーティストであるということを忘れそうになるほど、彼らバンドの演奏は
不可欠な魅力であり、「Grace」が迫力ある作品である要因の
重要な一つだといえるでしょう。

因みにジェフは、歌やギターの他にベース、オルガン、ハーモニウムの演奏まで出来る
マルチプレイヤーでもありました。


父・ティムへの感情や関係だとか、ブレイクまでの道程だとか、彼の人柄だとか、
他にも触れたいことは山ほどあったのですが、聴いた感想や指摘だけで十二分な尺を
取ってしまったため、これらの話はまた次回以降にすることにします。
ジェフのことはこれからあと2回かけて、また違った2つの角度から・・・、
ライヴから、幻の2ndアルバム&デモ・トラック集から、この類い希なアーティストを
眺めてみます。そのときに上記の話も盛り込んでいきましょう。



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Author:燃える朝やけ
・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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