2012-06

Latest Entries

web拍手 by FC2

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

The Smashing Pumpkins:その4 Adore「内省的で醒めたビートにそっと希望の灯がともる・・・未曾有の逆境の中で誕生した隠れ名作」

前作で、音楽シーンにおける念願の天下取りを果たしたかに見えた
The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)ですが、
バンドの運命を大きく変えてしまう事件が起こります。
ファンには青天の霹靂、しかしメンバーにとっては「いつか起こるであろうこと」と覚悟していた
事態だったかもしれません。
1996年7月。ツアー中のニューヨーク市で、ヘロインによる薬物中毒により
サポートメンバー(キーボード)のジョナサン・メルビンが死亡。
このとき、同室にいたジミー・チェンバレンは、一緒に薬物を摂取しており、逮捕。
裁判沙汰に至り、判決が出る前に、バンドは悩んだあげく、ジミーの解雇を余儀なくされます。
のちにジミーがこのときのことを回顧して「あの時のビリーの判断には感謝している」と。
ジミーは、長いことドラッグの問題を抱えていました。
ジミー曰く、ビリーは、自身が全てを投げ出すように重度の中毒の生活に明け暮れる姿を見て
自分の一番大切なもの=バンドを奪ったのだと。しかしぎりぎりまで我慢してくれていたと。
ドラッグ中毒は正常なコントロール能力をことごとく麻痺させます。朝も昼も夜も一日中、クスリを
やり続けるケースもしばしば。
スマパン連載の最初の2回で登場した、レッチリのアンソニーの自伝「スカー・ティッシュ」には
アンソニー自身の、生々しいドラッグ中毒者としての生態が晒されています。
当時のジミーの様子を想像するには十分かそれ以上の参考文献になるかもしれません。

悩めるビリー。
しかし、この逆境を乗り越えて新しいものを創り出そうと奮起するのもビリー。
案外ビリーって、逆境に強いというか、逆境にあればあるほど燃えるタイプの人のような気も
しますが、色々叩かれて発狂しちゃう面もあるからなぁ。

「ドラムがないなら、打ち込みマシーンで」と、ビリーはドラムマシーンの前で格闘し
更にはセルフ・プロデュース+全曲作曲(=ジェームスの曲なし)で作業に励みました。
本当はドラマーを新しく加入させたのですが(マット・ウォーカー)、僅か1年で
脱退してしまったためです。
こうして、リズム・セクションを中心に打ち込みを駆使したエレクトリックな、
未知のスマパンが日の目を見ることになりました。
そういえばジミーがスマパンに加入する前、ビリーとジェームスダーシーの3人で始めた
原始スマパンは、打ち込みマシーンでドラムパートを補っていました。
図らずも彼らは、原点回帰する格好になったのです。
それが1998年にリリースされた4thアルバム「Adoreアドア)」。

アドアアドア
(1998/05/30)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る

前作が「メロンコリー」という造語の桃源郷だったのに対し、本作はメランコリーそのもの。
今まで小出しにしてきた孤独や淋しさ、陰鬱さが、もっと剥きだしになって、そして
もっと正面から向き合ってそれらを優しさに変えようとしている姿があります。

内省的で、ビリーの私小説ふうとも取れます。
打ち込みを導入+メランコリーな本作は、ニュー・オーダーやデペッシュ・モードなどの
80年代NWに直結するという印象を持つ人が多いはず。
ビリー自身、かねがねジョイ・ディヴィジョンへのリスペクトを公言してきたこともあり
ある意味これは自然な流れ。このあたりのシーンが好きな人には直球ヒットだと思います。
今までになかったようなコード進行、緩やかでメロディアスな楽曲、醒めたビートにギター、
淡く悲しげなヴォーカルをはじめとする各パート。叫びも轟音ギターもほぼ封印です。
ピアノ弾き語りのようなアレンジも多くみられ、まさに新機軸。
冬っぽい作品だとよく言われますが、このエレクトリックなサウンドと冷え切った質感は、
寧ろ今のような、夏の夜に涼をとるのにぴったりだと、本記事を書きながら思います。

そしてビリーは、これまでのように、自らの痛みや、退廃的な心象風景を歌うのをやめて
アルバムを貫徹して「愛」について、つまり「自らの痛み」以外の内容を歌っています。
かすれ気味の声で、気負いなく、さらりと歌い上げるビリー。この変化は如何にして?
adore1
モノトーンや、セピアトーンの写真がぐっと多くなります。
アルバムのブックレットの写真は、全てモノトーン。
本作の楽曲の雰囲気や、バンドが置かれた状況、心境が出ているようです。
この頃からビリーのスキンヘッドが定着。凄いインパクトのヴィジュアルになりました。
ダーシーはまるで女優さんみたい。

前作とそれに伴う長期ツアーで「ロック・バンドとしてはすべてをやり尽くしてしまった」
と語るビリー。本作までの間、映画のインストの仕事(「身代金」はビリーが半分の楽曲を
手がけた。バンドでは「ロスト・ハイウェイ」に、ベスト収録の楽曲「アイ」を提供)、
元彼女のコートニー・ラヴのバンド、ホールの楽曲を一部共作&アレンジ、
そして本作と同年にジェームスのソロ1stアルバムもリリースなど、一心不乱に走り続ける
時期を過ぎて一息つけるようになり、またバンドが大きな存在に成長したことによって
他のシーンやアーティスト、マスメディアなどの外野を気にせずともよくなって、更には
多くの人達に認められたことで、ビリーの心境が大きく変わった=成長が、背景にあります。
ジミーの件なくしても、本作の境地に至った可能性はあるのかもしれません。

adore2
ビリーの、悲劇的な過去。
幼くして両親が離婚し、継母はビリーを精神病院へと送り込みました。
友だちもほとんど出来ない少年は、ひたすらにジョイ・ディヴィジョンを聴いて育ちました。
ビリーは自身を「背が不自然なまでに高くて、声も変で、可愛くもない」と言いますが
これは周囲から言われているうちに、自分でも思うようになってしまったように感じます。
歌詞はいつだって天国と地獄の行き来。世界と自分との和解できない隔たり。
それが、いま、「外の世界のことは心得てる、そういうものが存在するのは納得ずみだ、
だけどそれは僕にはどうでもいいものなんだ、と。知ったことか、ね」と「宣言」する
ビリーがいます。
「いつだってもっと、もっと頑張らなくちゃって、Aばかりの優等生の心理で活動してきた。
『アドア』が初めてだったんだ、世間の目に曝されバンドをやっていながらAをとらなくても
いいんだって思えたのはね。完璧じゃなくてもOKだったんだ。完璧な自分を許した。
それ以来・・・・・・息ができるようになった

とは次作のインタビューで本作を述懐した時の話。
「自分を信じられるようになった・・・・・・でも、鏡は一生見続けるんじゃないかな」
コンプレックスや傷を抱えながら、そんな自分のありのままを受け入れようとする姿勢が
わかります。どんな形態でも、どんなサウンドでも、スマパンはスマパン。僕は僕。
ゆっくりと、少しずつ。

adore3
いわゆる「ゴス・ファッション」が多かったのも当時の特徴。
この路線が日本のヴィジュアル・ロックのブームと相まって、日本では本作が大好評、
本作をきっかけにスマパンのファンになる人も多くいたんだとか。

しかし一抹の不安要素が。それは、本作にビリーの姿は否応なくよく見えても、
ジェームスとダーシーの影がきわめて薄いこと。
一説には「サイアミーズ・ドリーム時から、ドラム以外の全パートはビリーが録音していた」
なんて話もあるほどですが、本作に関しては正直「もしかしたら」と感じてしまいます。
当時、メンバー間の連携を密にしようとの意図で、合宿スタイルのレコーディングを
していたそうですが、キレたジェームスが出ていったという話もあるくらいだし。

そうして、ビリーが精力を尽くして作り上げた本作は、従来型のスマパンロックを求めていた
ファンのニーズに合わず、セールス不振に終わるという、ビリーにとって屈辱の結果。
米では「ラウド・ロック」のムーヴメントの只中で、時代を読み違えた格好に。
80年代NW方面への回帰が流行しだしたのは00年代や最近のこと。5年も10年も、先を行って
しまったわけですね。

adore4
「辿り着いた」とひとり感慨に耽るように佇むビリー、
ぱたぱたと彼を追いかけるけど追いつけていないダーシー、
追いかけ疲れて頭を垂れているふうなジェームス。
アルバムのブックレットにも載っている写真なんですが、
まるでバンドの未来を、いみじくも予見しているかのようで、皮肉。
しかし、本作制作終了時、既にその「未来」は決まっていたとも言うので、
わざとちらつかせた可能性もあります。
・・・その「未来」とは?次回は、起承転結の「結」、そして「終わりの始まり」です。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!
スポンサーサイト

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

The Smashing Pumpkins:その3 メロンコリーそして終りのない悲しみ「創造力の巧みさと多様さ、圧倒的な完成度に息を呑む2枚組大作」

「『サイアミーズ・ドリーム』は、今でもいいアルバムだと思ってる。
僕は、もう1枚、みんなの頭をブッ飛ばすような、とんでもなく凄いアルバムを、
どうしても作りたいんだ」
The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)の曲作りの要、
ビリー・コーガンは、前作のブレイク冷めやらぬなか、真剣な表情で語ったのだそう。
「次のアルバムは、CD2枚組にしようと思うんだ。それぞれが違う雰囲気を持つ2枚のCD。
たとえば1枚はすごく静かで美しい音楽。もう1枚はエネルギー炸裂のロック!みたいな。
どう思う?」
こんな話を94年2月にはもうしていたらしいのです。

Pisces IscariotPisces Iscariot
(1994/10/04)
Smashing Pumpkins

商品詳細を見る

デビュー作「ギッシュ」から前作「サイアミーズ・ドリーム」までのBサイド・アウトテイク集
パイシーズ・イスカリオット」がリリースされたのは94年。
(限定生産の豪華盤が最近リリースされている)こちらにも14曲が収められているというのに。

創作意欲のピークともいえますが、基本的にビリーは多作なアーティストだから
「いつものこと」ともいえます。
しかし勢いはメンバー全員に波及していました。6月頃にはビリーの頭の中でアイデアをかなり
具体的にまとめ、ロラパルーザ・ツアーの頃には新譜用のアイデアがビリーやジェームスの中で
溢れ、9月にロラパルーザ・ツアーが終わると、ビリーは次から次へと曲のアイデアが浮かび、
猛烈な勢いで曲作りをしました。
ロラパルーザ・ツアーの後で少しの休暇を取った後、メンバーはすぐに新作の制作に取りかかり
月曜から金曜までスタジオにこもりきり。12月末には30曲近い曲が出来ていました。
そして翌95年2月頃には、作った曲は54曲にまで膨れあがり、4月頃からレコーディング開始。
今回は、マイブラの「ラヴレス」のエンジニアの中で唯一、ケヴィン・シールズに認められたと
評判のアラン・モウルダーフラッドを共同プロデューサーに迎えた新体制で臨みました。
終盤には休日返上でスタジオにつめて、8月17日にレコーディング完了。
ビリーは、レコーディング終了日当日、シカゴに向かう飛行機に乗る2時間前まで
歌入れをしていたほど。
こうして、全員の凄まじい情熱がひとつになって完成したのが
バンドの最高傑作、95年にリリースされたアルバムの代表作、
また90年代の2枚組アルバムの最高峰ともいえる
Mellon Collie and the Infinite Sadnessメロンコリーそして終りのない悲しみ)」。

メロンコリーそして終りのない悲しみメロンコリーそして終りのない悲しみ
(1995/10/25)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る

米国のみで一千万枚近くのセールスを記録。グラミー賞では7部門にノミネートされ、
『タイム』誌による年間ベストアルバムに選ばれ、ビリーは見事な有言実行を果たしたのです。

mellon collie 1
いやー凄いインパクトの、全員囲み目メイク&ギラギラ・スケスケ衣装。
ビリーの「ZERO」Tシャツにも注目。本作に収録されている曲からとっているわけですね。
で、ジミーはこの手の格好はしないほうがいいと思うのだけれど・・・
ジェームスのカラーリング格好良いですね。金髪に黒髪にまた金髪。
ちょっと相川七瀬みたいに見えるのは、私だけ?

前作までは4ピースバンドらしさというか、音の隙間がかなりあって、そこに想像の余地や、
「ひと昔まえ」の感じが少し漂い、構築よりも雰囲気や勢いでもっていったような感じですが
本作は全ての楽曲の完成度がおそろしいほど高くて、がっちり構築されており、
緩やかな曲を除くと一切の隙がなく、精密な構造で建築された巨大なお城のよう。

14曲+14曲=計28曲を2枚に分けているのですが、どちらかが一方的に激しくて、もう片方が
一方的に大人しい、というふうに極端ではなく、バランスを考えながら分けている感じ。
Disc 1<Dawn to Dusk>がポップで激しい曲(ベスト収録もこちらからが3:1と多め)、
Disc 2<Twilight to Starlight>がダウナーから緩やかな曲、といった流れに。
歌詞でいくと、Disc 1は「愛はいらない」、Disc 2は「愛しているよ」というような?
とにかく曲調も歌詞も幅広くて、総括するのがとても困難なほどです。
7分、9分の長尺で展開もこれまで以上に複雑なプログレ志向な曲がいくつかあったり、
全編がストリングスで彩られていたり、80年代NWの風味が登場してきたり、
終始ノイズまみれだったり、子ども向けの歌のようだったりと、バラエティ豊かながら
散漫という印象を不思議と与えず、「すごくまとまったアルバム」という印象が残ります。
圧倒されながら。

歌詞を辿っても、歌の数だけ全然違う世界にワープしているよう。具体的な言葉を重ねて
情景描写を密に行い、そのなかから退廃的で孤独な心情描写が立ち上がってきます。
曲作りの面でも、歌詞を書く面でも、ビリーの「創造力」の巧みさと多様さに驚くばかり。
また、1Discごとに最後の1曲は「ジェームス枠」なのですが(ビートルズのジョージみたいな
待遇だなぁと思うことしきり、いや今後を考えるとそれより冷遇なのか)、2枚組を締めくくる
「Farewell and Goodnight」は、メンバー全員で順番に、途中から全員で歌っていて
なんだか微笑ましい。2曲とも「らしい」曲揃いで、息つく間もない本作の箸休め的な役割を
果たしています。箸休めを超えられないのが、ジェームスの切ないところでありますが。

「みんなの頭をブッ飛ばすような、とんでもなく凄いアルバム」が確かに出来ました。
「サイアミーズ・ドリーム」が「青春」言い換えれば「未完成」のアルバムなら
本作はバンドが大人へと成長し、感性とクオリティを両立した、見事な完成品の作品。
楽曲単位での、そしてアルバム単位での、しかも2枚組での圧倒的な完成度は、
これを上回るものをなかなか見つけることができません。



・・・と、アルバムやその制作過程は大変シリアスですが、画像は相変わらずフリーダム。
mellon collie 2
ベストアルバムのブックレットにも載っているヒトとヒトといぬとねこ。
ジェームスのWikipediaを見ると、このねこ姿のままでなにやら思索に耽る姿が
プロフィール画像になってます(笑)

もはやちょっとした事件。
mellon collie 3
この画像もブックレットに一部掲載されてましたね。(ビリーとジェームス)
笑えると笑えないのスレスレ。ジミー・・・・・・

mellon collie & simpsons
人気になったもんで「シンプソンズ」にも登場しちゃいました。
ビリーのTシャツ、「ZERO」が「0」になってる(笑)
そしてダーシーはどこかの尼さんですか?


「メロンコリー~」が数々の賞を受賞したということで、栄えある表彰式。
mellon collie-adore
思わず笑顔がこぼれるビリー、ダーシー、ジェームスの3人。
え、さんにん・・・?
天下を取ったかに思われたスマパンに、まさかの試練が。その末に出来た隠れ名盤を
次回、取りあげます。日本では人気なんですけどねぇ。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

The Smashing Pumpkins:その2 Siamese Dream「あの頃の繊細でわんぱくな気持ちが蘇る・・・熱くて、青臭くて、純真な傑作アルバム」

The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)の2ndアルバム
Siamese Dreamサイアミーズ・ドリーム)は、私にとって特別な思い入れのある一枚です。
はじめて聴いたスマパンの作品だったので、今でも「スマパン」といえば本作が浮かびます。
それから凄く夢中になって、何度繰り返し聴いたかわからない。
しゃにむになって音楽をたくさん聴いていた頃、演っていた頃の熱く青い想い出や、
当時のひたむきな気持ちを思い出さずにいられなくなるのです。
このアルバムは、そういった私の個人的エピソードを差し置いても、
聴く人の青春・・・熱くて、青臭くて、一生懸命に何かを追いかけていて・・・を
人によっては仄かに、人によってははっきりと、思い出させる力を持っている
ように感じます。

siamese dream 4

「ジェーンズ・アディクションのフォロワー」「ニルヴァーナのフォロワー」
「パール・ジャムのフォロワー」と、デビュー以来、オルタナ/グランジムーヴメントの
シーンの中でオリジナリティを認められず、散々フォロワー扱いされてきたスマパン。
ビリーは「次のアルバムで成功しなければ、その次はない」と考えるようになっていました。
こうしたプレッシャーやフラストレーションをエネルギー源にして作ったのが、本作。
代表曲「Today」をはじめ、たくさんの名曲が収められ、セールスも好調、
94年にはロラパルーザのトリを飾るなど、見事その頑張りが報われ、
スマパンは一躍、人気バンドへの道を駆け上っていきます。


前作同様、ブッチ・ヴィグとビリーとの共同プロデュースで完成させた2ndアルバム。
本作でスマパンが新たに手にした重要な鍵があります。それは「メロディ」。
以後、スマパンの軸になっていくアイテムです。
前作のサイケ風味もHR/HM風味も継承しているのに、それらをあまり感じさせないほど
「メロディアス」という印象が先に立ちます。
楽曲も、「激しいor静か」に加えて「穏やか」「優しい」「甘い」曲やアレンジが増えて
曲のバリエーションが幅広く、ポップでキャッチーになりました。それもヒットの要因でしょう。
恐らくスマパンの楽曲の中で一番知られている#3「Today」、これも人気の高いジェームス作曲
#9「Mayonaise」、ストリングス・アレンジを多用したシングル曲の#6「Disarm」など、
本作で所謂代表作と言われているナンバーは、メロウな曲が多めです。
アレンジも幻想的だったり、繊細だったり、柔らかかったりする音やリフが多く出てきます。

しかし私の個人的お気に入りは、昔も今も、パンキッシュで勢いのあるナンバー!
#1「Cherub rock」は私がスマパンと言われてすぐに連想する曲で、行進曲のようなドラムを
少しで止めて、クリーントーンのギター、ドラム、ベース、ディストーションギターと
一人ひとり順々に入って、「いざ4人揃い踏み!」みたいな結束感と猛々しさ漂うイントロは
いつ聴いても嬉しくなります。前作のような野心に、爽やかさが加わり、有り余るエネルギーを
空高く飛翔させようという高らかな盛り上がりに、自分の中にもかつてあった初期衝動が
鮮やかに蘇る思いがします。
#8「Geek U.S.A」は愉快痛快なロック・ナンバー。ゴリゴリしたギターが
気持ち良く、特にベースを引き連れて聴き手を左右に揺さぶるAメロ部分がたまりません。
なだれ込むようなサビ部分も爽快。ギターソロ、ドラムも大暴れ。やりたい放題やり尽くして
部屋中をメチャクチャにして、嵐を撒き散らしたまんま去っていく感じが大好きです。
展開がかなりめまぐるしく変わり、プログレ要素も混じっているのですが、そういうことを
感じる暇がないほど、「やりたいことぎゅうつめ」で、とにかく楽しい曲です。

本作の歌詞は、ビリーの少年期の孤独や痛みが歌われているといわれています。
希望に満ちあふれて聴こえる「Today」は、実は刹那に裏付けされた今日の幸福。

今日はいままでで最高の日
明日を待ってなんかいられない
そんなに長くはもたないかもしれない
ここを出るまでに
心が粉々になってしまう

ピンクのリボンが消えない傷になる
そんな後悔を洗い清めようと一生懸命だった
僕の天使の翼は傷つき縛られて
体の中がずきずき痛む

ビリーには、悲惨な生い立ちがあり、セラピーを受けていた時期もあったのだそう。
彼の心の中に佇む「怒り、泣いている純真な少年」と、それが失われゆく恐れとを歌った歌詞が
スマパンの楽曲に漂う「青臭さ」「叙情性」を際立たせています。
悲しくて美しくて楽しくて扇情的で・・・一見バラバラなようで、しっかりまとまって聴こえるのは
それ全てがまさしく「青春」そのものだからなのでしょう。
喜び、切なさ、孤独、ワクワクする気持ち。誰にでもあった、繊細でわんぱくなあの頃が
いっぱいに詰まった傑作アルバム
です。


レッチリアンソニーが自伝でスマパンのメンバーについて触れている部分がありました。
前回の記事でも少し述べた、レッチリ・ニルヴァーナ・スマパンでのツアーの話です。曰く、
ビリー=陽気で人懐っこい奴だよ。よく俺らと一緒にバスケとかして遊んだな。
ジェームス=シャイな奴だったな。
ジミーダーシー=ドラッグやアルコールなんかの深刻な問題を抱えていた。
 まずいことになるのは誰の目にも明らかだった。
だそうで。最後のは「オマエが言うなよ!」とも思えるのですが(91年当時はクリーンだったが
94年頃にドラッグ中毒が再発。治っては再発しての繰り返しがBy The Way辺りまで続いた)
「ビリー=陽気で人懐っこい奴」は、パブリック・イメージとは真逆で意外な感じ。
でも、こんな画像を見たら、「なるほどそうかも」と頷ける気がします。
siamese dream 1
ポカリ!漫才コンビのように楽しく遊ぶビリーとジェームスと、それを見ているふたり。
ジェームスが売れない芸人にしか見えない(笑)。「シャイ」が怪しくなるような。人見知りとか?

siamese dream 2
冬でも元気にヒャッホー!
この頃の皆さん、まぁ実に楽しそうで、USのバカガキって感じ丸出しで、無邪気でいいですね。

で、これも有名な話ですが、ジェームスとダーシーって
本作のレコーディング辺りまで、付き合っていたそうです。
それで何か色々あって別れて、しばらくはバンドの雰囲気がかなり気まずくなっていたとか。
「ダーシーはジェームスの初恋の人だった」というエピソードもあるそうで、甘酸っぱいなぁ。
siamese dream 3
二人の間にハートマーク(スマパンのロゴでもいい)でも描いてやりたくなるような画像。
この頃はまだ付き合っていたんでしょうね。じゃないとこの距離感はキツイぞ・・・
ビリーが「お熱いねぇ、おまえら」と言わんばかりに、しらっとした様子で見ているのも面白い。
そして・・・画像をひととおり通して見て、どうにもこの頃のジミーの目つきはヤバイ。

アンソニーの証言は早くも予知に変わり、本作の頃、ジミーはアルコール依存症に陥り
リハビリ施設に通っていたんだそうな・・・
何もかも絶好調に見えていた当時のスマパンですが、翳りの兆候は既にあったんですね。
そして前作のレコーディングの頃は、張り詰めたムードからビリーが鬱状態になったとか。
裏側は分からないものですね。まぁ、ミュージシャンにはよくあることとも言えるけれど。


ともかくも、勢いをがっちりと掴んだスマパン。
しかしこれだけではまだまだ満足できないのがビリー。
「もっともっと凄いアルバムを作ってやる!」と意気込んで、バンド最高傑作、そして
90年代の2枚組アルバムの最高傑作と名高い、次作の制作に取りかかります。
いよいよもってバンドは最高潮へ!楽しい画像もたくさん用意して、次回、紹介します。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

The Smashing Pumpkins:その1 Gish「サイケでプログレでハードロック?メンバーの底知れぬ野心が表れた、雑多でワイルドなデビュー作」

あなたはあの頃、ニルヴァーナスマパン、どっちが好きでしたか?
90年代に大隆盛していた、オルタナ/グランジバンドのシーンで・・・
私はスマパンです。ニルヴァーナも嫌いじゃないけれど、どうせ音楽を聴くなら
刺激の中にポップさや遊び心を含んでいて、聴いて爽快な気分になりたいと思うから。
90年代のオルタナシーンは正確には軽い後追いなのですが、なぜだか彼らの音楽を聴くと
「あの頃」「青春」そういったフレーズが頭に浮かび、がむしゃらだった日々を思い出す・・・

2000年頃、音楽サークルの先輩に教えてもらった
The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)。
今思うと皮肉なことに、知った頃にはもう解散していたのです。
それでも私の中に清々しい風を、いつでも聴く度に彼らの音楽は吹き入れてくれました。
ところで、他の全部の解散前アルバムはベスト含め全て持っていたのに、デビュー作だけ
長らく聴いたことがなく、先日初めて聴いてみてフレッシュな刺激に顔がほころびました。
そんな1stアルバム「Gishギッシュ)」を皮切りに、スマパンの連載をはじめます。

ギッシュギッシュ
(1994/08/10)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る

日本盤がリリースされたのが1994年と、実際のリリースとは間がありまして、
本国では1991年のリリース。
考えてみればこの年って、ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」が出て、
マイブラの「ラヴレス」が出て、レッチリの「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」が
出て、スマパンのデビューアルバムも出て・・・と、名盤ラッシュの濃すぎる年でしたね。

1st「Gish」と2nd「Siamese dream」には昨年、デラックス・エディションが登場。
とりあえずGishはこちら。かなり豪華です。通常盤もリマスターで再発されたようですよ。

ギッシュ(デラックス・エディション)(DVD付)ギッシュ(デラックス・エディション)(DVD付)
(2011/12/28)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る


スマパンはヴィジュアルや宣伝写真にも遊び心やポップなセンスが光るバンドでした。
そんなところも好きな理由のひとつ。
というわけで、当時の画像もいつもの連載より心持ち多めに紹介しながら進めます。

リリース当初はこんな感じ。
gish1
とんでもなくサイケな服装を纏って、全員同じくらいに髪を伸ばしている(笑)。
左から、ダーシー・レッキー(Ba)、ジェームス・イハ(Gt/Vo)、
ビリー・コーガン(Vo/Gt)、ジミー・チェンバレン(Dr)。
ビリーがジェームス(ソロの記事ではずっと「イハ」呼びしてましたが、こちらでは名前で)
と出会って一緒に曲をつくり始め、そのうちダーシーが混じり、3人のライヴを観たジミーが
最後に加入。このラインナップで基本、解散までやっていくことになります。
よく知られているように、殆どの曲を作詞作曲してギターソロ、プロデュースまでこなす
バンドの中心人物ビリー、数曲で作曲を担当するクールな日系三世のジェームス、
紅一点、華のあるルックスのダーシー、そしてこの時代のドラマーの中でも屈指の
実力と人気を誇る、名うての凄腕ドラマー、ジミー。
全員のキャラクターが濃いのも親しみを持ちやすい大事なポイントですね。


画像でも幾分「サイケ」がキーワードにあることが感じ取れたのではないかと思いますが
「ギッシュ」は、かなりサイケでオリエンタルな風味が含まれているアルバムです。
ロック+パンク+サイケ+HR/HM+シューゲイザー+プログレみたいな印象です。

ロック」はまぁ言うまでもないとして、「パンク」を感じるのは、跳ねたノリ。
勢いがあって若さに溢れています。
爆発するような盛り上がり、攻撃的なギターやベースの音色などもパンキッシュ。
ときにビリーのヴォーカルも後の作品にはない、ぶっつけるような叫びが混じっていて
ジミーのドラムも怒りに任せて叩きつけているかのような激しさがあります。
サイケ」に関しては、例えば#2のビリーのメロディラインがインド音楽のようだったり、
#3でもそんなテイストのリフが登場したり、他の曲でもコード展開にそっと漂っていたり。
収録楽曲のそこかしこにサイケ色、60年代色を見つけることができます。
HR/HM」に関しては、評論家に「ツェッペリン・フォロワー」などと言われていたほどで、
後の代表作たちと比べ、とりわけギターがバリバリハードロックしていて驚きます。
かなりソロを派手にやっているし、リードギターを中心に音がとてもぶっとい。
ハードロックなギター+ヴェルヴェッド・アンダーグラウンド系統の轟音ノイズギターの
二本のギターが絡み合う、ギター好きには二度おいしいようなサウンド。
この頃からソロをビリーが弾いたりジェームスが弾いたりしていたそうですが
アグレッシヴな持ち味でソロも上手なビリー(ローリング・ストーン誌の「最も過小評価な
ギタリストランキング」で結構上位に居たりしましたね)、
繊細でメロディックなプレイが身上、時にトリッキーな変化球も投げているのがジェームス。
ダーシーのベースもゴリゴリとへヴィな音色を奏で、ギターとベースとドラムが重なるリフや
ベースラインとギターリフとが交錯するリフなどが頻出して、なるほどZepかも。
それでいて、アコースティックギターが前面に出る楽曲も後半を中心に多めです。
シューゲイザー」に関しては、轟音ノイズギターにサイケ風味という構成、
楽曲のなかに時たま漂う弛緩感。そして、思い切りまんまじゃないかと感じる曲があって
ダーシーがヴォーカルをとる#10は、気怠くて、歌声も儚くて、ネオアコ調で
更には女性ヴォーカルで、どうしてもマイブラを連想してしまいます。
プログレ」を感じるのは、特に後半のスローな曲に多くみられる、著しいコードの転調、
そしてリズムの転調。唐突に3拍子ベースから4拍子ベースに変わったりまた戻ったりして、
ちょっと曲の構成が複雑で、このあたりはとりわけスマパンらしからぬ面かもしれません。

gish3
樹やら草やら、色の加工がユニークな一枚。空の青さが際立ち、
ビリーとダーシーはなぜか揃ってグラサン。
そして個人的にはジェームスがスティーヴ・ハウ(イエス)に見えて仕方がない(笑)


ビリーのあの独特の歌唱法というか声質や、ジミーのジャズ畑出身ならではの
手数が猛烈に多い、勢いよく流れるようなドラム、そして轟音ギターなど、
「ギッシュ」の時点で、既にある程度「スマパンらしさ」とされるサウンドの土台は
出来上がっている印象です。
楽曲のサイケ風味、ハードロックなギター、プログレ的な
複雑な構成などが今と違っていて、そういったところに違和感があったり、
まとまりを書いた印象を受けたりするのですが。
ベストアルバムで#2「シヴァ」と#3「ライノセラス」を聴くことができるのですが
にも関わらず今まで本作に手を出してこなかったのは、やはりこの辺の違和感に
当時の自分が不安を覚えてきたからでしょう。サイケもプログレもシューゲイザーも
全然聴いたことがなかったし。

何だか、「オルタナ/グランジ」のイメージとちょっと離れている感じがします。
だいいち本人達がそう呼ばれるのを全然喜んでいません。まぁこれはカートなども
同様だったわけですが、それでもやっぱり、ニルヴァーナやパール・ジャムなどと
ちょっと毛色が違うものを感じます。

ともかくも、2ndや3rdの「これぞスマパン」といった路線からは少々逸れるけれど
何十色もの色が混じっているような雑食性はとてもユニークだし、
ワイルドな各パート、特に高みまでとことん上りつめてやろうと言わんばかりの
ギターソロには、バンドのいい意味での強欲さ、底知れない野望が透けて見えて
爽快です。しかもこの野望はちゃんと現実になるわけだし。
メンバー全員の野心を詰め込めるだけ詰め込んだ「肉食系」アルバムという感じ。
ニルヴァーナではメンバー(というかカート)を絶望させたブッチ・ヴィグ
プロデュースも、スマパンでは(ビリーとの共同プロデュースですが)
吉と出たようで、次作でも引き続きブッチとビリーの体制は継続。


売り上げも言うほど悪くはありませんでした。だけどタイミングがある意味、最悪でした。
「聴く価値なし、将来性なし」と欧米のプレスにけちょんけちょんに貶されたり、
オルタナ/グランジムーヴメントに居るバンドのひとつに過ぎないとみなされたり、
果ては後からリリースされたはずのニルヴァーナの「フォロワー」扱いされたり。
当時、レッチリ・ニルヴァーナ・スマパンの3組でツアーをしていたそうですが
ニルヴァーナとスマパンがどうやって一緒に過ごしていたのかが結構気になります。
このツアーについて、レッチリのアンソニーの自伝「スカー・ティッシュ」で
少し述べられていますが、ニルヴァーナとスマパンの仲については特に記述がありません。
アンソニーの中ではニルヴァーナ>>>>>>>>>>>>>>スマパンで、興味が余りなさそう。
まぁ、当時のスマパンは前座のようなものだったし、
カートは「カリフォルニケイション」の歌詞にも登場するほどの寵愛っぷりだし。
真相は本人達の中といったところでしょうか。

ビリーの悲劇はこれだけでは終わらず、
当時、コートニー・ラヴと交際していたビリーですが、ニルヴァーナのブレイクに
目を付けたコートニーは、より見込みのあるカート・コバーンの元へと。
(因みに、コートニーがビリーの前に付き合っていたのは、
ジェーンズ・アディクションのギタリストで、一時期レッチリにも参加したデイヴ・ナヴァロ)

gish2
「スキンヘッドのコワモテ」なイメージが強すぎるビリーですが、髪を伸ばしている
こんなアップの写真では、実はなかなかハンサムだということが判明。
清楚なダーシーも可愛い。
因みに、この時期の、ジミーのロングヘアもけっこうなプレミアものです。


「クソー!よくもよくもよくもよくも!」と、涙を落としながら地面に拳を叩きまくって
悔しがるビリーの姿が目に浮かぶよう・・・
まぁカートのその後を考えると、コートニーとは別れて正解だったと思いますが、
ビリーじゃなくてもこのシチュエーションは辛い、悔しい!
コートニーとのことはともかく(?)、この辛さ、悔しさのフラストレーションが
次作への大きなエネルギー源になるのです。
いよいよ、羽ばたく時がやって来ました。だからどうか泣かないであの日のビリー!



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

James Iha:その2 Look To The Sky「14年振りにイハが戻ってきた!前作の美しいメロディはそのままに、ドラマティックに広がる世界」

まさかこんな記事を書ける日が来るだろうとは、
James Ihaジェームス・イハ)の1stソロアルバムの記事
書いたときには思ってもいませんでした。
正直、あれが最初で最後のソロアルバムになるのだろうと覚悟していたから。
ただよく見るとその記事って2月に書いたもので、もう少し下調べしていたら
新作2ndがリリースされる情報は得られたはずで・・・
当時の調べの甘さを痛感させられます。すぐに追記したんですけれども。
いざ購入してからもちょっと寝かせすぎちゃったかもしれないんですが
満を持して書きます、14年振りの2ndアルバムLook To The Sky」!
あぁ、嬉しい。

14年前、1stソロアルバムをリリースした頃のイハ。
James Iha 1st Album
当時、ソロアルバムを制作した動機として「スマパンで日夜、轟音を鳴らすのに疲れたから」
と語り、出来上がった作品はシンガー・ソングライター然としたアコースティック・アルバム。
「きみとぼく」が主人公のラブソングが中心の、内省的で朴訥とした世界観が特徴でした。
少し頼りないイハの歌と、さらりとしたアコースティック・ギターに、必要最小限の装飾を
まぶしたシンプルなアレンジ。いいメロディが詰まった、何度でも聴ける名盤でした。
この1stアルバムも新たにイハ監修でリマスターしてリリースされているそうで、
改めてご紹介。前回の記事とはリリース日が違うのに注意。

レット・イット・カム・ダウンレット・イット・カム・ダウン
(2012/02/15)
ジェームス・イハ

商品詳細を見る


そうして14年の月日が経ちました。画像は本作を引っさげたライヴツアーの様子。
白髪ではないですよ、白っぽい金髪。でももしかしてまさか、白髪染め効果?
James Iha 2nd Album
1stの記事でも軽くその間の経歴を拾ってあるのですが、
バンド活動としてはA Perfect CircleTinted Windowsなどに参加、
プロデューサー・リミキサー・ギタリストとしても書ききれないほど多くの作品に
携わっていて、前回書いていなかったところではThe Yeah Yeah YeahsMichael Stipe
Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)で最後の一年を共にした
盟友のMelissa Auf Der Maurなどなど。
また、映画音楽も、前回紹介した「リンダ リンダ リンダ」の後、満島ひかり主演の映画
カケラ」を手がけており、この映画は各国の映画祭で話題になっているそうです。
もう少し違った側面からの活動もあって、例えばレコーディング・スタジオを設立したり
レーベルを設立したり(これはもう無いですが)、漫然と14年間を過ごしてはおらず
寧ろ多忙を極めていたと言ったほうが良さそうな幅広い活動ぶり。
さまざまな経験を積んで、40歳を超えて、いまソロアルバムを作るにあたっては
「とにかく色々やってみて、とことん納得のいくものを作ろうって感じ」。

14年越しの2ndアルバムは・・・前作の良いところはそのままに、経験と年齢を重ねただけ
リアリティ、詞や曲の幅広さ、そしてそっと外へと開けたアレンジが加わりました。

LOOK TO THE SKYLOOK TO THE SKY
(2012/03/14)
ジェームス・イハ

商品詳細を見る

基本的に楽曲そのものは「イハ金太郎飴」とでも言えそうな、前作やスマパンのイハ曲のような
優しいメロディと繊細なヴォーカル。
でも展開がドラマティックな曲も多くなっていて、そこで印象が随分違ってきます。
イハと共同でプロデュースを務めたネイサン・ラーソンは映画音楽に多く携わっており
そこにイハ自身の映画音楽の経験も重なって、「映画みたいな風景」がときどき見えてきます。
#3,#8,#10のようなエレクトリックな音を多く用いた高揚感あるアレンジは、
前作にはなかった新しい魅力で、3曲とも全てアルバム内でハイライトとして位置づけられます。
とりわけ#10「Speed Of Love」は豪華なプロダクションに、ときめきの高揚を感じさせる
躍動感溢れる楽曲で、イハのヴォーカルにもいつもより熱がこもっています。
#3「To Who Knows Where」の、イントロやサビの高みと抑えめな中間部分との
メリハリを大きくつけながら続く、少しノイジーで80'sテイスト混じりなアレンジも気持ちいい。
今年の夏はフジロックに出演するイハですが、そんな場面でもみんなで盛り上がれそうです。
「夏フェスでも盛り上がれそう」なんて、前作のイハからは考えられなかった展開。
静かな曲も相変わらずよくて、本編を締めくくる#12「A String Of Words」は
隠し味のシタールに似たサウンドも効いた、眠りを誘うも華やかなアレンジが綺麗。
前作で深く愛された「シンプルなメロディの美しさ」は変わらず基盤に置くも、
前作よりも作り込んだ、多彩な、いまどきのプロダクションが
楽曲を鮮やかに引き立てます。


また、本作に関わったメンバーの多くは、イハの友だちか、友だちの友だちなのだそう。
例えば#1にバッキング・ヴォーカルで参加しているThe Cardigansカーディガンズ)の
ニーナはネイサンのパートナー。最近「ドラゴン・タトゥーの女」のテーマソングでも話題の
The Yeah Yeah Yeahsヤー・ヤー・ヤーズ)のカレンO&ニック・ジナー(#9に参加)
との縁は前述の経歴紹介の通り。
なんだか、イハの人柄が感じられます。
この記事を書くにあたって&リリース当時の雑誌やネットインタビューなどを読んでいて
思わずにはいられなかったのは、イハという人は、その辺の日本人より「日本人の美徳」を
良い意味で漂わせている人なのだなぁということ。
慎み深く、冷静で、人と人との繋がりを大切にして、過剰な自己アピールはしない。
イハの1/4に流れる日本の血が無意識にそうさせるのか、意識してそのようなメンタリティを
築いていったのかはわかりませんが、他の洋楽アーティストの言動と比べて印象に残る点です。
悪い意味だと「押しが弱い」「ちょっと地味」となり、欧米の価値観の中で、あるいは
音楽エンターテインメントの世界でそれがややマイナスに働いている部分はあるのかも
しれないけれど、これだけ長く、幅広い分野で、各国で活躍することができているのは
その謙虚な人格がやはり功を奏しているのではないでしょうか。
彼のこのような人柄がそことなく、本作でも楽曲に見え隠れしています。

それにしても、日本盤解説でも書かれていましたが、イハってとんでもないロマンティスト!
「彼の中には無垢な少女が住んでいるのではないか?」だって。
アルバムタイトルのフレーズ「Look To The Sky」が歌詞に登場する#1「Make Believe」の
歌詞なんてこんなふうです。

君は髪に星を飾って 突然やってくる
君は呪文を唱えて 風に浮く
驚かせて 長すぎる間 僕は寝ていた
一目でも見たい 長い間 ずっと僕は待っていた

空想と遊び
舞い降りていく
僕と一緒に居れば

君にぎっしり詰め寄る
君をゆっくり裏返す
手は疲れた
君の心は傍に居る

光の速さ
煌めき輝く
息をしようとしながら
信じて 僕を信じて


この歌詞を書いた人が女性だと言われても信じてしまうだろうほどの甘さ。
初めて詩人の銀色夏生さんを知った時「何てロマンティストな男性なのか」と思っていたら
実は女性だったわけですが、それの逆バージョン級の叙情性です。
そして最も特筆すべきは、これを40過ぎのオッサンが書いたという点なのですが
あまり深く考えないようにしましょう。

元の歌詞が美しいものだから必然的にこうなるのでしょうが、訳詞が素晴らしい。
日本盤を手に入れた人は、是非、訳詞片手に味わって欲しい一枚です。
#2「Summer Days」のサビなんて、詩人がさらりと書いた一篇のよう。

夏の日々はやつれていく
朝の微風が夢に閉じ込められて
声が聞こえてきて 取り付かれる
光の中で迷いながら
君の薄れる光の中


春にリリースされたアルバムなのに、初夏があまりにもよく似合う歌詞が多いのは
なぜなんでしょう。よく夜空の星を見上げているし。いま記事を書いて正解だったかも?

そして前作では見られなかった、シニカルな人間観察眼が光る歌詞も3曲ほど。
とりわけ#7「Appetite」はキャバレー音楽を意識したものと、曲調も異色。
「とにかく色々やってみる」実験精神はこういった側面からも盛り込まれました。

前作での「きみとぼく」の純真な幻想世界から、ほろ苦さもある日々のリアルのうちの
ロマンティシズムへ。綺麗なものも汚いものも混然と存在する現実世界の中に居ながら
ある日ある時見つけ出した甘く切ない風景、止められない誰かを愛しく想う気持ち。

前作が理想郷なら、本作は毎日持ち歩くお気に入りのペンケースのようなアルバムです。
ちょっと蓋の裏側を開けると、澄み切った夜空の星を集めておける仕掛けつきの。

「前作と同じような曲しか出てこない時期があり、その間はソロアルバム制作から離れた」
「前作と同じようなアルバムにはしたくなかった」と語るイハ。
根負けして待つのを諦めて去ってしまった人も多いでしょうに、この人は自分のペースや
作品のクオリティにあまりに実直。しかしそれでこそもう一度、新しいところから
マスターピース作りをやり直して、見事達成するあたり、何と芯の強く、ブレない人。
「次作はまた14年振りってことはないと思う」とのことなので、本作を1stと同様に
大切な一枚として聴き続けながら、マイペースに作られるであろう次作を待ちましょう。
年齢を重ねても錆びない、上品なロマンティシズムの健在をも期待して。




おまけ。
James Iha funny shot
本記事に掲載するためにイハの画像を探していたら、3~4つくらい、このような白目剥きの
イタズラ(グロ?)画像が登場して、可笑しくてしょうがなかったので載せました。
次回からはいよいよスマパンの連載なんですが、メンバー4人で居るときもこの手の変顔や
お茶目な格好が目立ちます。なるべく4人平等にピックアップしたいので、イハ単独の名場面は
とりあえずこちらに。
流石に本作のように壮年になってからは、イタズラは控えているようですが。
・・・うわぁ、積み上げた記事の流れが全部台無しだ!


おまけのおまけ
とりたてて時事ネタをこの数日中に書いたわけでもないのに、これまでの蓄積が
一気に報われ、突然のランクアップに嬉しい悲鳴です。
日記 4832位 (昨日:6606位) / 781771人中
その他 1483位 (昨日:1922位) / 101335人中
更新日時:2012/06/23 08:27 と、自己最高ランク2位なんです。
1位の時は全体の人数が今より少なかったので、実質今が1位かも。
感謝。この一言に尽きます。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

My Bloody Valentine:Isn't Anything&Loveless「冷たいノイズと甘いメロディーに魅せられる・・・伝説のシューゲイザーバンドを追体験」

たったのCDアルバム2枚で伝説のバンドと化し、最後のリリースから20年が経っても
ロックのみならずあらゆる分野の音楽に今日でも影響を与えまくっている、
My Bloody Valentineマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、通称マイブラ)。
2枚のアルバムとその間にリリースされたEP集がリマスターされて(再)リリース、
来年には来日公演も決定と、ここ最近なにかと期待させられる動きをみせているバンドです。
おじゃんになった3作目のリリースや新曲の発表も宣言しているらしいけど実現するのか?
マイペースすぎるバンドの既発2枚を聴いてみました。
なにせ、私の好きなあのバンドもこのユニットもマイブラの影響下にあるというものだから・・・
前回書いたRideも同じシーンに居たので、今回はシューゲイザー特集その2とでも言いますか。

マイブラは時期によって随分作風が違い、メンバーチェンジも結構あって、
カナダのホラー映画からバンド名をとったデビュー時は、如何にもそんな感じの音
(パンク~ゴス系統)だったのが、現在に至るメンバーにまとまった1987~88年頃に
だいたい今知られている方向性に進んでいきました。それでも1stと2ndはかなり違うけれど。
例えば1stを聴いているとフリッパーズ・ギターを思い出したり、2ndを聴いていると
初期のスーパーカーを思い出したりして。
「どっちも同じだろ」と言われそうですが、個人的に、フリッパーズ・ギターはポップで
初期のスーパーカーはノイジーというイメージがあるもので、こんな例えになりました。
まぁ、ひっくり返しても良いっちゃ良いけど。

まずは1st「Isn't Anything」から。

イズント・エニシング(紙ジャケット仕様)イズント・エニシング(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

商品詳細を見る

この何が写っているのかわからないジャケ写は、メンバー4人のうち3人の姿。
残りの一人は裏ジャケで赤い服をまとっています。(ブックレットでは、彼女の姿が大写し)
My Bloody Valentine Isn't Anything
ぼやけて全然見えないけれど、これでメンバー全員集合。
左から、コルム・オコーサク(Dr)、ビリンダ・ブッチャー(Vo/G)、
ケヴィン・シールズ(Vo/G)、デビー・グッギ(Ba)。
このうち最初からいたメンバーがケヴィンとコルムで、ビリンダとデビーは後から加入。
そして曲作りの中心人物がケヴィンで、いつしか(1st前との噂があるが)ケヴィンとビリンダが
付き合いだすように。
タワレコの冊子では、この頃から始まった、飽和して溶け合うようなふたりのヴォーカル
などについて、付き合いだしたせいにしてあって「下世話な話」って言ってる(笑)。
振り返れば脱退した初期メンバーも「彼氏と彼女」だったので「またかい」状態。
スマパンだってノーダウトだって「やめときゃよかった」って揃って言っているんだし、
バンドに居るの辛くなるんだから、バンド内恋愛はどうかと思うんですが、仕方ないか。
しかし他のメンバー(マイブラの場合、デビーとコルム)がどういう気分で演ってたかは
ちょっと気になる(笑)。って、ま、こっちの方が下世話ですか。

「何者でもない」アルバムだけあって、1枚の中で結構作風がバラエティに富んでいる、
悪くいうと次作ほどアルバム一枚で一枚岩みたいな確固としたまとまりはない、
でもそれが楽しいアルバム
です。ノイジーさは次作への布石になっている気がするけれども
サイケだったり、ポップだったり、ヘヴィーだったり、ネオアコだったりと様々な味わい。
コード展開も、ものすごく不穏だったり、疾走感のある爽やかなものだったり。
次作と比べるとバンドサウンドが大分、「原型」を留めている印象です。
さきに書いたケヴィンとビリンダの甘く弛緩したヴォーカルの絡みが全体を気怠くまとめます。
ノイズまみれでひずんだギターを筆頭に、どれだけバンドサウンドが緊張感を煽っても
ポップに聴けてしまうのはそのせい。
冒頭の曲を聴いたとき「プライマル・スクリームっぽい」と感じたのですが、ある意味それも
そのはず、現プライマル・スクリームのヴォーカリストのボビー・ギレスビーはかつて
ジーザス・アンド・メリーチェインというバンドのドラマーで、本作はそのバンドなどの
影響を受けているから。
プライマル・スクリーム好きとしても、このバンドまで遡ってチェックしてみたい気がしますが
それはまた別の機会に譲ります。

さて、いよいよ本題?絶大な影響力を誇る2ndアルバム「Loveless」にいきましょう。

ラヴレス(紙ジャケット仕様)ラヴレス(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

商品詳細を見る

いいジャケしてます!ジャケ買いしてもきっと後悔はしません。

ノイズはいよいよ洪水と化し、ギターはビリビリと激しく疼くよう。
ヴォーカルは倦怠感を保ったまま、よりメロディが活きるよう丁寧にまとめて重ねて。
龍の吠える声のように激しくうねり暴れるギターの轟音リフに度肝を抜かれ、そこに
さらさら流れる優しいヴォーカル、メランコリックなメロディが重なる#1を皮切りに、
シンセサイザーやギターなどのノイズで空間が埋め尽くされ、聴く者はただただ圧倒されます。
ひどくひんやりした氷の壁の冷たさに、それを削って彫像を拵えようとする人間の熱が
ぶつかって、氷を削る轟音が響き渡り、彫像が水蒸気を撒き散らしながら水滴を垂らす。

あるいは、よく冷やした甘い味の炭酸水みたいな音楽にも感じられるかもしれません。
インストの#4などはノイズに圧倒されて黙り込み、そこに仄かに調和していく甘いメロディに
吸い込まれていきそうになるし、
美しいメロディと冷たい質感の配分があまりにも的確な#11にはうっとりするばかり。
ポップな歌ものとしても聴けそうな曲が半数近くを占めていて、この硬軟の二面性ゆえに
両面それぞれが実に数多くの、後進のバンド・ユニットにインスパイアを与える結果になったのは
想像に難くありません。
ケヴィンとコルムがサンプラーやエフェクターを自らの機材として使ったり、
担当エンジニアが何と18人(!)も居て、ケヴィンとコルムもそこに名を連ねていたりと、
徹底的にこだわり抜いてつくられたサウンド。
制作期間2年半、かかった制作費が25万ポンド(当時の日本円で約4500万円)。
冷たい質感の音からは想像もつかない程の、とんでもない執念が注ぎ込まれているのです。

しかしこれがやりすぎた。
お金がかさみすぎて所属レコード会社(クリエイション)が倒産寸前、社長とも険悪になったり、
一人また一人とスタジオに来なくなって、実のところは殆どのパートをケヴィンが録音していたり、
恋人のビリンダは元夫の暴力に悩んでいたのに、ケヴィンはそれに構わずスタジオにこもりきりで
ケヴィンとビリンダの間にも溝が入っていったり。
名実共にこのアルバムは「愛なき世界(邦題)」になってしまったという訳です。
その後はドラムンベースを取り入れたアルバムを作るもリリースに至らず(これが今年、リリースを
宣言されている3rdアルバムのようです)、ケヴィンとビリンダの仲も途切れて
フェイドアウトしたのが1997年。
その後10年経って、2007年に再始動、「Loveless」からの曲を中心にライヴなどの活動を
各地で行い、今年の1st2ndのリマスター再発などに至ります。


彼らが与えた影響は本当に多岐にわたっていて、例えばスマッシング・パンプキンズ
95年の大傑作「メロンコリーそして終りのない悲しみ」は、
「Loveless」の18人ものエンジニアのなかで唯一ケヴィンが認めたとされるエンジニア
アラン・モウルダーの存在を知ったビリー・コーガンが、制作に関与させたのだとか。
他にも作品やアーティストを挙げていくときっと切りがないのですが、その中で
なかなか興味深いのが、こんな作品。

LOVELESS -TRIBUTE-LOVELESS -TRIBUTE-
(2012/03/07)
V.A.

商品詳細を見る

韓国のアーティストによる「Loveless」のトリビュートアルバムなんだそうです。
世界中に影響力があるマイブラですが、とりわけ韓国でのそれは、こんなアルバムが
出来てしまうくらい熱狂的かつ根強いのだとか。
聞くところによると、シューゲイザーフリークをも唸らせる出来なんだとか。
韓流恐るべし。おっかなびっくりで、ちょっと聴いてみたいかも。

メンバーの「Loveless」後も興味深く、ケヴィンはプライマル・スクリームのアルバム
XTRMNTR」「イーヴル・ヒート」に参加、ライヴでサポート・ギタリストも務めました。
また、映画「ロスト・イン・トランスレーション」のサントラを手がけたり、
映画「マリー・アントワネット」のサントラではバウ・ワウ・ワウのリミックスで登場、
パティ・スミスポール・ウェラーのアルバムでギターを弾くなど、活躍は多岐に及びます。
そして、マニがストーン・ローゼズ再結成のために脱退した、プライマル・スクリームの
ベーシストの後釜をデビーが務めることになったようで、マイブラとプライマル・スクリームは
もはや切っても切り離せない関係になっています。
ケヴィンの動きを追いかけていくだけでもワクワクするのに、そこにデビーの活動まで
加わってきたら、マイブラとしての新作が出ずとも好奇心が満たされてしまいそう。
課外活動も楽しみだけれど、どうか、新作も忘れずリリースしてくださいね。


ここまで書いたら遠くないうちにこのアルバムをチェックしないと気が済まない。

EP's1988-1991EP's1988-1991
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

商品詳細を見る

冒頭に少し言及した、1st~2nd期間を繋ぐEP集。
1stから2ndへの変遷もよくわかるのだそうでとっても気になります。勿論ジャケも好み。

更に、マイブラやプライマル・スクリームについて見ていると、彼らが生まれ育ったレーベル
「クリエイション」周辺の音楽もまとめて気になってきました。

アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー(通常版)(DVD)アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー(通常版)(DVD)
(2012/05/30)
ドキュメンタリー映画

商品詳細を見る

マイブラからオアシスまで繋がる!(=前回の記事とも強引に繋がる!笑)
こだわりの強いレコード会社の栄枯盛衰のドキュメント。興味を惹かれます。


次の次あたりから連載記事が始まります。
ところで最近、スポーツをしていて腰を痛めてしまって、座っていてもイタタタ。
連載までに治さなくては。スポーツ出来ないフラストレーション、半端ないです。
治らなかったら連載記事を書くにも差し支えたままですからね。調べ物まだ残ってるし。
皆さん、楽しいblogライフのためにも、怪我にはくれぐれも気をつけて。

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

RIDE:NOWHERE「サイケな轟音ギターの嵐×美メロが光る繊細な楽曲。達観した少年達が紡ぎ出す、瑞々しいシューゲイザー」

Oasis(オアシス)、現Beady Eye(ビーディ・アイ)関連を雑誌やらネットやらで
見ていて、ずーっと、00年代手前に加入した二人、アンディとゲムがごっちゃに
なってまして。「どっちがアンディでどっちがゲム?」に始まり(似てないのに・・・)、
「ベーシストにさせられたのってどっちだっけ?」と、パートまで忘れてしまう顛末。
さて、どっちがどっちかな?
oasis&beady eye
正解は、Oasisの画像だと左端がゲムで右端がアンディ(真ん中二人は眉毛兄弟ども)、
Beady Eyeの画像だと左端がアンディでその隣がゲム(その隣はもっと後に入ったドラマー)。
今月18日に70歳のお誕生日を迎えたポール・マッカートニーに少しだけ似ているのがゲムで
ちょっとお猿さんが入っているのがアンディ、そしてベースで加入する羽目になったのもアンディ。

そして、個体認識のできないこの「新入り」二人のうち、アンディ・ベルのいたバンドは
物凄かった、Beady Eyeは彼の楽曲に期待!なんて声をバンド発足時にいろいろ聞いて
興味をもっていて、何だかんだでようやく手を出す決意が固まりました。
RIDEライド)の名作と名高い1stアルバム「Nowhere」に。

NowhereNowhere
(1990/12/18)
Ride

商品詳細を見る

ジャンルは「オルタナティヴ・ロック」そして「シューゲイザー」の括りが一般的です。
WikipediaのMy Bloody Valentineマイ・ブラッディ・バレンタイン、以降マイブラ)の項で
彼らの「フォロワー」としてライドが紹介されていましたが、
フォロワーではないのでは?活躍していた時期が被っている。「同期」くらいの扱いが適切かと。
同時期に居て、ジャンルが少し被り、マイブラの方が結成が先かつ有名なので
巻き込まれてしまうのも仕方ないのかもしれませんが。んーでもやっぱフォロワーなのか?
ところで今回、私は通常盤を聴いているのですが、
実は昨年、20周年記念スペシャル・エディションが出ていたみたいです。
画像検索していてこのエディションを初めて知りましたが、豪華な冊子までついていた模様。

そんな中、当時のアーティスト写真の画像も出てきました。
ride1
・・・!子どもじゃないのか?「スタンド・バイ・ミー」みたいな子役俳優じゃなくて?
それもそのはず、1stアルバムリリース時のメンバーの年齢は、19歳2名、20歳1名、22歳1名。
驚くべき若さ。
しかし本当に驚くのは、彼らがこの年齢にして、どこか達観していて、勢いだけでなくて
貫禄や余裕を漂わせた音楽を作ってしまっている
ことです。
確かによく見ると皆白けた目をしていますが・・・
んでもってもう一枚。
ride2
アンディ(笑)よくこういう子どもいますよね。
Oasis加入時と何ら変わらない(特に眉から目もとにかけて)からすぐにわかりますね。
「Nowhere」のブックレットの最終ページに彼ら4人の写真があって、アイドル売りっ気が
少々あるのが分かるのですが、アンディはフロントマンの一人だというのに締まらない(笑)
ま、アンディの取り柄は才能であって見た目ではないのだから・・・と、まとめましょう。

Oasisファンの人達の話や雑誌のちらっと記述を読んでいると、アンディが中心のバンドで
アンディ一人がフロントマンで、バンドを牽引してきたかのような印象を受けるのですが
実際は、ヴォーカルとギターをマーク・ガードナーと二人で務め、
リーダーは設けず、曲のクレジットはバンド名義で、アート・ディレクションまで含め
音源はセルフ・プロデュース。
特定の中心人物というのはおらず、自分達でできることは全て自分達でやっています。
また、80年代末に既に流行していた、他人の悪口、ハッタリ、過激発言は一切なし、
商業的成功云々の上昇志向やハングリー精神も見受けられない少年達だったようです。
アルバム解説には「ライドに在るのは音楽に対する本当に純粋な情熱だけ」とありますが
時間が経つにつれ、これらはどちらかというと、脇の甘さ、粘りの弱さに変わってしまいます。

そろそろサウンドについて触れていきましょう。
轟音ツインギターと力強いドラム、暴力性と叙情性の共存したサウンド
1stEP、2ndEPから既に人気が出たライド。
1stアルバムでは、EPで発揮してきたサウンドを更に進化させて、
従来型の勢いのある轟音炸裂ナンバーに加え、新たに
ミディアムテンポの美メロナンバーを開拓、
双方がバランスよく1枚のアルバムの中に共存しています。
轟音を鳴らしながらメロディアスと、両方の特性が両立した曲も。
「1stアルバムの時点で新展開を見せる」バンドって果たしてどれだけあるのか。
言い換えれば、シングルの時点でがっちり、自分達の色が固まっていたとも。
どうにせよ肝の据わった少年達です。ちょっと普通じゃない。
当時、期待と注目をたっぷり浴びたのは当然でしょう。

アルバム解説でも特筆されていますが、サイケっぽさも大きな魅力です。
CDを再生させてまずぶっ飛んだのはそのサイケなテイストと空気感
60年代、ビートルズが4人+αでインドに行ったり、楽器をサイケ色に塗ったりしていた
あの時期にタイムスリップしてしまったかのよう。
「どうしてこんなテイストが出るの?」と本当にびっくりしました。
とりわけその「タイムスリップ感」があるのが1曲目。勢いと轟音もあるイチ押し曲です。
アンディとマークが頼りない声のツイン・ヴォーカルで、やや単調なメロを単調に歌っていて
それがちょっとお経のような独特の響きを醸し出しているのも大きな要素だと思います。

サイケでスピード感のある曲→メロディアスな曲→サイケでスピード感のあるメロディアスな
と、アルバムが進むほどに徐々に流れが新機軸のほうへ移っていくのも印象的。
「僕らはこちらに進みたい」という意思表示がくっきり成されています。
最初聴いていると、ミディアムテンポの美メロ曲が流れを止めているように感じ、
「退屈かも・・・さっきみたいなサイケでスピード感ある曲で統一して欲しかった」と
思ったのですが、繰り返し聴いていると美メロ曲のゆったり、どっしり感にもハマってきます。
緩やかな流れの中に轟音が入ってくることで、曲にメリハリと盛り上がりをもたらします。
この全体のバランスの良さが、心地良さに繋がり、続けて何度も聴けてしまうのです。

繊細でメランコリックな歌詞も白昼夢のようで印象に残ります。
例えば、「サイケで勢いのある曲」として紹介した#1「Seagull」ではこんな感じ。

瞳は水浸し・・・・・・
喉は枯れ、声がでない
ぼくの言葉は塵
羽根みたいに床に落ちていく
羽根みたいに床に落ちていく


思春期を過ぎたか過ぎないかの少年の、危うい感受性が全曲の歌詞に張り詰めて
恋い焦がれたり、諦めたり、死を想ったり、内在する不安を露わにしたり。
暴力的だけどロマンティックでもあるギターサウンドや綺麗なメロディ、
清涼感のあるか弱いふたつの声とピッタリです。
達観しているように見える少年達の本音が聴こえてくるかのよう。

彼らのフェイバリットはザ・ビートルズやザ・スミス。
ビートルズみたいにポップかつパンキッシュな初期衝動と、スミスみたいに物憂げな眼差しが
きちんと盛り込まれています。
先程マイブラに言及しましたが、彼らに比べるとバンドらしさが強くて、アナログな音作り。
マイブラほどスタイリッシュではないけれど、その分、人の心の繊細な動きに寄り添うような
瑞々しくて人懐っこい魅力
があります。


さて、その後の彼ら。
2nd、3rdとリリースしていくも、Oasisをはじめとするブリット・ポップ勢に押されたり
音楽性をシフトして彼ら自身がブリット・ポップ寄りの音楽を作るようになったり
年齢を重ねることで初期にあった若さゆえの魅力を失ったり、あげくの果てには
アンディとマークの音楽的価値観がずれて、深刻な軋轢が生まれてしまったりして
4thアルバムを最後にライドは解散。
さきに述べたような、若さとリーダー不在は、度重なる危機的状況に直面するには
あまりに脆い構造でした。

以後は各自それぞれの道を歩み、途中で和解も果たすのですが
解散に至る過程を見てみると、よりによって自分達を追い込んだブリット・ポップ・バンドの
Oasisに加入することを選んだ(しかも一度も弾いたことのない、ベースで)アンディは
何とも皮肉な道を行ったなぁ、寧ろよく行ったなぁ、と複雑な気持ち。
しかし意外にも、アンディは年齢が近いリアムと仲良くなって、リアムにギターを教えたり
リアムも素直に教わったりして、いわば「リアム派」に。曲作りでもある程度貢献するも
ノエル中心のバンドでは貢献の範囲が限られ、リアム共々ノエルを敵視するようになって
件のノエル脱退→Oasis解散では、インタビューでリアム擁護・ノエル批判ともとれる発言を
したとかしないとか。
ちなみに、同時期加入したゲムは中立派だけどノエルのお気に入りで、ギターの腕を買われて
ノエルはソロ・コンサートなどで、惜しみなくゲムにギターソロを弾かせたりしていて、
Oasis解散~まだBeady Eyeが出来ていない時期に行われたノエルのコンサートに参加したりも
していたので、ゲムがBeady Eyeに入ったのは意外というか、「うわぁ・・・いよいよノエルが
追い出された格好になっちゃったよ・・・」と。
今じゃ双方楽しそうに音楽やっているので、結果的にはこれで正解だったんでしょうね。
(Oasisの深いファンでないので、あまりこの辺の内部事情を詳しくは知らないです。
ファンの人が論議していた話や、ニュースサイトで報じられていた情報を参考にした程度)


この記事を突破口に、Oasisを突っ込んで書いてみるのも面白そうですが、
他の題材の下調べ・準備に片足踏み込んでいるので、今回はこれでお開きに。
次回は今回と同世代か、ちょっと後輩か。
近々「ちょっと後輩」で連載をしようと考えていますが、まだ他の題材を幾つか挟むかもです。
一度連載を始めると、その題材でダーッと一気に駆け抜ける癖があるので(笑)



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

カーペンターズ:40/40~ベスト・セレクション「豊饒な音楽体験。ロックが最も輝いていた時期に、カーペンターズの歌があった意義」

70年代を中心に活躍したアメリカの兄妹ポップス・デュオ、Carpentersカーペンターズ)の
お兄さんの方、リチャード・カーペンター氏は日本好きで有名なんだとか。
それが高じて、カーペンターズ名義でのレコード会社との契約成立日から40年後の
2009年4月22日に、日本のファンによるインターネット投票の結果をもとにして
ベスト・アルバムをリリース、しかも全曲最新リマスター!SHM-CDというダメ押し付きです。

カーペンターズ~40/40 ベスト・セレクションカーペンターズ~40/40 ベスト・セレクション
(2009/04/22)
カーペンターズ

商品詳細を見る

またしても音楽性がいきなり飛びましたが、今回はインスパイア型です。
相互リンクさせて頂いているblogさん「Saya's Greatest Oldies」に
The Beatles目当てで通っているうちに(今はサー・ポールおたおめ祭りですよ!)
sayaさんのもう一つの最愛アーティスト、カーペンターズについても、
昔何となく聴いたというか耳にしたけれど、音源のかたちで今改めて聴いてみたいという
興味がどんどん大きくなり、音質も良さそうなこちらを試してみたというわけです。

「あ、CMのあの曲」「これ、昔のドラマのあの曲」「聴いたことがあるな」そんな曲が
きっといっぱいの、日本でも大人気を博し、現在でも変わらず愛され続けている彼らですが、
音楽ジャンルとしては、ポップ・ミュージックやソフト・ロック、イージー・リスニング、
アダルト・コンテンポラリー・ミュージックといった分類になるようです。
妹でアルトヴォイスの魔法を持つカレン・カーペンターの流麗でコクがある歌声と
リチャードのアクのない洗練されたアレンジがシグネイチャー・サウンド。
優れたソングライターを任じたシングル曲、カヴァー曲を完全に自らのものにしてしまう
リチャードの高いアレンジ力が冴え渡るカヴァーもの、リチャードが作・編曲を手がけるもの
などの楽曲があり、意外にもカレンは作詞などの楽曲作りには殆ど関わっていません。
その代わり、パブリック・イメージとは裏腹に実はドラムを叩くシンガーであり、
「イエスタデイ・ワンス・モア」も「涙の乗車券」も「シング」も「マスカレード」も
彼女がドラムを担当していると知って驚き。活動初期に顕著な傾向だったそうです。
更にカレンは本当は3オクターブの音域の持ち主。ですが、「声の魔法」が低音域にあると
判断したリチャードは、カヴァーやオリジナルの楽曲をカレン向きのキーに編曲し直して
現在私たちが知っているあの美しいアルト・ヴォイスを強調したナンバーを中心にしました。


うっとりするような、クラシカルなアレンジと深く響くアルト・ヴォイス、ポップな楽曲。
ライターさんの手がけた詞曲が多いこともあり、あんまり理屈で細かく
「どの声が」「どの歌詞が」「どのメロが」と論じる気にはなりません。
ただその身を優しく楽曲に委ねていたい。
そんな中、ゆったりしている心身を鬼にしてあえて見つめてみたいのが、
カーペンターズがデビューし、活躍した、60年代末~70年代(~80年代序盤)というのが
「ロックが最も成熟していた、面白かった時代」とよく言われる時期と
思いっきりぶつかってしまっていること、そしてこの時代にカーペンターズが居たこと。

カーペンターズは大衆受けは非常に良く、だからこそ世界的アーティストとなれたけれど、
批評精神の強いロックやブルースが優勢だった当時の音楽シーンでは、格好の餌食となり
ミルクを飲んで、アップル・パイを食べて、シャワーを浴びる、とでもいったような印象
「退屈で甘ったるい」などと何度となく冷たく斬り捨てられてきました。
カーペンターズの活躍は、ロックやブルースの信奉者との秘かな闘いもはらんでいたのです。
但し、カレンが拒食症が原因の心臓発作で83年に32歳の若さで逝去した後、
90年代~00年代に各国でカーペンターズやカレンのドキュメンタリーが制作されて、
それがきっかけで本格的な再評価をされるようになり、若いバンドやアーティスト、シンガーが
カーペンターズやカレンに影響を受けたと言ったり、トリビュート・アルバムが作られたり
しています。カレンの苦悩に満ちた人生などが共感を呼んだ部分も大きいでしょう。
ちなみに、カレンが拒食症に苦しんでいる時期、何とリチャードも睡眠薬の深刻な依存症に陥り
リハビリを受けていました。(こちらは80年代初頭で回復)
70年代後半は、ディスコ・ブームが新たな敵となって、時代の向かい風に晒されスランプ状態に。
カーペンターズの歴史は、すぅっと聴ける音楽とは裏腹に、あらゆるものと闘い続けてきた
傷だらけの日々の積み重ねで出来ている
ことに気づき、それが歌の奥底にいつも流れる、
あの特有のもの悲しさに繋がるのだろうか、などと考えているとこちらまで胸が苦しくなります。

カーペンターズの「ポップ・ソングを奏で続ける強い意志」が顕著に分かる曲があります。
今回の2枚組ベストアルバムでもDisc 1の1曲目に登場する、お馴染みのスタンダード
イエスタデイ・ワンス・モア」は、単に昔を懐かしむだけの曲ではなく、
カーペンターズというバンドの立ち位置や音楽性をはっきりと表明する曲でもあるのです。
「シャラララ」「ウォウ、ウォウ」「シンガ・リンガ・リン」などのフレーズが印象に強く
残りますが、これらは60年代前半のアメリカン・ポップス特有のコーラス・フレーズ。
まだ公民権運動もベトナム戦争も泥沼化していなかった時代の、屈託なくきらきら輝いていた
アメリカの日々を回顧する意味合いが含まれています。
加えて、当時のピュアなポップ・ソングの味を70年代に継承していたカーペンターズが
自らの存在意義を高らかに宣言してみせた1曲だと、本作ブックレットの解説で書かれています。
より問題意識を強くメッセージしたロックやフォークばかりもてはやされがちだった
当時の音楽シーンの風潮に対して。

ある意味、カーペンターズこそ、立ち位置やスピリットは「ロック」していたのかも。
彼らの方向性はデビュー前、リチャードがカレンや友人とバンドを結成した時から変わらず。
見事な初志貫徹です。頑固でまっすぐ、決して曲げない。
聴きやすくやわらかいメロディーや音遣いの奥には、強靱なバネのような意志が常に
張られていて、だから何十年経っても経年劣化することなく、その味わいが鮮やかに蘇る。


カーペンターズの歌があった意義って、この歌の歌詞に結実されるのかもしれません。
「セサミ・ストリート」から生まれたカヴァー曲、「シング」。CMでもお馴染みですね。
難しく考えず、難しいことを言おうとせず、ただ、歌おう、そしてそれを聴いてもらおう、と。

「シング」

歌いましょう
大きな声で
力強く
悪いことじゃなくて 良いことを
悲しい歌じゃなくて 幸せな歌を

※歌いましょう
一生歌い続けられるように
簡単にして
人に聞かせるほど上手くないなんて
余計な心配はせずに
さぁ、歌いましょう

歌いましょう
世界中の声をあわせて
歌に愛をこめて
あなたのために 私のために

(※くり返し)


70年代のロックが、80年代の到来と共に滅びていき、しかし今でもマスターピースとして
その多くが熱く聴き継がれ、90年代以降のミュージシャンのルーツとなったように、
70年代のカーペンターズをはじめとするアダルト・コンテンポラリー・ミュージックも
時代の趨勢に一時は勝てなくても、もう一度見直されて大切に聴かれています。
そして双方は60年代の「古きよき頃」を継承しながら、新たな風を吹き込んだ音楽です。
ジャンルこそ違えど、カーペンターズと70年代ロックは、同時代にそれぞれを精一杯生きた
よきライバルだったのではないでしょうか。



ベストアルバムを聴いただけではまだまだその真髄がわからないような気がします。
sayaさんのblogを拝見していたら、このアルバムに収録されてない名曲もあるようです。
色褪せないエヴァーグリーンな歌とメロディ、美しく精緻なアレンジ、
時折射しこむ陰鬱の青白い光。
本作をガイドに、カーペンターズの広大な森へもう少し分け入って、
未知のジャンルの探検をはじめてみるのも、面白そうな気がしてきました。



asayake special thanks to:
saya from「Saya's Greatest Oldies」
インスパイアの元となりました。感謝いたします。今後とも宜しくお願いします。

テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

ざっくりテレビライフ:その3「大人の学び、生涯学習を30分でチャージ!100分de名著+仕事学のすすめ+テレビ寺子屋」

大人になっても、学びたい。
いや大人になってからこそ、自発的に学びたいことがある。
今回の「ざっくりテレビライフ」では、そんな知的好奇心を30分弱で満たす
教養番組をよりすぐりました。


100分de名著
NHK・Eテレで水曜の夜に放映している番組。
1回25分×4回=100分で、毎月一冊の本のエッセンスを理解しようという趣旨の番組です。
前々年度の特番(プレ放送)を経て、前年度から本スタート。
対象の本のジャンルは色々で、紫式部「源氏物語」やカフカ「変身」といった文学作品、
ニーチェ「ツァラトゥストラ」やパスカル「パンセ」といった哲学書、
ドラッカー「マネジメント」といった経済書(時事ネタともいう)など幅広く。
司会役+アシスタント+指南役の専門家の先生+最終週はゲスト(別視点の専門家など。
「マネジメント」の回では「もしドラ」のアニメ放映中だったので、岩崎夏海さんが登場)
指南役の先生が紙芝居を使って説明したり、ストーリーや論の内容をアニメにしたり
今年度では役者さんが本の著者に扮して「劇中ナビ」を務めたりと、
難しい本、難しそうな本を、親しみやすく愛を込めて噛み砕き、
その魅力やメッセージをあの手この手で伝えてくれます。


今年度から司会役+アシスタントが変わって、今までが嘘のようにおもしろくなりました。
島津有理子アナが司会役、伊集院光さんがアシスタント。
明るくシンプルに進行してくれる島津さんに、これまでの人生経験や、読書などの経験を踏まえ
「俺にもこんなことがあった」と、視聴者を圧倒する経験値で感心させながらも、いつものキャラで
共感を誘うトークを展開する伊集院さん。流石、話芸のプロは話の幅やテンポなど、格が違います。
専門家の先生が二人につられて笑い出してしまうこともしばしば。楽しみながら学べる番組に
生まれ変わりました。
前年度はどうだったのかというと、堀尾正明元NHKアナと瀧口友里奈さん。
堀尾さんは「誰だって波乱爆笑」ではそこそこくだけているけれど、本番組ではベテランかつ
元NHKアナの威厳炸裂で物々しく、瀧口さんは東大卒・英検1級・TOEIC955点とは思えないほど
ゆる~い無知ぶり・ゆとりぶりを発揮していてそれはそれはイライラさせられ…(苦笑)
彼女を観るのが苦でこの番組を観るのやめようかと思うほどしんどかったので、今年度の
司会・アシスタントの入れ替えはありがたい以外ありませんでした。
画面が「重苦しい」から「暑苦しい」に変わったけど(笑)
そして何気に、若いけどまんまるぷっくりぼんやりの瀧口さんより、すらりチャキチャキの
島津アナの方が、実年齢を超えて若々しく感じられます。これは驚くべきこと(笑)

興味のある題材に限って観ていますが、今年度は今のところハズレ月はないですね(6月時点)。
あえて苦言を言うなら、本の著者に扮する役者さんがちょっとショボイ。国籍でごまかせないぶん
紫式部役の役者さんのドイヒーぶりはキツかった。まぁいいですけど。
源氏物語、変身、現在放映中のパンセ、全部「面白そう」って思わせていただきました。
昔読んだ「変身」はこんな深い解釈があったのだなぁと始めて気づかされ、また買うか借りてきて
読んでみたくなったかも。時間をつくって「源氏物語」もいつか…
最近、また本を沢山買ってきて、読み出したのは、この番組のせい?


仕事学のすすめ
経営者やクリエイターが「語り手」として4回にわたって自らの仕事人生を語り尽くし、
その人物の人間臭さも描きながら、偉大な仕事にかける信念や方法論、奮闘する姿を披露し、
「トランスレイター」と呼ばれる聞き手が最後に要点を端的にまとめてくれる
ビジネスパーソン向けの、あしたの仕事に活かしたくなる番組。
これもNHK・Eテレでの放映で、木曜の夜の、100分de名著と同時間帯だったりします。
2009年まであった前身の番組が、2010年から各曜日がそれぞれ独立した番組になったので
こちらも比較的若い番組。

そして出演者(語り手)がなかなか凄くて!(ほとんどクリエイター目当てで観ちゃうんですが)
10年度は秋元康さん、堤幸彦さん、ワタミの渡邉美樹さん、
11年度は旭山動物園の小菅正夫さん、ニトリの似鳥昭雄さんなどと、蒼々たる顔ぶれ。
本年度は宮本亜門さん、姜尚中さん、コシノヒロコさんと、まだ6月なのに飛ばしすぎ!
現在放映中のコシノさんは好みの問題で観てないんですけど(笑)、4月5月の亜門さん姜さんは
当たり回過ぎ。なぜか偶然にも、二人ともちょっと悩み多きタイプで、亜門さんなんて
引きこもりを経験したりしていてパブリック・イメージから到底想像がつかなかったのですが、
今の姿があるのは昔の体験があったからこそで、共感しながら「自分も頑張ろう」と思えました。

これまで癌というか、時々観るのが深刻に苦痛だった要因が、聞き手役の勝間和代さん。
苦手なんですよねぇ、あの「私、頑張ってる!」感が…イヤ努力や成功を決して否定したい訳では
ないし、ライバル(笑)の香山リカさんみたいに「欲しがるな」って言われてもやっぱり容易には
頷けないものがあるから主張としてはドローなんですが、なんというかちょっともたれるというか。
10年度で堤さんが勝間さんとは真逆の仕事論を展開して、勝間さんの反論をさらっと論破した時は
凄くスカッとした(笑)でも、それを冷静に聴いたりトランスレートしたりする姿で見直したけれど。
それが前年度から半々になり、本年度からは野田稔さんが全編聞き手を務めるということで万歳。
あまり自分の主張を出さないで、ひたすら聞き手、理解者、翻訳者に廻ってくれるので、とても
見やすいし、話し手の魅力もよく伝わってくるんです。

仕事人生には、その仕事に惚れ込む瞬間、紆余曲折を経てその仕事へと辿り着く瞬間、
仕事や人生での挫折とそこからの再生、押しも押されもしない今の領域までに至るプロセスなど
方法論のみならず人の生き方そのものにも滋味がたくさん詰まっています。
ビジネス書では方法論が専らですが、この番組では話し手の生き方、そして方法論と
双方から学ぶことができて、立体的に仕事の仕方やものの考え方のヒントを得られます。



テレビ寺子屋
今回唯一の民放(フジ系列のテレビ静岡制作)&唯一の歴史ある番組。
地方局制作の全国ネット番組では珍しい長寿番組だったり、
在静の放送局が制作する番組としては現在唯一の全国ネットレギュラー番組だったりと、
かなりレアな番組といえそうです。
1977年スタート。番組開始当初からずっと、一人の教育評論家(吉岡たすくさん)が
レギュラー講師を務めていましたが、1999年7月の講演を最後にレギュラーの座を退き、
その後、現在に至るまで、週ごとに講演者が替わるようになったそうです。
少なくない都道府県では、相当な早朝に、何日も遅れてオンエアされるのが
地方局制作の哀愁を感じます。(勿論私はいつも録画で観ます)
静岡県内のホールや公民館などでの公開録画で行われ、観覧者の客層も反応もモロ。
聴覚障害者の方のために、手話通訳付きで放映されています。
吉岡さんのレギュラー講師時代の名残があるのか、子供の教育に関する話題が多めですが
それに留まらず、講師のカテゴリの幅広さに応じた、バラエティ豊かな話題の講演を聴けます。
最近では震災の話も多めですね。

これまでに講師役として登場した方は言うまでもなく沢山、そして…豪華!
尾木ママこと尾木直樹さんが講演した回はかなり広い会場に人が一杯でした。
「イチローの恋人」なんてあだ名もある、イチローの専属打撃投手を務めた
奥村幸治さんが講演した回は、普段壮年女性の多い会場が、
野球のユニフォームを着たまんまの少年たち、おじさんなど、見事に男だらけ。
あのルー大柴さんも出演、波乱の半生と意外な現在の活動についてシリアスに熱弁を振るう姿が
普段のルー語トークと良いコントラストを描き、印象的でした。で、シリアスな中にそれとなく
ルー語を紛れ込ませてくるのだけど、聴衆は主にご年配の方々だから通じず、クスリとも笑わず
その反応を容赦なく映して放映しちゃうテレビ静岡も鬼だ(笑)

講師の数だけテーマがあって、そして同じテーマ(教育とか、子どもの育て方とか)でも
講師の数だけ回答が違うのが面白いです。

その人が属している立場(教育評論家、心理カウンセラー、スポーツインストラクターなど)でも
左右されるという事実もよくわかります。
沢山の人の意見を客観的に観られる番組かもしれません。



書籍から学んだり、仕事術から学んだり、トークショーから学んだり。
今回は書ききれなかったけれど、歴史なども、大人になってから学びたくなる分野ですね。
6・3・3(・4)が終わっても一生続く、学び、そして新しい世界との出会い。
一生を生きるとは、一生学ぶこと、一生出会いを繰り返すことなのでしょうか。
もっと歳をとってから、この問いの答えがはっきりとわかるのでしょうね。

テーマ:TV番組 - ジャンル:テレビ・ラジオ

web拍手 by FC2

映画「たまたま」感想+ヨンシー&アレックス「Riceboy Sleeps」

以前、シガー・ロスの連載記事を書いているとき、こんな映画があるのを知りました。
蒼井優ちゃん主演、シガー・ロス主題歌の映画「たまたま」。

たまたま [DVD]たまたま [DVD]
(2011/12/21)
蒼井優、森山開次 他

商品詳細を見る

記事の中で触れられればとも思ったのですが、本作のDVDを見つけていなくって、
時間もなくて、なおかつCDの感想・レビューだけである程度、尺が埋まったので
「またそのうち」と、気にはなりつつ眠らせていたんですが、
先日DVDレンタルショップに行ったら、たまたま本作を見つけてしまい、
しかもたまたまその日が準新作半額の日だったので、たまたまじゃなくレンタルしてきたと
いうわけです。
ネットの記事では「オールアイスランドロケ」って書いてあったはずで、それにも惹かれて
すぐに飛びついたのですが、あれ、アイスランドじゃなく、アイ「ル」ランド・・・!?


物語はちょっとした寓話。監督の小松真弓さん曰く「ファンタジー」。
蒼井ちゃん演ずる女優が、女優の仕事についてインタビューされている場面で始まり、
色んな作品に出演してきたようですが、舞台も相手役も明らかに日本(人)じゃない。
女優の仕事のやり甲斐を語りながら、相手に自分の考えや気持ちを伝えることの難しさ、
そして「伝えること自体がしんどくなって、めんどくさくなって」いった日々に言及するうちに
ある日、一人湖で舟に乗っている時、舟が転覆して、湖に溺れて、
気がついたら一人で異国に漂流し「あの日、水に濡れて、その後もう何が何だかわからなく
なって
」いる場面から寓話の表紙がめくられていきます。

誰も居ない海辺から、霧がかった山沿いの街に辿り着いて、色々な家を訪ねるけれど
「これは私のじゃないわ」「僕のじゃないな」と皆にはねのけられる上、人々はモノのように
女優を触ったり扱ったりします。
ふとしたきっかけで、ある少年に気に入られ、少年は大事に集めた綺麗な石ころたちを女優に
見せてくれます。自然のような石、人間の顔のパーツのような石、太陽のように輝く石。
少年は「よーくみていると、いろいろなものがみえてくるよ」と。女優はそれに見入ります。
一晩何となく少年の住み処においてもらいますが、「どこからきたんだろう。わからないや」
そう言って部屋の世界地図や地球儀を見る少年。女優も地図を見ます。日本を見て、
そしてアイルランドを見て訝しむ。いま自分が居る場所がアイルランドだと感づいたようです。

一晩開けて、女優と少年が歩いていると、草むらで老人が「紙をくれよ!お金をあげるから」と。
「あげないよ!」「お金じゃ買えないんだ!」「そのお金でふけばいいじゃないか!」
少年は老人に怒り、お尻ふきにされそうになった女優をかばって二人で逃げ出します。
女優は紙なのか?
少年と離れ、一人で街に戻ると、電話代が足りない男性が女優を手に取ろうとしますが、
女優は風のようにはぐらかします。女優はお金なのか?
切手コレクターの集まりに女優が紛れ込んで、色んな切手や古い手紙を眺めていると、
「ずいぶん遠くから来てる!」「珍しい!」と、コレクター達に詰め寄られてしまいます。
女優は切手なのか?
そのうちにお祭りが始まって、大きな頭に大きな体の張りぼて人間たちのパレードや、
民族衣装を着た少女たちの踊りに楽しむ女優。しかし不意に水に濡れたときの記憶が
フラッシュバックし、女優はお祭りから逃げだします。
「私、何やってるんだろう」「私って何だっけ」

真夜中。森山開次さん演ずる「アメ男」が女優の前に現れて、華麗なダンス。
ジャンプして空中を掴んだら、色いろなアメ玉がその手の中に出てきます。
街の人々の様々な気持ちが空中に漂っていて、それを掴まえたら、アメになるんだとか。
女優も同じように試してみますができません。そうしたらアメ男はこう言います。
君にはできないよ。選ばれた人にしかできないんだ。そして君はべつのことをするために
選ばれた人。みんなべつのことをするために選ばれた人

アメ男が女優の髪をすーっとなぞると、蒼いアメが。「不安の色、さみしい色」
そしてカラフルなアメ玉のなかから、アメ男は黄色の、スーパーボールのようなアメを
女優にあげます。「希望の色です。あげる!」と言って。その色は、あの親切な少年と見た
太陽のような色をした石ころにそっくり。

また夜が明けると、女優は道ばたに倒れていて、頭上に怖い顔をした中年女性が。
「あなたのことを待ってたのよ」「伝えてくれなきゃわからないじゃない!」
少年二人が通りかかり、「旦那に逃げられたヘビ女」だと言ってからかって通り過ぎます。
女優は、何か放っておけない様子。
木陰で化粧を直すヘビ女と、にっこり笑顔で隣に座る女優。
女優は、アメ男からもらった「希望のアメ」の半分をヘビ女にあげます。
太陽の石ころと、希望のアメと、ヘビ女の言葉と、水に濡れた記憶の映像が交錯する後、
ヘビ女は川面を見つめながら淋しそうに「もういいわ」「あの人もあなたのように、
誰かのそばにいてあげてるのかもね」「優しい人だったのよ」と独りごちた後、女優に
あなたを待っている人がいるのね。はやく行ってあげなきゃ。待ってる人のところへ」。
ヘビ女と別れた夕暮れどき、女優は清々しい顔で、自分の役目を悟り、受け入れます。
私の会いたい人は、私の笑顔を見て、何と言うだろう

「ある日、遠くからでもわかったんです。」女優は古い民家にたどり着きました。
食器棚に使われていないたくさんの食器。アコーディオン。壊れたラジオ。止まった掛け時計。
だれもいないその家で、女優はもう半分の希望のアメを口に含みます。
アコーディオンを弾く優しい顔のおじいさんの横で、椅子にそっと佇む女優。
おじいさんは本当に本当に嬉しそうに、女優の感触を確かめ、にっこりと微笑みます。
女優もおじいさんを見つめて、にっこり。
そうしてふとおじいさんが気づいたら、目の前には笑顔のマークを描いた紙と手紙一式。
呆然とするおじいさん。そしておじいさんの姿も、いつのまにか部屋からいなくなって。
あなたはちゃんと、伝えてる?
何年何十年かけて、相手に届く手紙が、世の中にはあります。
それもまた、たまたま



さあ、この女優の正体は、一体なんだったのでしょう?
蒼井ちゃんの衣装も「それ」っぽい気がしますね。
映像で観ているとちょっと分かりにくくて、二度観してようやくはっきりわかりました。
そして、この寓話は、女優が演じたドラマや映画の一つなのか、それとも彼女の人生の
あるひとときを切り取ったものなのか?
あえて謎のままで残している感じもしますが、ぜひ実際に観て考えてみてください。

エンディングで流れるシガー・ロスの音楽(アルバム「残響」の2曲目。アルバムより長い
フルバージョン)になんだか不思議と泣けてきました。
劇中の音楽も、シガー・ロスかアイスランドの後輩が手がけているのかと思ってしまうほど
深みがあって、たおやかで、神秘的。
アイルランドの美しい自然や、特有の雰囲気をもったお家、風土の空気感まで伝わってくる
淡くぼかした画面、石ころやアメ玉やアメ男のカラフルな色遣いが視覚に心地良く響きます。
トレードマークの無添加眉を整えて、シンプルでスタイリッシュな衣装を身にまとった
ちょっと大人になった蒼井ちゃんの佇まいも可愛い。
一時間程度の短い映画ですが、やすらぎたい休日のひとときにぴったりでした。

さて、シガー・ロスの音楽を主題歌にしておいて、なぜ「アイスランド」ではなく
「アイルランド」が舞台になったのかって?
蒼井ちゃんと小松さんが電話で「どこかへ行こうよ」と話していて、そのなかで
ビョークがアイスランド政府からもらった孤島に建てられた家が可愛いことや、
シガー・ロスのPVが格好良いといった話をしていたけれど、アイスランドと思いながら
たまたま、アイルランドとごっちゃになってしまったのが由縁なんだとか。
伸びやかで表現力豊かなダンスで魅了してくれる「アメ男」を演じた森山開次さんは
世界的に活躍する舞踏家で、蒼井ちゃんが以前から共演してみたいと思っていた人だったり
本作の音楽担当の高木正勝さんはシガー・ロスの来日時のオープニング・アクトを
務めていたりと、奇跡的な出会いのエピソードがたくさん重なった映画でもあります。
人と人、出来事との「たまたま」な出会いの素晴らしさ。思いを伝えること。
そんなテーマでつくられた、大人のためのおとぎ話です。


映画「たまたま」とは「ヨンシー」というキーワードのみの関連ですが、
たまたま先日聴いた「Jonsi & Alexヨンシー&アレックス)」というプロジェクトの作品
Riceboy Sleepsライスボーイ・スリープス)」の感想を簡単に述べて終わります。

Riceboy Sleeps (Dig)Riceboy Sleeps (Dig)
(2009/07/21)
Jonsi & Alex

商品詳細を見る

このコンビは、ヨンシーのソロ「Go」をつくったふたりなのですが(詳細はヨンシーの記事へ)
「Go」の前から、ヴィジュアル作品集や展覧会などの映像での活動を展開していて
しばらく経ってから、音楽活動として、本作をリリース。
ヨンシーのソロより、シガー・ロスの音楽のほうに近い印象です。
シガー・ロスの楽曲の、イントロ部分の静かな盛り上がりが、ヨンシーが歌い出さないまま
ずっと続いている感じ。シガー・ロスを聞き慣れていると「じらされ」感が初めは凄いのですが
何度も聴いていると慣れてきます。
リラクゼーションCDでもかけているかのように心やすらぐ、やさしくて美しい音楽。
静かな海に還っていくような感覚。夜眠る前のゆったりとしたひとときに、どうぞ。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

web拍手 by FC2

村上龍:「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL)

いつもの副題じゃないです、これが今回レビューする本のタイトル。しかも「」や()込みで。
村上龍さんの本「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL)

「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL) (幻冬舎文庫)「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL) (幻冬舎文庫)
(2009/04)
村上 龍

商品詳細を見る

ほぼタイトルのインパクト買いでしたね、中古なのをいいことに、内容もほとんど見ないで。
で、実際読んでいくと、これがまた問題作。
賛否ばっくり分かれると思います。

村上龍さんが、主に20代~30代の若い「女子」から寄せられた相談に答えるという主旨。
しかし具体的に「雑誌○○に寄せられた」といったくだりがないので、質問の出自は不明。
龍さんのサイトですかね?それとも、龍さんが自身で質問や年齢や職業を拵えたのか?
でも、質問者の表現にしばしば「いまいち意味がわからない」と言っているあたり、やはり
どこか経由で龍さんに寄せられた質問のように思えたり。
いや、「今の若い子ってこんなことよく言ってるよな」と自作している可能性もあるのですが。

質問の内容は、「はじめに」で龍さんが語るところに拠ると「バカバカしくも切実な悩み」。
具体的には、毎月の生活費や職場での人間関係や就職・転職や恋愛・結婚などの日常の悩み。
「マスコミに登場する識者がおもに語るのは政治・外交・経済などいわゆる天下国家についてで
多くの個人が抱える「バカバカしくも切実な悩み」は無視されているように見える」という
問題意識に端を発して挑んだ、相談・回答集です。


質問を見ていると、一定の傾向があることに気づきます。
・世の中や問題それ自体に関して、曖昧なイメージ、印象でものを判断している(周囲の人も)
・マスメディアが創り出したイメージや報道に踊らされている
・他人と自分とを比べて、イライラしていたり、落ち込んだり、焦ったりしている
龍さんはそこをすかさず指摘します。それなりに「そう思う気持ちはわかります」などと
同情を示すこともありますが、基本的にはお茶を濁すような慰めのクッション言葉は一切かけず、
質問者に問題の本質を明るみにして、現実を直視させるよう促す回答。
悩みやトラブルへの対処は、まず現実を直視することから始まる」との信念に拠る態度です。

問題意識の発端が「マスコミに登場する識者」への反感ですから、マスメディアの創り出した
固定観念や、おもしろおかしい報道や、それらに騙されているとの告発が最も冴えているのでは。

経済評論家が「年収300万円でも楽しい暮らしができる」という本を書いたり、テレビで識者と言われる人が「昔の日本人はもっと身の丈に合った暮らしをしていた」と言ったりしてる。でも彼らの年収は300万円ではない。(中略)そんな人たちから「金がなくても幸福になれる」なんて言われても頭にくるだけです。
(自分の年収300万円生活と団塊世代との格差への怒りを訴える女性に対して)


テレビドラマや漫画では「あ、この人だ」という感じで出会いが描かれているけど、大衆文化というのは、そうしないと観る側がそこに夢を持てないから、そういう描き方をするものです。現実にそんな恋愛や結婚が成立する時代があったかというと疑問です。(中略)「これぞ私の理想の人」なんていう出会いは、ほとんどないんじゃないですか。
(本当に好きな男性に出会って結婚したいが、そういう人が見つからない、という女性に対して)


あまりテレビや雑誌にヒョコヒョコでてくる人は信用しないほうがいい。本当にハッピーで充実していたら、べつにでる必要はないですから。(中略)ある意味で自分のプライバシーを売っているわけだから、基本的に寂しい人なんです。そういう人に影響を受けるのはよくないと思う。
(テレビや雑誌に登場するカリスマ主婦などを羨んでしまう女性に対して)


ほかにも、龍さんがこれまで出逢ってきた人たち、「13歳のハローワーク」などの著作のための
取材で知った業界の実際、調べたデータなど、具体例を紹介して、質問者の抱える問題に対する
曖昧な印象をはっきり可視化します。
強烈なのはやはり「13歳のハローワーク」に関する講演会などでもよせられた
努力すれば報われるというけれど、実際には努力しても報われない社会なのではないか
という問いに対するエピソード。
「あなたの言う「努力」というのは、具体的にはどういうことを指すのか」と聞き返しても、
「「報われる」というのはどういう意味か」と聞いても、答えが返ってこないのだそう。
現代では、会社によっても雇用形態によっても、その人が何を選ぶかによっても、
「努力」や「報われる」の中身が変わり、曖昧な言葉、概念になっているので、
まずは自分にとってのそれぞれの中身を、正確に把握しないといけない」と龍さん。


曖昧な不安や怒りをそのままにしている「女子」達に対して、龍さんは容赦しません。

本当はわかっているんです。彼女が何をしたいのか、僕にはわからないけれど、本人にはわかっている。でもそれを自覚するのが怖かったり、面倒だったりするから、おっくうになっている。
やりたいことがはっきりしたら、そのためにすべきことは決まってしまいます。行動を起こさなければならないわけです。それよりも曖昧な不安の中にいるほうが、ずっと居心地がいい。(中略)
「自分は何がしたいのか」がわからない限り、何のアドバイスもできないんです。
(このまま今の仕事を続けていくことに何となく不安がある女性に対して)


この人は現状に不満があるのでしょうが、結局、何が嫌で、何を改善したいのかがわからないみたいですね。
自分自身や自分がいまいる環境を向上させようと思っても、どこが嫌なのか、どこを変えたいのかをはっきりさせない限り、無理だと思いますよ。
(派遣社員としてルーティンワークをしていると不安になる女性に対して)


だから、大変で面倒くさいですけど、
個人的に戦略を持って立ち向かうしかないんです。
(前述した、自分の年収300万円生活と団塊世代との格差への怒りを訴える女性に対して)


本のタイトル「わたしは甘えているのでしょうか?」は、それすなわち龍さんからの
「君たちは甘えていると思うよ」という回答なのかなぁと感じます。

ところで、質問者たちの不安や怒りの具合は様々。
「若いうちは楽しく遊んで何が悪い」という、相談というより挑発や提唱に近い人から、
「周囲にお金持ちの友人がいると、不安になってくる」という、ムカつく気力もない人まで。
何となく質問を投稿してみた人と、深刻に悩んで弱っている人と、二分化している印象です。


龍さんの「君たちは甘えていると思うよ」という直球型のアドバイスに対し、文庫本の解説を務めた
年間1,000人近くの悩める「女子」に生対面したり、悩み相談を受け付けている蝶々さんは
女性の立場から、やわらかに苦言を呈しています。

「ディープに悩んでる人ほど、現実(自分)を直視したくないみたいなんですが。頑張ったり問題に向き合う前に、とりあえず傷ついたり弱っちゃってるので、優しくしたり励ましてほしいんだと思うんですが・・・」
「女の子の悩みって、いくつであっても世間でいうキャリアであっても、たとえ立派な医師であっても新聞記者であっても、(ただ聞いて、うんうんっていってほしいだけ)ってところ、本当にあると思うんです。だから、どうしても、「村上さーん。そんなバサッといかずに、もうちょっとこう、優しくしてよ?」と思ってしまう。」
「今度、女性にアドバイスするときは、もうちょっとだけ、同調したり、それもわかるよ、と愛の合いの手も挟んであげてくださいね(ハートマーク)」


はじめは、よく一般に言われる「女性はただ悩みを聞いてほしい。聞いてもらえればそれで
解消する。男性がよかれと思って正攻法の回答をすると、かえって反発される」とか
「男性は問題を解決したいと考える生物。悩みを人に相談しない場合も多い。そこで女性が
悩みを打ち明けてくれず、何を考えているのかわからないと不満を抱くこともある」といった
男性と女性の違い」からくるのかなぁと考えました。

しかし、先日ふたつのTV番組を観ていたら、男女双方の固定観念が揺らぎました。
まず、「テレビ寺子屋」という、フジテレビ系列で早朝に放映している番組に
心理カウンセラーの先生(男性)が出演し、講演をしていたのですが
「悩みがある人に対して、ひたすら同調する(うんうんっていう)と、それだけで解決する
こともある。逆に、良かれと思って回答を急ぐと「分かってくれない!」と不信感を招く」
と語っていたのです。そして具体例として挙げていたのが男性の相談者だったのです。
ここで、「男性でも、悩んでいる人に対しては、同調するほうがよい」との転換。
次に、「グラン・ジュテ」という、Eテレで放映している様々な女性の半生を紹介する番組に
テキスタイル・デザイナーとして世界規模で活躍している女性が出演していたのですが
彼女は不安にぶつかるたびに新たな道を切り開き、そのためならお金も貯めるし
英語の勉強を1年間ずっとしたりもする、大変なハングリー精神を貫いていました。
ここで、「女性でも、問題解決と行動に真っ正面から取りかかることはできる」と。

性別を要因に出来なくなった時、じゃあ、ふたつの差はどこで分かれるのかと
改めて考え直すことになりました。そうして私が辿り着いた結論は、
「その人が必要としているのは産業カウンセラーか、心理カウンセラーか」
言い換えれば「今、その人はどれだけ強いのか、あるいはどれだけ弱っているのか」。
産業カウンセラーであれば龍さんのように、相談者にダイレクトに現状を突きつけ、
行動へと駆り立てるのは極めてまっとう。
龍さんは、いわば優秀な産業カウンセラーなのだろうな、と思うのです。
逆に心理カウンセラーであれば、蝶々さんや男性カウンセラーのように
「ただ聞いて、うんうんっていってあげる」べきで、龍さんの対応では不適任。


この本が役に立つのは、甘えずに問題の本質を見て行動に移れる強さがある人。
そして、甘えずに問題の本質を見て行動に移ることを強さだと思う人。
「弱音を吐きながらも何とかそれなりに生きていてはいけないのか?甘えや弱さがあって
それを互いに支え合ってこそ人間なのではないか?」と疑いをもつ人も居ると思うから。
とくに現代の時勢では・・・
肉食系サバイバル派と草食系サバイバル派とでも形容できそうな派閥があるのを感じますが、
その溝はあまりにも深く、ちょっとの言葉やエピソードの羅列では揺らぎそうもありません。
でも、私のように、ふたつの派閥の中間で彷徨って、または両方の面を併せ持っている人は
いい意味で、価値観の揺らぎを楽しみ、そこから学ぶ格好のきっかけになると思います。

テーマ:考えさせられる本 - ジャンル:本・雑誌

web拍手 by FC2

ZAZ:その2 モンマルトルからのラブレター「フランスの伝統的な音楽を踏襲しながら、変幻自在に現在を歌う、はすっぱで自由なアーティスト」

なぜか先にライヴ盤「SANS TSU TSOUライブ!~聞かせてよ、愛の歌を~)」を
チェック→レビューしてしまったZAZザーズ)。
しかし先日、彼女の1stスタジオ・アルバム「ZAZモンマルトルからのラブレター)」を
やっとゲットしました!ので、早速レビューします。

モンマルトルからのラブレターモンマルトルからのラブレター
(2011/03/23)
ザーズ

商品詳細を見る

ライヴ盤レビューでは「スタジオ盤はまた違ったものなのだろう、そうしたら感想も
変わるかもしれない」と言及していましたが、その結果は、
多少の違いはあるけれど、高評価は変わらず。
「パンク・ロックのよう」と評したライヴ・パフォーマンスとはまた違った、
フランスの伝統的な音楽の伝道者としてのZAZの姿が浮き彫りになっていることを知りました。

まず、ライヴ盤とスタジオ盤(オリジナル)を聴いてみて、同じ点、異なる点。
<同じ点>
・歌のクオリティ。伊達にキャリアを積んでない。ライヴで劣化するということはない。
・華麗なスキャット、カズーのイミテーション、猫の鳴き真似、
コブシともヴィヴラートともつかない音程の上下などの、ユニークな楽器的アプローチ。
<異なる点>
・一部の曲(複数)でキー下げがされていた・・・ちょっと淋しい。
・ライヴはオリジナルより遙かにパンクだ!
・オリジナルには哀愁や、ストリート感がより強く出ており、「ピアフの後継者」と言われるのが
分かる気がする。

「ライヴ盤のほうがパンク」って、なかなか凄いわけですが、
「新人なのに、ライヴでも劣化ひとつしてない(キー下げを除く)」のもかなりのもの。
しかし、「パンクなZAZ」という認識から入る羽目になった者として、「おとなしい」はずの
オリジナル音源がつまらないのかというと、決してそんなことはなく。
しっとり、そしてポップに楽しめます。
そして、彼女の音楽の下敷きにフランスの伝統的な音楽、シャンソンマヌーシュ・スウィング
などがあるのをはっきりと感じ取れるのです。
ライヴでは「シャンソンなどはZAZのいち要素」と感じたのですが、スタジオ盤では
シャンソンなどのフランスに長らく伝わる音楽を、今風にアップデートしたような印象。

シャンソン、マヌーシュ(ジプシー)・スウィングについてはアルバム日本盤の解説が
詳しいのですが、噛み砕いて言うと「ZAZの歌のジャンルはシャンソンで、伴奏の形態、
とりわけギターの奏法はマヌーシュ・スウィングのそれである」そうで。
シャンソンは中世フランスの「吟遊詩人」が原型とされ、マヌーシュ・スウィングの
前身であるダンス音楽「ミュゼット」は19世紀に移民たちの流入によって生まれ。
つまりZAZの音楽はフランスの歴史を背負ったような古典的な音楽が土台にあるわけで、
日本に置き換えると、現代的に味付けをした演歌や民謡が世界的ヒットをしているようなもの。
由紀さおりさんの米でのスマッシュヒットや、元ちとせさんのミリオンセラーなどに
例えられるのでしょうか。
どちらも上手い例えではないのですが。

こう書くと、ちょっと難しそうな印象を抱くはず。
でも聴いてみるととてもキャッチーです。
ポップスやソウルの要素も入っているし、身体を揺らして一緒に口ずさめそうなノリ
(フランス語の特有の発音は難しいけれど!)もある。
ZAZのキャッチコピーとして「21世紀のエディット・ピアフ」というものがありますが
ピアフが立派に壮大に、ある種尊大に歌い上げるのに対し、ZAZはもっと身近な感じ。
(因みに#10「私の街で」はピアフのカバー。邦題「モンマルトル」のくだりもこの曲からか)
やんちゃで、ちょっとはすっぱ。でも色気は足りないかも?(笑)そして時に繊細。
あまり難しく考えずに、とりあえず耳にしてみれば、なんだか楽しくなれる音楽です。


ZAZ(作詞曲名は本名「Isabelle Geffroy」)はおよそ半数の曲で作詞や作曲を手がけています。
残りは、プロデューサーのケレディン・ソルタニや、他のミュージシャンによるもの。
歌詞を見ていくと、また色々な彼女の姿が見えて興味深いです。
(特に表記がない場合はZAZによる作詞)

<観察する眼差し>#1「通行人

人々が通り過ぎて行く
彼らを見ながら
考えごとをして時を過ごす私
足早に歩いている彼らの
傷ついた体から
その過ぎ去った日々が見えてくる
暢気な足取りなのに


<はすっぱ>#2「私の欲しいもの」(作詞:ソルタニ)

うんざりよ あなたの社交界のマナー 我慢できないわ!
私なんて 手づかみで食べてるような女よ!
大声で話すし 正直な女なのよ ごめんなさいね!
偽善をやめて 私はここからずらかるわ!
うんざりよ 紋切り型の表現なんて!
私を見て とにかく あなたを恨んじゃいないわよ 私ってこんなよ!


<愛の皮肉>#3「人生の旅路

手をつなごうよ
人生の旅路で
私たちの運命を選ぼうよ
もう何も疑わないで
私は信じるわ 耳を傾けること
問題は それよ
私たちの小さな手を思いっきり広げよう
何がなんでも
(中略)
バカよ 自分自身を隠して
バカになれる人なんて
バカよ バカになれる人なんて
相手の姿は
隠してる自分の鏡にほかならないんだから


<繊細さと精神>#5「過敏なあなた

幽霊であふれているこの世の中で
あなたは足掛けを食わされるだろう
あなたのなかにこの光を探すのよ
天使の心を持っていれば
人間性は
外見よりも美しい
無知さに騙されないように
彼らの嘘を信じないように
彼らは自分たちができることを
彼らが持っているものをあなたに与える
人があなたにたたき込んだこと以上に あなたのなかに存在しなさい


<愛と社会>#9「また好きになっちゃった

好きよ また好きになっちゃった ×2
その日ごとに 驚きがある ×2
好きよ また好きになっちゃった ×2
だからといって 甘えちゃダメよ ×2
好きよ また好きになっちゃった ×2
(中略)
分りきったことね この歌が軽い歌じゃないって
地上で諦めてるなんてあんまりなこと
(中略)
世の中の問題
世界の遊び
世界が抱える問題 私の日々は驚きよ
世界が抱える問題
世の中の遊び
世の中の問題点 だからといって甘えちゃダメよ
世の中の問題点


シャンソンは「愛、精神、社会的なテーマ等を歌い込んだ、詞を重視しながら表現した歌
という本質を持つそうで、ZAZの歌には正にそれらが歌い込まれていますね。
それにしても#2は強烈。あえてプロデューサーが第三者の立場からZAZを観察して書いたのか、
あるいはこのように色づけしたくて恣意的に書いたのか。
少なくとも、ライヴで展開されていた姿(ミニ・ドキュメント部分含め)を見るかぎり、
いかにも彼女が言いそう・しそうな言動ではありますが・・・(笑)
歌詞全体を見ると、皮肉がたっぷり効いていて、サビでは「私が欲しいのは 愛 歓び いい気分
私を幸せにしてくれる」と歌われるなど、ピアフを彷彿とさせる愛の世界もちらついています。


いまを生きるシャンソン、オールドなものに他ジャンルを掛け合わせた新種の音楽。
どちらとも形容できますが、全体を貫徹するのは、不思議な清涼感、柔軟な発想、
しなやかで強い意志。
国籍を問わず老若男女が楽しめるに違いない作品、日本でももっと知られてほしいものです。



このブログをもっと広めてゆきたく、FC2 Blog Ranking参加中。
今回の記事を面白いと感じていただけたなら、クリックで応援お願いします!

テーマ:CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

Boom Boom Satellites:その7 19972007+TO THE LOVELESS+新作シングル「BROKEN MIRROR」など近況

Boom Boom Satellitesブンブンサテライツ)の連載記事最終回は
ベストアルバム、同年に出た今のところ最新作のアルバム、そして
6月6日にリリースされるニューシングルなどの近況を取りあげていきます。

まずはブンブン初のベストアルバム「19972007」。

1997200719972007
(2010/01/27)
ブンブンサテライツ

商品詳細を見る

ビートルズのホワイトアルバム状態。しかも、ジャケ写の枠が見えないので
アーティスト名とアルバム名だけが宙に浮いている(笑)
宣材写真のほうがある意味、ジャケ写ぽいかも。
横を向いている中野雅之さんと、正面を向いている川島道行さん。

Boom Boom Satellites 19972007

10年分の曲を詰めるとなると、昔の曲と今の曲とで作風の違い、音質の違いがあって
続けて聴いていると違和感を覚えることが多いもの。
そこをブンブンは大幅に改善。ミックス、マスタリング、歌詞の日本語訳まで全部やり直して
初期の曲でも全く古びない、一つの作品として楽しめる、見事な「ベストアルバム」が誕生。
例えば97年のデビューシングル曲で1stアルバムに収録されていない「JOYRIDE」では
シンセをオーヴァーダブ。10年前の衝撃を、時代を超えて再現することに成功しています。
中野さん曰く「人生を表現できればいい」と思いながら構成したというこのベスト。
あがったり、おちたり、またあがったり、静まったりして、人間の一生の中で起こる起伏、
喜び悲しみが表現されていて、デジタルサウンドの中に人間くささを聴いて取ることができます。
アルバム一枚を通して人生を表現したいという思いは、アルバム制作のときに常にあるのだとか。

「19972007」は、ブックレット、例えば歌詞掲載部分ひとつとっても大変デザイン性が高く
歌詞部分を一つ一つコピーしてジャケ写のように部屋に飾っても絵になりそう。
凝り具合には本当に驚いたのですが、背景には、「アルバムとして、手にとってもらいたい
という切実な願いが。デジタル配信ばかりじゃなくて、曲単体で抜き出して聴くのでもなくて。
そのためには「手に取る」だけの価値のあるものを創ろう、という狙いで、スタッフ込みで
皆で考え抜いたデザインなのだそうです。
この姿勢、問題意識は、約4ヶ月後にリリースされたオリジナルアルバムにも投影されます。


ベストから4ヶ月、前作からは2年半ぶりと、かなりじっくりと時間をかけて制作した
7thアルバム「TO THE LOVELESS」は、4thからの流れにピリオドを打ち、新たな段階へ
踏み出した作品となりました。オリコンチャート5位と、バンドの最高順位も記録。

TO THE LOVELESS(通常盤)TO THE LOVELESS(通常盤)
(2010/05/26)
ブンブンサテライツ

商品詳細を見る

誰だこれは?!どっちだ?と面食らっていると、ブックレットの別のページに類似の格好をした
中野さんらしき人物を見つけたので、そうしたらこれは川島さん。でもわからん!
宣材写真もこんな風に変わりました。

Boom Boom Satellites TO THE LOVELESS

これを見れば「あぁ、もう思いっきり前作までと変えてきたな」と嫌でも分かります。
リーゼント風スタイルでちょい悪ニーチャンになった中野さんと、
目は据わってる、無精髭は生やしてる、本当に悪そうな(笑)川島さん。
おまけに、ジャケットも宣材写真も、ブックレットの写真等もずっとモノクロ。
何気に「19972007」からその傾向があるのですが、以前のカラフルなブンブンは
お開きにしたことが、まずヴィジュアルから窺えます。

音源はもっと荒涼としていて、聴きながら連想されるのはひたすらに灰色の世界。
歪んだ音、歪んだヴォーカル、どこか後ろ向きな歌詞、一切踊れない不穏なビート
歪みきった音が渦巻くのに、その音一つ一つにどこからか清涼感が漂うのが不思議な質感。
今回は何にカウンターを当てたのかと思っていたら、「対象になるような興味深い音楽が
何もない。だから、自分達の内面を凝視する結果になった」と。「UMBRA」期の再来?
メロディアスな部分は前作からも引き継いでいるし、前作の段階で退廃が既に顔を出していたので
それなりに地続きではあって、また新しい流れを生み出したといえるでしょう。
そして色々な所で言われていたのは「NINぽい」。(NIN=Nine Inch Nails)
私も第一印象は「NINぽい」でした…
こんな荒れ果てた作品がよくオリコン5位を獲れたものだと、未だに驚きを隠せません。
それまでの活躍で知名度もついたので、ブランドとしてのリザルトとも考えられますが。

全体的に荒涼とした一枚の中に、今まで見たことのない、暖かくて優しい光が射し込みます。
ブンブン初のバラード、しかもメジャーコードの曲、ストリングスが彩る「STAY」。
さっきまでのあれほどの砂嵐はこの曲を引き立てるために吹き荒れていたのかと思えるほど。
強がりの火花ではなく、大いなる存在から与えられる灯りでもなく、
自分の中からゆっくりと自然に沸き上がってきた柔らかな煌めき
美しい名曲です。
しかし次第に再び荒涼とした風景に立ち返り、音像は完全にカオスの様相を呈しています。

アルバムは70分超えと今までで最長、そしてカオティックで荒涼とした音像。
ブックレットを見ると二人がヴィジュアル系ふうのメイクをしていたり…
制作時間もとてもかけているし、「UMBRA」期以来の問題作ではないでしょうか。
セールスはとても良いけれど、4thからの3連作のファン、フェスバンドとしてのファンには
戸惑いや違和感が大きかったのでは。
かくいう私も4thを最高傑作だと思っているファン。本作への違和感は未だ払拭できていません。
とはいえ、この頃になるとファン層がかなり入れ替わり
(本作がきっかけなのだろうか?現在のファン層は7th中心のファンが多い様子)、
いわば、新しいブンブンスタイルが形成される過渡期にあったと思われます。
いや、6thが既に「新しいスタイル」の模索に片足踏み込んでいて、本作で完成形を見た
形容することも出来るかも。


「これからどうなるのかな」と思っていた頃に、東日本大震災が起こりました。
両親、親戚など、身内が東北にいる二人。
2011年は一年をアルバム制作に充てようと考え、スタジオの引っ越しもした矢先の出来事。
日本の多くのアーティストと同様、いやそれより恐らく深く、二人は内省の闇でもがきながら
幾つかのライヴを行い、そこで得た観客のレスポンスに力づけられ、救われます。
そうして今年、6月6日、新曲(シングル)「BROKEN MIRROR」をリリース。
アニメ「ガンダムUC(ユニコーン)」の主題歌なんだそうです。
フジロックをはじめ、今年も夏フェスにガンガン出まくりながら、アルバムもコツコツ
制作していくのだとか。
公式HPの「NEWS」欄で、新曲のPVがリンクされていたので、観てみました。
7thの流れを汲みつつ、それよりも明るく、踊れるビートが復活した印象。
私はアルバム派なので、この曲はアルバムが発売されてから本格的にチェックすることに
なると思いますが、新しいアルバムには悲しみや希望が真っ直ぐに詰まっているのではないかと
予測しています。彼らのことだから、絶望や混沌の中からこそ、とても純粋で美しい光を
見出したり、提示したりするために、あらゆる試行錯誤を繰り返し、そして実現してくれるはず。
それを耳にするのが今からとても楽しみです。




過去最長の連載記事となりました。しかもずっとぶっ続け。ストイックなブンブンの二人に
インスパイアされたのかもしれません。
ここまで付き合ってくださった方、連載記事の一つでも目にしてくださった方、
心よりお礼を申し上げます。

書き上げて一息。さぁ、次は何を書こうかな。
あくまで「ある程度知っているもの」「できる範囲」「できるタイミング」になりますが、
テーマのリクエストもひっそりと受け付けております。
「朝やけ、コレ書いてくれ!」という題材のある方は気軽に声を掛けてください。
ご期待に添えるものになるかどうかは保証できませんが、せめて一生懸命やりますので(笑)

テーマ:CDレビュー - ジャンル:音楽

web拍手 by FC2

ライヴの想い出:その2 Boom Boom Satellites JAPAN TOUR 2008「初回限定盤へのサインを求めて三千里?聴き所一杯のライヴ」

08年序盤の、とある冬の日。
雪の降る街、足取りに気をつけながら、初回限定盤のアルバムを大事に抱えて
いそいそとBoom Boom Satellitesブンブンサテライツ)のライヴ会場へと向かう私。
それはそれはもう、心臓が口から飛び出しそうに、ワクワクハラハラしながら・・・。

07年11月に初回限定盤で6thアルバム「EXPOSED」を購入した特典で、
ライヴ当日、アルバムを持っていくと、ブンブンのメンバーからサインが貰えるとのことで。
あの中野さんが!川島さんが!大丈夫かなぁ、私なんぞがもらって良いのかなぁ。
楽しみと不安とが交互交互に押し寄せてきます。

そのまんま「JAPAN TOUR 2008」というタイトルで、本ツアーの様子はDVD化されており
そこからの画像がこんな感じ。私が行った時も大体同じ演出でした。
Boom Boom Satellites JAPAN TOUR 2008
向かって左側がBa/Syn/Progの中野雅之さん、右側がVo/Gtの川島道行さん。
私が観た時は、中野さんの左側にサポートドラマーさんが居ました。この画像では、奥に居る?

荷物をロッカーに預けて身軽な格好でいざホール内へ。
客層も格好も、夏フェスみたいなノリが目立ちました。思いっきり夏フェスのTシャツ着てるとか。
ワイワイ騒ぐ若いカップル、女の子同士、はなっから暴れる意気込み満載のモッシュ系男性など。
その中に時々オタク系やテクノ系の男性や、大人しそうな女性などが混じっていましたね。
チケットは完売で、人が多い多い。オールスタンディングですから、立っているだけでも
早くも酸欠になりそう。ドリンク片手に、少ししゃがんだりして、体力を蓄えます。


いよいよライヴスタート!華々しく、6thのツアーの幕開けに相応しい、「UPSIDE DOWN」で
幕開け。ブンブンの二人が登場するや大歓声!
しかし見えない。人がいっぱいに詰まっているし、私は身長が決して高くない。
これはフラストレーションだ!そーーっと、後ろから真ん中辺りまで出てみました。
そうしたら最初よりは見えるようになったけれど、人混みの合間合間にちらりという感じ。

ドラマーさんは全く見えず、ドラムソロの時は本当に残念でした。
この時期は音源自体が、平井さんだったり元SUPERCAR田沢さんだったりと不定だったのに加え、
ライヴのパンフを買っていないので、この時のドラマーが通称「第三のメンバー」平井直樹さんかは
分からずです。素晴らしいドラムソロだったので、平井さんであって欲しかった。
ドラムの見せ場沢山ありました。「CLUSTER」はやっぱり凄いし、「id」もやっていたはず。
打ち込みパートも含め、やはりこのユニットのビートはとんでもない。

「EXPOSED」がアゲアゲの作風で、前作前々作からその路線が続いているので
当然ながらアガるアガる。あっという間に蒸し暑くなりました。
何せ人が多いので、周囲に迷惑をかけない限られた範囲で、ノって踊る。
そのうち酸欠になってきて、棒立ちでなんとか凌ぐ(それすら辛い時も沢山あった)。
そしてまたノって踊り、また棒立ちになり・・・を繰り返す。観る側にはカオスだったかも(笑)

情けない観衆一名を尻目に、当のブンブン二人はしらっとした様子で奏で続ける。
シャキッと立って、あの厳しく、シャウト混じりでハイキーで、時に息つく間もない歌を、
だれることもトチることもなく、涼しい顔で、まるで機械のように繰り出す川島さん。

「やっぱすげえ・・・」感慨に浸る一方で「百戦錬磨のプロなんだから当然だろ」とツッコミ。
いやはや本当にプロでした。しなやかで強靱な歌は、音源より上手にさえ聞こえました。
ある意味、アスリートに通じるものを感じたかも。
当時、mixiに「川島さん、歌上手だった」と書いたところ、マイミクの友人に「(笑)」
みたいな反応をされたのですが、そもそも私の「上手い」ってハードル高くないですからね。
R&BやHR/HMなどの「上手くて当然」なジャンルに殆ど興味がなく、ROCK/POPS一本やりで
音楽ファンをしていた当時。今でも気づけば「ヘタウマ」って言われてる人ばかり好きです。
歌い手のみならず、ギタリストなどでも。

さきに載せた画像のようにシンセなどの機材に囲まれながら、シンセを弾いたり
ベースを弾いたりと使い分ける中野さん。

終盤に入ると、でたー、通称「中野ダンス」!!!
ベースを持ったまんまぴょんぴょん飛び跳ねて、時にそのままぐるっと一回転したり手を挙げたり。
少年期の中野さんはダンスを踊ることが好きだったそうで、それをインタビューで読んで
何だか納得。しかしいつ見ても、独特な動きで、オリジナリティ溢れるというかなんというか(笑)
観客も中野さんの煽りに釣られて、もっとヒートアップします。


PHOTON」期だと思いますが、TVで深夜にブンブンのライヴを放映していました。
他にはfra-foaなども放映していて、今思えばあまりに貴重な番組でした。
その時も中野さんは例のダンスを披露していたような。
「FULL OF ELEVATING PLEASURES」のレビューで触れましたが、この頃から意識して
ライヴでアッパーな曲を積極的に演るようになっていて、PHOTON期のダウナーなノリを
持ち込みながらも、なかなかノれるライヴでした。
しかし当時はどうも川島さんの居る意義が分からなかった・・・

時は流れて、目の前の川島さんは、ギターを持って朗々と歌う姿に超然とした存在感があって
「中野さんのオマケ」ではなくなって、主役を張るに相応しい、なくてはならないパートに。
そもそも川島さんはBa→Gt→Voなどと転々として色々なバンドをやってきた人で、
ギターを持って歌っている姿が様になるのはそりゃ当然で、これまでは役割上、ちょっと
分かりにくくなっていただけ。何せブンブンの初めの頃は「歌わない」と決めていたそうで。
「あんまり自分の声が好きじゃない、歌っちゃいけない声だと思ってた」と言う川島さんですが
そういう人に限って、いい歌うたいだったりするじゃないですか、古今東西。


6thの曲を中心にしながら、定番アンセムも欠かさず盛り込んでどんどんアゲていきます。
Kick it Out」「Dive For You」等々、前列はダイヴやモッシュの嵐だったはず。

昔の曲か完全なインプロか記憶が曖昧になってしまっているのですが、
華麗なシンセソロがかなり長回しで展開されて、それが何度かあって
「あぁ、ブンブンはロックバンドだとばかり思いそうになっていたけど、その根本は
テクノ・ユニットだったのだなぁ」
と感慨に耽るような素晴らしいものでした。
眩い光の演出と併せて、あまりにも美しい、そして圧倒される、ライヴのハイライトでした。


・・・そして!ライヴ終了!ある意味ここからが本番だ!!!
ロッカーにしまっていた荷物から初回限定盤を取り出して、いざ、サイン会場へ!
しかし。そこには、「1stや2ndからファンでした」「俺もダンス・ミュージックやってます」
みたいな雰囲気の、玄人のような雰囲気のファンがブンブンを取り囲み、楽しそうにご歓談。
(今思えば、もしかするとファンじゃなくて、音楽仲間などの関係者だったのかもしれない)
ううぅ、これは、入り込めない!「付け焼き刃のロックファンが来るな」みたいなムードが!
半泣きになりつつも、アウェイ感には勝てず、「素晴らしいライヴを体験できたんだから
良かったじゃないか」と自分を納得させながら、トボトボと家路についたのでした。
心なしか、ブンブンの二人にも近寄りがたい、プライドが高そうなムードが漂っていたし・・・

「ON」の頃のインタビューで川島さんが
「従来のブンブンは難解な印象を持たれており、彫刻で言えば触れない彫刻みたいに、
リスナーに遠目で見られがちで、ちょっと距離があった。
だからもっと触れる作品、手にとれる物にしよう」
「聴き手を巻き込もう、自分達の方からリスナーに手を差し伸べよう、ひとつのモノを皆で
触れるような姿勢を取ろうと4thで方向転換して、それを持続している」
と話していたのですが
「EXPOSED」では、また少し意識的に距離を取りだした感じ、作り込んできた印象を受けました。
そういうアオリか?それとも、一流ミュージシャンの「親しみやすい」と一般人のそれとを、
同等に考えようとした当時の私がアホだったのか?
多分後者なんですけど、今だったらそれでも無謀にも「サインください!」と飛び込んでいく
ような気がします。だって、そういう権利を持っているんですもん。
でも以前、別のバンド(もっとマイナー)のサイン会@タワレコに参加したことがあるんですが
温かく応対してくれるリズム隊とツンケンしているヴォーカル・ギターとの落差にがっかり。
「プロになって第一線に立つってこういうことなのかなあ」と複雑な気持ちになりました。
温かい応対を求めてライヴに行ってるわけじゃないけど、サインや応対も仕事のうちだろうと。
クールさの演出かもしれないけれど。
サイン(会)って何なんでしょうね。時々よく分からなくなります。


ツアー最終日にはこんな企画があって、コラボの帽子が販売されていたようです。
私が行った時は無かったはず(というか、グッズを見る余裕もなかったような)。
いいなぁ・・・どちらも好きな「ブランド」じゃないか!
Boom Boom Satellites+CA4LAコラボ


次回はいよいよブンブン最終回。ベスト盤「19972007」の簡単なレビュー、それに続く7th
「TO THE LOVELESS」のレビュー、そして新作シングルなどの近況まで何とかいけたらと
考えています。盛り込む内容が多いので、あまりダラダラ書かず簡潔にまとめねばですね。
6/6のシングル発売日までに間に合わせたいところだけど、どうか??

手元にたくさんCDがあって、それを使えばいくらでも単独レビューが書けそうだと
当初思ったんですが、何だかんだで下調べがあるから、一気に連載を終えたほうが進みそう。
でもまだまだこれからやりたいことはたくさんあるので、今後にもぜひご期待ください。

テーマ:LIVE、イベント - ジャンル:音楽

«  | ホーム |  »

プロフィール

燃える朝やけ

Author:燃える朝やけ
・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
・コメント・トラックバック・拍手・
リンクなど、お気軽にどうぞ。
でも荒らさないでね?
・なぜかFC2拍手ボタンが各記事の上部に表示されているなど、変な箇所もぼちぼちありますが、お気になさらずご利用ください。

 

カテゴリ

ごあいさつ・雑談用 (1)
blog振り返り&好評だった記事 (4)
音楽(洋楽) (76)
At The Drive-In (1)
The Beatles (1)
Yes (1)
Carpenters (1)
Chickenfoot (2)
Deep Purple&Rainbow (1)
Elliott Smith (1)
Emerson, Lake & Palmer (2)
James Iha (2)
Jeff Buckley (3)
John Frusciante (8)
Jonsi (1)
Led Zeppelin (2)
Lou Reed (2)
The Mars Volta (7)
My Bloody Valentine (2)
NICO (3)
Omar Rodriguez Lopez (1)
A Perfect Circle (1)
Ramones (9)
RIDE (1)
Sigur Ros (5)
The Smashing Pumpkins (8)
Sparta (1)
Tim Buckley (1)
Warpaint (2)
ZWAN (1)
洋楽雑記 (6)
音楽(邦楽) (39)
access (1)
Boom Boom Satellites (11)
BUGY CRAXONE (1)
FLiP (3)
LUNA SEA (1)
Salyu (7)
SPEEDWAY (1)
Syrup16g (4)
TM NETWORK (1)
ウルフルズ (1)
大貫妙子&坂本龍一 (1)
古明地洋哉 (2)
ゴンチチ (1)
橘いずみ (1)
はっぴいえんど (1)
松崎ナオ (1)
矢野顕子&上原ひろみ (1)
音楽(ジャズ、クラシック、etc) (9)
Nadeah (1)
Willie Nelson & Wynton Marsalis Feat. Norah Jones (1)
ZAZ (2)
Keiko Lee (1)
辻井伸行 (1)
村治佳織 (1)
山中千尋 (1)
吉松隆 (1)
音楽雑記 (5)
映画音楽 (3)
Jonny Greenwood (1)
Vincent Gallo/John Frusciante (1)
V.A. (1)
音楽映画 (11)
The Beatles(Movies) (2)
John Lennon (2)
Ramones(Movies) (3)
The Rolling Stones (2)
Cocco (1)
山崎まさよし (1)
映画 (28)
小説×映画 (5)
映画雑記 (1)
書籍(小説その他) (9)
読書雑記 (1)
漫画&アニメ (11)
小説×漫画 (1)
リラクゼーション (15)
ネイチャー&教養系 (8)
TVドラマ (25)
お笑い&バラエティ (13)
世界は言葉でできている (2)
IPPONグランプリ (3)
F1 (12)
フィギュアスケート (4)
雑記 (8)
詩を書いてみた (2)
未分類 (0)

 

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

リンク

ブロとも一覧

ブロとも申請フォーム

検索フォーム

 

 

検索用ユーザータグ

 よく取りあげるテーマやキーワードからの簡単検索をどうぞ。

感想 レビュー CD 洋楽 映画 邦楽 TVドラマ 邦画 ライヴ DVD ジョン・フルシアンテ リラクゼーション 相棒 ラモーンズ F1 ブンブンサテライツ スマッシング・パンプキンズ 中野雅之 書籍 川島道行 FC2動画 ジェームス・イハ 漫画 お笑い番組 ビリー・コーガン 水谷豊 マーズ・ヴォルタ 雑記 セドリック・ビクスラー・ザヴァラ オマー・ロドリゲス・ロペス ビートルズ ジミー・チェンバレン Salyu 杉下右京 洋画 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ アニメ ダーシー・レッキー シガー・ロス 及川光博 ウィリアムズ ホアン・アルデレッテ リカルド・パトレーゼ ドキュメンタリー ジョン・レノン アイルトン・セナ 八重の桜 小林武史 神戸尊 又吉直樹 あまちゃん blogまとめ Eテレ 若林正恭 アット・ザ・ドライヴイン 寺脇康文 Syrup16g 亀山薫 フィギュアスケート ナイジェル・マンセル アンケート ミハエル・シューマッハー キース・エマーソン 歴史にドキリ ミック・ジャガー バカリズム 深夜食堂 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド ジョージ・ハリスン 宮藤官九郎 坂本龍一 夏目漱石 NICO クラシック IPPONグランプリ キタダマキ 中畑大樹 世界は言葉でできている エマーソン、レイク&パーマー FLiP トラックバックテーマ チャド・スミス 五十嵐隆 ケヴィン・シールズ ジェフ・バックリィ 教養番組 孤独のグルメ ジョン・セオドア 香川照之 宮崎駿 加瀬亮 自作詩 生瀬勝久 ビートたけし 岡田准一 二宮和也 安藤サクラ カール・パーマー 木南晴夏 平清盛 いしわたり淳治 松雪泰子 阿部寛 ポール・マッカートニー グレッグ・レイク 藤井哲夫 かわぐちかいじ 僕はビートルズ 成宮寛貴 長瀬智也 小泉今日子 田辺誠一 サウンドトラック 小説 谷中敦 キース・リチャーズ ローリング・ストーンズ アラン・プロスト ゲルハルト・ベルガー ロン・ウッド チャーリー・ワッツ サミー・ヘイガー マイケル・アンソニー ジョー・サトリアーニ チキンフット THE世界遺産 インド ジョン・ポール・ジョーンズ ジミー・ペイジ ロバート・プラント レッド・ツェッペリン ジョン・ボーナム ロッキー 集中力アップ サブリミナル効果シリーズ シルヴェスター・スタローン Warpaint 深津絵里 オードリー ZAZ F1総集編 ジャン・アレジ オノ・ヨーコ 南海キャンディーズ カーペンターズ 山里亮太 山崎静代 F1中継 川井一仁 設楽統 エヴァンゲリオン スパルタ ジム・ワード 秋山竜次 サンマリノGP 鈴鹿GP マクラーレン ドイツGP 蒼井優 松山ケンイチ ルー・リード 安倍夜郎 木根尚登 Cocco まほろ駅前番外地 小林薫 満島ひかり 小室哲哉 メイドインジャパン SPEC デヴィッド・ボウイ 信長のシェフ 古明地洋哉 妻は、くの一 ラジオ ブライアン・ケスラー スティーブン・ジョーンズ 堺雅人 ミュージカル 宇都宮隆 NHK 中村獅童 ハワイ ケルト音楽 ベネトン 木更津キャッツアイ ヨーロッパGP 今宮純 沖縄 三宅正治 ブラジルGP フラ・ジャズ メキシコGP ニキ・ラウダ 阿川佐和子 川島明 B'z 柳楽優弥 樹木希林 浅越ゴエ 福田充徳 チュートリアル ハリセンボン 徳井義実 千原ジュニア 夏川結衣 ムロツヨシ 南国少年パプワくん 流星の絆 ロン・デニス 羽生善治 有吉弘行 ヒメナ・サリニャーナ 是枝裕和 池袋ウエストゲートパーク エリオット・スミス 裏・相棒 山崎まさよし 長谷川宗男 後藤久美子 RAILWAYS 三浦貴大 中井貴一 高島礼子 本仮屋ユイカ フェラーリ ティレル  アンヴィル ミッキー・ローク アテルイ伝 ジャック・ヴィルヌーヴ デイモン・ヒル ふしぎの海のナディア エルヴィス・コステロ フィール・ザ・ネイチャー・シリーズ 久米島 エディット・ピアフ 狗飼恭子 リラックス ストロベリーナイト 田口ランディ 城達也 モナコGP 絶対に抜けないモナコモンテカルロ 塚本晋也 春日俊彰 オードリー春日のカスカスTV ネイチャー・サウンド・ギャラリー 屋久島 慶良間 パワーアップ アナウンサー 森山春香 さわやか自然百景 あなたに会いたい マンちゃん 女の子ものがたり シンジ 芥川賞 柴崎友香 ジャズ 大島渚 SPEEDWAY バリ アジア 世界ふれあい街歩き グランプリ天国 鉄人 モーツァルト アンビエント 貴水博之 トベタ・バジュン 松本大洋 サドレーゼ 教授 山中千尋 ワールドミュージック 久保田麻琴 谷口ジロー 久住昌之 LUNASEA ブージークラクション ゴンチチ オペラ座の怪人 アイスショー MOZU 浅田真央 お笑い 高橋大輔 イエス TM-NETWORK プラス思考 サントラ ヴィンセント・ギャロ 綾野剛 瀬戸内寂聴 熊切和嘉 リリィ・シュシュ 浅倉大介 ヨンシー ジョン・アンダーソン バカリズム辞典 フットンダ スティーヴ・ハウ クリス・スクワイア ケイコ・リー アラン・ホワイト リック・ウェイクマン 読書雑記 ビブリオバトル ディーントニ・パークス JIN-仁- 猿飛三世 ボスニアン・レインボウズ ノンフィクション 西原理恵子 フランソワーズ・サガン 小西真奈美 大貫妙子 上原ひろみ 居酒屋もへじ ヤンキー君とメガネちゃん 松坂慶子 リーガル・ハイ 小山田圭吾 access 西島秀俊 新選組! 実験刑事トトリ 太陽の罠 夫婦善哉 半沢直樹 矢野顕子 ナイツの言い間違いで覚える科学の法則 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン 堤幸彦 戸田恵梨香 マーティン・スコセッシ フリー 斉藤和義 松崎ナオ 辻井伸行 ウルフルズ トータス松本 リンゴ・スター ヒャダイン ア・パーフェクト・サークル トゥール メイナード・ジェームス・キーナン ウルフルケイスケ ジョン・B・チョッパー 玉山鉄二 マイコ 宮崎あおい イ・ジュンギ 溝端淳平 村治佳織 サンコンJr. 橘いずみ 教育番組 リッチー・ブラックモア レインボー クリント・イーストウッド 唐沢寿明 木村拓哉 渡辺謙 桜井和寿 鈴木おさむ 中田有紀 笑福亭鶴瓶 バラエティ番組 振付稼業air:man 中居正広 宮崎美子 山下和美 ディープ・パープル ヤン・ヨンヒ 井浦新 仲間由紀恵 ウォーキング 前山田健一 北野武 ブライアン・ジョーンズ 小出恵介 快眠 斉藤由貴 竹下景子 西村賢太 タナダユキ 森山未來 豊川悦司 富司純子 たりないふたり 広末涼子 東野圭吾 吉松隆 ローラ 堀内健 吉田修一 松本清張 中谷美紀 妻夫木聡 寺尾聰 佐藤元章 園子温 ウィリー・ネルソン ノラ・ジョーンズ ウィントン・マルサリス レイ・チャールズ 樋口可南子 國村隼 三浦友和 久米田康治 椎名桔平 チャールズ・ブコウスキー マット・ディロン 甲斐亨 ゆらゆら帝国 西島隆弘 さよなら絶望先生 腹式呼吸 ヨガ BGM ストレッチ 大東駿介 加藤浩次 ポール・ヒノジョス メリッサ・オフ・ダ・マー ニュース ソフィア・コッポラ トニー・ハジャー ナデア マイ・ブラッディ・バレンタイン エミネム ZWAN ブライアン・レイツェル はっぴいえんど 立川志の輔 ティム・バックリィ 山崎ナオコーラ 永作博美 水川あさみ 稲垣吾郎 サラリーマンNEO セクスィー部長 沢村一樹 ビーディ・アイ オアシス 中村光毅 アップルシード 須藤理彩 平井直樹 もう中学生 伊坂幸太郎 黒谷友香 高良健吾 伊藤淳史 中田ヤスタカ ベクシル ライド アンディ・ベル マーク・ガードナー リチャード・ギア ジュリア・ロバーツ 村上龍 コメントスペース ヨンシー&アレックス 榎本ナリコ 岡田将生 松本隆 細野晴臣 大瀧詠一 鈴木茂 ガス・ヴァン・サント ロビン・ウィリアムス ハーレイ・ジョエル・オスメント マット・デイモン ベン・アフレック 西田敏行 市川猿翁 イチロー 日テレ 本郷奏多 重松清 ジェームス・ハント 若杉公徳 佐田大陸 TSUKEMEN プロフェッショナル仕事の流儀 ブルース・ウィリス ディズニー・ピクサー Radiohead 村上春樹 CAN 絲山秋子 ジョニー・グリーンウッド RZA 北乃きい 鈴木保奈美 ウータン・クラン セシル・コルベル 内田有紀 浅野忠信 松岡昌宏 中村靖日 神木龍之介 塚本高史 金子修介 フラ 宮崎吾朗 金城武 

 

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

メールフォーム

 

名前:
メール:
件名:
本文:

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。