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フィギュアスケート見聞録 全日本選手権編 +クリスマス オン アイス
今年もジャンルレスで見聞録ガシガシいきますよ。
出来事自体は昨年末なのですが、未だ余熱冷めやらずということで
今年の一発目の見聞録はフィギュアスケートです。
・フジの実況
特徴的なのは主に二つ。dボタン表示と、天井カメラである。
dボタンを押すと、技の隣に、採点結果が表示されるようになっていた。
しかしこの採点欄、競技中にはまるで役に立たない。
採点が出終わった後で、振り返ってクリックしないと意味がないのだ。
後述するが今回の採点基準って素人目にはとても納得できるものではないし、
正直、無駄だったような気がしてしまう。
天井カメラはネットでは散々言われていたが、スピンなんかの臨場感を感じるには
いいんじゃないのとは思った。
まぁ、ジャンプやステップであの画面にされたら、間違いなく殺意が湧くだろうが。
・躍動するジュニア
男子2位に宇野昌磨選手、6位に山本草太選手。
女子3位に樋口新葉(わかば)選手、以下入賞圏内にずらりジュニア勢がひしめく。
ジュニアが強いのか、シニアがイマイチなのか?(特に女子)
ジュニアとシニアの境目がほとんどないと感じられるような大会。
こんなに躍動しているのなら、そろそろジュニアも中継したらいいかも。地上波で。
・小塚君の覚醒
昨年度世界選手権、今年度グランプリシリーズで精彩を欠き、
このまま引退か・・・と覚悟を決めて観ていた、小塚崇彦選手。
それが今大会、FSにEXにまさかの大覚醒!
元々のスケーティングの美しさプラス、ジャンプも決まるようになって、
何かを手繰り寄せるような大きなガッツポーズ、佐藤信夫コーチも拍手と涙。
感動した。思わずウルッときた。
こんなスケートが見たかったんだ!と喜びが止まらなかった。
爽やか好青年のイメージが強いが、EXのセクシー路線もよかった。
あと少しなんて言わないで、ずっと滑っていてほしい。
・光と影
女子は明暗がかなり割れた。
ワンツーの宮原知子選手・本郷理華選手はどちらも素晴らしい滑り、FSは名勝負になった。
そして本郷のEX「スリラー」が面白い。彼女のことがグッと好きになった。
もっと思い切って、世界選手権のEXでこれをぶちかましてくれ!
一方、一見うまくできたかに思えた村上佳菜子選手や今井遙選手は下位に沈んでしまった。
村上は何とか世界選手権に出られるが、今井・・・
ともかく、村上も今井もふたりともマズい状況なのは間違いない。
何とかベテランの意地を見せてほしい。村上のダイナミックな滑りと笑顔がまだ見たい。
・なんか厳しすぎるジャッジ
傍目では成功したと思えるジャンプが次々とエラーを取られた今大会。
世界のジャッジを意識してのことらしいが、観ていて納得がいかない。
そういう不本意な減点が出た瞬間は、会場からも不満の声が結構あったとか。
これについて、小塚君が身を挺して意見をしている。
さすがチームジャパンのリーダー!頼もしい。
こういう人や意見を締め出しちゃいかんよ、連盟。
・そして町田がいなくなった
急すぎて、今でも気持ちの整理がついていない。
町田樹選手がいたから、フィギュアに興味を持って、中継のたびにTVチェックをしてきたと
言っても過言じゃなかったのに・・・・・・
TV中継を観ながらネットの実況を覗いていたら、放映終了後に嘘みたいな報せ。
やがて本人の声明がネットに上がり、
翌日の朝にはTVでも引退表明と、無良君に後を託して泣き合う姿が。
EX初め(TV中継で)の方でラストステージ、あっという間に町田樹劇場、終幕。
スナフキンのようにせいせいとした表情で去っていってしまった。
現実感がない。涙も出ない。SPは最高だったのに。
でも、かつて卒論を書き、院進学を夢見た自分としては、
中途半端な両立は現実問題、無理だろうということも思った。
ネットでは「羽生選手やスケート連盟への抗議」「今大会SPでの不当な2位で決意」
などなど様々な憶測が飛んでいる。院へ進学してもスケートを続けている選手は
たくさんいるから。ただ、そういう選手は、実際には休学している場合が多いらしい。
町田が選んだセカンドキャリアはこの道、このタイミングで、
FSに第九を選曲した時点でこの結末を決めていたと私は思う派である。
全ては、本人の口から真相が語られる時だが、それももうないような気がする。
割り切れないけど、今はこう言うしかないだろう。
早稲田の院でがんばれ。
そしてたまにはアイスショーで滑って。
いつか町田を観に行って「生!アイスショー見聞録」を書けたらいいと思っている。
・Bonus Track:クリスマス オン アイス
アイスショーなんか初めて観るので鑑賞の仕方がわからないが、とにかく観てみた。
テレ東系列で放映された、浅田真央ちゃんと高橋大ちゃんが中心になったアイスショー。
鈴木あっこちゃんや織田信成君、デニス・テン選手なども参加。
地上波の中継はほとんど真央ちゃんと大ちゃんのドキュメンタリーで、
他の選手があまり見られなかったのが残念だが、演出上しょうがないか。
真央ちゃんも大ちゃんも、あっこちゃんも信成君も、伸びやかでとても楽しそう。
真央ちゃんと大ちゃんはペアやアイスダンスのような場面さえあるコラボを披露。
なにせ真央ちゃんの今後が未定なのであまり期待してはいけないかもしれないが、
このコラボはこれからも続けていって、進化させていってほしい。是非また見たい。
驚きだったのはニコライ・モロゾフ氏と愛娘さんのコラボ。あなたそんなに滑れるんですかい!
父と娘。モロゾフ氏がサンタさんに扮しての、愛がたっぷり籠もった演技で胸いっぱい。
町田劇場終幕直前の淋しい気持ちを束の間、癒してくれた素敵な時間だった。
フィギュアスケートを観る動機の半分以上が「町田がいるから」だったので
これからどうしよう?もう熱心に観なくなりそう・・・なんて思いもありますが
小塚君と無良君、それに本郷ちゃんとカナちゃんがいる限り
しばらくはまだ観戦しようかと考えています。
それにしても、羽生が腹痛で手術、入院してしばらく安静が必要という事態。
まさか世界選手権は第二補欠が出場なんてことに?それは村上ダイスなのか?
どうなることやら。今後も波乱が予想されますね。
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フィギュアスケート見聞録 グランプリシリーズファイナル編(後)+浅田真央「Smile」感想
グランプリシリーズファイナル、略称GPF。
遅ればせながら、その感想を中心に、このところ
フィギュアスケートを地上波TVで観戦してきた見聞録をお届けします。
後編は、GPFを中心に、一連のグランプリシリーズの感想を綴ります。
・対照的なヒーロー
TV的、もしくは業界的に、羽生結弦選手が男子のヒーローということになっている。
絶対的エースでヒーロー。どんな困難も超えていく理想的な日本人男子選手。
誰にも負けたくないから、誰よりも勤勉に頑張る。健気な自己犠牲的努力は報われる。
そういうヒーローが、グランプリシリーズ中国大会で接触事故、無理を押して出場。
NHK杯では「そろそろ観ているのがしんどい。息が詰まる」と感じていたところで
真逆のキャラクターを持ったニューヒーローが颯爽と現れた。
NHK杯で優勝したダークホース・村上大介選手は、アメリカ暮らしが長く、
性格もアメリカンでポジティブ。ポジティブはコーチの影響が大きいらしいけれど。
表彰台での立ち居振る舞いには、最近フィギュアで見なかった「ネアカ」なエネルギーが
満ちあふれていた。
2位のボロノフ選手もスマイリーで、二人合わせて、とても朗らかなムードに包まれた。
さまざまな意味で運命はフィギュア男子にカウンターを当ててきたなと感じた。
これからがとても楽しみ。
更に、ジュニアGPFでは、宇野昌磨選手が優勝、新たなスターも誕生し、
羽生以降の世代にも希望が繋がった。
楽しみは増えるばかり。
・もってる、もってない
今年のグランプリシリーズのハイライトは、アメリカの町田選手、カナダの無良選手、
NHK杯の村上、そしてGPFでの羽生となった。
アメリカの町田のフリーは録画を保存しておけばよかったと後悔するくらいだった。
それにしても羽生。最後の最後に一番おいしいところをもっていけてしまうなんて。
あまりに劇的な展開。なんてことをしてくれるのか。
ロシア大会ではコフトゥン選手がショート6位から逆転優勝をやってのけて驚いたが、
羽生はグランプリシリーズ全体を通して、そんな類の大逆転優勝を果たしたのだ。
とんでもない。
GPFはグランプリシリーズ精鋭の6人しか出られない、誰もが当たり前にうまい。
しかし、その中で好調をつかみ、優勝を飾れるのは、一人しかいない。
実力だけでは勝てない。勝敗を左右するのは、運や政治力なども大きい模様。
芸能人みたいな世界だ。
その一方で、下位に沈んだ選手の演技が、上位の選手よりも胸に響くことがある。
「人の数だけ運命があってもいい」と肯定したくなる、不思議な競技だ。
運が足りなくても、政治力がなくても、素晴らしい演技ならばそれでいいと思ったりする。
勿論勝ってくれた方が嬉しいに決まっているけど、採点は如何せん不可解だ。
ところで、ロシア男子の間で、スパイダーマン風の衣装が流行っているのか?
コフトゥンといい、ボロノフといい。それともロシア男子のユニフォームか何かなのか?
そういう小さな発見をするのも楽しい。
・女子もおもしろい
ロシアで女性に生まれて、フィギュアスケートをすると想像するのは、今、あまりに恐ろしい。
GPF出場選手中、実に4人がロシア人だ。
謎めいて儚い、靄をまとったかのようなリプニツカヤ。可愛くて強いラジオノワ。
長身で優雅なパゴリラヤ。そして、エキゾチックでふとましいトゥクタミシェワ。
GPFには出られなかったけど、スポーティ美人のソトニコワも加えようか。
みんなキャラクターが全然違う、個性的で層の分厚いロシア勢。
ロシアの人気ナンバーワンはリプニツカヤらしい。ブレイクするタイミングって大事だよな。
でも私はシリーズを通して観て、俄然トゥクタミシェワのファンになった。
他の誰にもできないことをしているし、自分のことをよくわかっている。
元々私は、ど真ん中のヒーローヒロインより、斜め上をいく個性派が好きなのだ。
それにしても、ロシア勢に唯一刃向える可能性があるのはゴールドだと思っていたので
GPFに出られなくて本当に淋しかった。エキシビジョンの「Shake It Off」も観られないし。
でも、同国のワグナーがきちんと一矢報いたし、何より本郷理華選手が出られたのは
彼女の「おかげ」なのだから。
いやしかし、真央ちゃんなき日本女子はどうなるかとひやひやしていたが
村上選手でも宮原選手でもなく、本郷が救世主になるとは!
何があるか本当にわからない世界だ。GPFでの演技も堂々としたものだったし。
今回のグランプリシリーズは、女子の面白さがよくわかる、充実したシーズンだった。
・フィギュアスケートの「競技化」
今、フィギュアスケートは、綺麗なものを綺麗と崇める競技ではなくなりつつあるようだ。
スケーターが「ジャンパー」と呼ばれて、スキーのジャンプじゃないんだからと思う。
いかに4回転やトリプルアクセルを多く決めるか、いかにエッジの角度が正確か、
いかに難しい技を後半にもってくるか。
アーティストではない、アスリート。
男子はそれも似合うと思う。けれど女子にそれを求めて観ていると、違和感がよぎる。
あと、スピンやスケーティングがうまい、芸術家タイプの選手が評価されにくい。
バンクーバー五輪を観ていた時は、なぜ4回転飛んだプルシェンコが優勝できないのと
それはそれで違和感大アリだったのだけども。
やたらと細かい、しょっちゅう変わる採点基準。地元加点、贔屓加点と思えるものまで。
観ている側の感覚とかけ離れている。
一般のファンが離れてしまうよ、と言いたくなる。
・エキシビジョンにて
今までは競技しか楽しみにしていなかったが、GPFではエキシビジョンも楽しく観られた。
地上波では見向きもされないペアやアイスダンスも取り上げられて良かった。
しかし、ことごとく羽生スペシャルになるのはどうかと。
14才から足跡を追いかける羽生エキシビジョン集までやる必要はあったのか?
町田や無良や本郷のエキシビジョン集もやっていたあたり、予め用意していたのだろうが。
町田の「Don't Stop Me Now(ソチで披露して話題になっていたエアギター)」'12年版が
観られたのは素直に嬉しかった。
それにしても、羽生はもう「への字」しないんだろうか。あれ結構好きなのに。
女子は髪をおろす選手続出。リプニツカヤ、トゥクタミシェワ、ワグナー。
信成君がついつい「可愛らしい」と褒める一幕。放映後は奥さんとバトルだろうか。
ラジオノワは毎回凝ったことをしているらしい。今シーズンはホイットニー・ヒューストンの
人生を演じたという。それがインタビューでわかって、二倍楽しめた。
・フィギュアスケートはボーダレス
例えば、パゴリラヤが町田に影響されて、フリーで「火の鳥」を滑ったり。
例えば、エキシビジョンで羽生とフェルナンデスが互いを紹介し合ったり、
羽生とコフトゥン、コフトゥンとボロノフがリンクサイドで何やら談話していたり。
性別も国籍も年齢も、彼らは軽々と超えてしまう。
どこまでも自由な、広い世界が、スケーターたちの前には広がっているらしい。
眩しい。こんなところでも、また、フィギュアスケートに魅了されてしまう。
・似てる?
蛇足ながら。
テレビブロスに投稿したのだが、ゴールドってはしのえみにそっくりだと気付いてしまい
愕然とした。
ハリウッドの往年の女優さんと騒がれている顔が、案外身近にいるものだ。
宮原は小鳥に似てる、目のギョロッとでかいやつ。種類はわからない。
町田は絵本に出てくるキツネ。無良はおとなしめのオオカミ。
村上があややだったのはもう昔だな、今は似ても似つかなくなってしまった。
こんなことばかり考えながら彼らを観て、何やってんだか、でもついつい。
・Bonus Track:浅田真央「Smile」
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トリプルアクセルにこだわって、ストイックに練習を重ねる姿は、
今の日本男子を見ているかのよう。
しかし、バンクーバー五輪後、スランプを経験してから、
人としても充実したいという思いが強まっていく。
車の免許も取って、おしゃれにもなっていって。
それが、ラストに登場するエキシビジョン「Smile」に象徴される。
セクシーな衣装、そしてあの笑顔。訳詞つきで一曲まるまる流れる。素敵なナンバーだ。
不思議なことに、スケート以外の日常の喜びを大切にするようになるほどに、
スケートのほうでも、ステップなどの表現力が伸びていった。
感性が磨かれていったということなのだろう。
真央ちゃんの現在の展開は、来たるべくして来たものだということも
よくわかった。マイペースで、自分の道を歩んでほしい。
がむしゃらボーイの羽生も、いつかこんな境地に辿り着く日が来るのだろうか。
いろいろなことを想像しながら観ると感慨深い。
素人考えばかり述べてすみませんが、プロみたいなファンだけでなく
一般視聴者の感じ方というものも、競技の向上に反映されたらいいという思いで
あえて書かせていただきました。
このスポーツが広まって深まっていくことを祈って。
TVのニュースで速報をチラ観するだけではわからない、多面性に踏み込むほどに
面白さが深まっていくこの競技の奥深さに気付いた喜びを込めて。
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フィギュアスケート見聞録 グランプリシリーズファイナル編(前)+映画「オペラ座の怪人」感想
グランプリシリーズファイナル、略称GPF。
遅ればせながら、その感想を中心に、このところ
フィギュアスケートを地上波TVで観戦してきた見聞録をお届けします。
まずは、フィギュア中継そのものに対しての積もり積もった意見を。
・実況前後のナビゲーション
あれを私は「中継テロ」と呼んで忌み嫌っている。
別名「地上波の洗礼」。実況が始まるまでの辛抱ともいう。
何とかならないか。そもそもなぜ松岡修造氏なのか?
あの実況までのつなぎタイムって何のためにあるのか?
修造+織田信成君の高テンションで、フィギュア中継はすっかり暑苦しい。
アナの子が引いてるときがたまにあるほどで・・・・・・。
しかし、この二人は元アスリートで、信成君は他ならぬフィギュアの元選手で。
当事者の心境を代理するなら彼らのテンションは正しいってことだろうか。
でも、視聴者としては、もう少し静かに観たい・・・・・・。
・実況・解説
いざ試合が始まると、音声は一気に静まる。
フィギュアの実況は他のスポーツと比べてクールだ。
解説も、技の名前を読み上げて、うまいとか惜しいとかそのくらい。
日本人選手にある程度情は入りながらも、海外選手にも優しいのでは。
まあ、最近、実況や解説に「頑張れ」などの私情が多い気もしてきたが。
ショー的側面もあることに配慮して、他のスポーツに比べればおとなしい。
観ていて、なぜこれまで八木沼純子さんばかり起用されてきたのか、わかった気がした。
選手経験があって、かつあれだけ聴きやすく喋れる人は、滅多にいない。
以前、鈴木明子さんの解説がちょっとモゴモゴして気になって、そこで気がついた。
八木沼さんが解説を担当したNHK杯の聴きやすさ。
確かに技の名前しか読み上げていないけど、それでいい。
足りない分は実況が話すし。この競技、実況や解説が邪魔しちゃいけないのだ。
音楽が鳴り響き、選手が手足全体を使って語る、競技兼ショータイムなのだから。
・羽生選手の扱い
オープニング映像をはじめ、中継全体が羽生結弦選手中心すぎる。
羽生の演技だけ最後にリプレイしたり、特別編集の映像を延々流したり。
男子を観ていて、町田選手や無良選手の親御さんが泣くぞと言いたくなった。
羽生本人の意図やスケートと関係ないところで、アピールどころか
イメージダウンになっている。これじゃ羽生が嫌われる。
羽生をヒーローに演出したいんだろうが、演出が下手だと思う。
やればやるほど胡散臭くなっていることに気付いてほしい。
他のスポーツに倣っているのだろうが、この競技は、まして今の男子は、
誰か一人だけの物語を語る競技ではない。せめて群像劇で語ってほしい。
そういう中での、NHK杯の、村上大介選手の優勝はいっそ痛快だった。
ショートも放送されない、ノーマークの選手。羽生でも無良でもなく。
TVがつくりたい物語を、リアルが完全に舌を出して裏切ってみせた瞬間だった。
まあ、その後のGPFで、羽生自身が正しくTVが望む物語を演じきってみせたのだが。
・中継のタイミング
実況が始まる前に、ニュース速報などで、先に結果がわかってしまう。
がっかり感が半端ない。
その後で始まる中継では、どれだけ編集されまくっているかと、観る前からげんなりする。
編集されすぎに関しては今回のGPFは実に酷かった。
ショートプログラム、2時間の中継に合わせて前フリが1時間とか、
何を期待して中継を観ればいいのか、途方に暮れた。
地上波はとことん舐められている。
・えらべるテロップ
テレビ朝日でリアルタイム視聴中にだけ利用できる「えらべるテロップ」。
演技内容をテロップで表示し、「注目!」なんて表示もついてくる。
Dボタンで、表示しないようにもさせられる。
これは基本的にありがたい。テロップのないNHK杯でそう実感した。
しかし、少し邪魔かも。もうちょっと小さく、右下に寄せてはくれないだろうか。
注目技についてはNHK杯のほうが選手ごとの特性に配慮してくれたように思う。
テレビ朝日では4回転ジャンプやコンビネーションジャンプに機械的についていたが、
NHK杯では、スピンやステップの得意な選手は、きっちりそこにつけられていたから。
・画面右上の煽り文句
テレビ朝日、いつもいつもせわしない。
GPFのフリー、ボロノフ選手の演技中「無良現在1位」「羽生&町田 決戦間近」って、
たった4分間の間で必死すぎる。
なんというかもう少し「今」を大事に観させておくれよ。
・エキシビジョン
テレビ朝日で、競技を「氷上サバイバル」と呼ぶのに対し、
競技後のエキシビジョンは「氷上ミュージカル」と称されていた。
それまでのグランプリシリーズでのエキシビジョン放映時は、ダラダラと各選手の演技を
流すだけで、よほどコミカルな演技をする選手以外、面白みがまるでわからなかった。
しかし、NHK杯で、日本人選手を中心にインタビューをやっている様子だったり、
選手全員で登場するオープニングやエンディング、地上波では放映されないことも多い
ペアやアイスダンスも含め全ての選手に平等に時間が与えられたりすることで、
このひとときの素晴らしさ、競技の温かさがわかってとても良かった。
GPFでもそれに倣ったのか、全体が見える放映になったが、
こちらは編集が多すぎて、半分くらい羽生のドキュメンタリーになっていた。
まあ、でも、エキシビジョンの雰囲気は伝わる内容になっていて良かった。
Bonus Track:フィギュアスケート的映画見聞録「オペラ座の怪人」
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世界的に大ヒットしたミュージカルを映画化したというだけあって、歌の比率が高く、
映像のスケールは圧倒的なものの、ストーリーがどうにも薄い。
Wikipediaを見なければ話がわからなかった。映画としては説明不足すぎた。
現実と非現実が交錯する部分は、映像にするなら余白をもっと埋めないと
わけがわからない。
Wikipediaで「いろんな解釈があります。原作の小説とは違います。謎の多い話です」という
事実を知るまで、わからない部分についてかなり一生懸命考察してしまい損した。
冒頭で出た劇場の元オーナーがファントムの正体なんじゃないかと勘ぐってしまったり。
映画だけ観ていたら、そんな解釈ができるのではないか、下手したら。
だって何かあると思うだろう、あんな意味深にチラチラ登場されたら。
普通の映画だったら破綻作だ。「ミュージカルの映画化」と知っていないと観られない。
でもって、ファントムの人はブラピ風のイケメンで、皆が叫んで逃げるほど醜くなく
そこも映像としては説得力が足りない。
あれこれ、脳内で補完しないとならない映画か・・・・・・。
フィギュアスケート的に観た感想としては、リフを聴いて「ああ、これか」と納得。
映画のファントムに近いのは無良君だろう、体格がよく、右眉の痣が異形といえば異形で
ファントムっぽい。よく似合っている。
映画を観た限り羽生はちょっと違う気がする。佳菜子はクリスティーヌっていうかファントム?
でも劇団四季で市村正親さんのファントムを観たら「全員違う」ってなるんだろうか。
次回はGPFを中心に、一連のグランプリシリーズの感想を書いていきます。
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【フィギュアスケート】高橋大輔:D1SK【DVD】
地上波しか観られない環境なので、第1戦のアメリカと昨日の中国戦以外、
日曜深夜のスポーツ番組での中継にかけるしかないのですが。
毎週フィギュア漬けのなかで、映画のDVDなんかも観ているうち、
「フィギュアスケートのDVDってないのかな」と思い、近所と市街地のレンタル店を2店はしご。
その結果、見つけたのが、近所だと浅田真央ちゃんのもの、そして市街地では真央ちゃんに加え
先日引退表明したばかりの高橋大輔さんのものがありました。
真央ちゃんは近所でも借りられるので、今回は高橋さんのDVDを観てみることに。
ノウハウもないなか、手探りで感想を書いてみます。
![]() | 高橋大輔 D1SK [DVD] (2014/01/29) 高橋大輔 商品詳細を見る |
・粋なタイトル
高橋さんのディープなファンが、「D1SK」のロゴマーク入りのタオルを手に熱烈な声援を
会場で送っているというのは、スケート好きなら有名な話。
「大輔が一番」という意味合いがあるのだとか。
これ、ロゴマークと、DVDのタイトル、どっちから来たのか気になる。
DVD発だと「DISC」にも引っかけられるから、とても納得なのだが。
・過去から現在までのステップをセルフリメイク
トリノオリンピック頃から2013年までのプログラムから、
「世界一」と謳われるステップを総さらい。
2013年の高橋さんが、過去の衣装を着て、全部滑っている。
「なるほど~」と思いつつも、ここは過去の映像が見たかった。
過去の高橋さんに興味があったから。
でも、本作以前にもたくさんDVDが出ているようなので、
過去の姿はそちらでチェックしてねということなのだろう。
熱心なファンなら買い揃えているだろうし、ね。
・2011年~2013年の名演技も収録
銅メダルを獲った2010年のバンクーバーオリンピックからの3年間。
その、テレビではあまり取り上げられない期間中、アイスショーなどで披露した
プログラムもいくつか収められている。
これが良かった。
伸びやかで、曲を生きているかのようなスケーティングの美しさは
ステップ集より、ショーや試合の臨場感のなかで観たほうが断然輝いていた。
色気たっぷり、存在感抜群。
「世界一」と謳われるわけがよくわかった。すっかり魅せられた。
スケーティングもいいし、ジャンプもいい、スピンもいい。
マンボやタンゴが難なく似合ってしまう、日本人らしくない曲ほどハマってしまう。
「白鳥の湖」ヒップホップバージョンまで!
これがもう現役の選手としては見られないなんて残念でならない。
・あるフィギュアスケーターの一年を切り取って
時系列順に(イントロダクションとしてソチ直前のインタビューがあったが)
2013年の高橋さんを追いかけたドキュメンタリーが、ステップ集と併せて
本作の軸になっている。
特典映像のなかで荒川静香さんも言っていたが、リンク上とリンクを離れたときの
ギャップがすごい。
普段の姿は、オシャレで明るくて気さくで優しい、普通の兄ちゃんなのである。
衣装の製作の打ち合わせ。
北海道清水町のリンクに小学生たちから高橋さんまでみんなで夏合宿。
アイスショー、試合。
合間に本作の撮影スタッフさんとご飯を食べて。
フィギュアスケートをやる男性の一年弱を垣間見ることができる。
雅な世界、我々とは遠く離れたところにいるようなフィギュアスケート選手を
ちょっとだけ身近に感じられる。
・勝利よりも、楽しく今を生きること
高橋さんがこう言っている場面があったわけではない。
私が本作での高橋さんを見て感じたことである。
バンクーバーオリンピックで3位を獲ったことに満足していると、
新しいコーチに「おまえはバカか、そんなもので満足するな」と
せっつかれたというエピソードがインタビューで披露されていた。
そして、たくさんの笑顔、発言から伺えるのんびりした性格。
子ども達を目にして、アイスショーで、本当に楽しそうにしている様子。
「ああ、この人にとって、スケートは勝つためじゃないんだな、
楽しむためなんだな」
「世界一になることよりも、楽しく生きることに、重きを置いているのかな」
そういう印象を持った。
だから3位止まりなんだよ、と言う向きもあるかもしれない。
でも、高橋さんは、生きることを楽しむ価値を知っていて、実践している。
3位だってとんでもないことだが。
自分が楽しむこと、人に喜んでもらうことが一番の価値。
それの何が悪い。
アスリートとしてのメンタリティでは少し弱くなるのかもしれないが、
人としては、至極真っ当だと思う。
だからこれからのプロスケーターの長い道のほうが、高橋さんは
きっと楽しく長くやっていける。
私はそう感じた。
・まさかの地元の話題
極個人的な話で申し訳ないが、言わずにいられないことを。
高橋さんが夏合宿に励んだ北海道・十勝の地は、私の地元なので
黙って見てはいられなかった。
私は清水町出身ではないのだが、帯広から清水の道のりは列車で通っているし
幼少期などに親戚の家を訪れた際にクルマで通ったりしている。
だから見覚えのある景色につい興奮してしまった。
帯広名物「インデアンカレー」を巡ってああだこうだと一同が話題にしているのも胸アツ。
清水町で、高橋さん達一行がとても生き生きしていた姿もあって、
夏合宿のシーンで勝手に思い入れが強くなった(笑)。
・作曲:佐村河内守
エンドロールで流れてきた残念なクレジット。
ソチオリンピックでは「作曲:Unknown」になったが、結局この曲を使い続けた。
だから演技中に曲が流れてきたのを観ていて違和感はなかったが、
実際に文字でその名前を見ちゃうと・・・・・・
高橋さんは何も悪くないのだが、つい、見てはならないものを見ちゃった気になる。
そういうオチがつくなんて。
昨日の中国戦といい、羽生結弦選手の勝利や「負けない」ことへの執念は
凄まじいもので、「これが金メダリストの振るまい」というようなプライド、
アスリートとしての強いメンタルが、町田選手や無良選手も含めた、
いま活躍している世代に漲っています。
織田信成さん、小塚崇彦選手も含めたバンクーバー世代は、
その辺がちょっと弱いというか、良くも悪くも人が好いという感じがします。
でも、高橋さんをはじめとした不器用で優しい選手たちは、
競技だけでなく、自分の人生を楽しむ術をよく知っているように思われるのです。
どちらが正しい、どちらがあるべき姿、というのはないと思います。
アスリートとしては現在の世代が好き、でも人としては前世代のほうが共感できる。
そういうことだってあってもいいような気がしてなりません。
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