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ナデア:ヴィーナス・ゲッツ・イーヴン「確かな実力、根底にはロックの血が?エロカッコイイけど親しみやすい、わんぱくジャズにくぎづけ」
こんな触れ込みはどこかで聞いたことがあるけれど、聴いてみると彼女は彼女で
毛色が違うおもしろさがあるみたい。
ZAZ(ザーズ)の新作を待っている間に、ちょっと興味深いシンガー、街の片隅で
見つけちゃいました。・・・フォロワー的側面もあるのだろうか??
その名もNADEAH(ナデア)。

見返り姿がなかなか綺麗な彼女ですが、綺麗なだけじゃとてもじゃないが
収まる器じゃない、猛獣みたいな曲者でもあり。
基本的にこの記事にはある程度綺麗な画像を載せますが、検索してるとお世辞にも
べっぴんとは呼べないような、ロックではあるが歌「姫」は捨ててそうな姿も沢山発見。
こいつぁかなりのロックだぜ・・・と少々困ったものでした。
それもそのはず、彼女のルーツは母親が聴いていたLed Zeppelinやピンク・フロイド。
まず虜になったのはロックで、ギターを独学で覚えて、自ら曲を書いて
バンドを組み、イギリスで「The Love Gods」として2枚のアルバムをリリースしたのが
最初のデビューだったのだから。残念ながら、このバンドは急な解散を強いられてしまい
ナデア嬢はギター片手に単身フランスへと旅立ち、しばらくはカフェで働く毎日で
音楽から離れていたのですが、この挫折が現在に繋がる新たな出会いを生むのです。

ナデア嬢のアイコンは、かの有名なセックス・シンボル、マリリン・モンロー。
彼女にあやかって?結構露出の多い格好でステージに立つこともよくあるようです。
アルバム中の楽曲のなかにもセクシー路線と思しきものが何曲かありますが、う~ん、
どうにも色気が足らんような。古きよきフランス映画のような雰囲気は伝わるんですが。
カフェで働くうちに、クラシック音楽の指揮者であり作曲家でもあるニコラ・タスカーリに
出会い、いたく感銘を受けたナデア嬢。再び立ち上がり、歌を歌いはじめます。
そんな彼女に目を付けたのが「ヌーヴェル・ヴァーグ」という音楽プロジェクトの一員で
プロデューサーのマーク・コリン。
ナデア嬢は、このプロジェクトの正式メンバーとしてスカウトされ、3rdアルバム「3」から
参加、世界中でツアーを行ってきました。
ヌーヴェル・ヴァーグの公式HPはこちら。メンバー写真右端にナデア嬢がいます。
70年代後半〜80年代初期のパンク・ニューウェーブ音楽を、ボサノヴァ/ジャズ等60年代音楽と
ミックスさせるユニークな音楽性、ファッションデザイナーがアーティスト写真を撮るといった
ファッションとの融合など、活動は先鋭的でとても興味深いものです。
そこでの活動の合間に、ソロ・シンガーとしてもアルバムを作ってデビュー。
これが今回紹介する「Venus Gets Even(ヴィーナス・ゲッツ・イーヴン)」。

ヌーヴェル・ヴァーグでも披露している、メスの虎のような荒々しいステージング、
わんぱくさや激しさ、その反面に不意にみせるしっとりした女らしさ。
こういった二面性をソロアルバムではたっぷり堪能し、ちょっと驚くことができます。
アルバムの帯では、「キュートで小悪魔、セクシーでブルージー。」
「パリのストリート・ジャズディーヴァ、ナデアが待望の日本デビュー!」と。
ジャンルの括りとしては一応ジャズとして分類しましたが、聴いてみるとかなりたくさんの
音楽要素が混ぜ込まれて、ごった煮状態になっていて、一様な分類は難しいです。
でも基本的にポップでキャッチーなので、幅広い人が楽しめることは保証します。
ブルージーだったりモンローだったりジャジーだったりといった下味が
曲調に彼女独自のテイストを感じさせますが、それがとても旨味になっており、
合間に時折挿入されるシンプルな正統派バラードを箸休めに、最後まで楽しめます。

もとはロックバンドの一員だった彼女、今でもギター片手にステージに立つ模様。
ハスキーで、中低音がしっかりした歌声のナデア嬢。力強い中音からさらりと裏声の高音へと
フレーズの中で何度も行き来し、何度となく囁いたり、喋るようにしたり、獣の鳴き声を
真似るような声を出したりと、様々なアクセントも。でも基本がとても安定しているので
暴れても、淡く囁くように歌っても、まるでブレることがなく安心して聴けます。
結構「ジャジー」「ブルージー」な曲調になってもその存在を遠くに感じないのは
彼女の根底にロックの血が流れているから?
さて、彼女の歌詞はしばしば「自叙伝的」「私小説的」といわれており、全ての曲は彼女が
実際に経験した出来事をモチーフにつくられ、時には事実をそのまま詞にしてしまうことも
あるそうなのですが、そう考えながら歌詞を読むと、なかなか奔放で気まぐれですな。
淋しさだとか、淡い恋慕だとか、モロにセクシュアルな曲だとか、色々あるなかで
ひときわ異彩を放つのが#10「メルボルン空港の告白」。
メルボルン空港でカウボーイを
燃やしてやったの
超ヒマしてるから構わないって
彼が言ったから
閃光に当たりながらウイスキーの瓶を
高く掲げて
「注げ」って言ったわ
メルボルン空港でカウボーイを
燃やしてやったの
何かのメタファーかデフォルメなら良いのですが。まさかのまさか、こんなことを
本当にやっちゃったとか言わないですよね??
でも女豹みたいなパフォーマンスをしているナデア嬢の画像などを見ていると、つい
「まさか、ね・・・」とか思っちゃって・・・。まさか、ね。
あと、歌詞じゃないけど、「アー、アー、アー、アー・・・」という高音の部分が
全体の流れと併せて、エクスタシーの瞬間そのものみたいな場面になっている
#3「ホワットエヴァー・ラヴァーズ・セイ」。
全く彼女にはハラハラドキドキさせられっぱなし。肉食系女子というやつですね。

このアルバムを一枚で表現しているような画像。
舞台はきっと夜のキャバレーで、はすっぱでやんちゃで憎めないストリッパーが居て。
アルバムの感想もまさにそんな感じ。
本格派だけど親しみやすくて、エロいけどピュアな一面が時折覗いて、
普段はエロ格好良くて、ときどき乙女のように可愛い。
かるく聴くことができるけど気概や才気も感じられる、楽しい一枚です。
ナデア嬢のステージ衣装もそうだけど、ガガ様といい、先日の情熱大陸の
きゃりーぱみゅぱみゅといい、今のトレンドは「自由奔放」「やりたい放題」なんでしょうか。
頭のネジが十本や二十本外れたくらいでないと、このご時世、ブレイクできないのか・・・?
私が改めて「あの頃、シンガーソングライターで食べていこうと本気で目指さなくて良かったな」
と安堵した瞬間でありました@情熱大陸。いや、ただの言い訳なんですけどね。
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