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NICO:その3 The End...「黒く重いトーンの美しさ、ノイズの嵐・・・アヴァンギャルドに彩られた巫女の祈り」
そうそうないのではないでしょうか?
元ヴェルヴェッド・アンダーグラウンドの歌姫で、お人形さんのような容姿の
NICO(ニコ)が、一般的な代表作である「チェルシー・ガール」をリリースした
5年後に世に出したアルバム、「The End...(ジ・エンド)」。
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とってもかっこいい、絵になるジャケット。
この渋さ、翳り、画面における黒の多さは、そのままアルバムの音に繋がります。
「チェルシー・ガール」では楽曲について「自分の曲じゃないから」という不満を
述べていたニコ、本作ではカヴァー曲以外の全曲を作詞作曲、アレンジにも関与。
そして後年のライヴ・アルバムでも見せているように、トレードマークともいえる
ハーモニウムを本作でもたっぷり披露しています。
また「チェルシー・ガール」他、彼女の多くのソロアルバムをバックアップし続けた
ヴェルヴェッド・アンダーグラウンドのジョン・ケイルが本作でも大きく関わり、
プロデュースはもちろん、ベースやピアノ、オルガン、シンセサイザー、パーカッション、
はてはマリンバ、トライアングル、エレキ/アコースティックギターなどなど
アルバムの担当楽器に書かれているのは実に12もの数。
更に本作では、名ライヴ「JUNE 1.1974」での共演をきっかけに出会った
あのブライアン・イーノがシンセサイザーで参加。
・・・こうやって聞いて、興味を惹かれずにはいられませんでした。
楽曲は全8曲、収録時間は40分強と少ないですが、1曲の長さがやや長め。
そして、使われている音がかなり多く(ケイルの担当楽器にも明らか)、
全体的にドロドローッとした世界のため、聴きごたえがあって
あまり短いとは感じません。
本作におけるニコは巫女のよう。
#1イントロで「シャランシャラン」という音をたてて現れ、死者と対峙し
あるいは死者の世界のなかに入り込み、祈りによく似た呪術的な歌を
時に切々と、時に高々と歌い上げていきます。
彼女の哀切感(と力強さ)漂う歌声やハーモニウムはひたすら自分の内奥へ、
世間(=聴き手)から遠く離れたところへと潜り込もうとするのですが、
そこを浮世ときちんと繋げるのが、実験精神溢れるアレンジ。
あらゆる楽器を駆使してアヴァンギャルドな風味を加えるケイルに、
ニコとケイルそれぞれの個性を巧みにまとめる役割を果たすイーノ。
また、エレクトリック・ギターで参加しているフィル・マンザネラも
要所要所で効果的にアクセントをまぶしています。
全体的にどことなくエスニックな匂いもします。
ノイズの嵐がたびたび吹きすさぶ中、ニコは孤独な少女のような表情を
覗かせるようになっていきます。
死者という「かつての生者」の喪失を悲しみ嘆くように。
あるいは、成仏できずに彷徨っている霊の心細さ、心許なさに共鳴するかのように。
これが#3や#4あたり。
そして次第に、自己の深淵を凝視するような曲調へ。
想いは地中深くへ、もっともっと深く堕ちていきます。
いつしか悲しみは無常へと限りなく近づいて、眼は虚無をじっと見ていて。
そんな光景が浮かぶのが#5や#6で、#5では哀切ながら高らかに「Die」と繰り返し、
#6は最も混沌とした曲調で、どよんどよんと揺らめくギターやベースが強烈。
#7のタイトル曲「ジ・エンド」は、ドアーズの曲のカヴァー。
そしてドアーズのヴォーカリスト、ジム・モリソンは、ニコと交際していたことも
あったのですが、1971年にオーヴァードーズで急逝。
そこにきて本作のリリースは1974年(なぜかWikipediaでは73年となっているが・・・)。
彼の急逝時、共に居たガールフレンドはニコではなく、つまり交際はとうに終わって
いるはずですが、恋愛関係を超えた連帯感、仲間意識、魂の共鳴があったのでしょう。
独唱にも近く、ポエトリー・リーディング風な部分、「アアアアア・・・」という呻きなどを
交えながら、10分近い長尺の曲を生々しく紡いでいます。
最初から最後までがお葬式の一部始終のようにも感じられる本作、
ニコは何に、誰に向けて「おしまい」「さよなら」を告げているのかと考えてしまうのですが
一番近い答えは「ジム・モリソン」なのでしょうか。
そして、本作のThe End...の瞬間。
#8(ドイツ国歌)のイントロが霊柩車のように鳴り響き、次第に賛美歌に転じていき、
ぞっとした直後に最初で最後の癒し、救いのオルガンに包み込まれていきます。
それはまるで成仏のよう。
しかしあまりにも唐突なエンディングのようにも。
あんなに長々と、死と悲しみと無常を見据えていたというのに。
「もういっか!」って、なっちゃったのでしょうか。
アルバムのライナーノーツではこのようにあります。
「ジ・エンド」の描く強烈な内的葛藤の風景と、その後に続く8曲目の
"ドイツ国歌"が浮かび上がらせる鮮やかな軌跡。
彼女のファンであれば誰もが自然にこの飛翔に
ニコの生涯を重ね合わせて行くはずだ。
ニコといえば「ドラッグ・クイーン」、内的葛藤を麻薬で解決という生き様のことか、
あるいはイビサ島での自転車事故による急死のことか。
どちらにも取れます。どちらも当たっているのかもしれません。
それはニコ本人にしか分からないこと、もしくは運命のみが知っていること。
・・・思えば彼女はあまりにも運命に翻弄された女性でした。
モデルになって女優になって、お飾りでバンドの歌手になって、
念願のソロアーティストになったと思ったら麻薬に溺れて、はては事故死。
居住地もドイツからイギリス、アメリカ、それからパリ、最期はスペインの島へ。
男性関係も含めてあちらからこちらへ、彷徨い、漂い、流浪ともいえるような一生・・・
音楽性はもちろん、そのあまりにもドラマティックであまりにも不器用な生涯が
私を惹きつけてやまないように思います。
哀切で、美しく、神々しい、ニコの描く世界。
そこにつかず離れず寄りそい主張する、アヴァンギャルドで気持ち良いサウンド。
名盤と呼ばれるのは納得。少々?暗いですが、たまにそんな暗闇のほとりに
身を委ねてみたくなったとき、ひっそり、じっくりと味わいたい一枚です。
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NICO:その2 Chelsea Girl「代表作が異色作の異端な『ICON』・・・肌寒い日の陽と陰の情景、けだるく神秘的な魅力、甘い魔力」
NICO(ニコ)のソロ1stアルバム「Chelsea Girl(チェルシー・ガール)」。
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物憂げな表情にブロンドというのがいいですね。髪はストレートで、黒セーターを羽織った
シンプルな佇まい。
毎月、CD棚のCDを一枚飾っているのですが(今月はWarpaintの「The Fool」のエミリー写真)
冬になるとやっぱり一度はこれを使いたい!
ふいんき(わざと)がありますからね。
彼女は、多くの人に知られているように、1stアルバムだけですがThe Velvet Underground
(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、以下V.U)の一員としてその存在を知られ、
V.U脱退後ソロになった後もメンバーのジョン・ケイルや、ブライアン・イーノなどとともに
意欲的な作品を寡作ながらリリースしていきます。
驚いたことに、モデルだった彼女が歌手デビューをしたのは、当時恋仲にあった
ブライアン・ジョーンズの紹介で、そのシングルのB面をジミー・ペイジが
作曲・プロデュースしていたのだとか。(但し全く売れなかったようですが)
また、ジム・モリソンとも恋仲にあったり(ドアーズの「The End」をアルバム中でカヴァー、
タイトルにも冠している)、アラン・ドロンとの認知されない子を育て、オムツも替えずに
麻薬三昧をしていたり、最期は50歳の若さでの自転車事故だったり・・・
話題性に欠かない「アイコン」「ドラッグ・クイーン」ですが、
彼女のけだるく神秘的な魅力、甘い魔力を巧みに真空パックしたアルバムがあります。
それが本作「Chelsea Girl」。
ボブ・ディラン、ルー・リード、ジョン・ケイル、ジャクソン・ブラウン・ティム・ハーディン。
ソングライター陣に錚々たる顔ぶれが揃った一枚です。
最近の邦楽でいうと木村カエラみたいなものでしょうか、オシャレっぽくて、音楽界の偉い人が
なぜか沢山集まってくる。
こっくりとした声の深み、伸びは、このころから80'sまで変わらないままです。
外見は残念なほど劣化してしまったニコですが(詳細は前回記事のDVDをご覧ください)、
歌声はそんなに変わらなかったように感じます。
彼女の歌声(話し声含め?)を揶揄して「排水溝に水が流れる音」と呼ぶ向きも
あるようですが、まぁそれも分からなくもない(苦笑)。
でも本作ではストリングスをふんだんに散りばめて、包み込むように華やかに仕上げ、
秋から冬頃にかけての寒さや温もり、少しの切なさ漂う、元モデル~「アイコン」には
相応しい一枚に。
名実共にニコの代表作になっています。
しかし皮肉にもニコのほうでは本作が気に入らず、ルー・リードなども本作のアレンジを
クソミソにけなし「俺がアレンジしたほうがよかったかな」などと言っていたとか。
要は「ストリングス多用」「装飾過多」ということのようです。
アンディ・ウォーホルとの出会いやV.Uへの参加をきっかけにニコ自身ものちに作曲を始め
次作以降から本格的にアーティストへと羽ばたいていくので(前回記事のDVD収録の楽曲は
殆どが次作以降のアルバムからの曲、所々にV.U時代のニコ曲)、アイドルを脱していない
「誰かに作ってもらった曲を歌うだけの歌手」である本作が不服だったとみられます。
更に、ニコが今後志向する方向性は「ハーモニウム多用の本格サイケ」なので、#5を除いて
アルバムの方向性に納得いかなかったことも考えられます。
まぁ言われてみればあの曲もこの曲もストリングスでちょっとしつこいかもしれません。
曲そのものに漂う空気感が伝わりにくくなっている印象もところどころ受けました。
だけど残念で皮肉なことです。なにせ「ニコ=Chelsea Girl」だと思ってきたし、
ストリングスやその他装飾音は冬のセーターみたいな温もりのように感じられるし、
その後の作品にふれるのはあまり簡単にできることではないし・・・
ニコの意には沿わないかもしれないけれど、やはりこれはこれで好きです。
微妙に同じ曲ばかり揃っているような気がしなくもないけれど、アルバム全体がそんなに
長くないせいか、さほど気にならないし。
#1~#3にかけての、秋~冬の愉しむ少女達、一転し#4や#6の憂鬱でミステリアスな少女、
あきらかに異彩を放つも今後の方向性を鮮やかに照らす#5のサイケデリック、
そしてまた#7から始まる、肌寒い日の陽と陰の情景、あっさりと事切れてしまう最後の#10。
同じモチーフをひたすらひたすら繰り返す、童話のような展開。
牧歌的で優しくあたたか、ほっこり深みがあり少しもの悲しい、アレンジや歌声の質感。
うっとりするほどなめらかな、美しく丁寧なメロディに甘美なアレンジ。
ニコという謎めいた女性の魅力を多角的に表現した一枚ではないでしょうか。
次作以降の「本来やりたかったこと」=サイケとは随分違うかもしれないけれど、
POPでしっとり名曲揃いの本作は、やっぱり名盤じゃないかなと思います。
80年代のライヴを観て次作以降の音源がとっても気になっているけれど、
(だから連番が「その2」で、前後編ではないのです)
最初にニコと出逢った一枚「Chelsea Girl」を冬のお供として愛聴するひとときは
これからも変わらない恒例の習慣となるでしょう。
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NICO:その1 an underground experience+heroine & All Tomorrow's Parties「けだるさは耽美に、退廃は快楽に変わる」
記念すべき1stアルバムに、なぜか3曲でヴォーカリストとして参加している
アンディ・ウォーホルが連れてきた謎めいたブロンド美女、それがNICO(ニコ)。
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V.Uのこの1stで「Femme Fatale」「All Tomorrow's Parties」「I'll Be Your Mirror」
の3曲をけだるく歌う彼女は、同アルバムをもってバンドを去るも、
ルー・リードやジョン・ケイルといったV.Uの面々も含めた豪華作曲陣を迎えて
ソロ1stアルバム「Chelsea Girl(チェルシー・ガール)」をリリース、
その後も3枚のアルバムをリリースするも暫くはドラッグに溺れ、安定した音楽活動が
ままならないほどに。それから時は過ぎ、1981年に久しぶりのアルバムをリリースした後は
精力的にライヴ活動を行い、その模様を記録したのが今回紹介する2枚のDVDです。
そして1988年7月18日に不慮の事故により、享年50歳(45歳説あり)という若さで死亡。
アラン・ドロンとの間に認知されない子をもうけ、シングル・マザーとして子育てをしたり、
ジム・モリソン、ブライアン・ジョーンズ、ルー・リードなどとも浮き名を流すなど、
波乱の生涯を送った「アイコン」「悲劇のヒロイン」「ドラッグ・クイーン」ニコの
80年代のライヴを収めた2枚のDVDを発見したので、ご紹介します。
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それぞれに収録されている時期は微妙に異なり、場所も異なり、計5本(実質4.1本くらい)の
ライヴを観ることができるわけですが、内容も結構変わるので、ライヴごとに違う顔、音を
覗くことができます。
そして、同じインタビュー映像が収録されていたり、カメラワークがそっくりだったりして
この2本のDVDは姉妹のような存在であることも窺い知れます。
2本のDVDを観て、ニコのライヴの特徴を羅列すると次のとおり。
●長身でけだるげにマイクスタンドを握りしめ、ステージ上でしばしば煙草をふかしたり、
煙草片手に歌い、アクションは殆どしない(ある意味、煙草プレイがアクションなのか)
退廃的な佇まいが基本。
●多くの曲でハーモニウムを演奏する。座って小さな鍵盤楽器に向かっている姿がそれだ。
一気にアーティスト然として見える。ハーモニウムはニコの楽曲のトレードマーク。
●比較的多くの曲ではハープシコード(インタビュー中、ニコがそう言っていた。ピアノを弾いて
いるように見える場面がそれだ)を弾き語りする。シンガーソングライター然として見える。
●音程は微妙だが、声量が凄く、比較的安定している。しばしば「排水溝に水が流れる時の音」
とその歌声を揶揄されることがあったそうだが、広く長く朗々と伸びるアルトヴォイスは個性的で
ほかではみられない風合いがある。
●ハーモニウムを弾きながら歌う曲に多い呪術的で原始的な「ニコ節」と、ニューウェーヴ・パンク
といった当時の最先端のシーンを柔軟に吸収した楽曲との間を自在に泳いでみせる。
●V.U時代の曲「All Tomorrow's parties」「Femme Fatale」などはライヴの定番曲で
やっつけ気味のアレンジの原曲よりよほど名曲然として聴こえて驚かされるが、
ニコの代表作ともいえる1st「Chelsea Girl」からの曲はあまり演奏されない。
(ニコ曰く「他の人が作った曲だから」「私の曲じゃないから」。次回詳しく迫るが、
ニコにとって「Chelsea Girl」はかなり不本意な作品だった)
●「アイコン」とのことで、派手で奇抜な格好をしているのかと思っていたらそうではない。
地味だけどさりげなくお洒落な、何気ない服装がとても粋。
しかしV.U時代や「Chelsea Girl」時代の面影は薄れ、はっきり言って容姿はオバサンである。
地デジで観るアップは申し訳ないが放送事故レベルだった。視聴は食事どきを避けること。
DVDごと、ライヴごとの特徴を簡素にまとめると次のとおり。
<an underground experience + heroine>
●an underground experience:82年製作。アンダーグラウンドのクラブで歌うニコ。
観客は頭ツンツンのパンクス青年が目立つ。屋内かと見紛ったが、ぼるい室内である。
力強いドラム、軽妙なシンセ。パンク直結、明るく力強いムードが他と比べてかなり異色。
茶髪(黒髪?)、囲み目メイク、目見開きがかなりゴス。椎名林檎などを連想させる。
アップが多くて視覚的にかなりキツい。
●heroine:85年製作。マンチェスターのライブラリー・シアターで行われた
アコースティック・ライブ。ニコの独唱や、ハーモニウム、パーカッションの
僅かな伴奏だけで歌う楽曲が多い。緊張感があり、厳粛なムードが漂う。
ニコの楽曲のサイケデリック性、おどろおどろしさがむきだしになっている。
冒頭に「ICON」の文字、エンドクレジットあり。かなり遠景が多く逆に観づらい。
<All Tomorrow's Parties>
●INCOGNITO:始まってすぐに呆気にとられること請け合い。
ジョイ・ディヴィジョンなどを彷彿とさせる80'sニューウェーヴの冷たいエレクトロサウンドに
無機的な光の演出。平板、無気力、退廃的、ほぼ直立不動というニコの歌や佇まいは
このシーンと予想の斜め上に相性が良いらしい。異空間に旅立てるひととき。
●HACIENDA BIRTHDAY PARTY:ぼわっとした髪型で1曲だけ弾き語りをする、バースデイ
パーティの様子が収録(挿入といっても良いだろう)されている。
●LIBRARY THEATRE:どことなく「heroine」ライヴに似ている。同一?
今度は80'sファンク系ポップス調のアレンジで幕を開けてアダルト・オリエンテッドな味わい。
そこから冷たいシンセサウンドと寒々しいギターに彩られて再びゴス風NWで退廃の美、
エスニックでドロドロとカオティックで醒めた、CANにも通じるようなニコワールドへ。
ラスト、メンバーが誰もいないステージで独唱するなど、無音、静けさをまとう姿も目立つ。
バンド内の立場(ウォーホルに無理矢理押し込まれたメンバー)もあってか、V.Uの1stでは
消化試合的な位置づけだったニコ曲は、さまざまにアレンジされてライヴのハイライトとなり
これらの曲のメロディの美しさにうっとりさせられ、淀んだムードを静謐に清めてくれます。
たいして綺麗でもないエラはりでむっちり太って汗ばんだおばさんを「ICON」として
見続けるのは厳しい瞬間もありましたが、にもかかわらず無二の存在感と迫力を感じました。
さまざまなシーンを自在に泳ぐ姿を見て、「雰囲気を身に纏う」ことができるがゆえに
唯一無二の「ICON」であり続けることができたのだろうと考えていました。
インタビューでは同じ話を何度もしないと通じなかったり、挙動不審の節もあって
嫌味?ドラッグ?と不安になったり不快になったりしたものですが、何故か憎めない。
けだるさが耽美になり、退廃が快楽になる。
彼女の魅力、魔力の真骨頂を堪能できる2DVDでした。
次回は、これらのDVDにほぼ全く収録されていなかった、ニコの一般的な代表作である1st
「Chelsea Girl」についてとりあげます。
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