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【漫画】久住昌之&谷口ジロー「孤独のグルメ」感想

もはや国民的作品といえそうな漫画、原作・久住昌之、作画・谷口ジロー「孤独のグルメ」。
そのコミックスを探すのが少々大変だったのです。
コミックスは基本、レンタル派だから。
それで出費を惜しみつつ、中古の本屋さんに行ったら、おお、難なく発見。
ちょっと高くついたけど、クオリティの高さに圧巻で、これはこれで
よしとしました。
そして一気読み、感想となるわけです。



孤独のグルメ 【新装版】孤独のグルメ 【新装版】
(2008/04/22)
久住 昌之

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「新装版」と銘打ってある理由は、1994年~96年に連載されて一度完結し、
コミックスも発売されながら、2008年に復活し、その復活作も1話収められているから。
連載当初・コミックス発売当初より、時間が経ってネットで高い評価を得てヒットした作品。
そして、この評判をもとに、ドラマ化が実現したのが2012年(Season1)となる。
私はSeason3あたりからリアルタイムで観て、Season1~Season2は再放送で観たと思う。
「原作も読んでみたい」との思いが募るなか、やっとコミックスの発見に至ったというわけだ。

・ドラマで馴染んでいたので驚いたこと
このように、完全にドラマから入った人間が原作を読むと、当然、発見と驚きまみれになる。
以下、いちいち驚いたことを伝えていきたいと思う。

・チョイスをしばしばしくじる
ドラマではリアルタイムで実在するお店を取り上げているため、お店に悪いイメージのつくような
エピソードは当然ながら放映できない。
しかし、漫画では(こちらも当時実在したお店を多くモデルにしているにもかかわらず)
多くの人が外食でやりがちなミスを五郎もしょっちゅう犯すのだ。
#6では新幹線のなかでジェットシュウマイ(テープを引っ張ってその場で温める弁当)を頼んで
車内がシュウマイ臭くなり、乗客に笑われたり、
#15ではコンビニで夜食のお総菜をたくさん買いすぎた挙げ句、おでんとうずらと卵焼きで
卵がダブってしまったり(ダブりエピソードは他にも沢山ある)。
考えて頼んで・買っているつもりでも、こういうのあるある。

・穏やかな五郎、まさかの喧嘩!
ドラマの五郎からは想像もできない場面で、とても驚いた。
だから松重豊さんが五郎になったんだ、と妙に納得したが(笑)。
#12、あるめしやで留学生の店員を大声でずっと怒鳴る店長に、五郎、正面から抗議。
あの大食いの五郎がほとんど食事に手が着かない有様。
「帰れ!」と怒鳴り、胸をどついてくる店長に対し、五郎は武術の技をかけて圧勝。
こんなこともあるんだ・・・・・・問題作。ドラマじゃまずできないエピソード。

・お店での食事が主役にならない
ドラマでは、食前に甘味処に寄ったりするが、主役は一つのお店での飲食の様子。
しかし漫画では、食が脇役になることもたまにある。
#14では、行こうと楽しみにしていたお店がなくなっていて、別のお店で食事をするが
おいしさもどこか上滑り、探していたお店に行けなかったやるせなさが上回る。
#13では食事はほんの一瞬、主役は夏の暑さと甥っ子応援のための甲子園観戦。
ドラマ同様、食事を中心に据えてはいるが、漫画は食事とともにある一定時間を
ドキュメンタリーのごとく切り取っているともいえるのだ。

ハードボイルドな一匹狼
ドラマの五郎は漫画のそれと比べて性格が柔和になっているという。
漫画はひたすらモノローグと独り言で構成されているが、そのモノローグが
ハードボイルド作品の語り口を思わせる。
例えば#2の冒頭。

輸入雑貨の貿易商を個人でやっている俺だが
自分の店はもっていない
結婚同様 店なんかヘタにもつと
守るものが増えそうで人生が重たくなる
男は基本的に体ひとつでいたい


不器用で結婚できないのか?という印象のドラマ五郎と違い、漫画の五郎は
自らのポリシーに則り、望んで一人でいるようだ。
その話のラスト、ニヒルに煙草の煙をくゆらせて振り返る表情はナルシストぽくもある。
また、#7では大阪に出張で行って、客に話しかけられても「はあ」、
大阪流ジョークを振られても「あ・・・そうですか」とつれない。無口な男である。
たびたび、昔の映画や文学作家を回想する場面もあってシブい(#3、#7)。

・食事をする前後、最中の心の流れに密着
漫画では仕事中の五郎の姿は一切出ない。
腹が減る→お店を探す→メニューを選ぶ→客や店員を観察する→
来た飯を観察→味わう→食べ終える、ただただこの過程をねっちり追っている。
満足したり、不満だったり、迷ったり、焦ったり、後悔したり、幸せだったり、
食事をするときの人の心の動きを仔細に描写している。
しかしまあ五郎は頭のなかでよくしゃべる、ひとりごとでもよくしゃべる。
ドラマでもそうだけど、漫画でも、時々笑ってしまう。

・料理のディテール、店内のディテール
・コミックスの半分くらいの回で、頼んだ料理について詳しく説明している。
例えば、#16の「月見おろしうどん」の説明はこうだ。

たっぷりの大根おろし
揚げ玉がうれしい
ツユは薄めの色 味も塩味でアッサリ
ネギは関東風に白ネギ
一味を自分でかける(寒いのでタップリめ)
生卵 熱ですぐ白くなる
麺は確かに手打ち風 カドが立っていて しっかりしている


これらの文言を、ひとつひとつの具材のうえに書いてある。
食べたくなる臨場感。絵もリアルで、実においしそうだ。

・店内の客の観察もいつも細かい。
#1では「みんな帽子を被っている」
「この店の中で食う客ってのは ほとんど飯より酒なんだな」という具合で、
小説を読んでいるような錯覚に陥る。

・描き込みの量が半端ない。
否応なしに立ち上る感嘆とリアリティ。
とくに#8の工業地帯、#17の秋葉原の商品の山などは圧巻。

・食べたくなったもの
「深夜食堂」に続き、ここでもやってみた。
なすのおしんこ/とん汁/豆かん/いくらどぶ漬け/岩のり/饅頭/
シウマイ/たこ焼き/焼き肉/江ノ島丼/ハンバーグランチ/
ウィンナーカレー/コンビーフ/コンビニおでん/冷奴/卵焼き/
月見おろしうどん/かつサンド/餃子/焼きそば/
白飯、ジャガイモのみそ汁、野沢菜/
コッペパン、ピーナツマーガリン、トマト味の野菜スープ、バナナ/
うん、きりがない(笑)
「深夜食堂」の絵は描きすぎない余白が「うまそう」をもたらすのに対し
「孤独のグルメ」は、徹底的な描き込み、五郎の観察の台詞によって
おいしそうに見える、思える。
この対照的な漫画、両方好きと感じられるのがなんとも幸せである。

・五郎のイデオロギー

・食の自由と権利

モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず 自由で なんというか
救われてなきゃあ ダメなんだ
独りで静かで 豊かで・・・・・・


#12の、店主と喧嘩するシーンの台詞である。
店主に「なにをわけのわからないことを言っていやがる」と反論されており
五郎、そこまで熱くならなくても、店主の反論ももっともだ、と苦笑も出るのだが、
このシーンで五郎が主張している内容は深い。

・食がいのちをつくる

生きているというのは 体にものを入れてく ということなんだな


特別編、五郎が怪我をして入院したときの食事、隣のお爺さんは
スプーンで看護師さんに食べ物を柔らかく砕いてもらい、
弱々しい音をたてながら、それでもひとり食べる。
その様子に耳を澄ませながら五郎が思ったことである。
食への愛に殉ずるあまり、たまに暴走しながら、哲学を持って五郎は食べ、
我々は五郎の哲学を通して「食べるとは、生きるとは」を考えさせられる。

・五郎が私たちに教えてくれるもの
食への愛はいうまでもなく、街めぐり、店めぐりの色合いも強い漫画で、
広い意味での愛、人生愛に溢れた漫画である。
食べっぷりがいい五郎だけど失敗も多い、そういう失敗も含めて
食という行為を慈しむ。
ささやかな日々を等身大で受け入れて楽しむ。
楽しいだけじゃないけれど、好きで大事なことを楽しむ。
人間としての力が漲っている作品だ。



かつて、胃を壊して何も食べられない状態に陥ったとき、
ドラマ版「孤独のグルメ」に救われた、という記事を書きました。
そして今、私は正体不明の慢性的な胃痛に悩まされています。
せっかく胃を治したのに、なぜか痛い。お腹が減らない。
食べても満腹感がない。そもそも自分の周りの何もかもに手ごたえがない。
病院で薬をもらったけど、効いているようなあまり関係がないような。
食事量と胃痛にあまり関連がない。
心の問題?錯覚?幻覚?どうなっているの?どうして?どうして?
そんな苦痛のなか、今度は漫画の五郎に救いを求めようとしています。
養生という要素もあり、「食べたいように」だけではいけないと思いますが
食べたいときにはワーッと食べてしまうことにしています。
だって、食べるって、こんなに楽しいんだもの!
その感覚が今にも薄れそうになっている今だからこそ
また「孤独のグルメ」を読み返したり、他のグルメ系小説を読んだりしようかと。
食の喜び、楽しさに一度目覚めたら、そうたやすくは無関心に戻れないのです。
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【漫画】安倍夜郎「深夜食堂」感想

しみじみ染みるドラマ「深夜食堂」を観ていて、
あとは、雑誌で「グルメ漫画特集」を読んでいて、
手に取りたくなった大判サイズのコミックス全13巻(現時点)の
安倍夜郎さんの漫画、深夜食堂
今回は、一連の既刊を2週間かけて全部読んだ感想です。
ふあーお腹いっぱい。



深夜食堂 13 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 13 (ビッグコミックススペシャル)
(2014/09/30)
安倍 夜郎

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まずは、ドラマを先に観ていた作品なので、どうしてもドラマとの比較がしたい。
ドラマと原作の比較
原作は、1回の連載につきわずか10頁の短い漫画である。
ドラマの30分も短いけれど、原作の尺は更に短い。
そんなことも手伝って、ドラマ化は相当、大変だったのだろうと思われる。
・ある話がドラマ化されるとき、原作の話にかなりエピソードや設定が
付け足されて、ときにほとんど別の話になっている。
複数の話をひとつの話にまとめてドラマの一話になっていることすらある。
原作では漫画という表現だから許される「言葉足らず」「余韻」が多くあり、
それではドラマとして成り立たないためだろう。
・初期の話が、現在放送中のSeason3に出てきたりして、
連載順はほとんど関係ない。ドラマオリジナルの話がかなり多いぐらいだ。
・原作では、ドラマ以上に、特定の常連さんが何度も登場していて、
いつもモブとして出ているような常連さんに、急に事件が起こり、主人公になったり。
ドラマでは新しく出てくるゲストが基本、主人公(原作も原則そうだが)。
・原作は月1~2回連載しているので、春夏秋冬の深夜食堂が存在する。
ドラマだと秋冬のクールを狙って放送しているので、深夜食堂はいつも冬だ。
それにしても、かき氷はセルフサービスって、面倒くさすぎじゃないか?
・原作では店の外に出て普段着で過ごすマスターの姿が登場する。
ドラマでは絶対にそんな場面がないので(今度公開される映画ではあるらしい)
ちょっとわくわくする。
原作のマスターの容姿は「元やくざ・・・?」というような雰囲気。(実際どうなのかは
まったく明らかにされない)
そして、あのめしやは、とある人物から譲り受けたものだということが判明する。
逆に、ドラマでは、マスターの目元の傷について、ドラマオリジナルキャラクターとの
関連が示唆されていた。それぞれの違いを見比べるのも楽しい。
ドラマで、漫画で、これから謎が明らかにされるかもしれないしね。

コミックスで気付いたこと ―「漫画」としての特徴―
・凝った装丁
毎回毎回、モノクロの「めしや」遠景の絵の上に、トレーシングペーパーがのって、
そこに白で、雲、雪、雨、枯れ葉、花びら、星、霧、火の玉(ユーレイ)などが
印刷されて、仄かで美しい。高い金を払っただけの質感ってものだ。
・独自の造形
安倍夜郎さんの描く絵はとても変わっている。
デッサンとかちゃんと整っているのか?というような危ういタッチなのだが
絵の個性で独自の世界にもっていって、成り立たせてしまう。
卵みたいな卵形の顔。メークインみたいな面長の顔。
ぼたりと零れ落ちそうなおデブ顔。
ユーモラスでチャーミング、記号のようでもある。
漫画でしかできない風合いを醸し出している。
・モチベーションを高めてイノベーションを起こさなきゃ
今のは、実際に客の会話で登場した台詞である。
どうにもリアリティのない台詞回し、新聞や雑誌の見出しなどが
コミックス前半~中盤にかけて散見される。
本当にこれが小学館漫画賞を受賞する超人気漫画なのか?
驚いてしまう(中盤以降になると少しずつ改善されたように思う)。
でも、そういう場面があっても、頁を繰ってしまうのが、この漫画の魔力。
・ふりがなの多用
店(うち)、旦那(あのひと)、ユウキとゲンキ(ふたり)などなどなど、
たびたび、ちょっと無理ないか?というようなふりがなが登場する。
ビーイング系列アーティストの歌詞のようでもある。ちょっとくどいかも。
・後半からの展開の豊かさ
コミックスの巻数が進むにつれ、料理の幅が広がっていく。
たまに、作り方説明が詳しく入ったり、簡易レシピまでついたりする回も表れる。
しかも実際のお店による協力までクレジットされていたりする。
凝ってる。面白くて、思わず作ってみたくなる。
登場人物の出身や食べ物の内容も全国津々浦々に展開されていく。
もちろん職業も多彩だ。毎回、話考えるの大変だろうな。

深夜食堂あるある
13巻も読んでいると、「あるある」が出来てしまう。そりゃあね。
・(脳梗塞で)倒れがち
「だれかれが倒れた!」という展開が3回に1回は出てきているような。
倒れた、入院した、実家に帰る、人生見直す、のセットも多い。
具体的な病気名としてはなぜか脳梗塞が4回はある。なぜに?
他にはがん、骨折、アルコール中毒など。あまり種類は多くない。
・実家や故郷に帰りがち
うまくいかない人生の最後に、「実家に帰ってお店継いだ」みたいなオチが
多いのも気になる。
せっかく東京に出てきたのに、みんな簡単に実家に帰りすぎ。
地方だと職や医療機関がなくて、帰りたくても帰れないケースだって多いのに。
もちろん、帰れない悲劇を描いた物語だってあるけれど。
思い出の味を実家や故郷に求めすぎている感もある。
リアルな田舎出身者としては、そこはどうしても目に付く。
・恋愛の展開が早すぎがち
10頁で始まって終わる話だからそうしないと間に合わないのだろうが
めしやで出会ったり再会したりして、あっという間に
付き合い始めたり、関係を持ったり、同棲したり、結婚したりしがちである。
時々笑いながら読んでいた。
この漫画は不条理世界のギャグ漫画だと思って付き合ったほうがいいかも。
漫画にリアリティを(絵・物語とも)求める人には恐らく向かない。

深夜食堂の世界観と魅力
・居場所
一ヶ月半行かないだけで「もう一ヶ月半来てない」というマスターのモノローグになる。
常連さんは、週に何回も、めしやに通っているふうである。
まるで家、定期的に通うのが当たり前の場所。
・喜怒哀楽
おいしい顔、困った顔、泣いた顔、笑顔・・・
喜怒哀楽、客のありのままがさらけ出され、受け止めてもらえる場所がめしや。
マスターや常連さんが、ある程度の距離感を保ちながら、時には背中を押したり諫めたり。
「おいしい!」と笑う女性がみんなかわいいのがとても印象的。
かわいい女性探しをする漫画としても案外いいかもしれない。味のある系だけど。
・全ての職業に貴賎なし
めしやの客には、水商売や風俗の業界で働いていたり、それらを利用していたり
といった場面が多く登場する。完全に大人向けコミックスなのである。
ストリップ嬢と舞台俳優を比べて前者がひけめを感じる必要のない場所。
かえって、えらい人が浮く(たまに常連客になるケースもあるが)。
働いて、おしゃれじゃないけど安心するめしを喰っていれば、それでよし。
逆に言うと、働いていない人は基本的に登場しない。
働けなくて苦しんでいる人も見てみたい気がするが、それじゃめしやに行けないか。
・まるで小咄
とんちの利いた漫談みたいな話から、後味切ない人情噺まで。
笑えてしんみりする、うまくまとまった小咄をノンストップでお届け。
もっともっとと、頁を繰ってしまうのだ。

読んでいると思わず食べたくなる、やってみたくなる
めしを作ったり食べたりする場面はこの漫画の優れた「脇役」であって
主役は人情噺なのだが、絵や「おいしい!」と喜んでいる登場人物を見ていると
つられてしまう。以下、私がつられた食品や作り方をリストアップする。
たらこを焼く・生で食べる/ポテトサラダ/バターライス/猫まんま/
さんま蒲焼き丼/ツナマヨ丼/コンビーフ炒め/春キャベツ/
カップ焼きそば(巻末の宣伝漫画にて)/塩鮭/(湯)豆腐/リンゴ/梅干し/
焼きうどん/まいたけの天ぷら/ロールキャベツ/ブリの照り焼き/ワンタン/
コロッケ(からあげ、エビフライも)そば/レタスチャーハン/
わかめとキュウリの酢の物/フライドポテト/アボカド/ホーレン草のソテー/
他にもいっぱい。
この漫画に影響されて粗食に妙な憧れを持つようになった。
我ながら呆れてしまうが、やっぱ、グルメ漫画だな、この漫画は。
ああ、次から次へとおいしそうだ。


頼めば何でも作ってくれる食堂なんてどこかにあるのでしょうか?
週に何度も通って、居場所として機能するめしやはよくある話?
深夜から早朝「だけ」営業している食堂ってよくあるのでしょうか?
お店でここまで常連同士の距離が近いのはなかなかないのでは?
不思議なお店。お店というより福祉関係のセンターに似ています。
でも福祉くさくなく、あくまで中心はめしをおいしくいただくこと。
そして人と人とが自然に繋がり合う。
ああ、こんなめしやがあったらなぁ・・・・・・
今日もまた、そんな「桃源郷のような場所」を切望してやまないのです。

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【漫画】松本大洋「ピンポン」感想【長いよ】

前回のドラマ感想で「ピンポン THE ANIMATION」が面白かったので原作の漫画を
読んでみたい、という願望を書いたんですが、有言実行とばかりに、すぐに近所の
コミックレンタルに走りました。もう、いてもたってもいられずに。
そうしたら、皆考えることは同じのようで、コミックスは全巻借りられていて・・・・・・

ピンポン(1) (ビッグコミックス)ピンポン(1) (ビッグコミックス)
(2012/09/25)
松本大洋

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最後の砦とばかりに、愛蔵版がありました。但しサイズはオリジナルの半分のやつ。

ピンポン 1 (小学館文庫 まC 2)ピンポン 1 (小学館文庫 まC 2)
(2012/07/14)
松本 大洋

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半分だしなあ、でも待ちきれないしなあ、と考えた末、愛蔵版を借りて読みました。
返しに行ったら、おっと、オリジナル版が返却されている。ちょっと泣きたくなりました。
ん~それはともかく、原作漫画の感想、いってみます。


個性的な絵フェチにはもーたまらん
表紙を開くだけで「普通じゃない」とわかる、独特の絵が特徴。
一般的な太くも細くも書けるペン(Gペン)を使わず、細い線のペン(ミリペン)のみで
人物も背景も描く。これにより、独自の微細な「ふるえ」、繊細なタッチが生まれる。
学校や卓球台などの直線を描くとき、ペン入れでは定規を用いずにフリーハンド
(但し下書き段階では使っていると思われる。だからいい加減な印象はない)、
人物から無機物が切り離されず、自然とそこにあるように見える。
人物は、リアルな人間の顔をベースに、ギャグになるスレスレまで特徴を強調して、
忘れがたいキョーレツなインパクトを持つキャラが主役から脇からどんどん登場。
例えば、ペコちゃん人形のような童顔(ペコ)、極端な釣り目(アクマ)、人間というより
モンスターみたいな強面(ドラゴン)、今にもぼたりと垂れ落ちそうな顔(オババ)・・・。
読む人を選ぶかもしれない。少なくとも少女漫画みたいな絵が好きな人には向かない。
作中で「色男」「可愛い」と言われるスマイルやチャイナですら、試合中のシーンなどは、
とてもイケメン枠の人物とは思えないくらい崩される。そういうのを覚悟で読むべし。
個性的な絵の漫画を選んで読んでいるぐらいの好みの人にこそしっくりくると思われる。
自分がまさにそういう好み。だからど真ん中。何があってもついていく、くらいに嵌った!

スポ根漫画の王道を行きながら、少年期の不安定で揺れる心も描く
序盤のスマイルの描写を読んでいると、卓球を通して揺れる心を描くのが中心なのかな?
という印象を持つし、実際にそれは本作の重要なテーマのひとつではある。
しかしながら基本的にこの漫画のカテゴリーは、れっきとした「スポ根漫画」である。
卓球のリアルを追求するためにみっちりと取材を重ね、連載時(1996~97年)の卓球界の
情勢も反映。インターハイの会場は、実在する会場を大洋氏が隅から隅まで写真に撮り、
それが生かされて、試合会場だけでなく会場外ののどかな売店まで緻密な描写が可能に。
試合シーンや練習シーンの画には、スピード感、緊迫感、力強さが漲って、読み応え満点。
知ったときは驚いたのだが、松本大洋氏は中高ずっとサッカー少年だったのだそうだ。
思春期にスポーツ漬けだったからこそ、スポーツにかける選手たちのさまざまな心情を
描けたのだと思う。強い選手、あと少しの選手、インターハイなんか出られない部員まで。

精神的な部分について、大雑把にまとめるとふたつに分かれそうだ。
①スマイルとドラゴンは、共に自分に閉じこもるところがあり、実はかなり似た者同士。
両親が早くに離婚し、父不在、母とも十分なコミュニケーションをとれないスマイルは、
小学生の頃から酷くいじめられ、高校生になっても周りの卓球部員とうまくやれない。
ドラゴンは、(匂わす程度だが)父親からの過剰な期待、高校1年生でインターハイを
制してからは部や学校からの大きすぎる期待に苦しみ、試合前、トイレに一人籠もる。
卓球の実力は人一倍あるのに、心は満たされず、他人に素顔を見せられないふたり。
彼らの課題は、自分の殻から抜け出すこと、周り=世間とうまくやること。
②一見、まるで似ても似つかないが、ペコとチャイナも、意外と似たところが多い。
すぐにしょうもない軽口を叩くところなんかそっくりだと思って読んでいた。
ふたりとも、幼い頃は神童扱いされ、実際に無敵で、ちやほやされてきたのだろう。
そのせいか、実力を過信し、周りを見下している節があるのだが、共に挫折を経験する。
チャイナは上海ジュニアのナショナルチームから脱落し、まさかの日本留学、予選敗退。
ペコはチャイナにフルボッコにされ、昔なじみのアクマにまでインターハイ予選で完敗。
チャイナは逆境ですぐに動揺してしまう。ペコは自棄を起こすだけで反省しない。
彼らの課題は、現状を受け止めること、謙虚になって努力を一から始めること。
最終話までに、卓球を媒介に、全員の課題がそれぞれのかたちで乗り越えられる。
フィジカルの壁、メンタルの壁、双方を乗り越えて、全員が卓球を、人生を切り拓く。

少し残酷なリアルと、ひとすじの希望
「ピンポン」は「才能」をテーマにした漫画だともよく言われている。
卓球の才能がある人間と、ない人間とで、くっきり明暗が分かれる。
とりわけ、それが現れているのが、最終話の「5年後の世界」。
天賦の才能に努力を加え、覚醒したペコは、ドイツのプロリーグで大活躍している。
体つきも別人のように大きくしっかりして、ちょうどいい時期にピークが来たといえる。
一方でドラゴンは、世界選手権の代表から落ちてしまう。凡庸な選手になってしまうのを
恐れる彼は、高校時代がピークだった。才能のタイミングが悪かった、それも才能のうち。
才能はあってもプロを望まなかったスマイルは、小学校の先生を目指して平穏に暮らす。
ドラゴンはそんな彼を「いい選手になれる器だったのに」と嘆くが、本人は満ち足りている。
人間味の足りなかったスマイルとドラゴンが、5年後には自然に笑い合い、昔を懐かしむ。
才能はなくても、ペコやドラゴンに憧れ、努力だけでいいところまでもっていったアクマは、
周囲から認められないために絶望し、傷害事件を起こし、高1で卓球をやめてしまった。
報われなかったが、やれることを全てやりきって未練はなく、もうすぐ結婚するという。
(最終話には登場しないが)チャイナの才能は選手より、コーチとして目覚める兆候を
幾つかの場面でみせている。因みにアニメだと彼の運命は大きく変わり、賛否両論あり。
卓球の世界で成功することだけが幸せの基準だとみなすなら、幸せなのはペコしかいない。
しかし皆、それぞれに自分の場所でうまくやっている。だから誰も、不幸ではない。
そう、これが現実。夢みたいな人生ばかりじゃない、でもそんなに悪いもんでもない。

ペコ・スマイルとドラゴン・チャイナの対比~少年と大人
周りの登場人物と比べ、ペコやスマイルは、どこか幼い姿をしている(5年後を除く)。
この、ふたりの主人公は、物語のテーマのひとつ「少年期」を体現する存在だ。
一方で、ドラゴンやチャイナは、とても高校生には見えない。
背負うものや課せられた責任が大きいふたりは、大人の象徴。
ペコとスマイルは、ドラゴンとチャイナを「克服」し、一人前の大人になる。
キャラクターデザインさえシンボリックだなんて、奥が深い。まるで童話のようだ。

選手とコーチの関係
本筋から若干逸れるが、興味深かったのがこれ。
大別すると「①母性のコーチ」「②父性のコーチ」「③友人のコーチ」の三人がいる。
①母は無償の愛で息子を包み込む。
ペコのコーチ、卓球道場のオババは、ちょっと怖いけど、「愛してるぜ」とペコを見守る。
うまく計算して立ち回るのではなく、卓球そのものを楽しむことをペコに求める。
ペコは、オババの無償の愛に包まれながら、子どものように跳び、所狭しと跳ね回る。
②父は息子に自身を投影し、自身の願望を託し、高みまで来いと叱咤激励する。
スマイルのコーチ、部の顧問の小泉先生は、かつて「バタフライジョー」と呼ばれ、
あと少しで世界で戦える所だった。小泉先生は、スマイルにかつての自分を重ね、
自分の無念を晴らしてもらうことを期待。他の部員を無視してまで入れ込む。
スマイルが抱える心の問題の理由を知った後は、実の父同様に接するようにもなる。
スマイルは、小泉先生のようになりたいと、プロの選手ではなく、学校の先生を目指す。
③友人は、大事なことは言うけれど、相手を一個の独立した人格として尊重する。
チャイナのコーチは、卓球を離れると、チャイナと殆ど上下関係を感じさせない。
インターハイ後などでみられるふたりの会話はドライで、適度な距離感がある。
チャイナは、腹心の友の存在を励みに、異国の地に居場所を見つけて頑張る。
ドラゴンとアクマのコーチ(部の顧問)は、②と③の間ぐらいか?
どれがいい悪いというのではなく相性の話。それぞれがぴったりなコーチに巡り会った。
こんな「出会い」も才能のひとつではないだろうか。

アソび心とアート心
ペコのやることなすことはいちいちおもしろく、奇天烈で子どもじみていて、かわいらしい。
かっちブーって何だよ(笑)
キャプテン大田の人外としか言いようのないあの髪型、あれはどうなっているの?ドレッド?
ドラゴンがトイレに籠もっているシーン、いつも壁の落書きが凝っていて、しかもお洒落。
細かいところまで凝っていて楽しい。観客などの些細な会話に笑わされたりする場面も多い。
出汁も残さずまるっと味わえる漫画。


長くなってしまってすみませんでした。
スマイルに感情移入しすぎて、最後のあたりで何度か泣いてしまいました。
どうやら、漫画ではスマイルが主人公①で、ペコが主人公②の位置付けにいるようです。
昔観た映画ではペコが主人公だったと記憶しているので、初めはかなり面食らいました。
そのあたり、アニメは群像劇の色合いが強く、もっと客観的に観ていたと思います。
本当はアニメとの比較もしたかったのですが、漫画の感想を書きすぎたのと、
アニメを漫画ほどじっくり観てはいなかったので比較するには十分ではないだろう、と考え
今回は頓挫しました。
主要選手5人の爪の垢でも煎じて飲んだほうがいいようです・・・・・・
アニメのDVDが出たらもういちど見直してみようかと。

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南国少年パプワくん:その1 PAPUWA(アニメDVD編)「トんでる原作を更に突き抜けた、コタローのためのクレイジーな成長物語」

このblogによく来てくださるかたの大半は、うっすらとでも「んばば!」「めらっさめらっさ」
「チャッピー 餌!」といった台詞や、ドラクエ勇者似の子ども、ぬいぐるみみたいなわんこ、
網タイツを穿いたオカマの鯛、雌雄同体でオカマのカタツムリなどを覚えている世代かと。
だから漫画の名前だけでもある程度話が通じそうな気がしたりしなかったりするのですが、
そんな漫画に続編があって、しかもアニメ化までされていたことを知って(覚えて)いる人は
果たしてどれだけいるでしょう?
そんなわけで、今回の題材と出逢うまでの長いプロローグから話をはじめます。

高校時代に学園祭の古本市で5巻だけ買って、それっきりだった漫画「南国少年パプワくん」。
年月の過ぎた00年代半ば、ふとしたことでコミックスを最初から手にとったのがきっかけでハマり、
以来数年にわたり、パプワくんをはじめとする柴田亜美先生の漫画に熱中しました。
00年代半ばとなると、もう続編「PAPUWA」の連載が進み、テレ東でアニメ化もされた「あと」
だったと記憶しています。
8巻くらいまでは漫画にもまだまだ勢いがあって面白い頃でしたが、個人的に一番面白くて
腹を抱えて笑い、キャラクターや絵柄の破綻も少なく、思い入れが強いのはやっぱり1~4巻で、
アニメ化もこの時期にされています。
だから、ずっとアニメを観てみたくって・・・でもあちこちレンタルDVD店をまわっても、中古店を
まわっても、あまりに見つからないから新品まで探してみても・・・ない。
当時Youtubeにアップされていたダイジェスト風の短い動画を何回も再生しては
「ああ、ハチャメチャだ、やっぱり全話観たい・・・!」との行き場のない想いを募らせました。
しかし、終盤にかけて展開等がどうも納得のいくものではなくなっていったため
結末は少年ガンガン立ち読みで知ったものの、コミックスはもう買い揃えなくなり、
柴田先生の作品を読むことがなくなり、山のように集めたコミックスは全て処分。
(お金に困るたびに、当時の手持ちの本や漫画を古本屋に売ってしまったので、現在では
00年代に収集・愛読していた本や漫画は一部を除きほとんど無くなってしまいました)

そして月日は流れて2013年。DVDの品揃えが良いTSUTAYAの店内をぶらぶら巡っていると
あれほど求めて彷徨った幻のアイテムが!
確か以前同じ店を探してもなかったので、誰かがリクエストしてくれたのかもしれません。

PAPUWA 第1巻 [DVD]PAPUWA 第1巻 [DVD]
(2004/03/21)
くまいもとこ、山口勝平 他

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amazonの画像ではぼやけてて見づらいですが、昔の「南国」時代を知っている人からすれば
かなりハイブリッドになったパプワくんとお馴染みのキャラクターたち。
それだけでも結構斬新です。

結構ヒットしていたその「南国少年パプワくん」の直接の続編が本作「PAPUWA」なので
漫画にしろアニメにしろ、前作を漫画ラストまで知らないとわかりづらい部分があります。
(一応、回想シーン等で振り返りはしているが、アニメの回想は、漫画ラストと微妙に違う。
多分新規の人に理解しやすくするためかと)
なので念のため、Wikipediaのリンクを置いておきますので参考までに。
PAPUWA
パプワの登場人物

ではではいつものように、元ネタに馴染みのない人に一切配慮しない感想がスタート!
但し感想の一部はストーリーを俯瞰したものであるため、一応、アニメのあらすじくらいは。

<アニメのあらすじ>
本作(少なくともアニメ化までの段階では)の主人公は、コタローという10歳の少年。
殺し屋集団・ガンマ団のマジック総帥の息子で、前作の主人公・シンタローの弟。
生まれつき善悪の区別がつかない上に、一族代々伝わる能力「秘石眼」は並外れて強大。
「危険だから」とマジックなどにより幽閉されて育ち、7歳の頃に解放されると
自分を幽閉したマジックを殺そうとしたり、パプワ島で力をコントロールできなくなって暴走し
島を壊し、パプワくんをはじめ島のみんなを追い出すことになる。
その後、長い眠りについていたが、突如目覚め、「第二のパプワ島」に漂流、記憶喪失に。
パプワくんチャッピー、そして島で「秘石の番人」を務める青年・リキッドに発見される。
4年前の暴走を恐れたリキッドや島のみんなは、コタローを「ロタロー」と新たに命名、
自称「アイドル」を豪語する生意気な坊っちゃんは、かくして仲良く共同生活へ。
島で暮らす、ほのぼの時々破壊力満点なナマモノのみんなとの交流時々攻撃、
前作でのシンタローよりイマドキ残酷度がUPしたリキッド(通称「家政夫」)虐め、
コタローをガンマ団に連れ戻そうとやってきたり、ひっさらおうとやってきたりした
(元)ガンマ団の面々(伊達衆、特戦部隊)や「心戦組」(由来は書くまでも・・・)らとの
しっちゃかめっちゃか、南国の自然いっぱいな環境で、人間らしい感情を身につけていく。
そして何よりも大切なのは、初めてできた同じ年頃の強くて優しい友達・パプワくん。
しかし、総帥となったシンタローが島に救出にやってきて、パプワ島との別れのときがくる。
そんなとき起きた島の危機。コタローは、シンタローにも助けられながら、昔壊した島を
今度は救うために、一族に伝わる技「眼魔砲」を初めて放つ。
昔の記憶を取り戻し、「僕がみんなに許されるはずないよね」と自分を責めるコタローだが
パプワくん、リキッド、島のみんなは温かく見送ってくれた。「今日からお前も友達だ!」


<一貫したコタロー(ロタロー)の物語として成立したPAPUWA>
原作の漫画では、コタローがパプワくん達に別れを告げて、シンタロー達の戦艦に戻ると
心戦組の別部隊(アニメには登場しない)に戦艦がやられて、シンタローが戦艦から島へ
突き落とされて、ガンマ団は今度は一族・団員総出でシンタロー捜索をする羽目になり
さっきまでのコタローの主人公ポジションがいつの間にかシンタローに戻っている。
前作で「虐げられた不憫な子ども」として描かれたコタローの救済を意図して、続編で
あえてコタローを主役にもってきて、救済&少年漫画らしさを描きたかったとおぼしき
この漫画は、気付けばコタローは脇に追いやられ、しまいには「家政夫」リキッドが
主人公になって過去の世界まで出張る体たらく、ファンが大勢離れる結果になった。
だから、DVDを全巻観終わって「ホントいいとこで終わったなぁアニメ」という感想を
まず抱いた。ホント、ここまでの展開は、グッとくる台詞やエピソード満載なんだもの。
アニメは奇しくも、原作が劣化する前に「勝ち逃げ」することができた。
コタロー(ロタロー)で始まりコタローで終わる。
しかも、前作のサービス叔父さん(後にコタローの師匠となる)とシンタローを入れ替えると
シンタローとコタローの、兄弟によるリフレインの物語にもなっていて感慨深い。
原作では成し得なかった、一貫性のある、コタローの物語がここにはある。
とはいえこのガキャ、ワガママだわ、お姫様ぶりっこ(!)だわで、共感は確かに
しづらいキャラ・・・。ストーリーを取るか、キャラを取るか、難しいところではある。
つまり原作ではキャラを取って、アニメではストーリーを取ったかたちになる。
どちらが良いとは簡単には言いがたい。

<原作でトんでたキャラが更にトんでます、アニメスタッフさん楽しそうですね>
ネット上で噂にはきいていたが「うわぁ・・・本当にやべぇ(引き笑い)」ってなるのが
シンタローの仲間達・伊達衆の一員ながら、友達がおらず、コウモリに名前をつけたり
シンタローを「心友」と呼んで過剰に敬ったりする、孤独な男・アラシヤマの奇態。
あきらかに壊れているのだが妙に楽しそうにも聞こえる。怖いよ、中の人怖いよ!
原作と同じ台詞や行動をしていてもアニメで観ると「ヤバい人」度が更にアップ!
そんなアラシヤマには師匠がいて、シンタローの叔父・ハーレム率いる特戦部隊の一員の
マーカーといって、前作の漫画終盤では師弟対決がみられてエキサイトしたのだが、
クールなはずのこの人がナマモノの技をマトリックスのパクリで避けてみたりしてしまう。
アニメの時期に出番が多かっただけあり、特戦部隊の皆さんは一人残らず愉快度が増して
いるけれど、オープニングでも隊長より目立ってるしスタッフお気に入りだったのかも。
そして笑いを通り越してポカーンレベルなのが心戦組にいる現役女子高生・原田ウマ子
原作でもそこらの男以上に漢でしかも腐女子という相当キてる描写は十分されているが
アニメの声優さんが、女性キャラなのに「男性」しかも実に猛々しい男声という衝撃・・・
「実在したほうの」新撰組の十番隊隊長・原田左之助を下敷きにしたキャラらしい。
原作ではあまり好きではなかったがアニメで観て可愛げを感じたナマモノもいて、それは
ドクツルタケのコモロ君。悪い事ばかりする猛毒キノコで、語尾に「にゃ~」をつけて
ヘニョヘニョ喋る、ロタローの天敵。モデルは小室哲哉さんで、かつて柴田先生が
小室さんをモデルに「TK Man」という漫画を描いていたことから派生したナマモノ。
多分誰も、アニメの喋りを見てモデルが小室さんだなんて気付かない。そのくらいの
ふにゃふにゃヴォイスを、ごっついハーレムと同じ人が演じてたりするのがまた笑える。
面白いキャラ、他にもいっぱい。作ってる人たちの嬉々とした表情が目に浮かぶ。

<もう少しいい声が良かった・・・その願望を追うなら、南国まで遡るのか?>
前作のアニメの頃は、アニメそのものがものすごいブームだったという。
南国少年パプワくん、セーラームーン、レイアース、スラムダンク・・・
南国アニメ当時は小学生だったが、これらの作品はクラスの皆が知っていた。
「バブルは弾けたらしいけど、あんまりそういう気がしない」という時勢、
南国アニメには相当お金かかっていたんだろうな。声優さん、有名な人ばかり。
だってシンタローが流川だったんでしょ・・・!
転じて02年、放送局はどういう都合か、テレ朝からテレ東へ。
大人になって趣味が違う方向へ行ったせいもあり、アニメや声優さんにとんと疎いが
有名な人があんまり出ていないんだろうというのは何となくわかる。
自分がわかるのはハーレムの声優さんがエヴァの青葉だということくらいで、
そのハーレムの声も個人的にはどうもピンとこなかった。強面<はっちゃけオヤジの
両面を備えたキャラクターとしては「強面」が前に出すぎていると感じて。
(って忘れてたが、何気にチャッピー・グンマが山口勝平さんだったか)
多分、小学生の頃、なんとなく南国アニメを観ていた当時の記憶があるのだろう。
パプワくんやシンタローくらいまでは声をうっすら思い出せるので、シンタローの違和感は
書くまでもないくらいのがっかりだ。
南国アニメまで遡ったら、「そうそう、やっぱこの声!」と納得がいったりするのか?
マジック役の声優さんは、キャラソン含めてかなりの怪演らしいのだが・・・

<漫画で面白いテンポとアニメで面白いテンポは違うらしい>
漫画を読んでいて大笑いしたくだりが、いざアニメで観てみると何か違う、笑えない、
といったことがかなりの頻度であった。普段アニメを見慣れないせいも大きいのだが、
原作の漫画のテンポで各エピソードがインプットされていすぎるのが最大の要因か。
「アニメの台詞だと、何か説明的」「そこはもっとゆっくり喋ってほしい」「もっと速く」
視聴者というのは我が儘で、色々な感想が浮かんでくる。
基本的に本作は原作の漫画に忠実につくられていて、殆どの台詞も原作通り。
同じエピソードで違う台詞まわしにいじくられていると、それはそれで原作ファンとしては
違和感を拭えないだろうが、きっかり忠実にしていても問題が生じるとは。
原作の漫画にあったテンポのよさ、スピード感が、損なわれているように感じられた。
逆に、シリアスなはずの場面がそこまで感傷的に響いてこない、という部分もあった。
柴田先生の漫画はクセが強く、一コマ当たりの情報量がとりわけ当時はかなり多かったし、
あの作画、構図、コマ割りがあってこそ成り立つ独自のリズムがあった。
そして、当時の私はその独自のリズムにこそ中毒性を覚えてハマってしまったクチなので
当時ネットで「原作は糞だけどアニメはネ申」ってよく見かけたが、正直そこまでか?と
個人的には思う。まぁ、あまりに時代が経ちすぎているのもあるが(03年のアニメ)。

<アニメオリジナルエピソードが、後から読み切り漫画になっている謎>
PAPUWAのアニメはDVDで全9巻。しかし原作のストーリーではたった4巻の段階でしかない。
諸々の事情により(瓢箪から駒で、結果、一番後味もキリもいいアニメラストになったが)
原作の話数が足りないのに見切り発車でアニメ化し、アニメオリジナルストーリーや
原作+オリジナルエピソードで水増ししなくてはならなくなった。
原作のペースで読み慣れている者としては多少の違和感を覚えなくはなかったが
これはこれで「ありそでなかった面白エピソード」。噂にはきいていたがやっぱ笑えるわ。
そして「ん・・・この話は!」と不意に気付く。原作が連載されていた雑誌「少年ガンガン」の
人気投票で上位に輝いた3人を主人公に読み切り漫画が描かれるという企画があり、
(1位シンタロー、2位アラシヤマ、3位ハーレム)
それらの読み切り漫画がコミックス巻末や関連書籍に掲載されていたのだった。
しかし、人気投票→漫画掲載→コミックス等掲載はアニメ放映時期と被っていたり、
過ぎていたりするので、時系列が「???」ということになる。
アニメオリジナルエピソードが読み切り漫画化ってことだったのか?それとも実はその逆?
考え出したら止まらない気もするが、今となっては情報源も減ってしまってわからないので、
パプワ島のナマモノたちの如く、謎は謎のままで。


「悲願」「長年の夢」を達成した総評としては・・・うーん、夢を見過ぎたか、
アニメを観るという行動そのものに慣れないから反応もしづらいのか、
それとも悲願が達成されるまで時間がかかりすぎたのか・・・・・・
楽しかったし、丁寧に思い入れをもってつくってあるのもよくわかる、
けれど「悲願」を捧げるほどの大傑作!保存版!ってほどでもない、
当時大きな人気や話題にならなかったのも何となくわかる・・・
達成感と、少しの肩透かし、といったところでしょうか。
いや、でも、悲願が達成されてとってもスッキリしました。
いつか、原作や「南国」のほうの原作・アニメの話をすることがあるかも・・・と考えて
タイトルには「その1」ってつけました。
「"いつか"なんて日はないんだ!」ってパプワくんに怒られちゃうかな?


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さよなら絶望先生「ギャグマンガのオチを真面目に考証するバカが登場!だって大風呂敷の畳みっぷりが半端ないんだもん!」

濃すぎるキャラ達、コマの節々まで張りめぐらされた小ネタ、
ほくそ笑んだり苦笑したりする鋭い時事~社会通念へのツッコミ、
昭和初期風味のレトロな世界観、白黒中心の独特の画面、
PCを駆使して描かれるシャープで無駄のない絵。
「絶望少女たちを厄介な順番でランク付けしよう」というバカ系の構想もあった
さよなら絶望先生」ですが、コミックス29集後半~ラストの30集を読んだら
そういうのもうどっかへ吹っ飛んじゃうくらい衝撃のラストが待っていました。
29集後半(290話)から徐々に顔を出す、ラストに繋がるキーワード。
そして最後の4回で、広げた大風呂敷を怒濤の勢いで畳んでしまった!
しかもこれが初めから考えられていたもので、伏線となる仕掛けもされていた
(毎回絶望少女たちの誰か一人が登場しない。理由はあの子を演じているから・・・)
って言うんだからさぁ大変。
もう、ギャグ漫画だからオチなんて適当にやっつけたなんて思えなくなってしまいました。
はじめは「凄い」と吃驚したものの考えているうちにどんどん「?」が増えてきて・・・
さぁ、考証せねば!
このラスト、一体、どうなってるの??

さよなら絶望先生(30)<完> (講談社コミックス)さよなら絶望先生(30)<完> (講談社コミックス)
(2012/08/17)
久米田 康治

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モロにネタバレなので「続きを読む」に続きを書きます。
ネットにはネタバレの感想もとっくにあがっているけど、私のようなレンタルコミック派で
まだ読んでないという方もいると思われるため。

続きを読む»

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山下和美音楽短編集-コンチェルト&ノクターン- ~「不思議な少年」&「天才 柳沢教授の生活」より

青年誌や少女誌で活躍する人気漫画家にして無類の音楽好き、山下和美さんの
音楽をモチーフやオチにした短編~中編を集めた短編集、
山下和美音楽短編集」。「コンチェルト」と「ノクターン」の二本立てです。

コンチェルト」とはいわばオーケストラナンバー。収録されている作品も、
やや賑やかな短編3つに中編(短編の前後編)と、壮大なスケールの中編(短編の前後編)。
もう一方の「ノクターン」とは夜想曲やピアノ小曲。全編が短編で、
ささやかだけれどちょっといい話が多めに収められています。
作品の数えも「コンチェルト」から数えて、全て「opus」で統一されていて
こだわりと格調を感じる二冊です。

書き下ろしの「Bonus track」によると、山下さんはお父さんがクラシック好き、
(このお父さんが「天才 柳沢教授の生活」の主人公、柳沢教授のモデルとなっている)
お母さんは女学校でバイオリンとピアノを学んでいたという、筋金入りのクラシック家系。
4人姉妹の末っ子で、自身も上のお姉さん達もそれぞれピアノに挑戦し、挫折・・・。
ビートルズファンクラブ「小樽支部」副会長を務め、のちに欧米のペンフレンド達から
日本盤が出る前の海外ミュージシャンを発掘し続け、渋谷陽一氏にパンクについての
情報提供をしたりしていたというとんでもないお姉さん(次女)をもち、
中学生のときにリッチー・ブラックモアの虜に!ということで、家庭の音楽環境からは
想像できない、ディープ・パープルやレインボーといったHR/HMにのめり込んだそうで。
そんなわけで、漫画に登場する「音楽」は、クラシック方面からロックまで、
はては分類不能な古代の「おんがく」まで、ジャンルを問わないものになっています。

山下さんの代表作として名高い二作「天才 柳沢教授の生活」「不思議な少年」を中心に
以前に刊行した短編集からも1編、セレクトされています。
さて、どんな物語が繰り広げられるのか?あっさりと各短編のあらすじをご紹介。


<コンチェルト>

山下和美音楽短編集 コンチェルト (モーニングKC)山下和美音楽短編集 コンチェルト (モーニングKC)
(2011/09/23)
山下 和美

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・opus 1 ROCKS:垂水君は、1ヶ月前会社をリストラされたハゲでデブな父親と同年代の
カリスマロッカー・アキラに魅了されている。しかしアキラは、垂水君の父親と因縁の仲で・・・

・opus 2&3 こころ前後編:柳沢教授の大学時代の同期である西園寺は、当時の大蔵省の
事務次官の直前までいったが、突然辞めてしまい、同窓会の面々もその行方を知らない。
目撃情報を耳にした柳沢教授が尋ねていくと、西園寺は昔と変わらないマイペースで気まぐれな
生活を送っていたが、柳沢教授の奥さんと競演した際に、抱いた淡い恋慕の記憶を忘れられず・・・

・opus 4 メロディー:バンドの中心人物エディを20年前に亡くした、人気HR/HMバンド
「レッド・スタリオン」が再結成。年齢の限界、エディへの負い目を抱えるジョニーの顛末は・・・

・opus 5&6 ベラとカリバリ前後編:迫害を受け続け、遂にルキア国に根絶やしにされたロム族。
ひとり捕虜となって死を待つばかりの青年・ベラの前に、不思議な少年が現れ、少年はベラに
知識や言語を叩き込む。2年後、ベラは死刑執行の日に脱出に成功、ルキア国の王・カリバリへの
復讐のために突き進み、戦に勝ち、国王となる。いつしか少年は女性の姿になり、彼を愛し始め・・・

<ノクターン>

山下和美音楽短編集 ノクターン (モーニングKC)山下和美音楽短編集 ノクターン (モーニングKC)
(2011/09/23)
山下 和美

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・opus 7 THE MAN:原始の世界、人間で初めて歌を生みだした男がいた。その瞬間を追って
不思議な少年は彼をつける。争いを嫌う男だが、故郷は戦の渦中。妹を追って故郷に来ると・・・

・opus 8 夫婦の音色:柳沢家の、チューニングを40年していないピアノ。調律師に「そのまま
使い続けるか、新しいものを買うか」と言われてしまう。新しいピアノを買いに来た柳沢夫妻だが・・・

・opus 9 マリー・ロンドン:かつてミュージカル女優として栄華を誇ったマリー・ロンドンは
今では義理の娘に辛くあたり、昔の映像を観るだけの日々。不思議な少年は彼女のファンで・・・

・opus 10 女王の帰還:大昔に破産した事業家の豪邸が図書館になることに。柳沢教授は、
事業家の令嬢で同級生だった豪徳寺頼子との、生意気ながら微笑ましい記憶を辿り・・・

・opus 11 左手の贈り物:ドイツ人ピアニスト・ヘルマンは、来日公演に来ていた洋子に
一目惚れ、国際結婚し親日家に。40年後、倒れたヘルマンは日本語や洋子の記憶を失い・・・

・opus 12 鉄雄:戦後の焼け野原で、不思議な少年が、稀に見る優れた歌うたいだと見初めた
少年、鉄雄。しかし彼を待ち受ける運命は酷なものだった。報われない人生を送る鉄雄の元に・・・


感想の前に、セレクト元の2作、「不思議な少年」と「天才 柳沢教授の生活」の紹介を。

不思議な少年(1) (モーニングKC (772))不思議な少年(1) (モーニングKC (772))
(2001/10/23)
山下 和美

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「不思議な少年」はコミックスが8巻まで出たところで、終わるでもなく続くでもなく未完状態
と思しき漫画(コミックス派なので、誌上でどうなっているかわからない。Wikipediaにも
情報なし)。続きが待ち遠しいところ。マーク・トウェインの同名小説から着想を得たそうです。
基本的に一話完結(たまに前後編もある)で、天使のようで悪魔のようでどちらでもなく、
人間でもなく、性別もない、とても愛らしくてとても狡猾な「不思議な少年」が、
時代や国籍を超越して人間を見つめ、ときに手を貸し、ときに陥れ、ときにただ俯瞰する。
これでもかとばかりに人間の業がえぐり出されていて、大変読み応えのある、考えさせられる
作品集です。blog開設当初から、書きたい記事リストにあった漫画でもありました。
一冊が分厚く、ちょっとグロテスクな描写も登場しますが、一読を強くオススメします。


天才柳沢教授の生活(9) (講談社漫画文庫)天才柳沢教授の生活(9) (講談社漫画文庫)
(2004/09/10)
山下 和美

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「天才 柳沢教授の生活」は、今回とりあげた短編では「柳沢教授と周りの人のちょっといい話」
という印象ですが、連載が始まった頃は、柳沢教授の「きっちり」過ぎる(毎日5時半起床9時就寝、
世のルールを遵守する、一つ一つの事象を教授のやり方であまりに論理的に考察していく、など)
言動をユーモラスに描いたものが多数で、こうした教授のキャラは以後も引き継がれているそう。
現在までにコミックスが32巻、講談社漫画文庫が12巻(ここでは、本短編集の元ネタが多かった
9巻の画像を掲載)、セレクションものもたくさん刊行されています。
2002年に松本幸四郎さん主演でドラマ化もされていたようです。
派生したものでは、「天才柳沢教授の冒険」というコミックスが1巻あり、
柳沢教授が夜9時に寝て見た夢の中で繰り広げられるコメディなのだそうです。
また、『朝日新聞』東京本社版夕刊に「天才柳沢教授 孫・華子との生活 Special Short Short」
という、柳沢教授の次女の娘=孫で、柳沢教授と同じように振る舞いたいと奮闘する華子の物語
が2012年1月11日より毎週水曜日に連載中らしく、東京の皆様がとってもうらやましい限りで。


2冊を読み終えて。
それぞれの作品の真骨頂を味わいながら、様々なジャンルの「おんがく」の楽しさ、喜びを
改めて思い出させられる、気づかされる。

短編が6編×2冊と、気軽に手に取りやすいのもいいところです。
また、初めから「不思議な少年」や「天才 柳沢教授の生活」を読んでいなくても、なんとなく
どんな話で、少年や柳沢教授がどんなキャラ設定なのかもうかがえるので、両シリーズの入門編
としても使えそうです。私は「柳沢教授」のシリーズを読んだことがなく、それでも楽しめて、
2003年に講談社漫画賞一般部門を受賞したという、このシリーズをもっと読みたくなりました。
ヒューマンドラマが好きな人、読み応えのある漫画を読みたいと思っている人、
クラシックが好きな人、ロックが好きな人、他全ての漫画好き&音楽好きの人に
自信をもって勧められる短編集
です。



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デトロイト・メタル・シティ 最終巻+映画感想「やりたいことと向いていることの隔たり・・・面白おかしく彷徨いながら、根岸が辿り着いた答え」

2年越しで読み終えた、漫画「デトロイト・メタル・シティ」の最終巻!

デトロイト・メタル・シティ 10 (ジェッツコミックス)デトロイト・メタル・シティ 10 (ジェッツコミックス)
(2010/07/29)
若杉 公徳

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漫画はコミックス派なのですが、それにしても待ちすぎた理由は、映画化された辺りで
自分のなかのピークがちょっと過ぎちゃったというのがあったんですよね。
で、以前漫画を沢山レンタルした時に、巻数合わせ(10巻で○○円)で
「そろそろ決着を見よう」とやっと借りて。
いつも通りの展開の延長線ではあるけれど、なんだかしみじみきました。

ヒット作で、映画化もされているし、お馴染みかもわかりませんが、一応あらすじを。
主人公・根岸崇一はポップ・ミュージックを愛好し、その道でデビューを目指す純朴な青年。
しかし根岸の思いとは裏腹に自作自演の音楽や演奏はまったく日の目を見ない。
そしてあろうことか、根岸が忌み嫌うデス・メタルのインディーズバンドに加入する羽目になり、
デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカル・ギターの“ヨハネ・クラウザーII世”として
カリスマになってしまったからさぁ大変。レコード会社の社長は「そんなんじゃ濡れねーんだよ!」
とズバズバ暴力を振るうわ、大学時代からの想い人・相川さんはデスメタルが大嫌いなのに
何かとライヴの過激なパフォーマンスに巻き込んでしまうわ、バンドメンバーやライバルバンドも
色々個性的だわと、とにかくハチャメチャでくだらなくて笑えるバンド&青春漫画です。
但しこの記事を書くにあたって調べてみたところ、一部のメタルファンから反感をかって
しまっていたのだとか(従来からのヘヴィメタルへの誤解を更に助長させるような描写が
多く含まれているため)。自分はメタルにそんなに強い愛着もないし、なにせギャグマンガなので
細かいことは気にせずにゲラゲラ笑って読んでいたので、ちょっぴりショック。
けれど、自分に例えれば普段このblogに書いている人達が改悪デフォルメされて貶されている
ようなものですからね、確かにそれは微妙かも・・・

SATSUGAI「オレは地獄のテロリスト 昨日母さん犯したぜ 明日は父さんほってやる」
「サツガイせよ、サツガイせよ」「殺せ殺せ殺せ 親など殺せ」
「俺には父さん母さんいねえ、それは俺が殺したから」や
恨みはらさでおくべきか「貴様の罪は俺が罰する 俺は地獄からの使者 貴様の尻を八つ裂きじゃー」「恨みはらさでおくべきか、恨みはらさでおくべきか」等、恐るべき全ての曲の作詞作曲を
根岸が(個人的な様々なルサンチマンを原動力に)作っていたり、DMCではそのギターの腕は
超絶技巧と評され、ライバルバンドとのギターバトルでも全て勝っていたり(というか、
まともなスキル勝負は早弾き合戦で、あとは「1秒間にどちらが多く"レイプ"と発言するか」や、
ザ・フーやジミヘンも真っ青な破天荒なパフォーマンスによる破壊合戦が目立つ)と、
何だかんだで根岸のアーティストとしての能力(含むパフォーマンス)が評価される場かつ、
根岸の本音がよく出ているのが面白くて皮肉なところ。
「本当にやりたい音楽」では、クネクネしながら甘ったるいポップ・ソングを弾き語りするも
各方面からとことんけなされている上、その楽曲は根岸の内面から出てきたものというよりは
好きな音楽(オザケン、コーネリアスなど)みたいなオシャレな音楽を形だけなぞった感じ。
だけど、相川さんや後輩の佐治くんは「やりたい音楽」を絶賛してくれるし、
デスメタルなんて大嫌いだし、「あんな酷いこと(=パフォーマンス)」する自分も好きじゃない。
どうしよう?

「やりたいこと・好きなこと」と「向いていること・うまくいくこと」のすれ違い
大きなテーマになっている本作。そこからは、笑いだけでなく、等身大の青年・根岸の葛藤が
浮かび上がってきて、これもまた多くの人の共感を呼んだ要因です。
尊大で粗暴な「カリスマ」のクラウザーさんと、小心で童●な「普通の男」の根岸。
根岸はクラウザーさんを演じる自分に自己嫌悪を覚えて何度となくDMCを脱走、失踪しますが
(実家に帰って農業をやろうとしてみたり、いきなりパリに留学してしまったり、等々)
その一方で、日常でムカつく出来事が起こった時、クラウザーさん化することもしばしば。
逆に、クラウザーさんの姿のままで、根岸の優しい心から、思いやりを発揮する場面も。
クラウザーさんと根岸との間を行ったり来たりの迷い多き日々。
でもどちらも根岸そのもの以外の何者でもないんですよね。

最終巻では、根岸そっくりのメンタリティを持った青年率いるバンドが最強のライバルとして
立ちはだかり、しかもDMCがまさかの敗北を喫してしまうことに。
この挫折と、自身をある意味客観的に見た体験から、「あんな風になりたくない」
「自分から逃げるのはやめよう」と、クラウザーさんを封印してパリに留学する根岸。
しかしここでも根岸の音楽は全く通用せず、誰からも必要とされない疎外感を噛みしめる。
根岸なきDMCでは、社長が吐血して倒れるなど存続の危機。バンドメンバーの和田くんから
日本行き航空券とセットで顛末を手紙で受け取ると、本能的に帰国、最強のライバル・ゴッド
見事勝利、クラウザーさんとして観客の大歓声や一体感に大きな喜びを覚える。
遂に相川さんに自身の正体を打ち明ける(実は、相川さんとは両思いだったことが判明!)が
相川さんは信じてくれず、二人のその後や、弾き語りを続けているかは不明なまま、
今日も根岸は仲間と一緒にDMCでクラウザーさんとしてメタルし続ける・・・という結末。
コミックスでは本編に登場した全ての「レイプ」発言を、アルバイトをわざわざ雇って
カウントしてあったのに激しく爆笑。しかもバイトさん達はうら若き女性だったと(笑)

根岸は最終巻で、「やりたいことと向いていること」とのギャップに折り合いをつけられた
ように感じました。「クラウザーさん」というアイデンティティも自分自身だと認めたようにも。
大嫌いなはずのデスメタル・バンドで、何よりのやり甲斐を感じられたようにも。
クラウザーさんを自分自身の一部だと認めたことで、「本当の自分探し」のモラトリアムの旅も
終わったようにも。(ポップ・ソングの弾き語りを今でも続けているかどうかが判然としないが
それによっても随分変わる気もする。まぁ、両方並行してやっていてもおかしくはないが)

よくケータイ小説やその世代が「みんなの前でニコニコ笑ってるアタシは本当のアタシじゃない。
でも、○○君だけが、本当のアタシを受け入れてくれた」みたいなことを書いていますが
自分に嘘も本当もあるのでしょうか?様々な場面に適応するのも、それはそれで自分では?
人間は多面体。その時々の姿が「本当の自分」。例えそれが普段より割り増しした姿でも。
ポップな音楽が好きな根岸もクラウザーさんとして暴れている根岸も、全部そのまま自分自身。
矛盾するような趣向を複数抱えているなんてよくある話です。
その方が、音楽としても人としても奥行きが出て豊かになるのではないでしょうか。
ミュージシャンでも一面タイプと多面体タイプがいますが、自分は後者のほうに惹かれます。

そして「やりたいことと向いていること」という悩みはいまどきの若者にも当てはまるはず。
就活本などはやたらと「やりたいこと」「本当の自分」を探すように煽ってきますが、
実際に「やりたいこと」を仕事にできる人はごくわずか。運良く関連する会社に入っても、
思い通りの業種に就けていないと不満を抱いている人だって沢山いるでしょう。
その一方で、全然興味もなかった職場で評価されて、自分の知らなかった能力が伸びて、
やり甲斐を見出す人だって少なくないんじゃないでしょうか。
途中で「やりたいこと」を見つけたり、「向いていること」がわかったりするケースだって
本当に多いのだし。
「やりたいこと」「本当の自分」にこだわったままではいつまでも仕事に就けないし
定着できません。これだけの就職難にも関わらず離職率が高い背景には、こんな職業教育や
世相が絡んでいるはず。(当然、これらが全てではないですが)
「やりたいこと」を潰す必要はないのですが、「向いていること」の価値をもっと大人世代は
若い世代にアナウンスすべきです。「我慢」や「妥協」を強いる根性論としてではなくて。
・・・と、ここまで大仰に若者論を展開せずとも、歌手でデビューして俳優としてブレイクしたとか、
プロデューサーに転身してとか、本来のかたちでない成功をした人の例も沢山ありますよね。
たまたまでも、本意でなくとも、そうやって成功できるのはやっぱり幸せなことだと思います。
「向いていること」があって、それで人から必要とされて、感謝もされて、自分の気持ちも
嬉しくなるし、もっと頑張ろうと思える。最初は見向きもしなかったようなことで。

笑いながら1巻から最終巻まで根岸の葛藤とその結末を共にして、実社会でもよくある
「理想と現実」を受け止める幸せなかたちのひとつを垣間見たような気がしました。



ところでまさかの映画化も話題になりましたね。

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松山ケンイチ、加藤ローサ 他

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松山ケンイチさんと松雪泰子さんはちょっと仕事選べよ!と
どれだけ言いたくなったかわからない(笑)
「僕がやりたかったのは、こんなバンドじゃない~~」のヘナヘナ根岸からクラウザーさんまで
やっちゃう松ケンと、「そんなんじゃ濡れねーんだよ!」を始めとする粗暴な振る舞いをしちゃう
松雪さん。CMでは「駄目だろ」という印象だったけれど映画では結構普通に嵌っています。
以来、「これ松ケンの素だろ」というイメージがあります。最近はちょっと違いそうだけど。
トンデモとしては、佐治くんのモデルだったからといって、カジヒデキさんが本当に出ちゃうとか。
更に、観てないんですがアニメ版になると、この漫画のファンだと公言している長澤まさみちゃんが
相川さんの声を担当していたりとか!(実写版では加藤ローサちゃん)
「漫画のサブカルぽさが失われた」と原作ファンからは不評の向きも少なくなかったそうなんですが
原作ファンにも関わらず私は何も支障なく楽しく観られたんですがねぇ、ファンが浅い??

映画のオリジナルエピソードで、根岸のお母さんのいいシーンがあって、真面目にホロリと
してしまいました。宮崎美子さんに泣かされてしまいましたね。
原作でも親子の絆のエピソードは温もりたっぷりに描かれていて、それが根岸の純朴さを感じさせて胸にしみるのですが、こうして実写で登場すると泣きのツボを突かれて困っちゃいますね。
ただひとつ、ジャギ=和田くんの改変はいただけない。和田くんは根岸よりしっかり者で
リーダー格で常識人なのが、お調子者の八方美人キャラになってしまった。
根岸と和田くんのリスペクト関係(和田くんはステージ上の根岸に、根岸は普段の和田くんに)も
面白いのに、尺が足りなくなるせいか薄っぺらいキャラに。この一点に限っては残念としか。
全体的には、漫画の映画化としてはがっかりが少なかったほうだと思っています。



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僕はビートルズ:その2 「オリジナリティとは?ビートルズとは?呆気ない終幕に賛否両論の漫画が、確かに残した問いかけの爪痕」

気がついたらいつも楽しみにしていた漫画「僕はビートルズ」が終わっていました。
以前「コミックスが4の倍数になるのは間違いない」など様々な予測をしていたのが
全部外れて、がっかりするやら穴があったら入りたいやら。
しかし僅か10巻で終わりとは・・・もっと続くと予想していたのに。何だか呆気ない。
この顛末について「打ち切り」「ビートルズサイドの圧力」「元々の原作シナリオが
短かった」「人気が出なかった」などなど様々な憶測というか非難の声が上がっている
ようですが、やっぱり最初「10巻で完結」を知った時の印象はそうでした。
でも最後まで読んで、この題材(実在のアーティスト、しかも本人・遺族が健在)では
ここまでが限界なのかなぁとか、いずれはこの地点へ帰着するのかなぁなどと、
納得のような諦念のような感想に至りました。

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9巻と10巻が同時発売。
最終巻が発売されたのが4月末と、まだ少しタイムリーな話題なので
大々的なネタバレ含む感想は「続きを読む」へ。

続きを読む»

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小説の漫画化:その1 夏目漱石×榎本ナリコ『こころ』 「突っ込み所も多々あれど、小説の本質を違う角度からあぶり出し、現代に問う」

コミックレンタルの棚を見て廻っていたら、これでもかと並んでいる
文豪の名作のコミック化、もしくは名作をモチーフにした漫画。
流行っているようですね。
小説のほうを全く読んでいないですがボードレールの「悪の華」にちらっと
なぞらえたブラックな漫画が大きく紹介されていて、絵柄もシュールで可愛くて
ちょっと読んでみたいけれど、ボードレールにノータッチでも良いものですかね。
まぁいいのか。
他にもいっぱいありましたが、多かったのは文豪の小説の舞台を現代の日本に移したもの。
ドストエフスキーの「罪と罰」のコミックとか気になるけれど、ページを開くと怖かった(笑)
太宰治の「人間失格」のコミックも大分ホラー風味かと。興味本位で読むかもしれないけど。

さて、そんななか、以前「文豪ナビ 夏目漱石」を紹介した、我らの(私の?)夏目漱石さん。
色々ありそうな気もするし、あんまり聞いたことない気もするし、と思っていたらありました。
あの「こゝろ」が現代版になってやってきた!
その名も「こころ」。

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大分絵柄が少女~女性漫画のそれで、男性読者にはどうなのかな?と懸念はありますが
ヒロインの胸やお尻のラインの強調や、全裸の性行為シーンがあるあたり、ターゲットは
とくに女性でもなさそう。サービスサービスぅを考えると寧ろ男性向けに描いたのかも。
女性向け雑誌から出ている漫画にもそうした描写はあるから、どちらとも取れるか。

榎本ナリコさんて誰?聞いたことあるようなないような感じだけど」と調べてみたら
少女~女性漫画を描いてて(画を見ればそれは分かるが)、プラス「野火ノビタ」という名前で
批評活動も行っており、新世紀エヴァンゲリオン幽遊白書等の漫画評論と「やおい」論による
批評集『大人は判ってくれない 野火ノビタ批評集成』が「センス・オブ・ジェンダー賞 特別賞」
という賞を受賞。エヴァがアニメ→映画化される際、あの庵野監督が直接この人に意見を聞きに
いったという話を知ったときは開いた口が塞がりませんでした。
そしてこの別名でべつの活動もしており、それが同人誌活動。つまりご自身も「やおい」な訳で。

そうするとすぐに思い出すものが。
「文豪ナビ」の寄稿で三浦しをんさんが「こゝろは先生と主人公との男色風味がする」と
仰っていたこと。しをんさんは「この作家、ちょっと変わってる」というニュアンスで
(女性との描写は超弩級のロマンティストでウブなのに、男性同士の描写は
非常にねっちりしている、といった)、女性慣れしていないのでは?変わり者では?
という風に話を進めていたのですが(それでも何かはしゃいでいる感じが気持ち悪くて、
「文豪ナビ」の感想ではそのあたりをぴしゃりをはねつけてしまったのですが)
この漫画化で嫌な予感が確信へ・・・

「『こゝろ』って、腐女子ホイホイなんですか?!?!」

うへぇ、ふざけるな!漱石先生を汚してんじゃないぞ!!!
ただコミックを全部通して読んだ感じでは、さすがに漱石先生が元ネタで、しかもこれは
同人誌ではないとちゃんと線引きされているようで、あまり「男色漫画」という印象は
受けませんでした。
とはいえ先生と主人公との関係は、主人公が頬を赤らめたりして、やっぱり怪しい。
でも先生自身が「あなたはとっくの昔に、恋で動いている」「私のところに来たじゃ
ありませんか」って小説で言っちゃっているし。しをんさんが仰っていたことが
何だかちょっと分かるような「先生と私」部分でした。

「先生と私」「両親と私」をあわせて全体の3/10で、メインは「先生と遺書」部分。
こちらは普通の三角関係ものの恋愛漫画かな。


さて、明治~大正時代の狭間に書かれた「こゝろ」と、現代に置き換えた新解釈
「こころ」では、どんな風に違って、なにが見えてくるのか?
そのあたりを辿ってみましょう。

『明治天皇の崩御、乃木希典の殉死を契機に、「明治の精神」への殉死』
(Wikipediaより)といった背景があるわけがない。

「こゝろ」ではこれが根底にあるから先生が自死するのですが、そんな要素は盛り込めないので
単に(?)Kへの裏切りからくる自責の念から、「死にたがり」として20年を過ごし
「死ぬ前にたったひとりでいいから、人を信用して死にたい」という願望が、主人公と
親交を深めたことで達成されたと感じて「死んだ気で生きていく」人生の幕をようやく閉じる
決心がついたという、気持ちの流れになる。
「ちょっと一人で考えすぎ」とも感じるけど小説の先生も似たようなものだからな。

主人公と先生は海で出会わない。主人公がふと墓地に足を運んだときに
Kの墓の前でじっと立ちつくす先生を見かけたのがファーストコンタクト。
そして、主人公のアパートの向かいに先生の家があって、
空き家だと思っていたその家から先生が出てきて「そうだ。あの男だ」と気づく。

なんか、海なんて到底出かけられなさそうな、心身共に慢性的に病んでる感じの先生なのと
Kと海でやりとりしたのがトラウマになった描写か、海で出会うような陽気な展開はそりゃ
出てこない。主人公自身が無気力で「あーオレ、ウツなのかも。」って言うくらいだし。

主人公と出会う頃、先生はKの月命日を除いて20年間も引きこもり生活
単純な疑問として、毎日の食事はどうしてるの??ってどうしても聞きたいです。
近所の人が「引きこもり」と噂していたけれど、食事や食材を調達する人がいたら
それも噂されているだろうし。主人公もお手伝いさんなどに出くわした様子はないし。
「引きこもり」が一般的な問題となった世相を考えると、この設定を持ってきたのは
分からないでもないが、引きこもりは一人では出来ないのですよ。
お墓参りのついでに1ヶ月ぶんの食材を買い出し?主人公が同伴した際は、そんな
食材まみれの先生でもなかったし、夜中にご近所さんに知られぬよう買い出し?
どうにせよちょっと無理のある設定では。
小説での「働いておらず、世俗と離れた生活をしている」感じを出したかったのだろうが。

主人公が先生の長い長い手紙(遺書)を読んだ場所は、東京行きの電車の中ではなく
お父さんの入院している病院で、看病をお母さんと代わった合間に読んでいる

これは現実的だったような。小説のほうが、あんな長くて分厚い手紙をパラパラ読みだけで
「先生がどうもヤバいらしい」ってよく気づけるな、という印象があったから。
因みに、小説ではお父さんは以前から調子が優れなかったのが悪化して帰省だったが、
漫画では、倒れる→大事には至らず、主人公すぐ帰る→再び倒れ、危篤状態へ、以前倒れたのは
やはり発作だった→主人公、再び帰省してお母さんと共にお父さんに付く、になっている。

「先生と私」「両親と私」部分が現代なのに、その20年前であるはずの先生たちの
住んでいる世界がどう見たって20年前には見えない。現代になっている。

パラレルワールド?主人公の想像の世界??これはおかしい。
静の服装が今ふうなのが最たる象徴で、買い物に出かけた時の町並みもそう。
話がわかりにくくならないか?レトロな町並みや服装では読者がつかないって?
今ふうのほうが「先生とKと静の三角関係」に集中できるって?
うーん納得できません。

現代(20年前にしたって)で、お坊さんの生まれでもないのに(医者の一人息子)
数珠を常備、「精進」「道」を連呼するKさん

どう見ても新興宗教の人です。小説でも極端な人物だと感じていたが、このように
現代にぶち込まれると、完全に逝っちゃってる。格好良い男の姿で描いてあるけれど
先生の裏切り以前に、その逝っちゃった極端な思考ではどちらにせよ自死しそう。
これは小説でも感じること。Kの自死は先生のせいばかりではないのでは?
まぁ同じこと(その極端な思考じゃ生きられないわな)は、のちの先生にも言えるわけだが。

静がイマドキのエロい子
先生の奥さん「静」は、漫画では「静子=シズちゃん」と名前がつけられている。
「シズちゃん」って書いていたら、以前に記事を書いたせいもあって、どうしても南キャンの
「しずちゃん」を連想してしまって笑いそうになったけど、このシズちゃんは可愛い子。
明治~大正と現代との時代性の違いもあってシズちゃんが幼稚な言動。
身内でない男が二人もいるのに太もも丸出しのタイトなミニスカートはいて、我が儘言っては
しょっちゅうお母さん(=奥さん)に怒られている。
疑いを知らない無邪気な感じ、男二人を魅了しちゃう魔性の魅力は出ていると思う。

静(静子)は先生が好きだったから、先に告白した先生と出来たのか?
先に先生に言われたから先生と付き合ったのか?Kでも良かったのか?

小説でも謎が残らないでもない疑問で、漫画でも静子の言動が、Kと静子が近づくうちに
どちらに気があるのか、どちらにもないのか、どちらにもあるのかわからなくなっている。
先生が静子の家に下宿してきて、静子と二人で買い物に出かけ、その際に静子に服を
買ってあげた→その様子を先生の同級生に目撃され「彼女」とひやかされた、のを
きっかけに、何となく静子はポッと照れた表情をして、先生は静子に惚れたのだが、
先生がKを同居させ、静子がKのひざが出たジーンズを繕ってから、関係が変化し始める。
Kが静子に宿題を教える、Kと静子の二人きりで出かけ「どこへ行ってたかあててみて」
と先生に言うなど、静子の態度は無邪気なようにも、先生をじらしているようにも、
二人の男に淡い好意を寄せられてまんざらではないようにも、
二人を翻弄しているようにも見える。
そして、小説では先生が奥さんに「お嬢さん(=静)を私に下さい」と頼むが
漫画では二人きりになった先生が静子を抱きしめて告白、静子は
「・・・いいよ。Sさんなら、あたし・・・」と先生にしがみつき、二人は肉体関係を持つ。
小説では静の意志が奥さんに言い出した時点では分からないし、
漫画では静子は「好きだから」というより「セックスをしてみたい」という風にも取れる。
静(子)のほうでも先生が本命でKは仲の良い同居人に過ぎなかったのか。
静(子)には下心はなくとも、Kは自分に気があるのかと揺れるし先生は嫉妬する。
Cからはじまる恋愛、お見合いで双方が同意し恋愛結婚に近い結婚をすることもある。
謎が残るが、確かだと思われることは、
静(子)の態度が明確ならば、先生もKもあのような苦悩はしなかったし、
「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」とやり合うこともなかった。

主人公と出会った時、静子は先生と連れ添っておらず、先生は一人暮らし。
Kの自殺の後に婚約するも、先生が静子に別れを告げる

本作の、時代以外で最も大きな、そして決定的な違い、新解釈。
「妻が己れの過去に対してもつ記憶を、なるべく純白に保存して置いて遣りたい」
ことが、小説で先生が静にKへの裏切りを打ち明けない理由。
「静が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、
凡てを腹の中にしまって置いて下さい」と遺書は締めくくられる。
漫画では、Kの墓参りに二人で訪れた際、婚約し、静子が学校を卒業したら結婚すると
静子が墓前で報告し、「ね、Kさんも、祝福してくれるわよね」と先生へ振り返る所で
「自分が最も信愛しているたったひとりの人間すら、自分を理解していないのかと思うと、
理解させる勇気がないのだと思うと、悲しかった」と先生が落涙。
「私はどこからも切り離されて、世の中にたったひとりでいるような気がしました」
そうして突然の「静子。―別れよう」。
どちらも、「自分がKを汚いやり方で出し抜いて静(子)を手に入れた人間であり、
しかもそのせいでKは深く傷ついて死んだ」事実を静(子)に知られたくない心。
静(子)の心を守るようで実は自分を守りたいだけ、小説では一人置いていくことで
漫画では捨てることで、結局静(子)を深く傷つけている。
静(子)は愛する人に本音を打ち明けてもらえない痛みを、喪失感と共に抱えることに
なるのに、先生はそれよりも自分の罪悪感、自分の恥を打ち消すほうに執心する。
「自分を理解しておらず、理解させる勇気もない」愛する女との対峙の仕方の違いは、
時代性(簡単に婚約を破棄するわけにいかない)や状況(奥さんに直接願い出た)に
由来するものだろうと思われるが、印象としての相違は、
静を妻とし続けた末の自死とした小説では、「妻への愛が大事だが、気づかぬうちに
自分のエゴや罪悪感がそれを上回っていた」だが、
静子と別れ独りで生き続けた末の自死とした漫画では、「自分のエゴや罪悪感が
恋慕を上回って、人生を支配した」となり、Kとの一件がより大きな傷となって
えぐり出されているように見える。こちらの方が救いがない。ひたすら孤独だ。
小説では「それでも静がそばに居るなら、黙っていれば幸せで居られるだろうに」と
言う余地があるが、静子を捨てたのならその余地すらない。

そして漫画を読んで、ふと小説にも通じる疑問が沸きました。

主人公の青年は疑似静(子)なのか、疑似Kなのか、それとも
無邪気で単純で疑うことを知らない青年。先生をひたすら慕う青年。
それは静(子)の素直さとよく似ていたのかもしれない。
あるいは、Kとのあいだにかつてあった、健気な友情に似ていたのかもしれない。
男色ととるのもよいが、こういった「失われた関係」を補填する役割として
青年の存在が先生のなかで大きくなって、秘密を打ち明けるに至ったと捉えるのはどうか?
また青年としても、尊敬できて神秘的な同性に興味や憧れを持つのは自然な心の動きでは?
一概に男色(=恋心)と捉えるのは、こころを単純に分別しすぎではないか?
同時に、一概に「疑似」「補填」と捉えるのもまた、こころを単純化しすぎではないか?


現代の言葉遣いや話の展開に、ふぁさりと漱石のあの名文が被さる。
そこで少しぞくりとさせられます。
漱石の言葉の魔力や世界観と現代劇との攻防。
絵の荒さや、ここまでで指摘してきたちぐはぐな設定も一部みられますが
一気に読んで振り返ってもう一度読んで、記事を書きながら考証していくと
「こゝろ」が伝えていたのは何だったのか?先生はどうすればよかったのか?
もし先生と同じシチュエーションに置かれたら自分ならどうするのか?等々、
真摯に考えさせられ、もう一度小説「こゝろ」を読み返してみたくなります。



まぁ、ただ、最初に書いたほかの文豪小説の漫画化などと同じく、
小説を漫画などの可視的な媒体に置き換えると、小説で描かれている内面の苦悩って
どうもおおげさに見えてしまう
きらいはありますね。
「ちょっと暗いよ」「病んでるよ」「考えすぎだよ」と。
逆にいえば、漫画をそのままノベライズするときっと軽薄になる。
それぞれの媒体のもつ特性、得手不得手についてもちょっぴり考えさせられました。



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僕はビートルズ「ジョージの視点から見るビートルズ?ビートルズファンには堪らない漫画だけど、そうでない人でも十分いけると思う」

もし、あなたの好きなミュージシャン、作家、その他アーティストが
名作を世に出すようになる前に、なぜかタイムスリップしたとしたら、
そしてその人の作品を、完コピできるくらいに再現できるとしたら、
あなたは、その人が世に出る前に名作の完コピを発表して、その人にまで伝わるほど
売れることで、その人の「未知の新作」を見たい聴きたいと思うでしょうか?

今回紹介する漫画の「バンドメンバー」たちは、今書いたことをそのまま
実行してしまった、大胆不敵な強者揃い。
その過程もアクシデントだらけ、行きつく未来も分からない、ハラハラしっぱなしで
思わずチェックしてしまう作品です。
かわぐちかいじ氏作画、藤井哲夫氏原作の「僕はビートルズ」。

僕はビートルズ(8) (モーニング KC)僕はビートルズ(8) (モーニング KC)
(2012/01/23)
かわぐち かいじ

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私はいつしか、漫画はレンタル派になったので、正確には「必ず買っちゃう漫画」ではなく
「必ずレンタルしちゃう漫画」なんですが、トラックバックテーマに乗じちゃいました。
で、ここにアップした画像の8巻、行きつけのコミックレンタル店でも、そのそばの書店でも
見つからないよ!画像を載せるためにamazon検索して、この表紙初めて見ました(泣)
そんなわけで、これから書く内容は、コミックスの7巻までの内容(ショウが誘拐されるまで)と、
昨日見たWikiに依ったものになります。あしからず。
というか、どっちかというと、現行の内容より、設定等に対する考察が中心なので
あんまり関係なかったりして。

話をざっくり紹介すると、ビートルズの売れっ子コピーバンド「ファブ・フォー」の
メンバー4人が、ひょんなことからビートルズがデビューする前にタイムスリップ!
ビートルズの曲を「ファブ・フォー」としてリリースしちゃって、
本家ビートルズはどうなる?ファブ・フォーはどうなる?現代に戻れるの?と。

時代が違うから環境も価値観も違うし、だいいち未来から来たから戸籍がないし、
メンバー間では推進派と否定派で大きく割れたり、ビートルズとやり合うつもりで始めた
「ファブ・フォー」が、実はビートルズを「殺して」しまう結果を招いてしまったり、
そんな中で"自分たちの音楽"がどんどん大きな時代の波をつくっていく盛り上がりの一方、
戸惑いと責任感にも苛まれ、彼らが「未来人」ではないかと悟る関係者も出てきたりして、
いつも何かと落ち着かない彼ら。

さて、にわかビートルズ好きがこの漫画を読んでいると、このようなストーリーとは別に
史実との関わりなどの設定がやけに気になってしまいます。
勿論、彼らが現代に戻ったらどうなるのか、彼らのこの先、なども気になります。
大きく分けて二つ、「気になる」の軸があるので、そこを中心に考えてみました。


ジョージが主役でポールが準主役(実質W主役)という視点

ビートルズといったら、ジョンかポールか、というのが一般的な認識だと思いますが
ストーリーの真ん中にあえてジョージ(役)をもってきて、
過去世界における「ファブ・フォー」プロジェクトの主役がポール役のマコトで、
それを側で見守ったり、ついていったり、戸惑ったり、反発したりするストーリーテラーが
ジョージ役のショウで、「ファブ・フォー」の物語は主にこの二人を軸に描かれる
のが
興味深いところです。
ジョン役のレイもプロジェクトやストーリーに大きく絡んでいるとはいえ、
史実より心なしか影が薄いような印象があります。
過去世界に来たときも、マコトとショウは初めから一緒なのですが、
レイや、リンゴ役のコンタは行方知れずから始まって、段々合流していくし。
コミックスの表紙は、マコト→ショウ→コンタ→レイ、の順番で回していたりするし。

ジョンやポールをストーリーテラーにすると視点が偏りそうだし、読者が喧嘩しそうだから、とか
イメージ的に一番普通っぽくて、読者が共感できそうな立ち位置がジョージだから、あたりが
「ジョージ(役)」をストーリーテラーに選んだ理由なのでしょうが、
(ビートルズのライヴの時、センターに居るのはジョージだから、という意味合いもあるのか?)
もっと気になるのは、なぜ「ジョージとポールのW主役なのか」。
ポールがリーダーシップをとって、ジョージがバンドへの音楽的影響力を強めて、
ジョンの影が薄れていって(リンゴはずっと俯瞰を続けてきた)というのは中期~後期。
だけど「ファブ・フォー」の志向は現代の頃から初期寄りで、
初期のビートルズで目立っていたのは、リーダーのジョンとファニーキャラのリンゴ。
ここでまず「あれれ?」と。
更に言えば、ジョージとポールというのは、知り合ったのが一番古い関係である一方で、
ジョージが死ぬまで、見方によっては死後の現在に至るまで、対立が続いてしまったという
史実で言えば最も相性が悪かったともいえる組み合わせであって・・・。

考えたのは、まず一つめが、漫画を機能させるための選択という意味合い
史実のポールだってそんな強引なことしないよ!と擁護したくなるほど、強気で強欲で
過去世界の「ファブ・フォー」を前へ前へと引っ張る役割のマコトと、
史実のジョージの繊細だけど芯の通った部分を引き継いだ、常識的で葛藤が多くて
肝心な時にははっきり主張をする、読者が共感できる漫画的主人公という役割のショウ。
史実でも核かつ問題児だったジョンを投影させたレイは、現代でも過去でも
まずは自分ありきなので、プロジェクトの進行役としてもストーリーテラーとしても不向き、
まして史実を逸脱したレベルで(笑)マイペースなコンタは客観的過ぎるし、ギャグ要員系。
そうしたら自ずと、ショウとマコトになるわな、という選択になるのかな、と。

二つめは、史実では泥沼になってしまったジョージとポールを、漫画の世界によって
分かちがたい関係として昇華させてあげるというメッセージ

しかし、ジョージの「ビートルズの中で悩み、もがき、その中で成長した」性質を
ショウも受け継いでいるとしたら、これからショウとマコトが大喧嘩を始める可能性も
出てきます。全員が揃って、ある程度意志統一のできた7巻までの時点で、
ファブ・フォーの中心はレイとマコトで、ショウはまだ二人の背中を追っているので。


現代に戻ったら4人はどうなるのか?史実通りレイだけ死んでしまうのか?

タイムスリップもの、異世界トリップものの漫画や映画などで、どうしても気になるのは、
「現代や現実に戻った時、どんな戻り方をするのか、どういう展開になるのか」
この作品も例外ではなく、メンバーたちも始終「いつ現代に戻るかわからない」という
自覚を持っており(なるべく過去世界の住人と深く関わらないようにしたいけれど、各々が
大事な過去世界の人間を持ってしまって、葛藤したり考えが対立したりする場面も)、
また、「ビートルズ登場直前のこの時代に来た」事実に運命や使命を感じていたり
(その意識が最も強いのがマコトで、故に「ファブ・フォー」プロジェクトを思い付く)、
過去世界での「ファブ・フォー」の活動で事実上ビートルズを解散させてしまった以上、
「僕はビートルズ」のタイトル通り、ビートルズの音楽を伝えていく役割を担ってしまい
途中で急に現代に戻るようなことがあると、ビートルズの音楽は未来に残らなくなるので
生き急ぐように、1stアルバムに初期から後期までの楽曲を凝縮してしまっています。

現代から過去へタイムスリップした時のシチュエーションは、
レイのバンド脱退を許せないマコトが、レイを駅のホームから突き落とし、
それを止めに走ったショウもマコトを追いかけるかたちでホームから落ちてしまって、
3人の向こうからは列車がすぐ目の前まで迫っていて、
そんな様子を、向かいのホームの列車に乗っているコンタが目撃する、というもの。
タイムスリップがなかったら3人とも死んでいるか、少なくともレイは死んでいそう。
そして、見ていただけのコンタが一緒にタイムスリップしたのも不思議。

タイムスリップ当時のバンドは、「ビートルズのコピーバンドの世界大会で優勝し、
第2のビートルズになって、ビートルズのオリジナル曲をリリースする」ことに意欲を燃やす
マコトをよそに、リーダーのレイは「コピーバンドでなく、ビートルズのスピリットを継承した、
オリジナルな音楽をしたい」という意向が強くなって練習を休みがちになり、
マコトがバンドを仕切りだしてレイとマコトの対立が顕著になり、バンド内のムードもピリピリ、
レイの脱退宣言、その末の解散(漫画の幕開けは解散ライヴの光景)という、史実をある程度
反映した人間関係で、解散ライヴの帰りにタイムスリップに至る事件が起こる、と。

過去世界で、レイはソロデビューして「自分なりの音楽」をやろうとするも何かが違う、
マコトと再会して演奏を共にすることで、しっくりくるフィーリングを得て、
ある程度納得してファブ・フォーに戻ってきたので、タイムスリップ時にあった
意見の相違は、今のところあまりみられず、寧ろレイは持ち前の知性と機転、威厳を発揮して
「さすがレイ」という存在感をみせて、マコトと二人三脚でバンドを引っ張っています。
この展開は、確執は消えたものの、再結成はジョンの死によってついぞ実現しなかった史実への
「ファブ・フォーによる、ビートルズの再結成の姿」という、夢の体現なのかもしれません。

漫画がどこまで続くか、これからどう展開していくかにも左右されますが
今のところ、タイムスリップ時と同じ過ちを繰り返す兆候はみられません。
しかしいずれ、現代へと戻る時が来るでしょう。それはどんな時か?
タイムスリップ直後の時期、状況を受け入れられず混乱したショウが一人で
未来の同じ場所に立って、列車に轢かれようとしたことがありましたが
直前でマコトが引き留めたおかげもあって、戻ることはできませんでした。
4人全員が「もうやり残したことはない。全て達成した」と感じた時に戻るのか
あるいは「俺たちは間違っていた。ビートルズになることはできないんだ」
と悟った時なのか、また人間関係が歪んだ時なのか、
はたまた、ビートルズに呪われるのか・・・?
どうにしろ、現代に戻ったらタイムスリップ時と同じシチュエーションが
待っているなら、レイを中心に3人はかなり命が危ういに違いありません。
一番前に飛び出していたのはレイなので、ショウとマコトはぎりぎりで留まるけれど
レイは・・・という悲劇的な構図がどうしても浮かんでしまいます。
それ以降、残る3人は散り散りになって、特にショウとマコトとの間には
埋まらない溝が・・・なんて展開になったら、やりきれなさすぎです。
史実とは違う結末、少なくともレイ(=ジョン)だけがいなくなるような結末でない
印象深いエンディングを見てみたい
ような気がします。
例えそれが、バッドエンドであっても・・・
とりあえず、コミックスが4の倍数になる巻数で終わることは間違いないでしょう(笑)


この漫画はBECKなどのような、音楽を奏でる喜び苦しみを描いた音楽漫画ではあまりなく、
よくあるような、個々の成長に焦点を当てた青春群像劇の漫画でもあまりなくて、
「ファブ・フォー」というバンドや、それを支える人々を含む一連のプロジェクトの行く末を
一喜一憂する(かつ、ビートルズトリビアにファンがニヤッとする)類の漫画の趣で、
バンドもの要素や青春要素が漫画に欲しい人にはちょっと味気ないかもわかりません。
けれど個人的には、ジョージのビートルズ~ソロでの展開やキャラクターを考えたとき、
彼を反映しているとおぼしきショウが、これから多くの変化や進化を繰り広げ、
物語をかき回してくれることが予想され、またそれを期待してしまいます。

現段階でも十分面白いけれど、そういうエピソードが起これば起こるほど、
この漫画はより面白く、そして、よりキャッチーになっていくように思います。

表紙カバーを外した時に対面できる、各人のギター、ベース、ドラムは本物のよう。
画や「かわぐちかいじ漫画」というブランドで入ってもいいので、
ビートルズのオタクやファンでなくても、この驚天動地の世界に足を踏み入れては
いかがでしょう。
なにせ、新人の藤井さんの原作が凄すぎて、審査員だったかわぐちさんが絶賛し
「俺が描きたいぐらいだ」って言って、本当に描いちゃってるぐらいですから・・・



トラックバックって、こうやってやるのか・・・。初めてやってみたトラバに手こずりまくり。

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当ほうじょうです。
今日のテーマは「新刊が出たら必ず買っちゃう漫画は?」です。

本屋に行くたびに変わる平台のラインナップ!
こんな新刊が出ましたよとお勧めしてくるネットショップの本屋さん!
新刊って素敵な響きですね

新刊が出たら、必ず買っちゃう漫画のタイトル、
あなたにはありますか

人それぞれ楽しみにしている漫画、たくさんある...
第1381回「新刊が出たら必ず買っちゃう漫画は?」





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