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The Beatles:Let It Be…Naked「独断と偏見から聴かず嫌いしてきたけれど・・・もやが晴れて、驚くほど若々しいアルバムに」

The Beatlesビートルズ)の作品に対して長らくあったもやもや、
Let It Beって何でイマイチなの?Abbey Roadホワイト・アルバムは良いのに」。
そういう時期だから、そういう作品だから仕方がないものだと思っていたところ、
2003年、リミックス+曲順調整を施した、本来の意図に沿った新たな「レット・イット・ビー」、
Let It Be…Naked」があったことに気づき、手にとってみました。

レット・イット・ビー・ネイキッドレット・イット・ビー・ネイキッド
(2010/11/03)
ザ・ビートルズ

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ビートルズのCDを集めていく過程で、この作品に気づかなかった訳ではありません。
オリジナルアルバム(含む赤盤・青盤・Past Masters)を集める以外の興味が
無かったというだけ。他にも例えばアンソロジーとか、LOVEなんかは未チェックです。
でも無意識の意図はもうひとつ。
「ポール爺のわがまま?」
「反対しそうな面子(=ジョン、ジョージ)が居なくなったから?」
「便乗商売?」
といった偏見です。最後のはともかく、最初のふたつは、アルバムのブックレットを読んで
全然間違いだということがようやくわかりました。
当初こそフィル・スペクターのミックスを気に入っていたジョンとジョージでしたが、
ジョンは「ロックン・ロール」の制作中に大揉めしてスペクターがマスター・テープを
持ってトンズラした時点でアウト、
ジョージは「オール・シングス・マスト・パス」を2000年代にリマスターする際、
いちはやくスペクターのエコー処理をカット、「もやが晴れたようだ」と。
そこに2003年、スペクターの殺人容疑逮捕劇も重なり、リンゴまで脱スペクター化宣言。

今年のロンドン五輪の開会式でも大活躍したポール・マッカートニー卿は、
「レット・イット・ビー」を楽器パート別に録音されているマルチトラックテープそのものから
トラック・ダウンし直し、映画の中で聴ける形に限りなく近くなるようにリミックスで再リリース
するという計画をメンバー(ジョン・レノンはもういないので代理でヨーコ)に打診、
リンゴ・スターオノ・ヨーコ、そしてジョージ・ハリスンも2001年の死の前に、
無事全員の同意を得て決行したということで、サー・ポール、申し訳ございませんでした。
但しミキシングの方針はほとんどアビー・ロード・スタジオのエンジニア達によって決定され、
最先端のテクノロジーが駆使されて作られたそうです。
今風のイコライジングで音のメリハリを加え、曲によっては別テイクから同じパートを抜き出して
巧妙な継ぎ接ぎをして、「ルーフトップ・コンサート」の音源では異なる二つのテイクを合成して。
「オーヴァーダビングを極力排除してライヴ録音する」という当初のコンセプトに沿って、
「プリーズ・プリーズ・ミーの頃のように、原点にゲット・バック」したアルバムがここに。
オリジナル・アルバムから2曲を削ぐかわりにシングル「Don't Let Me Down」を収録、
曲順も変えて、「ライヴ・アルバム」「ラスト・アルバム」感を出すことに成功。
最先端のテクノロジーを駆使しつつも、アナログな質感、あたたかみがとても大事にされていて、
ビートルズ4人とアビー・ロード・スタジオのスタッフの温もりが今にも伝わってきそうです。

Let It Be Naked

何となく手に取ったこのアルバムがけっこうクセになっています。
聴き慣れている曲たちのはずが、瑞々しく、ダイナミックに聴こえるのです。
Two Of Us」、「One After 909」、「I've Got A Feeling」などのジョン曲・ポール曲で
レノン=マッカートニーのハモりの美しさに舌鼓を打ち、
「Yer Blues」を思わせる退廃的でタイトな格好良さの「I Me Mine」に痺れ、
大好きな曲「Don't Let Me Down」はポールやジョージのコーラス付きで更に大満足。
Across The Universe」はあの内世界へ広がる歌詞やメロディをもっと広げるものに。
そしてジョンの「Don't Let Me Down」、ポールの「I've Got A Feeling」での、
情熱ほとばしる双方の熱い歌声に心を大きく揺さぶられます。
何より一番変わったのは、「The Long And Winding Road」や「Let It Be」といった
ポールの代表曲の「仰々しさ」が取り除かれ、
ポールというアーティスト自体への少々悪いイメージが払拭されたこと。
2曲に込められたポールの想いはオリジナル・アルバムからもとてもよく伝わるのですが、
スペクターのミックスでいささかトゥー・マッチなものに。
そこから、過剰だったものを取り除くと、残るのは4人のバンド・サウンドやコーラスと
ビリー・プレストンのオルガンだけ。
息ができるようになって、聴き手が感情移入する余地が生まれたとき、沁みこんでくるのは
楽曲の美しさ、ポールの歌声の深み、よりクリアに浮かび上がる熱く哀しい想いのたけ。

ブックレットでの解説で「タイトで『うまい』脂の乗った演奏。若返った感」、また
「ビートルズの勢いのある演奏をよみがえらせた」とありますが、まさにそんな風情。
何だかじめっとしていて冴えない印象のアルバムが、ここまで変わるものかと
明るいタイトル曲「Get Back」で始まって厳粛なバラード「Let It Be」で締めくくられる
(しかもラスト直前は「Across The Universe」ときている)と、改められた曲の流れでも
胸がいっぱいになってしまいます。

Beatles-rooftop

4人が「レット・イット・ビー」で本当にやりたかった音との、時を超えた出逢い。
長いあいだ聴かず嫌いしてきた1枚でしたが、出逢って本当に良かったです。
ビートルズは割と好きだけど本作はまだ聴いていないという人がもしいたら、
騙されたと思って聴かず嫌いを忘れ、是非とも聴いていただきたいです。
きっと驚くはずだから。
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テーマ:心に沁みる曲 - ジャンル:音楽

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