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チキンフット:その2 Chickenfoot Ⅲ「リズム隊好きは必携!ゆったりどっしり構えた2枚目、オッチャンたちの遊び心も炸裂」
私がチェックしている音楽にはやや珍しい、HR/HM系ロックバンド&スーパーバンド、
Chickenfoot(チキンフット)の2ndのレビューを今更ですがお送りします。
元ヴァン・ヘイレンのサミー・ヘイガー(Vo)とマイケル・アンソニー(Ba)のコンビに
おなじみチャド・スミス(Dr)、そしてソロ・アーティストとしての活動がメインの
孤高のカリスマ・ギタリスト、ジョー・サトリアーニという超豪華なラインナップ!

みんな仲良くグラサンに黒づくめですが、服のチョイスにそれぞれの個性が感じられますね。
そしてチャドの「身長を縮める努力」はここでも続くのですね・・・ホント涙がちょちょ切れます。
(ジョー身長172㎝、サミー&マイケルはもうちょい低め。
この画像の写真では、チャドは大幅にサミーに寄りかかることで顔が映るようにしている・・・)
で、何を思ったか、2ndのタイトルが「Ⅲ」っていうんです。
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ちなみに1stのスペシャル・エディションも、DVDつきの特装パッケージで
登場していたようですね。
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「スーパーバンド」ということや、各人のキャリアの凄さ、音圧重視だった1stの迫力もあり
かなり遠くのお偉いさんぐらいに感じていたこの4人が、一気に身近になったきっかけが
本作付属のブックレット。スマホで読めるQRコード付の、4人の一問一答(一以上も多い)が
載っています。しかも設問と回答がふざけたものばっかりで、らしくてらしくて実に面白い。
順番はブックレットの掲載順に則っています。いやー、何度読み返して笑ったことか!
☆サミー
・好きなもの:海、塩、太陽、砂、週に9回のSEX
おい!!じいちゃん、精力パネエな!バイアグラいらずですね。ある意味アンチエイジング。
・道標となっている歌:Deep Perpleの「Highway Star」
→って答えたそばから「好きな色は?」:当然サミー「それをいま聞くんじゃないよ」
回答が出た段階で次の質問が出来上がったとみた(笑)

あまりない画像だけどグラサンをとるとこんなふう。西海岸の匂いがプンプンですね。
しっかり「紫色」のギターを抱いてます。なんだかんだでやっぱ若いわ。
☆マイケル
・「hot sauce」の頻出、それ絡みの質問のあまりの多さ
「鶏(足?)を料理して食べるならどうする?」だの「辛すぎるってどのくらい?」だの。
とにかくこだわっているらしい。これはこれでオッチャン、怖いもの知らずだから!
・好きなものの最後に「俺の相棒のサミーにジョー、それにチャド坊とジャムること」。
そう、レッチリでは最年長(実は近年までひとつサバを読んでいたようで・・・)の
あのチャドが、ここでは「坊や」(young chadを意訳しました)なのですねえ。

結構派手なベースに、わりと派手な衣装を合わせてみましたっと。
恰幅もよく、存在感がかなりありますね。何だか見るからに頼もしい。いい歳の取り方です。
☆チャド
・好きなもの:静寂、太陽、バイク、子どもたちの笑顔、みんないいね。
・嫌いなもの:酔っぱらい、混んだバー、暴力、難しい状況
・好きな音楽:パワフルで美しいものなら何でも。
好きなものの筆頭に「静寂(silence)」が挙がっていて、いつぞやレッチリ関連の書籍で
読んだチャドについての記述「本当は大人しくて無口」ってホントなんだなぁと呆気。
こうした面に加えて、好きな音楽が「パワフルで美しいもの」。HR/HMバカという
イメージの強いこの人がレッチリに未だ居続ける理由が見えたような気がした。
嫌いなものの最後「難しい状況」は単純バカのパブリックイメージそのままだけど(笑)
ほかの設問と回答も「らしさ」に溢れていて、ユニークかつ興味深いので
レッチリ好きやチャド好きの人は是非ちらりと覗いてみることをオススメします。

かつて、レで始まる某バンドのメンバーに「サイケデリックゴリラ」って揶揄されてきた
苦い歴史もちょっと仕方ない気がする(失笑)
大先輩に囲まれても、チャドはどこにいってもチャドなんですね。偉大なるマイペース。
☆ジョー
・一人だけメタリックすぎる雰囲気、ギラつくギターにスキンヘッド、グラサン
サミー、マイケル、チャドとある程度似た雰囲気(西海岸をちらつかせつつナチュラル系)で
ほんのり統一されている空気を思い切り破る、このコワモテな銀色の輝き!
ジョーは孤高の男。いつでもジョーなのだ!
・好きなもの:夜更かし、朝寝坊、ドライヴ、泳ぐ、SEX、音楽、ポテトチップス、
ピザ、ヴィンテージのギター、山、森、スムーズなPC、スムーズなインターネット、
エスプレッソ、芸術、人々、ロックンロール!
なげえ!!!他のメンバーはこんなに書きませんでしたよ?!
・嫌いなものの最後:質問の回答を埋めること
嫌味じゃねえか!絶対性格こまけえだろアンタ!

見よ、この一人メタリックで鋭角的な、異端児ここにありと言わんばかりの存在感を!
今回の記事のための画像検索で断トツ人気だったのがこの人。ソロショットたくさん
あがってました。チキンフットで一番人気か?
さて、おふざけ・茶々はこのくらいにして、音や楽曲の感想を述べていきます。
まずは各人の鳴らすサウンドから。
見た目どおり(笑)メタリックな質感やトリッキーな音色でガンガン攻めていたジョー、
本作ではその腕っぷしをなるべく抑えて(リフなどではしっかり押すのですが、それは
多くがマイケルやチャドとの連携プレーを交えたものに留めて)、ギターソロも控えめ。
前作ではそのメタリックでトリッキーな独特の質感が強烈な動力源やスパイスになって
いたのですが、本作では他の3人に馴染むこと・4人での一体感を出すことを重視したと
おぼしく、前作と同じ人とは思いがたいような控えめなプレイで全体を締めています。
サミーも、甲高く張り上げる場面よりも、中低音をどっしり固めてそれを積み重ねていく
といった場面のほうが多く、シャウトするにも足場をしっかり固めてからという印象。
その代わりに本作でずっしりと重みがしみてくるのが、マイケルとチャドのリズム隊。
この2人は見た目もややずっしりしていますが(笑)、安定感たっぷりでドスの効いた、
かつ柔軟なプレイに多くの聴きどころがあり、聴き惚れる瞬間がたくさんあります。
続いて楽曲、アレンジについて。
印象的で頭に残るイントロやリフがどの曲にもあるのが、やっぱり大きな規模の
バンド・ユニットでやってきた人達の仕事だなぁという感じでとっつきやすいです。
前作よりリラックスしながら奏でられた、しかし当然の如くパワフルな各曲の合間に
前作とはちょっと違う魅力の曲が紛れ込みます。
#2のタイトルは「Alright Alright」で、サビでこのフレーズが何度も連呼されます。
タイトルのまんま、サビのまんま、こっちまで楽観的になれそうな曲。
続く#3は「美しい」という形容詞がはまるような曲で、4人が好きだと言っている
太陽や海といったカリフォルニアの海沿いの自然が目に浮かびそうです。
#6「Come Closer」はしっとりとしたバラードで、こちらは雨→豪雨のよう。
そして最も異端なのがラストを飾る#10で、哀愁とエキゾチックが混じった風味で
演奏もアコースティックメイン。私のお気に入りの一曲です。しんみりとしたところで終幕。
ざっくり言って、前作と本作との違いは「ちょっと肩の力が抜けて、オッチャン達本来の
ナチュラルな姿が見える音楽になった」「ジョーのギターがやや控えめ」あたりでしょう。
カンフル剤のような「元気モリモリ」「俺達まだまだ現役だぜ!」感は前作の方が
強いのですが、本作はキャッチーさを失わないまま、緩やかめでどっしりした曲が多く、
気負いが減った分、美しいメロが引き立ち、「いい歌」も多く揃っている印象です。
ジョーのファンやギター好きには不満が残りそうですが、リズム隊好きには間違いなく
垂涎ものの一枚でしょう。
本作を聴いてから前作を聴くと、もしかするとちょっと本作が物足りなく感じられるかも
しれません。でも、本作のこの作風によって、個人的にはこのオッチャンたちのことが
より身近に感じられて、思い入れが強くなったという感想があります。
なんといっても、こういうノリだし(笑)

日本での広告とおぼしきもの。出てきた時は壮麗さを前面に出してきたのに対し、
段々はっちゃけてきましたね。なんか近年のレッチリよりふざけてません??
重厚感たっぷりに演出しても、親しみやすいおちゃめな姿をチラ見せしても、
それぞれに魅力的なオッチャンたち。
2ndを聴いて「前作よりバンドとしてまとまってる感じがするぞ」という感想も
持っただけに、ゆっくりペースで良いので、是非ともパーマネントなバンドとして
活動を続けていって欲しいものです。
皆それぞれ忙しいでしょうが、まぁ無理はせずに。
最後に、個人的に今年一番大きくおののいた一枚を・・・

ジョーがすっぽり帽子を被って、グラサンを外したら、こんな風になります!!!
硬質なコワモテから中性的でふにゃふにゃした兄ちゃんに変貌!?
見つけた時、確信が持てなくて、ジョーの他の画像を色々探してやっと
確信に至りました。いやーこの人面白いわ。
沢山リリースしているというソロアルバムにも興味が出てきかけています。
他に、スティーヴ・ヴァイに始まり、大物盛りだくさんのG3なんてのもあるというし。
・・・ってまた更に、HR/HMの門を新たにくぐるのか私は?!
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チキンフット:Chickenfoot「HR/HMは全然だめな私が、彼らとVelvet Revolverだけは聴けてしまう不思議。歳をとるって楽しそう!」
HR/HM系スーパーグループ、Chickenfoot(チキンフット)の1stアルバム、
その名もまんま「Chickenfoot」。
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手でこすると、ジャケット表側ではメンバーの姿が、裏側では曲目が
浮かび上がってくるという面白い加工のジャケ。
よって潔癖性の人にはレンタルは勧めません。お金なくても、新品を買いましょう。
私、普段はまずHR/HMは全然聴きません。
それなのになぜ本作を手に取ったのかって?理由は至って簡単。
「チャド(レッチリ)がようやくハードロックのプロジェクトを始めた!涙、涙」
というものでした。
チキンフットでもレッチリでもドラマーを務めるチャド・スミスですが、
ミクスチャー・ロック~ポップ・ロックのレッチリに入ったのは
音楽性としては実は本意ではなく、本当はHR/HMが大好きなメタル野郎。
しかし、その方向では食べていけず、やむなくレッチリのオーディションを受けて
その腕を買われて現在に至るというわけ。
でも他のメンバーにとってメタルは敵。チャドは「サイケデリックゴリラ」などと
他のメンバーからしばしばバカにされながらも、耐えて忍んでここまで来たのです。
だから、ようやっと本来やりたかった方向性のバンドに参加できて、
「よかったなー!」と涙を拭いながら(誇張です、スミマセン)手にとってみたと。
なのに蓋を開いてみたら、やっぱり?脇役・・・(更に涙)
まぁ仕方ないか、なにせ他のメンバーが凄すぎですもん。
天才ギタリストとして名高いジョー・サトリアーニやら、
元ヴァン・ヘイレンのサミー・ヘイガー&マイケル・アンソニーやら、ですもん。
しかもレッチリで最年長(で最のっぽ)のチャドは最年少ですからね。
「始めた」んじゃなくて、「入れてもらった」というニュアンスが正確そう・・・
このチキンフット、ヴィジュアル的にも色々と凄い。
高年齢バンドだから、毛量が足りない(苦笑)
堂々たるスキン+グラサンの強面ジョーに、後退した頭を帽子で隠すチャド(いつものこと)、
そろそろ心許なくなってきたマイケル。哀愁?迫力?
しかし、最年長のはずのヴォーカリスト、サミーだけ、見事にふっさふさ!
サミーとジョー&マイケルが10歳くらい差があって、更にチャドは二人より7歳くらい下で
かなりの年齢差バンドでもあるにも関わらず、このじーちゃんはまぁ、若い若い。
歌声にもそれが出ていますが、もうスゲェとしか言いようがありません。
一発プレイヤーをONにしただけで、アドレナリンが全開!
一つ一つの音がハッキリ、クッキリ、ズッシリと迫ってきて、潤いも感じます。
「ええ音だ」と聴き入ったり、圧倒されたりせずにはいられない威力。
マスタリング・ミキシングのグッジョブとも言えると思います。
当然各メンバーの演奏がウルトラ巧いから成せる技なのですが。
ズシンと打ちのめされるような大迫力のベース、おなじみのパワフルなドラム、
とても60代とは思えない素晴らしいヴォーカル、流麗で切れ味鋭いギター。
「肉食系」とはこういうのを言うのでしょう。あと「オッサンパワー」とか。
肉々しさを、ジョーの鋭利な持ち味が中和して、胃もたれしないようになってる(笑)
バランスを配慮するなら、誰かこういう役割を担うメンバーが居ないとね。
曲は当然ロックですが、同時に結構ポップでキャッチーな印象もあります。
全速力で飛ばす曲から、しんみりしたバラードまで、曲調もさまざま。
Amazonのレビューでは「Zepぽい」「もろZep」という声も。
そうか、だから普段HR/HMが苦手な私でもスッと入れたのか。
この手のジャンルは苦手だから、と敬遠している人でも、とっつきやすいのでは。
サミーは魂がきっとForever Youngなのでしょう、バラードを歌っても
歳を重ねた含蓄による説得力はあっても、決して枯れてはいません。
活き活きとしたサミーの歌声を聴くだけでも、幅広い層が楽しめると思います。
長年の相棒、マイケルによるコーラスも綺麗。加工の仕方もいい感じです。
聴いていてやっぱり印象に残るのは、ダイナミックこの上ないチャドのドラム。
レッチリでチャド&フリーのリズム隊にやられてしまった人は絶対に聴くべき!
(特に近年の)レッチリでは音楽性からどうしても制約があり、その鬱憤を晴らすべくか
チキンフットでは何の遠慮もなく、奔放にズダンズダンバカスカと叩きまくっていて
チキンフットの音楽に漲る「生命力」の泉となり、かつサミーやジョーをどっしり支え
チャドの永遠のヒーロー、ボンゾを思わせる、大活躍ぶりをみせてくれます。
そして、レッチリではフリーの影に隠れがちですが、チャドの果たしている役割は
決して影なんかじゃなく、大事な肝なのだと改めて実感させられました。
前任のジャック・アイアンズには悪いですが、チャドが来てから、レッチリは
「ベースが凄いバンド」から「リズム隊が凄いバンド」と呼ばれるようになったりで。
私はサミーやマイケルがいた高名なHR/HMバンド、ヴァン・ヘイレンを
一度も聴いたことがないし、今後も聴いてみるかどうかはわかりません。
レッチリが「Stadium Arcadium」をリリースした時、ジョン・フルシアンテが
エディ・ヴァン・ヘイレンのようなHR/HMの要素を現代のバンドに取り込みたかった
という旨の発言をしていて、そのアルバムでは凄まじいギターソロが満載で
ヴィジュアルもどこかギターヒーロー然。そんなジョンのことを、チャドが
「自慢の弟」なんて称えて、HR/HM調の曲では実に嬉しそうに叩きまくるといった
エピソードは確かにありました。だから全くNOではないと思います。
しかしそういった個人的な「いわく」を除いても、元メンバーが2人いる以上どうしても
比較されるヴァン・ヘイレンというバンドの音楽を聴いていなかったり興味がなくても、
ただそこにある音楽を、楽しむことができるし、また、そうすべきなんじゃないかと
至極個人的には思いました。
そうは言いつつ、実際にヴァン・ヘイレンを聴いてしまったら、
ついついジョーとエディを比べてしまうのかもしれませんが・・・
聴くと凄く元気が出て、勇気づけられる、生命力に溢れるアルバムです。
酸いも甘いもかぎ分けた、大人だからこそ奏でられる、
聴き手が安心してどっしりと身を任せることができる作品、そしてバンド。
大人による大人のための、そして、未来の大人たちのための音楽ですね。
歳を重ねるのが楽しみになります。
歳をとるほど、もっと楽しいことが待っているんじゃないかという気にさせられます。
「今日を楽しめ、だけど明日はもっと楽しいぞ」と言わんばかりの、
単純明快かつ楽観的なオッサン(オジイサン)達から、私達が得るものは多いでしょう。
メンバーがメンバーなだけに、単発企画かと思いきや、
ちょっと前には2ndアルバム、その名もなんと「Ⅲ」がリリースされたとのこと!
これからも継続してやっていくのかな?
00年代のストーンズ、そしてチキンフットと、2連チャンで
「枯れ専」ブログと化しているのはどういう訳だ?自分でもわかりません。
その前の「居酒屋もへじ」を加えると3連チャンだ!どうしたのか、私(笑)
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