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【CDレビュー・感想】Warpaint:Warpaint
入院する前に作っていたメモを頼りに・・・・・・
ガールズ(という歳でもないようだが)バンド、Warpaintの2nd、「Warpaint」。
![]() | ウォーペイント (2014/01/22) ウォーペイント 商品詳細を見る |
・ほとんどジャケ買い
「Warpaintは今どうしているのやら」と思っても情報がないのが長く続き、
いつからかすっかり諦めていたら、2ndアルバムがリリースされているとの報が。
それで、7月下旬、やっと購入した。
クリス・カニンガムのジャケにつられて購入。青と黄が混じり合った淡い発色がきれい。
4人どれがどれ?わからなかったが、日本盤付録ポスターで判明。

ふむふむ、謎が解けた。
それだけのためにあるようなポスターに感謝する一方で、彼女たちってアイドル売りなのかと
フクザツになる。
・エレクトロ化の功罪
Amazonのレビューが喧嘩になっていて怖い・・・・・・。賛否両論に割れている様子の本作。
80年代エレクトロを目指し、ニュー・オーダーやデペッシュ・モード、U2などなどを手がけた
フラッドに共同プロデュースを、ナイジェル・ゴドリッチにミキシング(2曲)を依頼した。
フラッドがつかまらなくて、2年の歳月がかかった、という。
1stは生々しくてドロドロし、感情が剥き出し、4人でやっている感が強かった。
2ndでは垢抜けて、混乱が整頓され、スッキリ聴ける。
ライヴハウスなんかで彼女らの演奏を生で聴いているような感触もある、不思議な感じ。
一方で1stのようなダイナミズムは削がれ、平板な印象も受ける。
音が変わったこと、長く待たされたこともあって、2ndでソングライティングや演奏が
どれだけ進化したのかはわかりづらい。
よって、アレンジやアプローチのエレクトロ化をいいか悪いか、どちらとみなすかによって
本作の評価が割れていくと思う。
わんぱくで生々しい世界が好きなら1st、洗練されたクールなものが好きなら2nd。
・「今の気分」「次はちがう作風」ならOK、「これからもこの路線」だとマズい
2ndのエレクトロ化は、1作だけやってみたチャレンジとしては良かったと思う。ただ、
この路線を続けられてはさすがにつまらないというか、飽きるだろう。
次作は全くちがう引き出しでいって、驚かせてほしい。
1stに戻ったり、2nd路線を続けると、「Warpaintは2ndで行き詰まった」と言われると思う。
・「○○が参加」「○○の女」といった話題が先行し、アーティストとして見てもらえてない?
アルバムがどうとかライヴがどうとかといった話の前に、「クリス・カニンガムの妻」
「ジェイムス・ブレイクの彼女」そして「ジョン・フルシアンテの元カノ」といった
(ジョシュ・クリングホッファーの元カノ、は入るのか?)ゴシップネタや、
フラッドやナイジェルの参加が先行している印象がある。
来歴でいつまでもフルシアンテを引っ張り過ぎ、エミリーをいい加減自由にしてやってくれ。
才人にモテるのは全然構わないが、肝心の要の音楽面での話――歌とか演奏とか、
プレイヤーとして、ソングライターとして――になぜならないのか?
今の状況はちょっとマズい。
「才人たちを自然に惹きつける磁力」はいいけど、自力をつけてほしい。
個々の能力を認められないと、いずれ忘れ去られる。
・リリース間隔がやっぱり長すぎた
忘れられかけてる、話題に前ほどなってない。
新人のうちはやはり、こまめにリリースしないと・・・・・・。
Youtubeで動画を観たけど、楽しそうなのが何ともいえない彼女らの魅力ですね。
でも、こんなに彼女らに興味をもったり心配をしたりしてるのって自分だけなんだろうか、と
淋しさを覚えたりもします。
次作こそは巻き返せ!頑張れWarpaint!
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Warpaint:The Fool「オンナノコ達の奥に潜む、仄暗い部屋に迷い込んで・・・グルーヴの海の中、悲鳴とも嬌声ともつかない声が交錯する」
実際に書くまで結構時間がかかりました。
なかなか、日本語サイトでめぼしい情報が得られなくて。
困り果てて、本国の公式サイトまで見て、ようやっとそれなりの情報が集まり
何とか記事化までこぎつけました。
今回は、彼女たちのデビュー作「The Fool」をレビューします。
![]() | Fool (2010/10/26) Warpaint 商品詳細を見る |
なんとも個性的で、そのうえ薄気味悪いジャケですねぇ・・・
しかし、このアルバムの時折ゾッとするような妖気を、よく表していると思います。
Warpaintでググって、画像検索するとなかなか面白いです。
本国じゃアイドル系バンド扱いなのかな?オシャレで可愛い写真が沢山出てきます。
日本ではいまいち人気が盛り上がらない印象ですが、向こうではこんな風に
雑誌の表紙を飾ったりもしているようです。

左から反時計回りに、
Emily Kokal(Vo/G),Jenny Lee Lindberg(Ba/Vo),
Theresa Wayman(Vo/G),Stella Mozgawa(Dr/Key/Vo)。
色々検索して、お気に入りのメンバーを探そう!
Youtubeにライヴの動画も多く上がっています。それを見てもわかるのですが
彼女達、一見ごく普通の、イマドキの女の子(実際の年齢は「女の人」のようですが)。
公式HPにあるオリジナルTシャツは、ディテールにこだわったオシャレなデザイン。
ファッションアイコンみたいな感じで、とてもこんな仄暗い闇の中から奏でたような
音楽を作って紡ぎ出しているなんて信じられなくなります。
しかしまぁ、Jenny Leeのオシャレ個性派ぶりは猟奇的とすらいえるほどです。
「正面から見てショートヘア、横~後ろから見たら・・・ボーズ!?」な髪型やら、
最近の眼鏡屋で女性モデルがプロデュースしているようなデカメガネやグラサン、
男性かと見紛うようなボーイッシュすぎるファッションなどなど。フリーダム!
ライヴ動画でも一人ぶいんぶいんノリノリで動いていて、只者じゃありません。
左か右で極端に分けるヘアスタイルが好きなEmilyは女らしい格好が目立ち、
「Nice Leg!」とコメントされる一方、時々面立ちがデレク・トラックスに似てる・・・。
前髪で顔を隠しがちだったり、正面から写るのを嫌がったりしがちなTheresaは
シンプルな、バンド少女らしい格好が多め。赤いギターもかっこいい。
デビュー直前に加入したStellaは、ドラムセットに隠れて、よくわからない(笑)。
さて、見た目の話はこのぐらいにして、肝心の音楽の話をしましょう。
メランコリックな曲調、やや拙い歌、無機質な単音中心のギター、反復性・・・
こう書き連ねていくと、ある音楽シーンが連想されると思いますが、
本国の雑誌のインタビューで、お気に入りのアルバムを尋ねられた彼女達が挙げたのは
U2,Brian Eno,Talking Heads,Depeche Modeなどなど。納得のチョイスです。
全体的に、これらの80年代NW系統の音楽が下地にあることが感じ取れます。
しかし、Warpaintが80年代NWの真似っこにならず高評価を得ているのには
もう少し要因が増えます。
例えば、「これだけ暗い曲調なのに、やけに踊れて、クセになる」という点。
よく「中毒性がある」と評されていますが、私も初めは「なんだこの下手な歌は」と
ピンとこなかったのに、リピートすればするほどどっぷり虜になってしまったんです。
メランコリックかつ踊れる、というあたりで、New Orderぽいとも考えたけれど
何か違う。もっと肉感的なんですよね。
ここで繰り広げられている音をもっとラウドに鳴らすと、The Musicみたいな
ハイなグルーヴにまで至るんじゃないかという。
その秘密は音源+ライヴ映像で判明します。ドラムは結構ドタバタロックしていて、
ベースはJenny Leeのステージ上の動きと同様に、実に奔放に動き回っています。
Emily&Theresa(+他の1~2人)のたゆたう歌やコーラスワークにまどわされて
「か弱い」という印象を受けますが、裏では人力リズムマシーンみたいな、
かなりダンサブルな、いっそ力強い動きをリズム隊がしているんですね(曲によりますが)。
そして、ジャケ写にもあるような、多くの楽曲に漂うただならぬ不気味さ。
静寂の向こうから、どす黒いよどみ、とぐろを巻く情念がやってくるような。
前述したお気に入りアルバムで、EmilyはAphex Twinなども挙げており、
幾度となく音響的なアプローチが効いている背景も頷けます。
しかし音楽的背景もさることながら、彼女たちの「女性」という属性も
少なからずこのようなドロドロとした世界観を形作っているのでは、といったら
女性差別になるのでしょうか。
女流作家さんの本を読んだり、ドラマや映画、身の回りの女性たちを思い出すと
「女性ってタイプこそ違えど、本当はみんな心の深淵に修羅をもっているのではないか」
と感じることが多いです。その表し方が人によって異なるだけで。
いつも誰にでも心の闇や孤独を丸出しにするわけにはいかないし、自覚のない領域に
少女性や怒りや哀しみが隠されている人も多いでしょう。
だけど彼女たちはその「心の深淵の修羅」を自覚して、痛みと快感を知ってしまった。
このアルバムの呪術的な世界は、そんな修羅をあえて引き出して、それと戯れる
「秘め事」を、聴き手に「覗き見」させてしまうかのようなエロスがあります。
淀んだグルーヴの海に溺れて、悲鳴をあげているような、快楽に喘いでいるような
ふうにも聴こえる、重なり合いながら揺らいで囁く、妖しい歌声。
陰鬱なだけでなく、なぜか心地良い、ちょっぴりアブナい世界。
彼女たちがこっそり教えてくれた仄暗い部屋に一度入ったら、もう抜け出せないかも?
Warpaint以前に「ジョン・フルシアンテの彼女」として有名になってしまったEmily。
既に破局し、ジョンは別の女性と結婚したとはいえ、「ジョンの元カノ」のバンドとして
Warpaintに関心をもったという人も少なくないのでは?(私もその一人です・・・)
ついでに書くと、Jenny Leeは現在のレッチリのギタリスト、
ジョシュ・クリングホッファーの彼女という噂もあるようで。
ジョンはWarpaintのインディーズ盤でミックスを手がけ、ジョシュはステラ加入前に
サポートメンバーとしてWarpaintに関わってきた経歴があります。
某レンタルショップで「レッチリの寵愛を受けるバンド」なんて宣伝文句で
貸し出されていて、「おいおい・・・」と怒りを禁じ得ませんでしたが、
他の国でもどうしても、こうした見られ方をされるのは避けられないと
皆分かっていたはず。だけど、彼女達はあえて正面を切ってデビューしました。
先程書いたAphex Twin、「ジョンと付き合っていた頃、二人で毎日聴いた」と
Emilyは臆せず語っていました。今でもジョンとは友達として仲良しで、
「今度一緒にAphex Twinに逢いにいくの。夢が叶うわ!」と。
うーん、やっぱり女の子は強いなぁ。
Emilyもいい恋しろよ!・・・なーんて、余計なお世話?
最後に、割と最近出たというデラックス・エディション。
ジョンがミックスを手がけたインディーズ盤の曲も数曲収録だそうです。
寧ろそのインディーズ盤が欲しいっす。
![]() | Fool: Deluxe Edition (2011/09/27) Warpaint 商品詳細を見る |
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