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ざっくり映画ライフ:その13 いつも音楽と共に!伊坂幸太郎作品の映画化(フィッシュストーリー、ゴールデンスランバー、死神の精度)

先週末、アカデミー賞発表もあったし、久しぶりに「ざっくり映画ライフ」の登場です。
一時期の派手なブームは一段落した印象ですが、先日TVの録画で「フィッシュストーリー」
を観て、伊坂幸太郎さんの小説の映画化ものをかなりの割合でコンプリートできました。
まだ「重力ピエロ」があるんだけど、それでも何だか気分すっきり。
いつの間に「ちょっと懐かしい人」モードになっていることに少しの驚きを感じながら、
軸となっている音楽と共に、振り返ってみましょう、伊坂作品の映画化。
斉藤和義さん(以下、公式のあだ名「せっちゃん」)のファンとしても何かとうれしかったり・・・。


フィッシュストーリー

フィッシュストーリー [DVD]フィッシュストーリー [DVD]
(2009/09/25)
伊藤淳史、高良健吾 他

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<軸となっている音楽:逆鱗FISH STORY」>
1975年にセックス・ピストルズよりも早く登場した日本のパンクバンド「逆鱗」の
全く売れない、しがない顛末から、全てを賭けた最後のレコーディング曲へ。
1982年にナンパに出かけるも友人達から半ばいじめられている気弱な大学生が
事件に遭遇、車内でテープで聴いていた「逆鱗」の曲が彼に奇跡を・・・!?
1999年、先程の大学生の友人は今でも一緒におり、ノストラダムスの予言を信じて
全てを投げ出し教祖様についてきた。しかし世界は滅びない。そこで起こったのは。
2009年、一度眠るとテコでも起きられない、ある才能を秘めたついてない女子高生が
巻き込まれた「シージャック事件」。そこにあらわる、信じがたい「正義の味方」!
そして2012年(これが「現在」の位置づけ)、彗星が地球に大接近、いよいよもって
地球は滅びてしまうのか?レコード屋で「逆鱗」を聴く男達は、奇跡の目撃者となる・・・

ボーズで眉毛も落とした高良健吾君がパンクバンドのヴォーカリストとして絵になる。
歌もそこそこうまく(デモ音源を作ったであろう、せっちゃんの歌い方まんまでもあるがw)
シャウトもいい感じ。かわって普段の姿は、持ち味の繊細さが今度はいい味出している。
安定の伊藤淳史君がベーシスト。時代を考えるとそこはシドの立ち位置なんだがいいのか?
リーダーでしっかりしているが「FISH STORY」の意味を知らない(=ホラ話。大学受験まで
結構英語が得意だった自分だって知らないよ!寧ろ知ってる他のメンバーがすげぇって)面も。
ガツンとくる演奏が爽快。せっちゃんぽくもあるが、4人の連帯感もよく出ている。
冴えない4人を何とか売り込もうと奮闘する不器用なマネージャー・岡崎(大森南朋さん)に
何かじんときた。2012年のレコード屋は岡崎の息子さんかと思ったが、違うのか?
(Wikiを見ると単に大森さんの二役としか書いてない)
圧巻は森山未來君の見事な身体能力あってこその「正義の味方」、これは見ごたえがある!
多部未華子ちゃんのウエエエン振りもビクビク振りもなんともいえず可愛い。
最後にああいう形で才能が花開くとは、納得なようなちょっと強引なような。でも彼女も
結局究極の「正義の味方」になったわけだな。
そして本筋とどう絡むのかよくわからなかった1982年&1999年のパートが意外な形で繋がる。
最初の2012年のシーンからしてもう繋がっているし、2009年にも直接リンクしている。
関連が全く読めなかった安定の濱田学くんがまさかこう繋がるとは思いもしない!
「相棒」の芹沢役でお馴染みの山中崇さんがすごい粗暴な男で出ていて、後から出演者を
見ないとわからなかった。地味にこれもものすごい驚き。

映画で観ていると時系列が次々変わってちょっと慌ただしいかもわからないが、2時間が
こんなにあっという間に過ぎた映画は初めて。最後の雪崩の如き風呂敷畳みの嵐は
アクション映画のハイライトのバトルシーンさながらのスピード感とスリル!!

これまで観てきた伊坂映画では本作が今のところ一番好き。
深い音楽愛~バンド愛を感じられるのもたまらない。


フィッシュストーリーフィッシュストーリー
(2009/02/25)
逆鱗×斉藤和義、いっとくブラザース 他

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「逆鱗」の面子が本当にCDデビューしてしまったサントラ。
せっちゃんが楽曲プロデュースを務めている(劇伴音楽は手がけていない)。


ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー [Blu-ray]ゴールデンスランバー [Blu-ray]
(2010/08/06)
堺雅人、竹内結子 他

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<軸となっている音楽:The BeatlesGolden Slumbers」>
いつも笑っているように見える堺雅人さんだが今回ばかりはせいぜい泣き笑いで、あとは
かなりテンパっている。そりゃ無理もない、だって身に覚えのない陰謀に巻き込まれて
命を狙われちゃうのだから。
堺さん演じる宅配便ドライバー・青柳は、首相暗殺の濡れ衣を何者かに着せられて
指名手配犯になってしまい、かつての仲間達を頼って逃亡劇を繰り広げる。
大学時代の恋人、学生時代の友人やサークルの後輩、(原作では元)職場の同僚、
昔助けてあげた元アイドル、ひょんなことから出会った病院の患者など、
さまざまな人々と(再び)出会いながら、青柳はひたすら逃げつづける・・・

勝手知ったるはずの仲間達がもはやバラバラで、自らは孤立無援の状況を例えて
「ゴールデンスランバー」みたいだ、自分はビートルズのポールみたいだと青柳は思う。
更に自分は何とか皆をつなぎ止めようとしているのだという意識からも。
青柳は昔の仲間達に辛うじて救われながら逃走を続ける。
それは絆がまだあったとも言えるし、最終的な安住の地がどこにもない点からは
もうたいした有力な絆なんて存在しないのかもしれない。
「人間が生活する上で一番重要なのは、人との繋がりや、信頼なのではないかという
作者の考えが込められている」とWikiにはあったが、つまり青柳はそれに救われたり、
その脆さに打ちのめされたりしてきたわけか。
ありとあらゆる方法を使って、警察の網の目をくぐり、最後には全く別人になって
恐らくは安泰ながら一生孤独な人生が想像できるラストに辿り着く。

大丈夫?大丈夫?とヒヤヒヤしていたら気がつけば逃げおおせている、そんな繰り返しが
スリリング。次々と都合よく助けてくれる人が出てくるのもいっそ爽快だったりする。
だけどどこか孤独なのはどうしてなのか。

せっちゃんの昔の楽曲で映画テーマソングの「幸福な朝食 退屈な夕食」が、さめた口調で
そんなせわしなく皮肉な世界を俯瞰している。


ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~
(2010/01/27)
斉藤和義、サントラ 他

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この映画ではせっちゃんが音楽監督を務めている。劇伴音楽もせっちゃんの手による。
流石多彩な人だけあって、ストリングス・アレンジなんかも共作ながら手がけているのは
今更ながら驚いてしまう。


Sweet Rain 死神の精度(原作では「死神の精度」)

Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]Sweet Rain 死神の精度 スタンダード・エディション [DVD]
(2008/08/27)
金城武、小西真奈美 他

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<軸となっている音楽:特定したものはないが、音楽全般>
この作品だけ他と大分毛色が違う印象。本質は変わらないが、どこかロマンティックで
スケールもデカくなっている気がする。金城武さん主演のせい?他のキャストも殆ど
いつもの顔ぶれは出ていない。

金城武さん演じる死神の千葉は人間の音楽=「ミュージック」を溺愛し、彼が地上に
降り立つ日はいつも雨が降っているという、ちょっと風変わりな死神。
役割は死神の調査部員で、調査のために地上に降り立って7日間対象者を観察し、「可」か
「見送り」かを判定する。「可」と判定すると対象者は8日目に死亡する。「見送り」と
判定すると対象者は今回は死なずに天寿を全うする。大抵のケースでは、判定は「可」。
今回の対象者は小西真奈美さん演じる藤木一恵。苦情処理の部署でクレーマーに悩まされ、
他の社員に何かと面倒ごとを押しつけられても断れず、身内は殆ど死んでしまった、
あまりにもついてない女性。いや、ある意味で「持っている」女性ともいえる。
千葉は無意識のうちに彼女に惹かれてしまい、初めて「見送り」の判定をする。
その後も、実は一恵の息子である青年が対象者を兄貴分のように慕っていたりして、
千葉は何度となく、対象者やその身近な人物である一恵の関係者の調査をしてきた。
年月が経った。今度千葉が対象とする老女(富司純子さん)は実は歳を取った一恵で
千葉を一目見るなり「人間ではない」ことを言い当てた。
そして千葉にあるお願いをする・・・

千葉以外の死神たちも「ミュージック」が好きで、いつもレコード店には誰かしら
ほかの仲間がいるのがユーモラス。世間話なんかの舞台もレコード店。
コメディ映画や向こうの映画(レッドクリフなど)以外で金城さんを見ると、演技か日本語の
どちらかがどうにも「微妙」だとか「棒」といった印象を受けるのだが、今回の千葉は
人間と言語含め感覚がズレた浮世離れした特殊な存在だから、そんなに違和感なく見られた。
それにしても一恵の人生はあまりに波瀾万丈。身内をことごとく亡くす、クレーマーは実は
一恵の声に惚れていて歌手にスカウトされデビュー(リリースしたCDを千葉は聴いている)、
結婚、出産、しかし旦那との死別をきっかけに自らの運命から子を守るため息子をあえて
孤児にする、死神の調査によって周囲の人間を多く亡くす、晩年は高台でひとり美容院をする。
最初に千葉が一恵を助けた時期も一恵は「もう死んでしまいたい」と思っていたのだが、
千葉は結局最後まで一恵を運命から救えなかったということになる。なんとも切ない。
天然キャラの千葉だから自覚が怪しいが、彼は明らかに一恵に淡い恋心を抱き続けながら
見守ってきて、なのに当の一恵から「最後のお願い」(=「殺して」に相当するもの)をされる。
一恵の「お願い」が叶ったとおぼしき日、空はよく晴れて、虹が出る。千葉が初めて見る青空、
晴れ空だ。太陽によって高台が照らされて緑も美しい、けれど何か悲しいのはどうしてだろう。

普段の伊坂小説→映画の舞台が地中や市井だとしたら、本作はちょっと地上の「いい家」。
全体的に雰囲気が少しだけリッチで甘い。
金城さん、富司さんの存在感がとてもいい。小西さんの健気さも可愛らしい。
シニカルな笑い所も登場するが基本的にはストレートなラブ~ヒューマンストーリーで
わかりやすいので、他の伊坂作品に比べると、メジャーな映画が好きな人向け。

「フラガール」や朝ドラ「てっぱん」の鬼母~べっちゃんを観てきた自分としては、
本作の富司さんは幻想だと思っている(笑)


別の企画で使いたい&本数オーバーで「アヒルと鴨のコインロッカー」を入れられませんでした。
それが結構物足りないかも、でもうってつけの場所がどうしてもあって・・・
けだるい空気感、クドカン映画ともまた違う登場人物の強いキャラ立ち、やるせなさ、
そして多くの作品で貫かれている「音楽」への愛(「アヒルと~」ではボブ・ディランの
「風に吹かれて」が物語の重要な鍵となる)。ん~、なんともいえませんね。
伊坂さんの本は未だに読んでいないけれど、そろそろ安価になっていそうな頃(失礼)、
これを機会に手にとってみようかな?なんて。

せっちゃん、いや最後くらいはちゃんと呼んで斉藤和義さんと伊坂さんとのタッグも
印象的でした。

君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~(初回限定盤)(DVD付)君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~(初回限定盤)(DVD付)
(2007/06/20)
斉藤和義

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コンセプト・アルバム「紅盤」にも入っている楽曲で、伊坂さんが作詞に挑戦。
斉藤和義ワールドとの相性はもちろんばっちりで、かつ伊坂作品らしさもある詞。ナイスです。



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