2017-04

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【映画】ラッシュ/プライドと友情【F1】

PG12ってんで、何かグロいのかとビビって、ヘタレて劇場に観にいかなかった
話題になったF1映画「ラッシュ/プライドと友情」をDVDでやっと観ました。
いやー、アメリカ風にいうと「Awesome」! とんでもない、素晴らしい作品でした。
DVDレンタルも地味にヒットしている、もっと知られてほしい、この映画について詳しくいきます。



ラッシュ/プライドと友情 [DVD]ラッシュ/プライドと友情 [DVD]
(2014/08/04)
クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール 他

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レンタルでなくセルで観ると、メイキングなどかなりの特典がついてくるらしい!
それかなり羨ましい。なんというセル商法。

・70年代のF1にタイムスリップ!?
とにかくリアルだ。マジで当時のF1中継を観ているようなのだ。
エンドロールにCGのスタッフさん、スタントのスタッフさんなんか沢山出るけれど
ちゃちだったり不自然だったりする場面が見当たらない。
ピットレーン、観客席、横断幕、もうそこここが仔細に再現されている。
なかでも個人的に感激したのは、日本GPで走ったティレルのジョディ・シェクターの車が
脇役なのにしっかり「たいれる」「しえくたあ」表記されていること、
本物のわけがないのだがエンツォ・フェラーリが出てくること!
細かいことがいちいちしっかりしている。
この頃にF1を観ていた人なら尚更たまらないだろう。

・対照的な二人
ジェームス・ハントニキ・ラウダ、70年代の二人のF1チャンピオン。
本作は、この二人が熾烈に火花を散らした、1976年の世界選手権にフォーカスする。
けれど二人はその前のF3時代からやり合っていたのだ。
絵に描いたように対照的なハントとラウダ。
ラウダは、アラン・プロストやミハエル・シューマッハの先祖といったスタイルで、
冷静で意志が強く、メカにも明るく、メカニックと一緒に夜通しマシンをいじって、
たくさんテストして、「コンピューター」と例えられるほど。
現代のF1ドライバーなら当たり前だろうが、70年代のドライバーとしては異端だった。
周りとつるまない、あんまり遊ばない、言葉も容赦ない、生真面目で頑固な男。
ワールドチャンピオンを三度獲った彼が唯一のライバルと認めるのがハントなのだが、
それが、まったくもって、漫画のキャラクターのような人物なのである。
いつもTシャツにベルボトムのジーンズ。大酒を飲んで、煙草吸って、クスリやって、
酒池肉林のパーティーが大好き、目の前に女がいればすぐ手を出す。
(PG12は恐らくハントとおねーちゃんがおっぱいやお尻を丸出しにしているせい)
ヘラヘラしているが、内心は繊細で、緊張して貧乏ゆすりやライターカチャカチャが
止まらなくなったり、車に乗り込む前に吐いてしまったり(本作で三回も。多いわ!)、
陰ながら事前にコースのイメージトレーニングをしていたり、二面性のある男。
こういうヤツが創作でないところがとんでもない。
そんなハントの行くところ、必ずラウダがやって来て、追い抜いていく。
いつしか、ハントは何かにつけラウダの行動を気にするようになる。
一方で、顔には出さないが、ラウダはハントの自由奔放さに嫉妬心をちらつかせる。
F3時代から1976年まで、互いをけなし合ってばかりの二人。
それぞれにステップアップして、それぞれにパートナーと出会ったり別れたりして、
1976年の世界選手権は彼らのバトルが中心軸になる。
しかし、ドイツ・ニュルブルクリンクでラウダが生死を彷徨う大事故に遭い、
チャンピオン争いも、二人の関係性も、大きく動いていく。

・演出の効用―音楽、視界、手元・足元
F1中継にはBGMなんか付かないし、カメラの視点も限られている。
それに何の不満もこれまで抱いたことがなかった。
けれど、本作は映画だから、レースシーンは心を煽るような音楽に彩られ、
オンボードカメラも映さない、正面からの手元や足元の挙動を捉え、
バイザー越しの視界、包帯越しの視界を再現してみせる。
この上なくスリリングだ。一方で恐怖心も煽られる。
雨の視界はあまりにも危うく、そりゃ棄権しようという気にもなるもんだ。
マシンの調子が悪いとき、モロにガタガタ変な音がするのも怖い。
一年に二人はドライバーが命を落とす時代の、スリルと危険が目の前に迫ってくる。

・創作のチカラ
ノンフィクション~伝記的側面の大きい本作だが、それでも映画だから、
ディテールは創作や脚色が加わることになる。
そこで創作のチカラが物を言うのである。
例えば、ラウダのドイツでの事故後、ラウダの奥さんは、サーキットに来なくなったと
Wikipediaや、ラウダを特集したF1雑誌には書いてある。
しかし、本作では事故後も奥さんがサーキットに顔を出し、
1976年の最終戦にしてチャンピオン決定戦、日本・富士でのレースまでも見守っている。
ラウダはこの場所で大きな決断をするが、その原因は「危険だから」に加えて、
「愛する妻のため」というふうに取れる。粋な脚色だ。
この最終戦、ハントの元奥さんや、以前いたチームの監督なども
TV中継を見守っている。そんなはずはないだろうと思っても、映画だとこれがいい。
そして、創作ってすごいととりわけしみじみしたのは、ラストシーン。
ラウダは将来「ラウダ・エア」という航空会社を旗揚げするのだが、それを暗示するように
最近はまっているジェット機の操縦をしようというところ。
そこに、ハントがひょいとやって来て、ラウダとしんみり深イイ話をしたところで、
おねーちゃんをはべらせながら、ジェット機に乗り込んでいく。
乗っていくハントと、運転するラウダ。
二人の対照的な性格、そしてその後の人生を象徴している、名シーンだ。

・事実は小説やドラマより奇なり
素晴らしい創作がある一方、創作なんじゃないかと思えるような事実も多い。
ハントとラウダの人物設計自体がもう創作の粋だが、それで終わらない。
ラウダが大事故に遭ったドイツGPも、最終戦の日本GPも、ひどい大雨。
どちらも審議の末、辛うじて開催、という運びは、できすぎた偶然。
チャンピオンの行方は、日本GPでのハントの順位が全てなのだが、
最後の方になると電光表示板の順位が錯綜、まるでじらすような展開。
おぞましいのは、皮膚移植をしたり、肺の吸入をしたりといった
当時のラウダ史上最も苦しい体験のさなか、TVでF1中継をつけて、
事故前に築いていた自身のリードをハントが奪っていくのを観ているシーン。
(特に肺の吸入のシーンは観ていてかなりキツい。ある意味PG12ものだ)
ラウダは存命で、本作はラウダに長い時間をかけて取材しているので
このエピソードは信じがたいけれど事実なのだろう。
そして、サーキットに戻ってきたラウダはハントに向かって
「生きる気力をもらった」「勇気づけられた」なんて言うのだ。
ラウダ、なんという男!

・日本語吹き替え版のありゃりゃ
本作をすみずみまで堪能するのならなるべく字幕で観ることをおすすめする。
なぜなら、二度目の再生を吹き替え版で試してみて、かなりガッカリしたから・・・。
ハントの声を堂本光一、ラウダの声を堂本剛、KinKi Kidsの二人が担当しているのだが
周りの声優が洋画畑の声優さんの中、二人の声、というか存在が浮いてしまうのだ。
ハントやラウダに光一君や剛君の姿が重なって、物語への集中をちょっと妨げられる。
二人がどう演じているかも気にしてしまう。
光一君はそれなりに合っているが(意外にも)、剛君は吹き替えに向いていないのでは?
機械的な感じを出そうとしているのかもしれないがどうも「棒」に聞こえてしまう。
ラウダを演じたダニエル・ブリュールが軒並み助演賞にノミネートされたり受賞したり
しているだけに、余計に「熱演が台無し」感が強くなってくる。
何とかならなかったのか、こりゃ。

・Wikipediaや雑誌の特集がもっとおもしろくなる
ハントとラウダの物語は、情報としてなら、Wikipediaを開けばすぐに目にできる。
F1レジェンドのラウダは、キャリアを総括した特集ムックなどが売られている。
本作を観なくても、ハントとラウダの間に起こった出来事や、
ハントのエキセントリックな人物像などを、「知る」ことは簡単にできる。
実際、映画を観てからWikipediaを覗いて大爆笑したり、感慨深くなった。
でも、逆に、Wikipediaなどの基本知識を頭に入れてから再び映画を観ると、
びっくりする。こんなに再現されているのかと、こんなに素敵に彩られているのかと。
本作で描かれているのはハントとラウダのほんの一部だ。
特にラウダのキャリアは、ここがハイかもしれないが、まだあと二回も
チャンピオンを獲るし、新たな、そしていずれプロストに継承される
堅実なレース・スタイルが確立するのもこれからだ。
ハントとラウダのその後は、本作でない場所のほうが詳しくわかる。
しかし、本作でもちらりと出てくるように、あまりに対照的だ。
太く短くの人生を地でいったハント、細くはないが長い人生で活躍を続けるラウダ。
最初から最後まで、「らしい」んだから。
本作を観たらWikipediaを覗いてみてほしい、そうしたらまた本作を観てみてほしい。
「へぇぇ・・・・・・」と、感嘆がなかなか止まらなくなるから。


カー・アクションの括りの映画ですが、人間ドラマとしても青春ものとしてもよくできています。
最初「ヒューマン・ドラマ」の棚で探していたくらいです。そりゃ見つからないわけだ。
他のドライバーの物語も映画になったら面白いのに、と想像が沸き立ちます。
ナイジェル・マンセルとリカルド・パトレーゼの映画があったら愉快そう、とか
王道でアイルトン・セナとプロストは、いやゲルハルト・ベルガーもいいな、とか
ダニエル・ブリュールはネルソン・ピケも出来そうだな、とか、あれやこれやと。
でも本作を超えるF1映画はなかなか出てこない気もします。
役者がそっくりで、技術も整って、実話を実話以上にドラマティックに魅せる作品なんてのは。

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【映画】アクロス・ザ・ユニバース【DVD】

ビートルズの曲、33曲で綴られるミュージカル映画!
そんな楽しそうな触れ込みをDVDレンタルショップで見つけて、
すぐさま手にとって、借りてきました。
観たら期待通り、いや期待以上におもしろい!
オススメ度とっても高いこの映画、紹介せずにはいられません。
早速記事に!



アクロス・ザ・ユニバース(1枚組) [DVD]アクロス・ザ・ユニバース(1枚組) [DVD]
(2011/01/26)
エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス 他

商品詳細を見る

小規模での公開から、口コミで人気が広まって、第80回アカデミー賞では衣装デザイン賞に、
第65回ゴールデングローブ賞では作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)に、
第50回グラミー賞では最優秀サウンドトラック賞にノミネートされた、すごい作品。
レンタルショップでもオススメコメントが付いていたし、面白いに違いないと確信して観た。
具体的な内容はWikipediaにはあがっていないので、結構細かくああだこうだと
話の筋を打ち明けてしまう。
この作品は、歌や演出こそ本領で、話の展開はあらかじめ頭にあったほうが
見事な歌や凝りに凝った演出を楽しめるのではないかと思ったので。

・物語のうまさ
Wikipediaでは「コメディ映画」「ミュージカル映画」と区分されている。
私が区切るなら、コメディというより、恋愛映画、青春映画とつけたい。
60年代の若者たちの恋と青春をとてもよく描いていると思うから。
起承転結もはっきりしていて、わかりやすい。
<起>
イギリス・リヴァプールに暮らす労働者のジュードと、
アメリカ・ニュージャージーに住む高校生のルーシー。
二人には、それぞれ恋人がいる。
ある日、ジュードは、父親に会うために、アメリカへ旅立つ。
父親に会うには会ったが、そこからどうなるでもなく、
路頭に迷ったところで、ルーシーの兄、マックスと友だちになる。
マックスは大学をやめて、ニューヨークに旅立とうとしていた。
ジュードはルーシーといい雰囲気になるが、互いに相手がいるし、
マックスと一緒にニューヨークへ向かう。
<承>
ジュードとマックスは、セディのアパートメントの住人になる。
セディ、ジョジョ、プルーデンスといった個性的なルームメイトと共に
ニューヨークでの生活が始まる。
ルーシーは恋人を失い、マックスと一緒に過ごすために、
ニューヨークにやってきて、同じアパートメントに。
そして、ジュードとルーシーは恋人になる。
同じ時期、セディはジョジョを自らのバンドのギタリストとして
招き入れ、アパートメントにも招き入れ、恋に落ちる。
一方、マックスの元に徴兵の報せが来る。
<転>
兄や元恋人のことがあり、ルーシーは反戦運動にのめり込む。
イラストレーターの仕事に打ち込むノンポリのジュードとすれ違いが生まれ、
二人は喧嘩、そしてついに別れてしまう。
ジュードは傷心でリヴァプールに戻る。
セディとジョジョも、離れてしまう。マックスは負傷し、入院。
<結>
打ちひしがれているジュードに「ヘイ、ジュード」と呼びかけるマックス。
それを受け取って一念発起したジュードは再びニューヨークに向かう。
マックス、セディ、ジョジョ、プルーデンスと再会を果たしたジュードは
愛を歌い、ついにルーシーのもとに辿り着く。

・名場面
話の筋はシンプル。それをどう伝えるかが、ミュージカルの見せ所。
いいシーンがたくさんあった。全曲がいいシーンといってもよい。
そのなかからいくつか述べてみる。
ぜひ実際に観て、体験してほしい。

・With A Little Help From My Friends
マックスが、ジュードを自分の仲間の一員に迎え入れる楽しいシーン。
ここでの「マイフレンズ」とは、友だちとクスリのことのようだ。
悪童ぶりを極めており、可笑しい。通りすがりの店の客も歌う。
・Let It Be
デトロイトで内乱が起こり、たくさんの命が犠牲になる。
そのなかには徴兵されたルーシーの恋人もいた。
嘆くように1番を歌う少年は、2番では亡くなっている。
2番からは聖歌隊の一員の女性が歌い上げる、悲痛なシーン。
・Why Don't You Do It In The Road
セディがステージ上で勇ましく歌い上げるロックナンバー。
しかも、ルーシーが母親に「ニューヨークには染まらないから大丈夫」と
説得したそばから、この歌い出しが彼女を迎えるという顛末。
・I Want You(She's So Heavy)
マックスが徴兵の検査に行くと、ベルトコンベアにのせられ、身ぐるみはがされ、
車でも造られるように検査が進んでいく。
まさか「I Want You」が兵隊たちの「おまえもこっちこいよ」として歌われるとは。
帰ってくると、同じ曲でセディとジョジョが愛し合っているというオチつき。
・Because
アパートメントの住人一同+αが不思議な世界に放り出され、夜空を見上げて
草むらに円を描くように横たわっていると、夜空が水中に変わって、
ジュードとルーシーが交わったり、ほかの住人達が泳いだりする、美しいシーン。
・Something
反戦運動に打ち込むあまり家を空けがちなルーシーが、上半身裸で眠っている。
その姿をスケッチしながら、ジュードが不安を吐露する、完全に不協和音フラグ。
部屋の壁はジュードによる、ルーシーや二人の姿のスケッチでいっぱい。
・Oh!Darling
ステージ上で、ソロ活動を始めるセディと、捨てられる格好のジョジョが大喧嘩。
セディの歌をジョジョが反論したり、ノイジーなギターで邪魔したりする。
セディは去り、ジョジョがセディに「去らないで」と懇願する様相でヴォーカルをとる。
・Strawberry Fields Forever
ジュードがピンでイチゴを壁にくくりつけると、血のような液体が流れ出す。
壁をびっしりイチゴで埋め尽くし、そのイチゴを壁に投げつけて荒れるジュード。
ルーシーがTVを観ると、その向こうには闘いに明け暮れるマックスの姿が。
戦火とイチゴが混じる。イチゴが爆弾になって飛び散る。
・Across The Universe/Helter Skelter
地下鉄の中、傷心のジュード。降りると激しいストライキに遭遇。
セディが髪を振り乱し、「ヘルター・スケルター」を歌っている。
ジュードは警察に連行されていくルーシーを見つけ、止めに入る。
カオスな状況、「アクロス~」と「ヘルター~」が混沌と流れる。
・Hey Jude
リヴァプール、昼間から飲んでいるジュードが鏡を見ると、
ニューヨークで同じように昼から飲んでいるマックスが映り、励まされる。
それに勇気づけられ、母に見送られ、ジュードはニューヨークへ。
入国審査に通り、マックスと再会を果たす。
・Don't Let Me Down
セディの事務所(かつてのアパートメント)の屋上で、
ビートルズのルーフトップ・コンサートを連想させるコンサート。
セディとジョジョが歌い、プルーデンスも演奏に参加。
そこにジュードとマックスが加わる。
・All You Need Is Love
セディたちが警察に追い出されかけて、独りになったジュードが、歌い始める。
アパートメントの仲間たちも加勢。ルーシーがジュードを見つける。
やがてジュードは、向かいのビルの屋上で、微笑むルーシーと目が合った。
「She Loves You Yeah~」と歌いかけるマックス。幸せな幕切れ。

・キャラ/キャストのナイス具合

・誰かに似ている
ポール・マッカートニーにちょっと似ている顔立ちのジュード。
破天荒な振る舞いとサングラス姿がジョン・レノンを彷彿させるマックス。
ジャニス・ジョプリン風のセディ、ジミ・ヘンドリックス風のジョジョ。
深読みするとプルーデンスはオノ・ヨーコかメイ・パンか?
あちらこちらでニヤリとする。
・どこかで聞いた名前
「ジュード」「ルーシー」「ジョジョ」「プルーデンス」「セディ」。
みんなビートルズの楽曲に出てくる。
劇中ではジュードとプルーデンス(エンディングではルーシー)が
名前の入った曲を与えられている。
くくく、となる。ファンならジョジョやセディもわかるだろう。
・それぞれの歌声の魅力
当然ながら、みんな歌がうまく、しかも吹き替えなしで歌っている。
透き通るような歌声のジュードとルーシー。
少しハスキーなマックス、しゃがれ声のセディ。
それぞれにいいけれど、特にセディのパンチのある歌声が気に入った。
ロック歌手という設定だから一段迫力があるのは当然だが。
もっと聞きたくなる。

2時間、ハッピーと満足でいっぱい!
とにかく楽しい映画。
楽しくて、一緒に心が揺れて、一緒に幸せになる。
繰り返して観ても苦にならない。
ビートルズ好きにはたまらないし、そうでなくても
誰もがきっと楽しめるであろう映画。



普段映画って一度観たらそれっきりで、繰り返して観ようと思わないのですが
本作は別次元でした。
記事を書くためもあったけれど、もう一度この感動を味わいたくてリピート、
そしてまた満足!
購入して持っていても損じゃないなと思う映画に久方ぶりに出会いました。
それから、うーん、やっぱりビートルズ最高!

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ざっくり映画ライフ:その14 夢を諦めないオヤジたちの挽歌(レスラー、アンヴィル!夢を諦めきれない男たち、ロッキー・ザ・ファイナル)

音楽レビューラッシュをしている間に映画ネタが溜まりに溜まってしまったので、
もうしばらく映画ライフのラッシュ、いきます。
今回は夢の終わりや現実の厳しさに直面する、諦められないオヤジたちのブルースを。


レスラー

レスラー スペシャル・エディション [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]
(2010/01/15)
ミッキー・ローク、マリサ・トメイ 他

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俳優としてのキャリアを積んだ後、90年代にはボクサーに転身、ボクサー引退後に
俳優業を復活させた異色の俳優、ミッキー・ロークが、レスラー役に体当たりで挑んだ。

ロングヘアの金髪がトレードマークのランディはレスラー。特に80年代はスター選手だった。
それから20年以上、レスラーを続けているが、今や収入は細々としたもので、スーパーで
アルバイトをしながら週末に試合をする程度。家賃を払えず車で寝泊まりする日もある。
ストリッパーのキャシディに想いを寄せ、クラブに通う日々。彼女ももう若くはない。
ある日、ランディは心臓発作を起こして倒れ、心臓バイパス手術を受ける。医師からは
「レスリングはもう無理」と宣告される。実際、僅かな運動にも耐えられなくなる。
レスラーを引退することにしたランディは、これまでないがしろにしてきた一人娘・
ステファニーとの関係を修復して新しい人生を始めようとしたり、
「ストリッパーと客」の関係を超えてキャシディと本格的な恋愛をしようと試みたり。
収入が減る分、スーパーで働く時間を増やし、客の前での仕事も引き受けてみる。
しかし、セックス&ドラッグのルーズな悪癖を改められなかったり、
キャシディの方では、子持ちであることを気にして、想いに素直になれなかったり。
スーパーの仕事もやめてしまう。不器用にしか生きられないランディ(とキャシディ)。
ステファニーから絶縁を告げられ、失うものはもう何もないと覚悟を決めたランディは
大きな賭けに出る。それは、往年のライバルとの20周年記念試合への出場だった・・・

ミッキー・ローク自身のキャリアの浮き沈みをそのまま反映させたかのような物語は
大ヒットと高い評価をほしいままにした。しかし、彼のキャリアについては
私は世代からいってまるで知る由もなく、ここに共感どうこうというのは難しい。
私が息をのんだのは、レスラーたちの裏側が容赦なく描かれているところ。
敵味方というより、レスラー全体が一種の運命共同体のように見える。八百長という
印象もあるが、互いが互いを思いやって根回しする「優しさ」は嫌いじゃない。
但しボクサーだったロークは当初「プロレスは振り付けでしかない」と考えていて
レスラーを尊敬できず、考えが変わるのは撮影が進んでいくうちだったそうだが。
ステファニーと約束をしていた肝心な日を前に、その場の勢いで薬とセックスに走り
そのまま眠りについて起きられなかったり、スーパーでの人前の仕事で正体がばれて
動揺し手を怪我して、大暴れして「こんな仕事やめてやる!」と息巻いたりする姿に
「ああぁ・・・」と思わず頭を抱えたくなる。
でも現実の芸能人やスポーツ選手もこんな風に、一般人が当たり前に出来る事や
知っている事が、出来なかったり知らなかったりするエピソード、よく聞くかも。

最後、試合に出て行くランディ。やっと気持ちが通じかけたキャシディに向かって
「俺の居場所はここしかないんだ」と言い放ち、飛び出していく。
心臓が悲鳴をあげるなか、必殺技「ラム・ジャム」を喰らわす所で話は途切れる。
何とも言えない余韻が残り、エンドロールのブルース・スプリングスティーンの
哀愁と年輪を感じさせる主題歌がいつまでも胸に鳴り響く。



アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [DVD]アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [DVD]
(2010/04/14)
アンヴィル

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とにかく滅茶苦茶話題になっていて、「そんなに面白いなら、試しに見るか」と
何ともなしにレンタルしてみた作品。しかしこれが思った以上に面白いのだ!

80年代初頭に人気を誇ったカナダのへヴィメタル・バンド「アンヴィル」。
84年にはボン・ジョビ、ホワイトスネイク、スコーピオンズなどと並んで
日本の「スーパー・ロック・フェスティバル」に招待され、大観衆の前で演奏した。
しかし、人気は長く続かず、いつしか彼らは忘れ去られていった。
それから20年あまりが経ち、アンヴィルは一応ずっと活動を続けているのだが、
ヴォーカル兼リードギターでリーダーのスティーヴ・"リップス"・クドロー
ドラムでリップスの幼なじみのロブ・ライナーしかオリジナルメンバーはおらず
給食配給センターでの勤務や建設作業などで生計を立て、細々と活動するに留まる。
ヨーロッパツアーの話が舞い込み、再起を夢見るメンバーは各国を転々とするが
顔を忘れられていたり、ギャラをもらいそびれたり、電車に乗り遅れたり、もうハチャメチャ。
そこで、かつてのデビューアルバムのプロデューサーにニューアルバムの録音を頼む。
リップスは家族から借金までしてイギリスへ渡った。しかし、リップスの我が儘に
普段温厚なロブがキレてブースを出ていってしまうなど、喧嘩ばかりのレコーディング。
何とか音源が完成し、ラジオ局やレコード会社に売り込むも、どこも見向きもせず。
そんなとき、日本のプロモーターから連絡が入り、2万人収容の幕張メッセで開催される
「LOUD PARK 06」コンサートへの出演を依頼される。
といっても、3日間に及ぶフェスティバルの最初の演奏者で、しかも午前中の演奏。
またも失敗と挫折が増えるだけかと思いきや、遂に奇跡が起きる!!!

この映画はドキュメンタリー。アンヴィルのファンで付き人も経験している監督が
スティーブン・スピルバーグの『ターミナル』の脚本を書いたお金で、アンヴィルの
映画を作ろうと思い立ち、リップスとロブを中心に2年間もバンドに密着してできた。
まずここにひとつめの奇跡があった。
細々とした活動しかしていなかったアンヴィルにヨーロッパツアーの話が出たことも
結果はともかく、ふたつめの奇跡といってよいだろう。
デビューアルバムのプロデューサーが、インディーズ状態のアンヴィルのプロデュースを
引き受けてくれたのがみっつめの奇跡(頼んだのはアンヴィルの勇気)。
そしてよっつめの奇跡が「LOUD PARK 06」に呼んだ日本のプロモーターで、
最後の奇跡はなんといっても観客。まさか、あの日程のあの時間帯に、今や無名のバンドに
熱狂的なファンで会場がいっぱいになっているなんて!

「レスラー」のロックバンド版ともいえるような、シビアな現実の積み重ねが苦々しく
積み重なる映画でもあるが、こちらは最後に劇的なハッピーエンドで幕を閉じる。
結局のところ、皆がアンヴィルを忘れていなかった、ということなんだろう。
皆が心のどこかでアンヴィルを覚えていて、彼らの再起を密かに願っていたんだろう。
現実にアンヴィルの音楽はまた売れるようになり、音楽で生計が立つようにもなった。
彼らの努力や粘り強さがあってこそだが、ファンはそうそう忘れやしないのである。



ロッキー・ザ・ファイナル

ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]
(2007/10/05)
シルベスター・スタローン

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最近出たパッケージだと写真が違う。

ロッキー・ザ・ファイナル(特別編) [DVD]ロッキー・ザ・ファイナル(特別編) [DVD]
(2012/10/12)
シルベスター・スタローン、バート・ヤング 他

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blogを始めたばかりの頃、ロッキーシリーズの一連の感想としてはとりあげているが、
単品では書いていないのと、他の5作とは若干、趣を異にしているため、
改めてこの機会に紹介してみる。

燻っていたのが一転、アポロとの試合でシンデレラボーイになったあの物語は
もうはるか昔。ロッキーも、周りの人間達も、皆それぞれに年老いた。
最愛の妻・エイドリアンは、3年前に癌で亡くなってしまった。
ロッキーは持ち前の軽妙なトークで現役時代の思い出話を振る舞いながら、
地元で小規模なレストランを経営し、一見平穏に楽しく暮らすも、
3年前のエイドリアンの死から立ち直れず、空虚さを抱え続けていた。
更に、息子のロバートは「偉大な父・ロッキー」の存在にプレッシャーを感じ、
ロッキーと疎遠になり、エイドリアンの葬儀にも顔を出さない。
普通のサラリーマンを選んだが、いつも父と比較され、からかわれてしまう。
エイドリアンもいない、ロバートも疎遠。孤独を抱えながら生きるロッキー。
そこに、ひょんなことから、現代の「強すぎてつまらない」ボクサー、
メイソン・ディクソンとの対戦が持ち上がり、ロッキーは再び闘いに挑むことに。
老いてなお闘争心を失わず、言葉通り諦めない父を見て、ロバートは心を動かされ、
居心地が悪いだけの今の仕事をやめ、ロッキーのサポート役にまわる。
いざ試合。おおかたの予想はディクソンの圧勝だが、ロッキーが粘り、
闘いは(いつものごとく)最終ラウンドまでもつれる。
ふたりとも満身創痍で、一歩も譲らない、諦めない。そして試合終了のゴングが鳴った。
2-1でディクソンの判定勝ち。二人は互いの健闘を讃え合う。
そして、ロッキーは「エイドリアーン!」の代わりに、墓前にそっと報告へ訪れる・・・

前ふたつに比べて、ロッキーは圧倒的な成功者なうえに絶望的に失った状態にないので
このように並べると、悲壮感や説得力に欠けるかもしれない(笑)
しかし、6作全部コンプリートした者としては、エイドリアンの死を引きずったままで
さめざめと泣き出してしまうロッキーの姿を見ているだけでこたえるものがある。
そしてジョブのようにきいてくるのが息子との不和。「自分が偉大だから」が
息子にはプレッシャーになってしまう。「あきらめないでしぶとく頑張れ」という信念は
何をしても「ロッキーの子」として以外見られない、評価されないロバートにとっては
無意味を通り越して、この上なく耳障りなものとなっている。
なんともやりきれないが、このような「親子でも、わかりあえない」関係はよくある、
「レスラー」なんかもっと顕著な例。あれは父親がダメパパなのだが・・・
因みに、「強すぎてつまらないボクサー」ディクソンって、00年代フェラーリにおける
F1ドライバー、ミハエル・シューマッハーがモデル?06年公開だし、ちょっとあり得る気も。

はっきり言って試合よりも、ロバートとの「冷戦」の方が解決困難なように感じられた。
けれどロバートは、現役時代のロッキーを全力で応援する「大ファン」な子どもだった。
だからこそ、ロバートの心にロッキーへの敬愛は残り、そして親子の絆が蘇ったのだろう。
ロッキーは、試合だけでなく、親子の絆の修復もあきらめないで辛抱強く臨んだ。
華麗な復活劇はもちろん、このような人間ドラマも、本作の大事なみどころだと思う。



結果がどちらに出るかはわからないし、いっそどうでもいい、
どうしても諦めたくない、諦められない、男たち。
現実はよく知っているけれど、これでもかこれでもかと、更に前に蹴り出す。
その先にもっと目を覆いたくなるような真実が待っていたとしても。
もう若くない、気合いでは乗り越えられない。でも、信念が彼らを突き動かす。
そして、その奮闘を誰かが見ていて、そっと手を差し伸べることだってある・・・
「諦め(られ)ない力」ってあるんじゃないかと感じる、3人の男たちの映画でした。



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ざっくり映画ライフ:その12 何もないところから立ち上がれ!サバイバーたちの術(スラムドッグ$ミリオネア、プリティ・ウーマン、8 mile)

先日、話題になっていた洋画「スラムドッグ$ミリオネア」を録画で観ました。
詰めが甘いように感じる場面もあったけれど基本的には驚いたり考えさせられたり。
しかも舞台はインド。こういう世界もやっぱり本当にあるんだよな~と感慨しきりでした。
今回の久々のざっくり映画ライフは、このような「サバイバー」たちが主人公の映画を
特集します。


スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]スラムドッグ$ミリオネア [DVD]
(2009/10/23)
デーブ・パテル、アニール・カプール 他

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原作でインド人外交官の方が書いた小説があって、それをイギリス製作で映画化。
その過程で「人物たちが唐突に英語を話せるようになってるのはなぜ?」などの疑問が
端折られてしまったり、映画の重要キャラである兄・サリームは映画オリジナルだったり
といった、小さくない相違点があるようだ。主人公の名前も全然違うらしいし。
この記事は、あくまで映画の内容をベースに進める。

舞台はインド。日本でいう「クイズ・ミリオネア」にあたる番組に挑戦者として出演する
スラム出身の若者・ジャマールは、奇跡的にも正解を積み重ね、遂に最終問題を残すのみ。
しかし「スラム出身で無学の青年に、学者でも解けないような難問が解けるはずがない」
と不正疑惑をかけられ、ジャマールは警察に連行されてしまう。
電気ショックも含む残虐な取り調べで、問題を解いていく過程を吐かされるジャマール。
そこには、彼がこれまで辿ってきた、悲しく因果な半生がリンクしていて・・・

貧困問題がテーマの一つとして重くのしかかりながら、兄弟が駆け回る様子など
インドのことばでのやりとりを訳した字幕を切り抜き風に「貼り込んだり」して
ポップな演出が楽しい。そういう時に何故か画面が意図的にブレるのは余計だけど・・・
「ハイブリッド×古きよき(?)時代」の試みそのものはなかなか面白い。
物語は、貧困問題や経済格差の痛みと、ジャマールをはじめとする人物の純粋さが柱。
貧しくて貧しくてどうしようもないといったスラムの街から、いまや大都会と化した
インドの経済発展のさまも鮮やかで、だからこそ余計に多くを考えさせられる。
ジャマールの永遠の「初恋の人」ラティカーへの一途な恋慕もまっすぐで良い。
興味深いのは音楽で、経済発展して先進国と肩を並べるようになった現状を反映するかの
ように欧米風がベースながら、インド音楽のエッセンスも誇らしげにちらほらと見せている。
ヒップホップがどことなくインド音楽に聞こえるなんて
なかなか耳にできるものじゃない(笑)
冒頭で「詰めが甘い」と述べたのはラストへ向かう収束で、ちょっと荒いというか
ご都合主義をぎゅう詰めにしちゃったという印象があって。
でも全体を通して、「考えさせられる映画」「イイハナシダナー」「面白演出」などと
観て良かったと思える映画だったのではないか。

純真な主人公が奇跡を起こす。その一方で、貧困の問題から目をそらしてはいけない。
痛快な奇跡と健気な愛の物語、そこに「このような国や社会が実在する」事実の楔。

社会派とエンターテインメントのバランスが良い物語。


プリティ・ウーマン

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(2006/04/19)
リチャード・ギア、ジュリア・ロバーツ 他

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現代版シンデレラ・ストーリーは「サバイバー」物語の女性版と呼んでよいのでは?
ということでここに提示した、誰もが知ってる不朽のラブコメディー。
私の好きなオードリー・ヘップバーン主演で映画化された1950年代のミュージカル
マイ・フェア・レディ」を下敷きにしていることでも有名。
最近ではこの映画を下敷きに、フジで月9ドラマ「リッチマン、プアウーマン」が
製作されて、それなりにヒットしていたらしい(観ていないので感想はわからない)。

リチャード・ギア演ずる実業家のエドワードと、ジュリア・ロバーツ演ずるコールガールの
ビビアンが出会い、次第に惹かれ合う。
期限つきの「契約」だったはずの関係だったふたりはいつしか未来を夢見るように・・・
しかし期限は残酷にもやってくる。12時を過ぎたシンデレラは、元通りになってしまうかと
思ったら、ビビアンはエドワードとの短いけれど本気の修行や恋愛で、その内面まで
深く感化され、変化していた。生まれ育ちに囚われず、いまや本物のレディとなったのだ。
そして奇跡が・・・

そりゃジュリア・ロバーツなら社交界でもなんでも出来るさ!とさじを投げたくなるような
素晴らしすぎる豊満で締まったそのスタイル。
しかし最初の頃のビビアンは完全なはすっぱで、こりゃ手が付けられないや。
エドワードが手取り足取り一から百まで面倒を見て全部やってあげたのではなく、あくまで
ビビアンにチャンスと自信を与え、ビビアン自身の内面に宿っているレディを取り出す
作業を、手助けして励ましただけなのが重要なこと。
チャンスを与えられること自体が稀ではあるのだが、それを不意にする例は幾らでもある。
実際、ビビアンの友人の子を選んでいたらそれこそ労力がパァであろう。
彼女は最後に「あたいでも変われる??」とビビアンに訊ね、ビビアンが「もちろんよ!」
と答えると泣き出してしまい、そのシーンに一番感動して涙が浮かんでしまったのだが
ビビアンのような成功例がすぐそばにあったから自分も可能性を信じようと思えたのだろう。
無ければやはり当初のように「そんなの無理!」だっただろう。
エドワードの先見の明も素晴らしかったわけだ。

チャンスを生かすも殺すも自分次第。自分を信じ、愛し、磨き続けることがいつでも大事。
シンデレラの素養を描いているように見えるが、凡人だって輝きながら生きていくために
見習うところがたくさんある。諦めないっていいな、と思える映画。



8 mile

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(2012/04/13)
エミネム、キム・ベイシンガー 他

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今も昔も、ヒップホップのCDをCDプレイヤーに入れた経験はないように記憶している。
にもかかわらずこのDVDを借りて観てしまったのは、当時あまりにも話題だったのと、
「人気ヒップホップシンガーが自伝的映画に主演」という筋書きに「マジ?どんなん??」と
当時の私の「怖いモノ見たさ」という名の好奇心に火が点いてしまったからである。
しかし、いざ再生してみると、そこから受ける衝撃は予想を遙かに上回るものだった。

ミシガン州デトロイトには都市と郊外を隔てる境界線、「8マイル・ロード」がある。
この道は富裕層と貧困層、そして白人と黒人とを分けるラインになっている。
1995年。母と妹とトレーラーで暮らす白人青年B・ラビットこと、ジミー・スミスJr.
エミネム)はラップに夢中で、通勤中でもリリックを綴っている。
得意のラップで成功して8マイル・ロードを越えて、貧困や犯罪から抜け出すのが夢だ。
しかし「ラップは黒人のもの」という世間の先入観やプレッシャーから、
友人達の猛烈な後押しもむなしく、ジミーはシェルターで行われるMCバトルに
なかなか勝ち残ることができずに燻っていた。
バイト先のプレス工場で、モデルを夢見る少女・アレックスと恋に落ちたジミー。
だが成り上がりを焦る彼女は別の男と関係を持ち、ジミーは裏切られ、絶望する。
貧困を、差別を、裏切りを、越えることはできないのか?ジミーは千切れそうな気持ちや
諦められない夢のために、マイクを握る・・・

この本気にはやられた。
エミネムの真剣な眼差しに、刺さるようなラップ。
彼が演じるジミー(半自伝だから、エミネム自身の過去でもあるだろう)にもたれかかる
深刻で重すぎる社会の事情、家庭の事情(母親はアル中で、仕事もしていなかった)、
白人のラップなんて受け入れないという「逆差別」や偏見、そして自分自身の恐怖感、
そのすべてをジミーはぶち開けて、自身のラップで撃ち抜いてみせる。
外側の不条理には、怒りをぶちまければよいけれど、内側の不条理、つまり自分の弱さは
誰を責めることもできない。自分で越えていかなけらばならない。
例えそれが外側の不条理に傷つけられ続けてできてしまった傷であっても、
どれだけ巨大なものであっても。
知らなかったが、エミネムのトレードマークは染め上げた金髪だそうだ。
でも本作でジミーを演じきるために髪を本来のダークグレイにして
裸の姿、「武装解除」したスタイルで本作に臨んだのだという。
ささやかなことだが、こうした小さな「実行」の積み重ねが
大衆にエミネムの本気を伝え、大ヒット映画にまで持っていったのだろう。

嘆くのは案外簡単だ。辛い苦しいひどいと喚き続けていればいいだけだ。
しかし、その状況を本気で越えていくことはとても困難で、本気だけで全員が
越えていける保証はない。けれど越えるためには必須の条件なのだ。
本気を出せ。本当に困難な状況を越えていきたいと願っているのなら。
エミネムからの渾身のメッセージが、全身に重みをもって強く響いた。



シンデレラ・ボーイ、シンデレラ・ガール、そして成り上がり。
奇跡がもたらしたものも、汗水垂らして駆けずり回ってようやく得たものも
あるけれど、その全てをもたらしたり、チャンスをモノにすることができたのは
彼らのひたむきで純粋な、一日たりともたゆむ事のない生き様の結晶なのでは。
実際に社会で大きな成功を収めたり、ラッキーを手にする人ってどんなんだろ?って
下の方で毎日燻ってる自分などは時々想像しますが、信じていたいものです、
諦めない人間、本気な人間、心の綺麗な人間にこそそれらが降っているのだと。
そして、いつか自分だって・・・!

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酔いどれ詩人になるまえに「頽廃と刹那に生きたカリスマの『ブレないもの』・・・逆境の中でも自分らしさを貫く勇気と強さ」

レッチリのアンソニー・キーディスや故ヒレル・スロヴァク、またアラニス・モリセット
敬愛している作家だということで知った作家・詩人のチャールズ・ブコウスキー
既に故人ですが、ミュージシャン、俳優、同業者など、世界的にコアな人気を得ています。
そんな彼の青年期~デビュー前までを描いた半自伝映画「酔いどれ詩人になるまえに」を
観てみたらかなりおもしろかったので、記事を書いてみます。

酔いどれ詩人になるまえに [DVD]酔いどれ詩人になるまえに [DVD]
(2008/02/27)
マット・ディロン、リリ・テイラー 他

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本作の原題「Factotum」=ブコウスキーの著書「勝手に生きろ!」が原作。
ブコウスキーを反映させた主人公・ヘンリー・チナスキー
マット・ディロンがルーズに、しかしどこかかっこよく演じています。
こんなにだらしないキャラクターをこのような二枚目俳優がやってよいものかと多少戸惑いつつ
だからこそ執筆に打ち込む姿や、独白部分の説得力が増している印象も受けました。


その場しのぎの仕事に就いてはだらしない言動で首になり、職を転々とし、
昼夜を問わず酒と煙草とセックス、時に競馬などに明け暮れるチナスキー。
一見ダメ男の典型のような彼にはもう一つの一面があった。
それは文章を書くこと。詩を書き、小説を書いては、出版社に送りつけている
自称「作家」である。勿論、それで食べていけないために、一時的な仕事を
うろついているのだが、仕事の依頼は一向に来ない。
一応は大学で2年間、報道学を学んできたのに・・・
鬱屈した毎日が続き、一時的な仕事にはモチベーションが上がらず、
だんだん新しい仕事も見つからなくなっていってしまう。
恋愛も長続きせず、恋人に選ぶのは自分と同じくらい自堕落な女ばかり。
仕事や恋人を彷徨い、いったん仲間が出来たと思っても関係が終わったとたん疎遠に。
恋人には愛を求めない。欲しいのは「成功すること、何かを成し遂げること」だけ。
実家の父親とも険悪な関係が続いている。(史実では父親に虐待されていたそうだ)
孤独と堕落のなか、ただひたすらチナスキーは文章を書き続けて投稿を続け・・・


飲酒から来る粗相や、やる気のなさによるサボタージュ、あるいは仲間に唆されて
道を踏み外してしまうケースなど、さまざまなパターンでチナスキーは職を失い、
その過程と、結果のナレーション(マット・ディロンによる一人称振り返り)に
どこか微笑ましいユーモアが混ぜ込まれていてファニーです。
「酒と女に溺れ、定職に就かず、売れない作家をしている」というととても痛々しくて
正視できない映画、キャラクターになりかねないですが、こうやって軽いノリがあるので
そんなに重々しくならず気楽に観ることができます。

ストーリーの舞台がはっきりと提示されず、時間軸があやふやな一種の不思議世界
広がっているのも魅力。
史実ではブコウスキーは1920年生まれで、ロスの大学に在籍後、NYに移住して、のちに
放浪生活に入るのは1944年以降のことだから、古い街並みが広がって、ファッションも
時代を感じさせるものをまとっているはずなのですが、会社の上司の机の上にPCがあったり
男女が比較的現代的な格好をしていたりして、一方で史実の時代を思わせるものがあってと
舞台が限定されず(「19○○年といった注釈も出ない)解釈は観る側に委ねられ、
ブコウスキーの半自伝と限定しないで独立した青年の半生の物語として視聴することも可能。
あるいは、ブコウスキー~チナスキーの、酒で朦朧とした中での妄想と捉える見方も??

その場しのぎの仕事や女性関係を泳ぐチナスキーの恋の相手達もまた、何だか似たもの同士で
やるせなくなります。
1日に4回もセックスして、チナスキーが仕事に就くと相手してくれないと言って怒り、
失職すると寧ろ喜んで、深酒しては翌朝、二人揃ってバスルームに駆け込んで嘔吐して。
一度別れて再びよりを戻したこの女性(ジャン)とは結ばれるのかと思いましたが・・・。
あるいは、パトロンの爺さんに、自分が本命ではないと知りながら、チナスキーがいながら
経済的に頼り、どこか忘れられていない様子の女性がいて。
酒場や職場、就職斡旋所で出会う仲間や同僚たちも、酒に溺れていたり投げやりだったりと
これまた似たもの同士がくっついてしまいます。
一度「まっとうな道」を外れると、もう戻れなくなって、戻る気力さえいつしかなくして
ズルズルと一生「アウトロー」の道を歩き続けるしかないのでしょうか。
刹那的な登場人物たちを見るにつけ、そんな空しい気持ちが起こりました。

それでも、どんなに堕落していても、どんなに悲惨な生活を送っていても、
「文章を書くこと」「自分を表現すること」にかけてはまったくブレずに自分を信じ抜く
ひたむきな姿勢は最初から最後までずっと同じ。寧ろ孤独がエネルギーになっていると
感じるくらい。(「孤独は贈り物だ」という有名な名言も登場するくらいだし)
ここにチナスキーの、そして本作の希望があります。
何があっても諦めない。笑われても認められなくても挫けない。
やり続ける。自分の中にあるものを信じ抜いている。
社会性の面では全く適合できていないし、する気もなさそうなチナスキーですが
かえってその孤独こそが、彼の内にある才能を磨き、開花させるのに最適な環境に
なっていました。
屈辱を味わうこと、人に理解されないこと、怒りを覚えること、そうした経験全てが
創作においては何一つ無駄にならず、格好の材料やエンジンに昇華されました。
このはっきりした目的意識が、彼を周囲の仲間達と似て非なる存在へと
結果的に至らしめていたのだと思います。
こういう辺りは現代の混沌とした社会情勢の中でも応用できるのではないでしょうか。

一見、破天荒で荒廃した物語ですが、最後に大きな希望の花が咲きます。
そのときに、本作の根っこにあるもの=チナスキー(ブコウスキー)という人物の
本質がくっきり見えてきます。
酒も女も放浪もほぼ一生涯貫いてきた孤高の作家だったブコウスキー。
酒に溺れるのも女に溺れるのも絶えず彷徨いながら生きるのもそれ即ちポリシー。
試行錯誤もありながら、自分に素直だったために、自分の中にあるものがまっすぐ出て
今日に至るカルト的支持、後生まで残る偉大な詩や言葉が紡げたのでしょう。


無気力で適当に見えるチナスキー(ブコウスキー)が終盤にモノローグで力強く語る台詞
何かにトライするなら、徹底的にやれ」。
普段の怠惰な様子からは想像もできないほど熱い言葉です。
文章を書くことは、他の普段の行為や出来事とは別次元。
執筆に打ち込むときのチナスキーの真剣さは強いコントラストになって印象に残ります。
頽廃の仮面に隠された熱くまっすぐな信念の言葉は、世界中の多くの人の胸を打ちました。
彼の名や、彼の言葉は、こんなふうにして遠い未来にも語り継がれていきます。
私もブコウスキーの本を何か読んでみたいと思わされました。
本気とはどういうことなのか。
社会的体裁と、自分の中にある大切なもの、どちらを大事にして生きていきたいのか。
リスクはたくさんあるけれど、人はどんなふうにでも生きていけるということ。
やりたいと思うことをやる難しさと、やり遂げる達成感。

体裁に囚われず本質を追究するチナスキーの生き方を観て、私の中に無数の問いかけ、
魂への揺さぶり・・・そういったものが生まれていきました。
怠惰で見苦しい男の一部始終とみるか、究極のドリーマーとみるかは人それぞれです。
この手の人は、そうやってばっくり見方が分かれるものだから。



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ざっくり映画ライフ:その3 傷を負った少年たちと癒しの過程(シックス・センス、グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~、イントゥ・ザ・ワイルド)

TVで映画を録画しまくり、気づけばHDがいっぱいに!
そこでこのところは毎日のように録画した映画を観て、容量を空けようとしています。
そうしたらまた映画記事になってしまいました。音楽記事も準備しているんですが、
ちょっとつまっていて(難しくて)、先にこちらを。

それぞれの理由で傷つき、人を信じられなくなった少年~青年たち。
今回はそんな繋がりの映画をざっくり3本紹介します。
といっても、「お馴染みの名作」が多いから、「振り返りましょう」が的確か。


シックス・センス

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(2000/07/19)
ハーレイ・ジョエル・オスメント、ブルース・ウィリス 他

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少し前にTV放映されていたもの。昔にも1度観たが、ディテール、結末など
全然覚えていなかった。
あの有名なラスト(ブルース・ウィリス演ずる児童心理学者は、実は・・・!)は
記憶に全くなかったため、完全にポカーン状態。
物語自体が児童心理学者の「見たいもの」?ある種の「夢オチ」??
感動的な物語が全部、夢でしかなかったら、かなり虚しくなるのだが・・・

児童心理学者マルコムとカウンセリング対象の少年コールの心の交流がメインながら
カテゴリとしてはホラー。ヒューマン要素に非常に感動させられるため、ホラー映画であることを
忘れてしまうが、かなりグロテスクな描写も登場するし、コールの悩み自体も(ラストも)ホラー。
コールは、生まれつき幽霊が見える特殊体質で、そこから情緒不安定に陥っている。
ストーリーが進むうちに、1年前にマルコムを撃った元患者のビンセントも、同様の症状、状況に
あったことが判明する。ビンセントを救えなかった罪悪感に苦しむマルコムは、コールへの治療に
尽力することで、自分を救おうとする。一方、コールの純真な思いやりが、マルコムを癒す。
1年前の事件以来、マルコムはとうまくいかなくなり、妻は新しい男と関係を築きはじめていた。
「ビンセントを救えなかった」「仕事に邁進するあまり、妻を顧みなかった」この2つが
マルコムを苦しめていたのだ。
コールの「幽霊が見える」という吐露を、はじめは「統合失調症」などで片付けようとした
マルコム、理解できず苦悩するコールの母だが、それぞれに納得がいくような「証拠」で
後に2人ともコールの能力を受け入れる。この立て続けの「証拠」登場は痛快ですらある。
マルコムがコールを受け入れ、「なぜ幽霊が現れるか、幽霊と会ったらどうしたらよいか」を
一緒に考えてあげたのが大きかったと思う。普通ならやはり統合失調症等で片付けられそう。
マルコムとコールの絆がしっかり確立してからは、コールは幽霊と上手に付き合える
ようになり、情緒も目覚ましく安定、友だち付き合いも円満になり、母との関係も修復。
深く苦悩しながらも、コールを絶対に諦めない母の愛も素晴らしい。
何が困難な状況にある子どもを救うのか、とてもよく分かる。

だからこそ、ラストが「全部、幻想だった」ではやりきれない。
ホラーらしくて衝撃的ではあるけれど、ヒューマンドラマとしてはこれでは悲しすぎる。


グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~

グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~ [DVD]グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~ [DVD]
(1998/10/21)
ロビン・ウィリアムズ

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マット・デイモンベン・アフレックの親友コンビが大学時代に書いた脚本が、
年月を経て映画化!しかも二人の大学生活の舞台はハーバード大学というのだから
全く恐れ入る。ベンは後に監督業もこなすようになっていくし。
現在、俳優としては、マットの方がよく見かけるような気がするが・・・
救いのない青春ものが多いイメージのガス・ヴァン・サント監督なのが少し意外。
本作には、青春の痛みだけでなく、喜びや希望、温もりが沢山詰まっている。

マサチューセッツ工科大学にて、数学教授ランボーの出した宿題に生徒達は手も足も出ない。
しかし、それをあっさりと解いてしまう人間が現れた。それは生徒ではなく、アルバイト清掃員の
ウィルという青年で、定職に就かず素行が悪く、鑑別所入りを繰り返していた。
ランボーはウィルの才能を伸ばしながら更正させようと考え、数々のカウンセラーを当たるも
ウィルに体よくあしらわれ、最後の手段として学生時代の友人で心理学者のショーンをあてがう。
幼少期のトラウマから、恋人を含め、他人にうまく心を開いたり、自信を持ったりすることが
出来ないウィルと、妻を亡くし喪失感に囚われ続けているショーン。
似たもの同士であることがわかるにつれ、ウィルはショーンに心を開いていく。
そして二人には父子のような不思議な愛着が芽生え、ショーンはウィルの将来について
「やりたいことをやるように」と考えるが、数学の才能を活かしてエリートになることを望む
ランボーと対立が生じる。
ショーンとランボーは因縁の仲であり、今ふたたび「ウィルの疑似父」としてぶつかる。
ウィルはショーンを選ぶ。友人チャッキーの後押しも手伝い、自分の道を歩きだしていく。
ランボーの言う「才能があるのだからそれを活かしてエリートになるべき」という主張も、
ショーンの言う「ウィルは自分を抑えるのをやめなくてはならない。やりたいことをすべき」
という主張も、どちらにも理があり、どちらもウィルを思っての言葉。
チャッキーの「お前は俺らとは違うんだから、ここに居るな」という一見冷たい言葉も友情ゆえ。
才能を発揮するためには自信を持たなくてはいけない。
自信を持つためには自分で自分を愛せるようにならなくてはいけない。
そして、自分を愛せるようになるためには、他人から愛を受け取らなくてはならない。
周囲の大人や友人の愛情の重要性が分かるし、何より心に沁みる。

「不朽の名作」として有名な本作。観てみて本当に良かった。
アカデミー賞等での数々の受賞が脚本中心なのも納得。ロビン・ウィリアムスの熱演にも泣けた。


イントゥ・ザ・ワイルド

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(2009/02/27)
エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン 他

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私の住んでいる地域のミニシアターで当時「今年のベスト映画」に選ばれ、絶賛されていて
興味をもち、DVD化されるや否やすぐさまレンタルで観た。
本作は、先の2作と異なり、主人公の青年は救われないまま、救いを受け入れないまま
バッド・エンドになってしまう。しかしそれこそが本作が伝えたいメッセージだ。
監督はショーン・ペンジョン・クラカワーのノンフィクション小説『荒野へ』という原作がある。

クリスは何でも持っていた。裕福な家庭に生まれ、物質的に恵まれた環境で育ち、
大学を優秀な成績で卒業し、両親からはハーバードのロースクールに進学することを望まれる。
しかし、クリスはそれら一切を捨てた。学資預金を寄付し、身分証を切捨て、
この世界の真理を求めアラスカへと旅に出る。
旅路では、お金を貯めるために何度か立ち止まってアルバイトに勤しむ。
周囲の人に好かれ、「ここで暮らせよ」と言われたり、仄かな恋が芽生えたりする。
しかしクリスはそれら一切を受け入れない。ある程度を過ぎたら、その土地を去る。
人と深く付き合うのが極端に怖いのだ。
そうしていよいよ目的地、アラスカへ到着する。念願の生活を手に入れた。
何もない、誰もいない。食料はその場で動物を掴まえたり植物を摘んだり。
だが、その自給自足と、自身の知識への過信が仇となる。
最後の最後に、クリスはやっと本当の幸せとは何かを知るが、
気づくのがあまりに遅すぎた。
「この世界の真理を求め、荒野へと旅に出る」といえば聞こえは格好良いが、
この青年を美化することは、ニルヴァーナカート・コバーンの薬物中毒~自殺を
過剰に美化することと同種である。青年の容姿もどことなくカートを彷彿とさせる。
しかし、逃避するのではなく、生きなければどうしようもないのだ。
それを伝える意味も込めて、パール・ジャムエディ・ヴェダーが主題歌や劇中歌を担当する。
エディの歌声の凄みに引き込まれる。初めてパール・ジャムを聴いてみたいと興味が沸いた。
カートは死んで伝説になった。エディは生きて現実になった。
対照的な二人のオルタナ/グランジシーンのカリスマを触媒として、彷徨う魂を描いている。
人はどれだけ怖くても人と繋がらなくては生きてはゆけない。
人が差し伸べた手を自分で掴まなくては助かることができない。
クリスが行くべき場所は、荒野ではなくカウンセラーの元だったかもしれない。
求めるべきものは、孤独ではなく分かり合え信頼できる他者だったのではないか。

実のところ私自身もなるべく人と深く関わらず、一生一人で生きていきたいと思う時がある。
そういったライフスタイルを選択している人が段々増えていることもよく報じられている。
本作は、このような「潔癖と怯えの個人主義」に対する、痛々しいまでの警鐘のように感じた。


誰もが何かしらのきっかけで・・・些細なことや大きなことで、傷つき、つまづきます。
そんなとき、誰かに苦しみを話せたら。その人に苦しみを受け止めてもらえたなら。
自分一人で抱え込まず、「大事な他者」をもつことの価値と温もり、かけがえのない喜び
今回の映画たちは我々に教えてくれます。

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ざっくり映画ライフ:その2 各局のディズニー・ピクサー祭りに便乗して(トイ・ストーリー1~3、Mr.インクレディブル、WALL・E)

先週までTBSとテレ朝をまたいで開催されていた「トイ・ストーリー祭り」を利用して
トイ・ストーリー」を1~3と楽々コンプリートすることに成功しました。
そして今週の水曜に放映していた「Mr.インクレディブル」も観て、
やたらとディズニー・ピクサー祭りやってるなぁと思ったら、新作が公開されるんですね。
メリダとおそろしの森」、主演の王女さまの声をAKB48大島優子ちゃんが担当するとか。
さてさて、それではまたまた、ざっくり感想いきましょう!


トイ・ストーリー
1だけ以前も観たことがあって、2と3は初見。3は初めから「大人が泣いた映画」って
余計な触れ込みがされていたものだから、なんだか泣き損ねてしまった。
「銃を捨てろ!手ぇあげな」でお馴染みのカウボーイ人形のウッディ
「無限の彼方へ さあ行くぞ!」でお馴染みのスペース・レンジャーのバズの友情、
そして周りのオモチャたち(よそのオモチャも含む)との不思議な連帯感、
ウッディたちの持ち主のアンディなど子どもとの主従関係に似た愛情・・・。
可愛らしいオモチャ、いかついオモチャ、実在するオモチャ、あったら面白そうなオモチャ・・・
個性豊かなオモチャがいっぱい。オモチャだから善良な性格だとは限らないのも面白い。
ビビリのオモチャ、嫌みたらしいオモチャ、お堅いオモチャなど、人間のように多様だ。
まさかオモチャがオモチャを手玉にとったり、罠にはめようとするとは誰が想像するだろうか?
ディズニー・ピクサーとスタジオ・ジブリがお友達ということで、3にはトトロも登場!
本シリーズで登場したオモチャはディズニーストアなどで実際に買える。

子どもの頃、「世界は物語で、私に知られないように家族もTVの中もみんな、シナリオで
演じているのではないか」というちょっと怖い想像を頻繁にしていたものだけれど、
大人になったらいつの間にかそんなことはしなくなったし出来なくなっていった。
しかしそんな「童心」を大人になっても全く無くさないままなのが、
ディズニー・ピクサーの制作陣なのだろう。
「オモチャたちが心を持っているかもしれない」までは想像したことがある人も多いだろうが
「自分のことをオモチャだと分かってオモチャを演じているオモチャもいれば、
オモチャが自分のことをオモチャだと疑わず、本物だと思いこんでいるものもいる」なんて
どれだけの子どもが想像するだろう?
そして、自分がオモチャから離れたとき、そのオモチャが「淋しがるかもしれない」なんて
想像した子どもはどのくらいいただろうか?
もしそう考えたら・・・
「オモチャと一緒に映った写真を17歳になっても大事にとってあるアンディは、友だちから
からかわれているのじゃないだろうか?こんな子どもはいないのでは?」と、大人の目線から
突っ込みを入れる自分が少し哀しい。何の未練もなくオモチャ離れした子どもも描かれていたが。
オモチャからはもう離れるけれど、愛情や感謝を忘れず、「僕の大切な宝物」と言って
オモチャたちの役割を次の子どもへと引き継ぐアンディの姿は、ディズニー・ピクサーの
制作陣の姿だったり、理想だったりするのだろう。
そういえばあの日飽きてもう遊ばなくなったオモチャ達はどうしているだろう?
遊ばれなくなったとき、しまい込まれたとき、処分されたとき、淋しがったのだろうか?
今まで気にもかけなかった、幼き日々とそこを通過していく日々に一緒に居たものたちを、
ふと振り返ってしまうシリーズ。

唐沢寿明さんと所ジョージさんの日本語吹き替えが絶妙。でも、お蔵入りになったという
山寺宏一さんと玄田哲章さんのヴァージョンや、トム・ハンクスのウッディも聞いてみたい。


Mr.インクレディブル
TV欄で、三浦友和さんが声優を担当しているとか、スーパーヒーロー制度が廃止されて・・・
といったあらすじといったものを目にして、初めて知って興味をもって、録画してみた。
日本語吹き替えの声優さんが豪華で、黒木瞳さん、綾瀬はるかちゃん、宮迫博之さん、
オヅ・・・じゃなかった小倉智昭さんなど、聞いていても楽しい。
しかし宮迫さんは演技もうまいが声優もうまい。悪役がぴったりハマっていた。
小倉さんも予想外に声優さんになっていた。綾瀬ちゃんはもう少し上手かと思っていたけれど・・・

本作でも制作陣の想像力の豊かさに驚かされた。
スーパーヒーロー達は国の政策で守られたり廃止されたりするとか、
「助けを求めていないのに救われた、しかもその過程で怪我をさせられた」と訴えられるとか、
どこのヒーロー物のアニメ・映画マニアが想像するだろうか?
引退後は能力を隠して身分がバレないようにするなんて、まるでヴァンパイアか芸能人だ。
能力を隠すあまり内気になってしまった長女、スポーツが出来ないとゴネるわんぱくな長男、
会社や上司への鬱憤が溜まったあまり能力を発揮して壁を何枚も突き破って上司をボコリして
会社をクビになってしまう父親、そんな3人(+赤ちゃん)にてんやわんやになる母親。
やたらと人間臭いのがユーモラス。すれ違う家族の言動や気持ちはそっくりそのまま一般家庭だ。
しかも敵役は、かつて父親(Mr.インクレディブル)のファンで相棒になろうと近寄るも
インクレディブルに受け入れられなかったために、逆恨みした普通の人間(当時は子ども)。
いざスーパーヒーローの力を発揮して戦う場面になると、自信がなくて力を出せない長女、
水を得た魚のようにはしゃぎまわる長男と、真逆の反応をするのが印象に残る。
特に内気な長女が、最初母親に「バリアーを張りなさい!」と言われて全く出来ないのが
戦闘が進むにつれだんだん怖がらなくなって強いバリアーを張れるようになるのに加え、
顔を覆うような陰気なヘアスタイルから、髪を耳にかけて明るくチェンジするなど、
内面の成長をはっきり見せてくれる姿にかなり感情移入した。
スーパーヒーローだって中身は人間、私たち一般人と何も変わらないアップダウン。
ヒーローものにもこの手の設定はよくあるが、アニメーションでこれをやったために
なぜか新鮮で、しかも心に響く。人間らしいヒーロー一家の活躍を心から応援したくなる。

様々なスーパーヒーロー達が元ネタに使われているなど、小ネタが多いのも
ディズニー・ピクサーのお約束で、こんな遊び心もいい。元ネタが分からないのが悔しい。


WALL・E(ウォーリー)
昔観て記憶がちょっと薄かった「トイ・ストーリー」を除くと、私が能動的に観た
初めてのディズニー・ピクサー作品になる。これも今年のTV放映にて。
「泣けるアニメ」として公開当時頻繁にCMなどで見かけたが、実際に本作は、
理由のよくわからない涙が零れてしまって困った。
個人的に、メタリックな質感を感じられる画が大好きなので、映像としても公開当初から
興味があり、観てみたら期待通りのメタリックでスタイリッシュな映像で安心。
他の作品でもそうだが、本作を観てまず面白いと感じたのは、
作中に映像として登場する英字名称や英文(看板など)で、字幕で横に訳を表示する
一般的な手法を用いず、その部分の映像自体がその吹き替え言語にあわせたものに
差し替えられているところ。このこだわりによって、作品が何倍も楽しくなる。
ジブリ作品などもそうだが、細かいこだわりを思いついたスタッフや、それを理解して
継続してこだわりを実行する周りの人々の映画愛に感謝したい。
劇場パンフレットに「iPodがロボットになったような美しさ」とまで書かれるほどの
クールなデザインのイヴをはじめとした心躍るような未来型ロボット、
ウォーリーをはじめとするオールド・ファッションで味のある旧来型ロボット、
荒廃した地球とエッジの効いた宇宙船。
ストーリーもさることながら、視覚的にもとても楽しい。

ストーリーは大きく括ると「ウォーリーとイヴのラヴストーリー」。
ゴミを集めて積み上げるという仕事を700年間続けている地球最後のロボット、ウォーリー
巨大な宇宙船に乗ってやってきたロボット、イヴと出逢い、イヴがウォーリーの宝物の一つ、
「地球上の植物」を見つけて宇宙船に回収されると、ウォーリーは宇宙船にしがみつき、
宇宙船「アクシオム」を舞台にドタバタと純情の冒険を繰り広げる。
一方、宇宙船の人間達はといえば、丸々と肥え、自力で歩けない体たらく。
地球を捨てて宇宙でロボットに世話されながら、労働は全てロボット達に任せ、
いつでも食べたいときに食べ、休みたいときに休む、怠惰な暮らしを営んでいるせいだ。
艦長をはじめ、人間達は宇宙船アクシオムの自動操縦装置「オート」に支配されている。
艦長は、イヴが持ち帰った植物をきっかけに、「仕事」や「何かを成し遂げること」に価値を
見出だしてゆき、「故郷(地球)が問題を抱えている」として地球帰還を決意。
ついには自らの足で立ち、オートと戦って勝利を収めるまでに。
草刈正雄さんが声優を務める、このちょっと頼りない艦長の成長物語も、示唆に富んでいる。
寂しがり屋のウォーリーとクールで生真面目なイヴの、恋心、思いやり。
観ているうちにどんどん二体がいとおしくなってくる。
併せて、人間の怠惰さや、科学やテクノロジーの進化に対する警鐘が鳴り響く。



フルCGアニメーションなのに、人情味に溢れていて、どこかあたたかい。
緻密で、遊び心が随所に散りばめられていて、キャラクターひとつひとつが個性豊かで、
芯の通ったメッセージがあって、子どもはワクワクして、大人はホロリ涙が出る。
「人情のアピールだな」「泣きのアピールだな」そう分かっていても胸が熱くなってしまう。
この濃さがいいですね。
ディズニー・ピクサー作品はこれまで殆ど観ていなかったので、他の作品はこれから
少しずつチェックしていくことになりますが、今からちょっとワクワクします。
熱心なファンの人は作中に散りばめられた小ネタまで全部暗記しているんだろうなぁ。
アニメは「子ども向け」「オタク向け」と敬遠していましたが、もはやそのレッテルは
剥ぎ取った方が良さそうですね。

テーマ:TVで見た映画 - ジャンル:映画

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Lost In Translation & Marie Antoinette(サントラ):「ケヴィン・シールズ祭りのつもりがソフィア・コッポラ祭り。V.A.ならではの出逢い」

以前「マイ・ブラッディ・バレンタインの記事」を書いたときに
その中心メンバー、ケヴィン・シールズの現在の活動を追っていて、大変気になった
サントラふたつ。
ロスト・イン・トランスレーション」と「マリー・アントワネット」への参加。
「これは」と思い、いざ手にしてみれば、よくよく考えればソフィア・コッポラ祭り。
そして、2つのサントラのプロデューサーを務めているのは
ブライアン・レイツェルなる人物。
だからこの記事は、図らずも、ソフィア・コッポラ特集かブライアン・レイツェル特集と
相成ったわけです。

ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラックロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック
(2003/10/16)
サントラ、ケヴィン・シールズ 他

商品詳細を見る

「マリー・アントワネット」はまだ観てないんですけど(予告編CMはさんざん観たけど)、
「ロスト・イン・トランスレーション」は大分前に観て、なんともいい余韻の残る良作だと
記憶に残っています。
日本の真ん中で迷子になった、中年のハリウッド・スターと若い人妻。
時差ボケが収まらない男と、眠れない女。
なんとなく出会ってなんとなく二人の距離が縮まって、けれどお互いの日常も待っている。
でも、迷子になって漂う時間は不思議と居心地が良くて・・・。
音楽に着目して観ては全然いなかったんですけど、この監督(ソフィア・コッポラ)の
サントラはことごとく評判が良いのだそうで。
監督処女作「ヴァージン・スーサイズ」から。(これも観てない。観たいけど怖いような)
そしてその時既に、ブライアン・レイツェルは音楽監督を務めていたんですね。

マリー・アントワネット オリジナル・サウンドトラックマリー・アントワネット オリジナル・サウンドトラック
(2006/12/13)
サントラ、ウィンザー・フォー・ザ・ダービー 他

商品詳細を見る

「ロスト・イン・トランスレーション」は浮遊感がよく出た雰囲気で、
2枚組の「「マリー・アントワネット」は、1枚目が「ちょっと虚しいお祭り騒ぎ」、
2枚目が「マリーもホントは淋しいの」という感じ
、と概要したら怒られるでしょうか(笑)
我が儘は男も女も嫌いなので「絶対観るか」と思っていた「マリー・アントワネット」、
サントラをきっかけに「観てもいいかな」に変わってきています。案外大丈夫かもしれない。


「ロスト・イン・トランスレーション」では、ブライアンなどによるインストが数曲
収録されているほかに、彼がツアー・バンドのドラマーとして活動したバンド、
AIRエール)の曲も1曲あります。AIRの楽曲は「ヴァージン・スーサイズ」のサントラに
多く収められているのだそうで、「ヴァージン・スーサイズ」のサントラも今後チェックして
みたい感じです。
「マリー・アントワネット」のほうではもう少し間接的な関わりになり、何曲か
クラシック音楽を今風にアレンジしたり、イントロのインストを作ったり。
1曲だけAIRの楽曲がありますが。
因みに2010年公開された映画「サムウェア」(今調べて存在を初めて知りました)には
ブライアンの名もAIRの名もなし。
ソフィアのパートナーが在籍するバンド、 Phoenixフェニックス)が担当している様子。
フー・ファイターズあり、ポリスあり、グウェン・ステファニーあり、T・レックスあり、
キッスあり、ブライアン・フェリーありと、もう何でもござれで、このサントラも面白そうです。


そしてきたきた、当初の目的ケヴィン・シールズ。
「ロスト・イン・トランスレーション」ではソロ曲を4曲、マイブラの曲「Sometimes」も提供し、
「ラヴレス」以来10年以上にわたった実質的沈黙を破るかたちになりました。
ケヴィンのヴォーカルが聴ける曲もあります。
曲のタイトルも「City Girl」「Goodbye」「Ikebana」「Are You Awake?」と
映画のワンシーンや雰囲気を切り取ったものになっています。それにしても「いけばな」とは。
曲が「・・・なんかマイブラっぽい」という感じがするのはこういうオーダーだったから。
らしいと感じるか物足りないと感じるかは好きずきでしょう。
でも結構、映画の浮遊感や静寂が出ているソロ楽曲が揃っていると思います。
「マリー・アントワネット」ではやや肩透かし。バウ・ワウ・ワウのリミックス
2枚のディスクで1曲ずつ手がけているのみ。原曲を知らないのも大きいんですが。
評論家筋から「ユニーク」と評されたのは寧ろこちらのほうのようです。


この2枚(正確には3枚)、もっと違う楽しみ方が出来ます。
それは、あのアーティストやこのアーティストの味見が出来ること。これが凄いんです!
「ロスト・イン・トランスレーション」ではスクエアプッシャー(マリーの方にも参加)、
そして「ジザメリ」ことジーザス・アンド・メリー・チェイン
一番の美味しいところは日本のバンド「はっぴいえんど」ですがこちらは後述して。
「マリー・アントワネット」では、スージー・アンド・ザ・バンシーズ
バウ・ワウ・ワウ(ケヴィンのリミックスだけでなく、オリジナルの形の楽曲も入ってます)、
ギャング・オブ・フォーザ・レディオ・デプトザ・キュアーエイフェックス・ツイン
そういう中にニュー・オーダー、果てはザ・ストロークスまでもがブチ込まれているのが
痛快というか目が、いや耳が点というか。
作品が進むほどやりたい放題が進むのでしょうか。次作なんてかなりのカオスですが、
そのカオスの兆候が「マリー・アントワネット」にみられたのか。

「気になるけどまだ手が出せない」「その名を聞いたことはあるけど、手を出す
勇気がない」といったハイセンスな音楽をたっぷりチャージできて満腹になれます。

寧ろここで「気になる」をたくさん見つけて、新境地への旅の道標にするのも
いい使い方だと思っています。
「全部聴いてるよ」という人はともかく。
「マリー・アントワネット」のクラシックまで込みで、全体的にまとまりがちゃんとあるので
ひとつのアルバムとして聴いてもちゃんと楽しめるのでは。

当初のコンセプト、ケヴィン・シールズ祭りはやや不発に終わったものの、それ以上に
「なるほどな、Various Artist系統は久々に聴いたけれど、こんな楽しみ方が出来るんだな」
というフレッシュな感動がありました。
今後もサントラ、色々漁ってみると思いのほか楽しめそうな気がしています。
サントラをあれこれ漁る音楽フリークの皆さんの気持ちがやっと分かったようです(笑)


最後に、「ロスト・イン・トランスレーション」サントラ収録曲で、
完全に「持っていかれてしまった」印象を受けた、はっぴいえんどの「風をあつめて」。
細野晴臣さん、大瀧詠一さん、松本隆さん、鈴木茂さんという、今でもぼちぼちその名を
耳にする超大物が勢揃いしていた、1970年代初頭のバンド。
曲とあわせて歌詞を読むと本当に持っていかれます。時代性がよく感じられる漢字遣いも
とても雰囲気がある。手書き文字入力まで使って、書くのに物凄い腐心したんですけど。

風をあつめて/はっぴいえんど

街のはずれの
背のびした路次を 散歩してたら
汚点だらけの 靄ごしに
起きぬけの露面電車が
海を渡るが見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を

とても素適な
昧爽どきを 通り抜けてたら
伽籃とした 防波堤ごしに
緋色の帆を掲げた都市が
碇泊してるのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を

人気のない
朝の珈琲屋で 暇をつぶしてたら
ひび割れた 玻璃ごしに
摩天楼の衣擦れが
舗道をひたすのを見たんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を

70年代初頭にこんなロックがあったのは、80年代初頭生まれの私にとっては
あまりにもカルチャーショック。
洋楽を吸収していながらもフォーキーで、ひとつひとつの言葉遣いに唸らされる。
洋楽好きの日本人で良かった、いや音楽好きの日本人で良かったと
感慨に耽りながら記事を締めくくろうと思います。洋画のサントラの記事を(笑)



※多分一時的な追記:「テーマ」に「映画音楽」があったはずなんですが見つからないので
暫定的に「レンタルDVD・CD」に投稿しています。見つけ次第修正します。
テーマから検索して記事書き直せば良かったんですが、もう捨て記事が増えすぎなので。

テーマ:レンタルDVD・CD - ジャンル:映画

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