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吾輩は主婦である「クドカンが昼ドラを手がけちゃった!漱石好きも、文学とかどうでもいい人も、笑って観られる全8巻」

以前のざっくりドラマライフ・クドカン特集で「見つからない」と嘆いていた
クドカンこと宮藤官九郎さんによる、まさかの昼ドラ
吾輩は主婦である」のDVDをTSUTAYAで発見!
そりゃもう、観ないはずがありません!早速感想~レビューをしちゃいます。

吾輩は主婦であるDVD-BOX 上巻「みどり」吾輩は主婦であるDVD-BOX 上巻「みどり」
(2006/10/25)
斉藤由貴、及川光博 他

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吾輩は主婦であるDVD-BOX 下巻「たかし」吾輩は主婦であるDVD-BOX 下巻「たかし」
(2006/11/22)
斉藤由貴、及川光博 他

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その前に。
つくづく、DVDをレンタルしてくると悩まされることが。
それはノイズ、そして動作ストップ、飛び飛び再生!!!
レンタルショップよ、DVDの盤面きちんと綺麗にしといてくれよ!
毎度毎度まともに再生できず、かなりのフラストレーションになりました。
全8巻をコンプリートするのに何が一番大変だったかっていうと、こ・れ。
DVD開いた段階で裏面が既に傷だらけってパターンもよくあるんですけどね。
今回はこのパターンにも近かった。あぁぁぁぁもう、疲れました!

さ、気を取り直していざ感想~レビューにかかりましょう。
大きく4つの論点にわけて書いてみます。

<ストーリー>

・これ本当に昼ドラ?!
全8巻観たが、どうみても普通のドラマにしか見えなかった。
観たことないのでイメージになるけれど、昼ドラってもっとドロドロ・ヌラヌラ
愛憎劇が渦巻いてるもんじゃないの?
クドカン作品のノリや小ネタが主婦層にわかるともいまいち思えず。
もしかして今の朝ドラの人みたく「今までなかったような昼ドラを作りたい」って
あえてクドカン流を貫いたのかも。
一応、ベタなホームコメディが基盤にあり、そこで主婦層に訴えたのかもしれないが。

・荒唐無稽な設定にもかかわらず、なぜか受け入れられてしまう不思議
何と!ある日、普通の主婦・矢名みどり斉藤由貴さん)に、旧千円札から出てきた
夏目漱石の魂が乗り移って、みどりの魂はお札の中に封じ込まれてしまうという話。
折しも本作が放映されていた時期は2006年春夏と、時事ネタではあったけれど、
いくらなんでもそんなわけ、家族や周囲の人が信じるわけ、視聴者が信じるわけ・・・
・・・って言ってるとなぜか普通に受け入れてしまっている登場人物や自分がいるわけ。
うーん、どうしたものか。これぞクドカンマジック?
自分の場合、クドカンものしょっちゅう観てるのでこの手の強引さにはすっかり慣れて
いるが、そうでない人の場合は、演劇をTVドラマで観てると思えばいいはず多分。
思い切りコミカル系劇団のノリだもの、突飛なストーリー、大仰な演技、強引な展開。

・ある種、タイムスリップものとして楽しむこともできるかもしれない
家族にとっては不可思議現象だけど、漱石(以下、劇中の通称「吾輩」)にとっては、
明治から平成へタイムスリップするし、容姿も性別も変わっちゃってるし、
というか全くの他人に転生してるし、もっととんでもない事態になっているはずで。
みどり転生時の吾輩は37歳、あの名作「吾輩は猫である」を書いたばかり。
書いてない未来の著作を目にするわ、自らの死期や死因までわかってしまうわ、
明治の面影は跡形もなく、未来の見知らぬ文明に囲まれているわ・・・
寧ろ吾輩は神経症にも陥らず、胃炎もそんなに起こさず、よく適応していると思う。
だってこれ、倫敦留学級のアウェイだもの。

・DVD全8巻という長さを端折らずに観られてしまう愉快な「途中経過」
みどりが吾輩に乗っ取られて、でも最後にはみどりに戻って終わるんでしょ。
ドラマや映画や小説を何作か観たり読んだりしたことがあるなら自明の話。
全4巻だと思いこんでレンタルしたら後日「あ、足りない!」で残りを急に補充、
でもこんなに観るのは面倒だから、2巻まで観た時点で「もう8巻を観ちゃおう、
そうすりゃ十分に感想書けるだろ」と、3~7巻を思い切り端折るつもりでいた。
それで惰性で3巻を観たら・・・あれ、おもしろい。
ドタバタした群像劇の一つ一つ、キャラの一人一人が際立って、こりゃ愉快愉快。
その群像劇も回を重ねるごとに繋がっていくから、見逃すと話がわからなくなる。
1巻でも端折っていたらラストは訳がわからなく、感慨も湧かなかっただろう。
キャラの魅力については後の項にて。

・サブテーマ?のミュージカルが意外と楽しい
中盤以降はストーリーの展開に緊迫感とスピードが出るので大きく頻度が
落ちるけど、序盤はほぼ毎回のように何かにつけミュージカル場面が登場。
なにせ、みどりと夫のたかし及川光博さん・以下ミッチー)は
学生時代のミュージカル研究部で出会って恋に落ちて結婚に至ったのだから。
そして行きつけの喫茶店の店長・ゆきお川平慈英さん)は部の先輩で、
とても暑苦しいハイテンションでしょっちゅう店内にてミュージカルを繰り広げ。
歌の内容は相変わらずのクドカン節で馬鹿馬鹿しいことこの上ないけれど、
斉藤さんのシフォンケーキのような儚く美しい歌声にとろける至福のひととき。
たかし、ゆきお、他の人物による歌も楽しく、聴きごたえもある。
クドカンほんとはこっちメインにしたかった?って思ってしまいそうなくらい。

・執筆、編集~出版、CM撮影など、ギョーカイの真相がわかる?!
クドカンがリアルに関わっている領域なのでやはり描写が生々しい。
楽しいこともあるけれど、辛いこと、面倒なことのほうが多い業界。
そんな業界のなかで頑張る、吾輩、担当編集者の小松岡田義徳さん)、
CM制作会社のぼんやりスタッフ中島桐谷健太さん)、
人気作家でなぜか吾輩の書生になる朝野高橋一生さん)。
みんな頑張れ!
しかし朝野の風貌がクドカンまんまとはWikiで読んでいたけど、
あそこまでそっくりだとは予想の斜め上。初めに登場したときは本当びっくりした。


<キャラクター>

・破天荒で本当は臆病な女性キャラ、ヘタレで本当は芯が通った男性キャラ
たかしの母=みどりの姑のちよこ竹下景子さん)、たかしの幼なじみで
向かいに住んでるやすこ池津祥子さん)をはじめとするぶっとび女性キャラ。
一方、たかしや、やすこの旦那のひろしレッド吉田@TIM)をはじめとする
女性キャラたちの尻に敷かれたり、存在感が薄かったりする男性キャラ。
しかしいざというとき、オロオロ、メソメソと頼りなくなりがちな女性たちを
男性たちが理性的にしっかりとリードする展開が多くみられた。
クドカンの男性観・女性観がこのようなかたちで表現されているのかもしれない。
そういう点で、特にたかしを見ていると、何度も「11人もいる!」を思い出してしまった。
あの大家族のアホ父ちゃん(田辺誠一さん)を彷彿させるものがある。
ちょっとだけね。ミッチーと田辺さんって微妙に系統被るし。

・ウザカワイイ?脇を固める個性的すぎる人物たち
最初のうちは登場するたびにウザくてウザくてたまらない。見たくない。
しかし回を重ねるごとに妙な情が湧いてきてしまう。
そんな「ウザカワイイ」脇キャラが本作でもたくさん登場。
その筆頭が女性ではやすこ、男性ではゆきおなのだが、他のキャラも大分ウザい。
そしてなぜか憎めなくなってしまう。
小松や朝野のような、暑苦しさは少ないが、回を重ねるごとに薄味なりの個性が
だんだんクセになるキャラも合間を縫うようにぞろぞろ存在する。
こんな個性的な脇キャラが次々登場するのだから「途中経過」がやめられない。
一体全体クドカンの脳内(もしくは、周囲の友人知人)ってどうなってるの?
クドカンの一番の才能ってもしかするとこういう面白キャラ量産かも。


<中の人とか色々>

・オープニングテーマ「家庭内デート」の破壊力
DVDには1巻あたり5話が収録されていて、5話全てのオープニングテーマが
(クレジットを出す都合もあるだろうが)ご丁寧に収録されている。
このオープニングテーマで流れる曲「家庭内デート」がまたとんでもない。

家庭内デート(DVD付)家庭内デート(DVD付)
(2006/06/07)
やな家

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「ねえ聞いて お母さんね 好きな人がいるの~
それは それはね~ お父さん! 言っちゃった(はぁと)」

このあま~い斉藤さんの歌声を聞いてTVを壊したくなる女性がいるだろう。
「もしも~ みどりがはぁ~ 風邪をひいたら~
たかしは! みどりの! お粥になりたひぃ~~」

このミッチーの王子な歌い回しと振り付けでアレルギー反応が出る男性がいるだろう。
これを毎話ごとにやり過ごさねばならない。耐えられない人には、本作は向かない。
但し、本編のミッチー=たかしは至極まともだし、みどりこと吾輩の可愛げなさは
さっきまでのあま~い斉藤さんが幻に思えてくる。だからなるべく耐えてほしい。
ラストまで報われないたかしの、妄想の世界なのかもわからない。

・斉藤由貴さんってやっぱすごいんだなあ
みどり、吾輩、ある回で登場するみどりそっくりの女性。
発声から顔つきから所作から全然違う。
「漱石が主婦に乗り移る」なんて荒唐無稽なお話がドラマとして成立するのは
この人が演じているからに他ならない。思わずその演技に見入ってしまう。
ただ、吾輩はちょっとわめきすぎで、他のクドカンドラマヒロインの例に漏れず
やっぱりうるさい(苦笑)

・情けなくてかっこいい神戸君を観たい人におすすめ?
正直ミッチーはどの作品を観てもミッチーに見えてしまう私。
だけどその独特の雰囲気が何だか面白くて、つい出演作品が気になっている。
神戸君からイヤミを減らして、そのかわり場当たり的な正義ではなく
素直な自分の義侠心で動けるようにしたのがたかし、という印象。
ピークは過ぎたかもしれないが、「相棒」レギュラーも終わったことだし、
もう一作くらいミッチーをクドカン作品のメインで観てみたい気がする。
でも、その系統のポストは田辺誠一さんで埋まってしまったのかな?

・「泣き女」で終わらない貫禄
韓流スターのペ・ヤングンに夢中で、やすこと一緒に遊び回ってばかりいる
還暦未満にしたって元気いっぱい、感激屋の未亡人おばあちゃん、ちよこ。
落ち着きないほど若々しいけど、締める場面ではしっかり締める、それもまたちよこ。
ファンキーかつ深みのある竹下景子さんが観られてとても楽しい。
因みにこの「ヤン様」、本作のディレクターさんなのだとか。
いいの?いろんな意味で、いいの??

・時事ネタ・意外なあの人
何と仰天、今をときめく有吉が出ているではないか!!!
毒舌どころか、情けなくて存在感が薄い旦那さん役を演じている。
元ヤンで今は草食系パパ、ひろしを演じるレッド吉田、いいハマりっぷり。
更に妄想のなかの漱石を、安住アナが演じている!(放映がTBSなもので)
そして、「マンハッタン・ラブストーリー」に登場したクレイジーなキャラ・
イボリー=井堀をもじって、尾美としのりさんが飯堀として登場。
たかしの元いた会社の先輩なんだけど・・・またも軽薄なキャラで笑わせてくれます。
時事ネタとしては、前述のヤン様(ヨン様)、キャミソール(インストール)、
猫ひろしのチラ出、「郵政民営化を控えて云々」という台詞など。
そういえばたかしはフルネームを矢名たかし(やなたかし)という。
一文字加えたら、あの超有名な漫画家さんに・・・小ネタがいろいろ細かいよ!


<漱石ファンとして本作を観て>
このblogで何度となく書いているが、私はそれなりの漱石ファンである。
(フリーク、信者などと名乗れないのは、「ファン」の域を超えていないから)
そういった立場からも本作に非常に興味があった。
いざ観てみると・・・

・「聖☆おにいさん」的楽しみ方もできるはずなのだが・・・
ぶっちゃけ漱石とその作品やエピソードって、特に文学好きでもない普通の人に
どのくらい知られているのだろう?
以前紹介した漱石案内書にも書いてあったような作品やエピソードが、かなり丁寧に
網羅されている。ちよこと吾輩が漱石ゆかりの地めぐりをする回さえある。
やたらとあだ名をつけたり、「甚だ」「頗る」といった「くちぐせ」が頻出したり、
夜に見た夢を「こんな夢を見た」と述懐したり、胃潰瘍になったり。
ラストはほんのちょっと「こころ」の後編に擬えた作りにもなっている。
「クドカン!ありがとう!!」とさえ言いたくなるほど、漱石蘊蓄で一杯だ。
漱石好きとしては、とても嬉しいし、そういう小ネタでクスッと笑える。
しかし同じ思いをしている人は自分のほかにどのくらい居るのだろう・・・?
文学好きはおしなべてあまりドラマというかTVを見ない人が多いし、
逆にドラマ好き、TV好きは文学なんて読まない人が多いように感じる。
「マニアックネタが少し難しいけど、それすら知りたい」と思えるギャグ漫画
聖☆おにいさん」のブッダとイエスほどの知名度はないかもしれないが、
あれに準じた面白がり方もできるドラマだと思うのだけれど・・・甚だ残念。

・てか、ジョン・レノン浅ぇよ!
漱石よりも凸りたいのは寧ろここ。ラストで、作曲の仕事に詰まったたかしが
漱石に乗り移られたみどりよろしく、ジョン・レノンが転生したかのように
振る舞っている。みどりにも「ジョンとしての台詞が浅い」と突っ込まれて
いるが・・・浅いにもほどがあるよ!クドカン、ジョン・レノン興味ないだろ!
たかしの理解が浅いという設定にしたって頗る腹が立つ!
・・・あれ?漱石<ジョン・レノンだったっけ自分??
まぁどちらも好きだということで。


観終わるまでかなりかかりましたが、飽きずに楽しめました。
そして観てるとなぜか小説を書きたくなるんですよね、書けもしないのに。
これには困らされましたが、面白いコメディだったし
ハートウォーミングな家族のものがたりでした。

またも長々とした文章を書いてしまったのですが、これでも書ききれなかったほど
細かい笑いどころ・本当は重要であろうみどころが沢山、沢山あります。

さて、このクドカンが今度は朝ドラに挑戦するとのことで、一体全体どうなるのか?
今の朝ドラの脚本家は「家政婦のミタ」の人だけどなんだか頗る不評のようだし、
夜のドラマでヒットする人が朝ドラでも好評を博すとは限らない様子。
観る時間があるか微妙ですが・・・来春は、密かにその動向を気にしたいと思います。



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