2017-05

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【映画】「戦場のメリークリスマス」感想【音楽好きにもおすすめ】

今年もまた終戦記念日が来ますね。
だいぶ前に観て、感想メモまで残しておきながら、かなり長いこと
お蔵入りになっていた映画の話をします。
タイムリーなのか季節外れなのか判断に悩みましたが、
大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を。

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ブルーレイはジャケットがちょっとかっこいい。

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豪華すぎるキャスト、しかもこれは「やむを得ない変更」
ボウイきたー教授きたーたけしさん(北野監督ともいう)きたー、という
キター祭りすぎる、今観るとびっくりするようなキャスト。
でも、このお三方の出演は、はじめから考えられていたのではないそうで。
実は、ビートたけし氏が演じた軍曹のハラは勝新太郎氏の予定で、
坂本龍一氏が演じたヨノイ大尉は沢田研二氏の予定だった。
さらには、デヴィッド・ボウイ氏が演じたイギリス軍少佐のセリアズにも、
俳優で映画監督のロバート・レッドフォード氏が来る予定だった。
そっちはそっちで豪華だが、スケジュールだったり、役柄への不満だったりで、
各人のOKが得られなかった結果、この三人が本決まりになった。
どっちにせよ、キャストだけで「やべえ観なきゃ」と思わせられるってある意味スゴい。

豪華だけど演技経験が浅いメインキャストを活かす秘策
デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし(最後のクレジットでは「TAKESHI」)。
このお三方はいずれも別の世界から来た人たちで、当然、演技経験は浅い。
歌うことやコントをやることは、ある程度、「演じる」に繋がるが、役者ではないし、
ましてこれまでユニットでじっと鍵盤とにらめっこだった教授はどうするのか?
それを結果的に何とかしたのは、「軍人」「陸軍の偉い人」という設定。
棒であろうと無愛想であろうと、命令口調で喋っていれば、様にならないことはない。
もちろん、これは後からついてきた感想で、作っている側、演じている側は当然
そんなつもりではなく、教授とたけし氏は互いの演技を「ひどい」と言い合っていたとか。
英語がよくわからない自分には、ボウイの演技の巧拙が正直よくわからないが、
後の二人は、軍人設定と、脇を固める本物の役者たちによって、
まあ一応何とかなっているんじゃないかと思えた。
二人とも後に映画の世界に本格的に足を踏み入れるのも興味深い。
一方は映画音楽でアカデミー賞、もう一方はヴェネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。
いやはや、とんでもない。

こんなのあり?異端な映画
第二次世界大戦を舞台としているのに戦闘シーンゼロ。出演者は男性のみ。
インドネシア・ジャワ島の日本軍捕虜収容所だけで話のほぼ全てが進んでいく。
戦争に反対も賛成もしないし、とりたてて何か主張があるわけでもない。
大きなストーリーの軸もなく、単体のエピソードを時系列で並べた集合体で、
印象的なシーンをいくつか見せて、インパクトを残していく、という感じ。
一本筋が通った骨太なメッセージだとか、二転三転の劇的なストーリーだとかを
期待していると間違いなくがっかりする。
最近の映画のトレンドとは価値観が全然違うので、観るには少し覚悟が必要。
(遠回しな)同性愛ものということもあり、万人受けは決してしない作品だろう。
豪華キャストを起用して、印象的(衝撃的)なシーンをチラチラ見せて、
さしずめ「偉大なるはったり」といったところか?
まあ、この監督について私はあまりに無知なので、作風を断定するのはよそう。
しかし「変わった映画」「変わった監督」という印象は消えない気がする。

有名なあの台詞、あの場面はこんなふうに登場するのか
私はこの映画が公開されたちょっと前に生まれたくらいの世代で、
勿論、リアルタイムで体験しているはずもない。
でも「Merry Christmas,Mr.Lawrence」という台詞だったり、
ボウイと教授がキスして教授が「ハッ!」となる場面だったり、そういうものを
かなり断片的にだけ知っていて、「どうなるんだろう」と楽しみにしていた。
前者の「メリークリスマス~」のくだりは、ボウイか教授が言うんだろうとばかり
思っていたから、たけし氏が言ったのでちょっと驚いた。
しかも、子どものように純真無垢な笑顔で、それを言うのだ。
これは持っていかれた。意外性とインパクトがずっと残る。
後者の場面は本編より、実は宣伝用のカットのほうが印象的な気がした。
本編ではほんの一瞬。「あれっ今何か起きた?」くらいのさりげなさなのだ。
そういうもんか、という感じ。

言いたいことをあえて考えるならば
ロレンスとハラ、セリアズとヨノイ大尉の不思議な絆(要は男色関係な感情)を
エピソードの積み重ねで淡々と描いていく本作。
先程「とりたてて何か主張があるわけでもない」と書いたが、あえて考えるなら
「国境も文化も超えた関係が生まれ得る」ということは言えるのではないか。
そして、詳細はネタバレなので控えるが、結局主人公で語り手のロレンス以外
主要登場人物は誰も幸せになれない。
(原作がロレンスの実体験をもとにした小説なので、そりゃロレンスは無事だが)
これを深読みするなら「戦争の無益さとむごさ」を表現した、なんだろうか。
後の北野監督の映画では、拳銃を持った人間は誰も幸せになれないと
監督自身が決めていて、銃や暴力団を賛美しないようにしているそうだ。
観終えたときの後味が、どことなく北野映画に似ているような気がした。
大島監督→北野監督と、この「やるせなさ」が受け継がれていったのだろうか。

音楽が一種の目玉?
Merry Christmas Mr.Lawrence」は、教授の代表作のひとつで、
世代によって違いはあるだろうが、最も多くの人に知られている曲といえるだろう。
本作のサウンドトラックを教授が手がけていて(これが初の映画サントラ)、
英国アカデミー賞の作曲賞を受賞している。
実はこの映画で一番面白かった、印象に残ったのは、教授の音楽だったりする。
映像が音楽によって神格化されている側面はないだろうか?
そんな感想すら抱いている。
映画がつまらなかったと言っているのではなくて、音楽が素晴らしすぎるのである。
たけし氏の「メリークリスマス~」が映画の半分を持っていったならば、
教授の音楽が残り半分を持っていったように感じたのだ。
果たして、この顛末の、どこまでが大島監督の狙い通りだったのだろうか?
音楽目当てで、この少し古い映画のDVDやブルーレイを手にとってみる価値は
少なからずあると思う。
それに勿論、ボウイが演じているというだけでセリアズに見入った部分もあった。
音楽好きにはたまらない映画のはず。


偉大なる監督の偉大なる映画をこんなかたちでぶった斬っていいのだろうかという
逡巡は一応あります。
けれど、広告代理店でもないんだし、正直な感想を書いてこそ
感想やレビューになり得るのではないかと考え、率直に綴ることにしました。
頻繁に音楽を取り上げているこのブログにもよく合う作品だし、
まあ、ひとまず、これはこれで。


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大貫妙子&坂本龍一:UTAU「国宝もののコンビによる極上のひととき」

独特の佇まいが、強烈に耳にやきつく、歌声。
幼少期に聴いた「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」、
小中学生の頃に耳にした「Shall we dance?」のテーマソング・・・
ほかに多くのCMソングなど、多種多様のシチュエーションでその声を
誰もがきっと耳にしているであろう歌うたい、大貫妙子さん。
そして、彼女の活動を、ソロ・デビュー時から何かとサポートしてきた
世界の「教授」こと坂本龍一さん。
ふたりが13年振りに再会し、2010年、歌とピアノ、ふたりだけの
究極のアルバムをリリースしました。
その名も「UTAU」。

UTAU(2枚組)UTAU(2枚組)
(2010/11/10)
大貫妙子 &坂本龍一

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今回のレビューは、この作品。disc1は普通に二人の歌と演奏で
disc2は教授によるインストゥルメンタル+α。
disc1のみのものも売っているようです。
2枚組のこのヴァージョンは、B6サイズの冊子のようで、触感も独特。
2013年の今、ふと考えると、・・・これってタブレット端末を模したのかな?
教授の環境へのこだわりはもちろん健在です。カーボンオフセットCD。



極上のひとときを堪能できる、最小単位の編成と熟練の演奏。
それぞれに色とりどりなので、今作も全曲簡単レビューをしてみたい。

#1 「美貌の青空」
聞き覚えがあるような気がするのは、オリジナル曲である教授のソロ曲が
CMソングだったから。
キャッチーでありながら、謎めいていて、エキセントリックで、孤高。
教授とよくタッグを組んでいる作詞家、売野雅勇氏の詞にも舌を巻く。
いったいどこからこんな発想、こんな語彙が出てくるのだろう?
ユニークでありながら、ナルシシズムが匂い立ち、耽美な世界が広がる。

#2 「Tango」
#1と同じアルバムに収録された教授の曲を、2年後には大貫さんもカヴァー、
そして09年の教授のツアーのゲストに大貫さんが招かれ、この曲で共演と、
このアルバムが誕生するきっかけになった曲。
「タンゴ」らしく、中南米のテイストを漂わせながら、打ちひしがれるような
哀しみを深く織り込む。しかしながら展開は徐々にあちこち飛んでいく。
歌詞のなかに「マテ茶」が登場!

#3 「3びきのくま」
さっきまでとはがらりと変わり、あたたかみを前に出した優しいナンバー。
小田和正氏あたりがリリースしていそうな(笑)。
大貫さんといえば中低音のイメージが強いが、この曲ではかなり高いキーも
披露している。中低音に全くひけをとらない、力強く確かな高音。
硬質なイメージの強い、教授のピアノも、ふんわり優しげ。

#4 「赤とんぼ」
おなじみの唱歌を、大人が大人のために演奏してみた。
流石の品格、贅沢な時間。
ピアノはシンプルに、歌は素朴に、それでも滲み出るアーバンな香り。

#5 「夏色の服」
幾つになっても、大人になっても、女性のなかには、
膝を抱えて孤独に耽る少女が棲んでいる、とよく云うけれど
それをとても感じさせる、憂鬱な女のすがた。
クラシカルで、美しいピアノが、女のメランコリーに寄り添う。
最後のメジャーコードが、彼女の辛抱強さと芯の強さを暗示し、幕を閉じる。

#6 「Antinomy」
米映画「ファム・ファタール」のサントラ・アルバムを手がけた教授が
映画のために作ったインスト曲のひとつに、大貫さんが詞をつけた。
寂寞感に満ちた空間を想起させる。
この曲もとても音域が広く、高音から中音へ、低音から高音へ、一気に
滑るようにのぼったりおりたり。その滑らかさに、大貫さんの確かな
テクニックを魅せつけられて、息を呑む。

#7 「Flower」
ダウナーな曲が続いた後は、ちょっとカラッとした明るさのある曲。
歌詞に「ネムノキ」が登場。
1番で自然(花=ネムノキ)を描写し、2番ではその花を擬人化して
「おんな」の想いを歌いあげる、ユニークな歌詞。

#8 「鉄道員 poppoya」
坂本美雨嬢が歌っていた、同名の映画の主題歌をカヴァー。
冷たく静かに雨が降り注ぎ、締め付けられるような胸の痛みを
堪えながら、凛々しく立っている「君」の情景が浮かぶ。
原曲でも危うかったが、このヴァージョンは本当に泣きそうだ・・・
歌詞を見る分には、奥田民生氏の詞が合っていないように感じるが
歌われるのを聴いていると案外マッチしているのは、大貫さんの手腕か?
そして、曲の構成は、マイナーコードとメジャーコードが行き交う。
哀しいだけの曲ではないのだ。

#9 「a life」
このアルバムのために二人で書き下ろした曲。
他の曲とは一線を画した曲調、歌詞。軽やかでリズミカルなピアノに、
ありふれた日々の行動のありがたみを、いきいきと具体的に提示する詞。
「無くしたくないと 思うものだけを 守ってゆこう 守ってゆこう」
じわじわと前向きなエネルギーが湧いてくる。
ネクラ(?)な二人による、希望のメッセージが感じられる。

#10 「四季」
日本人で良かった~というような、情緒あふれる、歌詞、メロディ。
原曲はフェビアン・レザ・パネ氏がアレンジした大貫さんのアルバム曲で
化粧品のCMの曲になったとか。そういえば聞き覚えのあるサビだ。
う~ん、まさに花鳥風月。うっとり、しっとりと。
最後のサビでキー上げして転調するのが、唐突ではあるがグッとくる。
小室哲哉氏ちっくな気もするが・・・。教授のアレンジでは珍しいのでは?

#11 「風の道」
うららかで美しい旋律を奏でるピアノに、想像力をかき立てる、写真のような詞。
「今では他人と呼ばれるふたり」の間に、穏やかで柔らかい風が流れてゆく。
未来へ向けて・・・・・・。
普段は俯きがちな二人の視線が、揃って上向いて、アルバムは幕を閉じる。


メランコリックさやノスタルジアを期待したら、確かにそれらは裏切られなかったが
それ以上に、そういったイメージより遙かに、大貫妙子という女性の底にある
希望や母性は逞しい。
思っていたよりは曲調が幅広かった。

女性らしい柔らかさと、頑固なほどの凛々しさを併せ持ち、風のように行き交う
(当時)還暦間近とは思えない、大貫さんの唯一無二の歌声を、
より引き立てながらも、よけいな味は一切加えない、教授の鉄壁のサポート。
また、無機質で硬質な教授のピアノの、モノクロームの世界に、
色調の僅かな違いだったり、絵の具箱をひっくり返すようだったりと
彩りを与えながら、そのクラシカルな品格は少しも損なわせない、大貫さんの歌。

国宝もののコンビではあるまいか。
それは少し大袈裟だろうか。


disc 2の、教授のピアノインストも、うっとりものです。
同じ曲名や、disc 1の曲の原曲でも、ちょっと違うし(曲の長さも違う)
聞き比べてみてもおもしろいかも。
それにしても保存に困るCDだなこりゃ・・・(苦笑)
買ったり、レンタルしたりする人は、そこにちょっと気をつけてください。
普通のCDとは全然サイズが合わず、一緒に収納できないので。。


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村治佳織:プレリュード「初めて聴いたクラシック・ギターは、とても繊細で、とても優美だった・・・一つひとつの所作に、静謐な祈りを込めて」

エレキギターは、基本、鋭角的でラウド、攻撃的な楽器。
アコースティック~フォーク・ギターは、ざっくりとして素朴な味わい。
そして、初めて聴いたクラシック・ギターは、
一つ一つの弦が細い糸でできていて、それを縦横に織って、うすく上品な肌触りの
布が出来上がるような、とても繊細で、とても優美な響きをもっていると感じられました。

私がそのように感じたのは、演奏者である村治佳織さんの感性、奏法、選曲、アレンジ等が
そうした持ち味を有しているから、なのかもしれません。
村治佳織さんの現時点での最新作「Preludeプレリュード)」。

プレリュード(初回限定盤)(DVD付)プレリュード(初回限定盤)(DVD付)
(2011/10/05)
村治佳織

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「美人ギタリスト」ということで有名なので、クラシック音楽、ましてクラシック・ギター
という分野に全く縁のなかった私でも、その名と大まかな方向性は知っていました。
それにしても、ジャケットだけ見ると女優さんかな?と見紛うお美しさ。
「檀れいさんのようにも見えるし、夏川結衣さんのようにも見えるな」というのが
とてもおおざっぱな、村治さんの容姿に対する感想です。

ギターを手にしてこんなふう。
村治佳織1
アルバムには、アレンジャーの佐藤弘和さんによる解説が綴られている冊子のほかに
村治さんのお姿のみを収めた8ページのブックレットが付属。
解説の冊子にも、ギターを抱えた村治さんが2人、抱えていない姿が1人。
まるでアイドルのCDのようで唖然。そりゃ写真集も出るわけですよね。

そういえば昨年はスーパーでのお買い物中に、こんなものに出会った記憶があります。
村治佳織2
村治さんとヨーグルトメーカーとのタイアップ企画。
当時、村治さんのことを大まかにしか知らなかった私は正直「はぁ?」と思いました。
またくだらないタイアップ商品かと。
でも今となっては、ちょっと食べてみたい・・・
今年は店頭で見かけないので、昨年、偏見をもたずに食べておけばよかった・・・
村治さん抜きに、単なるデザート好きとしても(笑)


初回限定版にはDVDが付いていて、内容は#9の「アダージェット第4楽章」(マーラー)のPV。
どことなく、楽曲のイメージビデオというより村治さんのイメージビデオと化していた感が
やはりこちらにもありましたが、それを鑑賞していて色々と気づいたことが。
主に彼女がクラシック・ギターを奏でているシーンでのことなのですが。

左手の運指、右手のストローク、そのひとつひとつの丁寧さ。
左手では確かめるようにコードを丁寧に押さえ、右手では指のそれぞれで大切に弦をはじく。
まるでギターの6本の弦全てを慈しむかのようです。
ときに手元をじっと見つめながら、ときに旋律に酔いしれるように目を閉じて、
綺麗に整えられた指先が螺旋のように蠢いてトレモロを奏でる。
上品でしどけない色気がそこはかとなく漂う映像でした。

彼女のアルバムで初めてしっかりと聴いた「クラシック・ギター」という楽器に対して
「とても繊細で、とても優美」という印象を持った理由はここにありました。
村治さんがギターと対峙する姿勢、そして人間性が、そのまま音となって
クラシック・ギターに立ち現れている
のですね。


本作の選曲は、実に親しみやすさと神秘性の狭間を行き来しています。

親しみやすさでいえば、#11-12のP.J.チャイコフスキー
ギターのための≪くるみ割り人形≫組曲より、こんぺい糖の精の踊り、花のワルツ
は、誰もが知っていて誰もが好きな曲なのでは。可憐な演奏がとてもあたたかです。
#14ではビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」が登場。但し本作のヴァージョンは
それをカヴァーしてヒットした、セルジオ・メンデス&ブラジル'66のボサ・ノヴァ風を
イメージしてのアレンジで、よりクラシック・ギターにハマるように。
アルバムの締めくくり、#19はジャズのスタンダード・ナンバー「スターダスト」で
ちょっとあっけらかんと。

そして、ある曲のなかに、別の曲のフレーズを登場させて更におもしろく。
#1はビー・ジーズの往年の名曲「How Deep Is Your Love愛はきらめきの中に)」に
J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番"プレリュード"」の開始部分を取り入れて。
#10は1974年のニール・セダカのヒット曲「雨に微笑みを」で、タイトルの「雨」にちなみ
雨に唄えば」や「オーバー・ザ・レインボー」が顔を出します。

神秘性でいえば、本作は坂本龍一さん(以降「教授」)が2曲を提供しており、
#2「プレリュード」、#13「スモール・ハピネス」どちらも祈りのような静謐な曲。
本作のリリースが2011年であることと当然大きな関係があり、震災当時、村治さんが
音楽の・・・自分の・・・無力さを知って打ちひしがれるといったエピソードが
とあるドキュメンタリー番組で登場しました。
そこにきて教授は被災者支援活動にも積極的。共有できる意識、メッセージがあったのは
言うまでもありません。
「スモール・ハピネス」は映画「一命」の挿入歌にもなったそうです。
続く#3-8「コンポステラ組曲」はとてもエキゾチック。コンポステラとはスペインにある
巡礼の終着地点の街。スパニッシュというより、何かもっと中近東の響きをもって
聞こえてくるのはなぜでしょうか。
終盤の組曲、#15-18「コユンババ」はゾクッとするような雰囲気。
「コユン(羊)」「ババ(父)」は13世紀南トルコに住んでいた古い伝説の隠者の名前で
その地方にある小さな湾は、今でもコユンババと呼ばれているのだとか。
スペイン、トルコ。巡礼、隠者。教授の作曲した、内面に向かっていく曲想の2曲。
そしてDVDでPVが観られる#9「アダージェット」は映画「ヴェニスに死す」のテーマ音楽。
解説分でアレンジャーの佐藤さんも書いていますが、やはり、「祈り」が本作のテーマに
なっているのだと、耳を澄ましていても何だか伝わってきます。
だから#19の「スターダスト」がさっぱりとした明日への希望のように感じられ、
聴き終わって爽やかな感覚が残るのでしょう。

「プレリュード(前奏曲)」、それすなわち「始まり」。
祈りは希望に向けて。音楽の力は、やすらかで深いところへ、自分の内へ、外へ。
村治さんが奏でるしなやかで真摯なメッセージが、やわらかく、しかし確かに伝わる、
心地良さと共に骨もある一枚
です。


これが前半部でちらりと述べた村治さんの写真集。

dulcinea/ドゥルシネア―村治佳織写真集 (ソトコトclassics)dulcinea/ドゥルシネア―村治佳織写真集 (ソトコトclassics)
(2003/07)
村治 佳織、カイ ユーヌマン 他

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あっさりと自然な佇まいでギターを抱えて街を歩く村治さん。
表紙だけ見ると、譜面の本だと間違ってしまいそうですね。


さて、TV出演など各方面で幅広く活躍する村治さんですが、その活躍の歴史は
商売道具である手指の疾患との闘いの歴史でもあるようです。
2005年10月、右手後骨間神経麻痺橈骨神経麻痺)により演奏活動を休止、
治療・静養に入り、2006年1月に復帰、ツアー、レコーディングを再開。
そして本作リリース直後の2011年11月、再び右手後骨間神経麻痺(橈骨神経麻痺)の
治療により演奏活動を一時休止、今年2月に復帰を果たしたのだそうです。
デビュー作が1993年リリースで、そこから本作までのべ18枚のアルバムをリリースと
海千山千乗り越えて、もうすっかりベテランの域に。
それでもアイドル扱いされているって凄いですが(因みに現在、村治さん34歳)
今度、近くのコンサートホールにツアーに来る機会があったら
是非その美貌を拝みに・・・ではなくて、卓越した演奏に耳を傾けるために
足を運んでみたいと思います。

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プロフィール

燃える朝やけ

Author:燃える朝やけ
・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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でも荒らさないでね?
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