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ざっくり映画ライフ:その4 No More War!(君を忘れない、硫黄島からの手紙、私は貝になりたい)

8月15日は終戦記念日ということで、戦争ものの映画特集といきましょう。


君を忘れない

君を忘れない [DVD]君を忘れない [DVD]
(2003/08/20)
唐沢寿明、木村拓哉 他

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少し前にテレ東で放映していたばかり。しかし懐かしい。
1995年の映画ということで皆若い。キムタクなんて若いを超えて幼く見える(笑)。
この年は終戦50周年ということで、他にも様々な戦争ものの映画が制作された。
第二次世界大戦末期の特攻隊基地を舞台に、隊員に選ばれた7人の若者の友情の物語。
キャッチコピーは『ヒコーキに乗れて、女の子にモテる。そんな青春のはずでした』。
ロン毛の特攻隊員(木村拓哉さん)、太っちょの特攻隊員(松村邦洋さん)がいるのは
当時を知る人達には違和感が大きく、広く支持を集めることは出来なかったらしい。
上述の二人に唐沢寿明さん、反町隆史さん、袴田吉彦さん、池内万作さん、堀真樹さんが
加わった、隊長(唐沢さん)+隊員6人=7人の特攻隊員たちの『非日常の中の日常』。

特攻隊員であることを除けば、どこにでもいる普通の若者達の合宿生活、群像劇。
隊を時に厳しく時に柔軟に率い、上官である父との間にわだかまりを抱える隊長、
隊長と昔からの付き合いで隊長の女に惚れている、反骨精神の強い男、
腕っ節が良いけれど猫を可愛がったりおばあちゃんっ子だったりと人懐っこい男、
特攻隊員なのに太っちょの上、高いところも喧嘩も苦手な愛すべきキャラ、
ワンナイトラブのつもりがいつの間にか本気の恋に落ちてしまう元エリート、
初めは全員に心を閉ざしていたが段々馴染む、寡黙で音楽と妻子を愛す男、
ちょっと影が薄いけれどみんなの潤滑油になっている、写真撮影が好きな男。
個性的で親しみが持てる各人と、彼らが繰り広げるエピソード。
酒場でみんなで喧嘩したり、互いのことに少しずつ興味をもって近づいていったり、
気づけば強い仲間意識をもって一つになったり、うたかたの青春が眩しい。


しかし現世での別れはやってくる。直前の恋人や肉親との涙の別れとは裏腹に、
特攻当日の清々しさ、何一つ後腐れのない表情、爽やかな音楽が痛々しい。
全員が空へ飛び立つその時に映画の幕が唐突に閉じて、あえて「その先」は描かれず、
かえってその、ぷつりと切れた一瞬に、慟哭の感情がピークに達する。


硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙 [DVD]硫黄島からの手紙 [DVD]
(2010/04/21)
渡辺謙、二宮和也 他

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クリント・イーストウッド監督による、第二次世界大戦における硫黄島の戦いを
日米双方の視点から描いた「硫黄島プロジェクト」の日本側視点の作品。
当初は日本人監督を起用する予定だったが、アメリカ側視点の『父親たちの星条旗』を撮影中に
イーストウッド監督本人が自らでメガホンを取る意思を固めた。
「資料を集める際に、日本軍兵士もアメリカ軍兵士と変わらない事がわかった」ため。
監督と面識があって出演を直訴された渡辺謙さん以外は全てオーディション採用で、そこで
二宮和也くんの演技に感銘を受けて、彼が演じた西郷役は、本来あったストーリーを変えて
新しく作った役なのだとか。
二宮くんは「一見どこにでもいそう(だが、ここぞという場面で芯の強さを発揮する)な若者」を
演じさせると本当に強いと感じる。
ほかに加瀬亮さん、伊原剛志さん、中村獅童さん、裕木奈江さんなどが採用されて、
迫真の演技を披露している。戦闘シーンも大迫力で見応え十分。
外国人監督にありがちな「不自然な日本(人)」の描写がなく、ここまで自然に観られるのは
かなり凄いことだろう。

渡辺謙さんが演じた実在の人物・栗林忠道陸軍中将が、あまりに超然とした人物なので
元パン屋でまだ見ぬ子どもに会いたいと願う、平凡な青年の西郷が良い触媒になっている。
伊原剛志さんが演じたオリンピックメダリストの西竹一陸軍中佐などの凄みのある上官と
加瀬亮さんが演じた清水などの普通の兵士との対比で、凄い人物の凄みが引き立つと同時に
普通の兵士の普通の優しさ、迷い、本土での平凡な日々の幸せな思い出、
秘めた強さなどが身近に感じられ、歴史に残る激戦となった「硫黄島の戦い」の
苛烈さ、無情さに鋭く心を斬りつけられる。

61年後に掘り起こされるまで、届くことのなかった数百通もの手紙、本土への想い。
西郷と清水がゆっくりと育んだ友情と唐突な別れ。
ハーバード大学で学び、アメリカやその人々に馴染みがあるにも関わらず
「敵」として戦わなければならない、栗林の秘めた逡巡。
過酷な戦のなかで、極限までしぶとく生きようともがく、ひとの意志のたくましさ。
風のなかのマッチの炎のように儚く消える、いのちの最期のむなしさ・・・
ひとり生き残った西郷は生きて帰ることが出来たのか?硫黄島で命の炎は潰えたのか?
西郷の片目からぽたりと流れ落ちる涙と、答えを明示しないまま終わるラストシーンが
言葉にならない感慨として胸に重く残る。



私は貝になりたい

私は貝になりたい スタンダード・エディション [DVD]私は貝になりたい スタンダード・エディション [DVD]
(2009/06/03)
中居正広、仲間由紀恵 他

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元陸軍中尉・加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」の遺言部分をもとに、
TBSで2度テレビドラマ化され、映画化も2度されている。
今回取りあげるのは、中居正広さんが主演した、2度目の映画化のほう。
調べたところ、この映画・ドラマはかなりの紆余曲折を経ているようだ。
もとは脚本家がフィクションとして作った物語だったが、偶然にも元陸軍中尉の手記と、
遺言内容が酷似しており、元陸軍中尉側が訴えを起こした結果、題名および遺書の原作者が
現在の「加藤哲太郎」表記になった。
映画館で上映していた時は、出征を前に丸刈りにする場面があることから
丸刈りにすればBouz割引が適用され、1000円で鑑賞可能」という
トンデモ(不謹慎?)な割引制度があったらしい。

前2作と違い、本作は戦後の「戦争」が語られる。(戦中の描写もあるが)
死刑などの極刑を受けるのが一般の兵=BC級戦犯が中心とは恥ずかしながら初めて知った。
このような事実を当時から大半の民間人は知らない、
知っていても「戦死者がいるのに、戦犯者など恥ずかしい。とっとと死ね」と罵倒される。
どこまでも未知の世界、そしてどこまでも無情な世界。歴史の真実の扉が開かれる。
生まれた時から貧乏で、駆け落ち同然の結婚をした理髪店店主・清水豊松とその妻・房江
苦労が多いながらも笑顔で必死に生きてきた。子どもも大きくなって、これからという時に
赤紙が届いて出征。戦地でも虐められ、理不尽な罪を押し付けられ、戦後になって逮捕され
「絞首刑」を言い渡される。
刑務所「巣鴨プリズン」での死刑囚たちとの心の繋がり。嘆願書に200以上の署名を集める
ための、房江の一途な奔走。豊松を待つ地元の商店街の人々の温かい眼差し。
どうしようもなく不条理な状況のなかで、豊松は刑務所の中から外から温もりと希望をもらう。
減刑される者が増えてきた。房江が見事嘆願書に200の署名を集めた。看守から「出ろ」と
呼びかけられた。刑務所じゅうの皆が食器をうち鳴らし、一緒に泣いて、祝福してくれた。
なのに告げられたのは明朝の死刑執行・・・なぜ??
深く絶望しても死刑執行のときはやってくる。
「もう人間になんて生まれたくない。どうしても生まれ変わらなくてはならないなら、
私は貝になりたい」

この有名な一節を遺書にしたため、豊松は何一つ思い通りにならない34年の一生を終える。
密やかにそれぞれの思いやりを届けようとした人々の願いをも粉々に打ち砕いた処刑。
ラストシーン、青空の下、理髪店に新しいチェアを入荷する房江とそれを喜ぶ街の人達。
彼らは、豊松の無惨な最期をまだ、知らない・・・
ついさっき見終えたばかりだが、苦しくて何度も涙した。
希望と絶望、愛情と無情の、手のひらを返すようなコントラストで奈落に突き落とされる。
こんなふうに生きていかなければ、死んでいかなければならない人がいたのか。
どうして世界はこんなにも理不尽なのだろうか。
どうして個人の誠意は公にはね返されてしまうのか。
戦争がいったい何を生むというのか、それでもどうしてまた別の場所で今日もずっと、
人間はまた同じ罪を繰り返し続けるのか・・・



反戦ものとジャニーズは縁が深いのか?(キムタク、二宮くん、中居くん)コネ??
ともあれそれぞれが大いにハマった役どころを得て、物語もそれぞれの切り口で
説得力や目新しさ、映画をとおして新たに知る歴史があり、忘れがたい作品になっています。
忘れてはならないこと、知らなくてはならないことがあります。
忘れがたい映画から得た忘れがたい歴史の過ちや悲劇を、忘れないようにすることが
戦争を知らない世代の私たちが、過去の過ちや悲劇に対して
できることなのではないかと思います。
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