2017-07

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【ドラマ】2015年1月期に観たドラマまとめ(再放送含む)【感想】

かなり久しぶりの更新。
2015年1月期に観た様々なドラマの感想をまとめてみる。
最終回が4月までずれ込むものがあったので遅くなった。


相棒 Season13
カイト・・・orz どうしてこんなことになったのか。
成宮君を相棒役よりサイコ犯罪者役で観たかったという希望は確かにあった、
でもそれをこういうかたちで叶えてほしかったわけじゃない。
シーズンを通して「何か怪しい」予兆をちらほら加えてくれたら、まだ納得できた、
これではあまりにも急ごしらえである。今までのカイトの話がただ台無しになった。
各話はそんなに悪くなかった。最終話との繋ぎを何とかしてくれれば、それだけで・・・
S14までしばらく休むのだろうか。なんだか、水谷さんと相棒スタッフによる他企画ばかり
盛り上がっている印象があるので、マンネリしているぐらいなら一旦休んでほしい。

・流星ワゴン
初回から数話にかけての躍動感がすごく、「これは間違いなくヒットドラマだ!」と
確信して、ワクワクしながら観ていた。
西島秀俊さんと香川照之さんが主演しているドラマが外れるわけはない、と。
しかし、回を追うごとに、何かイライラする、モヤモヤする、何故か、私がおかしいのか?
ネットで調べてみると、このドラマが滑りまくっていることが明らかになった。
「もう嫌だ!」が限界に達した頃、ドラマは終わった。最終回はすっきりしていた。
映画や2時間スペシャルにすればgdgdせず、躍動感を保ったまま終われたのではないか。

・ダウントン・アビー Season2~3
Season2の途中、第一次世界大戦後から観始めた。
それ以前、映画「レ・ミゼラブル」のボーナスDVDで、Season1初回を観ている。
初回を観たときは、なんだか暗くて粘着質なドラマだな、と嫌な印象を持ったが
大戦を経て、少しスッキリして観やすくなったように感じ、今も観続けることができている。
こんなにたくさんの登場人物を覚えられるわけないだろ!と思っていたが、
dボタンの登場人物解説がわかりやすいのも助かり、すっかり全員覚えられて楽しい。
時代が経つにつれ、流れが傾いている気がするが、これからどうなる?
そしてSeason4はNHKで放映してくれるのだろうか・・・。

・PAN/AM パンナム
舞台は1963年、実在した航空会社「パンナム」のスチュワーデス4人と
機長、副操縦士の2人がメインに、モヤモヤした恋愛やドタバタ機内模様が展開する。
たった14話で打ち切られてしまったのは、アメリカで視聴率を獲得できなかったため。
ハイチで人命を左右する飛行中の事件があって、gdgdの中でいいメリハリになったが、
この回がもっと早くあれば視聴者は離れなかったのでは・・・
毎度毎度のgdgdとはいえ、それが楽しみになっていた頃、プッツリ切られてしまった。
まだ続きが観たかったのだが、打ち切りになるのもわかる。複雑。

・怪奇恋愛作戦
ケラリーノ・サンドロヴィッチがドラマをやるというので観てみた深夜ドラマ。
ハチャメチャな演出が奇をてらいすぎているように感じたり、くだらないと思ったりしたが
主役級ヒロインの夏美とその幼なじみの三階堂との「中学生の恋愛」が微笑ましく、
それを頼りに観続けた。そこら中でちょいちょい展開する淡い恋愛が可愛らしい。
物語そのものは荒唐無稽で忍耐を必要としたが、最終回がなかなか不気味でよかった。
続きできるんじゃない?と思っていた矢先、バッドエンドのようなものがどろり。

・太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~
テレ東が始めた「指南型ドラマ」。これってドラマっていえるのか?
周りの人たちを類型化してほめるけど、そんなに単純に分けられる、通じるものなのか?
ワンパターンでは?・・・と、疑問不満は積もったが、最後の数分だけあるドラマ部分が
どうしても気になって、最後まで観続けた。
するとその「ちょっとだけ」のはずのドラマ部分が最終回につながった。
パターン化されたほめ方レクチャーが少し壊れ、人間ドラマが見えた。ちょっと感動。
ただ、4月期から始まった新しい指南型ドラマは観ていない。

・山田孝之の東京都北区赤羽(第1~3話、最終話)
「ドキュメンタリードラマ」という、テレ東のまたしても新しい試み。
しかし、山田君の傲慢さや気まぐれ、わがままが目について、嫌になってしまい、
同じ時間帯に他局で映画の録画がかぶることもあって、観なくなった。
しかし、最終話だけまた観てみた。そうしたら悪くなかった。
最終話に近づくにつれ、山田君が変化したのかもしれない。
これなら観てもよかったかも、と少し後悔。でもまあ、仕方ない。

・名古屋行き最終列車
全5話だけ、六角精児さん演じる駅員さん以外繋がりのない深夜ドラマ。
名古屋行き最終列車を舞台に繰り広げられる、時にコミカルで時にシリアスな
温かい結末を迎えるものが多い物語。
当たり回もあれば外れ回もあったが、3回目からは全部当たり回だったと思う。
六角さんの駅員さんが主人公の4話は哀れな恋愛ブルース、これが一番好き。
初めは観るのやめようと考えたが観ているうちに当たってきて、終わるのが惜しく。

・シャーロックホームズ
山ちゃんこと山寺宏一さんの声のマジックを堪能できる、驚きの人形劇。
ホームズとワトソンが高校生になって、学園探偵ものになったシャーロックホームズ。
初め、ホームズが山ちゃんだと思いもしなかった。どうして高校生の声が出るのか?
物語もわかりやすくキャッチー、登場人物や事件もどこか微笑ましく、推理も楽しい。
人形は少しの間グロテスクに見えたのだが、だんだん慣れた。綺麗な色使い。
ホームズが退学して、最終回を迎えたが、続編が作られるという噂も。本当なら歓迎!

・キテレツ大百科(再)(アニメ)
長い放映期間の中のほんの数ヶ月分を視聴。全体では後半にあたる部分。
途中で打ち切られてしまったので、DVDを借りてきて、
初回数話、そして最終回含む数話を視聴。
基本的にドラえもんと似ているのだが違いがいくつかあって、そこが個性。
ドラえもんとのび太が逆というか、キテレツは出来杉君かセワシ君の役回り?
コロ助がのび太、というより作中でも言及されているように「小さな子」。
ブタゴリラが言い間違いが多かったりしてボケの面があり、いじめっこでありながら
いじられ役でもあって、ブタゴリラ一家の出番も多く、ジャイアンよりいいやつ。
トンガリ役の三ツ矢雄二さんの甲高い声が強烈!
初回数話はドラえもんの延長にある印象を受けたが、だんだんキテレツが落ち着いて
後半の放映で観たような物語、キャラクターになった模様。
最終回でコロ助が立派な決断をする。大団円、でもなんか唐突な印象もある。

・真夜中のパン屋さん(再)
4月から連続テレビ小説「まれ」の主人公を演じている土屋太凰ちゃんが出ていた。
深夜から早朝にかけてあいているパン屋を舞台に繰り広げられるまったり人間ドラマ。
癒される~となるべきだったのだろうがなぜかイライラしてしまった。
早く起きすぎた朝、観たことがあったが、それが一番ちょうどよかったし、お腹も減った。
要は何も考えずぼーっと観るのがいいということのようだ。まあ、自分には合わなかった。

・高校教師(再)
古いドラマのせいか、どうにも薄暗い、薄汚い、不快感が漂っていたように感じられた。
登場人物も大袈裟だったり狂っていたりと、視聴が苦痛になっているなかのオアシスが
赤井英和さん演じる新庄先生だった。この先生がいたから最後まで観られた。
何かもっとインモラルな作品というイメージがあったのだが、現代に観たせいか、
そうでもなくて、どちらかというと変態的。傑作を予想していたが自分には合わなかった。

・僕の生きる道(再)
これも、傑作を予想していたが残念ながら自分には合わなかった作品。
闘病ものが今じゃ出尽くしている中、先駆けにあたる本作は古かっただろうか。
求めている方向にとことん進まない。何だか思い通りにいかないという感想。
感動するつもりで観たのだけれど・・・

・僕と彼女と彼女の生きる道(再)
「僕の生きる道」のチームが手がけたドラマ。
このチームとはとことん気が合わないのかもしれない。
まあ、そんなこともある。


なぜか深夜ドラマや再放送ばかり観ていて王道をあまり観ていない、
イライラしたり気が合わないと感じながら最後までやめられない、など
自分のクセ、傾向が明らかになった。
他の人とは共有しにくい脇道寄りのドラマライフだったかもしれないが
これはこれで楽しかった。不満や反省は4月期からに活かせばいい。
さあ、4月から、また新しいドラマライフが始まる!


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【映画】ラッシュ/プライドと友情【F1】

PG12ってんで、何かグロいのかとビビって、ヘタレて劇場に観にいかなかった
話題になったF1映画「ラッシュ/プライドと友情」をDVDでやっと観ました。
いやー、アメリカ風にいうと「Awesome」! とんでもない、素晴らしい作品でした。
DVDレンタルも地味にヒットしている、もっと知られてほしい、この映画について詳しくいきます。



ラッシュ/プライドと友情 [DVD]ラッシュ/プライドと友情 [DVD]
(2014/08/04)
クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール 他

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レンタルでなくセルで観ると、メイキングなどかなりの特典がついてくるらしい!
それかなり羨ましい。なんというセル商法。

・70年代のF1にタイムスリップ!?
とにかくリアルだ。マジで当時のF1中継を観ているようなのだ。
エンドロールにCGのスタッフさん、スタントのスタッフさんなんか沢山出るけれど
ちゃちだったり不自然だったりする場面が見当たらない。
ピットレーン、観客席、横断幕、もうそこここが仔細に再現されている。
なかでも個人的に感激したのは、日本GPで走ったティレルのジョディ・シェクターの車が
脇役なのにしっかり「たいれる」「しえくたあ」表記されていること、
本物のわけがないのだがエンツォ・フェラーリが出てくること!
細かいことがいちいちしっかりしている。
この頃にF1を観ていた人なら尚更たまらないだろう。

・対照的な二人
ジェームス・ハントニキ・ラウダ、70年代の二人のF1チャンピオン。
本作は、この二人が熾烈に火花を散らした、1976年の世界選手権にフォーカスする。
けれど二人はその前のF3時代からやり合っていたのだ。
絵に描いたように対照的なハントとラウダ。
ラウダは、アラン・プロストやミハエル・シューマッハの先祖といったスタイルで、
冷静で意志が強く、メカにも明るく、メカニックと一緒に夜通しマシンをいじって、
たくさんテストして、「コンピューター」と例えられるほど。
現代のF1ドライバーなら当たり前だろうが、70年代のドライバーとしては異端だった。
周りとつるまない、あんまり遊ばない、言葉も容赦ない、生真面目で頑固な男。
ワールドチャンピオンを三度獲った彼が唯一のライバルと認めるのがハントなのだが、
それが、まったくもって、漫画のキャラクターのような人物なのである。
いつもTシャツにベルボトムのジーンズ。大酒を飲んで、煙草吸って、クスリやって、
酒池肉林のパーティーが大好き、目の前に女がいればすぐ手を出す。
(PG12は恐らくハントとおねーちゃんがおっぱいやお尻を丸出しにしているせい)
ヘラヘラしているが、内心は繊細で、緊張して貧乏ゆすりやライターカチャカチャが
止まらなくなったり、車に乗り込む前に吐いてしまったり(本作で三回も。多いわ!)、
陰ながら事前にコースのイメージトレーニングをしていたり、二面性のある男。
こういうヤツが創作でないところがとんでもない。
そんなハントの行くところ、必ずラウダがやって来て、追い抜いていく。
いつしか、ハントは何かにつけラウダの行動を気にするようになる。
一方で、顔には出さないが、ラウダはハントの自由奔放さに嫉妬心をちらつかせる。
F3時代から1976年まで、互いをけなし合ってばかりの二人。
それぞれにステップアップして、それぞれにパートナーと出会ったり別れたりして、
1976年の世界選手権は彼らのバトルが中心軸になる。
しかし、ドイツ・ニュルブルクリンクでラウダが生死を彷徨う大事故に遭い、
チャンピオン争いも、二人の関係性も、大きく動いていく。

・演出の効用―音楽、視界、手元・足元
F1中継にはBGMなんか付かないし、カメラの視点も限られている。
それに何の不満もこれまで抱いたことがなかった。
けれど、本作は映画だから、レースシーンは心を煽るような音楽に彩られ、
オンボードカメラも映さない、正面からの手元や足元の挙動を捉え、
バイザー越しの視界、包帯越しの視界を再現してみせる。
この上なくスリリングだ。一方で恐怖心も煽られる。
雨の視界はあまりにも危うく、そりゃ棄権しようという気にもなるもんだ。
マシンの調子が悪いとき、モロにガタガタ変な音がするのも怖い。
一年に二人はドライバーが命を落とす時代の、スリルと危険が目の前に迫ってくる。

・創作のチカラ
ノンフィクション~伝記的側面の大きい本作だが、それでも映画だから、
ディテールは創作や脚色が加わることになる。
そこで創作のチカラが物を言うのである。
例えば、ラウダのドイツでの事故後、ラウダの奥さんは、サーキットに来なくなったと
Wikipediaや、ラウダを特集したF1雑誌には書いてある。
しかし、本作では事故後も奥さんがサーキットに顔を出し、
1976年の最終戦にしてチャンピオン決定戦、日本・富士でのレースまでも見守っている。
ラウダはこの場所で大きな決断をするが、その原因は「危険だから」に加えて、
「愛する妻のため」というふうに取れる。粋な脚色だ。
この最終戦、ハントの元奥さんや、以前いたチームの監督なども
TV中継を見守っている。そんなはずはないだろうと思っても、映画だとこれがいい。
そして、創作ってすごいととりわけしみじみしたのは、ラストシーン。
ラウダは将来「ラウダ・エア」という航空会社を旗揚げするのだが、それを暗示するように
最近はまっているジェット機の操縦をしようというところ。
そこに、ハントがひょいとやって来て、ラウダとしんみり深イイ話をしたところで、
おねーちゃんをはべらせながら、ジェット機に乗り込んでいく。
乗っていくハントと、運転するラウダ。
二人の対照的な性格、そしてその後の人生を象徴している、名シーンだ。

・事実は小説やドラマより奇なり
素晴らしい創作がある一方、創作なんじゃないかと思えるような事実も多い。
ハントとラウダの人物設計自体がもう創作の粋だが、それで終わらない。
ラウダが大事故に遭ったドイツGPも、最終戦の日本GPも、ひどい大雨。
どちらも審議の末、辛うじて開催、という運びは、できすぎた偶然。
チャンピオンの行方は、日本GPでのハントの順位が全てなのだが、
最後の方になると電光表示板の順位が錯綜、まるでじらすような展開。
おぞましいのは、皮膚移植をしたり、肺の吸入をしたりといった
当時のラウダ史上最も苦しい体験のさなか、TVでF1中継をつけて、
事故前に築いていた自身のリードをハントが奪っていくのを観ているシーン。
(特に肺の吸入のシーンは観ていてかなりキツい。ある意味PG12ものだ)
ラウダは存命で、本作はラウダに長い時間をかけて取材しているので
このエピソードは信じがたいけれど事実なのだろう。
そして、サーキットに戻ってきたラウダはハントに向かって
「生きる気力をもらった」「勇気づけられた」なんて言うのだ。
ラウダ、なんという男!

・日本語吹き替え版のありゃりゃ
本作をすみずみまで堪能するのならなるべく字幕で観ることをおすすめする。
なぜなら、二度目の再生を吹き替え版で試してみて、かなりガッカリしたから・・・。
ハントの声を堂本光一、ラウダの声を堂本剛、KinKi Kidsの二人が担当しているのだが
周りの声優が洋画畑の声優さんの中、二人の声、というか存在が浮いてしまうのだ。
ハントやラウダに光一君や剛君の姿が重なって、物語への集中をちょっと妨げられる。
二人がどう演じているかも気にしてしまう。
光一君はそれなりに合っているが(意外にも)、剛君は吹き替えに向いていないのでは?
機械的な感じを出そうとしているのかもしれないがどうも「棒」に聞こえてしまう。
ラウダを演じたダニエル・ブリュールが軒並み助演賞にノミネートされたり受賞したり
しているだけに、余計に「熱演が台無し」感が強くなってくる。
何とかならなかったのか、こりゃ。

・Wikipediaや雑誌の特集がもっとおもしろくなる
ハントとラウダの物語は、情報としてなら、Wikipediaを開けばすぐに目にできる。
F1レジェンドのラウダは、キャリアを総括した特集ムックなどが売られている。
本作を観なくても、ハントとラウダの間に起こった出来事や、
ハントのエキセントリックな人物像などを、「知る」ことは簡単にできる。
実際、映画を観てからWikipediaを覗いて大爆笑したり、感慨深くなった。
でも、逆に、Wikipediaなどの基本知識を頭に入れてから再び映画を観ると、
びっくりする。こんなに再現されているのかと、こんなに素敵に彩られているのかと。
本作で描かれているのはハントとラウダのほんの一部だ。
特にラウダのキャリアは、ここがハイかもしれないが、まだあと二回も
チャンピオンを獲るし、新たな、そしていずれプロストに継承される
堅実なレース・スタイルが確立するのもこれからだ。
ハントとラウダのその後は、本作でない場所のほうが詳しくわかる。
しかし、本作でもちらりと出てくるように、あまりに対照的だ。
太く短くの人生を地でいったハント、細くはないが長い人生で活躍を続けるラウダ。
最初から最後まで、「らしい」んだから。
本作を観たらWikipediaを覗いてみてほしい、そうしたらまた本作を観てみてほしい。
「へぇぇ・・・・・・」と、感嘆がなかなか止まらなくなるから。


カー・アクションの括りの映画ですが、人間ドラマとしても青春ものとしてもよくできています。
最初「ヒューマン・ドラマ」の棚で探していたくらいです。そりゃ見つからないわけだ。
他のドライバーの物語も映画になったら面白いのに、と想像が沸き立ちます。
ナイジェル・マンセルとリカルド・パトレーゼの映画があったら愉快そう、とか
王道でアイルトン・セナとプロストは、いやゲルハルト・ベルガーもいいな、とか
ダニエル・ブリュールはネルソン・ピケも出来そうだな、とか、あれやこれやと。
でも本作を超えるF1映画はなかなか出てこない気もします。
役者がそっくりで、技術も整って、実話を実話以上にドラマティックに魅せる作品なんてのは。

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【CDレビュー・感想】ゴンチチ:Merry Christmas with GONTITIなど詰め合わせ【ラジオ】

いつもその音楽への情熱に圧倒されている、オトシンさんのブログ
ロックじゃない奴はろくでなし」に影響を受け、
ゴンチチの音楽を聴いてみようと思いました。
音楽通の人が勧めてくれる音楽にハズレはないはず!と思うも、
初めて聴く音楽だったから、不安もありました。
にも関わらず、チャレンジして、もうすっかり夢中です。
それで今回は、ゴンチチの音楽感想詰め合わせになります。


棚に並ぶたくさんのゴンチチのCD。
途方に暮れながら、何枚かを選び出し、試聴機にかけてみた。
そこで最初の一音からピンときたのが、この1枚。
Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~

Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~Merry Christmas with GONTITI~best selection of christmas songs~
(2010/11/24)
ゴンチチ

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ステンドグラスみたいな、オシャレでかわいらしいジャケット。
CD棚に立てかけて飾ってある。
このジャケットは、ゴンチチのリードギター、ゴンザレス三上さんが
デザインに関わっているという。
ブックレットを開いてみると、ジャケットと同じ意匠で貫かれ、
見ているだけでハッピーで、満たされた気持ちになる。

私は今まで、クリスマス用に音楽を用意しようという考えがなかった。
クリスマス以外には使えないじゃないかと考えて、はなっから聴かず、
手にも取らなかった。
ところが、このアルバムは、試聴した瞬間、
「あ、当たり」と分かった。
家に連れて帰ると、見事、名作。
トラディショナルなどの既存のクリスマスソングが7曲。
ゴンチチのオリジナル曲は、過去作から4曲、
このアルバムのための作りおろしが4曲、収められている。
湿った、少しくぐもった感じの、一音一音大切に紡がれるギターがいい。
雪に包み込まれるような温もりを感じる。
クリスマスといわず、冬ならいつでも、とりわけ朝にピッタリ。

夏にフラやハワイ音楽のCDを集めたことがあったが、
それと同じように、冬はこのCDを聴きたい。


入門編として、ベストアルバムも手に取った。
Gontiti Recommends Gontiti

ゴンチチ・レコメンズ・ゴンチチゴンチチ・レコメンズ・ゴンチチ
(2003/07/30)
GONTITI

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現在、オールタイムベストがリリースされているようだが、
本作は2003年にリリースされた、ゴンチチ結成25周年、デビュー20周年を
記念した2枚組アルバムである。
打ち込みサウンドを取り入れたアーバンな楽曲が多い「Out side」と
ストリングス・アレンジやアコースティックな楽曲が多い「In side」。
私は、しっとりパウンドケーキのような「In side」が好きで、
先に紹介したクリスマス・アルバムの続きのつもりで聴いて楽しんでいるが、
あっさりレモンケーキのような「Out side」も、明るく爽やかに聴けていい。
「In side」の#21「放課後の音楽室」は、きっと誰もが
「ああ、これ聴いたことある!」となるはず。私はCMで聴いた覚えがある。
リラクゼーションCDの最大手・imageシリーズにも、何度も収録されている。
本作には、ライヴヴァージョンが収められている。穏やかな日だまりのような演奏だ。

ブックレットには、ゴンザレス三上さんと、サイドギターのチチ松村さんの
スペシャルインタビューがあり、結成秘話から2003年までの歩みが
1983年からの膨大なディスコグラフィーと共に語られている。
そして圧巻なのがAnniversary Commentで、総勢40人ものコメントが!
ミュージシャンから俳優、作家まで、幅広い分野の面々が揃っている。
竹中直人さん、原田知世さん、宮崎美子さん、五木寛之さんといった
一風変わった顔ぶれも。

彼らの音楽について、言葉であれこれ細かく説明する語彙力や知識は私にはない。
言葉であれこれ分析したり言及したりする音楽ではないようにも思える。
歌詞がなくても、技巧やうんちくに走らなくても、ラウドな音を鳴らさなくても、
「くつろぐこと」「心地良いこと」を追い求め、多くの人に伝わり、支持される。
「イージーリスニング」というジャンルを他の音楽より一段下に見ていたが、
「くつろげる音楽」「心地良い音楽」とはこんなにも価値があるのか。
普遍を突き詰めると粋に辿り着く、その逆も然り。

まるで、ツウが集まるコーヒー店。
でも一度来ると結構誰でも常連になれる、みたいな。


ゴンチチのCDは触れなくても、このようなかたちでいつも耳にしている、という
人もいるのではないだろうか。
私は今日初めて聴いた。
NHK-FMで土曜9時~11時に放送している、ゴンチチがMCを務める長寿番組、
世界の快適音楽セレクション」。
とことんジャンルレス。ゴンチチの曲に始まり、クラシック、ジャズ、
ワールドミュージック、ロック・・・
演歌や歌謡曲まで流れることもあるようだ。
居心地のよい曲、たまに不思議な曲が、2時間いっぱい詰め込まれている。
一応毎回テーマがあって、それに沿った音楽を
ゴンチチの二人と音楽評論家(週替わり)が持ち寄って紹介していく。
テーマがまたユニーク。ウェブサイトで過去3ヶ月の放送リストを見たら、
「7と5と0の音楽」とか、「ひざと看板とスプーンの音楽」とか、なんじゃそりゃ。
今日は年の暮れということで「年末恒例大蔵ざらえ」というテーマ(?)、
お気に入りだけどこれまでのテーマに入らなかった曲が紹介された。
トークは、しゃべりすぎずしゃべらなさすぎる、丁度良い具合。
途中で数回ミニコーナーが入ったが、これも音楽ネタで、長すぎず、軽妙。
まだ聴き始めだからコーナーの魅力まではわからなかった(笑)
「快適ジュークボックス」というキャッチコピーでもつけたくなるラジオ。
ただ、9時~11時は二度寝していたいので、録音して聴けたら良いのだが、
ラジオ自体を久しぶりに聴いたぐらいだし、まだちょっと難しい。
二度寝防止ってことにしようか。
夜や夕方に放送していた時期があったらしい、それすごく羨ましい。


ずっと軽視してきた「くつろぐこと」「居心地のよさ」。
そういうものをもっと大事にしたほうがいいよ、と
ゴンチチの二人にそろりと囁かれたような気がします。
理屈ではなく、感覚が素直に求めるもの。
頭でものを手に取ったり買ったりするのはやめて、
感覚が欲しがるものを五感に与えたい。
そんなことを考えながら、できるだけゆったりなごみながら、記事を書きました。
理屈人間の私にはなかなかできないんですが、今後も、いいヒントになるかと。


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【CDレビュー・感想】LUNA SEA:LUNACY

また、このブログらしくもなく、90年代の邦楽バンドの作品です。
時々取り出して聴いてしまう、LUNA SEAのアルバム「LUNACY」。
2000年に彼らは「終幕」して、2007年のライヴ、2010年の「REBOOT」宣言まで
長い沈黙を続けるのですが、その「終幕」前最後の作品がこれ。
昨年リリースされた新作よりもやっぱり好きなこのアルバムを
今回は感想/レビューしちゃいます。


まずジャケットが好みどストライク。

LUNACYLUNACY
(2000/07/12)
LUNA SEA、DJ KRUSH 他

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こういうシンプルで先鋭的なデザインが個人的に大好きなのである。
私は基本的に、ヴィジュアル系の様式美などにはまるで興味のない人間なので、
それまでの彼らの音源にはあまり親しみを持てなかった。
けれど本作は、ヴィジュアル系という枠組みをほぼすっかり外れたロックアルバムだ。
洋楽志向でガッツリ攻めて、私のツボを今でも突きまくる。
前作「SHINE」からその傾向が増していたが、本作はそれを更に突き進めた。
「LUNA SEA」というバンドの作品としては「らしくない」作品のさいはてなのだが、
それゆえに今に至るまで「このアルバムがいい」という根強いファンを生んでいるように思う。

以下、各曲ごとにみていく。

1.Be Awake
疾走感溢れる、爽やかでダイナミックな曲、爽やかすぎてLUNA SEAらしくないし、
なんかベタ。ぶっちゃけ苦手で、よく飛ばしてしまう。
「宇宙的に感じようよ」とは何ぞや(苦笑)
SUGIZOはあまり歌詞を手がけない方がいいような・・・・・・
宇宙的なギターソロは素晴らしいし、ギタリストとしては大好きなんだけど。

2.Sweetest Coma Again feat. DJ KRUSH
カッコ良すぎて、この曲だけどれだけリピートしたかわからない。
なぜシングルカットされなかったのか? feat.DJ KRUSHだから?
映画「007」の日本版エンディングテーマで、話題にもなったのに、もったいない。
徹底的にクール。前作で強すぎた「河村隆一」色がほどよく封じられ、
各パートが火花を散らすようにやりあっているのがあまりにスリリング。
Youtubeで終幕時のライヴ(FINAL ACT)を観ると、SUGIZOが腰を振りまくって煽っていて
盛り上がるところなのか笑うところなのかいい意味で迷ってしまう。

3.gravity
ドラマ・映画「アナザヘヴン」主題歌。オリコンで1位も獲っているシングル曲。
最近になってようやく魅力に開眼した曲。
やるせなくしどけない、鬱蒼とした曲を書かせたらINORANは随一だった。
今のINORANはもうこんな曲、書かないし書けないんだろうな。
INORANのアルペジオを主役にしたことで、SUGIZOのギターやJのベースがむしろ際立つ、
アンサンブルの妙を堪能できる曲でもある。

4.KISS feat. DJ KRUSH
直球でエロく、華やかで、都会の香りもする。
どくどく溢れ出してくるようなベースラインが淫ら。
SUGIZOとRYUICHIの組み合わせは#1も含め、どうも「あま~く」なる。
随所にサンプリングされた喘ぎ声はあのビビアン・スー(SUGIZOの当時の彼女)って本当?
DJ KRUSHはいい仕事しかしない。ベストマッチ。もっと色々やってみてもよかった。

5.4:00AM
乾いた午前4時のTOKYOのマンションの一室をミニマルなタッチで描き出した曲。
短編小説のような「ふぜいのある」上品な佳曲。
INORANの流れるようなアコースティックギターが美しい。
でも他のメンバーは持て余してる?と思っていると、ラストで一気に混沌に突入、
面目躍如となり、これまた、よくできた小説のオチのようである。

6.VIRGIN MARY
LUNA SEAのアルバムにはいつも中盤でプログレっぽい長尺の曲が入るようだが
それがここ、まさにど真ん中に鎮座する。
本作は「らしくない」作品と言ったけれど、唯一「らしさ」を残したのがこの曲かも。
幽玄の境地、耽美の世界。
シューゲイザーなギターのアプローチのおかげで退屈しない。

7.white out
ズブズブな#6から一転して、甘く温かくあっさりとした曲。
INORANの曲なんだけど、とても河村隆一的なのはなぜか。
曲が淡いあまりヴォーカルに呑まれたか?
クセのあるギターソロがユニーク。

8.a Vision
ストレートで豪胆な、Jらしい曲。のちのJソロ曲まんまともいえる。
Jの曲ではRYUICHIはタイトに歌ってくれるので、
華美になりすぎず聴きやすい。
大きな点でひとつひとつ刻み込んでいくようなベースソロがキく。

9.FEEL
#4「KISS」の延長線上にあるような妖しく悩ましい曲。そういえばタイトルの
文字数も同じで、間奏でもサンプリングされているし、意図的に繋がっているかも。
悩ましい曲を書かせるとSUGIZOがうまい。
サビの転調が妖しさを一層アップ。
ヨコノリのグルーヴィーな曲に、イントロ~Aメロのタテノリでゴリゴリなリフ、
間奏のヴァイオリンや#4のサンプリングなど、いい具合に詰め込まれている。

10.TONIGHT
LUNA SEAがある意味、アイデンティティを全部投げちゃった曲。
これはこれでよいが、昔からのファンの絶望する姿が目に浮かんでしまう。
シングル曲だがセールスが振るわなかったのはこのせいか。
よくまとまっており、バンドものの王道の曲・アレンジなのだが、だからこそ
変化球が売りのこのバンドが演るという、違和感が半端ないわけだ。
こういう曲をシングルカットした時点で「終幕」の始まりだったのかも。

11.Crazy About You
ラストはスケール感のあるJの曲。
いい曲なんだけど、これがアルバムを締めているので後味がよくない。
J曲を最初に、SUGIZO曲をラストにもってくれば、
冒頭の違和感も、ラストの違和感もなかったと思うのだが。
この時期からのJ曲はどうもアメリカン・ロック色が強くて、
LUNA SEAらしさから乖離している感が強いので。


本作を発表してからほどなく、LUNA SEAは「終幕」を発表。
それも納得できるような、個を突き詰めた、全体のまとまりを欠いた1枚は、
しかし曲単体では最高水準にあり、
また、そのまとまらなさ、歪さが、本作独特の魅力となっている。
そして本作のリリースがほかならぬ2000年というのも重要だ。
これが1997年とか2002年なんかの作品だったなら、ただの駄作である。
「2000年」というカオスな時代の空気を、本作は巧みに切り取ったようにも感じられる。
REBOOT前、SUGIZOはLUNA SEAを振り返り「偉大なる失敗バンド」なんて
言っていたというけれど、それゆえに愛おしくなるのかもしれない。
歪で、過剰で、カオティックな、なんて素敵なバンド、素敵なアルバム。
メンバーが最高密度で力を出し、ぶつかり合ったからこそできた最高傑作。



さて、その後の、というか、現在のLUNA SEAですが、
多くの人がご存じのように、2013年、最新作「A WILL」をリリース。

A WILLA WILL
(2013/12/11)
LUNA SEA

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レビューを書こうとも思ったけれど、「何か違う」の連呼になりそうなのでやめました。
歳を重ねた重厚さもあるんですが、どうもあまり好きにはなれなかったし。
だいいち全員、顔をちょっとずつ(某メンバーは「だいぶ」)いじっている気がするし・・・・・・
それにやはり「LUNACY」が一番好きだと、嫌と言う程わかってしまったので。
あくまでも好みです。時間は逆戻りしないし、私もあの頃に戻ってと言う気はないです。
でも、この作品の不思議な魅力を、どうしても多くの人に知ってほしかった。
そんな熱情に突き動かされて、綴った記事でした。

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【CDレビュー・感想】BUGY CRAXONE:ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー【ライヴレポ】

今回の記事の主人公は、札幌出身で90年代末にデビューして今もしぶとく活動している
BUGY CRAXONEブージークラクション)というバンドです。
私は2002年頃に彼らの存在を音源で知り、翌年、ライヴに参戦、
以来、このバンドを10年以上にわたり応援しています。
最近は少し距離を置いていたのですが、先日、久しぶりにライヴに行ってきて、
それが素晴らしかったので、初めて記事にしてみます。


<ライヴレポ>
ブージーのライヴは、要所要所で音源以上のものを語っている部分があるので、
あえて今回の記事はライヴレポから始めたい。

現在のDr、ヤマダヨウイチ氏が加入する前、前任のドラマーが脱退してからの
作品から、急に音も歌詞もスカスカになり、「空っぽ?思考停止?」と戸惑った。
「もう、私の好きだったあの『魂に突き刺さる詞と音』を鳴らすブージーはいないのかも」
と幻滅。しばらく音源は集めず、ライヴにも行かず、静観していた。

2014年11月21日、私は気が変わって、久しぶりに
ブージーのライヴに行ってみようと思い立った。
会場は札幌COLONY。ここは、10年近く前、私が初めて彼らのライヴに足を運び、
鮮烈な洗礼を受けた場所である。
その日は冬で、Vo/Gtの鈴木由紀子氏(以下由紀子さん)が酸欠でぶっ倒れるという
とんでもないアクシデントが起きるという、インパクトのありすぎる出会いだった。
激情の演奏、叫びながらも正確で巧い歌、Gt/Choの笈川司氏のグレッチが鳴らす
豊かな響きのギター・・・・・・私は一発で虜になってしまった。
由紀子さん――あの頃は「ゆっこちゃん」――は、一種の聖域というか、女神というか、
我々の一段上に立っている存在だった。
彼女はそういうカリスマ性を備えたヴォーカリストなのだ。

あれから10年余りが経った。期待外れになる覚悟をかなりしながら、
この倦んだ日々のなかに何か刺激が得られないかと、「賭け」にも近い気持ちで
チケットを買い、何年かぶりにライヴハウス「COLONY」に足を運んだ。

そこには、あの頃と変わらない熱気があった。
10年前の曲を2曲演ったとき、あの尖っていた頃と寸分違わぬ激情と真摯さとが
剥き出しになって表れてきて、私は心底ほっとした。
でも、聞き慣れないポップで楽しい曲調の新譜たちをメインにした演奏にも、
違和感は不思議となかった。寧ろ、「丁度良いな」と感じた。
観る側(聴く側)も、演る側も、歳をとったということなのだろう。
そして、ブージーというバンドは、無理なく自然に歳を重ねて、音を奏で続けている。
10年が経ち、私も歳を取ったし、周りの観客は若い子からシニア層までいた。
ステージ上のメンバーも歳を重ね、変わらないようで、少し落ち着いた感があった。
Ba/Choの旭司氏は、相変わらず黒ずくめで、ニコニコで、「変わってないなぁ」と
可笑しくなってしまったけれども。(ちょっと体型が豊かになったかな?)
でも、それが、「自然に楽しく、でも熱量は変わらない」時間を過ごせた理由だと思う。
楽しかった。メンバー4人と一緒に私(たち)もたくさん笑い、頭を振って踊った。

ただ、少し淋しいのは、私も含め長年のファンは、どこかで昔の面影を求め、期待して
今の彼らを受け入れている、受け入れようとしているということだ。
昔の曲のイントロが流れると、会場の雰囲気が一気に変わる。
待ち望んでいたというように。
「あの頃のブージー」がやっと表れた。そんな本音が、率直な身体の反応で露わになる。
だから、以前なら絶対になかった、由紀子さん自ら物販でグッズを捌く姿は、
ありがたさと同時に、何かやるせなかった。
大袈裟に言うなら、女神が地上に降りて同じ人間として息を吸って、目の前にいるのだ。
普段はバイトでもして生計を立ててるんだろうな、何してるんだろうな、
そんなかつてはタブーだった想像を、容易にしてしまう自分に戸惑った。
身近なのはいいけど、幻想が壊れるようで少し興ざめ、というやつなのだ。
今でもファンの多くは、由紀子さんに対して、一種の夢を見続けているのだと思う。
その夢や幻想ゆえに足を運んでいるファンは決して少なくないはずだ。
そして、それが、今でも変わらず、ブージーの大きな魅力のひとつなのである。


<CDレビュー・感想>
さて、やっと音源の話をする。

ナポリタン・レモネード・ウィーアーハッピーナポリタン・レモネード・ウィーアーハッピー
(2014/06/18)
BUGY CRAXONE

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6月にリリースされた音源だが、対バンのMCによると、今回参戦したライヴは
本作のレコ発ライヴだというので、ライヴ後に思わずその場で買ってしまった1枚。
タワレコででも買えばポイントも貯まるのに、ライヴの勢いで、今すぐ買わずにいられず、
つい衝動買いをしたのだ。
けれど今は11月・・・・・・レコ発って本当なのか?勘違いして買っちゃったんだろうか?
家でリリース日を確かめて以来、ずっとモヤモヤしている。
でも、2,700円はたくだけの価値はある良作だったから、モトは取れたので、よしとする。

軽快だけど思考停止じゃない
近作に対して「ユルすぎない?」と感じていたとは序盤にも書いたが、
本作「ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー」は、
軽快なタッチな中にも、ほどよい重厚感、密度が戻っているように感じられた。
80sのガールポップを思わせる、ちょっと懐かしいテイストを纏いながら、
子どもか頭の足りない人(失礼)が書いたかのように見せかけた歌詞を綴りながら、
決してそれは思考停止にはなっていないと。
以前の彼らは、「世知辛い」「生きにくい」と正面から歌い、奏でていて、
我々ファンはその姿に、信仰に近い愛情を抱いていたのだけれど、
時間が経ってメンバー4人(メンバーチェンジ含め)が大人になったことで、
「そこまで根を詰めて考えたってしょうがないでしょ」
「生きにくいけど、世知辛いけど、楽しくやっていこう?」と
シンプルな生き方に辿り着いたように感じられる。
また新しいかたちで、自分の今いる大地を見据えて、
そのうえで軽快にダンスしていることがわかる音楽になった。

音楽的アプローチも変えていく
音も詞も客観的になり、ゆとりが生まれた。
魂がどうとか、なぜ生きる・どう生きるとか、そういった感情の追求ばかりでなく、
音自体を「楽しむ」要素が増えている。
シリアスな曲調のパンクロックから、メジャーコードを多用したロック/ポップスへ。
以前にはなかった、80sシティ派ポップスみたいなジャジーな#4
「のー ふらすとれーしょん」といった楽曲もみられて、耳でも楽しい。
また、由紀子さんの歌に対するアプローチも変わった。
以前は刺すような少年性で勝負していて、多くの曲の一人称は「僕」「ボク」だった。
それが何年か前から少しずつ変わっていって、ロックをがっしり歌い上げるよりも
コケティッシュな少女性を前面に出し、結果、角砂糖みたいに甘くサラサラ透き通る、
ヴォーカリストとしての新しい魅力を引き出すことに成功している。

少年少女の感受性をもったまま大人になるということ
哲学的ですらあった初期~中期から変化して、近年の歌詞は「あえて軽快」だ。
考えていないわけじゃない。
例えば#5「わかってきたよ」では、こう歌っている。

ひとりひとりちがうってことを
やっとわかってきたとおもうの
どんなこともやるってきめて
ジャンプしたらむげんのせかい

Live いきてるってこと
Life たのしむってこと


若いバンドがこんなことを歌っていたら、「世間知らずのスカスカなバンド」だと
苦笑混じりで通り過ぎられてしまうだろう。
これは、それまで気を張った表現をしてきた、真っ正面から対峙しすぎてきた
ベテランのバンドが今ようやくこう歌うから説得力があるのだ。
ひらがな、というのも、これまた肝要だと、音源で聴くとわかる仕掛けである。
「Live 生きてるってこと」じゃ、この声やこの曲には重たすぎるし、説教くさくなってしまう。

彼らの現在のスタンスがよりわかるのが、#7「GO GO シリアス」という緩やかな曲。

なんかおかしいし なんかくるっている
そんなことくらい さぁ こえてすすめ

GO GO シリアス
これがせかいさ

花のようにじぶんのように
せかいをみてられたら
あとは上出来だと笑っちゃうの


世界はおかしいとも狂っているともよくわかっていて、
そのうえで奏でる「ウィー アー ハッピー」な音楽なのだ。
これは新たなる立ち向かい方、少年少女の感受性を持った大人のやり方。
心地よく、でもずっと、転がり続けていく。ライク ア ローリング ストーンってやつだ。
このバンドらしい、新たな地平が広がっている。

実は今が一番売れてる
Wikipediaを見ると、驚くことに、近年~現在の方向性が、過去のどの時期よりも
オリコンチャートの順位が良いのである。
メジャーレーベルに属していた90年代後半~00年代前半、
北海道の大規模なロックフェス「ライジングサン・ロックフェスティバル」の出場を果たしたり
怒髪天主催のレーベル「「Northern Blossom Records」に所属になった00年代中盤よりも。
このバンドは本当に山あり谷ありだと思う。
メンバーチェンジも多いし、音楽性もよく変わるし、安定するということがない。
そんな彼らが、15年近くやり続けた今、セールス的に最盛期にあるなんて。
思えば先日のライヴで観客の層が広かったのはそういうことかもしれない。
観客も60人くらいびっしりと埋まっていて、「もしかして客、増えてない?」と驚いた。
こんなことがあるものなのか。
てっきり斜陽の道を辿っているものとばかり思っていたから(自分のアンテナに
引っかからない、変化を受け入れられないという理由だけで)、未だに信じられない。
確かに、より、万人が入っていける音楽になった。
10年前くらいの時期の作風に思い入れが強い私はまだ戸惑いを隠せないけれども、
これが彼らの現在なのである。
長くやっていくというのはそういうこと。
柔軟で、変わり続けていきながら、
変わらずもあり続けるということなのであろう。



こんなに長く活動していられて、愛され続けていられるなんて凄いなぁと、
あの日出会った場所で、私は感無量になっていました。
その理由こそ、「空っぽ」だと思っていた近年の作品に、
めっきり足が遠のいていたライヴにあったのは、
まさに「百聞は一見にしかず」でした。
たった一夜のライヴ、たった1枚のCDに、
私はあまりにも多くのことを教わったのです。
一人でも多くの人に、彼らの音源やライヴに触れてほしいと
今でも、今こそ、強く願ってやみません。

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【CDレビュー・感想】FLiP:LOVE TOXICITY

私が1stアルバムから動向をチェックしているガールズバンド、FLiPの3rdアルバムが
昨年の6月に発表されました。
作品は当然昨年のうちにチェックしていたのですが、諸般の事情で
記事化はお流れになっていました。
それを今回、満を持して書いてみたいと思います。



LOVE TOXiCiTY(初回生産限定盤)(DVD付)LOVE TOXiCiTY(初回生産限定盤)(DVD付)
(2013/06/26)
FLiP

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ジャケットでまず語る
1stや2ndのジャケットとは違い、ヴォーカル/ギターのサチコが一人で映るジャケット。
背中ヌードに近い、SMを連想させる過激なファッションが目を引く。
1stや2ndは「かわいくてかっこよくて親しみやすい4人のメンバー」を売りにしていたのに
本作は一転してハードに。
このアルバムを象徴しているようなビジュアル、ジャケットだ。

個々の個性よりも完成度重視
1stや2ndでは、ギターのユウコやベースのサヤカもちょくちょく作詞していたが、
本作ではサチコが一貫して全ての詞を手がけている。
作曲と編曲はFLiP全員で。
それまでは、シングル曲などはサチコと、プロデューサーのいしわたり淳治氏が
多くの作詞作曲を手がけて、アルバムではユウコやサヤカも加わるというふうだったが
いしわたり氏が離れた本作ではセルフプロデュースに挑戦。
もともと安定した作詞作曲ができていたサチコ中心になった。
そもそものメディアなどでの取り上げられ方もサチコがメインだったので、
世間からの見られ方と実態がリンクする出来といっていいのかもしれない。
その結果、アルバム全体が一貫した完成度、雰囲気を保っている。

「いしわたり淳治プロデュース」のコーティングを剥がして
実際には「剥がされて」「捨てられて」と言った方が正しいのかもしれない。
なにせ手をかけたのに売れなかったのだから・・・・・・
でも、彼女達自ら「セルフプロデュースをしてみたい」と願い出たのかもしれない。
元々FLiPは全部自らでやっていたのだから。
チャットモンチー、9mm Parabellum Bullet、ねごと、NICO Touches the Wallsを手がけた
ヒット請負人のいしわたり氏による「伝わるため、売れるため」のポップなコーティングが
それまでのFLiPの作品をある程度世の中に知らしめてきたけれど、
本来の彼女達の表現したいもの、素の姿との乖離が生じてきたということもありそうだ。
なにせ、キャッチコピーは
「影と光の間に潜むのは未熟ながらも今を生きるもう一人の人格たち」なのだ。
1stや2nd、特に2ndは「光」の側面を強調したアルバムだったので、その反動として
「影」の側面が前に出てきても不思議はない。
そうして、詞・曲・アレンジ共にダークでハードなアルバムが出来上がった。

絶望のほとりから空を見上げて
甘いコーティングを剥がして、剥き出しになったのは、悲痛な叫び、痛み、闇。
ほぼ一貫して主人公は飢えているといっても過言ではない。
例えば、#2「カミングアウト」のサビでは、こう歌い上げる。

その手のばしてよ あたしの首まで
口約束はいらないの 今に夢を見ていたいの
そうでしょう? 空っぽな心であなたを感じたい
何度も狂わせて


Aメロでは「いじめてよもっと」なんて、ジャケット写真にも繋がる
更に過激なフレーズが出てくる。
アルバム全編にわたり、音も刺すように鋭角的で、ささくれ立っている。
その絶望がさいはてに達するのが#6「a will」の遺書風の歌詞で、ちょっと怖い。

どれくらいの愛があればいいのでしょうか。
どれくらいの愛を知れば愛せますか。
君と触れあう時間だけ微かな鼓動感じてたの。
たぶん愛を知らないまま愛していたから。


Coccoの歌詞のように重くて、山田詠美の小説のように淫らでもある。
「今日が終わる頃には世界は綺麗よ。
だって私の醜い身体が消えるの。」という直接的なくだりも出てきて
それまでのFLiPを知っているファンは戸惑ったことだろう。
売れない、プロデューサーに捨てられた、が実態であったなら、
そのくらい病んでしまっても無理もない。
しかしこれはなかなかに堕ちているな。

開き直れ!
これだけハードで病んでいる作品が、それでも聴けるのは、
根底にある、彼女達自らが持っているポップさ、そして地力であろう。
最後の#11「Bat Boy! Bar Girl!」ではこう宣言している。

Bat Boy! Bat Girl! 太陽より
Sing a song! Sing a song! 眩しいもの
Bat Boy! Bat Girl! 闇に光る
Sing a song! Sing a song! タカラモノを
飛びたて翼ひろげて 逆さまのこの世界
Bat Boy! Bat Girl! たとえそれが
Sing a song! Sing a song! ニセモノでも


ヤケクソ感が漂うともいえるが、響きは力強い。
カーンとホームランを放ったような聴き応えだ。
FLiPらしいダイナミックな歌声や演奏は、本作においても一貫しているので
繰り返し聴けば、今までの世界と地続きであることがわかる。
そもそも#1「タランチュラ」のBメロで既にこう言っているのである。

それでも死なない あたしは死なない


病みかかっていようと彼女達は死なない。
本作は、どんなになっても負けない、という、明確な意思表明なのだ。
結局、本作も「らしさ」は何一つ失われていない。
「らしくないけどらしい」アルバムだといえそうだ。

明るいものばかりもてはやされる世相へのカウンター
いつからか、重たい表現で勝負するバンドやソロアーティストを
あまり見なくなった。
重たい表現でやってきた面々が、いつの間にか方向転換していたり。
誕生日パーティーみたいに明るくて脳天気なバンド、
ほわんふわんととりとめのない綿菓子のようなソロシンガー。
重苦しい表現が排除され、「あかるい」「やさしい」ものばかりが重宝されるような
風潮はないだろうか?
FLiPは、そんな世相にもの申そう、一矢報いようとしたのではないか、とも感じた。
いつでも誰にでも出来ることではない、売れなくなるというリスクがあるから。
でも4人はその茨の道をあえて選んだ。
最後にひと花咲かせようと言わんばかりに・・・・・・。
その思い切りこそ、ロック。
売上を落とす結果になったかもしれないが、私が本作のことを忘れられなかったのは
彼女達のそんな根性が胸に響いていたからだろう。


2014年10月、FLiPは事務所を移籍し、新作シングル「GIRL」をリリース。
オフィシャルサイトのトップ画像にもあるように、
今ではすっかり、売れ線というか守備路線の「ガーリー」にイメチェンしています。
垢抜けてかわいいけれど、これは彼女達の本音か? 今更感も・・・・・・。うーん。
FLiPが3rdアルバムで過激で暗い路線を試みたのは、リスキーな挑戦ができる
最後のチャンスだと分かっていたから、
「遺書(a wlii)」は、本音で勝負できる表舞台に向けて発されたものなのかもしれません。
個人的にはちょっと残念ですが、生き残っていくため。
これからが彼女達の本当の勝負どころだから、まだ見守っていようと思います。
ライヴ行きたいなぁ。もっと幅広く全国を回ってくれたらと願うのですが、厳しいでしょうか。
ああ、行けるうちに行っておけば良かった。


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【映画】夏の終り【DVD】

秋も終わりに近づいた今「何を言っているんだ」って感じかもわからないですが
映画館に足を運ぼうと結構大真面目に考えていた作品を、なんだかんだで
映画館で観られず、結局、先日DVDで観ました。
意図せずに小林薫さんスペシャルウィークみたいになったのですが
ともかくも感想、いってみます。



夏の終り [DVD]夏の終り [DVD]
(2014/03/19)
満島ひかり、綾野剛 他

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「私の男」で大いに話題になった熊切和嘉監督の作品。
満島ひかり綾野剛小林薫と、役者もいいところが揃った。
さらに音楽は日本とも縁が深いミュージシャンのジム・オルーク
こんな顔ぶれを見るだけで、期待をせずにはいられないというもの。

夏の終り (新潮文庫)夏の終り (新潮文庫)
(1966/11/14)
瀬戸内 寂聴

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原作は瀬戸内寂聴が1962年に発表した自伝的短編小説で
この年、寂聴さん(当時の筆名は瀬戸内晴美)は女流文学賞を受賞している。
何度か映画化、TVドラマ化されているようだが
寂聴さんからは「もっとも生々しい」「肌に粟を生じて見た」との賛辞を贈られている。

文学的映画
音楽がほとんどなく、空間を台詞で埋めたりもしない。
小説の行間に画面を近づけようという試みか。
舞台となっている1950年代にタイムスリップしたかのような空気感もすばらしい。
衣装や町並み、家の中などのこだわりを引き立たせている。

説明不足
余白の多さは、そのまま、説明不足にも繋がっている。
あらすじを知らないと、何が何だかわけがわからない映画になっている
気がしてならない。
あらすじを知っていて観るのが前提みたいな作品である。
更に、時系列がしょっちゅう飛ぶので、あらすじを知っていて観た私ですら、
しばしば「話はどうなっているんだ?」と訳が分からなくなってしまった。
最近の説明過多なバラエティに慣れている人は見向きもしないだろうな。

空気映画?
決して大衆映画ではないだろう、この説明不足感からして。
アングラ寄りなんだろうが、居心地は決して悪くない。
精緻に再現された時代性、それに寄り添った映像美、
次第に漂う鬱々とした雰囲気や閉塞感。
さしずめ「空気映画」とでも名付けたいような印象だ。
それが最後、空が晴れるように一気に解放され、
物語はカタルシスを生む。

出演者総うつ状態
主人公の女、年上の男、年下の男。
この三人が主な登場人物だが、皆、もれなく病んでいる感じだ。
「どうしたらいいのかわからない」と家庭すら投げて恋に生きてしまう女。
普段は穏やかで狡猾なところもあるが、実は死にたがっている年上の男。
女への愛情、嫉妬、孤独に怯え、荒々しく愛を求める年下の男。
いつもというわけでもないが、要所要所でヒステリック、ノイローゼ的なのだ。
ちょっと「うわぁ・・・・・・」と引いてしまう場面もいくつかあった。
最後にはこの暗雲が一気に晴れるので、すごくすっきりするのだが。

愛のない愛
女はふたりの男の愛に引き裂かれてしまうのだが、その愛の内実が問題だ。
年上の男との関係は愛情というより、父と娘のような「愛着」、あるいは「習慣」。
年下の男との関係は愛情というより、女からすれば淋しさを紛らわせる「慰みもの」、
男からすれば孤独を埋めて、人の女ばかり欲しくなるという「依存」。
どちらにも本当の愛、女への愛がなく、結局は自己愛が勝る「愛」だった。
そのために女は袋小路に迷い込んでしまったのだろう。
そして、やがて、その事実に自分で気付き、自分を立て直していく、と。

逃げたがりの女が自立を手にするまで
「絵を描きたい」「好きな人ができた」と言って、夫と娘から逃げ出してしまう女。
年下の男とすってんてんで駆け落ちするけれど別れ、夜の女として暮らすも
行き詰まって「どうしたらいいのかわからない」と泣き崩れ、年上の男に救ってもらう。
それから、女は染色家として自立し、年上の男との中途半端な同棲生活を八年も
送るのだが、男には妻子があり、女の家と妻子の実家を往き来している。
年下の男の登場をきっかけに、その曖昧な関係が苦しくなってしまい、
再び「どうしたらいいのかわからない」と言って泣き、混乱することになる。
観ていてイライラしたり、「重たい」と感じたりする場面が続くが、
最後に女はリセットを図る。 夢見た染色家の仕事を選び、男たちからは距離を置く。
仕事を頑張り、男に頼らなくなることによって、女は本当の心の平安を得る。
そこまでの長い長い闘いの物語、自立の物語といえるだろう。

「息苦しいのよ、この部屋」
せっかく描き上げた大作を、女自ら、こう叫びながら、朱で塗りつぶしてしまう
場面が出てくる。
物語の佳境といえる場面、ここでの満島ひかりは狂気に満ちていて、怖くなるほど。
結婚したのに夫と子を捨てて駆け落ち、その男とも別れて妻子ある男の愛人に、
でもそれもうまくいかない、という、かなり奔放というか不器用な、業の深い女を、
序盤はふんわり、中盤からずっしりと、最後には力強く、演じきっている。
神経衰弱に陥る綾野剛とか、「一緒に死のう」なんて言う小林薫とか、
普段のイメージからは信じがたい姿を、役者たちは次々と、剥き出しに晒していく。
演技の見応えにこちらも思わず見入り、気が引き締まる。

女の本当が詰まっている
本作の宣伝文句でこんなフレーズがあった。
この作品の女は、心細くて、満たされなくて、年上の男曰く「わがまま」で、
最後には強い芯を持っていることが明らかになる。
本当は弱くて、本当は強くて。いつも不安で、あれもこれもと欲しくなったり、
時に自分を見失ったり、だけど最後には自分を貫く力を持っていて。

そんなところだろうか。
女の私が自分と本作の女を付き合わせてみると、こんなにわがままになんか
なれないとも、こんなに強くは生きられないとも感じた。
当てはまるような当てはまらないような。でも、こういう女いるよね。
少なくとも寂聴さんの思い切った本当を垣間見られたのはいい体験だった。


「もっとわがままになれ。自分の本当の欲望に素直になれ。
そうじゃないと、本当の強さも育っていかないままだぞ」
本作に、そんなふうに言われたような気がしました。
常に自分をかばって生きている私には難しいように思うのですが、
一歩先に踏み出すためには、これこそ最上の処方箋かもしれません。
観た直後より、こうやって振り返っている今の方が、
多くを考えさせられ、多くを教えられているようです。
映画館で観てもよかったよなぁ。


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【CDレビュー/感想】TM NETWORK:BEST TRACKS~A MESSAGE TO THE NEXT GENERATION~

前回、前身的バンド「SPEEDWAY」のアルバムを紹介した続きとして、
今回はTM NETWORKのベストアルバムを。
以前、シングル・ベストの「TIME CAPSULE」を入手して、ずっと聴いていたのですが
再始動前の音源をシングルからアルバムまで網羅して15曲選んだこのベストも
興味深いセレクションなので。
実はベストアルバムの感想・レビューって初めてなので
試行錯誤のつもりでやってみます。


BEST TRACKS 〜A message to the next generation〜という
入力に骨が折れる長いタイトル、まあ凝り性の彼ららしいっちゃらしい。

BEST TRACKS~A message to the next generation~BEST TRACKS~A message to the next generation~
(2000/03/23)
TM NETWORK:TMN、TM NETWORK 他

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活動の一時期には「TMN」名義だったこともあり、ジャケットには「TMN」の三文字が
まず冠されている。
2000年、レコード会社移籍に伴い、旧レコード会社がメンバーの意向に関係なく
リリースしたものだが、このセレクションからかえって
メンバーの外側から見たTMが見えてくるかと考えた。
全曲感想・レビューをしながら、このユニットを概観してみたい。

1.LOVE TRAIN
一番売れたシングルが最初に入っているといういやらしい作り(笑)
活動休止前最後のアルバム「EXPO」の時期の曲。
90年代の音楽が青春という世代の私は、この曲がTMの曲のなかで最も好きで、
最も耳馴染みがある。幼少期、F1中継のCMで、カメリアダイアモンドのテーマソングに
なっていたこの曲をぼちぼち耳にした記憶があるのだ。
今聴いても古びない泣きのギターと、対照的に時代を感じる機械的なドラムビートの
イントロだけでもうロマンティックで、心をぐっと掴まれる。
そのまま切なく駆け抜けて、最後の転調がたまらなく盛り上がる!
夏が舞台なのに冬が妙に似合う気がするのはなぜだろう。

2.BE TOGETHER
2000年にTMを初めて聴く世代に向けて作られたとおぼしきこのアルバムらしく
前年にリリースされて大ヒットした鈴木あみ(現・鈴木亜美)のカヴァーの
原曲はここにござれとばかりに持って来た感じ。
アルバム「humansystem」収録曲で、シングルではないけれど
ファンの間では名曲と名高かった曲。
あみーゴのヴァージョンで初めてこの曲を知った世代なので、
最初はTMヴァージョンは違和感があったが、慣れるとこれっきゃなくなる。
ハッピー感、青春感が半端ない!
トキメキとエネルギーとスピード感に溢れている。

3.COME ON EVERYBODY
アルバム「CAROL」収録曲でシングル。
シャープなアレンジがキレキレ、特にリズムセクションがいい。
真新しい曲と言われてもわからない新鮮さ。
「CAROL」期の曲はどれもキャッチーで洗練されている。
サビの転調で一気に引き締まる。ダンサブルでクールでとても格好良い。

4.Kiss You
個人的にTMで一番の名盤だと思っているアルバム「humansystem」収録曲で
シングル。後にリミックスエディションもシングルリリースされている。
ブラスアレンジでちょっと大人に。
「洋楽志向」が前面に出て、ファンクで締まった格好良い曲。
この曲も古びない名曲。
流れるように繰り出させる言葉数の多いAメロ~Bメロもいい。
コムロさんの一癖あるコーラスが聴ける。

5.RHYTHM RED BEAT BLACK
TMNとしてリニューアルしたアルバム「RHYTHM RED」の
いわばタイトルチューンで、後にシングルカット。
ロックなアルバムのなかの渋い佳曲。
アーバンな曲に乗るのは、現在でも活躍する名脚本家の坂元裕二さんの
アーバンでドライな、トレンディドラマからそのまま飛び出してきたような詞。
TMといえば青春のイメージが強いが、成熟したオトナのミリョクもいいじゃない。
当人たちは当時30過ぎだったんだし、そうなるのが自然というもの。

6.金曜日のライオン
一転して若々しいデビュー曲。アレンジに時代を感じる。
YMOっぽさもありつつ、このユニットの音楽はデビューから一貫して
「ダンス」なんだなあと実感させられる。
疾走感がいい。

7.アクシデント
これも昔の曲。3枚目のアルバム「CHILDHOOD'S END」収録曲でシングル。
昔のTMは少しベタというかバタ臭い、歌謡曲っぽい匂いがする。
哀愁があるというか。でもここにもいい味がある。
この曲は青春の爽やかさが香り立つ。

8.HUMAN SYSTEM
アルバム「humansystem」から3曲目は実質タイトルチューン、1文字空くけれど。
モーツァルトの「あの」お馴染みの曲のリフをいただいた大胆なイントロに、
小室みつ子さんによる、少年少女たちの甘酸っぱいすれ違いの物語。
フレッシュで切なくて、当時の若い子にTMが愛聴されたのもよくわかる。

9.FOOL ON THE PLANET
ブレイク前夜のアルバム「SELF CONTROL」収録曲。
ビートルズの「Fool On The Hill」を連想させるタイトル。
アルバム「SELF CONTROL」にはなぜかそういう曲がちらほら。
6/8拍子のゆったりした曲。キネさんらしい曲。
こういった癒しサイドがあるのもTMの大事な魅力。

10.SELF CONTROL
直球の青春ソング。アルバム「SELF CONTROL」収録曲でシングル。
駆け抜けていくような鮮やかさ、一気に希望が広がっていくような
「陽」のオーラいっぱいのメロディ、アレンジ。
挫折から立ち上がっていく瞬間を捕らえた歌詞と併せて、胸がアツくなる。

11.ALL-RIGHT ALL-NIGHT
#9から#11までアルバム「SELF CONTROL」から、色の全然ちがう曲が続く。
こちらは、華やかなブラスアレンジにのって、サクサクと進むナンバー。
スラップ混じりのファンキーなベースがいい感じの重さを出している。
TMはユニットながら、結構バンドっぽい音を出していることに気付く。

12.WE LOVE THE EARTH
一転してアルバム「EXPO」収録曲、「Love Train」との両A面シングル。
90年代になるとTMは打ち込みサウンドの楽曲が目立つようになる。
地球平和を訴える趣旨の歌詞、主張はやや「パワー・トゥ・ザ・ピープル」的だが
聴き心地はとても爽やかなダンスナンバー。

13.DIVE INTO YOUR BODY
快楽の渦にワーッとなだれ込むような、徹頭徹尾パーッとした曲。
夏の享楽的な刹那がよく出ている、痛快なダンスナンバー。
TMがTMNにリニューアルする前夜の時期にリリースされたシングル。
この辺の楽曲がオリジナルアルバム未収録なのは勿体ないな。
TMの楽曲のなかでもかなりお気に入りの曲。

14.WILD HEAVEN
「Love Train」と同年の1991年にリリースされたシングルだが、
アルバム「EXPO」には収録されていない。
#13の享楽的なムードを、テクノロジーの進化によって更に強化したような
ダンサブルで楽しい曲。
けれど何か「終わり」を感じるのは、もうすぐ活動終了だという
予備知識が先に頭にあるからなのか?

15.GET WILD
言わずと知れた代表曲で幕を閉じる。
実はオリジナルアルバムには収録されていないシングル。
若さゆえの衝動や焦燥をクリアに切り取ってみせたのが名曲たる所以。
当時のライヴでは、後にB'zを結成する松本孝弘さんのギターを楽しめる。
ダンス×青春=王道TM、その堂々ど真ん中をいく。


80年代から1994年のTMN活動終了のTMを、90年代後半~00年代の視点から
捉えてみるとこうなりました、といった感じか。
メンバーやリアルタイムでTMを追っていたファン(FANKS)の認識に
どこまで近いんだろう、このセレクション。
TM関連の文章をよく書いている藤井徹貫さんのイントロダクション文が
あるくらいだから、まあそんなに迷うこともないんだろう。
そうなるとTM NETWORKというユニットは「ダンサブルときどき歌心、
青春ときどきアダルトな世界
」ということになる。
TMの作品を大体コンプリートした、後追いの自分からすると、
あれが入ってないこれはそんな必要か?などという声も出てくるとはいえ、
最大公約数はまあこんなところになるんだろうか、となるな、確かに。


多面性を持ったユニットの10年をアルバム1枚にまとめるという
難しい命題を持っている本作。
ほとんどの作品を揃えた後であえて出会ったこのベストアルバム、
無人島に1枚だけTMのアルバムを持って行くなら確かにアリかもしれません。
・・・・・・いや、やっぱりhumansystemかな?
楽しい迷いです。


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【CDレビュー・感想】SPEEDWAY:ESTAR/BASEMENT

今回はえらくマニアックなCDの紹介です。
友人が唐突に貸してくれたのです。
貸してくれなかったら、一生聴けていなかったんじゃないかなぁ。
手に入るなんて発想がなかったから、探そうとも思っていなかったもの。
そんな一枚、正確には二枚の、感想/レビューをどうぞ。


THE ESTER & BASE AREA
商品をそのまま紹介しようと思うと、画像が出てこない。
さすが1990年リリースの、超レア音源である。

ゴールデン・ベストゴールデン・ベスト
(2003/03/19)
SPEEDWAY

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2003年にリリースされたベスト盤。ここに入っている楽曲の多くが
今回紹介する、SPEEDWAY(スピードウェイ)のTHE ESTER & BASE AREAから
来ていると思われる。
SPEEDWAYとは、あのTM NETWORKのメンバー、
宇都宮隆氏(以下ウツさん)・木根尚登氏(以下キネさん)・そして
一時的な参加ではあるが小室哲哉氏(以下コムロさん。てっちゃんとは流石に呼べない・・・・・・)が
在籍していた、実質的にTMの前身と言われることの多いバンドである。
2007年にTMがリリースしたアルバムのタイトルは、まぎれもなく、このバンドからである。

SPEEDWAYSPEEDWAY
(2007/12/05)
TM NETWORK

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これがTMの前身!?耳を疑う「エスター」
二枚組アルバムの一枚目である。
戦隊もののような「パパパパパ、パッパー」というイントロ、
「夜が明けるまで 飲もう~と オ~~イェイ」という歌い出し。
いま何が起こったのか?!私はTM NETWORKの前身のバンドの音源を
聴いているのではないのか?!
TMとは似ても似つかない曲調に、耳にしている音源を信じられなくなる。
まあ、そりゃそうだ。確かにTMのメンバーが三人在籍していた(時期もあった)が、
スピードウェイは、六人あまりもメンバーがいる大所帯のバンドで、
リーダーも中心人物もコムロさんじゃなくてキネさんで、全く違うバンドと思った方が良い。
カラッとした、脳天気な、しかし歌謡曲調にねっとりした、「アメリカン・ロック」のバンドの
作品なのだから。
そのカルチャーショックをより強く感じさせる作品が「エスター(THE ESTAR)」である。

TMの序章的な色合いが強まる「ベースメント」
二枚組アルバムの二枚目である。

BASE AREABASE AREA
(2006/09/29)
SPEEDWAY

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この作品はAmazonで出てくるだけでなく、2006年に再リリースされている様子である。
一気に垢抜けた印象を受ける。
前作にあたる「エスター」が再リリースされず、こちらだけ再リリースされる理由も頷ける。
こちらにはコムロさんが参加していて、半分近くの曲を書いている。
前作にはなかった、エマーソン、レイク&パーマーやイエスを思わせる音色の
目立つシンセサイザーのサウンドが一曲目から見受けられる。
こんな具合に、僅かではあるが、確かにTMの影が見え隠れして、次の展開が
読めなくはない。
globeの「Sa Yo Na Ra」そっくりな曲もあるし・・・・・・
(しかも「スマイル・アゲイン」という曲で、歌詞もさよならがテーマだし、そのまま?)
但しバンドの世界観は相変わらずで、「ランチボックスはママの手作りパイ~」などとウツさんが
歌い上げているような曲が、ぼちぼち「ガクーーーッ」とさせてくれる。
しかしコムロさん一人の存在でこんなに変わるとは。
この後、コムロさんはTM NETWORK結成のために脱退し、後にウツさんとキネさんは
それに参加することを承諾、バンドは空中分解してしまうのだが、何だか納得できる。
他のメンバーには、たまったものではなかっただろうが。

何かほっとする作風から、グッと引き締まる作風へ
「エスター」は、ほぼ全ての作曲をキネさんが行なっていて、キネさん色が強い。
アレンジを当時のメンバー全員で行なっている。
後にTM NETWORKでキネさんがアルバム用につくる、いわゆる「キネバラ」の片鱗が
かなりはっきりみられる。同じ人の作品だから当然といえば当然なのだが。
アメリカン・ロックを標榜しながら、湿り気のある歌謡曲やフォークソングっぽさをも漂わせる。
「癒し系」といえそうな雰囲気のある「エスター」に対し、「ベースメント」の方では
プログレっぽい試みに挑戦している楽曲まで登場するし、音も引き締まる。
「ベースメント」ではコムロさんとキネさんの作曲の割合が半々。
曲もやはりそれっぽくなる。曲とアレンジでバンドは変わるもんですな。

歌詞はメンバーが書かない
歌詞はメンバーが書かない、外部のライターさんに発注する。
後のTM NETWORKの路線への繋がりを感じさせる拘りである。
実際のところ、拘りなのか、書けるメンバーがいなかったのかは分からないが。

ウツさんがビブラートを!
ずっと、ウツさんはビブラートをかけ「られない」シンガーなのだと
TM NETWORKやソロを聴いて、思っていた。
だがそうではなく、TMのビートの為にそれをあえて捨てた、
元はかけられる、かけ「ない」でいるシンガーなのだという事実が、本作を聴くと判明する。
これはかなりびっくりした。
歌い方のアプローチが、楽曲と相まって、何かどことなく西城秀樹を思わせる。

ブックレットに若きウツさんキネさんコムロさんいました
これもカルチャーショックであった。ベースメントの方にモノクロで載っていたのだ。
時代性か音楽性か、みな一様にグルグルパーマをかけて、みな一様に痩せている。
ウツさんは、もやしながらもさすが男前のハンサムである。
コムロさんは女性か女装なのかという長髪で、メイクもしている模様で、服装もアレだ。
で、キネさんである。TM NETWORKではずっと(今も)グラサンをかけて顔をガード、
目元は謎のヴェールに包まれている、あのキネさんである。
「Love Train」のジャケットで露わになっちゃった下がり眉が、見る者を
「あ、ヤバい」ともれなく思わせてくれてしまうキネさんである。

Love Train/We love the EARTHLove Train/We love the EARTH
(1991/05/22)
TMN

商品詳細を見る

スピードウェイの作品では、素顔が、目元が、露わになっている!
THE ALFEEの坂崎さんにちょっと似ているような感じだ。
TMで目元が露わになるとタブー感凄まじかったが、ここでは至って自然だ。
ってか、そりゃそうだ。
TMでは三人目のメンバーとして端に佇んでいるというパブリックイメージがあるが
ここではリーダーで中心人物。佇まいも変わるというものだ。
ラスボス感すら漂わせていて、ちょっと偉そうなスネ夫って感じである。
皆さんも是非ググったり、現物を探してみたりして、その勇姿を確かめていただきたい。

月光仮面のおじさんが
本作でなく、それとは別に友人から借りたベストに収録されていた
Rockin' On the 月光仮面」というシングル曲がある。
これがまたショッキングだった。
TM NETWORKの前身が「月光仮面のおじさんが」とか言いながら
歌って、奏でているのである。
まあ言うまでもなく、「月光仮面」のために作った曲なのであるが
あの三人が「月光仮面はだれでしょう~」という曲を奏でているのが
信じかねる。いやはや、時代ってすげえや。


だいぶ失礼なことばかり書いた気がします。
特にキネさん、ご無礼をお詫びします・・・・・・
でも、まあ、これが率直な感想であります。
今でも自然に聴ける二枚一組の名盤。
古くて新しい魅力を放っています。



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【CDレビュー・感想】Syrup16g:Hurt

気がついたらSyrup16gが再結成して、何事もなかったかのように新作を発表していました。
私は入院中にケータイに届いたメルマガでその事実を知ったのですが、とても嬉しく、
退院数日後に、なけなしのカネをはたいてすぐに手に取りました。
そんなわけで、そんなに最新でもないですが、レビューします。



HurtHurt
(2014/08/27)
syrup16g

商品詳細を見る


あいかわらず
Syrup16gの新譜「Hurt」。(ジャケでは大文字表記だが)
最後のリリースは2008年の「Syrup16g」だから8年も経っている。
年月が経ってのリリース、何か成熟したかと思っていた。
もうすっかり老成した曲が並んでいるのかと思っていた。
でも、その予想は、心地よく裏切られた。
相変わらず不安丸出しの曲だらけ。
うん、これを待っていた。
五十嵐隆氏の人としての幸せは、老成・安定なんだろうけど・・・・・・。

どっしりしたアンサンブル
一人一人のスキルが、積み重ねた年月の分だけ?上がっていて、
なよっとしたアレンジの曲もどしっとして聴こえる。
例えば五十嵐さん声質少し変わったけど歌うまくなった、とか。
そのために、弱っているような楽曲も、力強く響いてきたりする。

ハードに、変拍子に、ニューウェーヴに、和メロに
本作でもSyrupは全体的に、ニューウェーヴ、オルタナを通過した
メロディアスな作風。そこに、HR/HMばりのハードなギターの曲、
思い切り変拍子で展開してくる曲があってハッとさせられて、
前作からの流れである純和風な曲調・メロディなんかも見られる。
時代と適度に寄り添いながら、変わらずに、それでいて自然に時間が
彼らの中で流れているのがわかる。

またも冴え渡る歌詞
毎回そうだけど、本作でも歌詞が私の心を大きく捉えた。
例えばこんな言葉。

何でもないことが 出来ない
当たり前のことが 出来ないんだよ
(#4「ゆびきりをしたのは」)

自分の個人的な現状と相まって、胸を苦しくさせ、ある意味スカッとさせる。

そして相変わらずだが、こんなサビ。

死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
(#8「生きているよりマシさ」)

身も蓋もないが、でも妙な説得力があって、
精神的に不安定していた時期、このフレーズに持っていかれてしまった。
ぶっちゃけ今でも危うい。影響力強すぎて、ちょっと危険だと感じた。

でも、アルバム最後のこの曲だと、また少し違う。

旅立ちの歌
繊細さを胸に
そっと秘めながら歩く
君とまた会えるのを 待ってる

残念の中で 落胆の雨でも
勇敢な姿を 誰かがずっと見ている
最低の中で 最高は輝く
もうあり得ないほど 嫌になったら
逃げ出してしまえばいい

(#11「旅立ちの歌」)


ちょっと長い引用になったが、これは老成の域、老成の粋だと思う。
少々五十嵐さんっぽい言い回ししてみた(苦笑)。
成長してないなんて言ってごめんなさい。
こう概括すると、色んな姿が見えてくるとも言える。

Syrupイズム
最近のハヤリスタリなんて殆ど関係なくメンバー3人の時間は流れているようだ。
聴く側も少なからずそうだろう。
変わらず後ろ向きで、変わらず脱力していて、そして変わらずなんか救われる。
安定のSyrup節、それが何より嬉しくさせられる。


何が嬉しかったかってやっぱり「まんま」だったことでした。
四六時中流して心地よい音楽じゃない、けれど人の不安には
これほど効く、寄り添ってくれる音楽なんかありゃしない。
お帰り、Syrup16g
まさか本当に帰ってきてくれるなんて思わなかったから、感激なのです。
しかも「まんま」で。
まるでライナスの毛布みたいに、私はこの音楽を抱きしめています。

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・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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