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The Smashing Pumpkins:その5 Machina/the machines of God「有終の美。メロディアスで聴きやすい、ちょいメタル風味アルバム」

前作「アドア」のセールス不振のリベンジ、そしてある決断のために、1999年、
ビリーは、The Smashing Pumpkinsスマッシング・パンプキンズ)に
あの男を再び招き入れます。そう、ジミー・チェンバレン
ドラッグ癖による逮捕劇で一旦は解雇した彼をビリーがどうしても必要な理由はふたつ。
「次はメタル・アルバムを作る」ため、
そして、バンドを有終の美で締めくくるため・・・。

前作の時点で、スマパンは解散を決めていたと言われています。
しかしその理由は解散を宣言した当時と、数年後とでは随分違っており、ビリー曰く
解散宣言当初は「ブリトニー・スピアーズみたいなアイドルがチャートを賑わせているような
最近の音楽シーンの中で戦うなんて馬鹿馬鹿しい」といった
「やり尽くした」系統の話が目立ったのですが、
後になって「アルバム制作中にメンバーからの協力を得られないことがあった」
「本当はスマパンを解散させるんじゃなくて、ジェームスを追放したかった」
「ジェームスがバンドを崩壊させた」と、最も早く出会って解散の時まで唯一在籍した
ジェームスとの確執が、解散の決定的な引き金になったととれる趣旨の発言をしています。
本当のところは我々にはわかり得ませんが、少なくとも、ビリーとジェームスとの間に
埋めがたい溝が生じて、何度となく深刻な諍いがあったことは確かでしょう。

そしてまた、完成した「有終の美」のアルバムを聴いたり、歌詞を読んだとき、
ビリー達は、スマパンでやれる限りをもう「やり尽くした」ことが納得できる作品に
なっているのも事実です。
比較的最近ファンになった人や、メタル系統好きの人に好評な、2000年リリースの
Machina/the machines of Godマシーナ/ザ・マシーンズ・オブ・ゴッド)。

マシーナ/ザ・マシーン・オブ・ゴッドマシーナ/ザ・マシーン・オブ・ゴッド
(2000/02/28)
スマッシング・パンプキンズ

商品詳細を見る

解散を決めただけあって、何か清々した、すごく割り切った印象を与える作品で、
これが爽快感と感じるか、そっけない「お仕事」と感じるかは分かれそうです。
スマパンの連載を始めるにあたって全作品を聴いてみることにするまで、私の中では
ずっと後者で、「ビリーのワンマンでバンド仲がギスギスした中で出来た作品」という
イメージが引っかかって、長い間、あまり好きになれないアルバムでした。
それを今回、久しぶりにじっくり再聴してみると、「なかなか良いアルバムじゃないか」と
感想が変わりました。
80年代NWの冷たい空気感の影響下にあるアルバムであることが本作でも大事なポイントで、
そのあたりのシーンを簡単にでも辿ったことで、本作への抵抗が随分減ったのだと思います。

放送事故?
machina1
かっこいいと思ってやっているのか?みんな壊れているんじゃないのか?
全員の正気が心配になってくる画像です。
百歩譲って前の3人はまだいいとして、後ろの人は写しちゃいけない!
元の画像が巨大+くっきり写るとショックが大きすぎるので、小さい画像で失礼します。

前作「アドア」を踏襲した、80年代NWの空気感や美しいメロディ重視の曲作りが
実は「轟音」「メタル」よりも中心になっています。

曲数も多ければ(ボーナス・トラックを除いて15曲)曲調もバラエティ豊か。
キャッチーかつへヴィな楽曲で、轟音ギター&ジミーのハードなドラムをまた楽しめる
#1「The Everlasting Gaze」、柔らかな音で凪のように軽やかな#6「Try,Try,Try」、
春風のようなサウンドに乗って躊躇いなく愛を歌う#3「Stand Inside Your Love
がベストアルバムに収録されましたが、このように、歌詞もサウンドも軽やかな曲が
目立つようになりました。メタリックな要素の多い曲は、#1と#7に#12くらいでしょうか。
悲しげな曲もあるし、10分近くの長尺のプログレ的展開の曲もみられるし、
もう10年前のムーヴメントとなったシューゲイザーを思わせるギターを聴ける曲も、
アコースティック・ギターがふわりふわりと優しく舞う曲、ジャジーなビートが
基調になっている曲もみられ、1曲のなかで大きく転調する曲も幾つかあります。
メランコリックな「泣きメロ」と、重たいものを引きずりながら何とか歩いているような
聴いていて苦しくなる曲調の、胸にずっしり堪えるような曲が後半部を引き締めます。

「メタル・アルバム」を期待して聴くと、肩透かしを喰らうかもしれません。
「次はメタル・アルバムを作るから来てくれ」とビリーに言われて復帰したのだとしたら
ジミーは「えっ?これがメタル・アルバム?本当に俺でなくては出来ない曲か?」と
疑念をもったかも。「ジミーでなくては叩けない曲」はそんなに無いように感じます。
前作の打ち込みビートをジミーの生音に変えただけ、というような曲もかなりあるので。
但しもう一つの可能性として、ジミーに「叩きたいけど思うように叩けなかった」という
事情があったことも想像できます。当時のライヴに行ったファンの人は、ジミーの様子を
「調子の良さそうなときもあれば、辛そうなときもあった」と言っていたようです。
ドラッグのリハビリは大変苛烈なものなのだそうです。ジミーがそれに苦しまされていても
不思議はありません。
machina2
スマパンあるある「その写真じゃフロントマン、ジェームスだろ」。時々みられます。
何だかこういう髪型をしてるとミッチー(及川光博)みたい。顔の系統が同じですね。
そして気になるのは眉頭をはじめ全体的に描きすぎた眉。これって、かっこいいの?
この頃のジェームスはすっかり気力を失って、内面で何かが壊れてしまったような感じ。
前作以来、(公式の写真では)にこりともしなくなっているし。
ドラッグのリハビリ中で、リアルにかなりの犯罪者面になっていて非常に怖いジミー。
そして、あんなにコワモテヴィジュアルなのに案外アイメイクも自然と似合うビリー。

ビリーは前作から、優等生症候群を抜け出して、完璧を求めるのをやめて、
「思春期の痛み、引き裂かれる自我」からも一歩抜け出して、肩の力が抜けた印象。
愛を乞うたり、「頑張ろう」と言ってみたり、叫ぶのをやめてクールな調子を保ったりと、
精神的な山場を超えて大人になった立場から、客観的に曲を作り、歌詞を書き、
歌を歌っているように感じます。
そして前作から、存在感が希薄なままのジェームスとダーシー。
前作と地続きのところに、「轟音ギター&ジミーのへヴィなドラム」を少し掛け合わせて
出来た作品ではないでしょうか。
ポップで美しいメロディを主体にして、へヴィな風味を味わうこともできる
案外聴きやすい、幅広い層の音楽ファンが楽しめるアルバム
です。


本作のレコーディング終了直後に、自らの役割を果たしたと感じたダーシー
バンドを脱退してしまいます。
曰く「女優に転身するため」。
しかしこれからライヴ・ツアーも控えており、とても困った事態に。
そこでバンドは救世主として最後の1年間だけ、メリッサ・オフ・ダ・マー
ベーシストに招聘します。
machina-mellisa
燃えるような赤い髪が自他共に認めるチャームポイントの彼女は、元ホールのベーシスト。
ソロ活動に専念するためにホールを脱退したところを、スマパン側に懇願されたのだそう。
メリッサがベースを始めたのは、ダーシーなどの女性ベーシストを見たことがきっかけ。
メリッサとしても、願ってもないオファーだったわけです。
一見やる気がないような気怠いパフォーマンスのダーシーに対し、メリッサはもっとバリバリ
弾くタイプ。同性に厳しいと評判の、元上司のコートニーお姉さんも、太鼓判を押す逸材です。

メリッサを迎えた新生スマパンでの、解散ライヴの様子。
machina-live
ワールド・ツアー。日本にも来たそうです。かなり温かな「お別れ会」ムードで、
ジェームスが変な日本語のジョークを連発したり、メリッサがノリノリで踊ったり、
最後にビリーが、会場に誰も居なくなるまで、感謝の念を込めて丁寧に頭を下げ続けたり。
「メーリッサー!」と野太い声で声援を送る男性ファン集団、ジェームスに黄色い声援を送る
女子中高生たち、あの曲をサンプリングした某バンドの皆さんなど、客層も様々だったとか。


これだけ作っておいてまだまだ曲が有り余っていた恐るべき怪物くん。
Machina II/the friends & enemies of modern musicマシーナII)」
(マシーナの続編)を、何と無償で配信!
アルバム本体とB面を数曲収録したEP3枚が、ビリー自身が立ち上げたレーベル
「Constantinople Records」からフリー・ダウンロードでリリースされました。
ベストアルバムには、その中から「リアル・ラヴ」が収録されています。


最初で最後?のベストアルバム「Rotten Applesロットン・アップルズ)」もリリース。

Rotten Apples,The Smashing Pumpkins Greatest HitsRotten Apples,The Smashing Pumpkins Greatest Hits
(2001/11/16)
スマッシング・パンプキンズ

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ブックレットを見るのが楽しくて。やんちゃでオシャレ、ポップな写真がいっぱいです。
あの曲やあの曲が入っていないのがどうしても心残りになりますが、
解散ライヴ直前にレコーディングされた曲「アンタイトルド」や、
映画のサントラに提供されたアルバム未収録曲「ドラウン」「アイ」が入っているので
まぁ良しとしましょう。


こうして、惜しまれつつ解散した・・・かに見えたスマパンですが、
この話にはまだ続きがあって・・・
史実を無視して、ここでお開きにしたほうがいいかもわかりませんが、
次回、あえて見つめていきます「新たな始まり」。



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