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ざっくり映画ライフ:その14 夢を諦めないオヤジたちの挽歌(レスラー、アンヴィル!夢を諦めきれない男たち、ロッキー・ザ・ファイナル)

音楽レビューラッシュをしている間に映画ネタが溜まりに溜まってしまったので、
もうしばらく映画ライフのラッシュ、いきます。
今回は夢の終わりや現実の厳しさに直面する、諦められないオヤジたちのブルースを。


レスラー

レスラー スペシャル・エディション [DVD]レスラー スペシャル・エディション [DVD]
(2010/01/15)
ミッキー・ローク、マリサ・トメイ 他

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俳優としてのキャリアを積んだ後、90年代にはボクサーに転身、ボクサー引退後に
俳優業を復活させた異色の俳優、ミッキー・ロークが、レスラー役に体当たりで挑んだ。

ロングヘアの金髪がトレードマークのランディはレスラー。特に80年代はスター選手だった。
それから20年以上、レスラーを続けているが、今や収入は細々としたもので、スーパーで
アルバイトをしながら週末に試合をする程度。家賃を払えず車で寝泊まりする日もある。
ストリッパーのキャシディに想いを寄せ、クラブに通う日々。彼女ももう若くはない。
ある日、ランディは心臓発作を起こして倒れ、心臓バイパス手術を受ける。医師からは
「レスリングはもう無理」と宣告される。実際、僅かな運動にも耐えられなくなる。
レスラーを引退することにしたランディは、これまでないがしろにしてきた一人娘・
ステファニーとの関係を修復して新しい人生を始めようとしたり、
「ストリッパーと客」の関係を超えてキャシディと本格的な恋愛をしようと試みたり。
収入が減る分、スーパーで働く時間を増やし、客の前での仕事も引き受けてみる。
しかし、セックス&ドラッグのルーズな悪癖を改められなかったり、
キャシディの方では、子持ちであることを気にして、想いに素直になれなかったり。
スーパーの仕事もやめてしまう。不器用にしか生きられないランディ(とキャシディ)。
ステファニーから絶縁を告げられ、失うものはもう何もないと覚悟を決めたランディは
大きな賭けに出る。それは、往年のライバルとの20周年記念試合への出場だった・・・

ミッキー・ローク自身のキャリアの浮き沈みをそのまま反映させたかのような物語は
大ヒットと高い評価をほしいままにした。しかし、彼のキャリアについては
私は世代からいってまるで知る由もなく、ここに共感どうこうというのは難しい。
私が息をのんだのは、レスラーたちの裏側が容赦なく描かれているところ。
敵味方というより、レスラー全体が一種の運命共同体のように見える。八百長という
印象もあるが、互いが互いを思いやって根回しする「優しさ」は嫌いじゃない。
但しボクサーだったロークは当初「プロレスは振り付けでしかない」と考えていて
レスラーを尊敬できず、考えが変わるのは撮影が進んでいくうちだったそうだが。
ステファニーと約束をしていた肝心な日を前に、その場の勢いで薬とセックスに走り
そのまま眠りについて起きられなかったり、スーパーでの人前の仕事で正体がばれて
動揺し手を怪我して、大暴れして「こんな仕事やめてやる!」と息巻いたりする姿に
「ああぁ・・・」と思わず頭を抱えたくなる。
でも現実の芸能人やスポーツ選手もこんな風に、一般人が当たり前に出来る事や
知っている事が、出来なかったり知らなかったりするエピソード、よく聞くかも。

最後、試合に出て行くランディ。やっと気持ちが通じかけたキャシディに向かって
「俺の居場所はここしかないんだ」と言い放ち、飛び出していく。
心臓が悲鳴をあげるなか、必殺技「ラム・ジャム」を喰らわす所で話は途切れる。
何とも言えない余韻が残り、エンドロールのブルース・スプリングスティーンの
哀愁と年輪を感じさせる主題歌がいつまでも胸に鳴り響く。



アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

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(2010/04/14)
アンヴィル

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とにかく滅茶苦茶話題になっていて、「そんなに面白いなら、試しに見るか」と
何ともなしにレンタルしてみた作品。しかしこれが思った以上に面白いのだ!

80年代初頭に人気を誇ったカナダのへヴィメタル・バンド「アンヴィル」。
84年にはボン・ジョビ、ホワイトスネイク、スコーピオンズなどと並んで
日本の「スーパー・ロック・フェスティバル」に招待され、大観衆の前で演奏した。
しかし、人気は長く続かず、いつしか彼らは忘れ去られていった。
それから20年あまりが経ち、アンヴィルは一応ずっと活動を続けているのだが、
ヴォーカル兼リードギターでリーダーのスティーヴ・"リップス"・クドロー
ドラムでリップスの幼なじみのロブ・ライナーしかオリジナルメンバーはおらず
給食配給センターでの勤務や建設作業などで生計を立て、細々と活動するに留まる。
ヨーロッパツアーの話が舞い込み、再起を夢見るメンバーは各国を転々とするが
顔を忘れられていたり、ギャラをもらいそびれたり、電車に乗り遅れたり、もうハチャメチャ。
そこで、かつてのデビューアルバムのプロデューサーにニューアルバムの録音を頼む。
リップスは家族から借金までしてイギリスへ渡った。しかし、リップスの我が儘に
普段温厚なロブがキレてブースを出ていってしまうなど、喧嘩ばかりのレコーディング。
何とか音源が完成し、ラジオ局やレコード会社に売り込むも、どこも見向きもせず。
そんなとき、日本のプロモーターから連絡が入り、2万人収容の幕張メッセで開催される
「LOUD PARK 06」コンサートへの出演を依頼される。
といっても、3日間に及ぶフェスティバルの最初の演奏者で、しかも午前中の演奏。
またも失敗と挫折が増えるだけかと思いきや、遂に奇跡が起きる!!!

この映画はドキュメンタリー。アンヴィルのファンで付き人も経験している監督が
スティーブン・スピルバーグの『ターミナル』の脚本を書いたお金で、アンヴィルの
映画を作ろうと思い立ち、リップスとロブを中心に2年間もバンドに密着してできた。
まずここにひとつめの奇跡があった。
細々とした活動しかしていなかったアンヴィルにヨーロッパツアーの話が出たことも
結果はともかく、ふたつめの奇跡といってよいだろう。
デビューアルバムのプロデューサーが、インディーズ状態のアンヴィルのプロデュースを
引き受けてくれたのがみっつめの奇跡(頼んだのはアンヴィルの勇気)。
そしてよっつめの奇跡が「LOUD PARK 06」に呼んだ日本のプロモーターで、
最後の奇跡はなんといっても観客。まさか、あの日程のあの時間帯に、今や無名のバンドに
熱狂的なファンで会場がいっぱいになっているなんて!

「レスラー」のロックバンド版ともいえるような、シビアな現実の積み重ねが苦々しく
積み重なる映画でもあるが、こちらは最後に劇的なハッピーエンドで幕を閉じる。
結局のところ、皆がアンヴィルを忘れていなかった、ということなんだろう。
皆が心のどこかでアンヴィルを覚えていて、彼らの再起を密かに願っていたんだろう。
現実にアンヴィルの音楽はまた売れるようになり、音楽で生計が立つようにもなった。
彼らの努力や粘り強さがあってこそだが、ファンはそうそう忘れやしないのである。



ロッキー・ザ・ファイナル

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シルベスター・スタローン

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最近出たパッケージだと写真が違う。

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(2012/10/12)
シルベスター・スタローン、バート・ヤング 他

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blogを始めたばかりの頃、ロッキーシリーズの一連の感想としてはとりあげているが、
単品では書いていないのと、他の5作とは若干、趣を異にしているため、
改めてこの機会に紹介してみる。

燻っていたのが一転、アポロとの試合でシンデレラボーイになったあの物語は
もうはるか昔。ロッキーも、周りの人間達も、皆それぞれに年老いた。
最愛の妻・エイドリアンは、3年前に癌で亡くなってしまった。
ロッキーは持ち前の軽妙なトークで現役時代の思い出話を振る舞いながら、
地元で小規模なレストランを経営し、一見平穏に楽しく暮らすも、
3年前のエイドリアンの死から立ち直れず、空虚さを抱え続けていた。
更に、息子のロバートは「偉大な父・ロッキー」の存在にプレッシャーを感じ、
ロッキーと疎遠になり、エイドリアンの葬儀にも顔を出さない。
普通のサラリーマンを選んだが、いつも父と比較され、からかわれてしまう。
エイドリアンもいない、ロバートも疎遠。孤独を抱えながら生きるロッキー。
そこに、ひょんなことから、現代の「強すぎてつまらない」ボクサー、
メイソン・ディクソンとの対戦が持ち上がり、ロッキーは再び闘いに挑むことに。
老いてなお闘争心を失わず、言葉通り諦めない父を見て、ロバートは心を動かされ、
居心地が悪いだけの今の仕事をやめ、ロッキーのサポート役にまわる。
いざ試合。おおかたの予想はディクソンの圧勝だが、ロッキーが粘り、
闘いは(いつものごとく)最終ラウンドまでもつれる。
ふたりとも満身創痍で、一歩も譲らない、諦めない。そして試合終了のゴングが鳴った。
2-1でディクソンの判定勝ち。二人は互いの健闘を讃え合う。
そして、ロッキーは「エイドリアーン!」の代わりに、墓前にそっと報告へ訪れる・・・

前ふたつに比べて、ロッキーは圧倒的な成功者なうえに絶望的に失った状態にないので
このように並べると、悲壮感や説得力に欠けるかもしれない(笑)
しかし、6作全部コンプリートした者としては、エイドリアンの死を引きずったままで
さめざめと泣き出してしまうロッキーの姿を見ているだけでこたえるものがある。
そしてジョブのようにきいてくるのが息子との不和。「自分が偉大だから」が
息子にはプレッシャーになってしまう。「あきらめないでしぶとく頑張れ」という信念は
何をしても「ロッキーの子」として以外見られない、評価されないロバートにとっては
無意味を通り越して、この上なく耳障りなものとなっている。
なんともやりきれないが、このような「親子でも、わかりあえない」関係はよくある、
「レスラー」なんかもっと顕著な例。あれは父親がダメパパなのだが・・・
因みに、「強すぎてつまらないボクサー」ディクソンって、00年代フェラーリにおける
F1ドライバー、ミハエル・シューマッハーがモデル?06年公開だし、ちょっとあり得る気も。

はっきり言って試合よりも、ロバートとの「冷戦」の方が解決困難なように感じられた。
けれどロバートは、現役時代のロッキーを全力で応援する「大ファン」な子どもだった。
だからこそ、ロバートの心にロッキーへの敬愛は残り、そして親子の絆が蘇ったのだろう。
ロッキーは、試合だけでなく、親子の絆の修復もあきらめないで辛抱強く臨んだ。
華麗な復活劇はもちろん、このような人間ドラマも、本作の大事なみどころだと思う。



結果がどちらに出るかはわからないし、いっそどうでもいい、
どうしても諦めたくない、諦められない、男たち。
現実はよく知っているけれど、これでもかこれでもかと、更に前に蹴り出す。
その先にもっと目を覆いたくなるような真実が待っていたとしても。
もう若くない、気合いでは乗り越えられない。でも、信念が彼らを突き動かす。
そして、その奮闘を誰かが見ていて、そっと手を差し伸べることだってある・・・
「諦め(られ)ない力」ってあるんじゃないかと感じる、3人の男たちの映画でした。



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