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マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン:Ep's 1988-1991「気まぐれ全開!?多面体をアバウトに気軽に楽しむ」
「シューゲイザー」と呼ばれるギターロックのジャンルを確立した
My Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)は
今年の初めに新譜「mbv」を出してますが、今回は、その前年にリリースされた
シングルやカップリング曲、未発表曲を納めた2枚組アルバム
「Ep's 1988-1991」を聞いてみましょう。
![]() | EP's1988-1991 (2012/05/30) マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン 商品詳細を見る |
マイブラはいつもジャケがいいですね。なんともいえない色使いだったり質感だったり。
全曲ケヴィン・シールズ(Vo,Gt,その他いろいろ)によるリマスタリング済み。
さて早速、感想/レビューへ。
飛躍作1st「 Isn't Anything (1988年)」と代表作の2nd「Loveless (1991年)」しか
いわゆる全盛期における彼らのアルバムはないようなもの。
これから売れていくバンドにしてはブランクが長い気がするし、まして、その後は
はたりと新作を出さず(出せず)、音沙汰がなくなってしまう。
それが07年に再始動を発表、翌年にはフジロックに出演、
そして13年「22年ぶりの新作」(!)として「mbv」リリース、ツアーと
マイペースもいいところの活動ペースでも話題を呼ぶ彼ら。
そんな時期に出た、シングル+カップリング+未収録レアトラック集の本作。
中途半端な作品なのでは?と思ってしばらく聴かないでいたら、案外これが面白い。
そこで、ちょっと感想を書いてみようと思う。
・音の変遷をあらためて辿る
収められているのは、シングル「you made me realise」「feed me with your kiss」
「glider」「tremolo」という、前者2枚は1988年、後者2枚は1991年の楽曲と
それらに収録されていた3~4曲のカップリング曲全て、そして未収録曲。
リリース順→未収録曲という順に(ある意味、そのまんま)収まっているので
ボーッと聴いているだけでマイブラの音の変化がなんとなくわかる。
アルバム2枚、久しくしまい込んでいたものだから、この作品で私は久しぶりに
マイブラを聴いた。リアルタイムだと、次の年にはオリジナルアルバム発表だから
本作は格好の復習~耳慣らしアイテムになったと思われる。
・今まで知らなかった、アルバムでは見えなかった、素顔のマイブラ
しかしもっと顕著にわかるのは、シングル曲とカップリング曲との違い。
かなり攻撃的な曲をわざわざ選ぶシングル曲と、ややのんびりしたカップリング曲。
アルバムを知らなくても「あっこれがシングルだったんだな」とわかるのでは?
そんなわけで、本作の印象は、既出の2枚のアルバムと結構異なり、ちょっと驚く。
なんとなく、本作はのんびりしている。マイペースというか、力んでないというか、
素の彼らが見えているのかもしれない。22年間もアルバムリリースをサボるのも
「これだけマイペースなら、やりかねんな」と納得してしまいそうなくらい・・・?
基本、ゆるいギターポップ曲をケヴィンが、たまにビリンダが歌うという調子。
アルバムと似ていたり、超爽やかで耳を疑ったりと、一定の気まぐれさが楽しい。
まあそもそも、アルバム収録曲自体が、ハードになったりポップになったり、
あっちこっちブレまくっているから(笑)、違和感はそんなにない。
とはいっても、カップリング曲でちょっと変わった路線にチャレンジすることもある。
例えばCD 1の#9は、シャンシャン、ドンドン・・・と、東洋の儀式の中で歌ってるよう。
CD 2の#4は「NICOのThe Endか!」ってほど(おおげさかも)に呪術的な、少し怖い曲。
バンド名通り、たまーにホラー的趣味に走りたくなるようだ。
・未発表曲はとことん実験に走る、こともある
CD 2の#5まで、ずっと、シングル~カップリング曲が続くのだが、
#6からは未発表曲のお出ましである。
「普段のアルバム曲に歌がないだけ?」の#6、10分と長い上に同じリフを皆でずっと
繰り返し続けるという、悟りを開けそうになる#7などのインスト2曲など、実験的。
ただ、他の曲に関してはそうでもなく、他のカップリング曲などと同様の調子だったりで
一概には言えないが。
#11なんかはHR/HMみたいにハード。それまではいつものシューゲイザーサウンドだったのに
サビに向けて密度が上がっていく。叩きまくるドラム、重く低く鳴り響くベース。
中心人物のケヴィンと、その恋人のビリンダがどうしても目立ちがちなこのバンドだが
(歌ってるし)、この曲に関してはコルム(Dr)とデビー(Ba)、リズム隊二人の見せ場。
シングル曲を中心とした、強い磁力と熱量を放つ楽曲。
カップリング曲を中心とした、ほんわか爽やかギターポップ。
そして所々で出現する、一風変わったナンバー。
まさに気まぐれ、まさに多面体。4種類の味が1枚に入っているピザかいな。
それを何の計算もなく無造作にぽいぽいと放り込んでいく、アバウトさ。
これが魅力。アルバムは、緻密な計算に基づいて、緊張感を伴って構成されていて
格好いいけれど、続けて聴いていると息が詰まりそうになるかもしれない。
その点、本作は楽ちん。ルーズにかけるならオススメ。
本作を聴いた後、オリジナルアルバム2作を聴くと、浸透度がグッと上がること請け合い。
確かJames Ihaの2nd(これも14年振りのソロ2作目だったよなあ・・・笑)を買いに行ったとき
試聴機に、なぜか「mbv」もありました。
![]() | MBV (2013/03/04) My Bloody Valentine 商品詳細を見る |
変わらないようで、進化したようで、なにはともあれギターノイズの洪水が圧倒的で、
とっても気になって、しかし結局まだちゃんと聴いていないんですよね。
そっちも聴いたら、またレビューします。
それにしてもやっぱり、このサウンドは気~持ちイイ~!
激しくてもポップでも、どっちにしたって、もれなく爽快になってしまうのは最強。
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