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My Bloody Valentine:Isn't Anything&Loveless「冷たいノイズと甘いメロディーに魅せられる・・・伝説のシューゲイザーバンドを追体験」

たったのCDアルバム2枚で伝説のバンドと化し、最後のリリースから20年が経っても
ロックのみならずあらゆる分野の音楽に今日でも影響を与えまくっている、
My Bloody Valentineマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、通称マイブラ)。
2枚のアルバムとその間にリリースされたEP集がリマスターされて(再)リリース、
来年には来日公演も決定と、ここ最近なにかと期待させられる動きをみせているバンドです。
おじゃんになった3作目のリリースや新曲の発表も宣言しているらしいけど実現するのか?
マイペースすぎるバンドの既発2枚を聴いてみました。
なにせ、私の好きなあのバンドもこのユニットもマイブラの影響下にあるというものだから・・・
前回書いたRideも同じシーンに居たので、今回はシューゲイザー特集その2とでも言いますか。

マイブラは時期によって随分作風が違い、メンバーチェンジも結構あって、
カナダのホラー映画からバンド名をとったデビュー時は、如何にもそんな感じの音
(パンク~ゴス系統)だったのが、現在に至るメンバーにまとまった1987~88年頃に
だいたい今知られている方向性に進んでいきました。それでも1stと2ndはかなり違うけれど。
例えば1stを聴いているとフリッパーズ・ギターを思い出したり、2ndを聴いていると
初期のスーパーカーを思い出したりして。
「どっちも同じだろ」と言われそうですが、個人的に、フリッパーズ・ギターはポップで
初期のスーパーカーはノイジーというイメージがあるもので、こんな例えになりました。
まぁ、ひっくり返しても良いっちゃ良いけど。

まずは1st「Isn't Anything」から。

イズント・エニシング(紙ジャケット仕様)イズント・エニシング(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

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この何が写っているのかわからないジャケ写は、メンバー4人のうち3人の姿。
残りの一人は裏ジャケで赤い服をまとっています。(ブックレットでは、彼女の姿が大写し)
My Bloody Valentine Isn't Anything
ぼやけて全然見えないけれど、これでメンバー全員集合。
左から、コルム・オコーサク(Dr)、ビリンダ・ブッチャー(Vo/G)、
ケヴィン・シールズ(Vo/G)、デビー・グッギ(Ba)。
このうち最初からいたメンバーがケヴィンとコルムで、ビリンダとデビーは後から加入。
そして曲作りの中心人物がケヴィンで、いつしか(1st前との噂があるが)ケヴィンとビリンダが
付き合いだすように。
タワレコの冊子では、この頃から始まった、飽和して溶け合うようなふたりのヴォーカル
などについて、付き合いだしたせいにしてあって「下世話な話」って言ってる(笑)。
振り返れば脱退した初期メンバーも「彼氏と彼女」だったので「またかい」状態。
スマパンだってノーダウトだって「やめときゃよかった」って揃って言っているんだし、
バンドに居るの辛くなるんだから、バンド内恋愛はどうかと思うんですが、仕方ないか。
しかし他のメンバー(マイブラの場合、デビーとコルム)がどういう気分で演ってたかは
ちょっと気になる(笑)。って、ま、こっちの方が下世話ですか。

「何者でもない」アルバムだけあって、1枚の中で結構作風がバラエティに富んでいる、
悪くいうと次作ほどアルバム一枚で一枚岩みたいな確固としたまとまりはない、
でもそれが楽しいアルバム
です。ノイジーさは次作への布石になっている気がするけれども
サイケだったり、ポップだったり、ヘヴィーだったり、ネオアコだったりと様々な味わい。
コード展開も、ものすごく不穏だったり、疾走感のある爽やかなものだったり。
次作と比べるとバンドサウンドが大分、「原型」を留めている印象です。
さきに書いたケヴィンとビリンダの甘く弛緩したヴォーカルの絡みが全体を気怠くまとめます。
ノイズまみれでひずんだギターを筆頭に、どれだけバンドサウンドが緊張感を煽っても
ポップに聴けてしまうのはそのせい。
冒頭の曲を聴いたとき「プライマル・スクリームっぽい」と感じたのですが、ある意味それも
そのはず、現プライマル・スクリームのヴォーカリストのボビー・ギレスビーはかつて
ジーザス・アンド・メリーチェインというバンドのドラマーで、本作はそのバンドなどの
影響を受けているから。
プライマル・スクリーム好きとしても、このバンドまで遡ってチェックしてみたい気がしますが
それはまた別の機会に譲ります。

さて、いよいよ本題?絶大な影響力を誇る2ndアルバム「Loveless」にいきましょう。

ラヴレス(紙ジャケット仕様)ラヴレス(紙ジャケット仕様)
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

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いいジャケしてます!ジャケ買いしてもきっと後悔はしません。

ノイズはいよいよ洪水と化し、ギターはビリビリと激しく疼くよう。
ヴォーカルは倦怠感を保ったまま、よりメロディが活きるよう丁寧にまとめて重ねて。
龍の吠える声のように激しくうねり暴れるギターの轟音リフに度肝を抜かれ、そこに
さらさら流れる優しいヴォーカル、メランコリックなメロディが重なる#1を皮切りに、
シンセサイザーやギターなどのノイズで空間が埋め尽くされ、聴く者はただただ圧倒されます。
ひどくひんやりした氷の壁の冷たさに、それを削って彫像を拵えようとする人間の熱が
ぶつかって、氷を削る轟音が響き渡り、彫像が水蒸気を撒き散らしながら水滴を垂らす。

あるいは、よく冷やした甘い味の炭酸水みたいな音楽にも感じられるかもしれません。
インストの#4などはノイズに圧倒されて黙り込み、そこに仄かに調和していく甘いメロディに
吸い込まれていきそうになるし、
美しいメロディと冷たい質感の配分があまりにも的確な#11にはうっとりするばかり。
ポップな歌ものとしても聴けそうな曲が半数近くを占めていて、この硬軟の二面性ゆえに
両面それぞれが実に数多くの、後進のバンド・ユニットにインスパイアを与える結果になったのは
想像に難くありません。
ケヴィンとコルムがサンプラーやエフェクターを自らの機材として使ったり、
担当エンジニアが何と18人(!)も居て、ケヴィンとコルムもそこに名を連ねていたりと、
徹底的にこだわり抜いてつくられたサウンド。
制作期間2年半、かかった制作費が25万ポンド(当時の日本円で約4500万円)。
冷たい質感の音からは想像もつかない程の、とんでもない執念が注ぎ込まれているのです。

しかしこれがやりすぎた。
お金がかさみすぎて所属レコード会社(クリエイション)が倒産寸前、社長とも険悪になったり、
一人また一人とスタジオに来なくなって、実のところは殆どのパートをケヴィンが録音していたり、
恋人のビリンダは元夫の暴力に悩んでいたのに、ケヴィンはそれに構わずスタジオにこもりきりで
ケヴィンとビリンダの間にも溝が入っていったり。
名実共にこのアルバムは「愛なき世界(邦題)」になってしまったという訳です。
その後はドラムンベースを取り入れたアルバムを作るもリリースに至らず(これが今年、リリースを
宣言されている3rdアルバムのようです)、ケヴィンとビリンダの仲も途切れて
フェイドアウトしたのが1997年。
その後10年経って、2007年に再始動、「Loveless」からの曲を中心にライヴなどの活動を
各地で行い、今年の1st2ndのリマスター再発などに至ります。


彼らが与えた影響は本当に多岐にわたっていて、例えばスマッシング・パンプキンズ
95年の大傑作「メロンコリーそして終りのない悲しみ」は、
「Loveless」の18人ものエンジニアのなかで唯一ケヴィンが認めたとされるエンジニア
アラン・モウルダーの存在を知ったビリー・コーガンが、制作に関与させたのだとか。
他にも作品やアーティストを挙げていくときっと切りがないのですが、その中で
なかなか興味深いのが、こんな作品。

LOVELESS -TRIBUTE-LOVELESS -TRIBUTE-
(2012/03/07)
V.A.

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韓国のアーティストによる「Loveless」のトリビュートアルバムなんだそうです。
世界中に影響力があるマイブラですが、とりわけ韓国でのそれは、こんなアルバムが
出来てしまうくらい熱狂的かつ根強いのだとか。
聞くところによると、シューゲイザーフリークをも唸らせる出来なんだとか。
韓流恐るべし。おっかなびっくりで、ちょっと聴いてみたいかも。

メンバーの「Loveless」後も興味深く、ケヴィンはプライマル・スクリームのアルバム
XTRMNTR」「イーヴル・ヒート」に参加、ライヴでサポート・ギタリストも務めました。
また、映画「ロスト・イン・トランスレーション」のサントラを手がけたり、
映画「マリー・アントワネット」のサントラではバウ・ワウ・ワウのリミックスで登場、
パティ・スミスポール・ウェラーのアルバムでギターを弾くなど、活躍は多岐に及びます。
そして、マニがストーン・ローゼズ再結成のために脱退した、プライマル・スクリームの
ベーシストの後釜をデビーが務めることになったようで、マイブラとプライマル・スクリームは
もはや切っても切り離せない関係になっています。
ケヴィンの動きを追いかけていくだけでもワクワクするのに、そこにデビーの活動まで
加わってきたら、マイブラとしての新作が出ずとも好奇心が満たされてしまいそう。
課外活動も楽しみだけれど、どうか、新作も忘れずリリースしてくださいね。


ここまで書いたら遠くないうちにこのアルバムをチェックしないと気が済まない。

EP's1988-1991EP's1988-1991
(2012/05/30)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

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冒頭に少し言及した、1st~2nd期間を繋ぐEP集。
1stから2ndへの変遷もよくわかるのだそうでとっても気になります。勿論ジャケも好み。

更に、マイブラやプライマル・スクリームについて見ていると、彼らが生まれ育ったレーベル
「クリエイション」周辺の音楽もまとめて気になってきました。

アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー(通常版)(DVD)アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー(通常版)(DVD)
(2012/05/30)
ドキュメンタリー映画

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マイブラからオアシスまで繋がる!(=前回の記事とも強引に繋がる!笑)
こだわりの強いレコード会社の栄枯盛衰のドキュメント。興味を惹かれます。


次の次あたりから連載記事が始まります。
ところで最近、スポーツをしていて腰を痛めてしまって、座っていてもイタタタ。
連載までに治さなくては。スポーツ出来ないフラストレーション、半端ないです。
治らなかったら連載記事を書くにも差し支えたままですからね。調べ物まだ残ってるし。
皆さん、楽しいblogライフのためにも、怪我にはくれぐれも気をつけて。
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テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

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