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Lost In Translation & Marie Antoinette(サントラ):「ケヴィン・シールズ祭りのつもりがソフィア・コッポラ祭り。V.A.ならではの出逢い」
その中心メンバー、ケヴィン・シールズの現在の活動を追っていて、大変気になった
サントラふたつ。
「ロスト・イン・トランスレーション」と「マリー・アントワネット」への参加。
「これは」と思い、いざ手にしてみれば、よくよく考えればソフィア・コッポラ祭り。
そして、2つのサントラのプロデューサーを務めているのは
ブライアン・レイツェルなる人物。
だからこの記事は、図らずも、ソフィア・コッポラ特集かブライアン・レイツェル特集と
相成ったわけです。
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「マリー・アントワネット」はまだ観てないんですけど(予告編CMはさんざん観たけど)、
「ロスト・イン・トランスレーション」は大分前に観て、なんともいい余韻の残る良作だと
記憶に残っています。
日本の真ん中で迷子になった、中年のハリウッド・スターと若い人妻。
時差ボケが収まらない男と、眠れない女。
なんとなく出会ってなんとなく二人の距離が縮まって、けれどお互いの日常も待っている。
でも、迷子になって漂う時間は不思議と居心地が良くて・・・。
音楽に着目して観ては全然いなかったんですけど、この監督(ソフィア・コッポラ)の
サントラはことごとく評判が良いのだそうで。
監督処女作「ヴァージン・スーサイズ」から。(これも観てない。観たいけど怖いような)
そしてその時既に、ブライアン・レイツェルは音楽監督を務めていたんですね。
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「ロスト・イン・トランスレーション」は浮遊感がよく出た雰囲気で、
2枚組の「「マリー・アントワネット」は、1枚目が「ちょっと虚しいお祭り騒ぎ」、
2枚目が「マリーもホントは淋しいの」という感じ、と概要したら怒られるでしょうか(笑)
我が儘は男も女も嫌いなので「絶対観るか」と思っていた「マリー・アントワネット」、
サントラをきっかけに「観てもいいかな」に変わってきています。案外大丈夫かもしれない。
「ロスト・イン・トランスレーション」では、ブライアンなどによるインストが数曲
収録されているほかに、彼がツアー・バンドのドラマーとして活動したバンド、
AIR(エール)の曲も1曲あります。AIRの楽曲は「ヴァージン・スーサイズ」のサントラに
多く収められているのだそうで、「ヴァージン・スーサイズ」のサントラも今後チェックして
みたい感じです。
「マリー・アントワネット」のほうではもう少し間接的な関わりになり、何曲か
クラシック音楽を今風にアレンジしたり、イントロのインストを作ったり。
1曲だけAIRの楽曲がありますが。
因みに2010年公開された映画「サムウェア」(今調べて存在を初めて知りました)には
ブライアンの名もAIRの名もなし。
ソフィアのパートナーが在籍するバンド、 Phoenix(フェニックス)が担当している様子。
フー・ファイターズあり、ポリスあり、グウェン・ステファニーあり、T・レックスあり、
キッスあり、ブライアン・フェリーありと、もう何でもござれで、このサントラも面白そうです。
そしてきたきた、当初の目的ケヴィン・シールズ。
「ロスト・イン・トランスレーション」ではソロ曲を4曲、マイブラの曲「Sometimes」も提供し、
「ラヴレス」以来10年以上にわたった実質的沈黙を破るかたちになりました。
ケヴィンのヴォーカルが聴ける曲もあります。
曲のタイトルも「City Girl」「Goodbye」「Ikebana」「Are You Awake?」と
映画のワンシーンや雰囲気を切り取ったものになっています。それにしても「いけばな」とは。
曲が「・・・なんかマイブラっぽい」という感じがするのはこういうオーダーだったから。
らしいと感じるか物足りないと感じるかは好きずきでしょう。
でも結構、映画の浮遊感や静寂が出ているソロ楽曲が揃っていると思います。
「マリー・アントワネット」ではやや肩透かし。バウ・ワウ・ワウのリミックスを
2枚のディスクで1曲ずつ手がけているのみ。原曲を知らないのも大きいんですが。
評論家筋から「ユニーク」と評されたのは寧ろこちらのほうのようです。
この2枚(正確には3枚)、もっと違う楽しみ方が出来ます。
それは、あのアーティストやこのアーティストの味見が出来ること。これが凄いんです!
「ロスト・イン・トランスレーション」ではスクエアプッシャー(マリーの方にも参加)、
そして「ジザメリ」ことジーザス・アンド・メリー・チェイン。
一番の美味しいところは日本のバンド「はっぴいえんど」ですがこちらは後述して。
「マリー・アントワネット」では、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、
バウ・ワウ・ワウ(ケヴィンのリミックスだけでなく、オリジナルの形の楽曲も入ってます)、
ギャング・オブ・フォー、ザ・レディオ・デプト、ザ・キュアー、エイフェックス・ツイン。
そういう中にニュー・オーダー、果てはザ・ストロークスまでもがブチ込まれているのが
痛快というか目が、いや耳が点というか。
作品が進むほどやりたい放題が進むのでしょうか。次作なんてかなりのカオスですが、
そのカオスの兆候が「マリー・アントワネット」にみられたのか。
「気になるけどまだ手が出せない」「その名を聞いたことはあるけど、手を出す
勇気がない」といったハイセンスな音楽をたっぷりチャージできて満腹になれます。
寧ろここで「気になる」をたくさん見つけて、新境地への旅の道標にするのも
いい使い方だと思っています。
「全部聴いてるよ」という人はともかく。
「マリー・アントワネット」のクラシックまで込みで、全体的にまとまりがちゃんとあるので
ひとつのアルバムとして聴いてもちゃんと楽しめるのでは。
当初のコンセプト、ケヴィン・シールズ祭りはやや不発に終わったものの、それ以上に
「なるほどな、Various Artist系統は久々に聴いたけれど、こんな楽しみ方が出来るんだな」
というフレッシュな感動がありました。
今後もサントラ、色々漁ってみると思いのほか楽しめそうな気がしています。
サントラをあれこれ漁る音楽フリークの皆さんの気持ちがやっと分かったようです(笑)
最後に、「ロスト・イン・トランスレーション」サントラ収録曲で、
完全に「持っていかれてしまった」印象を受けた、はっぴいえんどの「風をあつめて」。
細野晴臣さん、大瀧詠一さん、松本隆さん、鈴木茂さんという、今でもぼちぼちその名を
耳にする超大物が勢揃いしていた、1970年代初頭のバンド。
曲とあわせて歌詞を読むと本当に持っていかれます。時代性がよく感じられる漢字遣いも
とても雰囲気がある。手書き文字入力まで使って、書くのに物凄い腐心したんですけど。
70年代初頭にこんなロックがあったのは、80年代初頭生まれの私にとっては風をあつめて/はっぴいえんど
街のはずれの
背のびした路次を 散歩してたら
汚点だらけの 靄ごしに
起きぬけの露面電車が
海を渡るが見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
とても素適な
昧爽どきを 通り抜けてたら
伽籃とした 防波堤ごしに
緋色の帆を掲げた都市が
碇泊してるのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
人気のない
朝の珈琲屋で 暇をつぶしてたら
ひび割れた 玻璃ごしに
摩天楼の衣擦れが
舗道をひたすのを見たんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を
あまりにもカルチャーショック。
洋楽を吸収していながらもフォーキーで、ひとつひとつの言葉遣いに唸らされる。
洋楽好きの日本人で良かった、いや音楽好きの日本人で良かったと
感慨に耽りながら記事を締めくくろうと思います。洋画のサントラの記事を(笑)
※多分一時的な追記:「テーマ」に「映画音楽」があったはずなんですが見つからないので
暫定的に「レンタルDVD・CD」に投稿しています。見つけ次第修正します。
テーマから検索して記事書き直せば良かったんですが、もう捨て記事が増えすぎなので。
テーマ:レンタルDVD・CD - ジャンル:映画