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【よりぬきリラクCD】執筆の相棒になった集中系リラクゼーションCD集

現在amebaブログのほうで日々更新している短編集は、執筆に約半年かかりました。
分量も前後編20編全部合計すると30枚×20編=原稿用紙600枚分と、単行本が一冊、
いや普通に前編・後編と2冊で出しても1冊300枚分と、十分な単行本になってしまいます。
この大仕事に、常に寄り添ってくれた音楽たちを、今日は紹介したいと思います。
執筆中(2013年10月~2014年4月)、ここを随分留守にしてしまった、お詫びも込めて。


BEST MOZART 100

ベスト・モーツァルト100 6CDベスト・モーツァルト100 6CD
(2005/08/31)
オムニバス(クラシック)、ダム(ホセ・ファン) 他

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最新ヴァージョンも出ているらしい。こちら↓

ニュー・ベスト・モーツァルト100ニュー・ベスト・モーツァルト100
(2014/03/26)
オムニバス(クラシック)、ダム(ホセ・ファン) 他

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以前、知人の強いすすめで借りた。
モーツァルトといえば「頭が良くなる」とか「脳に良い」などといわれており、
知人はそれを狙いに買ったとか。頭が悪いことにコンプレックスがあるのだと。
あちこちの国のオーケストラの演奏を寄せ集めして、おおざっぱな説明で、と、
こういうちょっとジャンクなCDは普段自分では絶対に手に取らないだけあって
耳にすること、手にすることに躊躇いもあったが、貸してくれたのだし聴くことに。
商品紹介の欄にも出ているように、6枚ものCDが入っていて、
普段自分から積極的にクラシックを聴くわけではない私は、
「正直、これ全部聴けるんだろうか?」と思いながら、CD-Rにとにかく焼いた。

お馴染みの「あぁ、あれあれ!」となる楽曲から、オペラ、宗教曲まで。
モーツァルトってあんな曲もこんな曲も、あんな分野もこんな分野も、やってたんだ・・・
100曲もの楽曲をCD6枚に収めても、多分これが全てじゃないのだろう。
オーケストラが変わることによっての違いはあまり感じられない(私にはわからない)が
ジャンルによっての違いはかなりはっきり出ていて、この天才作曲家の多面性を
目の当たりにした。6枚それぞれにジャンルを分けているので、わかりやすい。
脳に良い云々は案外迷信でもないのかも? 気がつけば作業がはかどっていた。
私がクラシックに強くないのも吉と出て、曲調に引っ張られることもなく楽しめた。

最初、オペラなどの歌声が入っている楽曲だと気が散ったりしたが、段々慣れた。
こんな機会がなかったら聴けなかったかもしれない、聴かなかったであろうCD。
音楽を楽しみ有効活用し、モーツァルトという偉大な才能にひれ伏した100曲に感謝。
そして勿論、貸してくれた知人にも、感謝。


集中力~シータ波による脳活性

集中力~シータ波による脳活性集中力~シータ波による脳活性
(2012/01/27)
メンタル・フィジック

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このブログのリラクゼーションCD特集では常連となっている、
リラク系CDを山ほど出している、Della社のCD。
「またか・・・・・・」と感じながらも、効能が気になってレンタルせずにはおれず。
またも興味本位で、Della社コレクションを増やしてしまう。
まあ、その「興味本位」のお陰で、リラクゼーションCD特集はもう15回目を迎え、
今やここの名物コンテンツとなったのだが。(シリーズ名はちょっといじった)
これまでに損は殆どなかったから、確実性を見越して手にとってしまうのだ。

「集中力」のCDということでもっと硬質な音楽を想像していたのだが違った。
絶えず水音が流れ、エレクトリック・ピアノのシンプルで柔らかい音色が
透明でふわーんとした聴き心地を醸し出している。

「リラックス用のCDの間違いでは?」いや、そんなこともなく。
余計なことを考えずまずはリラックスし、それから集中へと導くのが狙いだ。
柔らかいサウンドは、周りの雑音をマスキングする効果を考えてのもの。
ただ聴いていると眠くなりそうだが(実際、車の運転中に聴くと眠気を誘発する
おそれがあるので使用しないようにとの但し書きあり)、意外にこれが集中できる。
既存の理屈では予想のつかない音楽、商品なのかもしれない。
それにしても、このCDのみならずリラクゼーションCDの殆どがそうなのだが、
車の運転中こそ集中したりリフレッシュしたりリラックスしたりしたいと思うのだが・・・
無音も淋しいし、ロックやポップスだと歌に気をもっていかれる人も多そうなんだけど。
自分は車を運転しないから直接関係はないけど、何だかなぁとモヤモヤしてしまった。


トベタ・バジュン:アフリカン・モード

African Mode【アフリカン・モード】African Mode【アフリカン・モード】
(2010/01/13)
Bajune Tobeta【トベタ・バジュン】、Atom™【アトム・ハート】 他

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リラクゼーションというか、アンビエント・ミュージック。
超クールでオシャレな、ブックレットの写真の数々も、聴く前から期待値を上げる。
トベタ・バジュン氏の作品は、以前「空気のおんがく」という、これもアンビエント音楽で
しかし②と同じDella社からリラクゼーションCDの枠でリリースされていたのを
紹介したことがあり、この人のほかの作品を聴いてみたかったので
見つけたときは歓喜だった。因みに本作はDella社からのリリースではない。
CD2枚組。どんな展開になるのか、ワクワクドキドキしながら聴いてみる。

CD1がメインで、収録時間もこちらの方が長い。
アフリカがテーマというと、どうしてもサバンナのテーマソング的なものを想像するが
寧ろボサノバっぽい。思い切りリラックスした、リッチな空間を想起させ、
「えっこれブラジルの間違いでなくて・・・?」なんて思ってもしまうが、
どうも私の頭のなかは後進国のイメージで止まってしまっているらしい。反省。
何が豊かさなのかということを考えさせられたし、最近は進んでる国は進んでるしなぁ。
歌ものが多く、どっちかというと集中というよりリラックス向け。
集中するのによさげなのはCD2のほう。
荒涼として、寒々として、しかも曲が進むほどに寒さはどんどん増していく。
そういえばアフリカといっても南のほうは南極の近くになるんだよな・・・・・・。
なんせ曲名が「Minus 0.5℃」「Minus 85.5%」などだもの(%はなにを示してるのか?)。
エキセントリックで、どこか淋しい。そして曲数も8曲ぽっきりで、収録時間も短い。
CD1もCD2も、密度がえらく濃い。はっきり「ここではない特定の場所」を想起させる。
一聴した後の満足感が凄い。とりわけCD2は、なかなか聴けないストレンジな世界。



ここで、以前の記事で紹介したCDのなかからも、役に立った2枚を簡単にピックアップ。

究極のゆらぎ 癒しの鐘 Healing Bell

究極のゆらぎ~癒しの鐘~究極のゆらぎ~癒しの鐘~
(2006/02/25)
小馬崎達也

商品詳細を見る

以前のシリーズ第3回の記事で紹介。
持っているCDのなかで、集中効果がいちばんすごいCD。
「魔性の女」とよく言うけれど、これは「魔性の音楽」かもわからない。
引き込まれるように集中している自分に気付いて驚かされる。
怪しいCDではないのでご安心あれ。

サブリミナル効果による 集中力アップ

集中力アップ集中力アップ
(2004/02/25)
小熊達弥、 他

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以前のシリーズ第1回の記事で紹介。
サブリミナルCDは周りの環境が静かであるときにより効能を発揮するという。
今回の執筆は冬~初春にかけてだったので、部屋の窓はほぼ閉めきったまま。
だからぴったりのシチュエーションだった。(これからの季節はちょっと厳しいかな)
音楽としてはそんなに心地よいとか面白いとかいうものではなく、効能重視型だが
何だか不思議なサウンドに耳を任せながら手を動かしていると、なかなかはかどる。


今回の執筆は、ある楽曲をテーマやモチーフに、その曲に沿ったイメージや内容の
小説を書くという企画だったので、モチーフ曲の入ったCDをかけながら書くことも
あったのですが、これは歌につられやすく、意外と頼りになりませんでした。
それから、執筆期間中は音楽をあまり探しに行かず、ひたすら書いていたので
同じ音楽ばかりルーティンでかけてしまい、実は今回紹介した音楽たちには
全て耳にタコが出来ており・・・(苦笑)。
長丁場の執筆期間中、とりわけ後半はかなり息が詰まっていたので、音楽探しにでも
行けばよかったです。せめて、集中効果は薄くても、持っている他のインスト作品を
聴くとか、もっと幅広くBGMをチョイスしていれば、ここまでマンネリしなかったかと。

反省は尽きませんが(肝心の小説ではもっと)、それは次回作に生かしましょう。
さぁ、明日(2014/06/20)はワールドカップ、ギリシャ戦!
・・・朝の忙しい時間帯にあるんですよねー。録画しますか。でも観られる限り観る!


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吉松隆:TARKUS~クラシック meets ロック「キース・エマーソンのお墨付き!プログレ魂~ロック魂が猛る、激しく力強いクラシック」

クラシック音楽といったら、静謐なもの、癒されるもの、ちょっと眠いもの(笑)
というイメージが、ロック好きなど、日頃クラシックに馴染みがない者には
ありがちですが、本作は、そんな若い世代さえ沢山呼び寄せた2010年のコンサート
新・音楽の未来遺産~ROCK & BUGAKU」で披露された4曲を収めたもので、
会場はクラシックの演奏会らしからぬ熱気に溢れていたのだそう。
なぜクラシックのコンサートが多くの客層をこれほどまでに惹きつけたのか?
その理由は、CDを聴けば、とりわけ最初の曲を聴けば、すぐにわかります。

タルカス~クラシック meets ロックタルカス~クラシック meets ロック
(2010/07/21)
吉松隆

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以前エマーソン、レイク&パーマー(以下EL&P)の記事で「聴いてみたい」と言っていた
作品を遂に発見です。
このジャケは言うまでもなく、本家EL&Pのジャケにあやかったもの。

タルカス+1(SHM-CD紙ジャケット仕様)タルカス+1(SHM-CD紙ジャケット仕様)
(2010/06/23)
レイク&パーマー エマーソン

商品詳細を見る

東京フィルハーモニー交響楽団による「新・音楽の未来遺産」コンサートのシリーズの
監修を依頼された吉松隆さんは、クラシックの作曲家として著名な方ながら、
若い頃はEL&P、フロイド、イエスなどのプログレッシヴ・ロックに夢中になった世代。
「ビートはロックそのものなのに、変拍子や構成は完全にクラシックの現代音楽」
「20世紀初頭の『現代音楽』と20世紀後半の『ロック』とを繋ぐ<ミッシング・リンク>
に当たる重要な作品」「とにかく、この作品をクラシック音楽会に知らしめたい」
そんな熱い想いから、タルカスをはじめとする4曲にとりかかるも、最初は反応が
薄かったのだそう。しかし実は業界内に隠れプログレ・ファンがちらほら居て、
「タルカスをオケでやるんだって!」と口コミで広めるなどの協力をしてくれて、
最終的にはかなりの盛り上がりをみせたのだそうです。
一説には、「クラシックファンとプログレファンは被っている」という話もあり
それゆえにこのコンサートが無事成功したのでは、と分析する向きもあるとか。
因みに、指揮者の藤岡幸夫さんは大の永ちゃん=矢沢永吉さんファン。
好きな音楽って、本業とはあさっての方向にも、以外に伸びているものですね。

しかも何と本作収録の「タルカス」は、ご本人=キース・エマーソンのお墨付き!
吉松さんがスコアをエマーソンの元に送ったところ、喜びのメッセージが届き、
自身のHPに紹介してくれたほど。
但しこの逸話には裏話があって、吉松さんがエマーソンにスコアを送ったのは
何とコンサートの1ヶ月くらい前で、更にエマーソンから返事が来たのは
実にコンサート1週間前だったとか。
スコアが仕上げの段階に入る頃になって「これでもしキース・エマーソンが
こんなアレンジの演奏は許可できない!と言い出したらどうしようか?」と
真っ青になったという吉松さん、大胆というか無茶というか(苦笑)。
また「タルカス」には公式の楽譜がなく、全て吉松さんが腐心しながらCDから耳コピ。
インタビュアーに「何がそこまで駆り立てたんでしょうか?」と聞かれて
「それはやっぱりプログレの血でしょうね(笑)」と言い切るプログレ愛。
プラス負けず嫌いが加わって、聴きごたえのある作品、コンサートが出来ました。


CDには、EL&Pの名曲で大河ドラマ「平清盛」でも一部使用されている「タルカス」
のほかに、3つの楽曲が収録されており、ほぼ全曲がプログレ繋がり。

まず、「タルカス」に続く「BUGAKU」は、黛敏郎さんによる現代音楽の古典。
吉松さん曰く「日本古来の雅楽を素材にしながら、ピンクフロイドに通じるような
斬新なサウンド」。雅楽のサウンドがオーケストラで演奏される奇妙さに加え、
日本音楽の繊細さと古代の呪術的なエネルギーをもつ、エキセントリックな曲です。
しかもバレエ音楽だというのだから、まさにジャンルレス、プログレッシヴ。
1曲当たりが長いのですが、不思議な磁力に惹かれて妙に気持ち良くなってしまい、
気がついたら最後まで聴いている曲です。

次にドヴォルザークの「アメリカ」の吉松さんRemix。
「クラシックらしからぬグルーヴ感と終楽章の疾走感が好き」と吉松さんが語るように
新大陸アメリカへの夢、来たるべき20世紀へ向かう希望、そして過去への郷愁と
一筋縄ではいかないインパクトがある、爽やかで力強い曲です。
もとはバイオリン、ビオラ、チェロによる曲だったものを、今回「リミックス」して
ピアノとオーケストラによる曲へと生まれ変わりました。

最後の小品「アトム・ハーツ・クラブ組曲第1番」は吉松さんのオリジナル。
ビートルズの「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」、EL&Pの「Tarkus」、
ピンク・フロイドの「Atom Heart Mother」といった、プログレ要素のある
ロックの名盤を、鉄腕アトムの十万馬力でシェイクしたもの、というイメージが由来だとか。
「あれっ聴いたことが?」というオマージュのフレーズ、プログレ風のパッセージやリズムを
リミックス&コラージュ。
オリジナルは弦楽四重奏で、これを吉松さんに依頼した人がまたプログレ・マニア。
「このリミックス曲を書いたことがすべての始まり」なのだそうです。


さて、肝心かなめの「タルカス」は・・・?

不穏なイントロ、迫力のメインテーマ
スーッとくるあの不穏なイントロはこちらでも健在、ゾクゾクさせられる。
そして「噴火」を中心に繰り返されるメインテーマが大迫力。
まさに怪物の闊歩。

抑制と爆発
ステレオタイプのクラシック音楽にはあるまじき、エネルギーの大爆発は
もはや本物のロック。そして、爆発するには「溜め」が必要で、
エネルギーを溜め込んでいる間の静寂は、ユーモアもありつつ不気味。
「火山の噴火の中から生まれ、世界(と偶像)を破壊」する怪物(生物兵器説も)。
それがマンティコアというまた別の怪物と大戦闘を繰り広げる物語「タルカス」。
ぴったりはまっている。

各パートがどの部分かわかりやすいぞ!
EL&Pのオリジナルでは、「タルカス」全編で1曲扱いとなっており、
どの部分が「噴火」でどこからが「ストーンズ・オブ・イヤーズ」なの?といった
初心者レベルの疑問があった。(他のプログレのCDも同様)
本作では、「噴火」から「アクアタルカス」までの7つの部分を、7曲に分けてあり、
おかげでどこがどの部分かを把握することができて、曲の理解が深まった(笑)。

レイクのヴォーカルが恋しい、そう言い出すとベースも、エマーソンのキーボードも
オーケストラが楽曲をなぞっていく。「おおぉ」と言いながら聴いている。
しかし、レイクの歌メロをなぞる部分で、個人的には物足りなさを覚える。
特に「ミサ聖祭」とか、もしかするとちょっとカラオケっぽいかも。
「なぜ弦楽器なんだよ、何であのレイクの声じゃないんだよ!」と。
そんなことを考えた後でEL&Pの原曲を聴きたくなって、ひととおり聴いてから
本作に戻ると、レイクのヴォーカルだけでなくベースや、エマーソンのキーボードまで
恋しくなってしまう、要は「やっぱ違う」と感じてしまうのが困ったところ。
違うのはあたりまえなんだから・・・
寧ろ、自分はこんなにレイクの歌声のファンだったのかと気付かされた。

クラシックを聴いているのに、ロックのような興奮やスリルを得ることができる
確かにキーボードやベースや生の歌声のような尖った音はオーケストラにはない。
しかし、代わりにオーケストラならではの凄み、重みがある。
静寂の部分では柔らかさと深みがある。
そして低音を出す楽器が荘厳さや怖さの演出に最大限の効果を発揮している。
クラシックで用いる楽器の数々によって奏でられているのに、
プログレッシヴ・ロックを聴いている時のような興奮やスリルを感じられる。
こんなクラシックがあるのか。勿論、穏やかな作品も好きだけど、
クラシックに対する印象が大きく変わった一作。



「ロックバンドと大音量や迫力で張り合って『オーケストラって凄い!』と
言わせようとも思った」

「ホント大人げないですね」と笑いながらもこう豪語してしまう吉松さん、
そのロック魂、とてもよく伝わってきましたよ!
クラシックもプログレッシヴ・ロックもまだまだ×100奥が深い、未知なる世界。
少しずつながらもっともっとその洞窟への探検を進めていきたいと意気込んでいます。



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村治佳織:プレリュード「初めて聴いたクラシック・ギターは、とても繊細で、とても優美だった・・・一つひとつの所作に、静謐な祈りを込めて」

エレキギターは、基本、鋭角的でラウド、攻撃的な楽器。
アコースティック~フォーク・ギターは、ざっくりとして素朴な味わい。
そして、初めて聴いたクラシック・ギターは、
一つ一つの弦が細い糸でできていて、それを縦横に織って、うすく上品な肌触りの
布が出来上がるような、とても繊細で、とても優美な響きをもっていると感じられました。

私がそのように感じたのは、演奏者である村治佳織さんの感性、奏法、選曲、アレンジ等が
そうした持ち味を有しているから、なのかもしれません。
村治佳織さんの現時点での最新作「Preludeプレリュード)」。

プレリュード(初回限定盤)(DVD付)プレリュード(初回限定盤)(DVD付)
(2011/10/05)
村治佳織

商品詳細を見る

「美人ギタリスト」ということで有名なので、クラシック音楽、ましてクラシック・ギター
という分野に全く縁のなかった私でも、その名と大まかな方向性は知っていました。
それにしても、ジャケットだけ見ると女優さんかな?と見紛うお美しさ。
「檀れいさんのようにも見えるし、夏川結衣さんのようにも見えるな」というのが
とてもおおざっぱな、村治さんの容姿に対する感想です。

ギターを手にしてこんなふう。
村治佳織1
アルバムには、アレンジャーの佐藤弘和さんによる解説が綴られている冊子のほかに
村治さんのお姿のみを収めた8ページのブックレットが付属。
解説の冊子にも、ギターを抱えた村治さんが2人、抱えていない姿が1人。
まるでアイドルのCDのようで唖然。そりゃ写真集も出るわけですよね。

そういえば昨年はスーパーでのお買い物中に、こんなものに出会った記憶があります。
村治佳織2
村治さんとヨーグルトメーカーとのタイアップ企画。
当時、村治さんのことを大まかにしか知らなかった私は正直「はぁ?」と思いました。
またくだらないタイアップ商品かと。
でも今となっては、ちょっと食べてみたい・・・
今年は店頭で見かけないので、昨年、偏見をもたずに食べておけばよかった・・・
村治さん抜きに、単なるデザート好きとしても(笑)


初回限定版にはDVDが付いていて、内容は#9の「アダージェット第4楽章」(マーラー)のPV。
どことなく、楽曲のイメージビデオというより村治さんのイメージビデオと化していた感が
やはりこちらにもありましたが、それを鑑賞していて色々と気づいたことが。
主に彼女がクラシック・ギターを奏でているシーンでのことなのですが。

左手の運指、右手のストローク、そのひとつひとつの丁寧さ。
左手では確かめるようにコードを丁寧に押さえ、右手では指のそれぞれで大切に弦をはじく。
まるでギターの6本の弦全てを慈しむかのようです。
ときに手元をじっと見つめながら、ときに旋律に酔いしれるように目を閉じて、
綺麗に整えられた指先が螺旋のように蠢いてトレモロを奏でる。
上品でしどけない色気がそこはかとなく漂う映像でした。

彼女のアルバムで初めてしっかりと聴いた「クラシック・ギター」という楽器に対して
「とても繊細で、とても優美」という印象を持った理由はここにありました。
村治さんがギターと対峙する姿勢、そして人間性が、そのまま音となって
クラシック・ギターに立ち現れている
のですね。


本作の選曲は、実に親しみやすさと神秘性の狭間を行き来しています。

親しみやすさでいえば、#11-12のP.J.チャイコフスキー
ギターのための≪くるみ割り人形≫組曲より、こんぺい糖の精の踊り、花のワルツ
は、誰もが知っていて誰もが好きな曲なのでは。可憐な演奏がとてもあたたかです。
#14ではビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」が登場。但し本作のヴァージョンは
それをカヴァーしてヒットした、セルジオ・メンデス&ブラジル'66のボサ・ノヴァ風を
イメージしてのアレンジで、よりクラシック・ギターにハマるように。
アルバムの締めくくり、#19はジャズのスタンダード・ナンバー「スターダスト」で
ちょっとあっけらかんと。

そして、ある曲のなかに、別の曲のフレーズを登場させて更におもしろく。
#1はビー・ジーズの往年の名曲「How Deep Is Your Love愛はきらめきの中に)」に
J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番"プレリュード"」の開始部分を取り入れて。
#10は1974年のニール・セダカのヒット曲「雨に微笑みを」で、タイトルの「雨」にちなみ
雨に唄えば」や「オーバー・ザ・レインボー」が顔を出します。

神秘性でいえば、本作は坂本龍一さん(以降「教授」)が2曲を提供しており、
#2「プレリュード」、#13「スモール・ハピネス」どちらも祈りのような静謐な曲。
本作のリリースが2011年であることと当然大きな関係があり、震災当時、村治さんが
音楽の・・・自分の・・・無力さを知って打ちひしがれるといったエピソードが
とあるドキュメンタリー番組で登場しました。
そこにきて教授は被災者支援活動にも積極的。共有できる意識、メッセージがあったのは
言うまでもありません。
「スモール・ハピネス」は映画「一命」の挿入歌にもなったそうです。
続く#3-8「コンポステラ組曲」はとてもエキゾチック。コンポステラとはスペインにある
巡礼の終着地点の街。スパニッシュというより、何かもっと中近東の響きをもって
聞こえてくるのはなぜでしょうか。
終盤の組曲、#15-18「コユンババ」はゾクッとするような雰囲気。
「コユン(羊)」「ババ(父)」は13世紀南トルコに住んでいた古い伝説の隠者の名前で
その地方にある小さな湾は、今でもコユンババと呼ばれているのだとか。
スペイン、トルコ。巡礼、隠者。教授の作曲した、内面に向かっていく曲想の2曲。
そしてDVDでPVが観られる#9「アダージェット」は映画「ヴェニスに死す」のテーマ音楽。
解説分でアレンジャーの佐藤さんも書いていますが、やはり、「祈り」が本作のテーマに
なっているのだと、耳を澄ましていても何だか伝わってきます。
だから#19の「スターダスト」がさっぱりとした明日への希望のように感じられ、
聴き終わって爽やかな感覚が残るのでしょう。

「プレリュード(前奏曲)」、それすなわち「始まり」。
祈りは希望に向けて。音楽の力は、やすらかで深いところへ、自分の内へ、外へ。
村治さんが奏でるしなやかで真摯なメッセージが、やわらかく、しかし確かに伝わる、
心地良さと共に骨もある一枚
です。


これが前半部でちらりと述べた村治さんの写真集。

dulcinea/ドゥルシネア―村治佳織写真集 (ソトコトclassics)dulcinea/ドゥルシネア―村治佳織写真集 (ソトコトclassics)
(2003/07)
村治 佳織、カイ ユーヌマン 他

商品詳細を見る

あっさりと自然な佇まいでギターを抱えて街を歩く村治さん。
表紙だけ見ると、譜面の本だと間違ってしまいそうですね。


さて、TV出演など各方面で幅広く活躍する村治さんですが、その活躍の歴史は
商売道具である手指の疾患との闘いの歴史でもあるようです。
2005年10月、右手後骨間神経麻痺橈骨神経麻痺)により演奏活動を休止、
治療・静養に入り、2006年1月に復帰、ツアー、レコーディングを再開。
そして本作リリース直後の2011年11月、再び右手後骨間神経麻痺(橈骨神経麻痺)の
治療により演奏活動を一時休止、今年2月に復帰を果たしたのだそうです。
デビュー作が1993年リリースで、そこから本作までのべ18枚のアルバムをリリースと
海千山千乗り越えて、もうすっかりベテランの域に。
それでもアイドル扱いされているって凄いですが(因みに現在、村治さん34歳)
今度、近くのコンサートホールにツアーに来る機会があったら
是非その美貌を拝みに・・・ではなくて、卓越した演奏に耳を傾けるために
足を運んでみたいと思います。

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プロフィール

燃える朝やけ

Author:燃える朝やけ
・音楽、映画、漫画・・・雑多な題材をとりあげ、レビューのような感想のような、「好きなものの話」をしています。音楽寄りの題材が多めかも。
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